全国書店新聞
             

平成21年2月11日号

基盤整備して再販維持/再販研究委新年会で各代表

出版再販研究委員会は1月27日午後6時から東京・神楽坂の志満金で新年懇親会を開催した。
懇親会は冒頭、小峰紀雄委員長があいさつ。「世界的不況が出版界にも及び、書店、製本、印刷が不況業種に指定され、1周遅れで出版社も指定を受けた。全体の状況が悪化している。読書時間は増えているのに、実需に結び付かないのが問題だ。しっかり読書推進をやって、あわせて出版業界全体の基盤整備が重要だ。そのためにも再販制度の維持と流通改善が改めて必要だろう」と、出版業界の当面する課題について述べた。
各団体あいさつでは、雑協村松邦彦理事長(主婦の友社)が「新しい出版再販・流通白書がまとまり、関係者に感謝申し上げる。流通改善の6項目をどう解決していくか知恵を絞らなくてはいけない。書籍返品率は40%といわれるがすべて断裁されるわけではなく、再出荷もBB本もある。この辺のきめ細かい広報も必要だ。再販を守りながら発展に全力を尽くしたい」とあいさつ。
取協古屋文明会長(日販)は「『出版再販白書』をじっくり読んだが、定価を守っている商品は売れないという意見があったり、再販は取次が利益を確保するためにやっているなどの意見があった。甲論乙駁はあるが、今年も再販を守っていく」と述べた。
日書連大橋会長は「再販問題はある意味で賽ノ河原のようなもので、基本的なところをきっちりやっていかなければならない。引き続きご苦労頂くことに感謝する」と委員会の活動をねぎらった。
乾杯の発声を行った朝倉相談役(朝倉書店)は、先頃逝去した故相賀徹夫相談役(小学館)の業績に触れ「79年から92年まで13年間にわたって委員長として尽力いただいた。書協、雑協、取協、日書連と公取委ににらみのきく人だった」と述べ、相賀氏に黙祷を捧げたあと、献杯を兼ねて杯を掲げた。

販売額2兆円割れ寸前/雑誌は11年連続ダウン/出版販売額

2008年の出版物販売額は前年比3・2%減の2兆177億円となり、4年連続で前年を下回ったが、2兆円割れはかろうじて免れたことが出版科学研究所の調べで明らかになった。同研究所発行の『出版月報1月号』から2008年出版物発行・販売概況を紹介する。
出版物販売金額の内訳は書籍が前年比1・6%減の8878億円、雑誌は月刊誌が4・5%減の8722億円、週刊誌も4・5%減の2577億円で、雑誌合計は4・5%減の1兆1299億円だった。雑誌の販売金額は11年連続の前年割れ。推定販売部数は書籍が0・6%減の7億5126万冊、雑誌は6・7%減の24億3872万冊。
書籍は教養新書・ケータイ小説などのブームが沈静化したものの、比較的廉価な単行本、文庫本が好調で販売部数は微減。これまで『ハリー・ポッター』シリーズが出た年は前年を上回ってきたが、昨年はジンクス通りにはならなかった。
雑誌の販売部数は月刊誌が6・5%減の16億1141万冊。週刊誌は7・0%減の8億2731万冊と、ともに大幅な減少。月刊誌の落ち込みは過去最大となった。しかし、原油高による用紙高騰や収支改善のため平均価格が2・4%アップしたため、販売金額は部数の落ち込みほどにはマイナスにならなかった。
〔書籍〕
書籍の販売金額は2年連続で前年割れになった。販売金額8千億円台は1990年以来18年ぶりで、ピーク時の96年に比べると2千億円が消えた計算になるという。
ミリオンセラーは『ハリー・ポッターと死の秘宝』185万部、『夢をかなえるゾウ』155万部、『B型自分の説明書』160万部、『O型自分の説明書』143万部、『A型自分の説明書』131万部、『ホームレス中学生』105万部、『女性の品格』100万部の7点。
返品率も2年連続で悪化し、前年比0・7ポイント増の40・1%となった。出版科研が1953年に統計を開始して以来、98年の41・0%に次ぐ2番目に高い返品率となった。
ジャンル別では文庫本の新刊点数は前年の4・9%増に続いて昨年も4・4%増。返品率も急増して販売効率が悪化した。新書も新刊点数6・0%増と大幅に増加している。
〔雑誌〕
雑誌販売金額の4・5%減は2006年の4・4%減を超え、過去最大の落ち幅を記録した。
月刊誌・週刊誌合計の発行部数は前年比4・7%減だが、平均価格が12円、2・2%アップしたため、発行金額は2・5%減にとどまった。金額返品率は1・3ポイント上昇して36・5%と悪化した。
年間の創刊点数は前年より5点減の177点。休刊点数は32点少ない186点。『主婦の友』『Style』『ヤングサンデー』など有名雑誌の休刊が相次いだ1年だった。売れ行きがよかったのは女性誌を中心としたグッズ付録の付いた号と分冊百科など、定期購読につながる雑誌は少なかった。
週刊誌はコミック誌、総合誌など主要ジャンルが低迷。ムックは『NHK大河ドラマ篤姫』など単発のヒットはあったが、創刊につながる新企画は少ない。

図書館納入方式変更に対応/定款変更で臨時総会/佐賀総会

佐賀県書店商業組合は1月24日午後2時から佐賀市・ホテル朝風で定款変更のための臨時総会を開催。組合員28名(委任状含む)が出席した。
定款変更の理由は、公立図書館や公立学校図書館への図書納入が一般競争入札方式に変わりつつある現在、われわれ中小書店の組合員が全国組織の大手書籍販売会社と対抗していくには、当組合が一体となって共同受注、共同販売をやる必要がある。また、その条件としての装備をどの書店でもできるように装備代行事業を併せ追加するためとしている。
総会は堤洋氏(ブックスグリーンウッド)の司会、小野副理事長の開会あいさつで始まり、岩永理事長があいさつ。「公立の図書館納入では、大手図書納入業者の進出で市場が狭まっているのに加え、行政は予算が少ないとしてたいへん厳しい入札条件を出してきている。これに対抗するには
『地場産業の育成』を盾に『地元』を前面に打ち出し、組合が納入業者の資格を得ることで入札条件を好転させ、併せて組合員の納入業者のサポートをしたい。何としてでもわれわれが生き残ることができる道を見つけていきたい」と述べた。
議長に古賀嘉人氏(古賀書店)を選出して議事の審議に移り、1号議案の提案理由について江口情報化委員長が説明。定款の「事業」の項に、「(3)組合員の取り扱う出版物の共同受注および販売」と「(4)組合員の取り扱う出版物の装備代行を」を付けくわえる旨の提案があり、賛成多数で承認された。また、それに伴う共同受注・販売事業規約、事業計画書案、収支予算書案も賛成多数で承認された。
質疑応答のあと、高田副理事長の閉会あいさつで終了した。
(近藤甲平広報委員)

組合加入メリットの追求強化/鹿児島理事会

鹿児島県書店商業組合は1月26日午後2時から鹿児島書籍会議室で定例理事会を開催した。
井之上博忠理事長は「組合に加入していてよかったと言われるよう努力したい」として、組合員メリットのさらなる追及を図ることについて話し合った。
また、①各地区図書館の組合員の納入移行を図る、②経費支出の予算内執行、③組合便りの発行(年3回程度)、④賦課金決定の基礎研究――などについて審議した。
(楠田哲久広報委員)

女性理事2名増やす/大阪レディースランチの会で面屋理事長

大阪府書店商業組合は1月28日、天満橋「料亭大乃や」で第7回レディースランチの会を開いた。今回は参加者の希望が多かった和食を楽しんだ。
会は二村知子理事の司会で進行し、面屋龍延理事長があいさつ。高松美佐子レディースランチ委員長の乾杯の音頭でスタートした。
途中、司会者のリードで自己紹介と合わせて、いま書店で困っていることなどを一言ずつ発言した。「雑誌の定期購読者がいるのに冊数が減ってくる」「ムックが定期的に出ているのに、定期配本はできないと言われた」など、書店現場ならではの声が出された。
面屋理事長は「皆さんの声を組合活動にも反映していきたい。流通、配本、取引などさまざまな問題があり、東京からパネリストを呼んで経営環境改善委員会の講演会も計画している。ぜひ討論に参加していただきたい。書店で女性が果たす役割はたいへん大きい。今年は役員改選の年。現在4名の女性理事を6名にしたいと考えている」として、協力を呼びかけた。
(坂口昇広報委員)

生活実用書/注目的新刊

サライ責任編集『落語昭和の名人決定版』(小学館1133円)は全26巻。新年早々から配本が始まった。CDつきマガジンで隔週刊、初回は古今亭志ん朝で、特価467円。志ん朝は新宿末廣亭でも、必ず立ち見が出るほど客を集めた。粋で華があって面白く、人気の衰えた落語そのものを救ったといえる噺家である。第2回配本は、志ん朝のおとっつあんの古今亭志ん生である。十八番だった「火焔太鼓」のほか、「替り目」、「唐茄子屋政談」が収録されている。本文では田中優子氏「江戸のしきたり」、山本進氏「落語の履歴書」の連載も、江戸の風俗や落語の世界を引き寄せて面白い。
さてCDはラジオ番組が音源で、寄席の臨場感が伝わってくる。志ん生お得意の「火焔太鼓」は10以上の音源が残されているというから、それを聞き比べる楽しみもある。
渡邉寧久監修『落語入門』(成美堂出版1300円)も志ん生のCDつき。「火焔太鼓」、「文七元結」の2本立て。新宿・末廣亭と東宝演芸場の録音である。立川志の輔が語る落語の魅力や、名作百選など、江戸の時代背景、落語の雑知識がふんだんに盛りこまれている。
たとえばこの2つの「火焔太鼓」を聞き比べるだけでもファンにはたまらない贅沢というものであろう。落語には本編に入る前のいわば導入部の「まくら」がある。小学館の方の録音では「えー、落語というものは、えーシャレが固まったようなもの」と始まり、「蛇が血を出して、ヘービーチーデー」と笑いを取っている。成美堂の方は「エー今年はどうも風邪が多いようで」と、すんなり、あっさり始まるという具合である。
『古典落語其の弐』(宝島社1260円)にも、志ん生の「火焔太鼓」が収録されている。この3つのCDブックが並べられた書店は、残念だが今のところない。
筑摩文庫にだって『志ん生人情ばなし』、『同艶ばなし』、『同長屋ばなし』(各880円)があり、『志ん朝の落語』(全6巻各950円)もあるが、何故か書店でこれらの本が一同に揃うことは、めったにないのである。
顧客の立場に立った品揃えは、書店に限らず小売業の基本だったはずだ。読者が喜べば、売り上げも当然上がる。
(遊友出版・斎藤一郎)

理事数を5名減/各エリアと行政区から選出/東京組合

東京都書店商業組合は2月3日午後2時から書店会館で定例理事会を開催した。主な審議事項は以下の通り。
[組織委員会]
定款変更理由書案を説明し、理事会はこれを承認した。第26条の役員の定数について「組合員の減少により、組合運営の円滑化、活性化をはかるため、理事定数を5人減らし、40人以上45人以内」と変更。また、第61条および第62条に、従来からすでに組合組織として存在する支部および青年部の規定を、それぞれ新設する。
[総務・財務委員会]
平成21年度は役員改選期にあたることから、5月20日に開催される第33回通常総代会に向けて理事の推薦を各エリア・支部に要請した。今回からエリア制に基づいた理事選出方法に変更となる。各行政区のほか、中央(千代田、中央、港・渋谷、新宿)、城北(文京、豊島・練馬、板橋、北)、城南(品川、大田、目黒・世田谷、中野・杉並)、城東(台東、荒川・足立、墨田・葛飾、江東・江戸川)、多摩(武蔵野、立川、八王子)の6エリアからも理事を選出する。
[万引・出店問題委員会]
ヴィレッジヴァンガードマルイ新宿店が2月27日、新宿区新宿3丁目の「新宿マルイカレン」8階にオープンする。売場面積は80坪(このうち書籍売場は40坪)。
[流通改善委員会]
TS流通協同組合の1月期の売上は955万9532円(前年比93・3%)、発注件数は8672件(94・4%)、書店数は65書店(91・5%)だった。

全国組合の会合開催状況を調査/日書連広報委員会

日書連広報委員会(面屋龍延委員長)は、各都道府県組合の広報活動を促進し、全国書店新聞に反映していく目的で、直近1年間の総会、理事会、役員会などの開催状況について各組合に調査を実施し、結果をまとめた。
調査項目は、理事・監事数/年間予算額/各種委員会の設置数/直近に開かれた総会開催日/総会の出席者数、委任状出席数/本年開催した理事会・委員会・ブロック会

東京湾ディナークルーズに62名/東京青年部新年会

東京都書店商業組合青年部(山辺真次会長)は1月30日、東京湾の夜景を楽しむディナークルーズとしてシーライン東京の「シンフォニー」で新年懇親会を行い、書店27名、出版社・取次26名など62名が出席した。
新年懇親会は吉田敬弥氏(三弥井書店)の司会で進行。あいさつした山辺会長はこの1年の重点的取組みについて「東京書店地図を掲載したホームページのリニューアルを行い、読者のアクセスも増えている。出版社に広告をお願いしており、すでに池田書店とトーハンから契約をいただいた。新事業開拓では携帯サイト「ブッカーズ」の普及に取り組み、携帯からリアル書店への誘導を考えている。東京の書店がデータ武装してグループ化する『ネット22』構想も可能になる。新しい青年部にご支援をお願いしたい」と述べた。
親組合を代表して東京組合柴﨑副理事長は「青年部は来年で結成20年を迎える。22世紀に向けた発言を聞いて心強い。今後、書店の売上げは上がらないかもしれないが、1対1で読者に接し、早く正確に本を届けていきたい」とあいさつ。
トーハン東京支店池澤裕伸支店長の音頭で乾杯。東京湾のクルージングを楽しんだ。

日書連のうごき

1月5日事務局仕事始め。
1月7日日本出版クラブ新年名刺交換会に大橋会長ほか役員が出席。
1月9日日教販春季展示大市会並びに書店新風会創立50周年記念新年懇親会に大橋会長が出席。
1月10日大阪屋・新春おでんの会に面屋副会長が出席。悠々会新年会に大橋会長が出席。
1月14日出版ゾーニング委員会に鈴木副会長が出席。
1月15日公正取引委員会竹島委員長講演会並びに平成21年賀詞交歓会に影山公取協専務理事が出席。
1月16日共有書店マスター運営委員会。出版倫理協議会に鈴木副会長ほか役員が出席。
1月19日全国万引犯罪防止機構新年顔合せ会に大川専務理事が出席。
1月20日全国団体月例交流会に石井総務部長が出席。出版RFIDコード管理研究委員会に大川専務理事が出席。第24回梓会出版文化賞贈呈式に大橋会長が出席。4団体事務局代表者会議に大川専務理事が出席。
1月21日ドイツ読書基金から学ぶ公開ディスカッションに大橋会長が出席。
1月22日文化産業信用組合理事会に大橋会長が出席。各種委員会(増売、書店経営健全化、指導教育、取引改善、流通改善、再販研究、広報、消費税問題、情報化推進、環境改善)。
1月23日日書連1月定例理事会。厚谷襄児弁護士を講師に「商業組合における事業活動」の勉強会。日書連共済会清算人会議。出版物公取協理事会。
1月26日日本図書普及役員会に井門副会長ほか役員が出席。国民読書年推進実務者会議に大川専務理事が出席。
1月27日平成20年度下期公正取引協議会連絡会議に影山公取協専務理事が出席。出版再販研究委員会に大橋会長ほか役員が出席。
1月28日読売新聞・活字文化新春懇談会並びに読進協常務理事会に大橋会長が出席。出版倉庫流通協議会1月例会に大川専務理事が出席。
1月29日全国中央会団体事務局代表者会議(1泊2日)に大川専務理事が出席。第16期「JPIC読書アドバイザー養成講座」修了式に大橋会長が出席。

児童施設に図書寄贈と読み聞かせ/日販労組

日販労組(田中利明委員長)は昨年12月20日と今年1月17日・24日の3日にわけ都内の児童養護施設等を訪問、図書寄贈と読み聞かせを行った。この活動は「より多くの子ども達に本を読む楽しみを体験してもらいたい」という主旨で82年からスタート。組合員の募金をもとに四半世紀を越えた活動を継続し、これまでに延べ約380カ所の施設を訪問している。
今回は若手組合員を中心に前回より6名多い39名の組合員が参加。7施設を訪問し、児童書約200冊をプレゼントし、絵本読み聞かせを行った。子ども達からは心のこもった感謝の言葉があり、社会貢献活動の重要性を認識するとともに、本が持つ魅力を改めて感じる契機となった。
同労組は今年度活動方針の一つに「組合員の社会性を高める文化・社会貢献活動の推進」を掲げており、今回の取組みは昨年秋、全国主要駅頭で読書週間と環境意識を喚起するマガジン・エコバックを配布したのに続く活動となる。

家庭テキスト4誌30円上げ/『基礎英語』CD付きに/NHK出版

NHK出版は2月2日午後2時から新宿・京王プラザホテルで「春の出版企画説明会」を開催した。
説明会の冒頭、遠藤絢一社長は「ゴルフの石川遼選手はインタビューの話し方がとても17歳とは思えない。自分がこういう話し方をできるようになったのは小さい頃から両親にたくさん本を読んでもらった結果、今でもたくさん本を読む。そのおかげだということを言っていた。改めて本というのは人間を育てる力をもっていると実感した。この十数年来、出版不況が続き、ともすればあきらめがちだが、混迷の時代こそ本の果たす役割がある。編集、営業とも本の魅力を伝える出版活動を展開していき、一人でも多くの読者が書店に足を運んでもらえるよう努力する」と述べた。
続いて荒井正之販売促進部長兼首都圏支社長が今年度の営業成績について「テキストの売上は12月までに102・1%。語学テキストの定価上げが売上げに寄与し、前年並み。家庭テキストは『きょうの料理』12月号の冷凍おせちがヒットして実売を伸ばし、後半復調の兆しが出てきた。大河ドラマ『篤姫』のドラマストーリーは3部で88万部。11月に発売した『天地人』普及版も80万部を突破した」と報告。
2009年のテキストについては①家庭4誌は3月発売の4月号より発売日を16日から21日に変更。定価は30円アップして530円にする、②『基礎英語1・2・3』はCD付きテキストとなり、定価1580円で発売する、③無料誌『速報NHK英語テキストナビ』を30万部発行する、④NHK出版ホームページに書店専用コーナーを開設した――などと説明した。
語学・家庭テキスト、書籍新企画については担当部長から説明が行われた。大河ドラマ『天地人』は1月31日の放送が関東地区24・2%、関西地区25・8%と、過去10年で2番目によい滑り出し。『新装版天地人』は上巻30万部、中下巻各26万部、ムック『大河ドラマストーリー天地人』も34万部と『篤姫』に迫る勢いであることが報告された。

中央社に業務委託/共栄図書

学参専門取次の共栄図書㈱(岩田浩社長)は、4月1日搬入分より書籍返品業務を中央社に委託することになった。
これと同時に、書籍返品伝票の起票レスがスタートし、書店の返品作業が軽減化するとともに単店・単品ごとの送返品データがリアルタイムで取得でき、流通の無駄・ロスを排除して、データを活用した配本、増売に生かせるという。

催し

□横山大観と木村武山
講談社野間記念館は09年春季展として3月14日から5月17日まで「横山大観と木村武山/彩管に込められた、美への情熱」を開催する。近代日本画壇の巨匠大観と、独特の色彩感覚で花鳥画、歴史画、仏画を描いた武山の画業を展示する。同時開催は昭和初期の『少年倶楽部』誌面を飾った「誌上の光彩~樺島勝一」。
開館午前10時~午後5時。休館日月・火曜(祝休日の場合、その翌日)。入館料一般5百円、学生3百円、小学生以下無料。

合同で春の女性誌フェア/大阪屋と栗田が増売企画

昨年6月から包括的業務提携を結び、物流機能の相互利用を行ってきた大阪屋と栗田出版販売は、新たに合同で増売フェアを実施する。第1弾として1日、7日発売の女性誌10誌4月号(2月28日発売、3月7日発売)を取り上げ、店頭装飾による店頭活性化と定期購読獲得促進を柱とした「春の女性誌フェア」を展開する。
企画概要は出版社の協賛を得てオリジナルポスター、POPを提供。コーナー作り、店頭装飾方法も提案していく。読者にはノベルティを提供するほか、3カ月のお試し定期購読を申し込んだお客様には抽選で図書カードを進呈する。
10誌の誌名は以下の通り。『PS』『ポップティーン』『mini』『egg』『小悪魔ageha』『VERY』『LEE』『S―Cawaii!』『GLAMOROUS』『SEDA』

人事

◇主婦と生活社(2月1日付)
〔取締役担務変更〕
常務取締役営業管掌
佐々木行夫
取締役管理本部長兼経理部長柏原達也
〔組織改編〕
管理本部宣伝部を販売本部内に移管し、販売本部宣伝部とする。
〔人事異動〕
販売本部長兼宣伝部長
今井陽敬
編集第4部料理編集長兼販売本部宣伝部課長
八代善剛

華師さんの準GP/電撃コミック

第9回電撃コミックグランプリの受賞作品が決まり、1月23日午後5時から東京ドームホテルで受賞式が開かれた。
同賞はアスキー・メディアワークスが次代を牽引するコミッククリエーターの発掘・育成を目的に主催しているもの。今回は応募総数89作品の中から少年マンガ部門の準グランプリに『宇宙の卵とえむの理論』(華師)、優秀賞に『ブルーベル』(火事屋)、『魔法少女専門学校の人々』(北方欧州)、奨励賞に『可憐な乙女のスプレマシー』(竹内カズマ)、少女マンガ部門の優秀賞に『ちいさなぼくらのたからもの』(藤田麻由)、奨励賞に『ご主人様は悪の総統』(玻都もあ)、『君に幸あれ!』(まぁ太)の計7作品が選ばれた。
受賞式の席上、高野潔社長は「今回の受賞作品は少年マンガ部門も少女マンガ部門も、絵に力のある作品が多かった。編集者のアドバイスを聞きながら自分の得意なところを磨き、コミック業界を驚かせるような作品を書いてほしい」と激励し、7名の受賞者にトロフィーと副賞を贈呈した。

日経BP社、減収減益/売上高1%減の527億円

日経BP社は1月29日の取締役会で2008年度決算を承認した。
2008年度の売上高は527億5700万円、前年比1・1%減で、4期連続の減収。営業利益は14億1300万円、51・0%減で2期連続のマイナス。経常利益も17億8400万円となり、47・8%の減益になった。
売上高の内訳は広告248億8500万円(5・7%減)、販売244億5800万円(0・8%増)、事業・その他が34億1300万円(26・5%増)で、広告費のマイナスが響いた。
このうちインターネットの総売上げは9・2%増の69億3300万円。クロスメディア本部のもと各局既存サイトのリニューアルや拡充を図り、新規サイト「NBオンライン・アソシエ」を開発するなどネット事業強化が貢献した。
新年度は経営・技術・生活の3本柱を軸にクロスメディアを展開。売上高541億円、営業利益16億円を目指す。

本屋のうちそと

TVで国会中継を見た多くの国民が「あんな大人には成りたくない」と思ったのか、漢検が大人気。当店では今や英検参考書の5倍は漢検の本が売れる。という訳で漢検協会、20億円の大儲け。利益を上げてはいけない公益法人なのに儲け過ぎと文科省が立ち入り検査に。検定料半額に下げましょうね。
「業界の過度な出店競争は止まってはいない」とジュンク堂の社長は語る。同社は今年は増床を含めて6店出店するという。昨年末出店した札幌店は売れに売れているという。だが不景気で大家の百貨店は倒れた。出版業界の天国では神様が「委託から買切りへ」の御託宣。高返品率がお嫌いらしい。出版業界の地獄をのた打ち回る弱小書店の私としては「500坪で3年」と言われる取次主導の支払先払いの大型出店のせいだと思っているのだが、神様にはそんな考えは無いようだ。自律規制無き米国金融業界は滅びたのだが。
「今後は更に取次主導による書店の系列化が進む」ともジュンク堂社長は語っている。取次主導の大型出店で私のような買切りについて行けない弱小個人書店が滅び、取次主導の系列書店だけになれば買切りの意味は無くなる。系列チェーン店内で在庫を融通し合えば良いだけだ。
大企業の業績悪化が続く。法人税を含めて税収は大幅に減るだろう。日本国は予算を組めるだろうか。企業の広告費も11月からは毎月対前年で1割以上減っている。広告を包装した商品としての雑誌は今後どうなるだろう。(海人)