全国書店新聞
             

平成17年7月1日号

隣接する新古書売場に疑問の声/ワンダーグー佐賀店

6月にオープンした複合型書店ワンダーグー佐賀店について、佐賀組合岩永理事長が資料を提示して問題点を指摘した。同社はつくば市に本社を置き、関東を中心に全国139店舗を展開するチェーン店。資本金11億3509万円、2005年2月期の売上げは486億2300万円。佐賀店は書籍・雑誌の新刊のほか、新古書、CD、DVD、ゲーム、ホビー、化粧品を取り扱う。
岩永理事長が指摘したのは同じフロアで新刊、新古書が併売されている点。出席理事からも「周辺書店でコミック新刊の売行きが落ちる」「不正返品の懸念があるのではないか」「新刊のポイント2%は値引きではないか」などの声が上がった。
これを受けて丸岡会長は「出版社、取次に情報提供して注意を喚起していきたい」と、日書連の対応を説明した。
再販問題の対応については、6月21日に4カ月ぶりに業界4団体首脳が出席して「出版サロン会」が開かれたことを丸岡会長が報告した。この席で丸岡会長は日書連として読者サービス研究委員会を立ち上げ、読者サービスの観点からポイントカード問題を考えていくという日書連の考え方を説明したという。

景品規約の見直し/小売公取協で作業に着手

出版物小売業公正競争規約の見直し問題で、6月23日に開かれた小売公取協理事会は、①総付景品は7%を堅持していく、②期間制限は「年2回・60日以内」の日数拡大、③景品類に該当するトレーディングスタンプは低率に抑える――とする影山専務理事私案を軸に、検討を行った。
現行の出版物小売業公正競争規約は、前回平成14年7月に改訂された際、施行から3年以内に見直しを行うことが付則に明記されており、この期限が6月末。
理事会では、井門会長が日経の記事を紹介して「電子マネーが浸透し、エディとスイカを合わせたICカードは千八百万枚発行されている。ドラッグストアのマツモトキヨシは8月からポイントを付与。喫茶店のプロントはカード利用で値引きしている。こうした動きが始まると止めにくい。公正取引の基準を決めないとじわじわ浸透する。その点も踏まえて議論してほしい」と述べた。
改定案を説明した影山専務理事は、商店街で実施するトレーディングスタンプの提供について「30店あれば商店街と認められ、現状では7%まで可能となる。例外規定をはずして、低率のスタンプとして制限した方が得策ではないか」と述べた。
これに対し、理事会では「年間60日を超える日数は長すぎる」「1年中できることにならないか」など、現状維持を望む強い発言が出て、井門会長が「今日を議論のスタートとする」と、まとめた。

売上冊数で11%増/書協ネットフェア

書協が4月20日から2カ月間実施した「期間限定・謝恩価格本ネット販売フェア」の結果がまとまった。
第4回目の今回は80社が1118点を出品。前回と比べ社数、点数とも2割増。売上冊数は8150冊(前回比11・6%増)、売上金額756万6141円(同6・4%増)。冊数1位は小学館「アンパンマンのこれなあに」95冊。金額1位は講談社「ディズニーおはなしだいすき」90冊13万2300円。

大阪組合から新理事と常任委員

大阪府書店商業組合は6月11日の理事会で日書連理事1名と常任委員2名を追加選出した。
理事=戸和繁晴(大阪市北区・トーワブックス)
常任委員=矢嶌茂(堺市・向文堂書店)、藤田彰(羽曳野市・ブックプラザ)

常設12、特別4委員会/読者サービス委など新設/日書連

日書連は6月23日午前11時から書店会館で理事会を開き、新年度の委員会編成と正副委員長人事を了承した。常設委員会は総務・財務委員会を分離したほか、流通改善委員会から取引改善を分離して12委員会に、特別委員会は読者サービス研究委員会、書店経営実態調査委員会を新設して4委員会となった。
5月の日書連総会で萬田会長の辞任に伴い丸岡会長が誕生してから1カ月。各種委員会編成は6月14日に開かれた正副会長会議で検討されたあと、23日の日書連6月定例理事会に提案され可決された。
常設委員会のうち、総務委員会と財務委員会は総務・財務委員会を分離。総務委員会は丸岡会長が委員長となり、財務委員会は井門副会長が担当することになった。流通委員会はサプライ・チェーン・マネジメントから、責任販売制、発売日、不公正取引、返品入帳と担当分野が拡大したため、流通改善委員会と取引改善委員会に分離して責任の明確化を図った。
また、特別委員会で「読者サービス研究委員会」は低率のポイントカードも含めて、読者サービス全般を研究していくことになり、委員長に井門副会長が就任した。
もう1つの新設委員会、「書店経営実態調査委員会」は、書店の現状把握のため実施することになっているアンケート調査の項目
作成と集計、分析、問題点の整理を専門に行う特別委員会。高須副会長を委員長、鈴木副会長を副委員長に面屋、鶴谷、小泉、井上の4委員で構成した。
委員長人事では、指導教育委員長に大橋副会長、広報委員長に山口理事(福岡)、取引改善委員長に下向理事(東京)、消費税問題委員長に面屋副会長がそれぞれ就任した。
このほか、日書連事務局長は大川専務理事が兼務。退任した萬田元会長は相談役に、白幡元専務理事は顧問になった。
関連団体人事では日書連共済会会長に丸岡会長。出版物小売業公取協は鈴木喜重、藤原直両氏が新たに副会長に就任、事務局長は日書連大川専務理事が兼任する。
新しい委員会体制の発足にあたって、丸岡会長は「書店の廃業が増えており、組織を維持する意味でも経営実態調査に基づき、問題点を把握したい。ポイントカード問題も総意を集め、景品規約の改正とともに早急に対応する。活字文化普及の取り組みも重要だ。副会長、委員長に仕事を分担してもらい、私は調整役になる。そういう方針で理事会を運営していきたい」と、当面の重点施策と運営方針を説明した。

店頭用ステッカー配布/個人情報保護法の対応策で/6月理事会

〔指導教育〕
4月1日から施行された個人情報保護法の関連について、大橋委員長は「客注伝票の住所、氏名も個人情報に該当する」として、お客様に理解を求めるステッカーを作成し各県組合を通じて書店に配布してもらいたいと呼びかけた。また、同法の解説を本紙に掲載する(4・5面)。
万引き対策では、地域、業界団体で結成する全国組織、NPO法人「全国万引犯罪防止機構」への加入を承認した。
〔情報化推進〕
東京国際ブックフェアの初日に当たる7月7日、東京ビッグサイトで「情報化推進・デジタルコンテンツ研修会」を開催する。各県の情報化推進委員長を対象に、国立情報学研究所・高野教授の基調講演のほか、ジャパンナレッジ、シグマブック、デジタル・ポプラディア、ほんつな、日書連マークのデモと情報交換が行われる。
日書連マークの普及では青森組合鶴谷理事長から「支部を中心に研修会が3巡目に入っており、情報BOXの納入が24校。今年中に50校に届く。青森市で開かれる北日本図書館研修会で日書連マークのデモを行う」と報告があった。
〔スタートアップ〕
日本出版インフラセンターの定時総会が6月22日に開かれ、日書連から理事に井門副会長、運営委員会副委員長に志賀副会長が再任されたと報告があった。
〔組織強化〕
書店経営実態を把握するためのアンケート調査の実施は特別委員会を設置して進めていくことになったが、鈴木委員長は「集計結果の分析をもとに、加入メリットの研究を進めていきたい」とした。
〔流通改善〕
雑誌発売日は全国同時発売を目指し、①3日目地区の北海道、九州を2日目に繰り上げる、②沖縄は週刊誌の空輸を実現するなど日書連の要望5項目をまとめた。また、出版社が雑誌を読者に直送する場合は店頭発売に合わせた送付を求めていく。
雑誌付録、L表示、ムック過剰送本などの問題は取協雑誌研究委員会と7月20日に意見交換を行う。
〔増売運動〕
「心にのこる子どもの本新刊セール」2005年秋の実施案が舩坂委員長から説明され、絵本、読物、あそびと学習、読み聞かせ絵本の4セットを販売目標1980セット、1億3900万円とするとした。各セットには同企画30周年記念の絵葉書セット(6種各20枚)のほか、「第4土曜日はこどもの本の日」店頭のぼりを配布する。
日書連の増売企画、鈴木健二著『読書が日本人を救う』(グラフ社)の申込み状況は6月20日現在で258店、3305冊。
〔読書推進〕
文部科学省の主催する平成17年「絵本ワールド」は、7月16日(土)~18日(月)、金沢市文化ホールで開かれるのを皮切りに、来年3月の仙台まで全国12カ所で開催を予定している。
第4土曜日はこどもの本の日春のキャンペーンを展開している秋田組合では7月2日秋田市、3日横手市で絵本作家とよたかずひこ氏を招いた読み聞かせイベントを行うが、この催しにフルートとピアノ奏者も招きミニ・コンサートを同時開催する。
〔消費税〕
面屋委員長が消費税導入時、5%税率上げの各時期における出版業界の取り組みを紹介し、当面とれる行動を考えていきたいと委員会の方針を説明した。
〔共済会運営〕
日書連共済会地区委員長会議を今年は9月21日午後4時半から文京区のガーデンパレスで開催する。木野村委員長は3年連続で単年度赤字の現状を指摘し、会員増強の協力を求めた。

共済会給付

(17・5・25~17・6・22)▼病気傷害豊島区千早2―13―11我楽多文庫惣中俊第殿
高岡市御馬出町80高岡清文堂書店清水三郎殿
3口
京都市伏見区淀本町173―24淀書房植村竜二殿
三養基郡中原町古賀有岡書店有岡幸俊殿
▼死亡弔慰新宿区早稲田鶴巻町442実業堂井口孟殿
豊橋市呉服町40豊川堂高須元治殿5口
和歌山市元寺町1―69帯伊書店高市績殿3口
御坊市薗207―13いろは書房武田初三殿2口
神戸市長田区長田町2―3―6アイヨ堂書店桑山俊三殿7口
藤津郡太良町多良山下文具店山下隆志殿
亘理郡山本町坂元字館下73引地書店引地晃一殿
▼雪害(倉庫)黒石市大字横町7祖父尼書店祖父尼賢一殿1口5万円
▼地震福岡市中央区天神2―9―110福岡金文堂本店山本太一郎殿2口9万6千円
前原市神在1385―5福岡金文堂前原店山本太一郎殿2口6万円
▼その他被災(自動車飛び込み)石巻市相野谷字飯野川町33かほく書店小関眞助殿3口3万円
同(盗難による建物破損)加須市多門寺82一清堂加須店清宮英晶殿5口5万円
同(日除けテント破損)西東京市東町2―16―22
多摩書店利根英雄殿1口1万円

第51回青少年読書感想文コンクール課題図書

〔小学校低学年の部〕
『ないた』中川ひろたか作・長新太絵、金の星社、『バスをおりたら…』小泉るみ子作・絵、ポプラ社、『ひ・み・つ』たばたせいいち作、童心社、『アリからみると』桑原隆一文、栗林慧写真
〔小学校中学年の部〕
『かげまる』矢部美智代作・狩野富貴子絵、毎日新聞社、『いえでででんしゃはこしょうちゅう』あさのあつこ作・佐藤真紀子絵、新日本出版社、『犬ぞりの少年』J・R・ガーディナー作、かみやしん絵、文研出版、『スズメの大研究』国松俊英文・関口シュン絵、PHP研究所
〔小学校高学年の部〕
『歩きだす夏』今井恭子作・岡本順絵、学習研究社、『空のてっぺん銀色の風』ひろはたえりこ作・せきねゆき絵、小峰書店、『ぼくらはみんな生きている』佐々木洋文・写真、『アレクセイと泉のはなし』本橋成一文・写真、アリス館
〔中学校の部〕
『秘密の道をぬけて』ロニー・ショッター著・中村悦子絵、あすなろ書房、『魔の海に炎たつ』岡崎ひでたか作・小林豊画、くもん出版、『甦れ、ブッポウソウ』中村浩志著、山と渓谷社
〔高等学校の部〕
『村田エフェンディ滞土録』梨木香歩著、角川書店、『天国の五人』ミッチ・アルボム著、NHK出版、『アフガニスタンに住む彼女からあなたへ望まれる国際協力の形』山本敏晴著、白水社

2ヵ月連続で前年割れ/コミックのみ好調を維持/日販調べ

日販経営相談センター調べの5月期書店売上げは平均98・7%で、4月の98・0%を若干上回ったものの2カ月連続で前年割れとなった。
ジャンル別で前年を上回ったのはコミックの5・0%増だけで、先月の3ジャンルを下回った。規模別では各クラスで揃って前年割れ。40坪以下、41~80坪は8カ月連続の前年割れが続いている。
コミックは5カ月連続の前年クリア。「フルーツバスケット」(白泉社)の新作、CLAMPの「ツバサ」「×××HOLIC」 (講談社)が好調。
文芸書は90・0%で前年を大きく下回り、5カ月連続の前年割れ。「世界の中心で、愛をさけぶ」がヒットしていた前年の反動を受けた。
5月の客単価は平均101・9%の1085・6円。

白幡元専務理事「囲む会」に45名

5月の総会で日書連専務理事を退任した白幡義博氏を囲む会が6月17日夕、神楽坂の日本出版クラブ会館で開かれ、日書連、書協、雑協、取協など各団体事務局を中心に45名が出席。42年に及ぶ勤続に感謝と御礼の言葉を贈った。

ISBN国際分担金700万円を確保/JPO

日本出版インフラセンター(JPО)は6月22日、東京・神楽坂の日本出版会館で定時総会を開催。その後、定例記者会見を開き、平成17年度も経済産業省の電子タグ実証実験事業の公募に応募することや、役員改選期にあたり相賀昌宏代表幹事をはじめ全役員を再選したことを発表した。
ICタグについては、ICタグ研究委員会の装着ワーキンググループに新たにコミック製作部会を設置、今後この部会を中心に装着方法などの検討作業を進めることが報告された。また、経済産業省が中心になって進めている、1個5円の電子タグ実現を図る「響プロジェクト」との意見交換の交渉窓口も担当する。
ISBNコードについては、07年からの13桁化、web上のデジタルコンテンツに対する付与基準、国際分担金の負担願いについて、登録出版社・者に文書を送付したと報告があった。ISBNコードはこれまでドイツ連邦共和国国立図書館とプロイセン財団の費用全額拠出で運営してきたが、今年度から本部がイギリスに移転。これに伴い、各国機関は年会費を支払わねばならなくなった。日本に割り当てられた年会費は2年間に限り1万8千ユーロ(日本円で約250万円)。「今日まで700万円の入金があった。3年分の原資は確保できた」との見通しが示された。

新理事長に大澤孝輝氏選出/群馬総会

群馬県書店商業組合は5月24日、前橋問屋センター会館に於いて第18回通常総会を開き組合員55名(委任状を含む)が出席した。総会は石坂理事(事務局)の進行で始まり、高塚副理事長を議長に議案審議に入り、平成16年度事業報告・決算報告、17年度事業計画案・予算案などを原案通り承認可決した。
続いて高橋前理事長の辞任に伴う新理事長及び新理事の補選に入り全員一致で新理事長に大澤孝輝氏(天華堂書店)、新理事に小林卓郎氏(煥乎堂)を選出した。大澤氏は大変厳しい環境ではあるが故高橋徹氏及び高橋元理前理事長には大変お世話になり恩返しのつもりで理事長を引き受けるとの挨拶を行った。議事終了後、中小企業団体中央会の石井暁振興課主事より祝辞をいただき閉会した。
(竹内靖博広報委員)

日書連長尾情報化専門委員招き研修会/山形組合

山形県書店商業組合は6月16日午後1時半から山形市ウェルサンピアで、㈱教育システム・長尾幸彦氏(日書連情報化推進委員会専門委員)を講師に迎え「学校図書館システム研修会」を開催した。
4回目の開催となるが、今回は対象を学校の先生まで広げ、各教育委員会へのダイレクトメール、組合員の学校訪問、組合ホームページへのアップ等で「日書連マーク」と「図書館システム」の啓蒙を図った。参加者は学校関係者11名・書店組合員26名と過去最大の参加者となった。
研修会は2部構成。1部は「情報ボックス」の活用やバーコード書誌登録のやり方を先生方に実際にパソコンを使ってやっていただいた。2部は組合員のみで、県内の実際の「図書館システム」の活用報告、促進方法、図書装備のやり方、納入の仕方などの研修を行った。新聞社等のマスコミ取材も入り、「学校図書館の情報化」への県民の関心を感じた研修会だった。(五十嵐靖彦広報委員)

支払いサイト90日に/延長要請の決議文採択/青森総会

青森県書店商業組合は5月19日、青森市・アラスカ会館で通常総会を開き、書籍の仕入代金の支払いサイトを書籍の平均売上回転率である年4回転に整合する平均90日(3ヵ月)に延長するよう要請する決議文を採択した。
この決議文は、小売業の仕入れ価格と販売価格は一般的に①売上回転率の高い商品はマージンを小さく、低い商品はマージンを大きくする②支払いサイトの長い商品はマージンを小さく、短い商品はマージンを大きくする③買取商品はマージンを大きく、委託商品はマージンを小さくする④マージンが変わらない場合は商品の売上回転日数に合わせて支払いサイトを決める――が、現在行われている書籍の販売価格・正味価格・支払い条件はこの法則に則っていないため、書店のキャッシュフローが悪化する大きな原因となっているとして、支払いサイトを90日に延長するよう求めている。
総会であいさつした鶴谷禄郎理事長は「平成17年度は組合員にすぐ還元できるような組合員の役に立つ事業を行う。不景気の時代の書店をどういうふうにもっていくか、取引条件の洗い直しを行いたい」と意気込みを語った。
また、万引き防止キャンペーンを6月1日から8月31日までの3ヵ月間、組合加盟全書店で実施することを決めた。2種類のポスターを店内に掲示、声かけなどの対応を行い、万引きは犯罪であること、場合によっては損害賠償請求を行うことなどを訴える。このほか平成17年度は青森県書店共同化機構の研究、設立に取り組み、組合事業では制約のある部分を乗り越え、書店協業化を目指す。
(黒滝恭一広報委員)

読みきかせらいぶらりい/JPIC読書アドバイザー・八巻聡子

◇2歳から/『ここよここよ』やぶうちまさゆき=絵/かんざわとしこ=文/福音館書店571円2003・1
どこにいるの?という問いかけに「ここよここよ」と愛らしい動物の赤ちゃんが次々とおかあさんのおなかから、背中から、顔をのぞかせる。思わず撫ぜたくなる、細密なのに暖かい絵はみるほどに魅せられる。「ここにいたね」と幼い子どもと一緒にゆっくりとページをめくりたい。
◇4歳から/『ひな』瀬川康男=作/童心社900円2004・10
ちいさなこいぬのひなには世界がみな新しい。好奇心と愛情をストレートにあらわすひな。それをすべて受け入れる少女。親と子、人と人、理屈や知識を脱いでみるとこういうこと。人をおもうってこういうこと。生きるってこういうこと。
◇小学校低学年向き/『うしとトッケビ』ハン・ビョンホ=絵/イ・サン=文/アートン1500円2005・3
トッケビとは韓国の妖怪。まきうりのトルセはある雪の日にやせ細って傷ついたトッケビに出会う。「暖かくなるまで牛のおなかに住まわせて」という頼みを迷いつつ聞き入れてやることに。さて、約束のふた月がたつが…。力強く美しい絵の中に漂うユーモアに子どもたちもクスリ。

図書館研修会に24名/福岡北九州支部

福岡組合北九州支部は6月10日、トーハン北九州支店で「図書館研修会」を開き、24名が参加した。
組合員の学校図書館への取り組みを強化するために開いたもので、中尾隆一氏(日書連情報化推進委員会専門委員)ら指導員4名を中心に、日書連МARC利用法のノウハウや、トーハン「本の探検隊」のデモと実習、FJナノについての協議・質問などが行われた。

個人情報保護法について/日本書店商業組合連合会

高度情報通信社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大したため、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益の保護を目的に個人情報保護法が制定されました。この法律は事業活動の為に5000人分を超える個人情報を持つ企業や団体(個人情報取扱事業者)を対象に、個人情報の取り扱いに関する必要最小限のルールを定めたもので、事業者は①利用目的を出来る限り特定する、②不公正な手段で入手しない、③本人に対し利用目的の明示や公表を行う、④情報漏洩の防止、⑤本人の同意なしに第三者に提供しない等のルールを守らなければなりません。平成17年4月1日の施行以降、個人情報を入手した時には利用目的の通知が必要となり、内容に間違いがあれば訂正、不正があれば利用停止や消去しなければならなくなりました。義務に違反すると「助言」「勧告」「命令」等の措置が取られ、この命令に従わなければ「6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金」となります。

〔Ⅰ個人情報保護方針(プライバシーポリシー)〕
日本書店商業組合連合会は個人情報保護の重要性を認識し、以下の方針に基づき個人情報の保護に努め、組合員に対し積極的に啓蒙活動を行う。
1個人情報の取得について
個人情報を取得する場合は利用目的を提示した上で適法かつ公正な手段によって個人情報を取得します。
2個人情報の利用について
取得の際に示した利用目的の範囲内の個人情報を利用します。
3個人情報の第三者提供について
事前に本人の同意を得ている場合や、法令に定める場合を除き個人情報を第三者に開示・提供しません。
4個人情報の管理について
個人情報を最新かつ正確な状態に保ち、かつ安全に管理します。
5個人情報の開示・訂正・利用停止・消去について
本人が自己の個人情報について、開示・訂正・利用停止・消去等の請求がある場合には速やかに対応します。
6組織・体制について
個人情報保護については指導教育委員会が担当し、適正な個人情報の取扱いを組合員に周知・徹底します。
7個人情報保護体制の維持・改善
個人情報を取り扱うに当たり個人情報に関する法令を遵守し、かつ、この基本方針を継続的に見直し、改善に努めます。

〔Ⅱ個人情報取扱事業者の法規制一覧と条文の内容・語彙〕
A語彙
〔個人情報〕
生存する個人に関する情報(識別可能情報)で氏名・生年月日その他の記述によって特定の個人を識別できるもの(個人を特定しえる一切の情報)
(例)氏名生年月日住所自宅や携帯の電話番号FAX番号メールアドレス(一部呼べないものもあるが実務上は個人情報として取り扱うべき)未婚・既婚の別子の有無職業勤務先とその住所・所属課名会社電話及びFAX番号社員番号パスポート番号銀行の口座番号クレジットカード番号個人の住所録防犯カメラに写った個人を特定できる映像
又以下の個人に係わる部分(客注伝票定期予約注文票定期予約台帳定期購読申込書取引先名簿台帳各種契約書支払伝票請求書や社員・パート・アルバイトの給与明細書・健康診断書・履歴書)等
〔個人データ〕
個人情報データベース等を構成する個人情報。個人情報をデータベース化し、容易に検索する事ができるよう体系的に構成したものを「個人情報データベース等」と呼び、これを構成する個々の個人情報のことを「個人データ」と言う。
(例)PCで管理している顧客名簿・取引先名簿自社の社員名整理された名刺メールソフトのアドレス帳等
(個人データとならない例)整理されていないアンケートハガキや名刺市販のCD―ROM電話帳等
〔個人情報取扱事業者〕
個人情報データベース等を事業の用に供している者
〔保有個人データ〕
個人情報取扱事業者が開示、訂正等の権限を有する個人データで6カ月以内に消去する事となるもの以外のもの
B法規制一覧
(図1参照)
C個人情報取扱事業者の義務と責任
1利用目的の特定(第15条)
個人情報を取り扱うに当たり、その利用目的を出来る限り限定する。
2利用目的の制限(第16条)
あらかじめ本人の同意を得ないで必要な範囲を超えて個人情報を取り扱ってはならない。
3適正な取得(第17条)
不正な手段で個人情報を取得してはならない。
4利用目的の通知(第18条)
個人情報の取得に際しては利用目的を本人に通知しなければならない。
5正確性の確保(第19条)
データは正確かつ最新の内容を保つよう努める。
A従業員の監督(第21条)
B委託先の監督(第22条)
6安全管理(第20条)
安全管理のため必要な措置を講じる事
7第三者提供の制限(第23条)
本人の同意を得ず第三者に個人データを提供してはならない。
8開示(第25条)
開示を求められた時は遅滞なく開示しなければならない。
9訂正(第26条)
訂正、追加、削除を求められた時は、必要な調査を行い内容の訂正等を行なわなければならない。
10利用停止(第27条)
本人より当該保有個人データの利用の停止又は消去を求められた場合、必要な限度で遅滞なく利用停止等を行わなければならない。
11苦情の処理(第31条)
個人情報取扱事業者は苦情の適切かつ迅速な処理に努めなければならない。
12罰則
(第56条)命令に違反した場合6カ月の懲役または30万円の罰金。
(第57条)不報告または虚偽の報告30万円以下の罰金。

〔Ⅲ書店の対応策〕
1個人情報の利用目的を特定し、その目的の達成に必要な範囲内で、適正な方法で収集する。必要性の低い個人情報は取得しない。
2個人情報を提供いただく際は、その利用目的を本人に「明示」する。
3利用の済んだ個人情報及びデータベースは、速やかに廃棄して下さい。
4個人情報を廃棄する際は、情報内容が識別出来ないよう、シュレッダー、焼却、破壊などを行って下さい。(データは消去した上で廃棄して下さい)
5必要な場合を除き個人情報をデータベース化しないで下さい。
66カ月を超えて保有・利用するデータベースは、定期的に見直して情報内容を更新あるいは不要部分を削除し、又新たな情報の追加は要・不要を充分検討した上で行って下さい。
7個人情報を含むデータ等については施錠できる保管場所を決めて、破棄まで安全に保管して下さい。
8第三者(名簿業者等)へ、情報を提供したり、開示は行わないで下さい。
9情報の授受、保管、廃棄を外部に委託する場合は必ず委託契約書を締結し、その中に授受、保管、廃棄のルールを盛り込み委託先における個人情報の管理体制を厳正にして下さい。
10従業員・パート・アルバイトの方にも個人情報の留意点を徹底して下さい。
11社内において個人情報の担当者を決めて下さい。
12個人情報の改ざん、漏洩、不正な進入などを防止する為の合理的な諸施策を講じて下さい。
13個人情報の保護のために必要な措置を継続的に見直し、その改善に努めて下さい。

〔Ⅳ客注スリップの対応について〕
出版業界はスリップ等によりお客様の情報を共同で利用しています。書店で起票されたスリップは取次、出版社に流れ、スリップに書かれた氏名・電話番号等の個人情報を取次や出版社の担当者も知る事となります。お客様に不信感をもたれない様充分な対応をお願い致します。(関連条文法第23条)
〔法第23条第4項第3号〕
個人データを特定の者との間で共同で利用する場合は、その旨並びに共同して利用される個人データの項目、共同で利用する範囲、利用する者の利用目的及び当該個人データの管理について責任を有する者の氏名又は名称について、あらかじめ「本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置く事」とあります。
①共同利用行為については、これに対応する為に日本書店商業組合連合会は『シール』を作成しました。これをレジカウンターや注文受付所で貼付してお客様にご理解をいただくようお願い致します。
②シールの文面は『お客様の住所・氏名などの個人情報はご注文品の出版社・取次会社への手配、入荷のご連絡及び新刊書籍・定期購読雑誌のご案内をするために利用させていただきます。ご理解いただきますようお願い申し上げます。日本書店商業組合連合会加盟店』です。
③客注スリップの取扱いは充分な管理を行い、お客様のご注文で知り得た個人情報は他の目的(他の商品のダイレクトメール等)に使用しないで下さい。又自店の販売促進に活用する場合は充分な配慮をして下さい。
④お客様のご注文で知り得た個人情報を第三者に提供しないで下さい。
⑤お客様にご注文頂いた書籍を渡し終わった注文スリップは破棄して下さい。

〔Ⅴ罰則〕
罰則は以下の手順となります。(図2参照・4頁右下)
個人情報保護法に違反し、加罰になりますとお店の信用がなくなったり、場合によりお客様より損害賠償を要求される事があります。ご注意下さい。

〔ⅥQ&A〕
Q1住所だけでも個人情報になりますか?
A1住所単独では個人情報とはなりません。但し氏名その他の情報と容易に照合でき、それによって特定の個人を識別できれば、その情報と併せて全体として個人情報となるため、ケースバイケースでの判断が必要です。
Q2個人情報データベース等を「事業の用に供している」とはどのような範囲範をいいますか?
A2「事業の用に供している」とは一定の目的のもとに反復継続し、社会的に事業として認められる情況にあるものをいうのであって、日常生活で利用する場合や他人が一般的に提供するサービスを単に利用する場合は、事業の用に供していることにはなりません。
Q3企業間取引の場合に相手方企業の担当者の名前を管理していますが、これも個人情報となり、法の適用を受けますか?
A3個人情報となり、法の適用を受けます。
Q4著者名、書名の書誌情報は、個人情報になりますか。またホームページ上に著者略歴を紹介する場合はどうですか?
A4個人情報になります。出版社が著者名、書名等を個人情報データベース等(出版目録を含む)にしている場合、およびその個人情報を第三者に提供している場合は、法の適用を受けます。又著者略歴を紹介する場合も同様です。ただし、実際には利用目的が著者にも明らかですので「みなし同意」として取り扱う事が可能です。
Q5利用する個人情報データベースにある個人の数が5&#44