全国書店新聞
             

令和元年9月1日号

紙の出版販売金額、今年上期は4・9%減/雑誌はコミックスが伸長/出版科研調べ

出版科学研究所は2019年上半期(1~6月)の書籍・雑誌分野別動向をまとめた。これによると紙の出版物の販売金額は6371億円で前年同期比4・9%減となった。書籍は同4・8%減の3626億円。雑誌は同5・1%減の2745億円で、コミックスの伸長で前年より下落幅が縮小した。
〔ビジネス書、新書がプラスで推移/書籍〕
書籍の販売金額は3626億円、前年同期比4・8%減で、前年より減少幅が1・2ポイント拡大した。前年は『漫画君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)が200万部を突破し、文芸書でも『おらおらでひとりいぐも』(河出書房新社)など大きく増刷がかかるヒット作が出たが、今年は樹木希林『一切なりゆき』(文春新書)などミリオン超えのヒットは出たものの市場を牽引する商品が少なかった。ジャンル別では、文芸書、文庫本、実用書、学参などはマイナスになったが、ビジネス書、新書は前年を上回った。児童書は前年並みの水準を維持している。
販売部数は、同5・0%減の2億9174万冊。新刊平均価格は同2・4%増の1205円、出回り平均価格は同0・8%増の1185円だった。金額返品率は34・9%で同0・3ポイント悪化した。新刊点数は同2・4%減の3万5410点で、このうち取次仕入窓口経由が同4・0%減の2万4536点、注文扱いが同1・5%増の1万874点。取次仕入窓口経由は7年連続のマイナスで、文庫本、新書の大幅な点数減が全体を引き下げた。
19年上半期のジャンル別動向をみると、文芸書は本屋大賞受賞の瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』(文藝春秋、42万部)は発売当初からコンスタントに売れていたが、受賞後再び売行きを伸ばした。ノンフィクション・読み物では、前年末からの樹木希林ブームを受けて各社が関連書を発行。『樹木希林120の遺言』(宝島社)が54万部を突破するなど、堅調に売れている。ビジネス書は、『メモの魔力』(幻冬舎)や『FACTFULNESS』(日経BP発行/日経BPマーケティング発売)がヒット。新書は『一切なりゆき』と『妻のトリセツ』(講談社+α新書)が全体を牽引したが、その他で大きく伸びたタイトルは少なかった。
〔定期誌はグッズ付付録頼みの傾向続く/雑誌〕
雑誌の販売金額は2745億円で前年同期比5・1%減となり、前年の13・1%減から減少幅を縮めた。内訳は、月刊誌が同4・3%減の2241億円、週刊誌が同8・4%減の504億円。月刊誌は定期誌が約8%減、ムックが約6%減、コミックスが約5%増となった。コミックスが伸びた要因は、①前年4月に海賊版サイト「漫画村」が閉鎖した、②昨夏以降、大手出版社が主要レーベルを一斉に値上げした、③昨秋頃からメディア化作品を中心にヒット作が相次いだ――などが挙げられる。定期誌は減少幅が若干縮小したが、グッズ付録や人気アイドルの特集などで単発的に売れる傾向が続いている。
推定発行部数は同9・6%減。内訳は、月刊誌が同9・6%減、週刊誌が同9・4%減。推定発行金額は同7・0%減で、月刊誌は同7・0%減、週刊誌は同6・8%減だった。平均価格は同2・8%増の585円で、主要コミックスレーベルの値上げのほか、児童誌・女性誌などグッズ付録をつけているジャンルの高価格化が目立った。
金額返品率は同1・1ポイント減の44・2%で、月刊誌が同1・6ポイント減の44・7%、週刊誌が同1・1ポイント増の41・9%。月刊誌はコミックスが大幅に改善したほか、送品抑制を続けているムックでも改善した。
創・復刊点数は同3点減の32点、休刊点数は同17点減の64点だった。不定期誌の新刊点数は増刊・別冊が同44点減の1566点、ムックは同346点減の3679点。1号を1点とした付録添付誌数は、同8点減の5431点だった。
〔紙+電子の出版販売額は1・1%減〕
19年上半期の電子出版の市場規模は1372億円で前年同期比22・0%増、金額で247億円増加した。内訳は、電子コミック(電子コミック誌含む)が同27・9%増の1133億円、電子書籍が同8・5%増の166億円、電子雑誌が同15・1%減の73億円。
コミックは、「漫画村」が閉鎖したこともあって大幅に伸長した。書籍は、ライトノベル、ビジネス書、写真集などが好調。雑誌は、売上占有率の高いNTTドコモの定額制読み放題サービス「dマガジン」の会員数減少が続き、2年連続の前年割れになった。
上半期の紙と電子の市場を合わせると7743億円、同1・1%減。市場全体における電子出版の占有率は17・7%となった。

読書週間標語「おかえり、栞の場所で待ってるよ」

読書推進運動協議会(野間省伸会長)の主催により文化の日を挟んで10月27日から11月9日まで実施される第73回読書週間の標語が「おかえり、栞の場所で待ってるよ」に決まった。野間読書推進賞、全国優良読書グループ表彰などの行事が行われる。

購読料改訂のご案内

10月1日からの消費税率10%への引き上げに伴い、本紙購読料は10月1日以降の新規契約ならびに更新分より、現在の年間7560円から年間7700円に改訂させていただきます。ご了承ください。

返品現地処理実現への進捗状況説明/北海道理事会

北海道書店商業組合(志賀健一理事長)は7月16日、札幌市中央区の北海道建設会館会議室で定例理事会を開催した。
理事会では、志賀理事長が雑誌返品現地処理について、表紙返品実現に向けた取り組みの進捗状況を説明した。また、全国書店再生支援財団の支援事業内容について説明を行った。
(事務局・髙橋牧子)

名店の西洋料理で楽しいひと時/大阪レディースランチ

大阪府書店商業組合は7月17日正午より大阪市北区の中之島フェスティバルタワー2階「アラスカ」で「レディースランチ」を開催し、32名が出席した。
レディース委員会の松田和子委員長は「今年は若い人が増え、この業界も捨てたものじゃないと思いました」と話して司会を務めた。続いてあいさつした面屋龍延理事長は、10月からの消費税増税を受け、キャッシュレス決済で中小店舗では消費者に5%ポイント還元されることに触れ、組合で7月24日に説明会を開催すると報告。また各自治体では国の補助で対象世帯限定の「プレミアム付商品券」が発行されることを説明、「大阪市では73万人が対象となっているので、参加店登録は市のホームページから申込んでほしい」とし、「日頃の憂さを晴らし、楽しいひと時としていただきたい」と述べた。
会場の「アラスカ」は、昭和3年に大阪市北浜の栴檀木橋南詰で誕生し、昭和6年、東洋一の高さを誇って中之島に新築された大阪朝日新聞社ビルに本店を移転したという歴史を持つ。幾多の財界人や文化人等に愛され、谷崎潤一郎の「細雪」にも登場している名店で、参加者は伝統の味わいを大切にしながら新たな風を吹き込んだ西洋料理を賞味し、歓談した。
堀博明副理事長は「毎年色々なお店を探して開催しているが、良いお店があったらご紹介いただきたい」と閉会の辞を述べた。
(石尾義彦事務局長)

帯コンワークショップ等の活動を報告/大阪理事会

大阪府書店商業組合(面屋龍延理事長)は7月13日、大阪市北区の組合会議室で定例理事会を開催した。
事務局から行った庶務報告では、7月24日開催のキャッシュレス説明会について、経済産業省派遣の中小企業診断士・川原茂樹氏、全国書店再生支援財団理事・髙島瑞雄氏、電子決済サービス「PayPay」担当者を講師に行うとして、取次各社にも営業担当者の出席を要請したと説明した。
面屋理事長からは、日書連の書店環境改善の取り組みについて、出版社12社・取次3社を2度にわたり訪問したこと、業界3者で構成する「実務者会議」に提案した「書店の粗利30%以上実現に向けた『試案』」を公表することにしたと報告があった。
理事会での各委員会の報告は次の通り。
[読書推進委員会]
大阪読書推進会総会を6月18日に朝日新聞大阪本社で開催したこと、「本の帯創作コンクール(帯コン)」ワークショップを6月23日、グランフロント大阪北館で梅花女子大・香曽我部秀幸教授を講師に迎えて開催し、44名が参加したことを報告。朝日新聞の帯コン記事は7月下旬に掲載予定と説明した。また、8月2日~14日に大阪市立中央図書館で開催する大阪市内版帯コン作品展示会について設営と撤去の日程を説明し、作業の手伝いを依頼した。
[雑誌発売日励行委員会]
7月開催の本部委員会における2次取次の新進・安田ブックスに対する措置等について報告した。
[出版販売倫理委員会]
7月開催の大阪青少年環境問題協議会定例理事会について、提出の議案は全て承認されたと報告した。
[事業・増売委員会]
販売用カレンダーの見本展示を開始し、カタログを組合だよりと同送すると説明した。また、小学館カレンダーの作成について現状を説明した。
(石尾義彦事務局長)

商環境の変化に対応した体制進める/山形組合総会で五十嵐理事長

山形県書店商業組合は7月2日、平成30年度通常総会を山形市の山形県教科書供給所で開催し、組合員27名(委任状含む)が出席した。
総会は五十嵐太右衞門理事長(八文字屋)を議長に選任して議案審議を行い、第1号議案から第4号議案まで全ての議案を満場一致で可決した。
五十嵐理事長は「小売業と書店を取り巻く商環境はものすごい勢いで変化している。我々の体制も時代に合わせて常に変化していく必要がある。日書連も新会長の体制となり、これからの時代への良い変化を期待したい」とあいさつした。
(五十嵐勇大広報委員)

「春夏秋冬本屋です」/「頭のネジを抜く作業」/京都・若林書店代表取締役社長・若林久嗣

自分では出来ない事、出来そうもない事を平然とやってのけるヒトにシビれる、憧れる時があります。僕の身近にも昔から何人か居たし、これから先も現れると思うのですが、焦って無理に近づいたら大体ダメ。タイミングが合わずに接触するのはあまり良ろしくない。いつか辿り着けると信じて意識し続ける事しか出来ないし、それが近道の様な気がする。
先日、ある憧れていた先輩に長時間接触出来るタイミングがあり、思い切って聞いてみました。「どうしてそんなに凄いのでしょうか?頭のネジがぶっ飛んでらっしゃいますね」、と。やはりよく言われる様で、何とも思っておられませんでした。英語でもクレイジーという単語にはヤバい=凄いという褒め言葉の意味もあるらしく、そういう意味でも失礼な事は言ってないつもりです。でも言われた方はあまり気持ちよくないかもしれません…一方通行です。
憧れたからには同じ様に自分もなりたい。どういう方法で自分のネジを抜けばいいのかは自分にしかわからないので、じっくり時間をかけて色々やってみるしかない。アニメ版ドラゴンボールZの歌詞で「頭空っぽの方が夢詰め込める」と影山ヒロノブが歌っていた。もし頭のネジを抜けたとして、問題はそこに何を入れるか?少なくともキュウリやテトリス棒ではない。とりあえず栞を挟んでみます。

雑誌発売日の改善求める/「九州選書市」に積極参加/長崎組合第32期通常総会

長崎県書店商業組合(中山寿賀雄理事長)は、7月30日に諫早市の「水月楼」で第32期通常総会を開催し、組合員28名(委任状含む)が出席した。
総会は冒頭で中山理事長があいさつし、10月の消費税税率引き上げに伴い政府が推進するキャッシュレス・消費者還元事業などについて説明した。
この後、議長に古瀬寛二副理事長を選任して議案審議。第1号議案の平成30年度事業報告を中山理事長が行い、出版業界の現状や日書連の事業概要等を説明した。この中で雑誌発売日について、昨年の西日本豪雨災害により九州は3日目地区から4日目地区に戻っているため、この解消を望むとの要望があった。
続いて第2号議案の決算報告を中山理事長が説明。山本監事より監査の結果適正であった旨を報告し、承認された。第3号議案の令和1年事業計画案と第4号議案の収支予算案は中山理事長が説明し、ともに承認された。事業計画案については、九州一円の雑誌発売日を3日目地区に戻すことを要望する案や、「第8回九州選書市」に積極的な参加を求める案などが盛り込まれた。
総会終了後、来賓の県中央会・若杉氏、テジマ運送・手島社長があいさつ。手島社長からは、運送業務での「働き方改革」実現における厳しい状況について説明があった。
(古瀬寛二広報委員)

10月から電子出版物登録無料キャンペーン/JPRO

日本出版インフラセンター(JPO)の出版情報登録センター(JPRO)は10月1日から12月31日まで、「JPRO電子出版物登録無料キャンペーン!」を実施する。
JPROの登録店数は6月末現在で235万点超。今後、電子も含めた「日本初の出版物総合データベース」としての充実を目指すため、今回のキャンペーンを行うことにした。
10月1日~12月31日を制度切り替え期間として、それまでの既刊で未登録のもの及び期間中に発行の電子出版物を登録無料とする。さらに来年1月からの登録料も500円から200円に値下げする。
登録方法もシンプルになる。これまでJPROは業界の公的インフラ「共通書誌情報システム」を通じ電子出版物書誌を入手していたが、今後は同システムを引き継いだメディアドゥから書誌を取り込む。出版社が承認すればメディアドゥに販売委託している電子出版物の書誌情報をJPROに取り込み、JPROに自動登録される。

18年度電子出版市場は3122億円/電子コミック大幅増、電子雑誌は減/インプレス総合研究所

インプレスのシンクタンク部門であるインプレス総合研究所は7月23日、2018年度の電子書籍市場は前年比26・1%増の2826億円、電子雑誌市場は同6・0%減の296億円、電子書籍と電子雑誌を合わせた電子出版市場は3122億円になったと発表した。19年度以降の電子出版市場も拡大基調で、23年度の電子書籍市場は18年度の1・5倍の4330億円程度、電子雑誌も合わせた電子出版市場は4610億円程度になると予測している。
電子書籍市場のうち、コミックは同29・4%増の2387億円で市場シェアは84・5%。一方、文字もの等(文芸、実用書、写真集等)は同10・9%増の439億円で市場シェアは14・5%となった。
無料でマンガを読めるマンガアプリ広告市場は167億円になった。動画リワード広告と読了後に表示する静止画・動画広告が主流で、特に動画リワード広告が急拡大している。19年度は1・5倍の250億円程度に達すると予測している。
スマートフォンやタブレットのモバイルユーザーに対して電子書籍の利用率を調査したところ、有料の電子書籍利用率は19・8%となり、昨年から2・1ポイント増加した。「無料の電子書籍のみを利用している」は23・9%となり、昨年から0・6ポイント増加した。
有料電子書籍利用率が高いのは男性30代の27・0%、女性30代の25・1%、男性20代の24・7%、男性40代の22・0%の順で、男女ともに30代の利用率が高い。一方、無料の電子書籍のみの利用率が高いのは女性10代の36・2%、女性20代の31・6%、男性10代の30・3%の順。男女とも10代が最も高い比率で、高年代になるほど低下する。性年代別の利用率を昨年度と比較すると、ほとんどの年代で有料での利用率が増加していて、特に男女とも10代から30代で顕著となっている。
調査結果の詳細は『電子書籍ビジネス調査報告書2019』にまとめ、7月31日に発売した。A4判、270ページ、価格(税別)はCD(PDF)版+冊子が本体7万8000円、CD(PDF)版が本体6万8000円、ダウンロード版が本体6万8000円。

書籍等卸、18年度は5・2%減収/電子書籍拡大と雑誌低迷で/日経MJ卸売業調査

日経MJは7月31日号で「第48回日本の卸売業調査」の結果を発表。2018年度の全14業種の売上高の合計は前年度比1・2%増だったが、営業利益は同3・8%減と増収減益になった。減益は2年ぶり。業種別では、「その他」を除く13業種のうち、9業種で売上高が前年を上回った。一方、営業利益は9業種でマイナスとなった。
書籍・CD・ビデオ・楽器卸の売上高は前年度比5・2%減と落ち込んだ。営業利益は同21・3%減、経常利益は同26・2%減、税引後利益は同34・1%減と減収減益になった。スマートフォンの普及で電子書籍や音楽のストリーミング配信などの利用者が拡大し、マンガでは著作者に無断で作品を無料で公開する海賊版サイトの影響も響いたと同紙は分析している。
売上高1位の日販は5・8%の減収。電子書籍の普及に加え、相次ぐ休廃刊やスマホ向けの読み放題サービスの台頭で紙の雑誌を中心に販売部数が落ち込んでいる。要の雑誌が減収となり、書籍の慢性的な赤字を補えなくなっている。
2位のトーハンも6・1%の減収となった。運賃上昇による配送費の増加が響き、営業利益も前年実績を下回った。
3位の大阪屋栗田は3・9%の減収となった。
この調査は、消費財を中心とした卸売業を行う企業905社に、5月下旬に依頼状を郵送し、7月中旬までに回収した。有効回答企業は549社。

7月期は前年比1・4%減/月刊誌、9年9ヵ月ぶりの前年超え/日販調査店頭売上

日販調べの7月期店頭売上は前年比1・4%減となった。月刊誌は09年10月以来、9年9ヵ月ぶりの前年超え。コミックは12ヵ月連続の前年超えとなり、好調を維持している。
雑誌は同2・2%減。内訳は月刊誌が同1・3%増、週刊誌が1・5%減、ムックが同8・9%減。宝島社「InRed8月号」(付録=ムーミン「リトルミィ」夏の9点セット)や「大人のおしゃれ手帖8月号」(付録=リサ・ラーソン大人シックな保冷バッグ3点セット)といった女性誌の人気付録号が牽引した。
書籍は同2・1%減。文芸書、ビジネス書、学参の3ジャンルが前年を上回った。文芸書は東野圭吾『希望の糸』(講談社)、池井戸潤『ノーサイドゲーム』(ダイヤモンド社)、矢部太郎『大家さんと僕とこれから』(新潮社)が牽引し、18年11月以来の前年超えとなった。また、ビジネス書はハンス・ロスリング『FACTFULNESS』(日経BPマーケティング)、稲盛和夫『心。』(サンマーク出版)、ロルフ・ドベリ『Thinkclearly』(サンマーク出版)が牽引し、2ヵ月連続で前年超えとなった。
コミックは同1・5%増。新刊は尾田栄一郎『ONEPIECE93』(集英社)、村田雄介『ワンパンマン』(集英社)等のジャンプコミックス作品が貢献した。既刊もテレビアニメ化された吾峠呼世晴『鬼滅の刃』(集英社)、ねこクラゲ『薬屋のひとりごと』(スクウェア・エニックス)が好調だった。

「九州選書市」9月18日開催/LINE活用など初の試みも/福岡組合

福岡県書店商業組合(安永寛理事長)は8月19日、福岡市中央区の組合会議室で定例理事会を開催。「九州選書市2019(大商談会)」の開催概要を説明し、来場を呼びかけた。
九州選書市は9月18日(水)午前10時~午後5時、福岡市中央区の電気ビル共創館みらいホールで開催する。3階会場(大会議室)に地元出版社、児童書出版社を中心に33ブース、4階会場(みらいホール)に102ブースの合計135ブースが出展し、過去最大規模での開催となる。また、開催時間を前回より1時間延長して午後5時までとする。
今回初めての試みとして「LINEFukuoka」の協力の下、オープンチャット機能を用いて「書店商談会」のグループを作成し、これを利用して来場出版社、書店員、取次間で情報交換を行えるようにする予定。なお、当日はLINEも出展する。
毎回好評の「POP作成実習講座」「絵本読み聞かせ講座」(定員各20名)のイベントも実施する。
白石副理事長は「売場担当者・販売責任者を中心に多くの皆様の来場をお待ちしている」と呼びかけた。(加来晋也広報委員)

大分で児童図書・優良図書展示会/図書館の選書を応援

大分図書は7月30日、31日の両日、大分市のJ:COMホルトホール大分で、学校・公共図書館の選書を応援する「児童図書・優良図書展示会」を開催した。毎年恒例となっており、今年で7回目となる。
実物見本を見て入手希望の場合、スリップを窓口へ持って行けば選書図書一覧プリントをもらうことのできる仕組みが喜ばれている。今年は2日間で図書館146館より図書選書された。金額にすると2400万円。大分県書店商業組合青年部8名が地元図書館員の図書選書の補助等を行ったこともあり、選書一覧プリントを使用して地元書店に注文があるものと思われる。
会期中はセミナーも開催された。絵本作家・はらがいずみ氏が講師を務めた「『ももたろうからのてがみ』からSDGsを考える」、POPインストラクター・片山茂氏が講師を務めた「POPは楽しい」には120名が参加し、盛況だった。
(大隈智昭広報委員)

読進協「敬老の日読書のすすめ」推薦図書24点

読書推進運動協議会(読進協、野間省伸会長)は2019年「敬老の日読書のすすめ」のリーフレットを作成し、全国の公共図書館や書店に配布した。各都道府県の読進協から寄せられた推薦を基に選定したもの。推薦図書は以下の24点。
▽『すぐ死ぬんだから』内館牧子、講談社▽『ことことこーこ』阿川佐和子、KADOKAWA▽『マジカルグランマ』柚木麻子、朝日新聞出版▽『針と糸』小川糸、毎日新聞出版▽『本にまつわる世界のことば』藤井光、温又柔、斎藤真理子ほか、創元社▽『江戸人の老い』氏家幹人、草思社▽『一切なりゆき』樹木希林、文藝春秋▽『猫も老人も、役立たずでけっこう』養老孟司、河出書房新社▽『人生は美しいことだけ憶えていればいい』佐藤愛子、PHP研究所▽『歩き続ける力』三浦雄一郎、双葉社▽『市原悦子ことばの宝物』市原悦子、主婦の友社▽『楽しく百歳、元気のコツ』吉沢久子、新日本出版社▽『70歳のたしなみ』坂東眞理子、小学館▽『最後の読書』津野海太郎、新潮社▽『老年を面白く生きる』曽野綾子、海竜社▽『老後は非マジメのすすめ』立川談慶、春陽堂書店▽『終生知的生活の方法』渡部昇一、扶桑社▽『ビンボーでも楽しい定年後』森永卓郎、中央公論新社▽『先生、ちょっと人生相談いいですか?』瀬戸内寂聴、伊藤比呂美、集英社インターナショナル▽『桂歌丸大喜利人生』日本テレビ、ぴあ▽『鼓に生きる』田中佐太郎、氷川まりこ、淡交社▽『レンタルなんもしない人のなんもしなかった話』レンタルなんもしない人、晶文社▽『健康は住まいがつくる』田中正敏、彰国社▽『ひとりサイズで、気ままに暮らす』阿部絢子、大和書房

「本の日」ブックカバー大賞/全国162店舗から参加申し込み/大賞受賞作品を店頭で配布

日書連が事務局を務める「本の日」実行委員会は、本の日を全国に周知する企画として「『本の日』ブックカバー大賞」を開催するが、7月31日までに全国の書店162店舗から参加申し込みがあった。
「本の日にふさわしいブックカバー」をテーマに、文庫のブックカバーのデザインを一般公募。募集締切後に選考を行い、入賞作品を決定する。大賞作品はブックカバーにして、本の日期間中に参加書店の店頭で配布する。
書店が力を合わせて全国規模のブックカバーデザインの募集を行うことで話題性を生み、全国各地で期間限定のオリジナルブックカバーを配付することで書店業界全体の活性化を促すことを目指している。
参加書店の申し込みは7月1日~31日に行った。8月1日から参加店舗へ募集ポスター、チラシ(写真)を随時発送し、店頭での告知を開始している。
ブックカバーデザイン募集は8月1日~9月16日。10月初旬に選考会を開催し、大賞をはじめ各入賞作品を決定。その後、ブックカバーを印刷して各書店へ配送する。本の日の11月1日から参加店舗の店頭で文庫を購入した来店客にブックカバーを配付する。
選考委員は「本の日」実行委員会・矢幡秀治会長、玄光社「イラストレーション」・竹内康彦編集長、新潮社「芸術新潮」・吉田晃子編集長、誠文堂新光社「アイデア」・西まどか編集長、美術出版社「美術手帖」・岩渕貞哉編集長。

新会長に秋葉良成氏/矢幡秀治会長は相談役に就任/東京日販会

東京日販会は7月17日、東京・千代田区のTKP御茶ノ水カンファレンスセンターで第13回総会を開催。役員改選で秋葉良成副会長(江戸川書房)を新会長に選任した。
総会であいさつに立った矢幡会長は「出版業界は厳しい状況。書店、日販、出版社が手に手を取って難局を乗り越えていきたい。次の会長に協力して、東京日販会を盛り上げていただきたい」と述べた。
議案審議ではすべての議案を原案通り承認可決。規約改定では、会員減少に対応するため、副会長を2名から1名に変更した。役員改選では秋葉副会長を新会長に選任し、矢幡会長は相談役に就任した。
懇親会であいさつした秋葉新会長は「ここに集まっている書店は、少なからず人と人との関わり、人と人とが活かし合える関係を大切にしながら今日頑張っている。協力し合いながら、できることを1つひとつやっていきたい」と所信を述べた。

生活実用書・注目的新刊/遊友出版・齋藤一郎

粉を練って作る麺類。こんなに身近な食べ物にも、サイエンスがある。
山田昌治著『麺の科学』(講談社ブルーバックス1000円)は、数々の実験を通して明らかにする麺の美味さの秘密。
小麦粉、蕎麦粉、米粉から春雨に使われる片栗粉。今流行のカッサバの根茎から取れるタピオカも麺のモチモチ感と透明度で重要な役割がある。
スパゲッティをゆでる時に塩を入れるのが常識になっているが、0、0・5、2%の食塩水でゆでてみると、2%で麺のコシは出るものの、塩辛く食べられない。塩はなくても同じなのである。
吹きこぼれ防止の差し水も、ラーメン店と家庭では鍋の大きさに違いがあって家ではダメ。温度を下げないためには灰皿を裏返したようなグッズがあるので使うと良い。
麺のコシを強くしたい向きには食用の重曹を低温時に入れる、など実験の結果を検証。麺を美味しく食べるコツに迫る。
市瀬悦子著『そうめんの本』(エイ出版社1100円)は、ほかの麺には脇目も振らず、そうめんだけを美味しく食べる。
基本の冷たいつけそうめんから、温かいものまで55種類のレシピをカラーで紹介。つけつゆだけでも、辛子納豆、キムチ月見など8種登場する。煮込みそうめんもあって思いのほか奥が深い。

移転

新潟、長野、広島の各書店商業組合は事務所を次の住所へ移転した。
◇新潟県書店商業組合
〒951-8063 新潟県新潟市中央区古町通6-958萬松堂内 ℡025-229-2221FAX025-229-4331
◇長野県書店商業組合
〒385-0053 長野県佐久市野沢262-8西澤書店内 ℡0267-62-0240FAX0267-63-3694
◇広島県書店商業組合
〒739-0012 広島県東広島市西条朝日町6-62森書店内 ℡082-422-7200FAX082-422-7946