全国書店新聞
             

平成27年12月15日号

BOOK EXPO 商談9千万円超/来場者、出展社は過去最多

第5回目となる関西の大商談会「BOOKEXPO2015秋の陣~挑め!書店人~」が11月13日、大阪市北区・グランフロント大阪で開催された。来場者は昨年比23名増の1889名と過去最多を記録。成立した商談は6129件、9114万円だった。作家の講演会や勉強会なども行われ、会場は盛況だった。
この商談会は書店、取次、出版社で構成する「BOOKEXPO」実行委員会(肥田美代子世話人代表=出版文化産業振興財団、堀博明実行委員長=堀廣旭堂)の主催、経済産業省、書協、雑協、取協、日書連などの後援で開催。
出展社は231社234ブース(昨年224社227ブース)、来場者は1889名(同1866名)と、ともに過去最多となった。来場者の内訳は、書店1021名(同1030名)、出展社695名(同640名)、取次132名(同143名)、報道20名(同6名)、その他21名(同47名)。
商談の成立件数は6129件(同6031件)、金額は9114万3283円(同1億840万3339円)。件数は前回を上回ったものの、金額は昨年から16%減って1億円の大台に届かなかった。
午前10時10分に始まったオープニングセレモニーであいさつした肥田世話人代表は「1回目はおっかなびっくりだったが、回を重ねるごとに雰囲気が変わり、今回はものすごい緊張感が伝わってくる。大きなビジネスチャンスになり、古い商慣習が改められる兆しだと思う。『本屋が自分の天職』と言ってくれる若者を私たちの責任で作りたい」と述べた。
雑協の石﨑孟理事長は「毎年この熱気に圧倒される。会社に帰ってこの熱気を伝え、もっと売れる雑誌、売れる本を作らねばならないと檄を飛ばしている。本日の準備に精力的に奔走した実行委員会の皆様にお礼を申し上げたい。みんなで頑張ろう」と気勢を上げた。
午前10時半に商談会がスタート。たくさんの書店員が目当てのブースで商談や情報交換を活発に行い、閉会の午後6時まで大変な混雑が続いた。書店からは「積極的に仕入れ、売りたい」「増売策の情報交換もできて、来た甲斐があった」など前向きな声が多く聞かれた。
今回はメイン会場のほか、コミック、児童書、イベントの各コーナーが設けられ、会場では直木賞作家・朝井まかて氏の講演会、コルク・佐渡島庸平氏のトークイベント「コミュニティをつくる」、ジュンク堂書店難波店店長・福嶋聡氏、梅田蔦屋書店店長・亀井亮吾氏、井戸書店社長・森忠延氏による「明日につなげる書店人トーク」、絵本作家・長谷川義史氏のサイン会、ふたば書房によるディスプレイ講習会「ネット書店に勝つ!~あたたかい売場づくり~」など、多彩なイベントが行われた。

日書連増売企画「書店金賞」/1月15日必着でスリップ送付を

12月31日で販売期間を終了する日書連書店再生委員会主催の増売企画、第2回「書店金賞『和~日本のこころ』」は、売上データをもとに販売報奨金の計算を行います。POSレジ未導入の参加店は、売上スリップを1月15日(金)必着で日書連本部までお送りください。

大阪本の帯創作コンクール/府書店組合賞など88点表彰

大阪府書店商業組合、大阪出版協会、大阪取次懇話会などで構成する大阪読書推進会と朝日新聞大阪本社が主催する第11回大阪こども「本の帯創作コンクール」の表彰式が11月14日、大阪市西区の大阪市立中央図書館で開かれ、全国10都府県247校から寄せられた計1万93点の応募作品から大阪府知事賞、朝日新聞社賞、大阪府書店商業組合賞など88点の入賞作を表彰。入賞した児童88人のうち80人が出席し、賞状を受け取った。
児童書の表紙に巻く「帯」を小学生にデザインしてもらうこのコンクールは、子どもたちに読書の喜びや表現の楽しさ、大切さを知ってもらおうと2005年にスタート。府と市の学校図書館協議会が選定する課題図書部門と自由図書部門を設けている。課題図書部門の大阪府知事賞、朝日新聞社賞、大阪国際児童文学振興財団賞を受賞した9点の帯は、製品化されて本に巻かれ、大阪府書店商業組合加盟の書店店頭に並ぶ。
表彰式の冒頭、大阪読書推進会の三宅興子会長(大阪国際児童文学振興財団特別顧問)は「本に帯を巻く文化は、日本の書店とともに発達してきた、世界的に珍しいもの。本の魅力が一目で分かり、巻くことでたくさんの人の目に触れるようにする、面白い表現形態。今日の表彰式を機会に、いっそう良い作品を作ってほしい」と話した。
朝日新聞大阪本社の中西豊樹編集局長補佐があいさつしたあと、選考経過を報告した戸和繁晴実行委員長(大阪組合副理事長)は「短い文章、図柄が本の内容とマッチした作品が入賞しやすい」とアドバイスした。
受賞者を代表して、『ぼくは、いつでもぼくだった。』(くもん出版)で大阪府知事賞を受賞した豊中市立西丘小6年の谷承子さんは「読書感想文は苦手。でも本と絵を描くことは大好き。だからコンクールはわくわくする夏休みの宿題だった。『僕の身に起こったすべてのことが今の僕を作った』という著者の言葉をヒントに帯を描いた。この夏休みにこの本を読んで帯を描いたことも、この場に立っているこの瞬間も、明日の私につながっている」とあいさつした。
最後に大阪組合の面屋龍延理事長は「多くの作品を応募していただいているが、残念ながら大阪は全国で一番か二番に本が嫌いな子どもが多いと言われている。近所の本屋をのぞいて気に入った本を買い、帯を作って、友だちに本をすすめてほしい」と閉会の辞を述べた。
主な入賞者は次の通り。
【大阪府知事賞】
泉佐野市立第二小2年・金田咲歩、池田市立神田小3年・柏原有花、豊中市立西丘小6年・谷承子、大阪市立九条南小2年・和田璃音
【大阪府書店商業組合賞】
枚方市立東香里小2年・大西洋平、大阪聖母学院小4年・楠山晴香、大阪教育大付属天王寺小5年・岡村百笑、富田林市立高辺台小4年・田中天寧
=敬称略

年末年始の日書連事務局体制

年末年始の特別体制により、日本書店商業組合連合会事務局の業務は、年内は12月25日(金)午後5時をもって終了させていただきます。年明けは1月4日(月)より通常通り業務に復します。ご了承ください。
日本書店商業組合連合会事務局

藤原直理事長を再選/組合員減少対策が課題/宮城総会

宮城県書店商業組合は11月15日、仙台市太白区・秋保温泉「佐勘」で第34回通常総会を開催し、組合員55名(委任状含む)が出席。役員改選で藤原直理事長(金港堂)を再選した。
総会の冒頭、藤原理事長は「書店業界は18年連続売上が減少し、同時に組合員数も減少を続けている。日書連では組合加入書店確保のため書店経営実態調査を行い、原因究明に努めている。調査結果は小冊子にまとめ、組合加入書店に周知する。外商雑誌の買切による報奨金で書店の収益改善を目指す施策は、様々な問題があり、まだ実現していない。来年度は雑誌の配送業量平準化のため休配日が増えるだろう。決まり次第、組合員に報告する。昨年度から県職員互助会の図書券とレジャー施設利用券が共通になったことから、扱いが増えた」と報告し、あいさつを終えた。
引き続き、藤原理事長を議長に議案審議を行い、平成27年度事業報告・決算報告、平成28年度事業計画案・予算案などすべての議案を原案通り承認した。
定款変更の件では、理事定数を現行の「25名から30名」を「20名から25名」、副理事長を現行の「3名」から「1名から3名以内」に変更する案を提案し、可決した。
任期満了に伴う役員改選は選考委員5名による指名推薦の方法で行い、新任理事として大久保慎貴(ジュンク堂書店)、久保木正文(アイエ書店)、佐藤由美(朝野堂)、小野寺徳行(宮脇書店)の4氏が選ばれた。退任理事は菅原正敏、柴修、日下昌幸、浅野勝彦、氏家英俊、佐藤陽一の6氏。このあと臨時役員会を開き、藤原理事長を再選した。
続いて永年勤続者の表彰を行った。今年の表彰者は、勤続30年の高比良正(金港堂)、25年の千葉道雄(金港堂)、遠藤みや子(こけし書房)、10年の大沼麗子(金港堂)、5年の鈴木実(宝文堂ブックサービス)、戸田智(長谷川書店)の6氏。代表して鈴木氏が表彰台に立ち、藤原理事長から賞状と記念品を贈呈された。
恒例の版元・取次・運輸研修会では、日販、トーハン、永岡書店、農山漁村文化協会、聖教新聞社、中央運輸の順に各社から施策や商品説明が行われた。
(佐々木栄之広報委員)
[宮城組合役員体制]
○印は新任
▽理事長=藤原直(金港堂)
▽副理事長=小関真助(かほく書店)大沼所左衛門(かど書店)
▽専務理事=○梅津清太郎(八文字屋書店)

組合加入メリットを追求/地方書店は厳しい状況/秋田総会

秋田県書店商業組合は11月5日、横手市の「雄川荘」で第29回通常総会を開催し、組合員24名(委任状含む)が出席した。
はじめに加賀谷龍二理事長があいさつと日書連報告を行い、引き続き石川監査役の司会で総会を進行。加賀谷理事長を議長に選任して第1号議案から第9号議案まで協議し、各議案とも異議なく可決承認した。
今年は、書店東北ブロック大会が7月9日、秋田組合の設営で秋田市「秋田温泉さとみ」で開催された。開催にあたっては、組合員書店および従業員が、事前準備や当日の円滑な進行に尽力した。
今年度は2組合員の脱退があり、地方の書店の厳しい現状を表している。書店のない町村もある。地域文化の灯が消えないよう、組合として各方面に働き掛けていく。
また、加賀谷理事長が文藝春秋に対し、『火花』を全書店に最低1冊配本するよう依頼したことを報告。組合員書店にメリットが出る活動を続けるので、組合員も組合運営に積極的に参加してほしいと呼び掛けた。(石川信広報委員)

定期購読キャンペーン、受注総数12万1109件に

雑誌愛読月間(7月1日~9月末)の特別企画「年間定期購読キャンペーン」(雑協、日書連、取協共催)の総受注件数は、前年比70・2%増の12万1109件と初めて10万の大台に乗せた。
今年のキャンペーンは雑協加盟出版社49社の124誌が参加し、全国の書店6113店が参加。このうち予約獲得店は同50・9%増の2935店と初の2000店台に乗せ、参加店の48%(前年33%)が受注を獲得した。
すべての数値で過去最高を記録したことについて、雑協は「販売環境が一段と厳しさを増す状況下で、書店の危機意識の裏返しとして、雑誌販売の原点回帰の取り組みが広がったため」としている。
受注数最多書店は廣文館金座街本店(広島)で981件。予約獲得数最多誌は「きょうの料理」(NHK出版)で5836件。上位10誌は以下の通り。
①きょうの料理(NHK出版)5856件②LEE(集英社)4694件③日経TRENDY(日経BP社)4598件④きょうの健康(NHK出版)4112件⑤with(講談社)4006件⑥クロワッサン(マガジンハウス)3518件⑦暮しの手帖(暮しの手帖社)3505件⑧趣味の園芸(NHK出版)3279件⑨ゴルフダイジェスト(ゴルフダイジェスト社)3203件⑩Newton(ニュートンプレス)2873件

若い人に贈る読書のすすめ/読進協

読書推進運動協議会はこのほど、2016「若い人に贈る読書のすすめ」のリーフレットを作成した。各都道府県の読進協から寄せられた「若い人に是非読んでもらいたい本」の推薦書目をもとに、読進協事業委員会で選定したもの。掲載図書は以下の26点。
▽『あっ!命の授業』ゴルゴ松本、廣済堂出版▽『運は創るもの』似鳥昭雄、日本経済新聞出版社▽『大人になるっておもしろい?』清水真砂子、岩波書店▽『おとなになるってどんなこと?』吉本ばなな、筑摩書房▽『考え方ひとつで人生は変わる』稲盛和夫、PHP研究所▽『クローヴィス物語』サキ/和爾桃子(訳)、白水社▽『国境のない生き方』ヤマザキマリ、小学館▽『「幸せ」について知っておきたい5つのことNHK「幸福学」白熱教室』NHK「幸福学」白熱教室制作班ほか、KADOKAWA▽『14歳からの戦争のリアル』雨宮処凛、河出書房新社▽『14歳の水平線』椰月美智子、双葉社▽『世界の果てのこどもたち』中脇初枝、講談社▽『総理にされた男』中山七里、NHK出版▽『それでも人生にYESを』富樫康明、WAVE出版▽『頂点への道』錦織圭/秋山英宏、文藝春秋▽『翼を持つ少女』山本弘、東京創元社▽『哲学用語図鑑』田中正人/斎藤哲也(編集・監修)、プレジデント社▽『鉄道デザインの心』水戸岡鋭治、日経BP社▽『21世紀の資本』トマ・ピケティ/山形浩生ほか(訳)、みすず書房▽『花咲小路二丁目の花乃子さん』小路幸也、ポプラ社▽『春や春』森谷明子、光文社▽『不動の魂』五郎丸歩/大友信彦(編)、実業之日本社▽『ぼくらの民主主義なんだぜ』高橋源一郎、朝日新聞出版▽『村上さんのところ』村上春樹/フジモトマサル(絵)、新潮社▽『「めんどくさい」をやめました。』やましたひでこ、祥伝社▽『持たざる者』金原ひとみ、集英社▽『若き科学者への手紙』エドワード・O・ウィルソン/北川玲(訳)、創元社

地域の読書普及に貢献/2団体2個人に野間読進賞

読書推進運動協議会は11月5日、東京・新宿区の日本出版クラブ会館で第45回野間読書推進賞の贈呈式を開催。団体の部として「特定非営利活動法人岩手点訳の会」(岩手県盛岡市)、「藤井寺市ボランティアサークルおはなしころりん」(大阪府藤井寺市)の2団体、個人の部として西村惠美子さん(青森県青森市)、野々上律子さん(大阪府吹田市)の2名と、奨励賞として「こころにミルク編集部」(広島県広島市)を表彰した。
贈呈式で同協議会の野間省伸会長は「昨年に続き視覚障害者のための活動が高く評価された。これからもこうした活動を支援していきたい」とあいさつ。選考経過報告のあと、野間会長から賞状と賞牌、副賞の賞金が贈られた。
受賞者あいさつで「岩手点訳の会」の横澤忠会長は「50数年間の先輩方の功績が認められてうれしい。これからも頑張る」と喜びを語った。

出版業界の新春行事

【書店関係】
〔北海道〕
◇平成28年北海道取協・出版社・書店組合新年合同懇親会=1月26日(火)午後6時から、札幌市中央区のJRタワーホテル日航札幌で開催。
〔宮城〕
◇合同新年懇親会=1月7日(木)午後5時から、仙台市青葉区のホテルメトロポリタン仙台で開催。
〔神奈川〕
◇新年懇親会=1月22日(金)午後6時から、横浜市中区の華正樓で開催。
〔東京〕
◇新年懇親会=1月13日(水)午後5時半から、東京都文京区の東京ドームホテル地下1階「天空」で開催。
〔静岡〕
◇第48回新年総会=1月13日(水)午後3時50分から、焼津市の焼津グランドホテルで開催。午後4時50分から支部会、午後6時10分から懇親会。
〔愛知〕
◇平成28年新春賀詞交歓会=1月12日(火)午後5時半から、名古屋市千種区のルブラ王山地下1階「弥生の間」で開催。午後3時半から同2階「白帝の間」でおかざき塾・歴史教室主宰の市橋章男氏を講師に新春講演会を開催。
〔大阪〕
◇平成28年大阪出版販売業界新年互礼会=1月8日(金)午後4時から、大阪市北区のウェスティンホテル大阪2階「ソノーラ」で開催。
〔京都〕
◇京都出版業界互礼会=1月7日(木)午後4時半から、京都市中京区の京都ホテルオークラ4階「暁雲の間」で開催。
〔福岡〕
◇福岡県出版業界新年の会=1月6日(水)午後4時から、福岡市博多区のホテルオークラ福岡で開催。
【取次関係】
〔日教販〕
◇第65回日教販春季展示大市会=1月7日(木)午前10時から、東京都新宿区のホテルグランドヒル市ヶ谷で開催。セレモニーは午後12時45分から。
〔トーハン〕
◇2016年トーハン新春の会=東京会場は1月7日(木)午前10時半から、東京都文京区のホテル椿山荘東京・プラザ棟5階「オリオン」で開催。社長あいさつは午前10時半から。近畿会場は1月8日(金)午前9時から、大阪市北区のトーハン大阪支店で開催。トーハン物流部門新年賀詞交歓会は、1月7日(木)正午から、東京都文京区のホテル椿山荘東京・プラザ棟1階「ギャラクシー」で開催。
〔大阪屋〕
◇新春おでんの会=1月9日(土)正午から、東大阪市の本社(関西ブックシティ)で開催。社長あいさつは正午、鏡開きは午後12時25分予定。
〔中央社〕
◇新年ご挨拶の会=1月8日(金)午前10時から、東京都板橋区の本社3階ホールで開催。社長あいさつは午前10時から。
【関係団体】
◇日本出版クラブ新年名刺交換会=1月6日(水)正午から、東京都新宿区の日本出版クラブ会館で開催。
◇全国医書同業会新年互礼会=1月5日(火)正午から、東京都千代田区のホテルグランドパレスで開催。
◇書店新風会新年懇親会=1月6日(水)午後5時から、東京都新宿区のハイアットリージェンシー東京地下1階「センチュリールーム」で開催。
◇出版梓会第31回梓会出版文化賞贈呈式=1月14日(木)午後5時半から、東京都新宿区の日本出版クラブ会館2階会場で開催。午後6時半から3階会場で懇親会。

日書連増売企画「書店金賞」取り組み事例/東京都・足立区・小泉書店

東京・足立区の小泉書店は、日暮里・舎人ライナー「西新井大師西駅」から徒歩7~8分、準幹線道路に面して営業する街なかのお店。小泉忠男社長は、日書連書店再生委員長を今年6月まで務め、「書店金賞」増売企画の立案・推進に手腕をふるった。
書店再生の増売企画は、これまで「食と健康」をテーマに実用書増売を実施してきたが、第2回「書店金賞」はテーマを新たにして取り組むことを決めた。小泉社長は「『出版社・取次・書店』の三者が創る唯一の賞として、実用書に限らず多くの出版社の出品を得たいという考えがあった。読者にアピールできる初回の企画として、普遍的なテーマである『和~日本のこころ』を採用した」と意図を説明する。
小泉書店では、Bセット(10点・30冊)とCセット(20点・60冊)を各1セット申し込み、ブックトラックを展示台として、面陳、背差しで陳列。日書連作成のポスターを拡大コピーしたほか、自店の「書店金賞」ポスターを掲示して読者にアピールした。
9月の販売開始から書店金賞発表までの展開について、小泉社長は「ブックトラックという限られたスペースのため、ノミネート本は前面に出せたが関連本は陳列できず、浮いた形になってしまった面もある」と振り返る。銘柄も多く突出した数は出なかったが、平均的に売れた中で、マガジンハウス『鳩居堂の日本のしきたり豆知識』、JTBパブリッシング『東京手しごと名品図鑑』、東邦出版『日本の七十二候を楽しむ』と、児童書の棚で埋もれていた小学館『にほんのマナーえほん』の動きが目立ち、合計約40冊を販売したという。12月1日の書店金賞発表後は、受賞3点に自店作成の帯を付けてアピール。12月5日現在で金賞銘柄を含め5冊を売り上げた。
小泉社長は、「ノミネート及び金賞受賞銘柄の売上は、参加店の純増売上であり、不参加店のチャンスロスともいえる。店頭売上という冷めた鉄を鍛つのには、相当の努力・覚悟が必要だ」と力説する。今後のテーマについては、「〝今年の〇〇〟というような社会的な関心事を取り上げ、タイムリーな企画を立てて、マスコミに売り込んで広く読者に認知してもらえるような工夫をお願いしたい」と期待を寄せた。

経営活性化で版元と懇談会開催へ/大阪理事会

大阪府書店商業組合(面屋龍延理事長)は11月7日に大阪市の大阪組合会議室で定例理事会を開催した。各委員会の報告・審議事項は次の通り。
〔総務・財務・組織再編〕
支部問題について、12月理事会までに総務委員会を招集の上、最終草案を決めて上程したいと報告があった。
〔読書推進〕
11月14日に開催する「本の帯創作コンクール(帯コン)」表彰式の出席者や準備の確認について説明が行われた。
〔経営活性化・書店環境改善〕
11月12日に潮出版社と懇談を行うと報告した。懇談では、出版社から要望を聞くとともに書店の要望を伝えることとし、話し合いへの参加書店を募集することにした。
〔雑誌発売日励行〕
小学館の異動に伴い大阪地区雑誌発売日励行委員長に西川雅司関西支社長が就任したこと、発売日違反はなかったことを報告した。
〔出店問題・組織強化〕
古市コレクターズ喜連西店(大阪市平野区)、ライフ東淡路店(大阪市東淀川区)の出店連絡があったことを報告した。
〔事業・増売〕
小学館カレンダーの発送予定について説明。長野県組合からの「真田丸かるた」販売依頼を説明した。
(石尾義彦事務局長)

版元4社が増売企画を説明/東京組合

東京都書店商業組合(舩坂良雄理事長)は12月2日に東京・千代田区の書店会館で定例理事会を開催した。各委員会の主な報告・審議事項は次の通り。
〔事業・読書推進〕
「読者謝恩図書カード」は、申込み枚数の上限を外して第2次販売を開始することを承認した。
増売企画として、ゴルフダイジェスト社『ゴルフは考え方が9割』『がんばらないから上手くなった。』他、東洋経済新報社『会社四季報2016年1集新春号』『21世紀の不平等』、小学館『鉄道ペディア』、講談社「周年誌」「講談社タイガ」「講談社+α文庫リニューアル」について、各社担当者が説明を行った。
〔指導・調査〕
11月17日に開催した平成27年度書店経営研修会には40名が出席、他組合からも2名の参加があったと報告した。
11月25日開催の第11回「東京万引き防止官民合同会議」の協議事項を報告。平成27年10月末現在の万引き認知・検挙件数と検挙・補導人員について、万引き犯の世代別で少年、成人、高齢者いずれも前年より減少したが、高齢者は微減にとどまり、このうち75歳以上に限ると3・4%増加したことなどを説明した。
〔組織〕
出店情報で、ブックファースト練馬店(練馬区)が売場坪数54坪で12月18日オープン予定と報告した。
〔取引・流通改善〕
TS流通協同組合の11月期発注件数は4889件(前年同月比93・5%)、売上金額は492万181円(同114・6%)、書店数は51書店(同89・5%)だった。

日書連のうごき

11月4日全国中小小売商団体連絡会に事務局が出席。
11月5日日本出版インフラセンター事務局会議に事務局が出席。野間読進賞贈呈式に西村副会長が出席。ためほんくん管理委員会に深田部会長が出席。
11月6日出版情報登録センター管理委員会に事務局が出席。
11月11日九州雑誌センター取締役会に舩坂会長が出席。読書週間書店くじ抽せん会に舩坂会長、藤原、柴﨑、西村各副会長が出席。出版倫理協議会に天野理事が出席。日本出版インフラセンター運営委員会に事務局が出席。
11月12日消費税軽減税率チラシの議員会館配布に事務局が参加。
11月13日BOOKEXPO2015に舩坂会長が出席。東京国際ブックフェア実行委員会に事務局が出席。
11月16日全国中小小売商団体連絡会に事務局が出席。書店再生委員会で書籍協会との懇談に舩坂会長、本間副会長が出席。
11月17日軽減税率専門委員会流通ワーキンググループに事務局が出席。
11月20日書店金賞発表会に舩坂会長、本間副会長が出席。
11月24日出版再販流通白書事務局会議に事務局が出席。出版サロン会に舩坂会長が出席。
11月25日第15回全国中小小売商サミットに舩坂会長、柴﨑、本間両副会長が出席。
11月26日JPIC理事会・評議員会に舩坂会長、藤原、西村両副会長、東浦元理事が出席。
11月27日出版再販研究委員会に藤原、本間両副会長、三宅理事が出席。
11月30日日本図書普及役員会に舩坂会長、鈴木、藤原、面屋各副会長が出席。

委員会を再編して4委員会に/兵庫理事会

兵庫県書店商業組合(中島良太理事長)は11月10日の定例理事会で委員会再編について討議し、従来の8委員会から4委員会とすることを決めた。各委員会の委員長と職務は以下の通り。
▽総務委員会=森忠延委員長(総務・財務、委員会相互の調整、総会及び理事会の運営、対外的渉外)
▽再生委員会=春名洋志委員長(雑誌発売日励行問題、送品・返品同日精算、増売、書店金賞、出版再販研究、雑誌付録綴じ込み要請、共同購買〈ポケッター含む〉)
▽会員委員会=大橋洋子委員長(組合加入促進、書店くじ、心にのこる子どもの本、読書推進運動協議会、読書推進、万引き防止対策、出版倫理問題)
▽情報委員会=安井唯善委員長(全国書店新聞、日書連ホームページ、消費税問題への取り組み、情報化推進対策、図書館部会、ためほんくん部会)

組合員へ書店くじ購入を促進/北海道理事会

北海道書店商業組合(志賀健一理事長)は、10月20日午後3時から札幌市中央区の北海道建設会館で定例理事会を開催した。
理事会では、日書連報告に続いて道組合の活動について協議した。書店くじの件は、意見交換を行った上で、多くの組合員が購入するよう働きかけをしていくことを決定した。出版物への消費税軽減税率の件では、新聞と書籍も軽減税率の対象に入れる方向で検討が始まったという報道があったため、それに応じた運動を促していきたいと報告があった。
(事務局・髙橋牧子)

10月期は0・9%の減/書籍が3ヵ月ぶりプラス伸長/日販調べ

日販営業推進室調べの10月期分類別売上調査は、雑誌・書籍・コミック合計で対前年売上増加率が0・9%減(先月4・1%減)と下げ幅が縮小した。
雑誌は5・2%減(同6・3%減)。月刊誌は、前年は『コロコロコミック2014年11月号』(小学館)などの売上が良好だった影響を受け、8・3%減とマイナスが拡大した。
書籍は2・5%増(同1・6%減)と7月以来3ヵ月ぶりのプラス。文芸書は14・5%増と2桁伸長で、『愚物語』(講談社)が好調だったほか、メディア影響を受けた銘柄などが売上を伸ばした。児童書は9・7%増。『ママがおばけになっちゃった!』(講談社)が引き続き好調だったことや、新刊銘柄の売上が伸びプラスが続いた。
コミックは0・6%減(同5・4%減)。『ONEPIECE79』(集英社)が売上を牽引したが、前年に届かなかった。

書店復権へ向けて/有隣堂・松信健太郎専務が講演/東京組合研修会

東京都書店商業組合は11月17日、東京・千代田区の書店会館で平成27年度書店経営研修会を開き、有隣堂の松信健太郎専務が「書店復権へ向けて!~株式会社有隣堂の新業態開発におけるTry&Error~」と題し講演。書店業界を取り巻く環境や、有隣堂が取り組む新業態開発の状況、今後の展開・展望について語った。概要を紹介する。
今日のテーマは「Try&Error」とした。トライは新しい取り組み、挑戦をしていくこと。当然百発百中とはいかないので、エラーも出てくる。それを次に生かしていこうということだ。
書店市場では、他業種の企業が本を1つのアイテムとして陳列するスタイルを取り入れており、本を売る場の奪い合いが始まっている。書店は来た本を並べ、売れ残ったら返すという商売をしてきたが、自戒を込めて言えば、そういう商売のスタイルが本の商品力を奪ってしまった。しかし、本の魅力に気付いた他業種が本を活用し始め、遅ればせながら書店がそのことに気付き追いかけている状況ではないか。
書店としては他の商材、他の業種の力を借りてでも、何とか頑張って本を売っていかなければいけないということで、有隣堂が現在進めている新業態開発の状況をお話しする。
【新宿「STORYSTORY」/本と雑貨、カフェの新業態店】
今年4月に、本と雑貨、カフェを融合させ、他企業とコラボレーションした新業態店舗として、新宿の小田急百貨店10階に「STORYSTORY」という店をオープンした。
開店前日には、女性タレントグループに来てもらい、メディアも入れて内覧会を行った。内覧会自体初めての試みで、やってみると本当に大変だったが、オープン当日にはヤフーニュースにも取り上げられるなど、影響は大きかったと思う。
カフェはリーディングスタイルのサポートで運営し、本に出てくる料理をイメージしたメニューを提供している。東野圭吾の『流星の絆』に出てくるメニューを再現したハヤシライスは、テレビドラマの中で嵐の二宮和也君が食べるシーンがあったそうで、この報道等が結び付いて、開店後しばらくはハヤシライスが200食以上出るという状態が続いた。
また、オムニチャネルを推進するため、楽天と組んで楽天市場で人気の商品を店舗で展開し、楽天チェックやカフェでのポイント利用など、O2O(オンライン・ツー・オフライン)への取り組みを行った。今までO2Oで書店がやってきたことは、電子書籍販売やネット書店など、どちらかというと「オフライン→オンライン」という方向で、リアル書店の顧客をネットに誘導するという、いわば敵に塩を送る形だった。そうではなくて、オンラインのお客様を私たちの店舗に連れてきたいと考えた。
企業コラボでは、リーディングスタイル、楽天と、企画段階から小田急百貨店を交えた4社で定例会を実施してきた。有隣堂は日販取引で、リーディングスタイルは大阪屋の子会社、楽天は大阪屋の株主だ。コラボの実施にあたっては困難なことも多かったし、IT企業との協業も、社内には一緒にやると取り込まれてしまうのではないかという意見もあったが、やってよかったと思っている。
今後の課題は、従来型店舗への依存だ。今までにない店を作るというキーワードでやってきたが、書籍、雑貨とも商品の部分で思い切った挑戦ができていないのが現状だ。オムニチャネルのトライも、まだ真のO2Oではない。カフェ部門のみが好調で書籍、雑貨は既存店と同じく不振が続いているという売上のバランスの問題もある。今が勝負どころで、本部と現場が一体となって頑張っている。
【藤沢「トレアージュ白旗店」/「街の書店復権」目指した店】
最近やった中で一番面白い店が、今年6月にオープンしたトレアージュ白旗店だ。小田急藤沢本町駅から徒歩10分弱の、住宅地にある小さなショッピングセンターに出した店で、この中で商売を成り立たせるにはどうすればいいかを社内で議論した。その結果行き着いたキーワードが「街の書店の復権」だった。街の書店は、歴史的に見ると地域の住民が集まる場所として機能していたのではないか。有隣堂が考える街の書店とはこういうものだという店を作ろうと決意した。
店内には、「トレアージュガーデン」と名づけたフリースペースを設けた。ソファやテーブルを置き、お客様が自由に使えるようにしている。これらの家具はSC内のテナントから安く提供してもらっており、コーヒー店やハンバーガー店から出前を取ってここで食べられるようにするなど、テナント同士の協業を進めている。地域のサークルや同好会等の活動の場所としても利用してもらっており、予約がほとんど毎日入っている状況だ。
この店の取り組みでは、有隣堂としてSCや地域にどれだけ貢献できるかが重要だ。売上は二の次で、「とりあえず有隣堂へ行こう」という流れが地域の中で生まれ、それが売上に繋がればいいと考えている。
旗艦店である横浜駅西口店は、昨年8月、出店していた地下街全体の改装に伴い50年ぶりに移転、リニューアルした。書籍、雑誌、雑貨の併売を実施し、書籍棚と雑誌棚、雑貨用のBOX什器を違和感なく配置して、テーマに合わせて商品を選べるような売場作りをした。きっちり本を置かなければいけない使命がある店なので、なかなか大きなトライはできなかった。
コミックはリニューアル前より売上が落ち込んでおり、場所が悪くなったとか問題はいろいろあるだろうが、やはり従来型の店舗を移設したところは厳しい。新しいトライをして、それが伝わっていかない限り、お客様は離れていくのだろうと思う。
アトレ恵比寿店は昨年10月に大リニューアルを行った。ディベロッパーのアトレからの要請で、隣接して出店するスターバックスとコラボすることになり、有隣堂の店内全体でコーヒーを飲みながら本を選べるブック・アンド・カフェにした。スターバックスとの間に仕切りはなく、有隣堂店内にはドリンクホルダー付の書見台「ブックバー」を設置した。レジ前にもブックバーを作ったのだが、レジが大混雑してしまい、アトレと協議の結果、今年11月に撤去した。
この10月オープンした、ららぽーと海老名店は新業態ではないが、店の随所に幅90センチの「提案棚」を作り50個の企画を展開している。現場の企画立案を本部がフォローしていくというオペレーションをこれから確立していくところだ。
新しいタイプの児童書売場として取り組んでいるのが「Do!Kids」だ。イベントや体験学習が実施しやすいように、可動式什器やソファ型什器などを設置し、遊べるエリアを必ず設けているのが特徴だ。2011年11月に作ったテラスモール湘南店から始め、新宿のSTORYSTORYなど5店に導入している。また、SC内のスペースに短期間空きがある場合に、そこを借りて期間限定店舗を作る取り組みも行っている。文具・雑貨単独店の「SELECTSTATIONERY」も同様の形の展開を実施した。
【マーケティングの意識を徹底】
今後の展望・展開で、一番大事なのは人材育成だ。新入社員を毎年採れる状況ではなく、アルバイトも含めた既存の従業員の意識を変えていく。意識をもって働いてくれた方をきちんと処遇する、働きやすい環境を作っていくのが私の仕事だと思っている。
女性社員活用のため、育児短時間勤務を延長できる仕組みを導入。アルバイトの正社員への登用を開くキャリア採用も再開した。外商部門と店売部門の部門間異動を何年か前からやっている。店売事業本部の下にある企画開発部が新業態をリードしているが、今までに店頭経験がない人間だからこそ、新しいお店ができると考えている。
書店に一番欠けているのはマーケティング思考だと思う。環境の整備と意識改革を進めるため、企画・マーケティング課を設置したほか、マーケティングの基本を抜粋した「マーケティングの書」という紙を作り、アルバイトにも配って、しっかりお客様の声を聞いて店舗運営していこうという意識を徹底している。メディア戦略や方法も大変重要だと勉強したので、広報部を作るというトライも行っている。
有隣堂の売上の半分は書店以外の部分で担っている。現在、書籍・雑誌の販売が厳しい時においては、店売部門が新たなトライを続けるため、別の部門の成長、安定が必要だ。書籍外商部・官需営業部・オフィス営業部などの外商部門で新卒採用したり、高い売上目標を掲げるなどして、外商部門を成長させたいと考えている。

「えほんマルシェ」開催/絵本でまちづくり/和歌山組合など

絵本と人の出会いを目的としたイベント「えほんマルシェin有田川」が11月23日、和歌山県有田川町の有田川町地域交流センターALECで開催。絵本と飲食・雑貨のオシャレなショップが図書館と屋外スペースに勢揃いし、町内外から約7000名が来場した。
同町は絵本によるまちづくりに力を入れ、これまで絵本イベント「えほんdeわっしょい」や絵本コンクール、絵本作家の原画展などを開いている。「えほんマルシェ」は、より多くの人たちに絵本と触れ合ってもらうため、有田川教育委員会、テレビ和歌山、和歌山県書店商業組合、日本児童図書出版協会、絵本まちづくり協会で構成する実行委員会が主催した。
同イベントは「絵本のまち。絵本が日常になる一日」をコンセプトに、10周年を迎えた「えほんdeわっしょい」では絵本作家の宮西達也氏と真珠まりこ氏のトークショーやお化けファッションショー、お化け屋敷、雑貨作りのワークショップが行われた。また、絵本コンクール2015の受賞作品を展示した。
即売会では懐かしい絵本の名作から新作まで数千冊
が勢揃いし、大変な賑わいとなった。屋外の芝生ではALECが貸し出した絵本を読む親子連れの姿が目立った。読み聞かせエリアも盛況だった。
和歌山県書店商業組合の宇治三郎理事長は「小さな町の図書館がたくさんの親子、家族、カップルで埋めつくされた。地元書店の協力に感謝する」と成功を喜んだ。

書籍の展示・販売を実施/いばらき読書フェスティバルで/茨城組合

「いばらき読書フェスティバル2015」が11月8日、茨城県水戸市の茨城県立図書館で開催され、子どもから高齢者まで幅広い年齢層の人たちで終日賑わった。
このフェスティバルは、読書週間期間中、読書推進活動の充実を目的に毎年開催されている。茨城県立図書館をはじめ多数の主催団体と後援団体が参加し、茨城県書店商業組合も後援団体として協力している。
当日は、読書団体等感謝状贈呈式、読書感想文コンクール表彰、読み聞かせフォーラム、本の修理体験教室、ビブリオバトル、おはなし会、館内体験ツアーなど多彩な催しが行われた。
記念講演会では、「セーフティ番頭」というコンビで6年間お笑い芸人として活動し、その後『神様の裏の顔』で第34回横溝正史ミステリ大賞を受賞、作家デビューした茨城県牛久市出身の藤崎翔氏が「お笑い芸人から作家への転身」と題して話した。
また、屋外ロータリー周辺では、茨城県書店商業組合による冬休み課題図書をメインにした書籍展示・販売などが行われた。

京都本大賞に七月隆文氏/「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」

京都を舞台にした小説の中から地元の人に読んでほしい作品を選ぶ「第3回京都本大賞」に七月隆文氏の『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(宝島社)が決定。11月3日、京都市中京区の京都書店会館で授賞式が開催され、七月氏に受賞記念盾と賞状が贈られた。
この賞は同実行委員会が主催し、京都府書店商業組合、京都新聞、KBS京都が後援。実行委員会は、京都組合の洞本昌哉専務理事(ふたば書房)が実行委員長、大垣全央理事(大垣書店)、北山耕三氏(恵文社)が委員会幹事を務めるなど、書店員を中心とした組織。過去1年間に発刊された京都が題材となった小説を対象に、37作品から10作品に絞り、その中から実行委員が熟読、厳選した3作品を店頭ポスターやインターネットで告知。最終的に読者と書店員の投票で1位を決めた。
大阪府枚方市生まれの七月氏は京都市左京区の京都精華大出身で、作品は学生時代になじみの深い叡山電鉄の宝ヶ池駅や京阪電鉄沿線の丹波橋駅周辺などが舞台となっている。七月氏は「京都は自分の根っこで、純粋によく知っている場所。今後も作品にしたい」と語るほど京都に思い入れがあるからこそ、現実味のある物語となっている。ネットの口コミで若い世代の読者を中心に「2人の男女の壮大な出会いを巡るストーリーが切なくて泣ける」など話題を集め、幅広い年齢層へ人気が広がり、今回の受賞につながった。
また、今回で2回目となる「京都ガイド本大賞」は10月1日、マガジンハウスのムック『京都、街歩きガイド。」に決定。今回から新設のリピーター賞は幻冬舎の新書『京都の路地裏』に決まった。
(若林久嗣広報委員)

図書館運営の民間委託で発言/新潮、岩波、CCC、TRC代表者ら/図書館総合展フォーラム

11月10日から12日まで横浜市西区のパシフィコ横浜で開かれた第17回図書館総合展(同運営委員会主催)は、前年比8・6%増の3万4359名が来場。図書館関連の最新設備やシステムを紹介する企業・団体が多数出展したほか、100のフォーラムを開催。いわゆる「ツタヤ図書館」問題で公共図書館のあり方に注目が集まっているタイミングで開かれたこともあり、関連フォーラムは軒並み満員の盛況となった。
10日のフォーラム「公共図書館の役割を考える~本に携わる私たちからの期待~」では、新潮社の佐藤隆信社長が登壇し、公共図書館が役割を果たすために望まれる選書・蔵書について発言した。
佐藤社長は新刊の貸し出し猶予について言及し、「著者の声が熱く、放置できない状況。著者と出版社が合意した本に限定し、1年間の貸し出し猶予を求める」という考えを明らかにし、「決め事ではなく、お願い事。節度、程度の問題と考えている。著者に執筆のモチベーションを与えなければ、最終的に出版文化の衰退につながる。将来、いい本を出せなくなったら、図書館も困るのではないか」と理解を求めた。
複本については「売れる本を貸し出しでぐるぐる回されると、出版界全体が傷んでしまうという構造にあることを理解していただきたい」と語った。
同日の「変貌する出版メディアと図書館革命――図書館・出版社共同戦線2015」では、岩波書店の岡本厚社長、図書館流通センター(TRC)の石井昭社長が登壇した。
岡本社長は「図書館は本との出会いを提供する場。無料貸本屋という批判もあるが、貸出冊数が減れば本の売上が上がると単純には言えない。幻想ではないか」と指摘。「図書館は文庫や新書のような低価格本ではなく、買いづらい高価格本と出会う場になってほしい。出版界は市場がどんどん小さくなり、ビジネスの対象として図書館への注目度は高くなっている」と話した。
石井社長は、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)との関係について「武雄市図書館プレオープンで増田宗昭社長から説明を聞き、共感した。ただ、まず人が集まることを重視したというが、図書館は単に本を読みに行く場所なのか」と考え方に相違があったことを明らかにし、CCC独自のライフスタイル分類についても「本の並べ方に理念の違いを感じる。賛成しないこともないが、困る部分もある。我々は日本十進分類法に基づき厳格に排架位置を決めている」と述べた。
11日の「公共図書館の未来像」では、武雄市図書館や海老名市立中央図書館を指定管理者として運営するCCCの高橋聡図書館カンパニー長が登壇し、様々な問題が指摘される両図書館の現状を報告するとともに、目指す図書館像について考えを語った。
高橋図書館カンパニー長は、武雄市図書館リニューアルオープンの前に購入した1万冊の中に地域性に合わない本、時流に合わない本が含まれていたこと、海老名市立中央図書館の分類法が分かりにくいとの批判について、「色々な報道を真摯に受け止めている。批判は選書、分類のミスから生じたもの。この2点の改善に早急に努め、疑念を晴らしたい」と反省の意を表明。その上で、「市民価値の向上と新しい発見の提供を主軸に、図書館事業に邁進する」と決意を語った。
また、目指すべき図書館の姿について「カフェや書店を目的で来た人が、学びや市民活動の実行に参加し、『本物』になる。そうした知の循環モデルを作りたい」との考えを示し、「(一連の批判は)叩かれているとは思わない。修正すべき点が分かった。コアに置いておかねばならないものを忘れず、利用者のニーズや時代に合わせた柔軟性、多様性を大切にすることが、地域を活性化する新しい図書館につながる」と話した。

九州、北陸、四国の3支店を閉鎖/太洋社

太洋社は経営合理化の一環として九州支店(福岡県福岡市中央区)、北陸支店(石川県金沢市)、四国支店(香川県高松市)の3支店を閉鎖すると発表した。3支店の担当業務は東京本社で対応する。一方、新たに大阪出張所の開設を予定している。
3支店の閉鎖時期は、九州支店が15年12月末、北陸支店が16年2月末、四国支店が同3月末。

1位は又吉直樹氏『火花』/トーハン、日販年間ベストセラー

トーハン、日販は2015年の年間ベストセラー(14年11月27日~15年11月26日)を発表した。
総合1位はともにお笑いコンビ「ピース」の又吉直樹氏の『火花』(文藝春秋)で、発行部数は240万部に達した。作品の掲載紙「文學界」(文藝春秋)創刊以来初の増刷、芸人初の芥川賞受賞など、15年を象徴する書籍となり、芥川賞受賞以降は幅広い客層を取り込み、急激に売上を伸ばした。
それぞれ2位はジェニファー・L・スコット氏の『フランス人は10着しか服を持たない』(大和書房)、3位は下重暁子氏の『家族という病』(幻冬舎)だった。
[トーハン調べ]
①『火花』又吉直樹、文藝春秋②『フランス人は10着しか服を持たないパリで学んだ“暮らしの質”を高める秘訣』ジェニファー・L・スコット/神崎朗子訳、大和書房③『家族という病』下重暁子、幻冬舎④『智慧の法心のダイヤモンドを輝かせよ』大川隆法、幸福の科学出版⑤『聞くだけで自律神経が整うCDブック』小林弘幸、アスコム⑥『置かれた場所で咲きなさい』渡辺和子、幻冬舎⑦『新・人間革命(27)』池田大作、聖教新聞社⑧『一〇三歳になってわかったこと人生は一人でも面白い』篠田桃紅、幻冬舎⑨『人間の分際』曽野綾子、幻冬舎⑩『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』坪田信貴、KADOKAWA
[日販調べ]
①『火花』又吉直樹、文藝春秋②『フランス人は10着しか服を持たないパリで学んだ“暮らしの質”を高める秘訣』ジェニファー・L・スコット/神崎朗子訳、大和書房③『家族という病』下重暁子、幻冬舎④『聞くだけで自律神経が整うCDブック』小林弘幸、大矢たけはる、アスコム⑤『一〇三歳になってわかったこと人生は一人でも面白い』篠田桃紅、幻冬舎⑥『置かれた場所で咲きなさい』渡辺和子、幻冬舎⑦『新・人間革命(27)』池田大作、聖教新聞社⑧『智慧の法心のダイヤモンドを輝かせよ』大川隆法、幸福の科学出版⑨『人間の分際』曽野綾子、幻冬舎⑩『感情的にならない本不機嫌な人は幼稚に見える』和田秀樹、新講社

「インバウンド」が大賞を受賞/DIMEトレンド大賞

今年のトレンドを映し出す注目商品、ヒット商品などを表彰する「第28回2015小学館DIMEトレンド大賞」の発表・贈賞式が11月11日に都内で開かれ、大賞の発表が行われた。
大賞に選ばれたのは、外国人旅行客の誘致を推進する様々な体制を整備して、今年9月時点で昨年分を上回る1341万人を達成するなど話題となった「インバウンド」。贈賞式には、旅行客誘致に取り組む国土交通省観光庁の担当者と、同庁が任命する「VISITJAPAN大使」の1人として活躍する温泉エッセイストの山崎まゆみさんが出席。山崎さんは「これからも観光庁、観光地の皆さん、大使の皆さんとともに2千万人、3千万人と外国の方が日本に来ていただけるように頑張って仕事をしていきたい」と語った。
また、「話題の人物賞」は、NHK朝の連続テレビ小説「まれ」の主人公を演じるなど今年を代表するヒロインになった女優の土屋太鳳さんと、ラグビーのワールドカップで活躍した五郎丸歩選手が選ばれた。

上期売上高1・3%減/単体・連結ともに減収増益/トーハン

トーハンは11月27日、第69期中間決算(平成27年4月1日~9月30日)を発表、単体の上半期売上高は2180億9800万円で前年比1・3%減少した。
売上高の内訳は、書籍798億900万円(前年比1・5%増)、雑誌813億5100万円(同5・9%減)、コミック287億6100万円(同2・1%増)、MM(マルチメディア)商品281億7500万円(同1・7%増)。書籍、コミック、MM商品は前年をクリアしたものの、雑誌は長期低落傾向から脱却できなかった。
運賃や荷造費、業務委託料などの販売費削減や一般管理費の抑制により、営業利益は前年比12・4%増の28億1500万円。経常利益は同3・2%増の18億円、中間純利益は同19・2%増の12億8800万円と減収増益の決算になった。
返品率は、書籍が前年比0・5ポイント減の45・6%、雑誌が同1・5ポイント増の48・5%、コミックが同0・8ポイント増の29・0%、MM商品が同0・7ポイント減の11・8%で、総合返品率は同0・4ポイント増の42・2%と悪化した。
書籍は、『火花』(文藝春秋)が大ベストセラーとなり、著者の又吉直樹氏が推薦した商品も好調な売行きを示すなど一般書全体を底上げした。また、教科書学参部門、実用書部門、専門書部門も前年を上回った。コミックは、「TONETSi」を活用した売行き好調の重版商品の仕入れで売上増を図り、MM商品はCD・DVDの不振を他のMM商品やMVPブランドの開発によりカバーした。一方、雑誌は定期購読促進、並列販売、バックナンバー活用などの増売施策に取り組んだが、底上げには至らなかった。
施策面では、約1300書店で客注の積極的な獲得を推進。POSに占める客注占有を1・5%から2・8%まで上昇させ、取扱高も実施前より74・5%増加した。また、外販企画商品の提案増加により、外販部門の上半期実績は前年比18・3%と伸長した。
連結対象子会社14社を含む連結決算は、売上高は前年比1・5%減の2258億2500万円、経常利益は同1・8%減の13億5300万円、中間純利益は同3・9%増の7億2600万円で、単体同様、減収増益の決算となった。
記者会見で川上浩明専務は、下期について①「TONETSV」「スコアV」を活用した店頭売場改善の提案②「ブックライナー本の特急便」利用拡大による客注増加③異業種とのコラボによる「店頭活性化プロジェクト」――の各施策を継続していくと説明、通期で売上4850億円、返品率38・2%を目標に取り組むと述べた。

冬春の新刊書籍を発表/朝井リョウ氏らが自著を紹介/講談社

講談社は11月19日、東京・文京区の本社で「2015年・冬春新刊書籍説明会」を開催。11月以降に出版される新刊書籍を中心に著者・担当編集者らがプレゼンテーションを行った。
冒頭で野間省伸社長は、「前回の説明会では、作家の東山彰良さんがプレゼンした『流』が直木賞を受賞した。今回のプログラムにも、これから大きな話題やニュースになる作品をたくさん取り揃えている」とあいさつ。また、デジタル分野の業績が好調だとして、「『現代ビジネス』の月間ページビューが7月から10月までの4ヵ月連続で過去最高を更新し、新たな読者の獲得に成功している。スマートフォンアプリ『マガジンポケット』は、週刊少年マガジン編集部の若手が1年間議論と検討を重ねた結果生まれた、マンガアプリの決定版だ。ぜひ注目いただきたい」と述べた。
文芸作品では、朝井リョウ氏が新刊『世にも奇妙な君物語』について自ら紹介。テレビドラマ「世にも奇妙な物語」のファンだという朝井氏が映像化を夢見て執筆したという短編5編を収録しており、「ドラマのように、理由もなしにいろいろな行動をする人物を自由に書きたいと思っていた。現代風刺がどの話にも入っていて、この時代に書かれるべき物語としてきちんと書くことができたと自負している」と語った。
この他、『80歳のケセラセラ。いくつになっても「転がる石」で』(小林照子著)、『ミッドナイト・ジャーナル』(本城雅人著)について著者がゲスト出演し自著を紹介した。

中間は減収減益の決算/雑誌売上げの不振が影響/日販

日販は11月25日、第68期中間決算(平成27年4月1日~9月30日)を発表。連結、単体とも減収減益となった。
日販グループ(連結子会社22社)の連結売上高は3051億7900万円で前年比3・6%減、113億4500万円の減収となった。書店店頭での雑誌売上が大きく落ち込んだことが影響した。
損益面では、雑誌の送品減、返品増による減収に加えて、運賃値上げによる運送費増加の影響を受け、営業利益は11億4700万円(前年比12・5%減)、経常利益は13億8000万円(同20・6%減)。親会社株主に帰属する中間純利益は2億8000万円(同56・0%減)と減収減益の決算になった。
単体の商品別売上高は、書籍が前年比25億3700万円減の1123億2700万円、雑誌が同147億3400万円減の1204億3800万円、開発商品が7億6900万円減の152億5700万円で、合計では同180億4000万円減(同6・7%減)の2480億2300万円となった。
返品率は、書籍は前年比0・3ポイント改善して34・1%。雑誌は42・0%で同3・2ポイント悪化した。開発商品は同6・8ポイント増の32・6%で、合計では同1・8ポイント増の38・2%となった。
商品別の売上概況は、雑誌は定期誌、ムックとも売上が大きく減少し、特に月刊の女性ファッション誌は前年比15%前後の落ち込みとなった。書籍は『火花』(文藝春秋)が売上を牽引し、『君の膵臓をたべたい』(双葉社)がヒットするなど文芸書が同2・4%増と好調だった一方、文庫は同8・1%減と苦戦した。コミックは『キングダム』(集英社)が好調に推移したが、『NARUTO』(同)など大型銘柄の完結や、映像化作品が原作の売上に波及しにくかったことが影響し同4・3%減と低迷した。
施策では、PARTNERS契約店の書籍返品率は前年比0・9ポイント改善して38・0%、雑誌返品率は同2・3ポイント悪化し36・7%となった。契約書店と書籍返品率25%を目指す「Attack25」は、返品増の影響で達成は2法人にとどまった。
記者会見で加藤哲朗専務は10月、11月の店頭状況について「書籍は少し良くなっているが、雑誌は相当厳しい」と報告。また、年頭に行ってきた「新春を祝う会」を来年は行わないことを説明し、「日販の方針説明については、全国の取引書店が集まる日販懇話会に統合していく方向だ」と述べた。