全国書店新聞
             

平成27年9月1日号

まもなく「書店金賞」の配本開始です

第2回「書店金賞『和~日本のこころ』」の商品は、9月の第2週より通常配本の商品と混載して配本されますのでご注意ください。
企画商品には、下記のロゴを使用した「特製シール」を貼付、または「帯」を巻いています。「特製シール」は弱粘着性ですので、容易に剥がすことができます。陳列スペースを確保したミニフェア展開が効果的と思われますので、日書連ホームページ(http://www.n-shoten.jp)の「書店金賞」ページからポップデザインをダウンロードしてご利用ください。
また、販売後は必ず補充注文して欠本がないよう継続して販売してください。補充注文分は通常の取引条件ですのでご了解ください。
POSレジを導入していない書店の報奨金は、従来の日書連企画と同様に「スリップ枚数」で計算いたします。報奨金の対象販売期間が終了後に送付していただきますので、スリップの管理をお願いします。
なお、JTBパブリッシング『東京手しごと名品図鑑』は、この企画で出荷の商品にのみ特製スリップを挟みます。ご面倒ですが、この商品の補充注文は日書連(FAX03―3295―7180担当・小沢)あてにお願いいたします。

今年上期は4・3%減/雑誌は前年に続き大幅減/出版販売額

出版科学研究所は2015年上半期(1~6月)の書籍・雑誌分野別動向をまとめた。これによると出版物販売金額は前年同期比4・3%減の7913億円で、書籍は同2・3%減の4000億円と小幅な落ち込みにとどまったものの、雑誌は同6・2%減の3913億円と前年に続き大幅減となった。
書籍の販売金額は前年同期比2・3%減で、前年は4月の消費税増税以降に販売が急落した影響もあってマイナスは小幅だったが、販売の低落が続いた。スマートフォンなどに読書時間を奪われていることに加え、節約志向の高まりで個人消費が冷え込んだことが大きく影響しているとみられる。ジャンル別では、最も廉価で比較的堅調だった文庫本の低迷が目立っており、14年は6・2%減と過去最大の下落幅を記録したが、15年も上半期だけで5%超のマイナスとなった。
出回り平均価格は、前年同期比1・5%(17円)増の1139円と、文庫本の低迷により前年に引き続き上昇。金額返品率は、同0・3ポイント改善して35・3%になった。
15年上半期は、60万部に到達した『フランス人は10着しか服を持たない』(大和書房)や『一〇三歳になってわかったこと』(幻冬舎)など自己啓発書や生き方本が相変わらず好調だった。神戸連続児童殺傷事件の加害男性の手記『絶歌』(太田出版・25万部)は出版の是非が問われるなど物議を醸した。文芸書は、お笑い芸人・又吉直樹の『火花』(文藝春秋)が芥川賞にノミネートされ、爆発的な売行きを示した。
新刊点数は前年同期比0・1%(56点)増の3万8976点で、このうち取次仕入窓口経由が同1・2%(332点)減の2万7152点、注文扱いが同3・4%(388点)増の1万1824点で、取次仕入窓口経由は3年連続のマイナス。注文扱いは教科書準拠版問題集や楽譜類などが大量カウントされプラスになった。
雑誌の販売金額は3913億円で、前年同期比6・2%減と14年の下落幅に並び、2011年の6・7%減に次ぐ2番目の落ち込みとなった。内訳は月刊誌が同4・3%減の3177億円、週刊誌が同13・8%減の736億円。月刊誌は、定期雑誌が約3%減、ムックが約2%減、コミックスが約8%減となり、前年は好調だったコミックスの落ち込みが目立つ。
平均価格は前年同期比3・0%(16円)増の546円と大幅に上昇。月刊誌が同2・3%(14円)増の620円、週刊誌が同0・9%(3円)増の349円で、販売不振を補うため、今年に入り価格上昇の動きがさらに活発化した。金額返品率は同1・9ポイント増の42・5%。需給のバランスが取れず、返品率上昇が止まらない状況になっている。内訳は月刊誌が同1・7ポイント増の43・4%、週刊誌が同2・0ポイント増の38・2%。
発行銘柄数は、前年同期比3・1%減の3003点と9年連続の減少。創刊点数は同11点減の36点で、このうち分冊百科とパズル誌を除いた点数は13点だった。推定発行部数は同55・6%減で、昨年は女性ファッション誌が7点と創刊ラッシュだったが、今年は3点のみ。一方、休刊誌は同21点減の57点で、推定発行部数は同49・2%減。デジタル情報誌『週刊アスキー』などが休刊した。
不定期誌の新刊点数は増刊・別冊が1920点で前年同期比98点減少。ムックの新刊点数は同2点多い4663点だった。1号あたりを1点とカウントした付録添付誌数は、同13点増の6232点。付録有り無し版を同時発売するケースが徐々に広がっている。
なお、インプレス総合研究所調べによる2014年度(14年4月~15年3月)の電子出版の市場規模は、前年比39・3%増の1411億円。うち電子書籍は同35・3%増の1266億円、電子雑誌が同88・3%増の145億円だった。年度でほぼ400億円増えているため、この半分が今期上乗せされたと仮定した場合、出版市場は2%弱の減少にとどまる。

「いつだって、読書日和」/読書週間標語

読書推進運動協議会(野間省伸会長)の主催により文化の日を挟んで10月27日から11月9日まで実施される第69回読書週間の標語が「いつだって、読書日和」に決まった。野間読書推進賞、全国優良読書グループ表彰などの行事が行われる。

ドイツ視察報告会を開催/書店での電子書籍販売などを報告/JPO

日本出版インフラセンター(JPO)と文化通信社は7月27日、肥田美代子氏(文字・活字文化推進機構理事長)を団長として6月に行ったドイツ視察調査の報告会を、東京・新宿区の出版会館で開催した。
この調査はJPOが推進する「フューチャー・ブックストア・フォーラム(FBF)」事業の一環として行ったもので、ドイツの書店が進める電子書籍販売システム「tolino(トリノ)アライアンス」や、書誌情報の運用状況、価格拘束法の実態、書店の現状などについて報告した。
「トリノ」は大手書店4社と通信会社のドイツテレコムが立ち上げた電子書籍ビジネスのブランド名で、2013年3月にサービスを開始。トリノの電子書籍端末を書店が販売し、端末経由で販売されたコンテンツの利益の一部が書店の収益となる。現在はヨーロッパ6ヵ国の1500店舗で展開し、読者数は350万人、端末販売数は150万台。大手取次会社のリブリは、書店に電子商取引のインフラを提供する「ホワイトラベルサービス」に、トリノの電子書籍販売サイト機能を追加して提供しており、独立系の中小書店も参加しやすくなっている。
トリノについて報告した植村八潮専修大学教授は、端末販売用の専用什器や積極的なテレビCMの展開で、高級かつ統一的なブランドイメージを形成したこと、独立系書店が参加しやすい環境を作ったことなどを成功要因に挙げ、「紙と電子ともに書店が提供できなければ、お客はアマゾンへ行ってしまうという共通認識があった。現在は利益は出ていないが、良いスタートを切った」と述べた。
FBFでは調査の成果を基に、①日本におけるトリノアライアンス実現に向けた取組み②書誌情報・書誌データの整備③再販制度や税制度等と出版物のあり方についての研究④書店活性化に向けた各種取組み――を進めていく方針。

連携強化、相互扶助に力点/山形組合総会で五十嵐理事長

山形県書店商業組合(五十嵐太右衞門理事長)は、7月21日午後3時より山形市の山形県教科書供給所会議室で第28期通常総会を開催し、組合員48名(委任状含む)が出席した。
総会では始めに五十嵐理事長があいさつを行い、「我々を取り巻く業界の変化に今後どのように対応するか、組合として何ができるか、どのように書店をバックアップできるかが重要だ」と指摘。組合として連携の強化、相互扶助を行っていかなければならないと述べた。
その後、五十嵐理事長を議長に議案を審議。第28期事業報告及び日書連報告、第28期収支決算書及び余剰金処分案の承認について、監査報告、第29期事業計画案、予算案を原案通り承認可決した。なお役員選任では、監事1名の欠員について、五十嵐理事長より推薦があった菅野邦彦氏(文長)を選任した。
最後に五十嵐理事長から、来期は第30期の節目に向けて、組合員のためになる何らかの事業を行いたいという説明があり、総会を閉会した。
(五十嵐靖彦広報委員)

総会議案事項について審議/神奈川理事会

神奈川県書店商業組合(筒井正博理事長)は7月22日、横浜市中区のかながわ労働プラザで定例理事会を開催した。
始めに庶務報告で組合員が2百名を割ったことを報告。その後、日書連報告と各種委員会報告を行った。続いて、8月25日に開催する総会の議案、決算、予算や資料について審議し承認。事業計画や組織のあり方が課題となり、いくつか具体的な提案が行われた。組合員の負担軽減や組合の損益見通しに触れ、リース代や加入団体費、印刷費などについて検討し対応することが提案された。また、組合活動については、共同仕入・販売への積極的な対応などの提案があった。
(水越孝司広報委員)

雑誌定期部数をアンケート調査/大阪理事会

大阪府書店商業組合(面屋龍延理事長)は7月11日に大阪市の大阪組合会議室で定例理事会を開催した。
組合員の加入・退会・変更の報告では、加入3件の報告があった。
近畿学校図書館研究大会での販売の件について、文研出版・中村課長の説明を委員長会で受けたことを説明して諮ったが、参加を見合わせることを決めた。
面屋理事長から、栗田出版販売の民事再生、アマゾンの値引き販売問題、DNPグループ書店の出版社との直取引について報告。出版業界が崩壊しつつある中で、町の本屋はどうするのか、書店組合はどう役割を果たすのかと問題提起があり意見交換を行った。経営活性化・書店環境改善委員会ではこれらの議論を受けて、雑誌定期部数を買切とすることで30%マージン確保をめざし、出版社に交渉するため、組合員に雑誌定期部数のアンケート調査を行うことにした。
事業・増売委員会では、新井屋商事の販売カレンダーについて、今年は全組合員のカタログを準備し、「組合だより」と同送する予定だと説明。仕入れ値が安く利益を上げる商材であることから積極的に販売をと呼びかけた。また、小学館カレンダーに今年も取り組むことを説明した。
読書推進委員会からは、大阪読書推進会総会を6月26日に朝日新聞大阪本社で開催したことを報告した。また、「本の帯創作コンクール」の飾り付けコンクールを今年も開催するとし、積極的な参加を求めた。
(石尾義彦事務局長)

軽減税率求める意見広告掲載を要請/日本雑誌協会

日本雑誌協会は、会員各社に対し、「出版物への軽減税率適用を求める」意見広告の掲載について協力を要請した。
与党税制協議会が今秋に軽減税率適用の考え方を提示する予定であることから、雑誌に意見広告を掲載することで、読者・世論に出版業界の主張への理解を求めていくもの。雑協では、「書店を守ろう!子どもたちの未来のために!『本と雑誌』は『軽減税率』が世界の常識です」と訴える広告原稿を用意(写真)。9月・10月発売号での掲載を求めている。

大橋副理事長が商工功労賞を受賞/兵庫組合

兵庫県書店商業組合(山根金造理事長)は7月14日午後2時より、神戸市中央区の神戸市婦人会館で7月度の理事会及び雑誌発売日励行委員会を開催した。
例年7月は会議後に懇親会を催しており、今年は大橋洋子副理事長(流泉書房)が兵庫県商工功労賞を受賞した祝賀会を兼ねて、午後5時より北野坂の創作料理「花れんこん」で行われた。
大橋氏は、第一支部長、県組合副理事長を務め、長年にわたる書店組合への功績が高く評価され、この度の受賞となった。さる5月に兵庫県公館にて授与式が行われ、井戸知事より表彰を受けた。
祝賀会では山根理事長のあいさつの後、村田耕平顧問が大橋氏の受賞の経緯を説明。村田顧問は、毎年多くの各種団体より受賞申請がなされている中、書店組合はここ18年で15人目の受賞となり、書店組合活動が高く評価されている証であると述べた。
参加出版社を代表し、神戸新聞総合印刷・山下俊一社長があいさつ。大橋氏に、トーハン・森文吾神戸支店長より記念品並びに花束が贈呈された。
大橋氏は、この度の受賞は皆様のおかげであること、また、組合活動を通じ多くの方との交流ができ、知恵や知識、情報を得ることができたとして、今後も組合活動に尽力していきたいと謝辞を述べた。
このあと雑誌発売日励行委員長の小学館PS・上妻一成氏の発声で乾杯し、和やかに懇親を深めた。参会者は、版元・取次5社8名、書店19社19名の計27名だった。
(安井唯善広報委員)

書店大商談会に107社が出展/北海道理事会

北海道書店商業組合(志賀健一理事長)は、7月21日午後2時半から札幌市中央区の北海道建設会館で定例理事会を開催した。
理事会では、始めに6月18日に開催された日書連総会の報告が行われた。道組合の活動では、出版物に消費税軽減税率適用を求める運動について、引き続き署名等で積極的に活動していくことを確認。また、9月15日に開催する第2回北海道書店大商談会は、出展社数が107社(108ブース)になったと報告した。
このほか、栗田出版販売の民事再生について情報交換。また、書店くじや図書カードについて協議した。
(事務局・髙橋牧子)

第25回謝恩価格本ネット販売フェア/書協

書協は再販制度弾力運用の一環として今秋も出版社共同企画「期間限定謝恩価格本ネット販売フェア」を実施する。第25回目。読書週間を中心に10月15日から12月15日までの2ヵ月間、出品全書籍を表示価格の50%オフで販売する。
配送・決済を行うブックサービス手数料が販売価格の25%、業務代行料として昭和図書の入出庫・保管手数料が同10%。表示定価2000円で割引率50%だと、ブックサービスに250円、昭和図書に100円、出版社には定価の32・5%の650円が入る。
対象ジャンルは児童書、実用書(含むムック)、一般文芸書、人文書、辞事典、芸術、自然科学書、豪華本。出品書籍は発行後1年以上経過したもの。部分再販商品も出品。サイト名はバーゲンブック.jp(http://www.bargainbook.jp)。

新社長に友弘亮一氏/昭和図書

昭和図書は7月23日開催の定時株主総会で友弘亮一氏を社長とする以下の通りの役員体制を決めた。前社長の大住哲也氏は退任し顧問に就任した。
◎昇任、○新任
代表取締役社長
◎友弘亮一
専務取締役(社長補佐・管理・業務本部担当)
◎太田直美
取締役(営業第一本部担当)本田善昭
同(営業第二・戦略事業本部担当)○山田貴芳
同(非常勤)東田英樹
同(非常勤)柳本重民
同(非常勤) 小林健一

生活実用書/注目的新刊

心理学というとすぐ思い浮かぶのがフロイトとユング。事実、精神分析学の日本の学会でも、フロイト理論に固執する学者は多いらしい。
和田秀樹著『コフート心理学入門』(青春新書P1―452900円)は共感の心理学といわれるコフート心理学を平易に解説している。
コフートはオーストリア出身の精神科医。もともとはフロイトの弟子の立場にいた。そこから自己心理学を創始したのだが、死去した現在もなお、コフート理論は治療実績を上げ続けている。
人間の心は自分の中で完結しているわけではなく、常に他者との相互関係で変化している。信頼する相手に話を聞いてもらうと楽になるのは、相手が鏡、理想化、双子、といった自己対象になるからである。パーティ文化の西洋に対し、日本には赤提灯文化があった。愚痴を言い、本音を言う井戸端会議があった。これが、健全な依存で人間関係がうまくいく理論の1つ。しかし、現代社会は職場や地域の濃密な関係が減り、ネット上のつきあいなど、本音で語り合うことが少なくなってきた。フェイスブックでも、いいね!ボタンが盛んに押される。匿名の書き込みにしても本音を言っているわけではない。これらの発言は建前に偏っていて、いわばアメリカ流のパーティトークにすぎなくなっているのである。
生きづらい現代社会を生き抜くための心理学である。
岸見一郎著『アドラー心理学入門』(ベスト新書012648円)はサブタイトルが、よりよい人間関係のために。アドラーはフロイトやユングと同時代に生きたオーストリアの精神科医である。
コフートが1913年産まれ、アドラーは1870年。コフートが1歳の時、アドラーは第1次世界大戦に軍医として参戦している。
人は等しく同じことを経験しているのではなく、自分の関心に従って世界を知る、というのがアドラーの立場。
縦の人間関係は精神的な健康を最も損なうので、横の人間関係を築くことを提唱。叱ったり褒めたりは縦関係、勇気づけるのが横関係という。今のあるがままの自分を受け入れるのが幸福への道である
という。
ふと立ち止まって己を顧みるのも悪くはない。
(遊友出版斎藤一郎)

4スタンス理論セミナー開催/関連書籍の増売図る/東京組合

東京都書店商業組合は7月28日、東京・千代田区の書店会館で、テレビや雑誌などで取り上げられ話題になっている「4スタンス理論」の提唱者・廣戸聡一氏を講師に書店員向けセミナーを開き、約50名が参加した。関連書籍を刊行するゴルフダイジェスト社、実業之日本社、日本文芸社、新星出版社との合同企画。各出版社は会場に『あ・うんのゴルフ』(ゴルフダイジェスト社)、『4スタンス理論』(実業之日本社)、『「4スタンス理論」で腰痛は9割治る!』(日本文芸社)、『4スタンス理論自重トレーニング』(新星出版社)を展示し、注文書を配布した。
「4スタンス理論」は、人の身体は生まれながらに4タイプに分類され、各タイプ特性に合った身体の動かし方をすれば運動能力が上がり、怪我や痛みなどの故障を未然に防ぐことができるという理論。ゴルフ、野球などのプロアスリートがパフォーマンス向上やコンディショニングに取り入れている。
セミナーは井之上健浩事業・読書推進委員長の司会で進行。廣戸氏は「10年で約50冊の本を書いてきたが、文字と写真、映像だけでは分かりにくいところもある。本日は書店員の皆さんに知識を深めてもらい、一般読者に4スタンス理論を正しく伝え、本を販売してほしい」と話した。
このあと廣戸氏の指導の下、書店員に多い腰痛の改善方法、お客様に好感を与える立ち居振る舞いなど、4スタンス理論を活かした身体の使い方、動かし方を参加者全員で体験した。
東京組合では、今後も各メディアへの露出が期待され、世間に届く機会が継続的に見込める可能性が大きいことから、4社が出版する「4スタンス理論」書籍の増売を図っていくとしている。

第23期読書アドバイザー養成講座が開講

出版文化産業振興財団(JPIC)が主催する第23期JPIC読書アドバイザー養成講座の開講式が、7月3日に東京・新宿区の日本出版クラブ会館で行われた。
第23期は、出版業界関係者や図書館関係者、公務員、主婦ら全国24都道府県から集まった100名が受講し、来年2月までのスクーリングとレポートに取り組む。開講式であいさつしたJPICの肥田美代子理事長は、出版業界の厳しい状況を述べるとともに、学校図書館図書整備費の財政措置や、子どもの読書活動推進法、文字・活字文化振興法の制定、学校図書館法の改正など、国の読書環境整備に向けた取り組みを説明して、「必要な施策はある程度行われているが、地域でしっかり受け止める人がいないのが悩み。そこで皆さんの出番だ。読書の楽しさを広めていただくことが第一義だが、国の施策を実体化するように、地元自治体へ知らせる役目を果たしてほしい。7ヵ月後に修了証書を渡すことを楽しみにしている」と激励した。
続いて、来賓の日書連・舩坂良雄会長が祝辞。出版物の売上がピーク時より1兆円減少したことや、全国332自治体に書店がないという現状を説明して、「スマートフォンなどに時間もお金も取られている状況だ。皆さんには、本の楽しさを広く伝えていただきたい」とあいさつした。

アバンティブックセンターの全株式取得/トーハン

トーハンは7月28日開催の取締役会で、イズミヤから同社の子会社であるアバンティブックセンター(大阪府大阪市)の全株式を譲り受けることについて決議し、同日株式譲渡契約書を締結した。アバンティブックセンターは昭和63年3月設立。大阪府、兵庫県、京都府などで56店舗を展開。平成26年度の売上は74億円。

「認知症予防に効果的」テレビ放送で部数急伸/河出「大人の塗り絵」

河出書房新社は7月31日、「大人の塗り絵」シリーズが累計440万部に達したと発表した。
7月27日に放送したテレビ東京「主治医が見つかる診療所」で、日本認知症予防学会の医師が「認知症に大人の塗り絵が効果的」と発言し、実験結果も発表。放送後の反響は大きく、書店店頭の売上は1日平均の8倍、推定7000部に急伸したという。

「表現の場もらえてうれしい」又吉氏、次作に意欲/芥川賞・直木賞贈呈式

第153回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の贈呈式が8月21日、都内のホテルで開かれ、芥川賞の又吉直樹氏(受賞作『火花』文學界2月号)、羽田圭介氏(同『スクラップ・アンド・ビルド』文學界3月号)、直木賞の東山彰良氏(同『流』講談社刊)に記念品の時計と賞金100万円の目録が贈られた。
200万部を超えるベストセラーになった『火花』の作者でお笑い芸人の又吉氏は「小説を普段読まない人で、『いつか読みたい』とか『興味はあるけどなかなか手に取る機会がない』と思っている人がそれだけいたというのがうれしかった」と反響の大きさを喜び、「文章を書かせてもらってきたことが芸人としての大きな自信につながった。芸人と作家のどっちなんだと聞かれることが多いけれど、どっちが上とかではなく、僕には両方必要。芥川賞候補になってから、次はどうするかプレッシャーを感じるでしょうと言われるが、仕事のなかった時期が長かったので、表現する場を与えてもらっていることがうれしい」と感謝の気持ちを語った。次作については「これで次を書かないのは失礼。面白いものを書きたい。また皆さんに読んでもらい、率直な感想をいただければ励みになる」と語った。
羽田氏は「受賞後いろいろな取材を受けて、小説以外の表現をする機会があったことで、小説という表現形式の尊さに気付くことができた」と述べ、「うその言葉だからこそ表現できることを表現していきたい」と抱負を語った。
東山氏は「売れない作家の僕の本を根気よく出してくれる編集者がいなければここには立てなかった。この賞は僕の平坦な作家人生に生じた不整脈のようなもの。今日を1つのピークに、これからは心を落ち着けてコツコツと自分の作品の世界に戻りたい」と思いを語った。
芥川賞選考委員の島田雅彦氏は「選考委員の強力なライバルとなる2人を世に送り出した自殺行為は大いに褒められるべき」と笑わせ、「小説家はお山の大将や長いものに巻かれる人間には不向き。『王様は裸だ』と言う子供に似ているところがある。それを言う人間がいるだけでも文学の存在価値はかろうじて残る。羽田さん、又吉さんにはそういう役割を担ってもらわなければならない」と励ました。
直木賞選考委員の高村薫氏は「東山さんは満点の受賞。作品の分野も文体も好みも異なる選考委員9人全員、口を揃えて絶賛するという奇跡的なことが起こった。読んでいて心から楽しめ、ワクワクするのが魅力。私にとってもこの10年で文句なしのベスト。奥行のある素晴らしい青春小説」と絶賛した。
日本文学振興会の松井清人理事長は「芥川賞は大激戦の末、羽田さんと又吉さんが栄冠に輝いた。直木賞は東山さんがかつてない高い評価を得て受賞した。3人とも非常に力強い受賞者。近年にない盛り上がりを見せている。3作品は幅広い年齢層に小説を読むことの面白さを再認識させたと思う」と話した。

出版流通学院書店研究会がセミナー/魅力的空間創出テーマに

出版流通学院(日販主催)の卒業生で組織する出版流通学院書店研究会は9月16日午後1時半から東京・千代田区の日販本社で「2015年度書店研究会セミナー」を開催する。
今回のテーマは、店頭の売上が伸び悩む中、リアル書店の魅力ある空間創りのためになすべきことは何か。第1部はブックエース執行役員営業本部長兼商品部長の大野貴洋氏が「雑誌定期購読獲得による来店客増」、第2部は函館蔦屋書店社長の梅谷知宏氏が「人が集まる本屋づくり」、第3部はファミリーマート開発本部一体型開発部付部長兼エンタメグループマネージャーの藤村達也氏が「書店でのファミリーマート運営について」、クレア取締役経営企画室長の有川寿夫氏が「カフェ導入のおすすめ」をテーマに話す(テーマ名はいずれも仮)。経営者から店長・スタッフまでそれぞれの立場で今後に活かせる内容となる。セミナーの後、講師を交えて情報交換会を兼ねた懇親会を行う。
参加費は会員4000円、非会員6000円(セミナー・懇親会費代込)。定員50名。申込締切9月4日(定員に達し次第締め切り)。
問い合わせは出版流通学院書店研究会事務局(日販営業推進室内)まで。℡03―3233―4791 E-mail: