全国書店新聞
             

平成30年12月1日号

1等賞はじめ各当せん番号を決定/日書連「読書週間書店くじ」抽せん会

日書連が主催する「読書週間書店くじ」の抽せん会が11月15日午後0時半から東京・千代田区の書店会館会議室で開催され、「書店くじ」の協賛社、協賛団体、日書連役員の立会いのもと、1等賞「図書カード1万円」から4等賞まで各賞の当せん番号を決定した。読者への当せん番号発表は、12月5日(水)に日書連ホームページと書店店頭掲示ポスターにより行う。
今年で45回目を迎える「読書週間書店くじ」は、10月27日から11月9日まで行われる「読書週間」の協賛行事として、読者謝恩、店頭活性化と増売を目的に実施している。
抽せん会は西村俊男読書推進委員長の司会で進行。冒頭であいさつした舩坂良雄会長は「書店の売上は大変厳しい状況。書店くじを、より書店に喜んでいただけるものにしたいと、読書推進委員会で西村委員長を中心に検討してもらっている。書店に行って良かったと読者に思っていただける企画を目指していきたい」と述べた。
書店くじの抽せんは、0から9までの番号を記した10個のボールを抽せん箱に入れ、中からボールを1個取り出す方法により実施。日本書籍出版協会の中町英樹専務理事、日本雑誌協会の堀口大吾氏、日本出版取次協会の松尾靖事務局長、読書推進運動協議会の宮本久事務局長、日本図書普及の平井茂専務取締役が1番から5番までの抽せん箱を担当し、1等賞から3等賞までの当せん番号を決定。最後に日書連・柴﨑繁副会長が4等賞の番号を引いて、全ての当せん番号を決めた。
書店くじの引き換え期間は、12月5日(水)の当せん番号発表から平成31年1月10日(木)まで。書店で賞品に立て替えた当せん券は、当せん番号発表ポスターと同送する清算用紙に必要事項を記入の上、一緒に同1月31日(木)までに日書連事務局へ送付する。当せん番号発表ポスターは、日書連ホームページからダウンロードして印刷することもできる。

山形組合理事長・五十嵐太右衞門氏が黄綬褒章受章

山形県書店商業組合の五十嵐太右衞門理事長(八文字屋)は、官報販売業の業務精励により、秋の叙勲で黄綬褒章を受章した。伝達式は11月14日に行われた。
(五十嵐勇大広報委員)

12月12日に出版販売年末懇親会/日書連

日書連は12月12日(水)午後6時から、東京・千代田区の帝国ホテルで恒例の「出版販売年末懇親会」を開催する。
書店が主催する出版業界の懇親の場として、出版社、取次、業界関連団体などを招いて毎年行っているもので、同ホテルの本館中2階「光の間」を会場に開催する。

書店1062名が来場/BOOKEXPO2018

第8回を迎えた関西の大商談会「BOOKEXPO2018秋の陣~貫け!書店魂~」が11月7日、大阪市北区のグランフロント大阪で開催された。
この商談会は書店、取次、出版社で構成する「BOOKEXPO」実行委員会(洞本昌哉実行委員長=ふたば書房)の主催、日書連など出版業界主要団体の後援で開催しており、当日は日書連・舩坂良雄会長が出席した。
今年は過去最多の238社・245ブース(昨年233社・243ブース)が出展し、来場者は1905名(同1892名)となった。来場者の内訳は、書店1062名、出展社644名、取次157名、報道・その他42名。商談の成立件数は5563件、金額は前年比1・4%増の1億292万6622円となった。
開会セレモニーで洞本実行委員長は「出版社の皆さんは本屋に大いに売り込んでいただきたい。本屋は自分の立地、得意とするジャンルを出版社に積極的にアピールしてほしい。我々がしっかり読者に商品を届けられればまだまだ書店業界はやっていける。今日1日を大事にしていただきたい」とあいさつした。
続いて、第3回目となる「西日本POP王決定戦」の表彰式を開催。「手書きPOP部門」は水嶋書房くずは駅店・正木裕奈氏と枡田愛氏、「ディスプレイ部門」はふたば書房草津近鉄店・伊達早苗氏のPOPが金賞に選ばれた。
会場には一般書、コミック、児童書、第三商材の各コーナーが設けられ、熱心に商談や情報交換が行われた。イベントとして、特設ブースで第6回大阪ほんま本大賞『阪堺電車177号の追憶』の著者・山本巧次氏のサイン会、児童書コーナーで絵本作家・スズキコージ氏のサイン会などが行われ盛況だった。

第6回京都本大賞『異邦人』が受賞/原田マハ氏「京都に憧れ」

第6回京都本大賞(主催=同実行委員会、後援=京都府書店商業組合・京都新聞・KBS京都)の授賞式が10月31日、京都市中京区の京都書店会館で開かれ、原田マハ『異邦人(いりびと)』(PHP文芸文庫)が大賞に選ばれた。
この賞は、過去1年間に刊行された京都府を舞台にした小説の中から、地元の人たちに読んでほしい作品を、書店員と読者が選ぶもの。今回は、候補作26作品から同作品のほかに浅田次郎『ブラックオアホワイト』(新潮文庫)、塩田武士『雪の香り』(文春文庫)の3作品を最終ノミネート。書店店頭およびインターネットでの投票によって大賞を決めた。投票総数は381票で、このうち書店店頭での投票は225票。
授賞式で、洞本昌哉実行委員長(ふたば書房)から原田氏に受賞記念の盾と賞状が贈られた。原田氏は、学生時代から現在に至るまで京都への強い憧れを持つ自身に捧げるつもりでこの小説を書いたことから、『異邦人』というタイトルになったことを話した。そして、「憧れであり続けてほしい」というイメージや「絶対に日常にはなってほしくない」という願いがある京都だが、一方で今回の受賞については「数ある京都本の中からこの一作が選ばれてうれしい。ずっと片思いをしていた人に思いを遂げられたような気持ち」と喜びを語った。さらに、「京都出身者や京都住まいの人にこの気持ちは絶対に分からないと思うので、そこに関しては優越感を感じる」と笑いを誘った。表紙にムンクの作品「月光」を使用した理由も、美の集約は陰にありという観点から、月の光が映し出す影の部分に京都らしさを感じたからと説明した。
また、第5回京都ガイド本大賞・ガイド本リピーター賞の授賞式も同時開催。ガイド本大賞は『一日乗車券でめぐる京都さんぽ』(JTBパブリッシング)が受賞した。京都市の市営バスと地下鉄が乗り放題になる一日乗車券(大人900円、子供は半額)を使ってお得に効率よく京都を回ることができる攻略ガイド本。地下鉄駅構内・車内にポスターを貼ってもらうなど京都市からのバックアップもあり、初の大賞受賞となった。
上級者向けの京都を紹介するリピーター賞は、文・甲斐みのり/絵・ぱんとたまねぎ『たのしいおいしい京都ごはんとおやつ』(朝日新聞出版)が選ばれた。甲斐氏は「京都生まれの編集者と共同作業で楽しんで作れた。ぱんとたまねぎさんも京都に住んでいた時期があり、皆が京都への愛をもってこの本を作った」と語った。
(若林久嗣広報委員)

第14回大阪こども「本の帯創作コンクール」/入賞作品113点を表彰

大阪府書店商業組合、大阪出版協会、大阪取次懇和会などで構成する大阪読書推進会と朝日新聞大阪本社が主催する2018第14回大阪こども「本の帯創作コンクール」の優秀作品の表彰式と展示会が11月10日、東大阪市の大阪府立中央図書館ライティホールで開かれ、全国13都府県から寄せられた計1万2931点の応募作品から大阪府知事賞、朝日新聞社賞、大阪国際児童文学振興財団賞、大阪出版協会賞、大阪府書店商業組合賞、大阪市長賞、府内自治体の市町村賞、課題図書出版社賞、朝日新聞総局長賞の入賞作113点を表彰。東京、福岡、島根などの府外受賞者を含む児童99人と保護者が出席し、賞状を受け取った。
児童書の表紙に巻く「帯」を小学生にデザインしてもらうこのコンクールは、子どもたちに読書の喜びや表現の楽しさ、大切さを知ってもらおうと05年にスタート。府と市の学校図書館協議会が選定する課題図書部門と自由図書部門を設けている。課題図書部門の大阪府知事賞、朝日新聞社賞、大阪国際児童文学振興財団賞を受賞した9点の帯は、製品化されて本に巻かれ、大阪府書店商業組合加盟の書店店頭に並ぶ。
大阪読書推進会の宮川健郎会長(大阪国際児童文学振興財団理事長・武蔵野大学教授)は所用のため欠席し、替わって面屋龍延副会長(大阪組合理事長)が開会のあいさつに立った。
面屋副会長は、『キダマッチ先生!』(BL出版)で大阪府知事賞・中学年の部を受賞した大阪市立晴明丘小3年の池田泰正君の作品に触れ、「作中に3行しか取りあげられていなくて挿絵もないムカデの21番目の足がリュウマチになった詳細図を表表紙の帯に描き、『イタイ』と書いている。この話はメインの話ではない。カエルの先生が子牛の喉の中に入る話がメインと裏表紙にある。何回も読み込んで、みんなに読んでもらいたいと紹介している。見事な作品を寄せていただき感謝している」と話した。
朝日新聞大阪本社の坂尻信義編集局長補佐があいさつしたあと、選考経過を報告した戸和繁晴実行委員長(大阪組合副理事長)は「難しい選考だった。みなさん素晴らしい感性で描いており、これからもたくさんの本を読んでほしい」と講評した。
受賞者を代表して、大阪府知事賞・高学年の部を受賞した茨木市立茨木小学校5年の徳永和(のどか)さんは、「面白い本や感動する本に出会ってきましたが、人に紹介することはあまりありませんでした。人に自分の気持ちを伝える事が苦手だからです。今年の課題図書の『星につたえて』(アリス館)という本をみつけ、優しい色使いやタッチから読んでみようと思いました。本の帯に私の気持ちを込め、たくさんの人に伝え、たくさんの人に読んでもらえればうれしいです」とあいさつした。
最後に大阪出版協会理事のBL出版の落合直也社長は「帯から伝わるメッセージを受け止めて、この本を読んでみたいというのが帯のキャッチ。コピーを考え、絵を描き、デザインをする。皆さんは本当にすごいことをしている。来年も引き続き応募してほしい」と閉会の辞を述べた。
第2部のアトラクションでは、「ひゅう~ブラスクインテット」が「アナと雪の女王」より「LetItGo」などのメドレーを演奏。また、フレンチホルンの管の全長と同じ3・5mの水道のホースと漏斗で出来た即製のホルンの音だしの体験も行われた。
なお、今回展示された533作品は、大阪市をはじめ府内各地でも展示される。(石尾義彦事務局長)

「春夏秋冬本屋です」/「『楽樂本屋さん』と出会って20年」/東京・山陽堂書店取締役・遠山秀子

アマゾンが日本に上陸する前の1999年、店売の落込みで再び外商に力を入れていた頃、伝票作業の手間を省く良い方法を模索していたら、書店新聞で近畿の本屋さんが開発したシステム「楽樂ほんやさん(らくほん)」を知り導入しました。
本屋さんの開発なのでかゆい所に手が届き、POSレジや伝票の管理が容易で大活躍、それからというもの「らくほん」ありきの日々となりました。
「らくほん」は、メーリングリストで全国の本屋仲間ともつながっており、質問をすると仲間たちが答えてくれます。
ある年の説明会後の懇親会で、「半径600メートルが配達範囲」と話したら、「うちは隣のうちまでが600メートルだ」と返ってきました。それから「最近はほんとに暇で」と言ったら「東京はこんなに人が歩いてるじゃないの」と言われ、はっとしました。「そうか、少なくとも東京には人はいるのか、地方はその『人』もいない状況なのか」と思い知らされたのでした。北国の本屋さんは駐車場の雪かきのことを話しており、あずかり知らぬご苦労があることを教えてくれました。がんばらなくっちゃ!東京以外の本屋さんと話すことで色々気づかされました。
「山陽堂も進化したなあ」、手書きではない印刷された請求書を手に支払いに来られた80年来のお客様がしみじみとつぶやいてから、20年もの月日が流れました。

売上高前年比5・0%の減/売上総利益率は0・29ポイント増/日販『書店経営指標』

日販は、全国74企業635店舗の経営関連データを収集分析した『書店経営指標』2018年版を発行した。企業ベースの主な業績を見ると、売上高は前年比5・0%減、売上総利益は同4・0%減、営業利益は同23・4%減。Book売上構成比が80%以上の専業企業と、80%未満の複合企業で比較すると、複合企業で営業利益が増加した一方、専業企業は減少となった。
『書店経営指標』の企業編では、書店事業以外の事業の拡大に伴い、調査集計を企業の全売上高に占めるBookの売上構成比が25%以上に限定し、区分表記を「Book売上構成比別」から「Book専業・複合別」に変更。Book売上構成比が80%以上の企業を「Book専業」、50%以上80%未満を「Book複合1」、25%以上50%未満を「Book複合2」に改めた。
企業ベースの売上総利益率は前年比0・29ポイント増の27・83%。営業利益率は同0・30ポイント増の0・40%、経常利益率は同0・11ポイント増の0・51%、当期純利益は同0・33ポイント増のマイナス0・28%とそれぞれ前年を上回った。
収益性の総合指標である総資本対経常利益率の全体平均は0・67%で、同0・18ポイント改善した。「Book専業」ではマイナス1・31%と同0・64ポイント悪化し、3年連続のマイナスになった。「Book複合1」と「Book複合2」を平均した「Book複合」では、同0・10ポイント減の1・45%だった。自己資本対経常利益率は同1・95ポイント悪化し3・01%。「Book専業」ではマイナス1・81%で、同5・55%ポイント減と大きく悪化した。「Book複合」は同0・83ポイント減の4・99%だった。
売上総利益率は全体平均27・83%に対し、「Book専業」は23・72%と同0・64ポイント増、「Book複合」は30・60%で同0・44ポイント減となった。経常利益率は0・51%で同0・11ポイントの増加。「Book専業」は同0・28ポイント増のマイナス0・10%、「Book複合」は同0・01ポイント減の0・76%だった。
総資本回転率の平均は1・82回で、同0・01回悪化。商品回転率は4・39回で同0・05回減少した。返済義務のない自己資本の割合を表す総資本対自己資本比率は同2・96ポイント悪化し17・30%になった。支払能力を示す流動比率は119・63%で、同1・52ポイント改善した。
売上規模別の表記についても、企業の実態に即して「100億円以上」「50億円以上100億円未満」「10億円以上50億円未満」「10億円未満」に変更。売上総利益率は「100億円以上」が28・22%と同0・84ポイント増加したほかは、前年を下回った。
店舗ベースの売上高は全体で同2・3%減だった。立地別にみると前年を上回る立地は無く、最も低かったのは「駅ビル」の同10・2%減。収益性では、売上総利益率は同0・2ポイント増の29・0%、営業利益率は同0・6ポイント増の2・0%だった。売上総利益率が最も改善した立地は「駅前」で同0・9ポイント増の27・8%、営業利益率では「郊外」が同2・7ポイント増の3・1%となった。
〔調査企業の内訳〕
▽Book専業・複合別=「Book専業」31・0%、「Book複合1」40・5%、「Book複合2」28・5%
▽収益(経常利益率)別=「3%以上」2・8%、「1%以上3%未満」27・0%、「0%以上1%未満」43・2%、「0%未満」27・0%
▽売上規模別=「100億円以上」31・6%、「50億円以上100億円未満」10・5%、「10億円以上50億円未満」39・5%、「10億円未満」18・4%
『書店経営指標』2018年版(B5判52ページ、頒価本体1500円)に関する問い合わせは、日販営業推進室出版流通学院まで。℡03―3233―4791

新会長に野崎陽一氏/田島、加藤両氏が副会長に/東京トーハン会

東京トーハン会は11月6日、東京・新宿区のトーハン本社で第10回総会を開き、会員書店39名(委任状含む)が出席。役員改選で会長に野崎陽一氏(ブックセンター滝山)、副会長に田島英治氏(椿書房)、加藤勤氏(ブックスタマ)、委員に大橋知広氏(東京堂)、越石功氏(甲文堂書店)を選任した。
出版社61社が参加した合同懇親会で野崎会長は「重点活動としてトーハン会プレミアムセールの活性化に取り組む。経営環境の改善に向け知恵を結集したい」とあいさつ。武田初男前会長(ラムラブックセンター芳進堂)は「昨年度はプレミアムセールは20位。野崎会長体制の頑張りで1位を皆様にお知らせできたら喜ばしい」と述べた。
来賓を代表してあいさつしたトーハンの近藤敏貴社長は、9月・10月の店頭売上についてコミックを中心に回復傾向にあるとして、「集英社のジャンプコミックスは8月から、講談社も3月に定価を上げていただいており、その効果が大きかったのではないか」と分析。また、自由に本を読めるスペースを時間貸しする業態について懸念を示し、「この業界が『貧すれば鈍する』と言われないように、正々堂々書店と一緒にやっていきたい」と述べた。紀伊國屋書店の高井昌史会長兼社長は「トーハンは新体制になって大変気合が入っている。厳しい不況の時代だから下を向いて商売するのではなく、堂々と真っ直ぐに思ったことをやってほしい」と述べて乾杯の音頭を取った。

「全国訪問おはなし隊」がメセナ大賞受賞/講談社

講談社が展開する「本とあそぼう全国訪問おはなし隊」が、優れたメセナ(芸術・文化振興による社会創造)活動を表彰する「メセナアワード2018」(主催=企業メセナ協議会)の最高賞である「メセナ大賞」に選ばれた。
1999年にスタートした「全国訪問おはなし隊」は、2台のキャラバンカーにそれぞれ約550冊の絵本を載せ、全国47都道府県を2年かけて1周。保育所、幼稚園、小学校、図書館などを訪問しておはなし会と自由閲覧を行い、おはなし会では地元ボランティアと協力を得ながら全国に読み聞かせの輪を拡げてきた。現在は全国10周目を巡回中で、通算の訪問回数は2万2千回を超え、参加者の人数は約190万人にのぼっている。

トーハンと日販、物流協業を検討/物流拠点の相互活用、統廃合も

トーハンと日販は11月19日、両社における物流協業の検討を開始すると発表した。基本合意書を11月7日に締結し、両社よりメンバーを選出、プロジェクトチームを発足する。両社は4月19日から公正取引委員会への物流協業に関する事前相談を行い、10月12日に同委員会から回答を受け、今回の基本合意書の締結に至った。両社が発表した合意内容は以下の通り。
1、背景及び目的
出版物の売上は1996年をピークに低減が続いている。
2017年度ではピーク時の52%程度の規模に縮小し、昨今の輸送コストの上昇と相まって流通効率の悪化が顕著となり、全国津々浦々にわたる出版物流通網をいかに維持するかが業界全体の喫緊の課題となっている。
今回の両社による取り組みは、かかる課題の解決を導き出すために行われるものであり、同時にプロダクトアウトからマーケットインを目指した抜本的な流通改革への新たな一歩となることを目指すものである。
2、検討内容
両社の間で、制度面・システム面を含めて、厳密な情報遮断措置を講じることを前提として、両社の物流拠点の相互活用ないし統廃合を中心とした出版流通の合理化に向けた物流協業について検討する。それぞれが保有する経営資源を有効活用することを基本として、システム面・業務面などからの実現可能性と経済的合理性を評価して、物流協業の具体的な方向性の検討を進めていく。
3、検討体制
両社からメンバーを選定し、プロジェクトチームを設置した上で、具体的な検討を進めていく。
なお、検討を進めるにあたり、両社において、独占禁止法遵守の観点から機微情報の厳密なコントロールを行う。具体的には、機微情報の目的外利用を防止するため、プロジェクトチームのメンバーを限定し、情報交換の範囲や運用管理を明文化する等の措置を講じる。また、必要に応じて公正取引委員会への報告・相談を行う。

中央社「新年挨拶の会」を中止

中央社は、2019年1月の「新年ご挨拶の会」を中止すると発表した。諸事情を鑑み、熟慮の結果、開催を見送ることにした。

日販が「文具女子博」/12月14日から3日間

日販は12月14日~16日の午前10時~午後5時(16日は午後4時閉幕)、東京都大田区の東京流通センターで「文具女子博」を開催する。入場料500円(小学生以下無料、男性も入場できる)。
文具メーカー・文具店123社、約5万点の商品が集結する日本最大級の文具イベント。日本ホールマークの「イケメン付箋」、呉竹の「好きな色の組み合わせでつくる蛍光ツインペン作り」などの限定商品を多数用意する。

「本の日」業界上向く契機に/藤原会長「活字の意義、啓発を」/東北日販会

東北日販会は11月8日、宮城県仙台市太白区の秋保温泉「緑水亭」で第13回総会を開き、東北6県の会員書店、出版社、日販から平林彰社長、吉川英作副社長ら208名が出席。藤原直会長(宮城・金港堂)は、「本の日」を業界が上向く契機にしたいと訴えた。
冒頭あいさつした藤原会長は、仙台で開かれたトークショーで、東北大学の川島隆太教授が、小中学生7万人を対象に調査した結果、スマートフォンの使用時間が1時間を超えると脳の発達に遅れが見られ、脳の発達を促すのは紙の本だと強調したことを紹介し、「こうしたことを業界だけではなく一般市民にも啓発しなければならない」と訴えた。また、11月1日の本の日について、「業界をあげて我々の運動の意義を一般市民に理解してもらい、長く落ち込んでいる業界だが、何とかこの辺で下げ止まりにして、上向きにもっていきたい」と述べた。
平林社長は、8月に開業したブックホテルを中心とした複合施設「箱根本箱」について、「これまでに1000組が宿泊し、思った以上に好評。本を読むだけでなく、3分の2の客が本を買っている。本と読者の接点を新しく作れたのではないかと思っている」と報告。富樫建執行役員が日販の諸施策を説明した。

生活実用書・注目的新刊/遊友出版・斎藤一郎

散歩や名所旧跡のガイドに、近頃は地形というキーワードが加えられることが多くなってきた。地域も限定されて、狭くなってきているようだ。
内田宗治著『地形と地理で解ける!東京の秘密33多摩・武蔵野編』(実業之日本社900円)東京の街の秘密50の続編だが、東京の西、多摩地区に限った探訪である。
たとえば中央線吉祥寺駅の南側の井の頭公園。この井の頭池には流れ込む川がない。お茶の水といわれる湧水スポットがあるのだが、ここを水源にして神田川になり、東京湾に注ぐ。武蔵野台地は西が高く、東が低くなっている。この標高50メートルに石神井池、善福寺池など湧水が多く見られるのは、関東ローム層やその下の砂礫層が薄くなるからなのである。
また、戦国大名と国府と地形、武蔵野台地の道や、鉄道と地形の関係など住んでいても知らなかった不思議な理由が、次次に解き明かされる。
小林紀晴著/今尾恵介監修・解説『写真で楽しむ東京「水流」地形散歩』(集英社新書820円)も、中野区弥生町から善福寺川、妙少寺川、渋谷川、国分寺崖線などを写真と共に辿っていく。暗渠になった川やビルの横を流れる川など、都市化と戦う川の過去を振り返る。川のように時代もまた静かに流れている。

元日本ヴォーグ社の荻原正江さん、ふくろうグッズ本を上梓/出版記念会、盛大に

日本ヴォーグ社、日本文芸社で長く書店営業を担当した荻原正江さんは、元トーハンで現在は万引防止出版対策本部事務局長を務める阿部信行氏との共著『HAPPYふくろう』(里文出版)を10月に上梓した。B5変形判、140ページ、定価本体2300円。
荻原さんが半世紀にわたり収集した「ふくろうグッズコレクション」約2000点の中から1000点余を載せた写真集。上野動物園元園長の小宮輝之氏による「ふくろうQ&A」など読み物も充実。ふくろう折り紙が付く。
荻原、阿部両氏をよく知る日書連の舩坂良雄会長らが発起人となり、11月9日、都内で出版記念会を開催。日本ヴォーグ社、日本文芸社、トーハンをはじめ出版関係者ら91名が出席し、出版を祝った。
発起人を代表してあいさつした舩坂会長は「荻原さんは、知らない書店人はモグリと言われるぐらい有名な方。好きな人が口コミで時間をかけて広げていくタイプの本。地道に販売していきたい」と述べた。
日本文芸社の吉田芳史常務、南天堂書房の奥村弘志社長らが祝辞を述べた後、荻原、阿部の両氏があいさつした。
荻原氏は、高校受験の折りに祖母から雑司ヶ谷鬼子母神の『すすきみみずく』をお守りとして贈られたことがふくろうグッズとの出会いだったと振り返り、「これからも良いふくろうを1つでも多くみつけて、人生の糧としたい」と、ふくろうへの情熱を語った。
阿部氏は「昨年、荻原さんから『本を出したい』と相談の電話をもらった。創作の厳しさをこれほど味わったことはない」と述べ、「ここにいるトーハン時代の部下たちは、自分たちがなぜここに呼ばれたか、よく噛み締めて帰ってほしい」と会場を笑わせた。
小泉書店の小泉忠男社長から荻原氏、JTBパブリッシングの楓千里氏から阿部氏に花束が贈られた。