全国書店新聞
             

平成15年5月11日号

修正個人情報保護法

修正個人情報保護法案が衆議院特別委員会で可決された4月25日、書協は理事長コメント、雑協は緊急抗議声明を発表した。
書協の理事長コメントでは「今後、参議院での審議等において、個人情報取扱事業者の明確化、行政機関等における個人情報の取扱いの厳格化などについて、さらに充分な審議が行われること」を求めた。
また、雑協の緊急抗議声明では「今後、原案どおりの不完全極まりない条文により行政および司法の場で解釈され運用されていくことを考えると、民主主義の根幹が根幹が脅かされかねない」と危惧の念を表明。
「出版・雑誌メディアの取材・表現活動に対して不当な適用がなされた場合は、そのいきさつをすべて明らかにしつつ社会の判断を仰ぎ、『個人情報保護法』と対峙していく」との決意を示した。

会員制カード発行で「再販崩す考えない」

出版物小売業公正取引協議会は5月1日午後3時から書店会館で、三省堂書店とストアコンソーシアムジャパン(SCJ)との共同運用による会員制カード「CLUB SANSEIDO」発行についての説明を受けた。
この日、三省堂書店から森常務、SCJから斉藤社長、川野副社長の両氏が出席。
協議会からは萬田会長、下向副会長、影山専務理事、岡本顧問ほかが出席した。
説明のなかで、森常務は「同システムの導入は顧客データの蓄積、客注処理の効率化が目的で、ポイントの提供で再販を崩す考え方はまったくない」と述べ、SCJの川野副社長は「顧客台帳づくり、サービス提供の原資はSCJが負担する。
アウトサイダーの立場にあり、再販契約や公正競争規約には抵触しないと考えている」と発言した。
これに対して、影山専務理事は「今回の企画運用は共同の行為であり、ポイントシステムの3点、追加企画のプレゼントとの交換などで、このサービスは景品類の提供に該当する」との判断を示した。
また、景品規約の最高額については許容の範囲内となっているが、景品提供の期間制限は年2回、60日以内となっており、その範囲を守ってもらうよう再考を求めた。

「万引き防止ポスター」

急増する万引き被害を防ごうと、文藝春秋は4月15日、「万引き防止標語」の入ったポスターを全国の書店約1万店に発送した。
掲示される標語は「ちょっと待て。
ほんの1冊、悔い一生」「万引きは1度目でレッドカードです」「盗んで売る−−犯罪二つ分です」「買ってこそ本はあなたの友になる」など5点で、これらを印刷した短冊形のポスター5枚1セットを書店に送った。
同社は「万引き犯よりも、むしろ大多数の善良なお客さんに見てもらい、万引き被害の実態に関心をもってもらえれば」とし、周囲の視線が厳しくなることが抑止効果として働くことを期待している。

週・月刊誌とも7%減

日本ABC協会調べの2002年下半期(7〜12月)発行社レポートがまとまった。
同レポートよると、今回掲載した48社130誌の販売部数平均は前年同期を100として、週刊誌が92・77、月刊誌が92・70、合計92・73となり、改めて雑誌の売行き不振を裏付ける数字となった。
主要50誌をまとめたのが別表。
総合週刊誌では、各雑誌が売行きを落としている中で、『週刊現代』は3万部強伸ばして64万部に。
『週刊ポスト』は1万部減って63万部台となり、トップが入れ替わった。
総合誌でも娯楽色の強い『週刊アサヒ芸能』『WEEKLYプレイボーイ』は部数を伸ばし、『週刊大衆』も32万部台で横ばい。
女性週刊誌・月2回刊誌では、『週刊女性』が2万部近く増加して28万部台になったほかは、『女性自身』『女性セブン』『婦人公論』『クロワッサン』とマイナス基調。
女性月刊誌部門では『ESSE』が5万部増で50万部を越えた。
ファッション・カルチャー誌はトップを行く『MORE』が62万部台に部数を落とし、『with』が57万部に伸ばして差を縮めた。
『non・no』は10万部の大幅減で44万部台。
パソコン誌は『週刊アスキー』で1万部強、『日経ベストPC』『日経PC21』で2、3万部減と苦戦が続いている。

上野の森親子絵本フェスタ

全国的に晴天に恵まれた今年のゴールデンウィーク。
東京・上野公園では5月3日から5日まで第4回「上野の森親子フェスタ」が開かれ、多数の親子連れがチャリティ本販売や絵本の読み聞かせ、作家サイン会、講演会など、本との出会いを楽しんだ。
呼び物のブック・フェスティバルは中央噴水池広場をはさんで出版社36社がテントで人気の絵本、児童書2万冊を販売。
2割引のお買い得価格とあって、お気に入りの本を選ぶ客で盛況だった。
講談社は「全国訪問おはなし隊」のキャラバンカーが子どもたちに絵本の読み聞かせ、紙芝居を出前。
前日まで山口県にいた1号車は、このあと秋田県に向かう。
同フェスタは子どもの読書推進会議、出版文化産業振興財団の主催。
本の即売のほか、旧東京音楽学校奏楽堂、国立博物館平成館、都美術館講堂などで声優・小原乃理子さんによる「おはなしと音楽の世界」、ももんちゃんシリーズの作家・とよたかずひこさんの「新作絵本の読み語り」などの催しが行われた。

注目的新刊

新書が面白い。
世の中のデフレ傾向に合わせた低定価の単行本という出版社のねらいは、半分成功している。
発行出版社が増え、新しい企画も多くなって賑やかになった。
ところがほとんどの書店では、相も変わらぬ版元別展示ばかりで、新書の新刊などはまるで各出版社の出先機関のようである。
広告を見て来店する読者には良いだろうが、これではふらりと立ち寄った人には探しにくいのである。
売れている新書の周りには、せめて同じ著者の前作や同一テーマの類書が並んでいれば棚がどれほど興味深くなるかしれない。
新書は判型の分類であって、テーマを分けたものではない。
結局、棚捕りの泥仕合。
これが半分だけ成功しているという意味である。
上田武司著『魚河岸マグロ経済学』(集英社新書0184A 680円)は築地市場まぐろ仲卸「内藤」の主人の二年間をまとめた言行録。
集英社新書の分類ではA=政治・経済だが、実際本書には日本人の大好きなマグロをめぐる経済、流通からビジネスの心構えまでが語られる。
それが「教えてあげますよ。
大間のクロマグロのうまいのは、赤身です。
これは、本当にうまい。
絶品です。
よくマグロはトロだなんて言う人がいますけどね、大間の赤身を食べたら、もう絶対にそんな口は叩けない」などと歯切れのいい語りの調子だから読みやすい。
ビジネス書として置いても絶好だが、魚でも括れる。
高橋素子著/成瀬宇平監修『Q&A 食べる魚の全疑問魚屋さんもビックリその正体』(講談社BLUEBACKSB1409 880円)は同時期の新刊。
魚を釣って思った疑問から珍味と貝類に関する疑問まで全8章、82問に解答するという構成。
本書は川魚にも言及しているのだが、ここではやはりマグロを紹介する。
刺身は切り身とサク、どちらがよい?これはどちらも差異はない。
ただしサクの見分け方が図解されていて、最良品は表面の節目が平行に走っているものであるという。
またトロはマグロのどの部分?では200キロの全体に対し十数キロ、大トロでは数キロである。
しかし前著では、トロはどんなマグロにもあるわけではなく、クロマグロやミナミマグロに多いとさすがに詳しい。
いっそ両方ともビジネス書と並んだ方がいい。
(遊友出版 斎藤一郎)

本屋のうちそと

当店で本、雑誌離れが進んでいる。
昔のように立ち読みに来る人もいなくなり、店は閑散としている。
どうして活字離れが進んだのだろう。
一つには携帯電話。
持っていない人のほうが珍しいくらいみんなに普及している。
これは日々進化して、そんなに時間もかからないうちに、この間発売された商品よりさらに良いものが出る。
この期待感で消費が伸びるのだろうか。
あの小さな魔法の機械は、パソコンにも引けを取らないことができる。
瞬時に調べているものがわかる。
友達、知人にもメールや電話ができる。
いまはのんびりと本を読むということがなく、即効性のあるものを好んでいるのだろう。
昔と違い、ペーパーで情報を知るよりも、パソコンなどからの情報収集が進んでいる。
図書館に行って、書店に行って書物を調べるのではなく、パソコンの検索で調べることが多い。
子どもたちの漫画離れも、読むことにわくわく感がないからという。
現実的な題材が多くなり、ゲームのような非現実的な世界に興味が移ったのだろう。
漫画の続きも一週間先まで待っていられないのだろうか。
昔のようにお客様に活字に興味を持っていただくためには、何が不足しているのだろうか。
心に不安を抱える時代のいまだからこそ、人と違う満足感、優越感にひたれるのは、落ち着いた場所で読書をする事ではないのかな。
   (とんぼ)

角川文庫創刊55周年でキャンペーン

角川書店は、角川文庫創刊55周年企画として、文庫本と携帯電話、PC端末を連動させたプレミアムグッズポイントキャンペーンを展開している。
キャンペーンの名称は『角川文庫55周年 GO!GO!ちょっくらぶ』で、4月20日から2004年4月20日までの1年間実施。
年間発行部数合計2千万〜3千万を予定するフェア作品を対象とする。
文庫本の帯にスクラッチ式でシリアルナンバーを印字し、そのナンバーを携帯端末やPCのインターネットサイト上から入力するとその場でポイントを取得。
たまったポイントに応じて抽選で賞品と交換できる。
またWチャンスとして10万名にジャンボ宝くじ1枚をプレゼントする。
この携帯・PCのキャンペーンシステムには、 ダイレクトプラネットが提供するメルナビモバイルを導入した。
インターネットを利用したリアルタイムのポイントキャンペーンは出版業界初の取り組み。
ポイントプログラムのほか、当落をその場で判定するインスタントウィン機能や、ISBNコードを利用した顧客情報の収集機能、ユーザーのマイページを生成して自動でポイントを表示・交換したり、コンテンツをカスタマイズして配信する機能などを併せて導入。
ユーザーサービスをさらに充実させ、登録ユーザーのリピート購買を促進する仕組みを構築した。

『13カ月と13週と13日と満月の夜』

求龍堂は、昨年5月に刊行して反響を呼んだ『青空のむこう』のアレックス・シアラーの最新作『13カ月と13週と13日と満月の夜』を5月20日に刊行する。
『十二番目の天使』から始まる翻訳文芸シリーズの第5弾で、四六判400頁・本体価格1200円。
5月6日に開かれた説明会で田代富保代表取締役は「『十二番目の天使』は、当社の若手企画グループと読者モニターを活用してマーケティングを推進し、82万部のベストセラーになった。
『青空のむこう』は42万部となっている。
今回も200名のモニターにパイロット版を読んでもらって高い評価を受けており、期待している」とあいさつ。
 編集部の深谷路子氏は、「モニターの94%が“面白い”と回答した。
今回は12歳の少女が主人公のハラハラドキドキするストーリーで、作品に社会問題を取り込む著者のメッセージの奥深さに反応したと思う」、また総務経理部・谷合正城課長は「モニターは顧客150人、店頭募集と書店員の方50人にお願いした。
タイトルはインパクトがあって内容を伝え、興味を引くものを選んだ。
販売促進協力店には読者がメッセージを記入した店頭POPを送付する」と説明した。

催し

◇鳥取県米子市・本の学校「書店人教育講座」6月から第9回出版業界人研修「本の学校書店人教育講座」を開講する。
春講座、夏講座、秋講座の年3回開講で、第1講の春講座は6月10日から12日まで。
夏講座は8月5日から7日まで、秋講座は10月7日・8日に開催。
従来は2週間の日程の連続講座だったが、今回からテーマ毎の講座になった。
春講座のテーマは「本を知る」「書店売場基本分野の棚管理」。
「本を知る」ではノセ事務所の能勢仁氏が「本の歴史とその周辺」を、中央公論新社の河野通和氏が「雑誌づくりの現場から」を講義する。
「棚管理」では、書店売上の主要部分を占める雑誌、コミック、実用書、文庫、ビジネス書などの販売対策について専門講師が講義する。
夏講座は「棚を差別化する」「生き残りへの取り組み」、秋講座は「書店の経営課題」「業界再生論」「生涯読書・学校図書館」をテーマに開催する。
春講座の受講料は1万5千円。
春講座と併せた全コース参加も募集中で、受講料3万8千円。
申し込み・問い合わせは、本の学校郁文塾( 0859−31−5001、FAX0859−31−9231)まで。
◇日本書店大学「店長パワーアップセミナー」新宿区の出版クラブで、6月9日午前10時20分から開催。
プログラムと講師は、第1講「失われた売上げを探せ!」オラクルひと・しくみ研究所・小阪裕司氏、第2講「これからの児童書売場の考え方」小峰書店社長・小峰紀雄氏、第3講「本屋が本屋であるために!」ジュンク堂書店池袋本店副店長・中村文孝氏、第4講「お客を引きつける店長力」日本書店大学学長・田辺聰氏。
参加費は1人2万円(昼食・コーヒー付)。
申し込み・問い合わせは日本書店大学( 076−221−7157、FAX076−222−9262)まで。

日書連のうごき

4月1日 出版再販研究小委員会開催。
4月4日 共通雑誌コード小委員会へ大川局長出席。
4月7日 スタートアップ特別委員会。
有事出版社問題で流通改善委員会、取次各社との懇談会開催。
貸与権問題で萬田会長他で講談社森局長他と懇談。
4月8日 雑誌付録問題で下向副会長、小学館黒木部長と懇談。
4月9日 情報化推進委員会。
共通雑誌コード運営委員会へ井門、志賀委員。
活字文化推進会議へ萬田会長出席。
4月10日 税制等対策特別委小委員会へ下向副会長他出席。
4月15日 総会議案書審議で正副会長・各種委員長会議開催。
雑誌協会総会・懇親会へ萬田会長他出席。
 4月16日 JPO運営委員会、報告会へ井門委員他。
読進協常務理事会へ萬田会長出席。
4月17日 税制等対策特別委小委員会、財務省との打合会へ下向副会長他出席。
奈良県情報化研修会へ志賀委員長他出席。
4月18日 IC拡大研究委員会へ山口委員。
再販問題で公取委との準備会へ中村委員長他出席。
4月21日 出版物公取協萬田会長、公取委を訪問。
 4月22日 沖縄県発売日問題打合会へ大川局長出席。
4月23日 出店問題、増売・読書推進、組織・共同購買、共済会運営、再販・公取協専門委、広報、雑誌発売日、経営・取引、情報化推進各種委員会。
流通改善委、経営・取引委で出版共同流通 蓮田センター見学会開催。
九州雑誌センター取締役会へ萬田会長他出席。
4月24日 定例理事会。
TIBF開会式典へ萬田会長。
中小小売商連絡会へ丸岡委員。
書店共有マスター共同記者会見へ萬田会長、井門副会長出席。
第4土曜日は子どもの本の日実行委員会開催。
4月26日 沖縄県情報化研修会へ志賀委員長他出席。
4月30日 学校図書館整備推進運営委員会へ高須委員出席。

日販が浜松オフィスを開設

日販は、地域密着型の営業活動を展開するため、5月1日に静岡支店エリアの浜松地区にサテライトオフィスを開設した。
静岡支店エリアでは、今回の浜松オフィス開設により、比較的遠隔地だった浜松地区で得意先書店と一体になった営業体制の基盤が確立する。
日販の営業担当者は訪問頻度や訪問時間を増やすことで、効率販売など得意先書店と共有している施策を効果的に実施していくことが可能となる。
▽日販静岡支店 浜松オフィス=〒430−0949 浜松市尾張町122−17 須山ビル2F/ 053−450−6262/FAX053−450−6263