全国書店新聞
             

平成15年10月21日号

万引きを許さない!/日書連など5団体が共同声明文発表

10月9日、東京ビッグサイトで開催された第4回ホームエンターテイメントビジネスショウで、万引き防止フォーラム「我々は万引きを許さない!」が行われた。書店、新古書店、レコード店、レンタル複合店が一堂に会したパネルディスカッションのあと、日書連、リサイクルブックストア協議会など関係5団体が共同記者会見を開き、万引き根絶に向けた共同声明文を発表した。
共同記者会見には日本レコード商業組合・矢島靖夫理事長、日書連・丸岡義博副会長、日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合・世良與志雄理事長、日本テレビゲーム商業組合・新谷雄二理事長、リサイクルブックストア協議会・坂本孝代表が出席し、万引根絶に向けた共同声明文(別掲)を発表した。
声明文は万引き防止を青少年健全育成を図るための社会的責務として、CD、DVD、ゲームなどの販売店は盗ませないための施策を充実させ、中古販売店は盗品を換金させないための施策を展開する責務があると明記。今後、関連団体が一致協力して施策を講じ、青少年による万引き犯罪根絶に取り組むとしている。
席上、日書連・丸岡副会長は「書店は街の文化の情報発信基地としての自負があり、これまでお客様を疑うことはしなかった。しかし、万引き犯罪が増えている現実がある。少子高齢化社会で、子供はこれからの社会を担う大切な人材。青少年健全育成の観点から、今後十分に注意と配慮をしていきたい」と話した。
記者会見に先立って行われたフォーラムでは、評論家・ジャーナリストの木元教子氏をモデレーターに三洋堂書店・加藤和裕社長、新星堂・宮崎正紀社長、ゲオ・遠藤結城社長、ブックオフコーポレーション・坂本孝社長が「万引きをどう防止するか、その具体的対策」をテーマにパネルディスカッションを行った。
最近の万引きの特徴について、三洋堂書店の加藤社長は「青少年が、新古書店での換金目的に、大量に」であると説明し、自店を例にあげて被害の深刻さを訴えた。これに対し、ブックオフの坂本社長は「万引きの温床になってはいけないので、協議会を作って法や条例より厳しい自主規制をしている。我々も活字文化を伝える自負をもっている。新刊書店、出版業界と話し合いの場を持ちたいと言ってきたが、出て来てくれない」と応じた。
加藤社長は平成7年の古物営業法改正で1万円以下の換金がフリーになったことに触れ、「これで日本は盗品の売買が自由に出来る国になった。1万円未満でも身分確認と台帳記載が必要としなければ、治安はますます悪化する」との考えを示した。盗品の買取について、坂本社長は「当店ではないと思う。新古書店全体では増えている可能性が高い」との認識を示したが、加藤社長は「ブックオフや協議会だけが対策を講じても、歯止めにならない。全体に網をかけねば」と指摘。さらに「警察への照会で、ゲオやブックオフでも盗品の大量買取を行っていることがわかっている。その実態が社長に報告されていないのでは。『ウチは盗品を扱っていない』という誤った認識からスタートしているから、何の対策も出てこない」として、求められているのは実効性ある対策と強調した。
〔万引き根絶に向けた共同声明文〕
平成15年10月9日開催された第4回ホームエンターテイメントビジネスショウ(通称ヘッセ)において、私たちは、青少年による万引犯罪が深刻な社会問題となっている事を重要視して、その根絶を図るため真摯な討議を行いました。
既に、「CD」「DVD」「ゲーム」などの万引は極めて深刻な事態になって久しいことはご高承の通りであり、昨年、経済産業省は、「書店における万引に関するアンケート結果」を発表しました。万引き事例1件あたりの被害金額は平均9433円、1店舗当りの被害額は年間211万8685円に達しています。万引きをした者を年齢別に見たところ、中・高校生が全体の55・2%と圧倒的に多いことが明らかになりました。
万引きはいわゆる『初発型非行』とよばれています。軽微な非行を繰り返すうちに、法律を守らなければならないという規範意識を徐々に失っていき、やがては重大な非行に至るおそれのあるということで、「重大非行の入り口」ともとらえられています。
青少年の健全な育成を考えた時、これら万引きの防止は私たちの社会的責務でもあります。
そのため、青少年の身近に存在する書籍、CD、DVD、ゲームなどの品目を販売する店舗は、「盗ませない」ための施策を更に充実して大いに展開する責務があります。店内における啓発活動、従業員教育の徹底、警察や地域社会と連動した毅然たる姿勢を示すことが求められます。また、メーカーの協力による防犯システムの開発普及も期待されるところであります。
併せて中古販売店は、「盗品を換金させない」ための施策を大いに展開する責務があります。18歳未満の消費者からの買取りにあたっては、金額の多寡に拘わらず、保護者の同意や身元確認を徹底することで換金目的の万引きを大いに抑制することになります。リサイクルブックストア協議会は、これを強力に推進すると共に非加盟店への啓発を行っていくことにしています。この点、警察当局の理解あるご指導も不可欠でありましょう。
本日ここに列席した関連団体が一致協力して可能な限りの施策を講ずる事で、青少年による万引きという犯罪の根絶に精力的に取り組むことを宣言します。
今後はこれを契機として教育関連機関とも連携をとりながら社会的活動へと展開させて参る所存です。

NHK番組出演でPR/愛知組合・わくわく絵本まつり

愛知県書店商業組合(高須博久理事長)と西三河支部が連携して実施する「わくわく絵本まつり」(会場・知立セントピアホテル)が、10月25日の開催日を前に着々と準備が進み、一層の盛り上がりを見せている。
開催直前の23日には、NHK名古屋放送局が東海3県で生放送している生活情報番組「さらさらサラダ」(午前11時5分~)に、中根支部長ら5名による「絵本まつりPR隊」が出演することになった。
絵本まつりでは、応募による中学生ボランティア30名が、紙芝居・読みきかせ・バルーンアート・しかけ絵本づくり・絵本の展示工夫などに挑戦。18日に現地で書店担当者と合同練習会を行った。
このほか、おみこし、ちょうちん、お祭りグッズなどで各地の幼稚園から協力をいただき、絵本まつりの手作りムードを演出。また各地書店の紹介で、「あおみの会」「朗読サークルアイリス」など読みきかせグループの出演が決定した。
「わくわく絵本まつり」は25日10時~17時開催で、絵本作家・藤真知子さんの講演会・サイン会や、講談社おはなし隊をはじめ、盛りだくさんのイベントが行われる。

井狩春男の必殺まるす固め

☆「病気はすべて、体を温めると治るのだそうです。体を温める食べ物、飲み物で治ります。飲み物としては、生姜紅茶。生姜はなんにでも効くそうです。漢方には、すべてに生姜が入ってるそうです。それくらい、生姜は体にいいそうです」「生姜は、気の流れ、血の流れ、水の流れをよくします」
そういって、某出版社の編集長はボクに『「体を温める」と病気は必ず治る』(三笠書房)をパラパラめくりながら、ニコニコと話しかける。この本はいいです、と他社の出版物を自慢しすすめるのだ。
生姜紅茶とは、あつあつの紅茶に、生姜をすりおろし、黒砂糖かハチミツを加えたもの。紅茶は、体を温めるそうなのだ。ちなみに、牛乳、コーラ、ジュース、緑茶、コーヒーなどの水分の多いものは体を冷やす。
この話を聞いて、自宅で生姜紅茶をつくって飲んでみた。あつあつを半分ぐらい飲んだだけで、顔から汗が吹き出した。下着が汗でびっしょりになる。
思えば、糖尿病と心臓病(加えて、ぐーたら病)のボクには暑い夏のほうが調子がいい。カラダを温めるのが病気にイイというのに素直に納得するのである。
2週間ぐらい経って、その編集長と昼の食事をすると、定食をきれいに平らげた。今までは、半分くらい食べられなくて残していたのだ。彼は、長いこと胃を患っている。それが、生姜紅茶とプチ断食、簡単その場運動(「肩幅よりやや広く両下肢を開いて立ち、両手を組んで頭の後ろに回す。そして、背筋を伸ばして息を吸いながらしゃがみ込み、吐きながら立ち上がる」のである。これが、ハーハーするほどの運動量)で、そこまで治している。
ボクは、偉大なる生姜紅茶の効果を体験し、編集長が元気になったのを目の前にしたものだから、すぐに書店で『「体を温める」と病気は必ず治る』を買い求め、糖尿病のところを中心によく読み、プチ断食の方法を学び、さっそく簡単その場運動に汗を流した。
この本は、ただ今、たいがいの書店で、新刊コーナーに小説やエッセイなどと一緒に平積みされている。タイトルの、「必ず治る」という自信満々なのが頼もしい。
「――早い人は1週間で効果が現れます!」というウマイ帯文を見ながら、この書店の人も実践して気に入り、並べているのだろう、と思ったりもするのだ。

オリジナルカレンダーの製作部数を協議/佐賀理事会

佐賀県書店商業組合(岩永藤房理事長)は9月26日午後2時から、佐賀市若楠会館で役員改選後初めての理事会を開催した。
小野副理事長の開会あいさつの後、岩永理事長は「弥富前理事長の引退後、私がこれからの佐賀県書店組合の舵取りをやることになったが、新副理事長の小野さん、高田さんを始め新理事の皆さんの力を借りてやっていきたい」とあいさつした。
理事会では、まず佐賀県オリジナルの中島潔カレンダーの件を取り上げて、業務を委託している佐賀県教科書㈱の永松課長から販売状況の説明を受け、去年相当数の残部が出たことから今年度の取り組み部数について協議を行った。その結果、製作部数を1千部減らして従来とほぼ同条件でやれることを確認、今年も取り組むことを決めた。
次に9月16日の全国広報委員会議と、9月17日の日書連共済会全国地区委員長会議の報告を、近藤広報委員と小野副理事長が行い、日書連理事会報告を岩永理事長が行った。今年秋口に行いたいとしていた「日書連マーク」の研修会は、11月の連休後の休配日を確認して開催日を決定、組合員に連絡することにした。
(近藤甲平広報委員)

ポイント問題早期解決に全力/増売企画に偕成社の詩画集/神奈川

神奈川県書店商業組合(池本武夫理事長)の10月定例理事会が7日午後2時から横浜市のトーハン横浜支店で開催された。
理事会に先立ち、出版文化産業振興財団・鴻巣専務理事より「万引き防止横浜モデル協議会」設立について説明があった。
ポイントカード問題で経過報告した池本理事長は、「ヤマダ電機の場合は警告・送品停止の段階に来ている。出版社、取次に警告書のモデル案作成を求めているがまだ提示されていない。日書連では主要出版社33社に実施店への警告書の提出を求める要請活動を計画した。早期解決へ粘り強くやっていきたい」と述べ、これについて理事から「再販と消費税の総額表示は一対の問題で、ともに出版社がきちんとやるべき」などの意見が出た。
読書ノート運動では、9月締めの100冊読破達成者は109人と報告、販売促進手段として引き続き活用をと呼びかけがあり、池本理事長は読書ノートの実施状況について支部で実態調査してほしいと述べた。また増売企画に偕成社刊の詩画集『花よりも小さく』(星野富弘著、11月上旬発売予定)を取り上げることが決まり、報奨や目標について偕成社と相談すると報告があった。このほか、1名欠員になっていた日書連常任委員に山本裕一氏(横須賀支部・信濃屋)を選任することが決まった。

日書連のうごき

9月1日情報化推進委員会。野間文化財団「野間賞」推薦書提出。
9月2日SJ事業関連報告で萬田会長他でリクルート訪問。秋の読書週間行事で読書推進・増売合同委員会。出版平和堂実行委員会へ白幡専務。読進協読書推進委員会へ舩坂委員出席。
9月4日教科書準拠DB依頼で中尾専門委員他、ポプラ社訪問。
9月5日S―DB運営委員会へ井門委員。再販ラウンドテーブル会議へ岡嶋委員長他出席。
9月9日共通雑誌コード運営委員会へ柴崎委員他。出版クラブ理事・監事会へ白幡専務。中小小売商連絡会小委員会へ丸岡委員出席。日書連共済会運営委員会開催。
9月10日JPO運営委員会へ志賀委員出席。
9月11日全国中央会商業専門委員会へ白幡専務出席。
9月12日出版再販研究委員会開催。
9月16日全国広報委員会議開催。
9月17日指導教育、組織強化、共同購買、共済会運営、流通改善、消費税問題、再販研究、広報、情報化推進、公取協専門委各種委員会。共済会全国委員長会議開催。出版在庫情報研究委へ柴崎委員他出席。出版クラブ創立50周年記念祝賀会へ萬田会長出席。
9月18日定例理事会、共済会、公取協理事会開催。情報化推進委員会。図書コード運営委員会へ井門委員出席。
9月19日分野協定時総会へ丸岡常任理事他出席。
9月20日千葉県書店組合総会へ萬田会長他出席。
9月22日出版倫理協議会へ丸岡委員他出席。
9月24日雑誌発売日本部・同実行合同委員会開催。
9月25日SJ実行委員会開催。「書店くじ」発行で取協進行委員会と打合会へ舩坂委員長他出席。中川衆議院議員の会へ下向理事他出席。
9月26日再販ワーキング会議へ岡嶋委員長。図書普及㈱役員会へ萬田会長他出席。
9月29日出倫協ゾーニング委員会へ丸岡委員出席。
9月30日情報化推進委員会。中小小売商連絡会へ白幡専務。子ども読書推進会議へ大川事務局長。肥田衆議院議員の会へ萬田会長他出席。

デュマの小説復刊/ブッキング

書籍の復刊ビジネスを展開している㈱ブッキング(菅徹夫社長)は,アレクサンドル・デュマの『赤い館の騎士~マリー・アントワネットを救え』を復刊する。四六判・並製、本体価格2500円。
同書はブッキングが運営するインターネットサイト「復刊ドットコム」で読者のリクエストを多数集めた投票上位の歴史小説で、王妃マリー・アントワネットと青年将校をめぐる愛と友情を描いた作品。同社では2001年春、同じ作者の『ダルタニャン物語』全11巻に続く復刊。
電子ブック書店「グーテンベルグ書店」との提携により、同書のコンテンツ提供を受け、30年振りの復刊になった。

「ポケッター04年版」注文は今すぐに

日書連共同購買・福利厚生委員会(中山寿賀雄委員長)は、薄型でかさばらないハンディな手帳「ポケッター04年版」(64頁)を製作し、組合員の皆さんに斡旋しています。まだ若干の部数が残っていますので、お早めにご注文下さい。
ご注文は百部単位で、頒価は「店名なし」が1部73円(のし袋付、送料込み)。店名入りは5百部から受注し、5百部以上は単価89円、千部以上82円、3千部以上78円。
同時斡旋の「店名刷込みシール」(55㍉×25㍉)は5百枚以上、10円50銭、千枚以上9円50銭、3千枚以上6円。
申し込みは各都道府県組合、または日書連ポケッター係へ。代金は取引取次から請求。

角川出版販売が発足/3社の販売促進一体化

角川書店の100%出資による子会社㈱角川ブックサービス(田中樹生社長)は、10月1日付で角川書店販売促進部と統合・一体化し、社名を「角川出版販売株式会社」(資本金3千万円)に変更する。社長には角川書店営業局販売促進部長で、角川ブックサービスの社長を兼務していた田中樹生氏が就任した。
新会社は角川ホールディングス傘下の角川書店、メディアワークス、エス・エス・コミュニケーションズの出版物すべてを扱い、角川グループとして今まで以上に強力な販売促進部隊として書店の店頭活性化支援を目指す。
旧・角川書店販売促進部の営業担当者と、旧・角川ブックサービスの女性マーケティングスタッフとの連携により、きめ細かく、レベルの高い訪問活動を通じて、①読者・書店からの生きた情報収集、提供、②角川ブランドの向上、③販売促進重点地域の開拓と拡大を図るとしている。
新会社の所在地は千代田区富士見2―13―3、角川書店第2本社ビル4階、電話03―3238―8526、FAX03―3238―8704。
10月10日に行われた記者会見で角川書店井上常務は「販売会社の一本化は前からの構想。角川ホールディングスの下に3社があり、メリット、シナジー効果を出すため、書店に温度差なく販売促進していきたい」と述べ、角川出版販売田中社長は「社員は当面10名、ブックサービスから45名の促進員を引き継ぐ。年内をメドに東海、九州と3年で全国展開する」と意欲を示した。
角川出版販売役員
代表取締役社長田中樹生
取締役関谷幸一
同室田弘之
取締役(非常勤)井上泰一
監査役(非常勤)本間明生
同松原眞樹

受賞

◇第40回文藝賞
河出書房新社が主催する第40回文藝賞は、羽田圭介氏『黒冷水』、生田紗代氏『オアシス』、伏見憲明氏『魔女の息子』の3作が受賞、10月15日午後6時から駿河台の山の上ホテルで贈呈式が行われた。
今回の応募総数は1862篇、羽田氏は17歳で堀田あけみ氏、綿矢りさ氏に並ぶ最年少受賞。贈呈式では冒頭で若森繁男社長より受賞者に賞状が授与された。続いて選考委員の斎藤美奈子、田中康夫、藤沢周、保坂和志の各氏が選評。受賞者あいさつでは伏見氏が「書くことが人を傷つけることは多いが、それでも書かなければならないことにこそ価値がある。その気持ちを忘れずに今後も書いていきたい」、生田氏が「コミュニケーションがかみ合わない関係を小説にしたいと思った。受賞はとてもうれしい」、羽田氏が「今は書きたいものが増えて身動きできない状態が続き、方向性を模索している」と、それぞれ受賞の喜びを語った。
若森社長は「3作受賞は3度目で、過去2回は『なんとなく、クリスタル』『アイコ十六歳』といずれもベストセラーが出た。『文藝』は評判がよくなって他誌の倍くらい出ている。文芸書の河出として大いにがんばっていきたい」とあいさつし、清水勝相談役の発声で乾杯した。

人事

◇主婦の友社(10月1日付)
[機構改革]
人事総務部と経理部を統合してマネジメントソリューション部とする。
[取締役担当変更]
常務取締役(経営戦略部・マネジメントソリューション部担当)神田高志
取締役(第3・第4編集部担当)塚本俊雄
同(広告部担当)村田耕一
同(第1・第2編集部担当)中西立郎
同(出版部・販売部・制作部担当)斎藤民樹
◇ダイヤモンド社
取締役マーケティング局長鹿谷史明
取締役金融情報事業局パーソナル情報事業局長木田康彦
◇デジキューブ
取締役事業本部長
山口周平

「声」/目録に掲載しながら直販扱いはおかしい/宮崎県・今村書店・今村栄

今年の「日本農業図書目録」に、またもや農山漁村文化協会が『加除式地域資源活用食品加工総覧』(全12巻、定価14万2800円)など、直販品12セット、それも高額品だけを掲載している。
書店の経費で全国に広告宣伝させていながら「直接販売」とあり、取次も書店も素通りでは、あまりにひどいとは思いませんか。それも一度ならず、今回で三度目です。
社団法人農文協の自社作成の図書目録ならば何も言いませんが、これは農業書協会発行の有料の目録です。公私の区別はつけるべきではないでしょうか。
編集部から
『声』欄は読者の皆さんからの投稿を掲載します。原稿は原則として600字以内にまとめ、全国書店新聞「声」係へお送りください。FAX、Eメールでも受付けます。
原稿には住所、書店名、氏名、電話番号をお忘れなく。紙上匿名はできますが、投書者の氏名、書店名がわからないものは掲載しかねます。長文の場合、趣旨を変えずに短くする場合があります。

書店発売に先行して配信/1章100円で毎週提供/日経BP社

日経BP社は10月14日、『ブック革命―電子書籍が紙の本を超える日』(横山三四郎)の書店発売に先行して、電子書籍版の第1章「ケータイ文庫は真夜中に読む―技術革新が可能にした新しいライフスタイル」をNTTドコモによる電子書店、M―stagebookから配信した。著者の横山氏は戸板女子短大教授。『ネット敗戦』(KKベストセラーズ)『ユーロの野望』(文春新書)などの著書がある。
急速に技術革新が進む電子書籍の現状をレポートした内容で、毎週1章ずつの週刊誌スタイルで6章まで配信する。価格は各100円。書籍の発売は11月を予定。
第2章以降は「芥川賞に
変動の波」「作家が走るデジタル時代」「日本再生電子プロジェクトX」「地球にやさしい電子書籍の使命」「ブック革命の地平」「ブック革命の陽はまた昇る」

日経BP・BizTech図書賞

技術と経営の進歩や発展に役立つ優れた図書を表彰する日経BP・BizTech図書賞の受賞図書が決まった。
今年の受賞図書は『インターネットの思想史』(喜多千草、青土社)、『産廃コネクション』(石渡正佳、WAVE出版)、『特許のルールが変わるとき』(高岡亮一、日経BP社)の三作。受賞図書の著者には表彰状と賞金、出版社には盾が贈られる。表彰式は10月27日午前11時から東京・千代田区の赤坂プリンスホテルで行われる。

催し

◇栗田出版販売実務セミナー
11月13日午後1時20分から文京区春日の文京シビックホールで開催。第1講「パート・アルバイトの管理手法」(北見式賃金研究所・北見昌朗所長)、第2講「コミック販売の現状と展望」(講談社コミック販売局・森武文局長)。受講料5千円。栗田書店共済会会員は2千円。申し込みは書店経営研究会事務局まで。電話03―5392―2121番。

ヘルプデスクを設置/中小書店の支援策発表/中央社

中央社は中小書店支援策として「街の本屋さんサポートプラン」を発表。11月から実施に入る。
同プランは、地域に密着した「街の本屋さん」をバックアップし、既存店の活性化を図る狙い。書店のパートナーとして中央社が一緒に課題を分析し、処方箋を作って改善のアクションを実行する。
具体的には①中小規模書店向け定番、②定期雑誌管理・新刊客注予約システム、③コミック最速補充システム、④仕入情報提案、⑤365日対応ヘルプデスク、⑥Web―COSシステム、⑦リニューアル(M&W導入)、⑧客注対応システム(ブックライナー、e―hon)、⑨過剰仕入改善(返品減少)、⑩市場・競合分析(営業時間延長)、⑪棚構成見直し(リニューアル)の10項目のメニューを用意。社員が訪店し、店頭チェックシート、バランス改善シートで課題を分析、対策メニューを立案する。
このうち、11月1日からスタートするカスタマー・ヘルプデスクは、「雑誌定期予約」「新刊客注予約」など書店からの受注、問い合わせに年中無休で対応するサービス。
また、通常の入金報奨とは別に、新たに一定の売上げ金額で返品率が設定条件以下であれば報奨の対象とする「特別報奨制度」を導入。現行の報奨規定に満たない書店でも、中央社が一定の取引利益を確保できる書店には報奨を適用する。

登録スタッフ2千名を突破

書店の経営コンサルティングと出版業界への人材派遣、教育研修事業を行う㈱トーハン・コンサルティング(鈴木光雄社長)の登録スタッフが、このほど2千名を突破した。
同社は1999年の設立時より人材派遣、紹介事業を中心に展開。即戦力となる質の高いスタッフを派遣して評価を受けている。派遣先の職種は書店販売員、出版社営業事務、経理事務、編集・DTPと多彩。

読者提案型の棚作りを研修/東北トーハン会

第9回東北6県合同トーハン会が10月6日、岩手県花巻温泉「ホテル千秋閣」で開催され、書店・出版社・取次・運輸など総勢192名が集まった。
まず6県ごとの総会のあと、合同トーハン会。遠藤澄男山形トーハン会長の開会宣言に始まり、玉山哲6県トーハン会会長(岩手トーハン会長)が「お客の顔の見える総合的販売を指向しましょう」と挨拶した。
トーハンを代表して小林辰三郎社長は本年の売上げに言及。「冷夏の影響が少なく、昨年のような極端な落ち込みは見られない。徐々に明るさを増し、景気の上昇が本格化して来た。この機会を捉え、店売・外売の強化を図り、雑誌の定期購読で新しい読者の開拓を図ろう」と語った。
研修会では「CSゾーンの展開に付いて」即ち、読者提案型の棚作りをトーハン浜田氏が説明。トーハン茂呂氏、仙台宝文堂・日下愛子さんが、パネルを使って詳細な事例発表を行い、最後は互いに顔の見える雰囲気の中、合同懇親会で実り多き収穫の夜となった。(梅津理昭広報委員)

SCM3年で業界標準/東北合同日販会で鶴田社

東北6県合同日販会が10月15日午後、秋保温泉・ホテル佐勘で開かれ、書店50名、出版社・輸送103名、日販から菅会長、鶴田社長、阿部・柴田両副社長などが出席した。
開会に先立ち各県ごとの日販会を開催。39回目となる宮城日販会は、体調を崩し欠席した相江会長に代わり藤原世話人があいさつ。
藤原氏は「河北新報によると仙台市立図書館の貸出冊数は92年の181万冊から昨年は435万冊に2・4倍に増加した。一方、仙台市内の雑誌売上げは92年163億円、昨年164億円と変らない。読書人口は減っているのでなく、買ってくれないだけ。日銀短観によれば大企業、製造業は回復基調で、景気が回復すれば本の売上げも上がるだろう。将来の売上げのため今、何をしなければいけないか、ヒントがつかめる会にしたい」と述べた。
役員改選では菅原庚一(興文堂書店)、安部董男(新生堂)の両氏が退任、新たに菅原正敏氏(興文堂書店)を世話人とした。
第4回目となる東北合同日販会では、岩手日販会赤澤会長が「少子化により毎年150から200の小中高校が統廃合され、近年中に年間300の廃校ペースとなる。コンビニは4万店で郵便局の2倍。書店は超大型店の進出と店舗減少が同時進行している。頻発する大工場の事故はローコスト管理体制に問題がある。書店も現場を大事にしないと崩壊しかねない。ポイントカード問題では有力出版社は毅然とした態度を示してほしい」と、書店をめぐる課題を述べた。
出版社を代表して講談社保月常務は「企業の売上げが上向き、株価も回復、輸送業、人材派遣業が右肩上がりと若干晴れ間が見えてきた。これらをカンフル剤にしたい」としたあと、出版業界の課題として①他メディアとのコラボレート、②アニメ、キャラクタービジネス、③過去の財産活用、④ギフト市場への参入、⑤読み聞かせキャンペーンをあげ、「コンテンツの活用で出版事業の収益性を高めたい。作家、版元、書店の垣根を低くすることも必要だ」と述べた。また、ポイントカードの対応については「なかなか強権を発動できないが、ある時には強権も必要。動いているところは見せないといけないと反省している」と述べた。
日販を代表して鶴田社長は「東北地区の上半期売上げは、冷夏と2度の宮城地震で全国平均より落ち込み幅が大きくなっている。10月も昨年のハリー・ポッターがない分、さらに厳しい」と見通しを述べた。
さらに鶴田社長は日販の新しい施策『ビー・イノベータ』について「業界の流通を考え直す時期が来ている。再販と委託制度の下で厳しい競争が無く、消費者に訴える気迫が欠けていた。3年前から始めたトリプル・ウイン・プロジェクトは書店3百店、出版社百社が参加し、業界SCMを確立する。今後3年間で業界スタンダードに育て、タイムリーな商品供給システムを作っていく。取次5社の蓮田センターは来月からコミック、年明けから文庫を扱い、店頭業務の省力化と返品入帳の迅速化で業界コストを圧縮する。2つのプロジェクトを中心に目標を達成したい」と挨拶した。

本屋のうちそと

活字文化の衰退が言われて久しい。活版印刷機が発明されて550年余。以来、これまで口移しに行われてきた文化継承が、時空を超えて直接に享受できるようになった。その一端を担ってきたのが本屋ということになる。
この間にラジオや映画、テレビ等が登場し、そのたびに活字文化の危機が叫ばれてきたが、人々が本を手放すことはなかった。
紙に印刷された記録を長い間活字文化と呼んできた。しかし、写真植字機の登場により「活字」は数十年前に淘汰された。写植では活字にあたるものを字母と呼ぶが「字母文化」が定着する間もなく、この画期的な技術も21世紀を迎えることなくほぼ絶滅した。
これまで営々と築いてきた技術や秩序が根底から覆され、陳腐化している。小型高性能化された20万円そこそこの1台のコンピュータが巨大なシステムとつながり、印刷、写真、音楽、映像、流通などあらゆる分野を収斂している。
本の売れ行きにもネット書店が影を落とす。本屋を取り巻く困難は、不況やコンビニの影響だけでなく、新しい波が複雑にからみあっていることを認識しなければならないだろう。
未来学者アルビン・トフラーは1980年に出版された世界的なベストセラー『第3の波』で、人類の歴史を農耕社会、産業社会、情報化社会=第3の波に分類し、未来社会を描いた。あれから23年、われわれはトフラーの予言した未来の真っ只中で苦しんでいるのである。 (どんこ水)