全国書店新聞
             

平成28年6月1日号

「贈りたい一冊」冊子を作成/青森県組合第29回通常総会

青森県書店商業組合は5月9日に青森市のアラスカ会館で第29回通常総会を開催し、組合員20名(委任状含む)が出席した。
総会は伊藤篤副理事長(伊吉書院)の司会、田中麗子副理事長(木村書店)の開会の辞で始まり、成田耕造理事長(成田本店)があいさつ。成田理事長は、取次の再編、図書館の指定管理の増加、書店の売上減少(特に雑誌)について触れ、「書店数はピーク時の半分まで減少している。青森組合も29名となり、今期は組合脱会数も増加した。文具や雑貨、カフェを併設した店舗が増えている。商売の工夫をしていかなくてはいけない」と述べた。
サン・ジョルディの日では、県内の様々な分野で活躍する方に自身が推薦する図書を選んでもらい、「私が贈りたい一冊」として紹介する冊子を1万部製作して、ポスターと共に組合員に配布したと説明した。
また、当番県として7月に八戸市で開催する「第68回書店東北ブロック大会」について説明。講演会は、〝本のまち八戸〟の公約を掲げ、①ブックスタート②マイブッククーポン(小学生全員に2千円のクーポン券配布)③八戸ブックセンター開設(今年11月オープン予定)④読み聞かせキッズブック事業(3歳児全員に2千円のクーポン配布、今年9月から予定)の各事業を行い、市民が読書に親しむ環境を作る支援をしている八戸市の小林眞市長を講師に実施すると述べた。
続いて成田理事長を議長に選出して議案審議を行い、平成27年度事業報告、収支決算、平成28年度事業計画案、収支予算案など第1号から第6号議案まで原案通り承認可決。第7号議案では監事の変更、第8号議案では事務局移転並びに役員定数改定に伴う定款変更を審議し承認可決した。
このあと取次、出版社、新聞社、運送会社、中央会を交えて懇親会を行い、相互の親睦を深めた。
(伊藤篤広報委員)

書店マージンの拡大求める/増売システムの構築目指す/東京組合第40回総代会

東京都書店商業組合(舩坂良雄理事長)は5月19日午後2時から東京・千代田区のホテルメトロポリタンエドモントで第40回通常総代会を開き、総代52名(委任状含む)が出席。舩坂理事長はあいさつの中で書店の厳しい状況を報告し、出版社に書店のマージン拡大を要請。東京組合の活動では、増売システム検討小委員会による増売企画立案を重点施策に掲げた。
総代会は矢幡秀治組織委員長の司会で進行。開会の辞で柴﨑繁副理事長は「書店が減少する一番大きな要因は粗利が少ないこと。現在の22%が30%になれば、多少なりとも余裕が出てくる」と提起。「総代会で出た課題を日書連で揉んでもらい、業界全体に訴えていかなければいけない」として、活発な議論を求めた。
続いてあいさつを行った舩坂理事長は、「いま日本では332自治体に書店がない状況だ。東京組合の加盟店も減少し、今年4月現在で395店となった。書店の売上が下がり続け、経営をやめる方が後を絶たない」と書店の現況を憂慮。出版販売金額は今後もマイナス傾向が続くだろうとの厳しい見方を示し、「私ども経営者は、過去の延長線上で『以前は良かった』などと考えず、3年先、5年先を見据えたとき、店をどのように変えて、毎年利益を出せるか考えることが必要だ」と指摘した。
さらに、身近な町の本屋がなくなっていくことは、地域に住む人々、特に子どもたちにとっても大きな損失だとした上で、「現在の正味体系では書店経営はやっていけない。ぜひマージンを30%いただきたいと考えている。今すぐは難しいというのであれば定価を上げていただきたい」と出版社に要請した。
東京組合の重点施策については、増売システム検討小委員会を立ち上げたことを説明。増売商品を組合が自ら選定し、年間を通して店頭でフェアを行っていきたいと述べた。
このほか、統一した開催日に小売店が一斉に行うフランスのバーゲンセールを例に引きながら、書店に足を運んでもらうためのイベントとして書店新風会の大垣守弘会長が提案する読者謝恩の「本の日」について言及し、実施に賛意を表明。「取次、出版社、書店が一緒に活字文化を守り、皆様の書店経営が続けられるよう、役員一同努力していく」と結んだ。
議長に奥村弘志氏(南天堂書房)を選任して議案審議を行い、すべての議案を原案通り承認可決。平成27年度事業報告は、各副理事長が担当委員会の取り組みを一括して説明した。
取引・流通改善委員会の報告で柴﨑副理事長は、送品・返品同日精算を始め、取次との取引で起きている様々な問題を取り上げ、解決に向け協議していくと方針を説明。付録問題では、最近カタログを別添する事例が多いことから、書店の手間を減らすよう協議していくと述べた。L表示については、統一性のない運用で書店が損害を受けることのないよう改善を求めるとした。デジタル戦略推進では、「BOOKSMART」の店頭連動企画に参加を呼びかけた。
事業・読書推進では、本間守世副理事長が、第9回「読者謝恩図書カード」を出版社19社の協賛で2万枚を発行・販売したこと、紀伊國屋書店が実施した買切施策商品2点に東京組合として参加したことを報告。増売運動では、出版社からの依頼による企画商品の増売協力を行ったほか、増売システム検討小委員会を立ち上げ、青年部の協力も得ながら、組合提案型の増売企画の立案等に取り組んでいくと説明した。また書店再生では、増売企画「第2回書店金賞『和~日本のこころ』」を日書連に提案、同企画に全国で345書店が参加したと報告した。
田島敏幸副理事長は組織委員会の報告で、支部及びエリア制の組織改革研究を進めるため、エリア会議を2回開催したと説明、「これまでは役員を中心に開催したが、今後は各支部員にも参加してもらい、活発な意見をいただきたい」と述べた。再販問題では、富士山マガジンサービスが実施する「半額割引きキャンペーン」について、出版再販研究委員会に日書連を通じて情報提供したと述べた。
指導・調査委員会の事業では小林洋副理事長が、平成27年度書店経営研修会は「書店復権」をテーマに、有隣堂・松信健太郎専務を講師に迎えて開催したことを報告。組合報「TOKYO書店人」発行と月報の配信については、主な記事内容を説明。万引問題では、昨年開催された「第6回万引き追放SUMMERキャンペーン」、「第11回東京万引き防止官民合同会議」の模様を報告した。
平成28年度事業計画については小林副理事長が説明。重点施策として増売システム検討小委員会の活動を挙げ、「これからいろいろな提案が出されるので、積極的に取組みいただき、売上アップにつなげてほしい」と述べた。
議事終了後、支部功労者4氏の表彰を行い、総代会を終了した。
〈支部功労者〉
庭崎雅彦(朝日新聞銀座シティ販売銀座堂書店)梅木秀孝(梅木書店)根岸勇三(埼玉屋書店)谷耕世(錦堂谷書店)

6月23日に第28回日書連総会

日書連は6月23日(木)午後1時から東京・千代田区の書店会館で第28回通常総会を開催し、平成27年度事業報告・収支決算報告、平成28年度事業計画案・収支予算案、平成28年度借入金最高限度額決定などを審議する。当日午前は定例理事会を開催する。

「図書カードNEXT」6月から発行開始/日本図書普及

日本図書普及は、センター管理型の次世代型図書カード「図書カードNEXT」の発行を6月1日から開始。これまでの磁気カードは発行を終了する。
「図書カードNEXT」(以下、新カード)は、カードに記載されたQRコードを読み取り、インターネット経由で情報を管理する。図書普及では昨年から新しい読取り機への交換を進めており、今年5月にQRコードの読み取りを行う「QRコードリーダー」を加盟書店に送付した。
新カードでは全てのデザインを一新。「ピーターラビット」シリーズは、5千円、3千円、1千円に加え、5百円カードが登場。「東山魁夷」シリーズは1万円、5千円、3千円、1千円の4種類、「富士山」シリーズは2千円と1千円の2種類で、全10種類を用意する。
新カードとこれまでの磁気カード(以下、旧カード)のサイズは同じだが、QRコードを使用したカードとなり、素材も紙に変更される。新カードの裏面には、品名・品番・流通番号のほか、16桁のID番号、4桁(スクラッチ印刷で隠蔽)のPIN番号、取引用・残額確認用のQRコード、有効期限を記載する。
新カードは、購入客に10年間の有効期限を保証しており、書店には在庫期間を考慮して13年間の有効期間の入ったカードを取次から送品する。図書普及では、有効期限が10年を切ったカードは販売しないよう呼びかけており、有効期限10年切れのカードについては交換を予定している。
残額と利用履歴は、パソコンやスマートフォンからカード裏面のIDとPIN番号を入力することで確認できる。店頭では、読取り機により残額のみ確認が可能。旧カードと違い使用してもパンチ穴が開かないため、店頭での使用・未使用のカード管理が重要となる。在庫として持っている旧カードは、継続して使用できるため、引き続き販売できる。その後残った在庫については交換する予定。なお、新カードのスタート時は従来と同じ買切り方式となっているため、店頭で販売する際に「有効化」の作業を行う必要はない。

書店組合総会スケジュール

◆東京都書店商業組合青年部第26回通常総会
6月16日(木)午後4時半、東京・千代田区の書店会館3階会議室で開催。
◆第68回書店東北ブロック大会
7月7日(木)~8日(金)、青森県八戸市のグランドサンピア八戸で開催。7日は午後1時半から大会、同2時50分から講演会、同6時15分から懇親会を行う。8日はゴルフと観光。

「PAGEONE」運動を推進/総会制移行で定款を改正/大阪組合第34回通常総代会

大阪府書店商業組合(面屋龍延理事長)は5月20日午後2時から、大阪市北区の尼信ビル会議室で第34回通常総代会を開催し、総代64名(委任状含む)が出席した。
総代会は萩原浩司副理事長の司会で進行。面屋理事長は開会あいさつで、大阪組合や日書連が取り組んでいる運動として、出版物への消費税軽減税率適用、再販維持、定期配達雑誌の30%マージン獲得、子どもの読書推進について言及。再販問題では、富士山マガジンサービスが実施している高率の割引きキャンペーンについて危機感を示し、「3月の出版再販研究委員会でこの件について発言した。町の本屋はますます雑誌が売れなくなる。町の本屋も同じような割引率でお客様に販売できるようお願いしたい」と述べた。読書推進では、府教育委員会と民間団体等が連携し、月1回家庭や地域で読書を楽しむ日として「OSAKAPAGEONEの日」を8月から開始すると報告。また、組合員の減少に伴い総代会制から総会制へ移行するための定款改正を本日審議すると説明し、「来年から総会に移行する節目の総代会となる。慎重な審議をお願いする」と結んだ。
続いて、正副議長に田上順一、東正治両氏を選任して議案審議。平成27年度事業報告、収支決算書、平成28年度事業計画案、収支予算案など全ての議案を原案通り承認可決した。
平成27年度事業報告では、面屋理事長が消費税問題について、与党税制改正大綱で出版物への軽減税率は引き続き検討となり、「有害図書」の線引きが課題に挙げられていると現状を説明。「消費税が10%に上がる前に軽減税率が適用されるように頑張りたい」と述べた。
読書推進委員会の報告では、「第11回本の帯創作コンクール(帯コン)」に1万93点の応募があり、大阪府内で226校、他府県から20校が参加したと説明。また2015年度の「読書ノート」には173校6万7367冊の応募があり、抽選の結果133校に4万9648冊を送付したと報告した。
平成28年度事業計画では「OSAKAPAGEONEの日」について面屋理事長が説明した。大阪府教育委員会は今年3月に「第3次大阪府子ども読書推進計画」を策定し、面屋理事長が委員として参画。同事業はこの計画の一環として面屋理事長が提起し、採用されたもの。毎月第1週末(土曜・日曜)を、本屋と図書館に家族で行こうという日に設定し、官民が協力して読書に関するキャンペーンを実施する。面屋理事長は、「帯コン」の課題図書や、日書連が実施する『心にのこる子どもの本』セットの展開を提案して、「町の本屋が今月薦めたい本はこれだという本を、1冊でもいいので店頭に置いてほしい。この運動に賛同する書店は府のホームページに掲載されるので、ぜひ賛同を」と呼びかけた。
定款改正では、総会制へ移行するための各条文の文言の修正や、理事定数を現行の「38人以上43人以内」から「30人以上35人以内」に変更するなどの改正案を審議し、可決承認した。

16年度読書ノートは137校に発送/大阪理事会

大阪府書店商業組合は、5月14日に大阪市北区の大阪組合会議室で定例理事会を開催した。
理事会に先立ち、面屋理事長が「OSAKAPAGEONEの日」プロジェクト」について説明。5月18日に開催する、府教育委、取次、書店の意見交換会に参加を呼びかけた。
理事会では、読書推進委員会が2016年度の「読書ノート」について、抽選を5月11日に行い、当選は137校、発送は4万9697冊と報告した。
(石尾義彦事務局長)

総会議案事項について審議/北海道理事会

北海道書店商業組合(志賀健一理事長)は4月19日午後2時から、札幌市中央区の北海道建設会館で定例理事会を開催した。6月14日開催の第40回通常総会の件では、平成27年度事業報告及び平成28年度事業計画について、各事業担当理事と原稿締切期限を決定。また、平成27年度収支決算報告と平成28年度収支予算案について、事務局より説明して審議した。
(事務局・髙橋牧子)

訃報

影山稔氏(前出版物小売業公正取引協議会専務理事、前日書連監事)
5月11日に逝去した。享年79歳。通夜は14日午後6時から、告別式は15日午前9時半から所沢市の東上セレモニーホール所沢で営まれた。喪主は妻の尚子さん。平成8年から27年まで出版物公取協専務理事、平成19年から27年まで日書連監事を務めた。

新東通信の谷喜久郎会長にサン・ジョルディ十字勲章/スペイン・カタルーニャ自治州

日本とスペイン北東部カタルーニャ自治州の文化交流に貢献したとして、同自治州政府は4月26日、名古屋市の広告会社、新東通信の谷喜久郎会長兼社長にサン・ジョルディ十字勲章を授与した。
この勲章は1981年に制定。カタルーニャの聖人サン・ジョルディに由来し、カタルーニャ文化の国際的な普及に貢献した功労者に対する最高位の栄誉として、年一度、個人・団体に授与されている。
日本人では日産自動車の故久米豊社長(90年)、花王の故丸田芳郎会長(90年)、ソニーの故盛田昭夫会長(96年)、法政大学の田澤耕教授(03年)が受章。谷氏は13年ぶり5人目の日本人受章者となる。
谷氏は85年に日本・カタルーニャ友好親善協会を設立。86年、4月23日を本とバラの花を贈り合う「サン・ジョルディの日」と定め、日書連など関係団体とともに、7大都市と全国の書店、生花店の店頭でイベントやキャンペーンを展開。30年にわたり普及・啓蒙活動を推進している。

全出版人大会を開催/多様な出版、文化への貢献誓う

第55回全出版人大会(主催・日本出版クラブ)が5月18日、東京・千代田区のホテルニューオータニで開かれ、「誰もが、何ものにも規制されることなく表現、出版が出来、さまざまな場所で本と出会え、読んで自由な感想を持つことが出来る社会を守り、多様な出版を通じて出版文化に貢献することを誓う」とする大会声明(別掲)を採択。古希を迎えた長寿者27名と勤続15年以上の永年勤続者318名の表彰を行った。
式典の冒頭、野間省伸大会会長(講談社)は、熊本地震の犠牲者に哀悼の意を表し、被災者が1日も早く日常生活を取り戻すことを祈ると述べた。そして、本と出会う場の確保、言論・表現と出版の自由を訴え、出版物への軽減税率適用を獲得する努力を引き続き行うと強調。「本年も厳しい状況だが、出版界の叡智を結集して、難局を好機に変える出版活動を展開しよう」とあいさつした。
続いて、小野寺優大会委員長(河出書房新社)は「熊本地震による書店の被害は甚大で、出版業界あげての支援が必要。大きな災害が起こるたびに無力感を感じるが、出版にしかできないことがあると信じて進んでいかなければならない」と述べ、大会声明を朗読。拍手で採択した。
豊田真由子文部科学大臣政務官の祝辞に続き、長寿者代表の及川直志氏(白水社社長)に相賀昌宏大会副会長(小学館)から寿詞と記念品、永年勤続者代表の田野島正伸氏(家の光協会)に石﨑孟大会副会長(マガジンハウス)から表彰状と記念品が贈られた。
及川氏は「本が好きで皆この業界に入ったと思う。出版界を取り巻く環境は厳しいが、自分たちが生産・流通させている商品に対する情熱を介した人間関係を大切にすることによってのみ、道は開ける」、田野島氏は「出版に携わる私たち一人ひとりが、読書の素晴らしさを愚直に伝え続け、出版業界を盛り上げていきたい」と謝辞を述べた。
このあと、作家の池澤夏樹氏が、同氏が編集に携わった河出書房新社『世界文学全集』『日本文学全集』の両編集長と鼎談を行い、閉会後、懇親パーティーが行われた。
〔長寿祝賀27名〕
敬称省略、氏名50音順
荒井登美也(東京書籍元専務取締役)
石田耕二(日本出版販売元専務取締役)
伊東朋視(芳文社前取締役)
遠藤光一(日本出版販売元取締役)
及川直志(白水社代表取締役社長)
小川正昭(東洋経済新報社元取締役出版局長)
小川益男(大修館書店元取締役)
川田芳雄(近代セールス社元専務取締役)
木村和康(有斐閣元専務取締役)
黒沢稔(偕成社常務取締役)
佐久間英雄(トーハン取締役)
佐久間信(協和出版販売常務取締役)
下出雅敏(彰国社常務取締役)
高橋滋世(日本出版販売元常務取締役・監査役)
中澤義彦(講談社元顧問)
七尾清(医学書院元専務取締役)
西村碩(教育出版元取締役編集局長)
八幡統厚(三省堂前会長)
花澤幹夫(大日本図書前常務取締役)
平井一良(福音館書店元取締役)
藤山誠(開隆堂出版元執行役員)
藤原久雄(明治図書出版相談役)
堀越一夫(教育出版元取締役書籍・教材本部長)
水沼文平(東京書籍元監査役)
宮島晋平(東洋経済新報社元監査役)
茂木路由(偕成社元取締役)
吉井幹雄(芸艸堂取締役相談役)
【大会声明(全文)】
かつて私たちの周りには本が溢れていました。
町に出れば大小さまざまな書店や図書館があり、電車に乗れば皆、書籍や雑誌を読みふけっていて、家に帰れば家族それぞれの本が積まれていました。さまざまな場所で、さまざまな本に接することで、私たちは新たな世界を知り、他者を理解し、自らの視野を広げてきたのです。
しかし、そんな「本のある風景」が今、この国から失われつつあります。
この二〇年近く、出版物の販売金額は減少を続け、その間、約四割もの書店が町から姿を消しました。今や全国の自治体の約五分の一に書店がないという状況です。さらには二〇一七年四月に予定されている消費税増税に向け、付加価値税を導入している欧州の多くで採用されている「出版物に対する軽減税率」すら適用が不安視されています。
戦後、一貫して右肩上がりを続けてきた日本の出版物販売金額は、消費税が三%から五%に引き上げられた一九九七年から減少し始めました。さらには五%から八%に引き上げられた二〇一四年から二年続けて過去最大の減少率となっています。無論、この間メディアの多様化や携帯電話、スマートフォンの普及などがあり、その原因の全てを消費税の影響とすることは出来ませんが、時を同じくしてこれほど売上の減少がみられる以上、その影響を無視することもまた出来ません。その上でさらなる消費税増を出版物に対して実施すれば、どうなるか。私たちが本と出会う場所がますます失われてゆくことは想像に難くありません。特に未来の日本を担う子どもたちにとって、本は一層遠いものになってしまいます。
さらにここ数年、出版メディアへの規制が懸念されるようになりました。二〇一四年一二月には特定秘密保護法が施行され、軽減税率に関しても、出版界に適用出版物の自主的な「線引き」が求められています。一方、書店と並び、本と出会う重要な場である公共図書館の資料購入費は年々減額されています。
果たして今、この国にとって「出版」は本当に「文化」なのでしょうか。
日本には世界でも稀有な、約一三〇〇年にわたる文学の歴史があります。はるか遠い時代の優れた書物を、私たちは今も手にし、読むことが出来る。それは間違いなく世界に誇るべき豊かな「文化」です。そしてそれは、多くの表現者が生み出してきた作品の歴史であると同時に、その作品を世に出したい、一人でも多くの人に読ませたいと願い、後世に残そうと人知れず努力を重ねてきた多くの出版人の歴史でもあるのです。
今こそ私たち出版人は先達が獲得し、守り続けてきた「言論・表現と出版の自由」を今一度見つめ直し、「出版」を「文化」として次世代に渡してゆかねばなりません。出版物への軽減税率の適用は、そのための必須条件です。誰もが、何ものにも規制されることなく表現が出来、出版が出来、さまざまな場所で本と出会え、読んで自由な感想を持つことができる社会。そのような社会を守り、多様な出版を通じて「出版文化」に貢献することを誓い、大会声明といたします。
平成二十八年五月十八日
第五十五回全出版人大会

前年同期比で94・22%/2015年下期ABCレポート

日本ABC協会は2015年下半期(7月~12月)雑誌発行社レポートを発表した。今回掲載したのは38社155誌。各雑誌部数の前年同期比の平均(既存誌ベース)は、週刊誌93・41%、月刊誌94・45%、合計94・22%となった。
総合週刊誌は、『週刊文春』が前期から3万6千部減少して38万部と、40万部の大台を下回ったものの販売部数首位をキープした。2位の『週刊現代は2万4千部増の32万6千部と復調。3位の『週刊新潮』は2万8千部減の28万5千部で30万部を割り込んだ。新聞社系では、『週刊朝日』が6千部減の8万9千部、『サンデー毎日』が8千部減の4万9千部と不振だった。
ビジネス誌は、『週刊ダイヤモンド』が前期から微増の8万8千部、『週刊東洋経済』が6万3千部で1千部減と小動き。『プレジデント』は1万7千部減の16万9千部だった。
女性週刊誌は、『女性セブン』が21万5千部、『女性自身』が20万7千部、『週刊女性』が11万2千部で、いずれも前期から約1千部減とわずかに落ち込んだ。
月刊女性誌は、『ESSE』が3万部1千部増の28万7千部、『サンキュ!』が2万7千部増の26万7千部と盛り返した。『with』は2万2千部減の9万8千部で、2期連続の大幅減と振るわなかった。

中小書店の経営を圧迫しない施策/スリランカの出版界/寄稿・能勢事務所代表取締役・能勢仁

スリランカは昔はセイロン島と呼ばれ、セイロン紅茶で有名であった。第2次大戦後1947年にイギリスの植民地から独立し、国名をスリランカと改めた。スリは輝かしい、ランカは島という意味である。
スリランカの面積は北海道(人口546万人)よりやや小さい。人口は2027万人(2012年)。首都はスリー・ジャヤワルダナブラだが、実質政治、経済、文化、外交の中心は嘗ての首都コロンボである。民族はシンハラ人が74%(仏教)、タミル人18%(ヒンドゥー教)である。公用語はシンハラ語である。
〔青年識字率_x001E_98%と高く/初等~高等教育まで無償〕
識字率は92・5%と高く、中でも青年識字率は98%に達している。教育は紀元前543年に始まったというから教育歴は古い。近代的な教育システムが取り入れられたのはイギリスの植民地支配下にあった19世紀からである。義務教育は9年間で、1945年にスタートした。小学校への進学率は99%と全員就学に近い。世界でも数少ない初等教育から高等教育まで、総ての教育が無償である。
教育は初等教育4歳~10歳で、この中には幼稚園4~5歳が無償で含まれている。中等教育はジュニア・セカンダリー10歳~14歳、シニア・セカンダリー14歳~16歳である。この上にカレッジ16歳~18歳がある。日本でいう高等学校に相当する。高等教育は大学教育であるが、この機関も無償である。日本と比較して羨ましい。国立大学は15校あるが、この門は極めて狭く、受験資格のある学生の16%未満である。さらに卒業生はその半分になるという難関である。都市部のトップクラスの生徒だけが高等教育の機会を得ることになる。
スリランカは再販国で出版活動は盛んである。出版社は200社前後で、年間出版点数は約8000点で、出版物の70%は自国発行であり、その他はインド、イギリス、アメリカ、シンガポールからの輸入である。雑誌はシンガポールからの輸入が一番多い。
〔主要出版社が書店直営/国家ライセンス取得で開業〕
スリランカのマスコミ業界は独特である。それは新聞社―出版社―書店の系列ができていることである。書協の理事長に相当するマイル・ブロヒアーさんに会うことが出来、色々と事情を聴くことが出来た。
それは国営新聞社のレイク・ハウス・プレスが全国の出版社をコントロールしていることである。今はプレスは民営化されたが、出版社が新聞社の傘下にあることは変わりない。各出版社はそれぞれに得意のジャンルを持ち、個性的な出版活動をしている。マイル・ブロヒアー氏はレイク・ハウス・パブリッシャーの社長であり、書協の理事長も兼ね、更にレイク・ハウス・ブックショップも経営している。大きな出版社では歴史書、郷土出版物を専門にするレイク・ハウス・パブリッシャー、英語書専門(教科書、英語学習書)、写真集を発行するメディア・ヤパ・アソシエーション、文芸書専門のタプロバーン・パブリッシャー、こどもの本専門のマキーン・プレス、教育書を専門に発行するジャエ・パブリッシャーなどが主要出版社といえる。
これらの主要版元はすべて直営書店を持ち、製販一体の出版活動をしている。これは世界でも珍しいことである。スリランカでは書店開店に当っては国のライセンスが無ければ開店できない。現在全国に約50のライセンス店がある。主要店はコロンボ市(旧首府)に集中しているが、この主要書店は10店以上はチェーン店を持たない内規がある。スリランカでは2000店の書店がある。出版社直営の大型書店は、常に書店育成を心がけ、中小書店の経営を圧迫しない様に配慮している。こうした広い視野に立った経営施策は立派だと思った。マイル・ブロヒアー氏もレイク・ハウス書店チェーンの社長であるが、自店の展開よりさきに、傘下書店、中小書店の育成に余念がない。次に市内の主要書店を紹介してみよう。
〈レイク・ハウス・ブックショップ〉
スリランカを代表する大型書店で、創業は1941年で、社長はマイル・ブロヒアー氏である。3店以上は店を作らないと言っていた。スリランカの書店のまとめ役をされ、出版界の中心人物である。国際ブックフェアにも積極的に参加され、TIBFにも見えられている。
旗艦店はユニオンプレイス通りにある店で、本、文具、CDを扱う162坪の店である。従業員数は40名である。親会社は歴史書、スリランカ郷土書の№1版元である。書店の品揃えで歴史、哲学、人文社会科学書の棚は特に充実していた。
この店に2つの特色コーナーがあった。1つは店の奥の壁面棚は全部、人生書であった。棚の上の空間には色々な言葉が書かれていた。「無為な生涯ではなく、成長する生涯であれ」「卓越は習慣や任意で作られるものではない」「本の判断が正しければ、小さな顧客が大きな顧客になる」「満足した顧客は利益と同じである」「良い洞察力は良い識見から生まれる」「読者はゆたかな思索者である」「不安と可能性は人生の快楽である」等々。これらの言葉が書かれ、関連する本が陳列されていた。店の経営姿勢をこの棚に感じた。
もう一つの特色はレファレンス・サービスの徹底である。デスクには読者がいつも座っていた。
〈ビシタ・ヤパ・ブックショップ〉
創業は1991年、本店はマジェスティック・シティ・ビルの1階にある。奥行8間、幅13間の店舗で、レイクハウスBSと双璧の書店である。店長のガミニ・ラサナヤケ氏(40歳前後、男性)に会い、話がきけた。親会社はメディア・ヤパ・アソシエーションという出版社で英語出版では№1である。ディストリビューターも兼ね、大型直営書店(100坪以上)を国内に10店舗もち、さらにフランチャイジーが80店舗ある。本店の具体的な品揃えは次の通りである。
ペット、自己啓発、観光・旅行、小説(アジア作家)、SF・ホラー、ベストセラー、新刊、スポーツ、料理書(ベジタリアン、西洋料理、料理法)、写真集、藝術、工芸、音楽(現代、古典)、宗教、心理学、哲学、考古学、建築、製図、教育、英語ブックス、一般科学、環境工学、情報工学、物理・化学・生物、数学等である。一番力の入っていたジャンルは「EnglishWorkBooks」と外国雑誌コーナーであった。
〈コロンボ市立図書館と古書街〉
図書館はアナンダ・ルマラスワミー通りの閑静な場所にある。3階建で、1階受付を通ったら案内人が来て、館内を案内してくれた。1階は新聞閲読室と200坪の接架できる読書室である。2階は児童室で250人が座れる。本の分類は40ジャンルだった。司書の女性が3人受付にいた。3階は研修室、講堂、事務室であった。親しみのもてる、開かれた図書館であった。
古本街は図書館の近くにあり、6軒の古書店が軒を連ねて営業していた。

3・4%減と低迷続く/書籍はヒット作が全体牽引/出版科研調べ

出版科学研究所調べの3月期の書籍雑誌推定販売金額(本体価格)は前年同月比3・4%減の1816億100万円と低迷した。
書籍は同2・5%減の1063億1800万円。石原慎太郎『天才』(幻冬舎)やベストセラー続編『幸せになる勇気』(ダイヤモンド社)、75万部に達した実用絵本『おやすみ、ロジャー』(飛鳥新社)などヒット作が牽引した。
雑誌は同4・7%減の753億7300万円。内訳は、月刊誌が同3・6%減の630億1700万円、週刊誌は同9・9%減の123億5600万円。3月は送品稼働日が前年同月より1日多く、その分マイナス幅が抑えられた。

「朝の読書」人気本調査/小学校『かいけつゾロリ』1位、中・高校は話題作とラノベ上位

朝の読書推進協議会(大塚笑子理事長、事務局=トーハン)は朝の読書実践校で人気のある本の調査を行い、結果をまとめた。
小学生は毎年上位に入るロングセラーの『かいけつゾロリ』や『ルルとララ』『名探偵シリーズ』など読み物シリーズが根強い人気で、今回は怪談物のシリーズ作品が複数ランクインした。また、昨年に続き『学研まんが新ひみつシリーズ』『科学漫画サバイバル』などの学習まんがシリーズも上位を占めた。
中学・高校生はその年のベストセラーやメディア化作品など世間で話題になった作品やライトノベルが支持される傾向が見られる。今回は又吉直樹氏の芥川賞受賞作『火花』、上橋菜穂子氏の本屋大賞受賞作『鹿の王』が上位に入った。
調査期間は平成27年4月~平成28年3月末。実践校は5月2日現在で2万7667校(小学校1万6792校、中学校8651校、高校2224校)で、約970万人の児童・生徒が取り組んでいる。
人気の本は以下の通り。
[小学校]
①『かいけつゾロリ』ポプラ社②『学研まんが新ひみつシリーズ』学研③『科学漫画サバイバルシリーズ』朝日新聞出版④『ルルとララ』岩崎書店⑤『名探偵シリーズ』偕成社
[中学校]
①『空想科学読本』KADOKAWA②『カゲロウデイズ』KADOKAWA③『ハリー・ポッター』静山社④『ソードアート・オンライン』KADOKAWA④『デュラララ!!』KADOKAWA④『王様ゲーム』双葉社
[高校]
①『物語シリーズ』講談社②『火花』文藝春秋②『ソードアート・オンライン』KADOKAWA④『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』KADOKAWA④『鹿の王』KADOKAWA④『サラバ!』小学館

Oak友の会に統合/大阪屋と栗田の書店会

「大阪屋栗田―Oak出版流通」は、大阪屋と栗田の取引書店会である「大阪屋友の会」「首都圏栗田会」を「Oak(オーク)友の会―大阪屋栗田友の会」に統合した。役員体制は以下の通り。
▽連合会会長=田村定良(田村書店)▽近畿地区幹事長=田村定良(田村書店)▽同副幹事長=高市健次(帯伊書店)春名貞夫(サン書房)浅田和敏(浅田書店)寺井昭彦(あゆみ書房)▽西日本地区幹事長=内藤剛(中央書店)▽東海地区幹事長=中野弘道(焼津谷島屋)▽東日本地区幹事長=奥村弘志(南天堂書房)▽同副幹事長=柴田信(岩波ブックセンター信山社)高橋小織(BOOKS隆文堂)松浦一郎(菊屋書店)

『書業無情』を上梓/本紙コラムなど収載/あすなろ書店の村田氏

1996年から8年間、本紙コラム「本屋のうちそと」執筆陣の1人として健筆をふるった山形県東根市・あすなろ書店の村田民雄氏が、このほど『書業無情』を上梓した。発行・東根文学会、発行所・北の風出版。四六判、定価1500円(税込)。
村田氏は書店経営の傍ら、東根文学会の事務局として同人誌や叢書の発行に携わるなど、地域文化の中心的存在として市民から信頼を集めている。
本書は、全国書店新聞コラム「本屋のうちそと」、河北新報夕刊コラム「きてけらっしゃい山形」、市報コラム「ふるさとスケッチ」を中心に、様々な媒体に執筆したエッセイや報告文をまとめたもの。地方の書店人の文化活動の軌跡を辿る、貴重な記録となっている。
問い合わせは北の風出版(あすなろ書店内)まで。℡0237(47)0099

大阪本社を移転/大阪屋栗田

大坂屋栗田は大阪本社を大阪市福島区に移転し、6月13日より営業を開始する。同日、営業第二本部営業第三部の西日本支店(旧栗田西日本支店)は大阪本社営業第一本部大阪営業部第二課に移管統合する。
新所在地は以下の通り。
〒553―0002大阪府大阪市福島区鷺洲1―11―19大阪福島セントラルビル1F・2F℡06―7638―9161

生活実用書/注目的新刊

皆川典久+東京スリバチ学会著『東京スリバチ地形入門』(イースト新書013800円)は、高低差のある地形に魅せられた東京スリバチ学会メンバーによるフィールドワークレポートである。
もともと東京は坂の多い場所。その骨格は江戸の町割りにある。町名、起源などからも、土地の持つ歴史が鮮やかに浮かび上がってくる。
たとえば新宿区荒木町は、四谷3丁目と曙橋の間に位置するが、四谷方向からも新宿からも坂の下になっている。このような四方を丘に囲まれた窪地が「一級スリバチ」。三方向に囲まれたものが二級スリバチで、両端を高い崖に挟まれた谷を三級スリバチとして分類しているという。
現在は飲み屋街で有名な荒木町は、かつて花街としても知られたが、江戸の五代将軍綱吉の頃、この一帯に屋敷を構えていた岐阜美濃高須藩の大名、松平摂津守が湧き出る水を堰き止めて池を築き、庭園を造ったことに始まる。豊かな湧水を土塁で塞いだ結果が、四方から凹んだスリバチ地形を誕生させたのである。
港区白銀台4丁目は渋谷川支流の水源だった所で、悪水溜という池があった。渋谷区初台、幡ヶ谷、笹塚に連続する窪地も川が造ったのだが、武蔵野台地に点在する形状の成立は、解明されていない。
池袋の袋は、川の蛇行によって造られたという意味があり、ほかにも市ヶ谷、千駄ヶ谷や谷中、茗荷谷など、窪地を匂わす地名もかなりある。
梅林秀行著『京都の凸凹を歩く』(青幻舎1600円)は、京都高低差崖会である。
四条大橋を東に渡ると、歌舞伎発祥の地に建つ南座がある。さらに歩くとその南側、花見小路沿いに広がるエリアが、祇園である。歩を進めて大和大路との交差点を渡り、振り向くと、交差点の中央が隆起して西側の鴨川に向かって下がっている。この土地の高低差は昔の鴨川の範囲を示す痕跡なのだという。江戸時代までの鴨川の河原が、今よりずっと広いことがわかる。南座は河原の真ん中に建っていることになる。
秀吉が造った巨大城塞である御土居の跡、今はない巨大な大仏様、伏見指月城、淀城など、ここでも失われた土地の記憶を渉猟している。
いずれも地形を観察しつつ知的な旅を提案している。
(遊友出版斎藤一郎)

「店頭起点」重点戦略に/日販懇話会で平林社長/書店の魅力と利益の向上目指す

日販は5月17日、東京・文京区の東京ドームホテルで同社の経営計画や施策を説明する2016年度「日販懇話会」を開き、取引書店、出版社、日販関係者など462名が出席した。
あいさつに立った平林彰社長は、冒頭、熊本地震の被災者にお見舞いの言葉を述べ、営業を再開した多くの書店でゴールデンウィーク中の売上が前年を大きく上回ったことに言及。復興に向けて出来る限りの協力を惜しまないとした。
2015年度の売上概況報告では、全体として依然厳しい状況にあるものの、書籍は売上高、返品率とも回復傾向にあり、中でも児童書の伸長が目立つと説明。雑誌については、売上減少傾向に加え、輸配送環境の悪化も損益へのマイナス要因になっていると指摘した。こうした状況を打破するため、2016年度は「店頭の魅力を高める」「本の魅力を伝える」「書店の利益を高める」を重点戦略とし、〝店頭起点〟の施策により力を入れていくと強調した。
続いて販売企画部MD店頭開発課の小野島健太係長が「出版流通改革のこれから」と題して報告。High―Profit企画に参加した書店の収益改善事例を紹介し、同企画対象の注目銘柄やロングセラー商品の売り伸ばしの重要性を話した。また、新しく取り組むサービスとして、NOCS7やattaplus!による確実な店頭予約サービス、NOCS7の雑誌定期改正機能強化、在庫表示・引当処理のリアルタイム化について説明した。
CRM推進部CRM企画課の永生勇樹係長は、書店と個客との接点を深めることを目的とした新サービス「ほんらぶアプリ」について発表するとともに、店頭在庫の検索から取り寄せまで一体として行えるサービスattaplus!の事例を紹介し、成果を報告した。また、「祭」「検定」などのコンテンツをきっかけとしたアプローチや、「ほんのひきだし」などウェブでの情報発信によって、個客と本との接点作りに取り組むとした。
営業推進室リノベーショングループリノベーションチームの碇雪恵チームリーダーは、リノベーションの取り組みを発表。今期は「everythingaroundBOOKS(本をとりまくもの、すべてを取り扱う)」をテーマとし、文具や雑貨、カフェなどの複合的な提案を推進すると説明した。また、商品開発部内に複合推進課を新設し、営業の提案を強化するとした。街や人に合わせて店をデザインする取り組みについては、文禄堂(東京都杉並区)と文榮堂(山口県山口市)のリノベーション、DULTONJIYUGAOKA(東京都目黒区)の新規オープンの事例を紹介した。
このあと、オリックスの宮内義彦シニア・チェアマンを講師に招き、記念講演「日本企業とこれからの経営」を行った。