全国書店新聞
             

平成13年11月14日号

9月は5・8%減

出版科学研究所は今年9月期の書籍・雑誌販売データを発表したが、9月は書籍5・6%減、雑誌5・9%減、総合で5・8%減となり、景気は一段と悪化の度を加えていることが明らかになった。
今年は5月に入って1・1%増、6月2・1%増と2か月続いて前年同期を上回ったが、7月は一転して6・5%減、8月も3・9%減と、夏を境に4−6%台のマイナスが続く。
上半期(4−9月)の書籍販売額は前年同期比2・5%減。
前年度上半期は4・7%減で、減少幅が縮まってはいるものの、第一・4半期(4−6月)の1・4%減に比べ、第二・4半期(7−9月)は3・7%減となった。
これを送品・返品で見ると、上半期の送品は前年同期に比べ2%減少しているが、返品率は41・5%で前年同期の41・3%に比べ0・2ポイントの増加。
消費需要の落ち込みで返品率が改善されないまま、実売は停滞している。
書籍新刊点数は前期比1・4%の増加。
新刊活動は昨年に比べ押さえ気味で推移している。
平均価格は1・4%減少し、出版物の価格にも下落傾向がうかがわれる。
同時多発テロに端を発した世界不況、景気悪化により、出版業界にも先行きの懸念が強まっている。

版元に配慮求める

成人向け図書の区分陳列を義務化した東京都青少年条例が10月1日から施行されたが、東京組合は先月24日に4班に別れ関係出版社24社を訪問。
区分陳列実施に伴う書店負担への配慮、図書のビニール包装を求めた。
11月6日に開かれた東京組合定例理事会で報告になったもの。
6日の理事会では経営・取引委員会五十嵐和秋委員長、下向磐副理事長が版元訪問について報告した。
東京組合が行ったアンケート調査によれば、不健全図書類を扱っている書店は組合員の40%にのぼる。
これらの書店では区分陳列のための店内改装や書棚新設、ビニール包装などが必要になり、発生する費用について、出版社にも応分の負担を求めたもの。
出版社によっては、「書店に費用負担はさせない」として、当該出版物はすべてビニール包装する意向を説明した社もあったという。
東京組合では、近く出版倫理懇話会の加盟出版社とも話し合いを持つ予定。
倫理委員会大橋信夫委員長からは、東京都が来年3月までにすべての書店の立ち入り調査を行うことが報告されたほか、ゾーニング委員会が決めた成人向け図書のマークが発表された。
流通改善委員会柴崎繁委員長からは、東京組合のホームページ開設について提案があり、準備活動に入ることになった。
10月27日、28日に行われた神保町ブックフェスティバルは、28日の日曜は朝からの雨でワゴンセールを中止したが、初日の売上げは1700万円で前年を100万円上回り、1日としては過去最高の金額を記録したことが大橋実行委員長から報告された。

24書店で読み聞かせ

日書連、児童図書出版協会、出版文化産業振興財団が展開する「第四土曜日は子どもの本の日」キャンペーン。
今秋は東京、静岡、岡山、福岡で実施しているが、2回目のお話会が10月27日に24書店で開かれた。
各書店からの実施報告を要約して紹介する。

第四土曜は子どもの本の日

◇前回くらい集まってくれるか心配だったが、今回も11名の子どもたちが親と一緒に来てくれた。
読み手の人も3名になり、レパートリーの広い内容でちゃんと聞いてくれる子がほとんどで、お母さん方も安心していたように見えた。
実施するに当たっていろいろとノウハウを教えていただいたお陰でうまく進んでいる。
安心して読んで聞かせることが一番大事であることも知りました。
(港区・流水書房田町店)
◇読み聞かせ場所のコーナー作りと片付けを中学生女子4人が自発的に協力してくれたのに感激。
幼児2人、小学生8人、中学生4人の参加者で静かに聞いてくれ、読み終わると自然に拍手してくれたのがうれしかった。
(天竜市・天竜谷島屋テピア店)
◇1回目に比べ宣伝不足だったためか子どもさんが少なく、少し心配した。
会が始まると、絵本を見ていた子どもたちも寄って来たりと、和やかに終えることができました。
会場を1時間前からでもセッティングをしておけば、「何かあるのかな?」と興味をもっていただけたかもしれないと感じました。
(岡山市・ブックプラザAZ本店)
◇もう少し参加人数を増やそうと、来店客に積極的に声かけを実施。
少しですが前回よりも参加者が増えました。
読み手の学生さんも、店の雰囲気にも慣れて、のびのびと読んでいたように思われました。
最初から参加している子どもさんはちゃんと聞いているのですが、途中からの子どもさんはどうしても集中できないところがあるかなという感じがしました。
(岡山県赤磐郡・BOOKS隆文堂)
◇参加した子どもは、前回より増えて20名以上になり盛況でした。
就学前の小さな子どもたちは、眼を輝かせながら「おはなし」を楽しみ、特にしかけ絵本を喜んでいました。
小学生の女の子たちも、始めは後ろのほうで見ていたのですが、何冊も読んでもらううちに「おはなし」の世界の住人になることができたようです。
(北九州市・下川書店ページワン鞘ヶ谷店)
◇子どもたちが参加できるような本を選定したせいか、時間が経つのが早く感じられました。
参加人数は8人、手遊びも1対1でやれて内容は充実していました。
小さいお子さんをお持ちのお母さんは非常に関心が高かったが、まだ早いかなと中に入ってもらえない。
大人の方にも参加していただけたらと思っています。
(福岡県三潴郡・BOOKSあんとく三潴店)

催し

◇11月下旬のトーハン会▽15日=静岡トーハン会(静岡市・ブケ東海静岡)▽16日=婦人会城南コスモス会(銀座アスター三軒茶屋店)▽19日=新潟トーハン会青年部会(新潟市・ミナミプラザホテル)

2001ブック・オブ・ザ・イヤー

トーハンは昨年終盤から今年九月までの新刊の中から特に評判を呼んだ書籍を集めた「2001ブック・オブ・ザ・イヤー2001年、出版界今年の収穫」と題したブックフェアを11月中旬より全国300書店ならびに書籍通販サイト「e−hon」上で展開する。
書店には店頭商品を組み込んだ独自の店頭企画として実施するよう提案、専用オビをはじめ対象書籍の内容を簡潔にまとめたメッセージカードなど読者にアピールする拡材を提供する。
今年は書店展開用として19点を紹介するほか、e−honでも19点を含む55点を同時期に紹介する。
出品図書は『十二番目の天使』(求龍堂)、『模倣犯』(小学館)、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(静山社)、『プロジェクトXリーダーたちの言葉』(文芸春秋)、『チーズはどこへ消えた?』(扶桑社)など。

催し

◇大阪屋「新春おでんの会」平成14年1月10日(木)午後0時半より東大阪市の関西ブックシティで開催する。

保育園・幼稚園でおはなし会

住友生命健康財団は出版文化産業振興財団(JPIC)の協力を得て、読書を通した子どもの健全育成を目的に「スミセイおはなし広場」をスタートする。
おはなし広場開催を希望する保育園・幼稚園に、JPICが地域のJPIC読書アドバイザーやJPIC読み聞かせサポーター、読書サークル等をコーディネートし、オリジナル絵本や大型絵本、紙芝居を交えたおはなし会を届けるもの。
本年度の実施地区は千葉県(11月15日12月15日)、静岡県(11月20日12月20日)、宮崎県(12月)、岡山県(02年1月)、札幌市(同2月)。
また、「おはなし広場オンステージ」では02年2月2日に北九州市、2月3日に広島市で800名の親子を招待して「おはなしと歌」のステージを開催する。

日販京都支店で読み聞かせ勉強会

日販は10月23日、京都支店で取引書店を対象に「読み聞かせ勉強会」を開催し、19名が参加した。
日販京都支店では六月から読み聞かせの普及と支援をテーマに小集団活動を展開。
今回の勉強会は主にこれから読み聞かせに取り組もうという取引書店を積極的に支援するため開催したもの。
勉強会では読み聞かせに必要な事前準備、当日の運営、絵本の選定など一連の流れを「おはなしマラソン」で使用しているマニュアルを元に説明。
さらに、実際に絵本の持ち方、めくり方、読み方などを実演をまじえてアドバイスした。
また、書店での読み聞かせの模様をビデオ上映した。
続いて平出康ポプラ社販売部次長がパネルシアターと絵本読み聞かせのポイントについて講義。
「読み聞かせ会のコンセプトは子供と一緒に遊ぶこと」と述べ、自身も絵本を楽しんでいる様子が感じられる実演で、和やかな雰囲気の講義となった。
参加者からは読み聞かせに向く絵本、雰囲気作り、おみやげなどについて質問があり、平出次長から個別にアドバイスがあった。
また、すでに継続して読み聞かせを開催している書店からは、いかに会を定着させていくかという悩みが述べられ、有効な手段としてスタンプラリーが提案されるなど、様々な視点から話し合いが行われた。

催し

◇楽しいおしゃべりとワイン試飲会大田区のプルミエール本吉書店は11月17日午後3時からドクター米山のミニトーク・サイン会とボジョレーヌーボー試飲の楽しいイベントを行う。
ミニトークを行う米山公啓氏は医学ミステリー、小説、エッセー、医療実用書の著書多数を持つ神経内科のドクター。
月刊『よみがえる』(経済界)連載の医療実用ギャグ小説『不健康家族の「それは病気だ」』(インターメディア出版)の刊行を記念して、「お酒と健康のいい話」を講演したあと、フランス直送のボジョレーヌーボー試飲とサイン会。
同店の湯本専務はソムリエの資格を持っており、ワインの本も多数扱っている。

新聞書籍広告とタイアップ企画積極展開

トーハンが運営するインターネット書籍通販サイト「e−hon」は、新聞の書籍広告と連動し、サイト上で広告掲載書籍のフェアを同時開催するタイアップ企画を展開している。
このほどこの手法が評価され、佐賀新聞社が「西鉄バス乗っ取り事件から一年『もう一度考えませんか、子どもと教育のこと』」と題した広告企画で、日本新聞協会の第21回新聞広告賞奨励賞・新聞社企画部門を受賞。
この企画は5月15日から19日までの5回シリーズで、「西鉄バス乗っ取り事件」から1年を契機に改めて少年犯罪の問題を読者に問い、関連書籍を1日5冊、シリーズで25冊の広告を掲載したもの。
同時に「e−hon」サイト上でも関連書籍のフェアを開催し、地元書店での購入を可能とした点が新たな手法として注目されたもの。
「e−hon」は全国紙でも書籍広告とのタイアップ企画を展開しており、今後全国各地方紙でも積極的に展開していく考え。
また、「e−hon」は全国の加盟書店を通じて商品を購入する仕組みであることから、読者を地元書店に誘導する副次的効果も期待できるとしている。
なお、熊本日日新聞では十月十八日付で「もう一度、見つめ直してみませんか水俣のこと、水俣病のこと。
」と題した企画広告を掲載、「e−hon」での連動フェアも告知されている。

−無題−

*全国二次取次中央会総会全国二次取次中央会は10月20日、東京・文京区「鳳明館森川別館」で第10回総会を開き、会員14名、出版社20名、中央社から秋山秀俊社長など3名が出席した。
秋山社長は「町の本屋さんがどうすれば事業が成り立つかに焦点を合わせることが本年度の方針」と来賓あいさつした。

仙台市秋保温泉で合同総会

東北4県(岩手、宮城、山形、福島)の日販会は10月25日、仙台市の秋保温泉「ホテル佐勘」で合同総会を開き、会員書店、出版社、日販関係者ら総勢141名が出席した。
総会の冒頭、宮城日販会の相江茂文世話人代表があいさつし、「様々な不安材料があるが、今年3月、公取委がポイントカードの弾力的運用を打ち出したこともその一つ。
書店側はこれを値引きとみなす。
定価販売を維持していくとともに、今後も出版業界を盛り上げる努力を続けていきたい」と話した。
続いて昨年度の事業報告、今年度の事業計画案、予算案などを審議し、いずれも原案通り可決承認した。
来賓を代表してあいさつに立った日販の菅徹夫社長は「書店店頭でも厳しい毎日が続いていると思うが、当社POSデータによると9月期は4割を超える書店で前年より売上げを伸ばしているという心強いデータもある。
日販は今年5月に『トリプルウィンプロジェクト』を発表したが、業界三者が手を携えて情報革新・物流革新・営業革新を成し遂げ、三者ともに勝ち組となっていきたい。
また、今後の取り組みとして『無伝返品システム』の構築で書店の作業合理化・入帳の迅速化に貢献したい」と述べた。

里中満智子の幻の名作など

オンデマンド出版サービスを提供する「ブッキング」は、里中プロダクションとの共同企画で幻の名作『純白』(里中満智子著)を復刊する。
四六判、本文280頁、並製、ブッキングオリジナルカバー表紙。
本体2500円。
ブッキングホームページまたは全国書店で注文受付。
この作品はヒロインである超能力者の力を利用しようと近づく者、教祖に仕立てあげようとする者、様々な出会いを通して昭和の数々の事件とかかわりながら成長していく一人の女性の自伝的物語。
93年、著者唯一のノベライズとして刊行されたが、長く絶版が続いていた。
また、ブッキングでは読者のリクエストを集めて復刊するサービス「復刊ドットコム」によりマジック本の名作『あそびの冒険全5巻』(松田道弘著)を復刊する。
各巻四六判、並製、約210頁、セット本体価格1万9000円(分売不可)。
「復刊ドットコム」サイトまたは全国書店で注文受付。
奇術書の執筆で日本屈指の著者自らが実際に手掛けたもの、読んで本当にいいと思った作品が紹介されており、手品、マジックなどを集大成した国内唯一の著書。

紀行文学大賞に奥本大三郎氏

第十回を迎えたJTB旅行文化賞3賞の贈呈式が、十一月七日午後五時半から千代田区内幸町の帝国ホテルで開催された。
今回受賞したのは、紀行文学大賞に奥本大三郎氏『斑猫の宿』(JTB刊)、奨励賞に稲葉なおと氏『遠い宮殿−幻のホテルへ−』(新潮社刊)、旅行記賞入選作に筋原章博氏「スリランカでの一日『総裁』体験記」、佳作に内山弘紀氏「熟年夫婦の特訓ステイ」、旅行写真賞最優秀作に高山昭江氏「ペー族の娘たち」、優秀作に中泰一郎氏「独り占め」、宮森義雄氏「祝船」、デジタル写真賞に大嶋武夫氏「夏の日」。
贈呈式では、JTB舩山龍二社長より各受賞者に賞状と賞品が手渡された。
舩山社長は「賞を創設してちょうど十回。
定着し認められたのも皆様のご支援の賜物。
紀行文学大賞の『斑猫の宿』は軽妙なタッチの中の鋭い洞察に感銘を受けた。
十回の記念出版として、五人の選考委員の先生による自選紀行集を本日発行した」と述べたほか、同時多発テロの影響について「かつてない厳しい試練にさらされている。
改めて旅は平和産業だと痛感した。
現状に屈せず、トゥーリズムを信奉していく。
旅の素晴らしさを訴える人々を支援することに賞の趣旨がある」とあいさつした。
JTB旅行文化賞十周年を記念して刊行されたのは、同賞の選考委員を務めた阿川弘之、奥本大三郎、田中小実昌(山本容朗選)、西江雅之、宮脇俊三の各氏による自選紀行集(四六判・本体二千二百円)。
また、過去十回の受賞作品を展示する旅行写真賞写真展を来年二月に開催する。

本屋のうちそと

一人の書店人として、出来そうもないが、出来たらいいなということを考えてみた。
1、書店用何でもポスト店内にポストを設置する。
小学館にご協力いただき、ドラえもん形にして「ドラぽす」にする。
ドラぽすにはお客様からのすべてのことを入れてもらう。
ご意見、苦情はもちろんだが、すべての質問、本の感想、ファンレター、アイデア、何でもかんでも入れてもらうのだ。
だが、それをどう処理するかが問題だが。
2、読み終わった本の引き取り買ったお店へ持って行くと、本によって十円百円でその店で使える券がもらえる。
新古書店に本が流れにくくなる上に、その店のお得意様になってくれる。
不正返品と実質割り引きになってしまうのが問題だが。
3、年度ワースト本の選出その年に出た本で、読んだけどこれはつまらなかったというアンケートをとり、そのワーストをT島社から出してもらい、希望の書店でフェアをしてもらい、最悪の不評本はその場で絶版にする。
T島社が出版するかどうかと、そんなフェアをする書店があるかが問題だが。
以上三つのこと、もし本当にやりたいという方がいましたら、アイデア料として地酒を一本お送りください。
飲みながら次のアイデアを出しますので。
(たに)

移転

◇ほるぷ出版11月16日(金)に左記住所に移転する。
住所=〒●−0033東京都文京区本郷3−40−11柏屋ビル7階電話=従来通り(03−5684−8871/03−5684−8875)

書店、取次など二百名出席

実用をコンセプトにした新シリーズ「岩波アクティブ新書」を来年一月創刊する岩波書店は、十一月五日午後二時から東京・一ツ橋の如水会館で創刊発表会を開き、書店百五十名、取次三十名など総勢二百名が出席した。
発表会の冒頭、大塚信一社長は「アクティブ新書は岩波らしくないと言う人がいる。
確かに従来の岩波とは違うが、実のところ最も岩波らしい企画と思っている。
二十代、三十代の若い世代に向けて、実用書・入門書の形をとりながらIT時代にふさわしい本を提供していく。
知的活力が衰えたところに経済の隆盛はない。
アクティブ新書創刊で日本再生に寄与したい。
新書の洪水のなか敢えて創刊に踏み切った意図をご理解いただきたい」とあいさつした。
続いて桑原正雄岩波アクティブ新書編集長が「実用書だが、一回読んで終わりではなく、読んだ後に実践する気になる本を出していく」と企画説明し、創刊ラインナップの著者によるビデオメッセージを流した。
また、創刊書目『手紙の書き方』の著者である評論家・佐高信氏が、山口昭男取締役編集部長を聞き手に「岩波アクティブ新書への期待」を語った。
佐高氏は「よくある『これ一冊で全部わかる』という実用書の謳い文句はウソ。
アクティブ新書は全部わかったつもりになる本ではなく、理解への手掛かりになる本を出すべき」と考えを述べた。
後藤勝治取締役営業部長は販売宣伝計画を説明して、「基本的に岩波新書、ジュニア新書とワンセットで取り扱ってほしいが、他社新書の平積みの真ん中、実用書コーナーにも置いてほしい」と述べ、同新書がより多くの読者の目に触れるための工夫を書店と共同で行っていきたいとした。

参考図書

◇『日本出版取次協会五十年史』日本出版取次協会はこのほど『日本出版取次協会五十年史』を刊行した。
同協会の沿革史と事業史、業界トピックス、五十周年記念座談会などの内容で構成。
A4判、カラー口絵一六頁、本文一九二頁。
同協会は昨年八月二十五日に創立五十周年を迎え、これに合わせて年史を刊行する予定だったが、今年三月に決着した「出版再販問題」の記述を加えるために刊行を約一年延ばし、内容の充実を図った。

一清堂栄和店他8店に大賞

今年から秋の開催となった祥伝社の書籍フェア「祥伝社オン・ステージ」の最終審査会が11月1日昼、神田神保町の同社で行われ、飾り付け大賞四店、手書きPOP大賞五店などが決まった。
祥伝社オン・ステージへの今年の受注は開催時期を9月にずらしたこともあって3400セットの申込みがあり、飾り付けコンペに189店が応募した。
一次予選を経て残った93店の中から審査員の投票で飾り付け大賞4店と、新設の手書きPOP大賞5店、優秀賞30店を選んだ。
審査会で藤岡社長は「オン・ステージは16回目。
いろいろ趣向を変えてやっている。
例年より参加店がだいぶ多く、喜んでいる。
書店も危機感を持っており、よい販売企画なら乗りたいのではないか」とあいさつ。
竹内販売部長は「11月1日から新しい期に入ったが、10月後半からコミック「パラダイスキッズ」が好調で、もうすぐ50万部。
400円文庫も出足が良く、一年を通して好調が持続するよう努力する」と述べた。
大賞受賞書店は以下の通り。
〔飾り付け大賞〕さいたま市・一清堂栄和店、下関市・明林堂書店新下関店、福山市・サントーク廣文館、佐賀・油屋書店基山店〔手書きPOP大賞〕町田市・久美堂多摩境店、四日市市・テラ、広島市・フジイ書房、鳥取市・ブックセンターコスモ吉方店、川之江市・Bookセンターかわのえ

第1回ビズテック図書賞の表彰式

技術と経営の進歩や発展に役立つ優れた図書を表彰する「日経BP・BizTech図書賞」の第一回受賞図書が決まり、十月三十日午後五時半から東京・内幸町の日本プレスセンターで表彰式が行われた。
今回の受賞図書は畑村洋太郎氏『失敗学のすすめ』(講談社)、加藤敏春氏『エコ・マネーの新世紀”進化”する21世紀の経済と社会』(●草書房)、藤村修三氏『半導体立国ふたたび』(日刊工業新聞社)、稲垣公夫『EMS戦略企業価値を高める製造アウトソーシング』(ダイヤモンド社)の四点。
表彰式の席上、日経BP社・吉村社長は「現在の閉塞状況を打破するのは新しい技術と経営しかない。
受賞図書が社会に寄与すれば主催者としてうれしい」とあいさつ。
一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の野中郁次郎氏が講評を行い、表彰に続き各受賞者がスピーチした。
来賓の日書連・萬田会長は「受賞図書の前向きで未来につながる提言に敬意を表する。
経済・経営分野の出版点数は全体の七・一%と、書店店頭で大きな位置を占めている」、トーハン・金田社長は「先見性に富んだ志の高い著作が選ばれた。
地味だが重要な分野に光を当てる本賞の今後の発展を願う」とあいさつした。

学校として初の受賞

地域・職場で読書普及に貢献した団体・個人に贈る野間読書推進賞の贈呈式が6日午前11時半から日本出版クラブ会館で行われた。
今年の受賞者は団体の部に岩手県立伊保内高等学校と大分子どもの本研究会、個人の部で群馬県・須田利一郎、岐阜県・大久保粂子の両氏。
贈呈式では初めに読書推進運動協議会野間佐和子会長が「21世紀は戦争のないことを願っていたが、不幸な事態が起きている。
このような時こそ読書運動を通じて平和な世界の実現をめざしたい」と、あいさつ。
選考委員を代表して日本図書館協会栗原均顧問が選考経過を報告したあと、野間会長から受賞者一人ひとりに賞状と賞牌、副賞が手渡された。
祝辞を述べた文部科学省生涯学習政策局の高杉良知社会教育官は「読書を通じて自然、社会、文化に関心を持ち、自ら考え他人を思いやる子どもが育つことを願う」と述べ、国としても読書運動の推進を支援する方針を説明した。
受賞団体のうち、伊保内高校は学校として初めての受賞。
昭和55年から村内の小学校、公民館、老人ホームなどを手分けして訪れ、読み聞かせ、紙芝居、ゲームなどのレクリェーション活動を続けている。
受賞者あいさつで生徒代表の野辺地綾子さんは「どんな山奥でも役場の人が出迎えてくれ、公民館で待っている小学生も楽しみにしている。
地域の人に支えられ続いてきた」と、地域ぐるみの読書活動を強調した。

神谷氏に黄綬褒章

平成13年の秋の褒章は、日書連関係で千代田区・神谷書店の神谷誠一氏が地図販売業として黄綬褒章を受章した。

あなたの街の本屋へ

京都府書店商業組合(中村晃造理事長)は、今年中止となった近畿ブロック会主催「書店へ行こう」キャンペーンに変わって、「あなたの街の本屋さんへ行こう!/本屋さんでデジカメを当てよう!」キャンペーンを12月31日まで展開している。
共催は主婦の友社、後援は取次京栄会と書協京都支部。
このキャンペーン、組合加盟店に応募券の付いたチラシ400枚とポスター2枚、回収袋をセットにして郵送。
書店は読者の来店ごとにチラシにスタンプ1つを押す。
キャンペーン参加書店のスタンプ2つを集めて応募すると、抽選で特賞ソニーのデジタルカメラ「サイバー・ショット」が3台、ブックス賞として「図書券3千円分」が50名、「図書券千円分」が200名、出版社賞として「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」パスポートなども当たる。
チラシの裏面は、京都組合推薦図書として『主婦の友』新年号の宣伝になっており、新年号の予約、定期購読の申込書も兼ねているが、申し込みがなくてもキャンペーンには応募できる仕組み。
書店は集まった応募券を1月15日までに京都組合または取次に送り、1月下旬に抽選会を実施、2月上旬に賞品を発送することになっている。
京都組合では一昨年にも同様のキャンペーンを実施したが、今回はスタンプ3個を2個に減らして応募しやすくしたほか、チラシのスタンプ欄も書店印(住所印)を押せるよう、ワクを広げるなどの工夫をした。
また、できるだけ多くの応募者に景品が当たるよう、当選本数も増やした。
前回の応募者総数は3千名強。
実行委員会では、これをさらに上回ることを期待している。
(梅澤マサミ広報委員)

年賀状に挑戦

鹿児島県書店商業組合は鹿児島県の協力を得て11月3日、4日の両日、鹿児島市のサンエールで第4回パソコン講座を開催。
初心者、中級者の2コースに分かれ各15名の定員で行った。
今回は学校図書館資源共有型モデル事業の内容をナノビット高崎社長から受け地元書店の今後の在り方まで議論。
二日目は年賀状の作成と印刷を行い、出来栄えに満足した。
講座は今回で終了するものの、今後、書店パソコン同好会を結成しようという要望があがっている。
(井之上博忠広報委員)

有害図書陳列規制も

神奈川県県民部青少年課は10月4日、神奈川県書店商業組合の理事会開催に先立って「青少年有害図書の取扱い」について協力要請を行った。
隣接の東京都では10月1日から改正青少年条例が施行され、成人向け雑誌は■一般図書から離れて陳列する、■仕切板を作る、■ビニール袋に入れるなど区分陳列の規制が行われており、神奈川県も規制を行う方向で検討を進めている。
ただ、東京都の規制をそのまま行うわけではなく、実施については書店などと相談して無理のない方法で行う考えという。
神奈川県は従来、青少年有害図書を個別指定していたが、雑誌審査のため指定が遅れる、審査漏れが多いなどの理由から、現在は問題箇所が20頁以上などの条件を満たすと有害図書という包括指定方式に改めた。
しかし、書店、コンビニなどで雑誌内容をいちいちチェックできないとの声があるため、一応の目安として例示図書の書名をあげ、年4回程度選定して通知している。
書店に対する要望として神奈川県が求めたのは、■有害図書類は他の雑誌と区分し、レジから監視できる場所に置いてほしい、■「18歳未満お断り」のステッカーを貼る、■ビニール袋に入れるか、ひも掛けをする、■学生服着用など一見して18歳未満とわかる者には販売しない−−の4点。
この種の雑誌は18歳以下には販売できないが、成人への販売は可能なわけで、今後、書店としても陳列方法などを研究する必要があるだろう。
(平井弘一広報委員)

組織強化と読書推進

静岡県書書店商業組合(斉藤行雄理事長)は10月25日午後4時半から静岡市のクーポール会館で第14回定時総代会を開催。
委任状を含めて61名が出席した。
総代会は中野弘道常務理事(焼津谷島屋)の司会で進行。
斉藤理事長(谷島屋)は「厳しい一年であった。
今後も改善のない時代が続くと思われる。
この中では再販存続が大きな成果だった。
日書連・県組合の財政基盤立て直しが検討されているが、県組合の減少は止まらない。
未加入書店の加入促進を重要課題としたい。
先頃、子どもの一日の読書時間が平均20分という調査報告が出た。
静岡県は「朝の10分間読書」「日販おはなしマラソン」「講談社おはなし隊」などの実施で他県に先行しており、より一掃の読書運動を行っていく」とあいさつした。
古沢隆副理事長(マルサン書店)を議長に5つの議案を審議。
佐塚照夫常務理事(佐塚文化堂)、沼田渉副理事長(サガミヤ)から事業報告、決算・予算案が報告され、いずれも原案通り可決承認した。
総代会終了後、懇親会の席で7年勤続従業員の表彰式を行い、今年度は15名に記念品と賞状が斉藤理事長から手渡された。
勤続7年従業員吹田仁、原夕子、水野誠、荒井浩子、大木喜久美、田村浩美(マルサン書店)、藤田美佳、山田隆広、堀内貴夫、高井千聡、斉藤みつ子、宮本みよ子(谷島屋)、鈴木いづみ(ブックハウス浜北)、松井友美、高草光枝(太輝音)(稲勝元広報委員)

ホームページ立上げ

大分県書店商業組合(大隈邵理事長)は10月17日正午から大分図書会議室で第17期通常総会を開催。
委任状を含め60名が出席した。
総会では樋口文雄副理事長を議長に第17期事業報告、収支決算報告、第18期予算案などを審議し、原案通り承認した。
役員改選では新理事に村上雅男(楠書房)、渡辺和彦(都久屋)両氏を満場一致で選出した。
大隈理事長は「雑誌の売上げが低調な中、書店の売上げ確保には、図書券を釣り銭の心配のいらない図書カードに切り替える必要がある」と問題提起。
さらに「二月のIT研修会、六月の椎名誠講演会は多くの組合員の強力で成功した。
本年度は県組合のホームページを立ち上げたい」と、今年の課題を示した。
総会終了後、永年勤続者表彰を行い、20年勤続3名、10年勤続6名、5年勤続11名を表彰した。
受賞者を代表して大塚正和さん(晃星堂書店)は「20年間、社長、上司、先輩、同僚の指導があって、書店人として今日まで来られました。
今後、初心に帰り一層の勉強と鍛練を積んで勤務を続け、会社の発展に微力を尽くしたい」とあいさつした。
また、日本図書普及カード事業部の平井部長が図書カードの現状と取扱いについて説明。
「平成13年度の図書カード取扱店は9000店を突破する。
カードの発行も急速に伸びている。
各書店に図書カード読取り機の設置を」と呼びかけた。
(金光直明広報委員)永年勤続表彰者▽20年=大塚正和(晃星堂書店)、猪原鈴美(アダチ)、薬師寺博康(大分教育図書)▽10年=村上雅子、後藤良子(明林堂書店)、平岩直美(晃星堂書店)、江田春江、羽野邦子(文化書房)、佐藤慎司(大分教育図書)▽5年=河野かおる、萱島勉(福田書店)、東川英俊、天野徹朗、大倉岳、近木堅蔵、浜岡泰介(明林堂書店)、佐藤道美、矢野康子、繁田美智子(宮脇書店玖珠店)、本村千代美(大分教育図書)

−無題−

訂正10月24日号1面に掲載した日書連10月理事会の記事で年末年始の雑誌最終発売日が「27日」とあるのは、「28日」の誤りでした。
訂正いたします。

区分陳列の目安に

雑協、書協、取協、日書連、出倫懇の出版五団体で構成する出版ゾーニング委員会(委員長・内田剛弘弁護士)は、出版物の区分陳列で新たに使用する識別マーク「出版ゾーニングマーク」を決定した。
マークのデザインは、赤地に黒の枠組みで「18未満」の文字を白抜きしたものと白地に赤の枠組みで文字を黒にしたものの二通り(図=アミ部分が赤色)で、サイズは25、15の二種類。
マークの表示は、区分陳列の目安となることを目的に同委員会が自主規制の一環として出版社に要請するもの。
審査対象は雑協、出倫懇加盟社から任意に提出された雑誌で、要請を受けた出版社は四種のマークから選択して表紙に刷り込む。

委員会を増設・強化

日書連近畿ブロック会(今西英雄会長)が十一月七日、大阪府書店商業組合会議室で各府県組合理事長・幹部二十三名が出席して開催された。
会議では、日書連の財政改善問題及びその活動・運営の方向について意見交換し、ブロックとして提言していくこととした。
次いで、現下の書店を取り巻く厳しい状況について討議を行った。
その結果、従来の近畿ブロック会の活動である「雑誌発売日問題協議会」「書店へ行こうキャンペーン」「情報化推進協議会」に加え、さらに問題を掘り下げて総合的に共同して対処することとし、別掲のとおり問題ごとに責任担当を選任した。
今後具体的に展開を図っていく方針。
近畿ブロック会の次回開催は平成十四年二月。
(辻山昌佑広報委員)〈担当〉▽情報化推進協議会=今西英雄・大阪府組合理事長▽雑誌発売日問題=安井克典・本部委員会委員(兵庫)▽組織強化問題=西川忠夫・滋賀県組合理事長▽再販問題=宮井治夫・和歌山県組合理事長▽書店活性化問題=中村晃造・京都府組合理事長▽「書店へ行こう」=西本功・奈良県組合理事長▽出店問題=村田耕平・兵庫県組合理事長▽取引問題=未定

秋田組合新住所

秋田県書店商業組合の事務局は左記の住所に移転しました。
旧住所に送られてくる郵便物がまだありますのでご注意ください。
〒010−0873秋田市千秋城下町6−1加賀屋書店内秋田県書店商業組合018−833−3111/FAX018−833−1928

生活実用書・注目的新刊

オトーサン達はこんなに貧乏でバカだったんだと、最早五十代前半になったベビーブーマー、いわゆる団塊の世代が語る、昭和20年以降の物価から見た昭和史である。
高橋孝輝著『値段が語る、僕たちの昭和史』(主婦の友社1000円)は、タマゴやインスタントラーメンなどの食べ物から、電車賃、スーツ、初任給など生活の値段を全四章35品目に渡って検証。
現在のタマゴの値段が一個16円とすると、1948(昭和23)年には8350円相当の高級品だった。
ところが養鶏業は大型化、生産量も飛躍的に増えていった。
かつて一個ずつのバラ売り、贈り物用木箱入りまであったタマゴの価格はいつも十数円なのだ。
文庫本を見るとたとえば漱石の『こころ』が400円。
1950(昭和25)年の岩波文庫は★★★で90円。
5200円相当である。
その当時の90円は、喫茶店のコーヒー3杯分、コロッケ18個分。
地下鉄が全線10円均一、銀行員大卒初任給が3000円という時代だった。
『こころ』はこの間4・7倍だが、消費者物価指数は8倍を越す。
ほかの物価に比べ、本の値段は安くなっているのである。
正井泰夫監修『昭和30年代懐かしの東京』(平凡社1300円)は、1955〜65年頃の東京の様子を、写真と地図とコラムでよみがえらせたもの。
ベビーブーマー達は小学校の高学年から中学・高校生だった。
銀座、上野、渋谷、新宿、池袋、赤坂など12の盛り場が取り上げられる。
たとえば昭和34年の新宿西口の地図。
今でも残るのは郵便局、工学院大学、警察署、東京医科大学病院くらいのもので、都庁を初めとする副都心ビル郡はまだない。
広大な淀橋浄水場があるばかりだった。
当時のセピア色の写真には、駅前を歩く人影もまばらである。
都内を縦横に走っていた都電路線図も巻末に紹介されている。
ただ懐かしむのも、それでいい。
しかし、モノがなく、日本中が貧しかった時代が、ほんの少し前まであったことを忘れてはならないだろう。
様々な人の力の上に現在の時間は連鎖しているのである。
書店に「昭和」、でなければ「20世紀」といった分類があれば、このような本を容易に見つけることができる。
(遊友出版・斎藤一郎)

私鉄駅売店問題で討議

雑誌発売日問題「近畿地区連絡協議会」が十月二十四日午後二時から、大阪府書店商業組合会議室で開催された。
出席者は、講談社、小学館、集英社、一次取次、二次取次各社の代表と、近畿六府県の理事長、雑誌発売日委員長他、多数であった。
各府県における発売日違反の現状報告があった後、出版三社から提示された「電鉄関係駅売店への前渡し」に関する実施細則・案について質疑応答があり、以下のことが確認された。
阪神電鉄駅売店の早売りが問題になったのをきっかけにして、長年にわたって議論されてきた阪急電鉄駅売店・地下鉄駅売店の早売り問題も併せて俎上にのせ、早売りを根絶するために議論する小委員会を設置した。
従って、今回の実施細則の適用範囲にはJR駅売店は含まれていない。
JR駅売店問題は改めて議論されることになる。
阪急上新庄駅売店で度々問題になったことであるが、本来保管場所にあるべき翌日発売の週刊誌が、現在発売中の週刊誌の下に隠して陳列されていたりする問題は、売っている現場を確認しなくても売る意志があるものと考え、陳列している事実だけで早売りとみなす。
電鉄沿線の駅売店のうちの一カ所でも早売りの違反があった場合、同一取次が卸しているその沿線すべての駅売店への前渡しは禁止される。
滋賀県で違反申告に領収証の提示を求められたのは、業者が違反事実を認めようとしなかった悪質業者だったからで、原則として違反事実の通知だけでよい。
必ずしも表紙のコピー、領収証は必要としない。
最後にこの実施細目では、前渡しを追認するだけで早売り根絶には無理があるのではないかと質問が出た。
これに対しては、脱法行為ができないように出版社所定の書式で前渡し承認の申請をしてもらう。
ウラ技を使うといった信頼関係を損ねるような違反行為があったときは、直ちに前渡し停止とするとの言明があった。
(中島俊彦記)

日書連のうごき

10月1日出版平和堂合祀祭へ萬田会長他出席。
10月3日全国書店新聞広報委員会議開催。
再販問題で今西近畿ブロック会長他、小学館を訪問。
10月4日情報化推進委員会開催。
10月5日岩国衆議院議員出版記念会へ白幡専務他出席。
10月12日再販問題で下向副会長、中村委員長で講談社訪問。
公取委取引企画課山本課長と懇談。
10月15日日書連共済会全国委員長会議開催。
九州雑誌センター取締役会へ萬田役員他出席。
10月16・17日日書連移動理事会(於日光金谷ホテル)。
10月18日共通雑誌コード運営委員会開催。
10月22日全商連創立50周年記念式典へ下向副会長出席。
SLA研修会開催。
10月23日情報化推進委員会。
再販問題打合会へ中村委員長他出席。
10月25日読推協事業委員会へ舩坂委員出席。
出版物公正競争規約の件で影山専務他公取委訪問。
10月26日分野協常任理事会へ丸岡理事出席。
10月29日第四土曜日は子どもの本の日実行委へ高須副会長出席。
10月31日著作物リサイクルビジネス対策会議。
公正取引協主催月例懇談会へ白幡専務他出席。

西日本新聞の朝刊第一面下のメインコラム欄「春秋」で、福岡市内の出版社などが合同で発行中の「はかた版元新聞」のコラムが紹介された。
「書店勤務の女性のつぶやき」として、「ドキリとするお客さまがいらっしゃいます。
ほしいと思っている本を片っ端から購入されるんです。
『知られている』『気が合うに違いない』などと妄想を膨らませながら、またのご来店をお待ち申し上げる私です」とある。
春秋のコラム子はこれを受けて「読書の秋。
店員さんを大いに妄想に駆り立てて、走らせよう(困らせようというわけではありません)。
来月下旬には市中心部に九州最大規模の書店が進出する。
生き残り競争も本番」と結んでいる。
古いことだが、アメリカがくしゃみをすると日本は肺炎を起こすといわれた時代があったが、大阪のくしゃみが福岡で肺炎にならなければいいがと思っている。
本屋の出店が地方紙のコラムの問題となるというのも、この不景気の御時世なればこそであろうか。

書店を経営していると、いろんな常連客が来てくれる。
畑でできた野菜を持ってきてくれる人。
料理教室で作ったパンを届けてくれる人。
競馬のG1レースの馬券を買いに行くので「あなたも予想して、買いなさい」と馬券を買ってくれる人。
ありがたいことである。
そんな時は本屋をやっていてよかったと思う。
売上げなどはすっかり忘れてしまう。
また、趣味の話をするために定期的に訪れてくれる人もいる。
商売をしていて、おしゃべりに来てくれる人がいないというのは、さびしいことである。
私たちは地域の人のために働いているわけで、地域の人から見離されたらどうしようもない。
だから私は、市民の皆さんのために尽くしたいと考えている。
そうすることが結局のところ、安定的な経営をもたらしてくれるはずである。
思い起こせば私は若い頃、利益を優先させて最終的には損をしていた。
そんな失敗を乗り越えて、損をしないしぶとい経営を目指したいと思う。
二十一世紀の今は、「混沌の時代」である。
何が起こるかわからない。
けれども、そんな時にこそ、生き抜く知恵を見つけ出したいと願っている。

小学館ほか数社が合同で、新刊コミックを新刊書店で買う人が増えるように、新刊書店のためにはがき作戦をすると聞き、誠にありがたいと思いました。
でも新刊本が古書店ですぐ売られるという根本的な問題の解決にはなりません。
前に書店印の提案がありました。
でも新しい本に押印するのは買う人が嫌がるでしょう。
しかし新古書店に、万引きされた新刊本などが流れたりするのを防いだり、売られた新刊本でもすぐ新古書店で売られたりして新刊本の売れ行きが落ち込んだりしないような方法を業界全体として真剣に早く考え、実施すべきではないでしょうか(古本が取次に返品されたりすることも防止しないといけません)。
そこでこんな方法はどうでしょうか。
1、新刊本の購入者がコミックの表紙を(カバーを含めて)一部(点線で三角形等を印刷しておく)を切り取り、新刊書店に持って行くと十枚で千円の図書カード等に交換してくれる。
2、書店が書店印を押印し図書券といっしょに図書カード会社に送ると換金処理される。
3、経費を業界全体で分担する(国は金がないから支援は無理でしょうか)。
要は新刊書店の売る新刊本と新古書店の売る古本とを、多くの購入者が気にする表紙を利用して何とかして差別化し、できなければ価格差をできるだけ少なくする。
根本的な解決にはこれしかないのではないでしょうか。
もちろん、もっといい案があればそれを実行しましょう。
とにかく早く解決しないと、大袈裟に言うと作家・出版社・取次会社・新刊書店・図書券会社・運送会社・等業界全部が弱体化していき、ひいては日本人の文化の根幹に、マンガを含めた日本語で書かれた本が衰退してしまうのではないでしょうか。

真ん中で出会う絵本合作

いわむらかずおとエリック・カール、日米の世界的絵本作家2人が合作絵本『どこへ行くの?ToSeeMyFriend!』(B5横変形判、32頁、本体1500円)を童心社から出した。
両氏は昨年一月に栃木県「いわむらかずお絵本の丘美術館」で開催された二人のトークショーで初めて出会い、短時間で意気投合。
この企画が生まれたもの。
表紙が二つある異色絵本で、いわむら氏のパートは日本語縦書き右開き、カール氏のパートは英語横書き左開きで始まる=写真。
両側から進んでいく日本語と英語のストーリーは真ん中で出会うようになっており、文化の違いを越えて絶妙なハーモニーを織り成す。
なお、創作過程のスケッチや試作本などを公開した「どこへ行くの?ToSeeMyFriend!」絵本原画展が11月29日から来年2月24日まで「いわむらかずお絵本の丘美術館」で開かれる。

パパが宇宙をみせてくれた

ある日の夕方、パパが「いまから宇宙をみせにつれていってあげよう」といった。
「宇宙って、いったいなんなの?」「この世界ぜんぶさ」。
父親と少年のほのぼのしたやりとりのなかに宇宙観、人生哲学をもしのばせた、詩情あふれ、なおかつユーモアも忘れていないお話。

週刊売行き情報

映画公開した「冷静と情熱のあいだ」。
斬新な原作の手法もさることながら“Rosso”と“Blue”。
対をなす二冊の装丁の深い赤と青が目に止まります。
(文)(1)『ルネッサンス』ダイヤモンド社4‐478‐32100‐0……18冊
(2)『ジャック・ウェルチわが経営(上)』日本経済新聞社4‐532‐16400‐1……16冊
(3)『今昔続百鬼―雲』講談社4‐06‐182221‐7……9冊
(4)『ジャック・ウェルチわが経営(下)』4‐532‐16401‐X……8冊
(5)『国民の教育』扶桑社4‐594‐03301‐6……7冊
”『戦争論(2)』幻冬舎4‐344‐00131‐1……7冊
(7)『ハリー・ポッターと賢者の石』静山社4‐915512‐37‐1……6冊
(8)『大前研一新・資本論』東洋経済新報社4‐492‐52122‐4……5冊
”『ダーク・ムーン』集英社4‐08‐774558‐9……5冊
”『HARRYPOTTER&THEPHILOSOPHER’SSTONE』BLOOMSBURY0‐7475‐4955‐9……5冊
(11)『昨晩お会いしましょう』幻冬舎4‐344‐00126‐5……4冊
”『天然まんが家』集英社4‐08‐780335‐X……4冊
”『逆説の日本史(9)』小学館4‐09‐379420‐0……4冊
(14)『上海を制する者が世界を制す』ダイヤモンド社4‐478‐23116‐8……3冊
”『高業績メーカーは「サービス」を売る』ダイヤモンド社4‐478‐50196‐3……3冊
”『ザ・ゴール』ダイヤモンド社4‐478‐42040‐8……3冊
”『数学嫌いな人のための数学』東洋経済新報社4‐492‐22205‐7……3冊
(11月4日〜10日調べ)

週刊売行き情報

ハリー・ポッターの映画公開を控え、書籍の方も再び過熱してきている。
それに伴い関連書も多く出てきているが、日本の小説にもがんばってほしいところである。
(井)(1)『後藤真希写真集』ワニブックス4‐8470‐2679‐9……10冊
(2)『ハリー・ポッターと賢者の石』静山社4‐915512‐37‐1……8冊
”『新ゴーマニズム宣言SPECIAL戦争論2』幻冬舎4‐344‐00131‐1……8冊
(4)『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』静山社4‐915512‐40‐1……6冊
”『ハリー・ポッターと秘密の部屋』静山社4‐915512‐39‐8……6冊
(6)『ダーク・ムーン』集英社4‐08‐774558‐9……5冊
”『ファイナルファンタジーXシナリオアルティマニア』デジキューブ4‐88787‐010‐8……5冊
(8)『盲導犬クィールの一生』文藝春秋4‐16‐357260‐0……4冊
”『プロジェクトXリーダーたちの言葉』文藝春秋4‐16‐357670‐3……4冊
”『美女入門PART3』マガジンハウス4‐8387‐1320‐7……4冊
”『ルネッサンス』ダイヤモンド社4‐478‐32100‐0……4冊
”『ファイナルファンタジーXバトルアルティマニア』デジキューブ4‐88787‐001‐6……4冊
”『ジャック・ウェルチわが経営(下)』日本経済新聞社4‐532‐16401‐X……4冊
(14)『なぜか、「仕事がうまくいく人」の習慣』PHP研究所4‐569‐61488‐4……3冊
”『お金がたまる人、たまらない人』主婦の友社4‐07‐230680‐0……3冊
(11月4日〜10日調べ)

上期は1割部数減

日本ABC協会は2001年上半期(1〜6月)の「雑誌発行社レポート」を発表した。
週刊誌49誌、月刊誌73誌、合計52社122誌の前年同期比は91・72となり、約1割の部数ダウン。
内訳は週刊誌92・83、月刊誌90・96で月刊誌の落ち込みが厳しい。
同レポートから主要43誌の数字を別表にまとめた。
総合週刊誌では『週刊文春』が昨年下期と比べて4万7千部減り、『週刊現代』が2万5千部の減少。
『週刊朝日』『サンデー毎日』の新聞社系二誌、『週刊大衆』『週刊実話』は横ばい。
各誌が伸び悩む中で『週刊アサヒ芸能』が前期比2万6千部伸ばしているのが目に付く。
女性週刊誌は『週刊女性』が3万部、『女性自身』『女性セブン』は各2万部落とした。
『週刊女性』『女性セブン』は二期連続で部数が減った。
月刊の女性誌、ファッション各誌も軒並み1万部から4万部の減少。
『CanCam』は前期対比4万部、前年同期比では8万部減になった。
これと対照的に昨年下期に10万部減を記録した『non・no』は、今期1万7千部増やし、持ち直した。
パソコン雑誌は『日経パソコン』が前期比3万部増え35万部と好調。
『週刊アスキー』『日経PC21』は20万部前後で横ばい。
ここにきて『日経クリック』はここにきて2期連続部数を落としている。
角川の『ウォーカー』各誌も1〜2万部の減少が続いている。