全国書店新聞
             

平成20年11月1日号

景品規制、消費者庁に移管へ

政府は6月の閣議決定で景品表示法を新設の消費者庁に移管することを決めているが、これに伴い景表法は競争法から消費者法に位置づけるための改正を行い、規制主体も公取委から内閣総理大臣に移行することになった。
現在の小売公取協景品規約は来年5月24日までに見直しを行うことになっているが、10月23日の小売公取協理事会で影山専務理事は「現在の規約は、そのまま有効であり、改正も来年5月までに進める」と説明。監督官庁は変わっても規制の中身に変化はないことを強調した。

返品不能生むフリー入帳/取引用語の統一求める/日書連

日書連は10月23日午後1時から仙北市「プラザホテル山麓荘」で移動理事会を開催した。今年の移動理事会は秋田組合の設営。理事会では取引改善の取り組みで、出版社有事の場合にフリー入帳で仕入れた商品が返品不能品になるケースが増えており、出版業界で取引用語を統一していく方針を了承した。
〔取引改善〕
送品・返品同日精算の問題で大橋会長は、10月8日と10日に太洋社、中央社、日教販、協和の取次4社を訪問し、各社トップと懇談。トーハン、日販、栗田、大阪屋を含め、取次8社すべてを訪問したことを報告した。引き続き取り組みを進めていく。
柴﨑委員長からは出版社有事の場合の対応について、①取次―書店間にフリー入帳の仕組みはなく、取次が条件を決めている。取次個々と話をしていきたい、②国際地学協会は民事再生から2年が経過しており、2年前に返品した分の入帳を請求してほしい、③フリー入帳や委託の追加注文など、業界の取引用語を統一するよう働きかけ、書店のリスクを少なくしていきたいと、今後の取り組みの説明があった。
〔環境改善〕
大橋会長は事業者団体である日書連にどのような活動ができるか、全国中央会から講師を派遣してもらい、11月か12月に勉強会を行いたいとした。
「出版社、取次、書店の各団体で業界のあるべき姿を定期的に協議する常設機関が必要ではないか」という鶴谷理事の提案に、大橋会長は「定例の協議機関は必要だと思う。模索していきたい」と述べた。
〔日書連共済会〕
日書連共済会の残余財産5億3413万円について大橋会長は、11月か12月の理事会に処分案を提示するという考え方を示した。
〔情報化〕
書店店頭で読者が携帯電話を使ってコミックの一部を試し読みする「ためほん」システムについて、井門委員長は11月から東京と鳥取の各5店舗で稼働実験を行うと発表した。講談社、小学館、集英社の3社が協力する。
井門委員長は「出版社はコミックの試し読み用小冊子を書店に配布しており、これをやめればシステムの経費は出る。今後、書店がコンテンツの商売にかかわっていく第一歩」と意欲を述べた。
ICタグ導入問題では、先頃、東北6県トーハン会が「ICタグ導入で書店の万引被害を撲滅して」と声明を発表している。井門委員長は「書店の万引被害は
年間2百億円。出版物にICタグが付くためには書店からの強い要望が必要で、今年8月には近畿ブロックと福岡組合でICタグ研修会を開催した。各県組合でも総会、理事会の折などに研修会を開催してほしい」と呼びかけた。
日書連MARCについては、学校図書館への導入が既に3000校を超えており、近く日書連MARC導入校一覧のリストを作るとした。
〔指導教育〕
8月20日、21日に実施した書店経営研修会を録画したDVDの斡旋は114枚の申し込みがあったが、11月19日まで締め切りを延長することにした。
鈴木委員長は今後の取り組みとして、書店返品運賃問題を取り上げ、運賃体系、輸送会社などの基礎資料を調査していく方針を示した。
鶴谷理事は「返品運賃は書店が負担するのでなく、出版社がコストの中に組み込むべきだ。各県で決議して同一歩調をとっていこう」と呼びかけた。
〔健全化〕
書店経営健全化委員会は10月17日付で日書連大橋会長、中山寿賀雄委員長の連名により取次各社に「書店商業組合への加入促進運動ご協力のお願い」(2面)を送付したことが報告された。
栃木組合杉山理事長からは宇都宮地区の出店にあたり、大阪屋から出店連絡があったことが報告になり、「今後、各取次から地元県組合に出店連絡を徹底してもらいたい」と求めた。滋賀組合平柿理事長は「取次と年に1回懇談会を開いて情報交換を密にしている」と、日頃の交流が必要なことを強調した。
福岡組合からは山口理事長が「福岡県は教職員3万人に1人年間6千円の研修助成をしており、組合加盟店でのみ利用できる。このため組織率が高い。組織強化には各県組合の努力も必要」と指摘した。
〔流通改善〕
9月24日に雑誌発売日本部委員会が開催されたことを藤原委員長が報告した。
日書連が求めてきた全国同一発売は、ようやく九州の「週刊文春」「週刊新潮」が繰り上げられ、一歩前進したものの、沖縄地区を船便から航空便に切り替える問題は、コンビニとの時間差問題などで中断している状態と説明があった。
また、発売日本部委員会の予算では、600万円を超える繰越金があることから、各団体分担金の見直しが必要ではないかと問題提起があった。

私の1冊、日本の100冊/NHK衛星に連動して販促/10月理事会

〔読書推進〕
NHKが10月27日から来春まで衛星放送で「私の1冊日本の100冊」を放送するが、出版文化産業振興財団は放送に合わせてポスターやPOPなど関連ツールを作成。店頭活性化に役立ててほしいと全国書店に販促ツールを配布する。
10月27日からの放送開始に先立ち、10月26日にはBS―hiで午前10時から、BS2では午後4時から2時間枠でスペシャル番組を放送。各界著名人の「私の1冊」を取り上げる。来年3月には読者・視聴者の「私の1冊」を紹介することになっており、書店店頭のポスター、ホームページなどで募集する。
〔増売〕
読書週間書店くじの申し込みは、前年比50万枚少ない307万枚となったことが報告された。特賞20万円の図書カードがあたる抽選会は11月19日午後5時より神楽坂の日本出版クラブ会館で行う。
〔再販研究〕
再販違反事例の研究会を9月に続いて年内にも開催する方向で調整中だと岡嶋委員長が説明した。日書連11月委員会は東京組合と合同で開催し、買切り品の定価拘束などの問題を研究する。
〔年末懇親会〕
出版販売新年懇親会に代わって開催することになった出版販売年末懇親会は皇居前・パレスホテルで12月17日午後6時より開催するべく準備が進んでいる。
出版社、取次、業界関係者など600名から800名に10月中にも案内状を送る。会費は1万5千円。東京、千葉、埼玉、神奈川の書店組合にも書店の出席を求める。
〔財務〕
10月1日現在の各都道府県組合の組合員数は、4月1日対比で188店減少し、5681店となった。井門財務委員長は、一般賦課金、教育情報事業賦課金合わせて約150万円の減収が確定したとして、今年度予算のうち予備費を150万円減額する修正を行ったとして了承された。
〔消費税〕
書協、雑協、取協、日書連の出版4団体は自民、民主など各政党に対し10月10日付で「税制に関する要望書」を提出したと面屋委員長が報告した。
また、新聞協会が年商1億円の新聞販売店を例に消費税率が上がった場合のシミュレーションしていることについて、出版業界でも試算が必要ではないかという認識を示した。
〔広報〕
今年の全国広報委員会議は30組合から32名が出席して10月16日に開催したことが面屋委員長から報告された。引き続き「がんばる中小書店」「女性経営者」の紹介、各県理事長インタビューなどを計画していくとした。
〔共同購買〕
日書連のオリジナル手帳「ポケッター」2009年版の受注状況は、10月23日現在9万3300部で、残部は6500部になったことが報告された。

【書店商業組合への加入促進運動ご協力のお願い】
私ども日本書店商業組合連合会は永年にわたり「書店の組合加入促進」「組合の組織基盤強化」を事業活動の重要な柱の一つに据え、傘下組合員の増加に努めてまいりました。しかし、地道な努力の積み重ねにもかかわらず、書店業界は廃業と閉店の増加に歯止めがかからず、かつてない危機的な状況に追い込まれております。組合員数も昭和61年の1万2935名をピークに22年連続の減少となり、本年10月1日現在5681名まで減少いたしました。
新たな組合員獲得を図るため、日書連はこのほど「組合加入のご案内」と題したパンフレットを作成しました。同封いたしましたので是非ともご高覧くださるようお願い申し上げます。現在、全国の書店組合はこのパンフレットを使って、新規開業店および組合未加入店に対する組合加入促進運動を積極的に展開しているところです。
つきましては、貴社お取引の書店で組合に未加入のところがございましたら、是非組合加入をお勧め下さるようお願い申し上げます。支社、支店の担当者様にもその旨をお伝えいただき、地元書店組合と連携をとりながら加入促進をご支援いただければ幸いです。その際にご利用いただくため、支社、支店の担当者さまにも加入促進用パンフレットを送付させていただきたく存じます。
組合を構成する組合員の多くは中小零細事業者です。個々の力では解決できない問題もたくさんあります。そこで同じ環境にある書店経営者が力を合わせて問題解決を図る。それが組合の存在意義であり、皆様に組合加入をお勧めしている理由です。書店組合の組織基盤強化は出版業界全体の利益に適うものと考えております。趣旨をご理解の上、ご協力賜りますようお願い申し上げます。

熊本でフォーラム開催/NPO法人「本はよかばい」

NPO法人「本はよかばい」(たつみや章理事長)は、11月22日から24日まで熊本市の熊本県教科書供給所で「本はよかばいフォーラムinくまもと」を開催する。子ども夢基金助成事業として行われる。
会場では3日間にわたって児童書、絵本を展示するほか、超大型絵本「おまえうまそうだな」の複製原画展を開催。22日はスライドトーク「頭が良くなる絵本の読み方」(作家・西村健)、23日は講演「地域による未来へ希望ある図書館づくり」(企画システムプロデューサー満尾哲広)、24日は講演「子どもが聞き入る読み聞かせのコツ」(読書アドバイザー・堀玲子)、「ポプラ社の絵本と音楽の楽しいおはなし会」(演奏・村山祐季子)「ティラノくんと写真をとろう」などの楽しい催しがある。
開催時間は3日間とも午前10時から午後5時まで。入場無料。

SCの売上大幅ダウン/9月期、文庫は5カ月連続プラス/日販調べ

日販経営相談センター調べの9月期書店分類別売上調査がまとまった。9月期は対前年同月比96・3%。売場規模別では50坪以下店の97・0%に対して201坪以上店は95・4%と、規模が大きくなるにつれてマイナス幅が拡大している。
立地別では駅前・駅ビルの98・2%に対し、SC内は93・2%と前年を大きく下回った。前年に比べ土日祝日が2日少なかったことが影響していると思われる。
ジャンル別では前月に続き文庫と文芸書が前年を上回った。文芸書は『O型自分の説明書』(文芸社)、『上地雄輔物語』(ワニブックス)、『流星の絆』(講談社)などが好調で、111・5%と大幅増。
文庫は102・4%で、5カ月連続して前月を上回った。前月から『容疑者Xの献身』(文春)が好調なのに加え、『石榴ノ蝿』(双葉社)、『魔王』(講談社)などの新刊が好調。

訃報

柏秀樹氏(兵庫県教科書会長、兵庫県教育図書販売相談役、元兵庫県書店商業組合理事長、元日書連理事、大阪宝文館社長)
10月22日15時27分、腎不全のため死去した。74歳。通夜は10月23日午後6時から、告別式は24日午後1時から神戸市中央区の本願寺神戸別院で営まれた。喪主は長男の直樹氏。
昭和58年から61年と平成元年から5年まで日書連理事を務めた。

自費出版事業、読書推進運動など討議/愛知移動理事会

愛知県書店商業組合(谷口正明理事長)は10月19日午後3時から中部国際空港セントレアホテルで移動理事会を開催した。
最初に各委員会報告があり、①自費出版参加申し込み店数が85店になった、②第11回賀詞交歓会は来年1月6日に開催、③第47回よい本をすすめる県民運動による図書寄贈学校訪問を12月上旬に地元書店同行で実施、④孫の日読書推進運動が参加店50店でスタートし、読者プレゼント企画への応募が現在73通届いている――等の報告があった。
また、各支部活動報告では、「ASKカード(仲間卸商)の説明で支部員の書店を回っている」(東北)、「11月2日に日帰り旅行を実施の予定」(尾北)、「思春期の学生向けの自費出版を拡販している」(西三河)との報告があった。
次に尾南支部から出された報告に対する質疑応答に移り、活発な議論が展開された。内容は①定期雑誌が勝手に減ってくる、②出版社倒産による被害が増えている、③取引契約で保証人のほか根抵当まで要求されるのはおかしいのでは、④組合費の負担感が大きい、⑤今日のように顔の見える会合には積極的に参加したい。
理事会終了後、午後6時から懇親会を催した。
(榊原壮一広報委員)

50店参加、盛況裏に終了/愛知組合「孫の日」キャンペーン

愛知県書店商業組合は本年度も「孫の日」読書推進キャンペーンを9月15日から10月19日まで県下50店の参加で実施した。
拡材として「似顔絵チラシ」「孫の日PR用ポスター」「よみきかせ絵本ガイド」(ポプラ社提供)と専用の帯、また読者アドバイザーの推薦リスト各出版社からの粗品を参加書店に送付した。
似顔絵展示は「敬老の日」(9月15日)から「孫の日」(10月19日)の期間、店内に飾った。抽選で100名に図書カードが当たる企画も用意した。似顔絵を近所の保育園にお願いした書店からは、店頭へおじいちゃん、おばあちゃんらが一家で来店し「孫の作品を見にきた。せっかくだから、内孫と外孫6名分の絵本も買っていく」と言ったとの報告もあった。
この運動は①お客様が来店する動機を作る、②売場の手作り感をアップさせる、③お客様との会話が弾む――など。町の本屋だからこそできるウリを再認識し、今後の組合活動に役立てていきたい。(榊原壮一広報委員)
[参加書店]
岡田書店、ブックス福井(名古屋市北区)正文館書店本店(同・東区)白沢書店(同・守山区)栄進堂書店、ちくさ正文館(同・千種区)、BOOKS富士書房(同・昭和区)押切堂書店(同・西区)、稲葉堂書店、本陣書店、ブックパル(同・中村区)熱田泰文堂、磨里書房アスナル金山店(同・熱田区)光書店戸田店(同・中川区)白水書店、水野書店(同・南区)紙徳書店、文正堂書店(一宮市)松清本店(稲沢市)安藤書店、丸十伊藤書店(春日井市)みうら書店(瀬戸書店)光省書房(稲沢市)滝書店(大府市)BOOKSふるさと(半田市)武豊書房(知多郡)日新堂書店、花のき村(安城市)、岡崎書房、徳文堂書店、原田書店、BOOKSナカジマ(岡崎市)刈谷日新堂書店、Books有文堂書店(刈谷市)近藤商店、グリーンシティーハラダヤ(豊田市)文化堂書店新川店(碧南市)広目堂、ユニットハラダヤ(西加茂郡)ハッピー書房(幡豆郡)二葉書店(蒲郡市)豊川堂本店(豊橋市)世賜堂、田中書店(豊川市)宝文堂本郷店、松屋書店(北設楽郡)内藤書店(宝飯郡)

定款一部変更を承認/図書館へ書籍納入のため/鹿児島臨時総会

鹿児島県書店商業組合(井之上博忠理事長)は9月25日午後4時から鹿児島書籍会議室で臨時理事会を開き、組合員78名(委任状含む)が出席。鹿児島市立図書館への書籍納入のため定款一部変更を原案通り承認した。
井之上理事長は「書店は今、非常に厳しい冬の時代にある。この状況を打開しようと、鹿児島市立図書館に対してTRCからの書籍購入を地元からの購入に変更してもらうべく昨年から働きかけているが、市立図書館に書籍を納入するために定款変更の必要が生じた」と説明し、定款一部変更を検討するに至った経緯を説明。第7条「本組合は、第1条の目的を達成するため、次の事業を行う」の1項に(4)地域文化への貢献と読書推進に関する事業、同・2項「本組合は、第1項に掲げる事業のほか、次の事業を行う」に(3)組合員の取扱う出版物(書籍・雑誌等)の輸送改善に関する事業、(4)組合員の行う公立図書館・学校図書館における管理・運営・利用システムに関する共同受託事業――を新規に追加することなどを承認した。
詳細については12月開催予定の定時総会であらためて説明する。
(楠田哲久広報委員)

書店の生の声伝える/書店新聞の編集方針討議/全国広報委員会議

日書連広報委員会(面屋龍延委員長)は10月16日午後1時から東京・神田駿河台の書店会館で「全国広報委員会議」を開き、総勢39名が出席。日書連広報委員会、各都道府県組合の広報委員、本紙編集部員が一堂に会し、この1年間の広報活動を総括、今後の全国書店新聞の編集方針を話しあった。面屋委員長は「書店業界が厳しい状況にある今こそ、組合と組合員とを結ぶパイプとして全国書店新聞の果たす役割はますます重要になっている」と指摘し、「今後は頑張っている書店の取材、各都道府県組合の理事長インタヴュー、窮状を訴える書店の生の声の収集、組合加入メリットの紹介に力を入れたい」と方針を示した。
会議は小泉副委員長の司会、開会の辞で始まり、大橋会長があいさつ。「広報委員は各都道府県組合ならびに日書連の活動を組合員に伝えるという非常に大切な役割を担っている。日頃の努力に感謝申し上げる。日書連は2005年に全国小売書店経営実態調査を実施し、その結果、書店の現状が相当痛んでいることがわかった。以来、書店業界の窮状にどう対処するか、組織をあげて取り組んでいる」と述べた。
福井組合広報委員の清水祥三氏を優秀広報委員として表彰したあと、面屋広報委員長が「広報の役割と課題」と題してあいさつ。「雑誌の休刊が相次いでいるが、中小書店の売上げのうち7割は雑誌。そこが崩壊し始めているのは深刻な事態。書店の廃業も跡を絶たない。だが、こういう時期だからこそ、全国書店新聞の役割はますます重要になっている。書店数の減少にともない、各都道府県組合の組織基盤も弱体化し、理事会すらなかなか開くことができない組合もあると聞いている。そういう組合では、書店新聞が組合と組合員とを結ぶパイプの役割を果たしている。広報委員として書店新聞に記事を書いている皆さんは、日書連が存立する上で大きな役割を担っている」と広報活動の重要性を強調。「理事会が十分に開かれていない組合については、理事会記事の代わりに広報委員が理事長に年一回インタヴューして記事を書いてほしい。すべての県組合が、年1回は組合の方針を書店新聞を通じて示すことが必要」と提案した。
また、面屋委員長が就任してからスタートした「頑張っている書店紹介」「女性役員に聞く」に触れて、「なぜ女性役員を取り上げるかというと、男性は困難な状況になると折れて駄目になってしまいがち。一方、女性は生活を一身に背負って、粘り強いところがある。出版業界はまだまだ古い世界で、こうした立派な女性が表に出てこない。せめて書店新聞紙面に出ていただいて、インタヴュー記事を掲載しようとスタートした。これまで登場した女性理事の皆さんはしっかりした考えを述べており、けっこう読まれているようだ。女性理事、女性経営者のインタヴュー記事はしばらく続けたい。不況を乗り切る知恵が出てくることを期待している」とした。
このあと、小泉副委員長を座長にフリー討論「拡大編集会議」を開催。各都道府県組合広報委員から次のような意見が出された。
「来年は太宰治の生誕100周年にあたり、様々なイベントが予定されている。組合でもオリジナル図書カード作成やブックフェア開催の準備を進めている」(青森・黒滝氏)
「書店業は教育的な側面を持つ。教育は日本の重要政策の一つ。現在書店が直面している問題について日書連だけで悩まず、文部科学省への陳情なども考えては」(千葉・植田氏)
「愛知組合が実施しているサン・ジョルディ、孫の日、中学生はこれを読めなどのキャンペーンは、組合の武器となっている。ノウハウもデータも持っている。他県で興味のある方には是非ご活用いただきたい」(愛知・榊原氏)
「来年のNHK大河ドラマは新潟ゆかりの戦国武将・上杉謙信を主人公とした『天地人』。作者の火坂雅志先生は新潟市出身の作家。この千載一遇のチャンスをとらえて、『天地人』関連本や戦国本のフェア充実を図り、店頭活性化につなげたい」(新潟・熊田氏)
「万引き防止のため、被害を受けた場合は商品代金の他に損害賠償を請求することを組合で申し合わせた。これで万引きが2、3割でも減れば経営も少しは楽になる」(福井・清水氏)
「組合のシンボルキャラクターを募集している。目的は加入書店と非加入書店の差別化を図ること。組合でキャンペーンを行うときなど、参加店の目印に使いたい」(京都・澤田氏)
「全国加盟書店が読みたくなる書店目線の身近な記事、書店経営実態調査で足りなかった書店の悲鳴と生の声をもっと掲載すべき」(山口・冨永氏)
「書店新聞でいちばんよく読むのは『本屋のうちそと』。このようなコラム欄がもっとあったほうがいい。書店人としての志、思いを綴った心に残る文章が読みたい」(鹿児島・楠田氏)
拡大編集会議を受けて小泉副委員長は「総会、理事会記事の他、本日ご報告いただいた皆様の考えを声欄に投稿してほしい」と求めた。また、面屋委員長は「本日は各県から様々な組合加入メリットの話を伺うことができた。こうしたことを紙面に反映していきたい。窮状にある書店の生の声をもっと出すべきという意見もいただいた。実態調査をした3年前より現状はさらに悪化している。フォローするコーナーを作りたい」とまとめた。
【全国広報委出席者】
▽日書連本部=大橋信夫会長、大川哲夫専務理事
▽日書連広報委員会=面屋龍延委員長、小泉忠男副委員長
▽各都道府県組合広報委員=村上正人(北海道)黒滝恭一(青森)木村和一(秋田)栗原秀郎(岩手)柴修(宮城)竹内靖博(群馬)石川昭(埼玉)植田榮一(千葉)小田切壽三(神奈川)小橋琢己、小林洋(東京)榊原壮一(愛知)熊田僚己(新潟)渋谷恵一(富山)高嶋雄一(長野)清水祥三(福井)岩根秀樹(滋賀)中島俊彦(大阪)澤田直哉(京都)庫本善夫(奈良)中島良太(兵庫)荒木健策(岡山)冨永信(山口)光永和史(愛媛)鹿子島慶正(福岡)近藤甲平(佐賀)古瀬寛二(長崎)宮崎容一(熊本)金光直明(大分)楠田哲久(鹿児島)安仁屋博一、真栄城久尚(沖縄)
▽編集部=田中徹編集長、白石隆史、土屋和彦

訂正

10月21日付3面「ルート別出版販売額」の表2・CVS売上額で、am/pmの母体企業名がジャパンエナジー(関東)とあるのはレックス・ホールディングス(関東)の誤りでした。お詫びして訂正します。

川井小学校など3校へ朝読大賞/伊万里市に文字・活字文化推進賞

読書推進と文字・活字文化振興に貢献し、業績をあげた学校、地方自治体、団体、個人を顕彰する、高橋松之助記念・第2回「朝の読書大賞」「文字・活字文化推進大賞」(社団法人全国出版協会主催)の表彰式が10月27日午前11時から、千代田区大手町のクラブ関東で行なわれた。
贈呈式は、朝の読書推進協議会・加藤真由美事務局長の司会で進行、全国出版協会・田中健五会長のあいさつに続き、選考顧問の植田康夫氏が選考経過を報告。朝の読書大賞は高橋松之助記念顕彰事業実行委員会・朝倉邦造実行委員長から、文字・活字文化推進大賞は全国出版協会・肥田美代子顧問から受賞者に賞状と副賞が贈られた。
日本ペンクラブ会長で選考顧問の阿刀田高氏の祝辞に続き、各受賞者があいさつ。朝の読書大賞小学校の部を受賞した岩手県・川井村立川井小学校の小野寺章校長は「本校では朝の読書を毎日6年間続けてきた。韓国の小学校との交流をきっかけとした、韓国での朝の読書の波及など、本校の取り組みは県民を始め多くの皆さんに知られている。名誉ある賞をいただき、本校と川井村の歴史の1ページに新たな彩りを添えていただいたことに感謝する」と喜びを語った。
また、文字・活字文化推進大賞を受賞した伊万里市の教育委員会・岩永憲一良教育長は「市では平成16年に子どもの読書推進計画を作り、ブックスタートや読み聞かせなどいろいろな活動をしてきた。19年からは『家読(うちどく)』の推進に取り組み、11月には家読フェスティバルを開催してモデル地区の事例発表やパネルディスカッションを行なう。今後もさらなる普及と浸透を目指していく」と述べた。
〔朝の読書大賞〕
▽小学校の部=岩手県・川井村立川井小学校
▽中学校の部=石垣市立石垣中学校
▽高等学校の部=高知県立安芸中・高等学校
〔文字・活字文化推進大賞〕
▽佐賀県伊万里市

投稿/新ソフト「楽本4」を発表/本屋の村組合員代表/庫本善夫

本屋の村では新しく開発した書店業務総合対応パソコンソフト「楽本4」を今年12月6日に大阪で発表します。
私たち本屋の村が活動をはじめた10年ほど前に比べてずいぶんと書店の業務も変わってきました。パソコンでインターネットの版元のサイトにつないで客注品や補充注文品を打ち込む作業はどの書店でもよく見られるようになりました。パソコンを使わないという本屋さんはもう無いでしょう。むしろ複数のパソコンで仕事によって使い分ける時代になり、ますますパソコンに対するスキルアップが求められるようになりました。
しかし、パソコンを使うことが一番の目的ではありません。パソコンのスキルアップよりもさらに大切なことは、店頭においでになるお客様をおもてなしする営業力を持った書店員という人材を育成することであり、それが今一番求められていることだと思います。そしてその忙しい書店員に対人営業に時間をかける余裕を生み出すためにも、またより確かな情報を持ってお客様のご要望に応えるためにも、パソコンのシステムは欠かすことのできないものとなっています。
今回発表する「楽本4」は今までユーザー書店から寄せられた多くの要望を取りいれることにより、さらに使いやすくなっているだけでなく、ソフトを機能ごとに4つにパーツ化することで、今までと違い、外商のみ、POSのみ、という使い方にも対応します。店売中心の書店でも取次に頼らず商品の単品管理ができるようになりました。
ほかに変わった点として一括払い購入をやめてパーツ化されたソフトごとの使用料金制を導入しました。今までも分割払いにできないかというお問い合わせが多くありましたが、何らかの理由でソフトを使わなくなったときの対応も心配することなく使う部分だけ使う期間だけの使用料ですみます。また「ラクプロ2」からの乗換えユーザーについては優遇使用料で対応いたします。
これとは別に組合員さんに限り有料ではありますがお安く日書連の書誌情報が提供されることになりましたので、単品管理や納品書作成、検索などの作業で書名が見え、とても便利になりました。
今までの「楽樂本屋さんシリーズ」と同様に機能制限なしで90日間のフル機能のお試しができる「楽本4」のCD―ROMを送料等実費1000円で配布を始めています。お試し期間中に登録した各データは、そのまま実際の使用へ移行できます。
平成20年12月6日(土)大阪北区中津のホテルサンルート梅田で午後2時より説明会を行います。参加費は無料ですが後の懇親会は会費をいただきます。年末年始から新学期へと繁忙期に入るためしばらくは同様の説明会をする予定はありません。ご興味のある方はぜひご参加ください、お待ちしております。申し込み期限は11月30日となっています。
参加お申し込みほか詳しいことはインターネットで「本屋の村」と検索していただきましたら見ることができますが、わからないことなどは庫本善夫(奈良県大和郡山市・庫書房)0743―53―0877までお電話ください。なお、当日参加の方に限りお試しCDを無料でお申し込みできます。

読みきかせらいぶらりい/JPIC読書アドバイザー・森井なほ子

◇2歳から/『ピーのおはなし』/きもとともこ=作/福音館書店945円/2008・5
ピーのお母さんにもうすぐ赤ちゃんが生まれます。今日は朝からお母さんが苦しそう、ピーはお母さんを喜ばせようとイチゴとりに。危ない目にあいながらもやっとの思いで手に入れたイチゴ。そしてあかちゃん誕生。犬好きにはたまらない、色彩豊かで絵がとっても可愛い本です。
◇4歳から/『イエコさん』/角野栄子=文/ユリア・ヴォリ=絵/ブロンズ新社1470円/2007・8
森の中の一軒の古い家、名前はイエコさん。みんな引っ越してしまいイエコさんは一人ぼっち、一人でも楽しく暮らすわ!と事あるごとに、エクササイズ!訪ねて来る動物達をぱくり、ぺろり!そしてイエコさんはついに…。動きのある絵、リズムのある言葉、子供たちが喜びそうな一冊。
◇小学校低学年向き/『オオカミくんはピアニスト』/石田真理=著/文化出版局1470円/2008・9
アニメ映画になり海外の映画祭で支持を受けて、再出版された貴重な本です。孤独だけどとても優しいオ
オカミは、お手紙を貰うとピアノを担いで演奏に出かけます。その音色は皆を包みこみます。小学生の子供たちに読んであげたい心にぐっとくる本です。絵もとっても素敵です。

書店経営研修会のDVD斡旋

日書連指導教育委員会は、今年8月に開催した書店経営研修会のDVDを斡旋します。2日間にわたる講師5名の講義を、1講義1枚に完全収録したもので、講義ごとに注文することが可能です。頒価は税・送料込み1枚千円。11月19日までに「日書連DVD係」までFAXでお申し込み下さい。代金支払は日書連郵便振替口座へ。
DVDの種類
①「書店の利益構造について」(ノセ事務所・能勢仁氏)
②「キャッシュフローを中心とした中小書店の事業力強化」(平井財務人事研究所・平井謙一氏)
③「外商力を高めるポイント」(豊川堂社長・高須博久氏)
④「雑誌売上アップを実現する」(文藝春秋取締役・名女川勝彦氏)
⑤「ディスプレイ、POPで売場は変わる」(日本リティルサポート研究所・永島幸夫氏)

キャッシュフローを中心とした中小書店の事業力強化/平井財務人事研究所代表・平井謙一氏/日書連書店経営研修会からⅢ

日書連が8月に東京ガーデンパレスで開催した「書店経営研修会」。第2講では、平井財務人事研究所代表の平井謙一氏が「キャッシュフローを中心とした中小書店の事業力強化」をテーマに講演し、資金収支の健全性を把握するために用いる「資金移動表」について解説した。
〔資金移動表で資金繰り判断〕
今日はキャッシュフローについてということで、お金の動きから経営を見るというお話をする。まず、財務による企業の見方の中で、資金表による見方を説明する。キャッシュフローを見るには、資金運用表、資金移動表、キャッシュフロー計算書、資金繰表の4つがある。
資金運用表は、2期間の貸借対照表のそれぞれの科目を比較し、運用と調達に分けて、どこでお金を集めてどこで使ったかを明確にする表だ。資金移動表は、資金の動きを損益計算書と貸借対照表の両方から見る。一年間に入ってくる現金と出ていく現金を見比べて、企業の資金繰りが健全かどうか、倒産する危険性があるかを判断する表だ。総合的な資金の動きを見る。キャッシュフロー計算書は資金移動表に似ていて、資金戦略を見るのに優れる。資金繰り表は、毎月とか毎日の現金の出入りを見る表で、資金の収支のタイミングを見るものだ。
今日は、資金移動表について説明する。資金移動表とはどういう表かというと、定義は、損益計算書の損益と貸借対照表の勘定科目の在高増減を結び付けて資金の収支をとらえ、一定期間(通常1年間)の資金収支を示すようにした資金表ということだ。以上のような収支を「経常収支」「経常外収支」に区分し、さらに経常外収支は「設備関係等収支」「決算収支」「財務収支」に分類整理して、それぞれの収支尻の合計が現金・預金の増減として示される。この表で、この会社の資金繰りが健全かどうか、倒産の危険性があるかどうかが分かるので、ぜひ覚えてほしい。
どう作るかというと、まず損益計算書から売上高、売上原価、販売費及び一般管理費、営業外収益、営業外費用、特別利益、特別損失を、別図に示したような表に移記する。次に、2期間の貸借対照表の各勘定科目の増減額を算出して記入する。経常収支とは、企業本来の経済活動による収入と支出の関係で、財務上の損益でなく、現金の収入と支出だ。
経常収入には売上現金回収、取立手形回収、営業外収入などがあり、経常支出には、商品仕入、原材料購入の現金支払、買掛金の現金支払、支払手形決済、人件費、経費などの支払がある。経常外収支には、設備関係等収支と決算収支、財務収支があるが、設備関係等収支は、設備投資なので出る方が多いと考えてほしい。決算収支も、配当金や税金だから、これも出るばかりだ。財務収支はお金を借りたり返したりだから、プラスマイナスがある。そして経常収支、経常外収支の収支尻の合計が、結果的に現金・預金の増減額と一致する。
資金移動表を見るとき最も重要なポイントとなるのが、経常収支比率だ。経常収支比率は、経常収入を経常支出で割って算出し、百分率で表示する。この比率が100%を超えてたら、資金繰りは良好で支払能力ありと大雑把に判断してほしい。これが100%以下なら、資金繰り不良、支払能力問題ありと判断する。102~103%くらいあったら資金繰りは無難なレベル。104~110%は良好。110~120%あったら優良。100%ジャストは収支トントン。できれば104~107%くらいほしい。
というのは、例えば百円の原価のものをプラス5円の利益を足して売ると、105円お金が入ってくる。この場合だったら、経常収支比率はだいたい105%になる。だが損益上利益が出ていても、収支上赤字になっているというのであれば、何らかの原因がある。普通の会社は100%を超えなければだめだ。
100%を超えない場合というのは、赤字で商売しているということ。百円で仕入れて95円で売ったら赤字になる。回収状況が極端に悪い場合や、不良債権を抱えたり、粉飾決算する。こういう場合に100%を割るケースがある。長期的に経常収支が100%を下回っている状態が続く場合は、その会社は慢性的にお金が不足しているということになる。そうすると、損益計算書で利益を計上していても、資金収支上は危険な兆候が現れていると判断しなければいけない。
銀行などでは、これを倒産危険度指標として用いている。その基準は、3期連続して98%以下、または1期間90%以下というもの。3期連続して98%ということは、毎年2%ずつお金が足りなくなっている。その会社はその2%を何かで穴埋めしているということだ。穴埋めできなければ倒産する。借金で穴埋めしているか、資産を食い潰して穴埋めしているから生きている。1期間90%以下というのは、何か大失敗をしているということだ。
ところが、商売はうまくいってないのに、90何%かの経常収支比率が100%近くなることがある。これは、最後の足掻きで、高利貸しか何かから金をかき集めて、表面だけはつくろっている。これは倒産の前兆だと考えていい。
ここで一言言っておきたいのだが、もし売上高経常利益率がマイナス5%になったら、経営者は従業員を叱咤激励するだろう。ところが経常収支比率が95%になっても、経営者は何のことやら分かっていない。利益面で見てマイナス5%ということは、経常収支比率が95%に匹敵するということ。これはきわめて危険だ。経常利益率のマイナスには対策を打つけれど、経常収支比率のマイナスには対策をとらないことが極めて多い。同じくらい大変なことなのだと認識しておいてほしい。
例に挙げた資金移動表で、この会社のY年3月期の経常収支比率を計算すると、入ってきたお金が171億1100万円で、出て行ったお金が166億4300万円だから、前者を後者で割ると102・8%となる。まあまあ無難だなというレベルで、特にこの会社は問題ないと解釈していただいてよい。
〔在庫、管理費の改善が重要〕
もう少し突っ込んでいくと、経常収支は、実質経常利益から増加運転資金を引いたものと大体同じになる。実質経常利益は、経常利益に減価償却費実施額や各種引当金の増加額を足したもの。増加運転資金とは、売上が増加した場合などに必要になる資金のことだ。経常収支はこの二つが影響するのだということ。儲けたら収支は改善する。しかし大幅な増加運転資金が発生したら、実質経常利益率が低ければ収支はマイナスになる。儲けたらその分が利益となってお金が会社の中に増えていくが、増加運転資金が発生すると、お金が必要になるからお金が出ていくということだ。
TKC全国会による、平成19年の「TKC経営指標」から中小書店経営指標(黒字平均)を見ると、売上債権回転期間は0・5カ月。棚卸資産回転期間が2・5カ月。買入債務回転期間が1・2カ月となっている。売上債権回転期間とは、商品を売ってから現金が入るまでに何カ月かかるかというもの。棚卸資産回転期間は、在庫を月商の何カ月分持っているか。買入債務回転期間は、商品を仕入れてから現金で払うまでの期間をいう。売上債権回転期間+棚卸資産回転期間―買入債務回転期間の式により、資金立替期間が出るので、書店の場合は、0・5+2・5―1・2=1・8カ月。これに月平均売上高を掛けたものが、所要運転資金となる。
例として、月平均売上高3000万円とすると、1・8カ月を掛けて、所用運転資金は5400万円と出る。月商3000万円の会社は、1・8カ月の立替期間があるから、5400万円のお金がいるということだ。その会社の売上高が1000万円増えたとする。すると月商は4000万円なので、1・8カ月をかけて7200万円。7200万―5400万=1800万となる。つまり月平均売上高が1000万円増えることにより、1800万円の資金が必要になる。
しかし、書店がいくら稼げるかというと、例えば売上高経常利益率が2・0%としても、4000万×0・02=960万円しか利益が稼げない。すると、1800万円のお金が必要なのに、960万円しか稼げないから、残りをどこかから調達しなければならない。この状態を日本語に直して言うと、「貧乏暇なし」だ。働けど働けど楽にならない。私は書店についてはまったくの素人だが、この数字を見ると、残念ながらそういうことになる。
ただ、皆さん方の会社には素晴らしいことがある。話に聞くところでは、22%の粗利が確保されているということで、こんなことは私がコンサルタントしている他の会社にはない。皆さんは、「自分たちは厳しい」と思っているかもしれないが、私から見れば絶対に生きる道がある。
努力するポイントの一つは、棚卸資産回転期間の改善だ。それには、在庫を減らすか売上を増やすしかない。もう一つは、買入債務回転期間の改善で、これをもっと長く伸ばしてもらえれば資金繰りが楽になる。取次店が強くてここがなかなか改善できないと聞いたが、努力してもらいたい。22%の粗利があるということは、販売・一般管理費を見直したら必ずいろいろ出てくる。あきらめないで頑張ってほしい。

移転

◇栗田出版販売
札幌、大阪、福岡各支店を11月4日、左記に移転する。
札幌支店=〒060‐0004札幌市中央区北4条西5丁目1‐4三井生命札幌共同ビル3階℡011‐222‐4611FAX011‐221‐5578
大阪支店=〒550‐0001大阪市西区土佐堀1‐4‐11金鳥土佐堀ビル2階℡06‐6443‐3585FAX06‐6443‐6626
福岡支店=〒812‐0013福岡市博多区博多駅東1‐13‐6竹山博多ビル6階℡092‐433‐2633FAX092‐433‐2635

書き下ろし100冊を企画/講談社創業100周年記念事業で

講談社は10月23日午後5時から本社N棟201会議室で「2008年秋新刊書籍説明会」を開催した。
説明会では、渡瀬昌彦広報室長が「3月に開催した春の新刊発表に続き、今回は本年10月以降に出版を予定している新刊書籍の発表会を実施することにした。書籍編集担当者が各自の持ち時間を使って直接、新聞社などメディアの皆様にプレゼンテーションする。『創業100周年書き下ろし100冊』の説明も行う」と趣旨説明した。
野間省伸副社長は「講談社の書籍部門は市場環境同様厳しい状況が続いているが、少しずつではあるが明るい兆しも見えてきた。2月末に刊行された東野圭吾の『流星の絆』がTBSの金曜ドラマで放映され、21%を超える視聴率を記録している。原作も60万部を突破してロングセラーになっている。9月に緊急出版した『ソロスは警告する』も時代の要請に応える内容で10万部に達している。また、講談社は来年12月17日に創業100周年を迎えるが、これを記念して11月から『書き下ろし100冊』という企画をスタートする。期待していただきたい。今後も皆様とコミュニケーションを密にとって、よりよい関係を築いていきたい」とあいさつした。
続いて金田明年文芸局次長が講談社創業100周年記念出版「書き下ろし100冊」について説明した。この企画は2008年11月から2010年11月までの2年間にわたり実施。文芸、ノンフィクション、児童書など各分野のベストセラー作家を中心に、子供から大人まで幅広く楽しめる書き下ろし作品を刊行していく。11月刊行の第一弾ラインナップは、文芸部門4作品・5冊、ノンフィクション部門1冊、児童書部門6冊。金田次長は「講談社の原点『おもしろくて、ためになる』の精神に立ち返って、活字の力や物語の面白さを次の100年に伝えていきたい」と説明した。
このあと文芸局、学芸局、生活文化局、児童局、総合編纂局、ディズニーの各局ごとに新企画をプレゼンテーションした。
説明会のあと、26階レセプションルームで懇親会を催した。

人事

【三笠書房、新社長に押鐘太陽氏】
10月27日に定時株主総会と取締役会を開き、押鐘太陽常務取締役の代表取締役社長への昇任を決めた。押鐘冨士雄社長は代表取締役会長に就任する。子会社のフランス書院でも同様のトップ人事を決めた。○印昇任
三笠書房
代表取締役会長
○押鐘冨士雄
代表取締役社長(販売本部長)○押鐘太陽
取締役副社長(編集本部長)○迫猛
常務取締役(製作部長、関連会社担当)三谷喜三夫
取締役(営業部長、流通センター統括)阪口正夫
同(編集本部副本部長)本田裕子
監査役迫初子
役員待遇(EC事業室長、システム・関連会社担当)米田幸平
※前取締役副社長・前原成壽氏は退任し、編集本部特別常任顧問に就任した。
フランス書院
代表取締役会長
○押鐘冨士雄
代表取締役社長
○押鐘太陽
取締役三谷喜三夫
同米田幸平
監査役押鐘篤子
【押鐘太陽氏略歴】
昭和45年10月10日東京都生まれ、平成5年3月中央大学法学部法律学科卒業、同年4月第一勧業銀行入行、8年7月三笠書房入社、同年10月取締役就任、16年常務取締役、20年代表取締役社長。

◇主婦の友社(10月15日付)
〔組織変更〕
第1事業部、第2事業部の各営業部の販売課と宣伝課を統合し、事業部から独立した販売部を新設する。販売部は雑誌課、書籍・ムック課、販売情報・開発室、宣伝課で構成する。
〔役員担務〕
常務取締役第1事業部長兼営業部部長ならびに販売部担当塚本俊雄
〔人事異動〕
販売部部長藤井孝行
雑誌課課長酒見英昭
書籍・ムック課課長
安田修一
販売情報・開発室所長
斉藤雅之
宣伝課課長阿南一徳

岩手・宮城内陸地震の写真集

6月14日に岩手・宮城両県を中心に大きな被害をもたらした岩手・宮城内陸地震の特別報道写真集『岩手・宮城内陸地震』が河北新報出版センターから7月1日に緊急出版され、8月17日までに5刷になった。
写真集はA4判・64頁、定価7百円。「崩落・土石流」「壊」「救助」「避難」「復旧へ」「祈」の各章で土砂に埋もれた建物、大規模な地滑り、分断された国道を生々しく写し、民家や建物、田畑の被害、救助、避難活動、復旧への槌音と住民の表情を伝える構成。
一関市の北上書房はこれまでに同写真集を320冊販売したが、栗原秀郎社長は「被害は山間部に大きく、一関市内などは軽微だった。テレビクルーなど報道は被害のない市内を撮影してくれないから、風評被害で花巻温泉まで観光客が減り、売上げが落ちている。外売でがんばるしかない」と苦しい胸の内を語ってくれた。

喜多ふあり、安戸悠太両氏が受賞/文藝賞

河出書房新社が主催する第45回文藝賞は、喜多ふあり氏『けちゃっぷ』、安戸悠太氏『おひるのたびにさようなら』に決まり、10月24日午後6時から東京・お茶の水「山の上ホテル」で贈呈式が行われた。
式典では賞状授与のあと、保坂和志、藤沢周、田中康夫、斎藤美奈子の各選考委員が選評。このうち藤沢氏は「2人とも通常の日本語のフォルムから外れたところで作品を書いている。危ない感じを持ち、病んでいるところがある。アイデアは陳腐だが、陳腐な素材を受賞作レベルまで高めることができるのは才能があるから。次作を期待している」と激励した。
受賞者あいさつのあと、河出書房新社・若森繁男社長は「今回は少し変わった、新しい才能が選ばれた。出版業界は10年間右肩下がりで苦しいが、2人の才能をしっかりとフォローして、伝統ある河出が元気なところを見せたい」とあいさつした。

本屋のうちそと

『お金は銀行に預けるな・金融リテラシーの基本と実践』(勝間和代、光文社新書)――大切なお金を銀行に預けても、金利は付かぬは、振り込め詐欺で騙されるは、の恐ろしい世の中、流行はタンス預金だそうで。しかしそれだとますます銀行の危機が進む訳で、麻生総理は預金の全額保護をつい口にした。
『お金を知る技術殖やす技術「貯蓄から投資」にだまされるな』(小宮一慶、朝日新書)と言われてもすでに時遅し。郵便局で「高利回りですよ」とか言われてよく分かんないけど買った投信、株価暴落で半値に。退職金を注ぎ込んだのになんだよ、の怒り心頭の方々、本も雑誌も買ってはくれません。
『波乱の時代・サブプライム問題を語る』(アラン・グリーンスパン、日本経済新聞出版社)――「ウォール街は信用できる」と語った張本人の貴方に今更言い訳されてもね。バンカーは今や皆、グリーンのバンカーに落ちて蟻地獄です。
テレビ視聴者や新聞購読者の減少をマスコミはケータイやパソコンのせいにするが、「改革」で新聞代すら払えない生活に落とされた国民はとっくにマスコミ報道には背を向けている。マスコミはその事を直視したくない。経団連とマスコミ自らの利益の為に支持した「改革」の結果が、今のこの国の惨状と小泉政権下で増えた国債300兆円だとは言えない。中流幻想を無くした国民は本当の情報しか買わなくなった。そして売上減の本屋は本屋の仕事への恋を諦める。「曼珠沙華ほうむる恋の捨て所」。(海人)