全国書店新聞
             

平成24年11月15日号

6氏に黄綬褒章

秋の褒章で全国教科書供給協会から以下の6名の方々が黄綬褒章を受章した。伝達式は11月13日、東京・千代田区の如水会館で行われた。
▽木村愼一郎(福島・木村書店)▽根岸勇三(東京・埼玉屋書店)▽河村忠篤(三重・文華堂書店)▽山本喜朗(和歌山・山松文具)▽三木正邦(岡山・三木書店)▽小村治男(島根・小村書店)

2日間で3540万円販売/神保町ブックフェスティバル

「愉しい、嬉しい。本の街」をテーマに、第22回神保町ブックフェスティバル(神保町ブックフェスティバル実行委員会主催)が10月27日、28日の2日間、神田神保町すずらん通り、さくら通りや小学館、集英社前広場で開かれた。
汚損本や自由価格本を販売する「本の得々市」はすずらん通りを中心に開催。小学館前広場では児童書ワゴン本セールが行われ、同時開催の「神田古本まつり」とともに大勢の読者が詰めかけた。出店したのは出版社129社161ブース、書店や地元商店街が29ブース、大活字本が5ブース。売上は初日2520万円、2日目1020万円、合計3540万円となった。
27日午前10時半から行われたオープニングセレモニーでは、大橋信夫実行委員長(東京都書店商業組合理事長)が開会宣言。千代田区の石川雅己区長、文字・活字文化推進機構の肥田美代子理事長、日本児童図書出版協会の竹下晴信会長ら関係者によるテープカットとくす玉割り、明治大学応援団のパレードで開幕した。
期間中は、チャリティオークション、作家サイン会や講演会、ドラえもんシールラリー、講談社本とあそぼうおはなし隊の読み聞かせなどの楽しいイベントが行われた。

客注品の迅速配送などを実験/第二期FBF書店活性化事業

日本出版インフラセンター(JPO)は経済産業省委託事業「第二期フューチャー・ブックストア・フォーラム(FBF)」の活動状況について、10月31日に東京・新宿区の日本出版会館で記者会見を行い、取次の特急便で宅配便を利用した場合の客注商品の配送迅速化や、楽天が持つ在庫と配送システムを用いた客注商品・在庫補充調達などの実証実験を行うと発表した。
第二期FBFは、「ネット書店に負けないリアル書店の活性化」を全体目標に掲げ、①「客注商品の迅速配送研究」(リーダー=トーハン・谷川直人取締役)②「書店ブランドを活かした新ビジネスモデル研究」(リーダー=大垣書店・大垣守弘社長)③「リアル書店の新業態研究」(リーダー=本の学校・星野渉副理事長)の3つのワーキンググループ(WG)を設置して検討を進めている。
第1WGは①店頭に設置するデジタル端末機による注文・予約受付の仕組み、②客注商品に関して、スピード納品とコスト軽減の仕組み、③読者が希望する配達先まで配送する仕組み、④業界横断的な客注商品配送インフラ構築――の4点について検討。この中で、客注商品の店着スピードアップと着荷確約について実証実験を行う。現在の出版輸送ルートでの注文品調達日数を調査するとともに、既存の取次特急便を、宅配便の利用によって迅速化した場合の配送サービスを検証。また、在庫の有無や出荷可能数量、納入可能日数等の出版社在庫情報を書店・取次が共有し、取次非在庫商品の着荷確約が実現できるかについてもテストして、スピードアップ実用化のためのコスト負担の検討を行う。
第2WGは、①書店が個々に運営しているバックヤードの仕組みを統合し、共同仕入れ・共同保管等を実現する仕組み、②リアル書店とネットとのシナジー効果を発揮する仕組み――の2点の検討を進める。この中の研究として、楽天が持つ在庫と配送システムを活用して客注商品の調達や在庫補充をする実証実験を行う。実験に参加するのは、今井書店、大垣書店、啓文社、啓林堂書店、廣文館、田村書店、なにわ書房の7法人82店舗。10月16日から一部書店で実験のトライアルが行われ、11月1日から順次実験をスタート、来年2月末まで実施する。
第3WGは、①書店が地域における文化の発信基地となることを目指す、②既存の商習慣に捉われない新たな書店の魅力を追求、③書店の経営が成り立つ取引・流通制度の実現、④書店人・書店経営者の教育についての研究――の4点をコンセプトに活動を進める。来年以降の第三期FBFにおいて新業態モデルのトライアル店舗を立ち上げ、書籍買切モデルなど書店の利益改善策の実証実験を行うことを目標とし、年内は外部ゲストを招いて新業態モデル案についての知見を深め、年明けから具体的なコンセプトの検討を始める。このほか、書店における電子書籍販売モデルについても検討を進めていく。

目標セット数を達成/書店再生の増売企画/東京組合

東京都書店商業組合は11月2日に書店会館で定例理事会を開催した。各委員会の主な審議・報告事項は次の通り。
〔書店再生委員会〕
日書連が実施する「書店再生のためのロングセラー、実用書増売企画」は、目標セット数121に対して受注数が130にのぼり、目標をクリアしたことが報告された。
〔総務・財務委員会〕
平成25年1月以降の理事会等の日程を以下の通り決定した。
▽理事会=1月休会、2月4日(月)、3月4日(月)、4月4日(木)、4月25日(木)臨時理事会、5月休会
▽新年懇親会=1月16日(水)午後5時半から、東京ドームホテルで開催
▽総代会=5月22日(水)午後1時半から、ホテルメトロポリタンエドモントで開催
〔事業・読書推進委員会〕
読者謝恩図書カードは、出版社13社14口の協賛を得て、1万4千枚を発行・販売する。
増売企画は、徳間書店「美木良介のロングブレスダイエット」、ぴあ「グルメ本フェア」について、担当者が理事会終了後に企画説明を行った。また、あかね書房「トリックアート図鑑ペーパークラフト」、青月社「しゃべらない会話術。」について増売の協力要請があった。
〔取引・流通改善委員会〕
TS流通協同組合の10月期発注件数は5834件(前年同月比76・6%)、売上金額は583万1073円(同78・1%)、書店数は57書店(同89・1%)となった。TS流通協同組合の総会は、11月28日(水)午後4時から書店会館で開催する。

うみふみ書店日記/海文堂書店・平野義昌

朝から私の頭の中は、都はるみの「大阪しぐれ」が鳴りっぱなしでした。ある集まりが大阪北新地であるからです。ウキウキして定時で退店、JRに飛び乗ります。イヤホンは装着しておりませんが、はるみさんがしっとりとエンドレスで歌い上げてくれます。
えー、それで何の集まりでしたか?そうそう「仏教書目録刊行会」の「中村元・生誕百年」のブックフェアです。出版社の皆さんは、松江の「中村元記念館」を訪問、その帰途、大阪で下車されました。お疲れさまでございます。おなじみの方、初対面の方、楽しく過ごさせていただきました。参加女性三人のうち二人はわがGFでした。もう1人もGFに勝手に登録させてもらいました。はしゃぐと失敗しますな。お店に忘れ物をして、2日連続の北新地ネオンシャワーとなりました。
古本屋のご主人が【海】のことを書いてくださっています(註1)。【海】のイベントにも協力してくださり、常設棚もあります。「私が神戸に行くのは海文堂書店に行くということであり、トンカ書店に入るということだ」。【海】では新刊、古書、両方楽しめると。また、「店長も店員さんも楽しそうな仕事ぶりで、それを眺めるのも好きだ」とまで。嬉しいお言葉です。でもね、ヒネクレ・ヤサグレ者が約1名おりまして、「自分は楽しくない」と拗ねております。
同じ本で懐かしい文章もあります。椎名誠「さらば国分寺書店のオババ」。のちに著者の初エッセイ集のタイトルにもなりました。無くなってしまった古本屋のオババは客のマナーにうるさいのです。実はその棚にはオババの「本格派書店根性」が込められていたと追想しています。たとえば、時代小説と歴史小説がきちっと区分けされていたのです。私は新米の頃に読んで、分類さらに区分けということを知ったのでした。今、棚を眺めてみますと、オババのような「根性」のカケラもありません。
プロとは「志」でありましょう。創業42年の経済研究書専門出版社社長の本です(註2)。先輩と設立、何度もピンチを乗り越えて10年目には社員20名超になりました。しかし、倒産の危機です。取引先の支援を得ますが、社員は3名に。尊敬する経営者に「そんな会社にかかわるな」と忠告されても、「これが私たちの生きてきた会社だ」と踏ん張りました。
「専門書は貧乏な出版社、貧しい著者には出せなくなるか、相当な厳しさが要求されるだろう、と悲しい予感のなかに生きてきた。やめずにいられた訳は、難しいことではない。われわれが貧苦に堪えながらも出版に対する責任を果たそうとしてきたこと、その姿勢に多くの研究者が協力や助力を惜しまずに提供し続けてくれたからだ、と思っている。著者は客ではない。同志なのだ。著者と読者の仲立ちこそわれわれの仕事なのだ」
専門書小出版社の悪戦苦闘・善戦健闘の記録です。
出版はお金のかかるものでした。手書き、写本から、木版で印刷できるようになっても、それぞれの工程に専門家が必要、少部数で莫大なコストでした。儲かるはずがありません。著者は「印税」などなく、経費を全額負担しました。それでも「本を出したい」のか?
「理由は1つです。『この本を出して、世の人達にいろいろなことを知らせたい』です」(註3)。【海】には第2代社長の言葉が残っています。「よい書籍と雑誌を出版しよう。でき得れば利益を得たいが、やむを得なければ損をしてもよい。出版の文化的使命は重い」
突然ですが、ご挨拶。次回をもちまして、私の本紙での担当を終了させていただきます。では次回。
(註1)『古本の雑誌』所収・山本善行「関西古本屋ガイド」本の雑誌社
(註2)栗原哲也『神保町の窓から』影書房
(註3)『ちくま』11月号所収・橋本治「古典を呼んでみましょう」筑摩書房

京都組合が店頭活性化勉強会/平台の陳列方法学ぶ

京都府書店商業組合(中村晃造理事長)は8月29日、京都市中京区の書店会館で店頭活性化勉強会を開催した。今回は講師を招かず、組合員を対象に募集した参加者が、日々の売上向上のため努力していること、創意工夫しているアイデアなどを意見交換する形式を採った。
勉強会の主なテーマは、レジ前の平台の陳列方法とその効果。書店店頭で売上を左右する重要な販売スペースである平台について、参加者から「回転率よりも高額本の陳列が効果的」「立地や客層から自店の特徴を活かした商品陳列にすべき」などの意見が出た。
また、テレビ番組で紹介されるような即時性が求められる情報の事前収集については、情報を得ようとする者がそれぞれ役割分担して機能的に確立することで、得た情報をメールやインターネットのコミュニティサイトなどを利用して共有する可能性を探った。手段については次回以降の勉強会で検討する。
勉強会を企画した黒澤靖委員長は「電子書籍の台頭により、出版業界ではない異業種の相手と対峙しなければならない状況にある。今こそ書店が結集し、持っている知識とアイデアを共有し、町の本屋力の底上げを目指す必要がある。今後も書店組合の同志が集まって勉強会を重ねたい」と話した。(澤田直哉広報委員)

出版協の申入れに具体的な回答せず/ポイント10%中止など/アマゾン

日本出版者協議会(出版協=旧・流対協)は11月6日、アマゾンジャパンと10月17日に面談し、①「AmazonStudent」プログラムの10%ポイント還元特典を速やかに中止すること②価格表示について再販対象書籍については「定価」と表示すること――を申し入れ、アマゾン側から同31日に文書で回答があったと発表した。
文書はアマゾンジャパン・渡部一文メディア事業部門長名で、申入書の2点に具体的に触れることなく、「申入書記載の事項に関して、弊サイトとしては個別の契約内容に関して貴会に対しご回答する立場にはないと考えておりますので、何卒ご理解賜りたく宜しくお願いいたします」との内容だったという。
出版協側は「具体的に申し入れた2点について回答になっておらず、まったく誠意が感じられないもの」と反発。書籍小売業界トップ企業のアマゾンが出版界全体に及ぼす影響は大きく、率先して再販契約の遵守をはじめ日本の法令を守ることは当然と主張。申し入れた2点について改めて説明と申し入れを行い、取次や公取委に対してもアマゾンのサービスに関する申し入れ、調査を求める予定としている。

公約7項目、着実に前進/活動充実、財政健全化へ/兵庫総会

兵庫県書店商業組合は10月16日、明石市のホテルキャッスルプラザで第24回通常総会を開催した。
総会は中島良太専務理事(三和書房)の司会で進行。冒頭あいさつで山根金造理事長(巌松堂書店)は「理事長就任から1年がたち、理事長職の重責を実感している」と、前任者の苦労をねぎらった。また、年間総括では、①財政の健全化②組合組織の定義づけ③理事会をワクワクする、思わず参加したくなる会に変える④若手が活躍する場を作る⑤支部活動の充実⑥組織強化⑦組合員への広報の充実――の7つのマニフェストを掲げて取り組んできたことを報告。「まだ不十分だが少しずつ前進している」と手応えを語り、理事に更なる協力を求めた。
引き続き、三上一充氏(三上尚文堂)を議長に選んで議案審議を行い、事業報告、収支決算報告、事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り可決した。
今期の目玉事業「読んで、聞いて、行ってみて『神話の世界』古事記三昧」の講演会とバス旅行については、成功するよう取り組むことを確認した。組合財政の健全化については、引き続き節約に努めるとし、理事会の開催を年10回から8回に減らす方針を示した。また、長年にわたり全国書店新聞のコラム「うみふみ書店日記」を担当した平野義昌氏(海文堂書店)の労をねぎらいたいとの提案があり、理事会で検討することになった。
最後に大橋洋子専務理事(流泉書房)の音頭で全員でスローガンを唱和し閉会した。
総会終了後、同会場で懇親会を開催。書店27名、出版社11名、取次6名、総勢44名が出席。来賓を代表して神戸新聞出版センターの吉見顕太郎社長があいさつし、日販神戸支店の重野美信支店長の発声で乾杯した。参加出版社は自己紹介と自社PRを行い、『日本を読もう、わかる古事記』を刊行している西日本出版の内山正之社長が講演した。(安井唯善広報委員)

パネルディスカッション「日書連広報活動のあり方」/全国広報委員会議から

10月17日に開催した日書連全国広報委員会議では、「日書連広報活動のあり方」と題してパネルディスカッションを行い、全国書店新聞への記事投稿や、各組合独自で運営する広報紙誌・ホームページ・FAX通信など、組合員への情報発信の取り組みについて話し合った。パネリストは、北海道・高橋千尋氏、宮城・佐々木栄之氏、京都・澤田直哉氏、兵庫・安井唯善氏、福岡・西村勝氏の各広報委員。コーディネーターを小泉忠男本部委員が担当した。
〔書店新聞の紙面で組合活動をPR〕
小泉始めに、書店新聞への記事を書くときに心掛けていることや、工夫していることを教えていただきたい。
安井兵庫の方に書店新聞を通じて、「兵庫組合はこういう活動をしているので一つでも自店に取り入れられることがあったらやってください」という思いで書いている。
高橋事務局を使って投稿しているが、会議のことをそのまま書くのではなく、後で理事長にインタビューしたり、あいさつ原稿を確認して、意向が記事に反映されるよう指示して書いてもらっている。
佐々木総会、新年会と震災の記事を書いた。総会と新年会に関しては、会が行われた後忘れないうちに書くよう心掛けている。壇上であいさつする人は日頃理事会などで話している内容を話すことが多いので、キーワードをメモしておき、後でそれを思い起こして書くようにしている。
西村なるべく旬のうちに記事を書くようにしている。また、取材に行けなかったり遠かったりする場合は、現地の委員何人かに、内容を設定して取材を依頼し、それをまとめる形で記事を書くようにしている。澤田書店新聞を通じ、京都組合がどういう活動をしているのかを全国の書店に知らせることができる。もう一つは、自分の所の組合員に活動を伝える絶好の場であるということを常に意識している。自分の店が参加していないイベントであっても、「組合が頑張ってるな」と新聞で知ってもらえるのは、投稿する大きな理由になる。小さな勉強会や講演会でも必ず投稿するようにしている。
小泉書店新聞で書きたい記事や、やりたい企画の提案を。
佐々木当社は外商をやっているが、外販で「これがいけそうだ」というアイデアを書店新聞に出せば、全国で売上が伸ばせるお店があるのではないかと思った。また、書店と取次は個別に様々な取引形態を持っているが、そういった情報を集めれば、日書連の活動の中で有効に使えるのではないか。
西村いろいろなタイプの書店にエッセイを書いてもらう。自店で工夫していることや、旅行に行った時にこれが面白かったといったことを書いてもらい、次の店を指名してリレー形式で原稿をもらったらどうだろうか。
高橋「ベストセラーを置かない本屋」という記事が先日書店新聞に載ったが、どのように差別化をして書店を経営してるかということを紹介してほしい。
澤田各組合が何に力を入れて取り組んでいるのかを、同じ視点、同じ切り口で紹介する。編集部から提案し、各広報委員が提出することで実現できると思う。シリーズ企画として取り組んでもらえれば、また違う形で組合員に自分の組合の活動を発見してもらえるのではないか。
安井いま兵庫組合では全県を挙げて「古事記」フェアに取り組んでいる。各県でそれぞれ工夫した企画があると思うので、編集部から声をかけてもらって、こんなことができるんだというヒントになるような紹介ができたらと思う。
〔組合活動に参加したくなる報道を〕
小泉東日本大震災の被災地支援に関して、広報委員会や書店新聞の果たすべき役割について意見を。
佐々木被災地の書店はどうしても自分のことを含めて書かざるを得ないということがあって、むずがゆい部分がある。今、被災地に図書を寄付する「げんきプロジェクト」が行われているのだが、もっと被災書店が受注できるように盛り上げてもらえたらと思う。
安井兵庫の震災も17年前になるが、まだ空き地のまま残っているところがある。この度の震災は放射能の問題があり、また被害が多くの県にわたっていることもあって、多大なご苦労があると思う。山根理事長が東北の被災地に支援に行ったので、記事を投稿した。東北の書店さんが頑張っている、皆で応援しようということが書店新聞を通じてできればと思う。
本紙・白石隆史編集長震災後、5月上旬に宮古市の書店を取材したが、あまりの被害に驚いた。日書連や出版業界に対してどういったことを望むかを聞いて紙面に載せていかなければいけないと思った。今後も被災地の書店の声を届けていきたい。
小泉地元と日書連が連携しあって皆さんに報道していけたらと考える。最後に、各組合の独自の広報紙誌や、ホームページ、FAX通信の取り組みについて話をうかがいたい。
澤田「京都組合だより」と理事会FAX速報、書店新聞への投稿を広報活動の三本柱として行っている。組合だよりの発行は年2回で、「組合が頑張って活動している」ということを組合員に知っていただく一つの手段だ。クイズ欄を設け、応募の際に意見を書いていただいた方は当選をしやすくする形にしており、今後もこの形態は続けていきたいと思っている。
FAX速報は、毎月理事会終了後なるべく1週間以内に流すようにしている。これを見れば1ヵ月の動きがだいたい分かるということで、好評を得ている。意識しているのは、ネタがなくてもA4の用紙いっぱい書くということ。活動がある委員会を手厚く書くようにしている。
西村3年前は「福岡県書店新聞」の編集が行われていなかったので予算が5万円しかなかった。新聞を出すには両面コピーしかないと考え、「福岡県かわら版」という名前を付けて発行した。新聞を発行するならもっと予算を出すという回答を理事会でいただいたので、少しお金をかけて印刷屋に出せるぐらいの新聞を作りたいと思っている。
高橋組合のホームページは別の担当者が一生懸命やっており、組合活動などをホームページでお知らせしているが、ページ自体を組合員に見ていただけない、反応がなかなかないというのが現状だ。
大阪・萩原浩司氏大阪は組合便りを年4回発行している。理事長にも記事を書いていただき、メール等で記事を集め、私も3本ほど記事を書いてそれを編集するという作業をしている。ホームページは、IT関連の委員長を兼任する深田副理事長の力を借りて運営しており、ここにも組合便りをPDFファイルにしてアップロードしている。各理事にいろいろ記事を投稿いただくが、「記事を下さい」と言うだけではなかなか書いていただけないので、「今回はこういうテーマの記事を書いてほしい」という形で依頼している。理事会報告は、事務局が中心になってFAXで各組合員に送っている。
山形・五十嵐靖彦氏ホームページで一番力を入れているのは地方出版物。山形県の本が出たらすぐにアップしている。県内の書店のホームページにリンクして、書店のホームページからも県内出版物を探せる。本を作る側からも、自分の本がホームページで見られるということで気にいっていただいている。
鹿児島・和田豊氏鹿児島組合はホームページをリニューアルした。組合員の皆さんへの案内や報告をホームページでできればということで、今話し合いをしている。ただ、更新を勝手にやることはできないので、理事長や関係の方に承諾を得てアップしなければならず、なかなか即時性が生かせない。ホームページのあり方について理事会でいろいろ検討がなされている最中だ。
滋賀・石田淳氏理事会ニュースはできるだけ早く発行して、旬のうちに伝えることを心掛けている。私が一番感じているのは、書店組合自体に魅力がないということ。「組合でこういうことをしています。参加しませんか」という報道が少ない。新聞でそういったことを読めば、「参加しようか」と魅力が出てくると思う。滋賀組合も使える予算がないので、兵庫県のようなイベントに関して周りの県が参入できるようなお誘いがあればうれしいなと感じた。

催し

□「出版物に関する権利(著作隣接権)」公開シンポジウム
11月26日(月)午後2時から4時まで、東京・千代田区の学術総合センター・一橋記念講堂で開催。司会は植村八潮(専修大学教授)、パネリストは石橋通宏(参議院議員)、大沢在昌(作家)、大渕哲也(東京大学大学院教授)、野間省伸(講談社社長)、林真理子(作家)、弘兼憲史(漫画家)の各氏を予定。申込締切は11月20日。定員は500名。問い合わせは日本書籍出版協会まで。℡03―3268―1303

『明治文学全集』特別限定復刊へ/筑摩書房

筑摩書房は『明治文学全集』(全99巻・別巻、全100冊)を部数限定復刊することを予定しており、来年1月下旬の刊行に向けて予約を受け付けている。長く品切れが続いていたが、各界からの要望で約25年ぶりに復刊されることになった。
同全集は1965年から1983年にかけて本巻を刊行、1989年に別巻「総索引」を刊行し、完結したもの。「小説偏重のゆがんだ文学観を是正し、広義の文学の視野に立って歴史的・系統的に編集」することを掲げ、明治年間の文学遺産を網羅した画期的全集。開花期の戯作・啓蒙思想から政治小説・翻訳文学をはじめ、文学・思想・宗教・史論・言論を中心に、民権運動・国粋主義運動・社会主義文学、さらに人物論・家庭小説・紀行文学・少年文学・記録文学・戦争文学など、幅広い分野を網羅している。
定価は全巻セット79万5375円。本巻7875円、別巻1万5750円(いずれも税込)。

本屋が成り立つ仕組み必要/電子書籍へ取り組みも/中部トーハン会

中部トーハン会は10月18日、名古屋市中区の名古屋国際ホテルで第45回定例総会を開き、会員書店、出版社など総勢370名が出席した。
あいさつに立った高須博久会長(豊川堂)は「書店に一番欠けているのは元気。出版社のPOPだけでなく、『この店がこの1冊を自信をもってお勧めします』という手書きのコメントが必要。店のことを理解してもらい、本を手に取って、買って、読んでもらい、『面白かったよ』という一言をいただくのが本屋の喜び」と話した。
議事ではすべての議案を原案通り承認可決。役員改選では高須会長を再選した。新会長として事業方針を説明した高須会長は、電子書籍とネット書店が最大の課題と指摘。ネット書店については「ネット書店に負けないリアル書店を作るため客注品の迅速化に取り組まねば。出版業界の都合でなく、読者にどれだけ満足してもらえるかを観点にしなければ、受け入れてもらえない」、電子書籍については「紙だけの書店ではいけない。書店のお客様を増やす手段として電子書籍にも取り組む」との考えを示し、業界全体で本屋が本屋として成り立つ仕組みを考えてほしいと求めた。
来賓の講談社の森武文専務は、雑誌が14年連続前年割れとなるなど市場が縮小しているのは販売拠点の減少が原因と指摘。「書店開業の条件が厳しすぎる」という声を紹介し、新規参入しやすい業界になるよう取次に考慮を求めた。また、少子高齢化、ネット書店、電子書籍の問題に言及し、「書店は地域社会の中核として情報発信を行ってほしい。講談社は電子書籍に取り組んでいるが、根本は紙。書店店頭が最優先であることはこれからもずっと変わらない」と述べた。
トーハンの藤井武彦社長は「新体制になっても、書店を大切にし、書店とともに歩むというトーハンの基本方針は変わらない。リスクをとり、ノウハウを蓄積し、スキルを磨くことに挑戦し、強くしなやかな企業風土に変えていく」と決意を語った。また、「TONETSV」「TONETSi」について説明し、「目指すのは書店の売上アップ。Vとiをリンクさせ、機能を最大限に発揮することが、適切な商品供給につながる」として、有効活用を求めた。このほか複合化、電子書籍、図書館取引支援に関する施策を説明した。

日販PARTNERSカンファレンス/新しい取引制度を展開

日販は10月30日、東京都港区の品川プリンスホテルアネックスタワーで「PARTNERSカンファレンス2012」を開き、書店、出版社、日販関係者など340名が出席した。
冒頭あいさつに立った古屋文明社長は「集客力アップ、買上率アップ、高マージン商品による収益力アップに向けた施策を展開する。また、現在、店頭には不稼働在庫が4割もあることが判明した。これを見直し、集客力を高めたい」として、「メリハリをつけて施策を展開していくので協力をお願いしたい」と述べた。
「出版流通改革の進捗報告と今後の取り組み」について、マーケティング本部流通改革推進グループリテールサポートチームの永堀太朗係長が報告。「PARTNERS契約を締結している書店はMPDのチャージ契約も合わせると7割を超え、出版社も売上シェアで半分になっている。書店マージンを現在より4%アップさせることが必要と考えており、今春から高マージン商品の取り組みであるHigh―Profit企画を進めている。店頭では買上客数が減っているが、不稼働在庫が4割もあることが一因。在庫の質を高めるために基本在庫の充足率を向上させるとともに、ロングセラーMDも充実させたい。メディアと連動したコーナー展開や『この一巻がキテる!』『本を買う理由創造プロジェクト』の仕掛け販売を行い、買上客数の増加につなげる」と述べた。
「CRM戦略」について報告したCRM事業部CRM企画課の後藤智志係長は「売上を向上させるためには来店人数、買上率、来店頻度のアップが必要。10月から『ほんらぶプロモーション』を始めた。『HonyaClub』の特別サイトとして『3SPECIALBOOKS』を開設し、読者と本との出会いをナビゲートしている。『HonyaClub』から店頭への送客を加速させる」と述べた。
安西浩和専務は説明の総括を行い、「書店が儲けるための枠組みとしてPARTNERS契約、High―Profit企画、時限再販などを進めている。新刊申し込みに書店の意思を反映させるアドバンスMD、発注を日販で代行するリリーフAといったサービスも展開している。ドイツの出版業界の成功モデルに近づけたいという思いがある。フューチャー・ブックストア・フォーラムの報告書にある『新たな取引制度の導入』『主体的な商品仕入れ』『CRMの強化』は、日販ではすでに実行の段階に入っている。また、日書連からの提案とも同じ方向を向いていると考えている。書店からの悲鳴に近い提案に応えていくことを自らの仕事の中で実現したい」との考えを示した。

本好きのためのソーシャルサイト/日販が開設

日販は10月1日、本好きのためのウェブ上のコミュニティラウンジとしてソーシャルサイト「3SPECIALBOOKS」を開設し、出版業界の活性化と本の価値を高めることを目的に全国約1700書店でプロモーションを展開。プロモーションのクリエイティブ・ディレクターにはタワーレコード「NOMUSIC、NOLIFE」、フジテレビ「きっかけは、フジテレビ」などを手掛けた箭内道彦氏を起用し、同氏が発案したスローガン「ほんらぶ」を合言葉に実施している。
同サイトは一般の人々が自由に参加でき、HonyaClub会員以外にツイッター、フェイスブックのIDでもログインできる。各々が「トクベツな3冊」を登録し、本への想いや出会ったエピソードなどを投稿する。
また、タレント・芸能人、作家、書店スタッフ、出版・編集関係者たちがキュレーターとして登場。野村萬斎、優木まおみ、榮倉奈々、又吉直樹(ピース)、角田光代らキュレーター各氏が、自らの人生で出会った「トクベツな3冊」についてウェブで紹介し、書店店頭で連動したコーナーを展開。店頭ポスターにも登場している。