全国書店新聞
             

令和5年10月15日号

「BOOKMEETSNEXT」10月27日から開催/矢幡会長「業界一丸で盛り上げる」/日書連9月理事会

日書連は9月14日、東京・千代田区の書店会館で定例理事会を開催し、会場32名、Web2名、書面17名、計51名が出席した。矢幡秀治会長は出版業界が一丸となって取り組む秋の読書推進月間「BOOKMEETSNEXT2023」への参加と協力を呼びかけた。また、「街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟」(書店議連)と連携した課題解決のため、全理事より意見集約を行ったと報告し、今後の活動に役立てたいとした。
[政策委員会]
▽「BOOKMEETSNEXT2023」が10月27日~11月23日の28日間にわたり開催され、10月17日に東京で行うオープニングイベントを皮切りに、11月8~9日の「KYOTOBOOKSUMMIT」(京都ブックサミット)など、全国各地で様々な催しが行われる。同運営委員会(高井昌史委員長)が主催、実行委員長を出版文化産業振興財団(JPIC)・近藤敏貴理事長が務め、JPICを事務局として日書連など出版業界4団体が協力。日本中の関心を出版や書店に集めることを目指す。
矢幡会長は「出版業界が一丸となって盛り上げるイベント。ぜひ参加、協力してほしい」と呼びかけた。
▽書店議連の提言を実現するため、競争入札や送料無料に関する考え方について、全理事を対象に8月に意見集約を行った。再販契約第6条が入札時に割引を求められる根拠とされていること、大手インターネット書店の送料無料などについて意見を求めたもの。
矢幡会長は「意見を精査した上で我々ができることを考え、理論づけて発信していきたい」と述べた。
▽矢幡会長、春井宏之副会長、深田健治副会長の3名で構成し、今後の組織運営や活動のあり方を検討する「総務・財務ワーキンググループ」の第1回会合を7月22日、大阪で行ったことを報告した。
▽常設9委員会の委員名簿を提示した。
[組織委員会]
安永寛委員長は、全国45都道府県組合の加入・脱退状況について、6月が加入なし・脱退5店で5店純減、7月が加入2店・脱退14店で12店純減、8月が加入なし・脱退7店で7店純減と報告した。
[指導教育委員会]
森松正一委員長は、講演会・研修会を今年度中に1回開催する考えを示した。議連メンバーのうち本好きの議員や作家による講演で活字の大切さを訴えていきたいとした。
[広報委員会]
深田健治委員長は、全国書店新聞で6月~9月に計22組合の総会記事を掲載したと報告。「総会は組合活動を総括する年に一度の重要な会議。各組合の広報委員は必ず記事を送っていただきたい」と求めた。
[流通改善委員会]
藤原直委員長は、本年度も「雑誌発売日諸問題解決に向けた対応のお願い」と題する要望書を雑誌発売日励行本部委員会に提出したと報告した。
また、PubteXが8月から講談社、小学館、集英社のコミックスにRFIDタグの装着を開始したことを報告した。
[取引改善委員会]
柴﨑繁委員長は、雑誌付録のメリットとデメリット
について意見を寄せてほしいと求めた。
[読書推進委員会]
春井宏之委員長は、10月27日から11月23日まで全国の書店で開催する「秋の読者還元祭2023」の申込状況を報告し、「店頭活性化のため上手に活用してほしい」と呼びかけた。
また、日書連が主催する児童書増売運動の大きな柱の一つとして長年続けている「心にのこる子どもの本」について「全国的な組合員数の減少に伴い、そのあり方が曲がり角にきている」として、現行の実施方法を見直す考えを示した。
[書店再生委員会]
平井久朗委員長は、事業再構築補助金の第11回公募が8月10日に始まったことを報告。「第10回から新たに産業構造転換枠が追加され、対象業種に書店業が指定された。有効活用してほしい」と呼びかけた。また、厚生労働省や中小企業庁は最低賃金引上げを受けて中小企業・小規模事業者への支援を強化しているとして、「書店にとって良い補助金があれば紹介していきたい」と述べた。
[図書館委員会]
髙島瑞雄委員長は、日書連MARCに洋書データを搭載する施策について「実現の目途がたった」と報告。「学校現場で手入力の必要がなくなり、日書連MARCのメリットを打ち出しやすくなる」と述べた。

日書連臨時総会/新理事に林一郎氏(鳥取)

日書連は9月14日開催の臨時総会で理事の補欠選挙を行い、新理事に林一郎氏(鳥取県鳥取市・鳥取今井書店)を選んだ。古泉淳夫理事(鳥取県鳥取市・鳥取今井書店)は退任した。

日書連常設委員会・委員名簿

(カッコ内は主な担当事項、○印は委員長)
◇政策委員会(総務・財務・渉外担当、事業計画、書店議連、消費税対応)
○矢幡秀治(東京)、鈴木喜重(千葉)、藤原直(宮城)、柴﨑繁(東京)、春井宏之(愛知)、安永寛(福岡)、深田健治(大阪)、平井久朗(東京)、髙島瑞雄(福島)、森松正一(福岡)/監事=小泉忠男(東京)、渡部満(東京)、葛西文二(員外)
◇組織委員会(加入促進
・メリットの研究、会員・所属員の管理、共同購買事業、福利厚生事業)
○安永寛(福岡)、玉山哲(岩手)、平井浩(滋賀)、中山寿賀雄(長崎)、岩切承自(宮崎)、小橋川篤夫(沖縄)
◇指導教育委員会(講習会・研修会実施、各種調査活動、万引防止対策、SDGs・DX対応)
○森松正一(福岡)、竹内靖博(群馬)、宮本秀夫(石川)、戸和繁晴(大阪)、楠田哲久(鹿児島)
◇広報委員会(機関紙の発行、書店経営環境改善、経営情報の収集・発信、メールマガジンの研究)
○深田健治(大阪)、湊義彦(広島)、宮脇範次(香川)、足立岳彦(愛媛)、森松正一(福岡)、二階堂衞司(大分)
◇流通改善委員会(客注迅速化、雑誌発売日、ISBN対応、JPO対応、情報推進)
○藤原直(宮城)、青天目敦(茨城)、松信裕(神奈川)、大塚茂(山梨)、西村行人(新潟)、丸田茂(富山)、犬石吉洋(京都)、大谷秀生(和歌山)、小野正道(岡山)、宮脇範次(香川)、長﨑晴作(熊本)
◇取引改善委員会(不公正取引問題、送品・返品同日精算、雑誌付録、適正配本)
○柴﨑繁(東京)、志賀健一(北海道)、戸和繁晴(大阪)、犬石吉洋(京都)、小野正道(岡山)
◇読書推進委員会(読者還元祭、児童書増売、「BOOKMEETSNEXT」、子どもの読書推進、絵本ワールド)
○春井宏之(愛知)、成田耕造(青森)、加賀谷龍二(秋田)、五十嵐太右衞門(山形)、佐藤大介(福島)、奈良俊一(埼玉)、大塚茂(山梨)、木野村匡(岐阜)、別所信啓(三重)、丸田茂(富山)、安部悟(福井)、林田芳幸(奈良)、森忠延(兵庫)、武田徹(島根)、堤洋(佐賀)、長﨑晴作(福岡)
◇書店再生委員会(書店再生施策、各種補助金の研究、再販・独禁法の研究、出版倫理)
○平井久朗(東京)、佐藤大介(福島)、小川頼之(東京)、吉見光太郎(静岡)、宮本秀夫(石川)、柳澤輝久(長野)、林一郎(鳥取)
◇図書館委員会(図書館対応、日書連MARC)
○髙島瑞雄(福島)、成田耕造(青森)、小川頼之(東京)、吉見光太郎(静岡)、木野村匡(岐阜)、西村行人(新潟)、柳澤輝久(長野)、林一郎(鳥取)、平野惣吉(徳島)、足立岳彦(愛媛)、五藤栄一郎(高知)、堤洋(佐賀)、楠田哲久(鹿児島)/専門委員=岩瀬且敏(東京)、湯本光尚(東京)、長尾幸彦(愛知)、中尾隆一(福岡)

熊本組合総会/読者還元祭、来店促す施策に

熊本県書店商業組合は8月18日、熊本市の熊本県教科書供給所で第36期通常総会を開き、組合員36名(委任状含む)が出席した。冒頭、長﨑晴作理事長(熊文社)は員外監事の改選について提案。今期までは現行の体制を維持する方針で一致した。
また、宮﨑容一副理事長(ブックシティ一心堂)は、「読者還元祭」について「現在のQRコード付のしおりも良いが、旧来の書店くじにはシニア層を中心とした読者の再来店を促す効果が大きかったのではないか」と指摘。急速なデジタル化の波に高齢者が置き去りにされることに危機感を示すとともに、書店店頭への来客を促す施策の重要性を訴えた。
総会は成重貫志事務局長の司会で進行。長﨑理事長を議長に議案審議を行い、第36期事業報告、収支決算報告、第37期活動計画案、予算案などすべての議案を原案通り可決した。
総会終了後、多くの組合員が参加して懇親会を開催。書店を取り巻く経営環境について意見交換し、店頭や外商における販売の活性化で決意を共有するなど、有意義な会となった。
(宮﨑俊明広報委員)

大分組合総会/二階堂衞司理事長を再任/書店議連の動きに期待

大分県書店商業組合は9月22日、大分市の大分図書で第39回通常総会を開催し、組合員28名(委任状含む)が出席した。
総会は樋口純一副理事長(ブックスプラザひぐち)の開会宣言で始まり、二階堂衞司理事長(二海堂書店)を議長に選出して議案審議。事業報告、決算報告、監査報告、事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
任期満了に伴う役員改選では、理事11名、監事2名、相談役2名を選任。このあと第1回理事会を開き、二階堂理事長を再任した。また、副理事長に渡辺和彦氏(都久屋)を新任した。
最後に二階堂理事長は「コロナが5類に移行し多くの人が外出するようになったが、書店への来店客は増えず、むしろ減ったのではないかとすら感じる。加えて物流問題や最低賃金の上昇など書店を取り巻く環境は厳しさを増している」と危機感を露わにする一方、コロナ禍での巣ごもり需要の発生や、書店数の減少を危機と捉えた自治体や作家が書店経営に乗り出した例を挙げ、「店頭で実際に本を手に取ってじっくり選ぶことで、こんな本が出ていたんだと気付くことができる。地域の書店としてもう一度、自店の周りを見直したい」と訴えた。
また、「街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟」(書店議連)の動きや、講談社、小学館、集英社と丸紅が設立したPubteX(パブテックス)が進める出版物へのRFIDタグ装着に期待を示し、「大分組合でも的確な情報伝達を行い、必要に応じて説明会を開催していきたい」と述べた。
[大分組合役員体制]
▽理事長=二階堂衞司(二海堂書店)
▽副理事長=樋口純一(ブックスプラザひぐち)渡辺和彦(都久屋)
(大隈智昭広報委員)

大阪書林御文庫講/創立300年記念講演会に聴衆多数

大阪書林御文庫講(講元・燃焼社藤波優社長)は9月15日、大阪市北区の大阪中央公会堂で創立300年記念講演会「大阪書林御文庫講―『大阪最古の図書館』を支え続ける出版業者―」を開催した。
御文庫講とは江戸時代に組織された出版業者の組合で、住吉大社と大阪天満宮の御文庫(書籍を収める蔵)を運営管理している。1723年(享保8年)に大阪8軒・京都5軒・江戸7軒の本屋仲間の発願により住吉大社に初摺リ本の奉納が始まり、1730年に大阪天満宮にも奉納が開始された。かつて一般にも公開されたことから、大阪最古の図書館とも呼ばれる。
現在は大阪出版協会(矢部敬一会長=創元社)と日本書籍出版協会大阪支部(岡本功支部長=ひかりのくに)が全面的に支え、春秋の書籍の奉納、和本蔵書の虫干し(曝書)と点検を行っている。
講演会の司会は新興出版社啓林館の佐藤諭史社長、講師は旭堂南海(講談師)、小出英嗣(住吉大社権禰宜)、高島幸次(大阪天満宮文化研究所所長)、桂文我(落語家)、藤波優(講元)の各氏が務め、由来と現在の活動を説明。300名余の聴衆は緞帳が下りた後も余韻に浸っていた。(石尾義彦事務局長)

日販調査店頭売上/8月期は前年比7・9%減/ビジネス書、学参は前年超え

日本出版販売調べの8月期店頭売上は前年比7・9%減だった。雑誌は同4・2%減、書籍は同5・5%減、コミックは同15・3%減、開発品は同4・1%減。
書籍ではビジネス書が同2・6%増、学参が同10・7%増と前年超え。ビジネス書は『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)、『とにかく仕組み化』(同)、学参は引き続き『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』(同)などが売上を牽引し、前年超えとなった。一方、コミックは、前年好調だった『ONE PIECE103』などの反動で大きく落ち込んだ。

連載コラム「春夏秋冬本屋です」~地産地使用~/静岡・焼津谷島屋専務取締役・中野道太

本屋が自社のブランディングをする上で、「書皮」は重要なアイテムの一つだ。個性ある書皮が日本中の書店で展開されているのは、書店業界の多くの方々がご存知のはずだ。
弊社・焼津谷島屋も書皮に関しては並々ならぬ拘りがある。弊社は浜松市が創業の地である谷島屋から派生した流れを持ち、谷島屋の書皮と同じ柄を使用してきた。本家・谷島屋の書皮は浜松に縁のある俳人「相生垣瓜人」氏が1926年に創作した句「読書の楽しみ」を御本人が図案も考案された書皮を使用している。
少々前になるが、その定番デザインの書皮も通常使用継続しながら、一時的な特別企画として、地元焼津で活躍しているイラストレーターとのコラボ企画で、別のデザインの書皮を計画した。焼津といえば魚ということで、打ち合わせを重ね多くの魚たちが回遊している可愛いらしいイラストの書皮が完成した。使用している紙も地元企業が古紙幣を再生紙化した紙を採用した。色もグレー系で焼津の特産物「黒はんぺん」の色と似ていたため「黒はんぺん色」も強引だが採用した理由付けとした(笑)。紙まで地元に拘っているのはそうそう無いはずだ。
当初は一時的なもので終える予定だった特別版の書皮は、お客様からの反響がよく通常の書皮と併用して10年近くなる。弊社の重要な『地産地使用』のアイテムとなっている。

九州選書市、4年ぶり開催/書店、取次、出版社、運輸が一丸

「九州選書市2023(大商談会)」(主催=福岡県書店商業組合、共催=佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島各書店商業組合)が9月12日午前10時~午後4時、福岡市中央区の電気ビル共創館で開催された。
選書市の開催は4年ぶり。今回で9回目を数える。電気ビル共創館の3階大会議室に児童図書と地元の出版社が26社、4階みらいホールに一般書の出版社と業界関連会社が105社、2会場合わせて131社(245名)が出展。九州・山口の各書店151社280名が来場し、盛大な開催となった。
今回も九州合同トーハン会と九州日販会の全面協力の下、各総会のスケジュールを選書市の当日と翌日に設定してもらい、書店関係者が来場しやすい日程を組むことでができた。
トーハン、日本出版販売、きんぶん図書の取次各社は企画の段階から参加し、多くの提案を行った。また、出版社には出展促進、書店には来場促進を行った。加えて前日の準備と当日の運営に多数の人数を動員した。天龍運輸、テジマの運輸各社は案内状とパンフレットを九州各県および山口県に配送した。このように書店、取次、運輸の力が一丸となって、この手作りの選書市は成り立っている。
開催に先立って行われたセレモニーで、主催者を代表して福岡県書店商業組合の安永寛理事長(金修堂書店)は「暑さも少しだけ和らいだが、まだまだ日中は残暑の厳しい日が続いている。皆さんも体調管理に気を付けていただきたい。今日は長い1日になるが、しっかり頑張っていきましょう」とあいさつした。
毎回実施していた「絵本の読み聞かせ講座」「POP作成講座」などのイベントは今回中止したが、実行委員会を中心に、皆さんからの様々な意見やアイデアも採り入れながら、書店がさらに足を運びたくなるような選書市になるよう努力していきたい。
(加来晋也広報委員)

第10回「料理レシピ本大賞」受賞作決まる/料理部門『やる気1%ごはん』(KADOKAWA)、お菓子部門『とんでもないお菓子作り』(ワニブックス)

料理レシピ本大賞実行委員会は9月12日、東京・中央区の浜離宮朝日ホールで第10回「料理レシピ本大賞inJapan」の授賞式を開催した。料理部門の大賞はまるみキッチン著『やる気1%ごはん』(KADOKAWA)、お菓子部門の大賞は江口和明著『とんでもないお菓子作り』(ワニブックス)を選出し、そのほか準大賞、入賞、今回新設した「ニュースなレシピ賞」をはじめ各ジャンル賞や特別賞、計13作品が受賞した。
今回は134作品がエントリー。全国の書店選考委員と料理専門家の特別選考委員で2度の選考を行い、書店選考委員は一次投票に163名、最終投票に155名が参加した。
授賞式では、第1回からアンバサダーを務めるお笑いコンビ・キャイ~ンの天野ひろゆきさんが受賞者に賞状と記念品を贈呈した。
料理部門の大賞を『やる気1%ごはん』で受賞したまるみキッチンさんは、「誰でも簡単につくれる」をモットーに料理をSNSに投稿する料理家。「初の書籍でこんなにたくさんの人から評価されるとは思わなかったので、嬉しい反面、驚いている」と受賞の思いを語り、「料理人と比べると知識のない素人だが、その代わりめんどくさがりという点では皆さんに近い。いかに手間や調味料・材料を省いていけるかにはこだわったので、再現性は高い。パッと作れる料理を500品載せた。ほぼ10分かけずに出来る」と胸を張った。
お菓子部門の大賞を『とんでもないお菓子作り』で受賞した江口和明さんは、デリーモブランド立ち上げ時よりシェフパティシエ/ショコラティエに就任し、YouTube動画の配信も行う。「お客さんでお菓子に興味を持っている人を見ると、失敗することが多い。湯煎など細かい作業は一切しなくてよくて、絶対失敗させないをテーマに作った本。今まで他のレシピ本を見て失敗した人ももう一回チャレンジし、この本で成功体験を味わっていただきたい」と受賞作をアピールした。
最後に同実行委員会の加藤勤委員長(ブックスタマ)は「『やる気1%ごはん』は文字数がすごく少ない。コロナで家で食事を作る人が増えたが、今は皆さん外に出る機会が増えて忙しくなり、こういう本が支持された。色々な意味でコロナが収まってきたと感じた」、天野さんは「家で作らなければいけない時には手軽なものをという流れを感じた」とまとめた。
今回は、初の試みとして、noteとのコラボ企画「#このレシピが好きwith料理レシピ本大賞」を実施。同賞の一次選考を通過した本を対象に、好きな料理本のお気に入りのレシピなど、ハッシュタグをつけた記事をnote上に投稿してもらった。
なお、同実行委員会では同日から全国の書店で「料理レシピ本大賞入賞フェア」を開催している。
全受賞作品は次の通り。
[料理部門]
▽大賞=『やる気1%ごはん』(まるみキッチン、KADOKAWA)▽準大賞=『JA全農広報部さんにきいた世界一おいしい野菜の食べ方』(JA全農広報部、KADOKAWA)▽入賞=『毎日おにぎり365日』(日々おにぎり/ゆこ、自由国民社)、『リュウジ式至高のレシピ2』(リュウジ、ライツ社)、『和食屋がこっそり教えるずるいほどに旨い鶏むねおかず』(笠原将弘、主婦の友社)
[お菓子部門]
▽大賞=『とんでもないお菓子作り』(江口和明、ワニブックス)▽準大賞=『はじめまして、おやつ誰でもぱぱっと作れる定番レシピ』(若山曜子、マガジンハウス)
[ジャンル賞]
▽こどもの本賞=『パンどろぼうのせかいいちおいしいパンレシピ』(吉永麻衣子=料理、柴田ケイコ=原作、KADOKAWA)▽エッセイ賞=『10品を繰り返し作りましょう』(ウー・ウェン、大和書房)▽コミック賞=『疲れた人に夜食を届ける出前店』(中山有香里、KADOKAWA)
[特別賞]
▽プロの選んだレシピ賞=『ミニマル料理最小限の材料で最大のおいしさを手に入れる現代のレシピ85』(稲田俊輔、柴田書店)▽ニュースなレシピ賞=『笠原将弘の毎朝父さん弁当』(笠原将弘、KADOKAWA)、『地球のかじり方世界のレシピBOOK』(地球の歩き方編集室=監修、佐藤わか子=料理、Gakken)

静岡書店大商談会・書店大賞授賞式/12月5日、4年ぶりリアル開催

静岡書店大商談会実行委員会(吉見光太郎実行委員長=静岡県書店商業組合理事長、吉見書店)は12月5日午後1時~8時、静岡市駿河区のホテルグランヒルズ静岡で「第5回しぞ~か本の日!書店大商談会」を開催する。日書連など後援。
書店大商談会では、出版社、書店、図書館のコミュニケーションを強化し、対面での商談を4年ぶりに実施。業界全体の活性化につなげる。出版社100社120名、書店120名、図書館関係者15名の来場を予定。
また、県内の書店員と図書館員が最も読んでもらいたい本を投票で選ぶ「第11回静岡書店大賞」の授賞式・懇親会を4年ぶりにリアル開催する。小説部門・児童書部門(新作/名作)、映像化したい文庫部門の各賞を選ぶ。

図書カードネットギフトがその場で当たる!「秋の読者還元祭」10月27日~11月23日開催/読書の秋、店頭盛り上げよう

日書連は出版業界が一丸となって取り組む秋の読書推進月間「BOOKMEETSNEXT」に合わせ、「秋の読者還元祭2023」を10月27日(金)から11月23日(木)まで全国の書店で開催する。
期間中、書店で書籍・雑誌を購入した来店客(税込500円以上を目安)にキャンペーン用「名画しおり」(葛飾北斎「凱風快晴」)を進呈。来店客はしおりに印刷されたQRコードから応募サイトにアクセスし、必要事項を入力して応募する。日本図書普及から10月20日以降発送される応募用ポスター掲載のQRコードからも応募できる。応募すると、抽選で図書カードネットギフトが当たる。賞品総額500万円=1万円分×200本、3000円×500本、1000円×1500本。
今回から抽選結果がその場ですぐにわかる「スピードくじ」方式を採用し、当選者にはメールで賞品を送信する。
読書の秋に店頭を盛り上げたい。
詳細は日書連ホームページを参照。https://www.n-shoten.jp/

書店新風会/山形総会に137名出席/角川春樹氏がトークセッション

書店新風会は9月21日、山形・蔵王温泉のホテル樹林で山形総会を開催し、会員書店、出版社、取次など総勢137名が出席した。地方総会は2019年に京都で開催して以来4年ぶり。今回は八文字屋が幹事店を務めた。
当日は八文字屋本店(山形市)とTENDO八文字屋(天童市)の2店を臨店研修した後、同ホテルで角川春樹事務所の角川春樹社長によるトークセッションを開催した。角川社長は自身が関わった、書店を支援するための取り組みについて話し、書店、出版社、取次が一体となるべきことなどを説いた。
この後、会員のみで総会を開き、参加者が一堂に会して懇親会を行った。大垣守弘会長(大垣書店)は「角川春樹さんと講演の前に話をしたら、今日は書店を応援するために来た、書店がしっかりお客さんのためにやるべきことをやりなさいとご指導いただいた。こういう場で交流し、ご指導、アドバイスをいただくことで、我々は元気をいただきながら、日本の書店業界を盛り上げていきたい」と訴えた。
河出書房新社の小野寺優社長は「八文字屋はお客様にどうすれば書店空間を楽しんでいただけるかに心を配っている。出版物だけではなく、棚の高さや出版物以外の展開など工夫がなされている。さらに店頭に来ないお客様にも社名を意識させる工夫をしており、オンラインストアの展開、オリジナルグッズの開発・販売、プレミアム会員向け『八文字屋plus』の発行などの取り組みを行っている。書店の来店客数が問題となっている中で、八文字屋の立体的な取り組みは我々に大きな示唆を与えてくれる。あとは我々出版社がそういう思いを持つ書店とどうやって何をやっていくかだ」とあいさつし、乾杯した。
なお、来年の地方総会は豊川堂を幹事店に愛知県豊橋市で開催することが発表された。

京都ブックサミット/11月8・9日、京都市内で開催

「KYOTOBOOKSUMMIT」(京都ブックサミット)が11月8日、9日の両日、京都市内で開催される。
出版業界が一丸となって取り組む秋の読書推進月間「BOOKMEETSNEXT」(主催=同運営委員会)が10月27日~11月23日の28日間、全国の書店で開催されるが、そのメインイベントとして「本を愛する気持ちを、未来へ」と銘打って行われる。
作家の今村翔吾氏、ジャーナリストの池上彰氏、元プロボクシング世界チャンピオンの村田諒太氏、歌手・俳優の小泉今日子氏ら豪華ゲストによる講演会や対談、シンポジウム「図書館と著者・書店・出版社の未来」、日韓書店員の対談、出版DX化の未来についての展示など、充実の2日間を楽しむことができる。
各イベントの内容と参加申込は以下のURLを参照のこと(https://www.jpic.or.jp/topics/2023/10/02/170000.html)。申込締切は10月23日(月)9時。

日書連のうごき

 9月5日 図書館委員会。定期会計監査。
 9月6日 JPO運営幹事会に事務局が出席。
 9月12日 全国公正取引協議会連合会意見交換会(Web)に事務局が出席。
 9月13日 各種委員会。
 9月14日 臨時総会、9月定例理事会。雑誌コード管理委員会に事務局(Web)が出席。
 9月15日 学校図書館整備推進会議に事務局が出席。
 9月20日 図書コード管理委員会に藤原副会長、志賀理事が出席。全国中小企業団体中央会トップセミナーに矢幡会長が出席。
 9月26日 JPO理事会に藤原副会長が出席。BOOK MEETS NEXTブックカバー大賞審査会に矢幡会長が出席。
 9月27日 万引防止出版対策本部事務局会議に事務局が出席。文化産業信用組合理事会に矢幡会長が出席。
 9月28日 マガジンハウス木滑良久さんお別れの会に矢幡会長が出席。東京都書店商業組合の日本出版販売訪問に深田副会長が出席。
 9月29日 日本図書普及取締役会に矢幡会長、

連載「本屋のあとがき」~内容はすばらしいのに~/ときわ書房本店文芸書・文庫担当・宇田川拓也

内容はとても素晴らしいのに、なぜかいまひとつ評判が伴わない。なんとも惜しい。最近そう強く感じたのは、映画『グランツーリスモ』だ。
題材となるのは、ゲームクリエイター山内一典が手掛け、世界的大ヒットとなった、同題ドライビングシミュレーターゲーム。『第9地区』『エリジウム』のニール・ブロムカンプが監督を務めている。
主人公のヤンは、幼い頃からレーサーに憧れ、テレビゲーム『グランツーリスモ』に熱中するイギリスの若者だ。元サッカー選手の父親からは、ゲームばかりの生活に苦言を呈される毎日。
ところが、そんなヤンに大きなチャンスが訪れる。『グランツーリスモ』の世界トップクラスのプレーヤーを、実際のプロレーサーに育成する前代未聞のプログラム「GTアカデミー」の参加資格を見事勝ち取ったのだ。
こうして始まる過酷なトレーニング、ライバルたちとの激しい競り合い。この企画の成功を信じる立案者と、指導役を引き受けるもゲームと本当のレースは違うと斜に構えるかつての名レーサーのもとで腕を磨き、首席となったヤンは、いよいよ国際レースに参戦する。
という内容なのだが、じつは本作、驚くなかれフィクションではなく実話がベースになっている。ドローンカメラを駆使した白熱のレースシーンも見所だが、それ以上にいいのが人間ドラマだ。プロレーサーになったヤンと父親が対峙する場面では、目頭が熱くなった。夢を諦めない若者と彼を支える大人たちの姿がまぶしい、一見の価値ある作品だ。