全国書店新聞
             

平成28年9月1日号

紙の出版販売金額、今年上期は2・7%減/出版科研調べ

出版科学研究所は2016年上半期(1~6月)の書籍・雑誌分野別動向をまとめた。これによると紙の出版物の販売金額は前年同期比2・7%減の7701億円で、書籍は同1・6%増の4064億円と前年を上回ったが、雑誌は同7・1%減の3637億円と大きく減少した。
書籍の販売金額は前年同期比1・6%増の4064億円で、前年の上半期の2・3%減からプラスに転じた。今年はメディアでの紹介を機にブレイクした大部数のベストセラーがコンスタントに出現し、全体を底上げした。また文芸、学参、児童、実用書など好調なジャンルが多く、推定販売部数も同1・6%増の3億3732万冊と伸長した。
新刊平均価格は、同1・9%増の1181円、出回りで同0・2%増の1141円。比較的低価格の文庫本の売れ筋が少なく、出回り量が減ったため、新刊、出回りともに平均価格は上昇した。金額返品率は34・3%で同1・0ポイント改善した。
新刊点数は同1・5%(603点)減の3万8373点で、このうち取次仕入窓口経由が同0・2%(66点)減の2万7086点、注文扱いが同4・5%(537点)減の1万1287点。取次仕入窓口経由は4年連続のマイナスで、特に新書、文庫の点数減が目立っている。
16年上半期は、『天才』(幻冬舎)や本屋大賞受賞作『羊と鋼の森』(文藝春秋)、Web小説発の『君の膵臓をたべたい』(双葉社)など文芸書のヒットが相次いだ。ノンフィクションでは、13年に発売された『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)が複数のテレビ番組で取上げられた影響で再ブレイク。2月にはミリオン超えを果たし、6月時点で135万部に達した。ロングセラーになった『置かれた場所で咲きなさい』(幻冬舎)をはじめ、自己啓発書や生き方本も好調を続けている。
実用書では、スウェーデン発の寝かせつけ絵本『おやすみ、ロジャー』(飛鳥新社)がテレビで紹介されてヒットし、累計75万部に到達した。児童書は、絵本、学習漫画、図鑑、児童文庫、読み物などいずれのジャンルも好調で、児童書に参入、または強化する出版社が増加した。
一方、文庫は定番人気作家の新刊は売れるものの、既刊の不振が継続。新書は新たなトレンドに恵まれず、販売状況が大幅に落ち込んだ。
雑誌の販売金額は3637億円で前年同期比7・1%減となり、2011年同期の6・7%減を超える過去最大のマイナスを記録した。内訳は、月刊誌が同6・8%減の2960億円、週刊誌が同8・1%減の676億円。月刊誌は、定期雑誌が約8%減、ムック約5%減、コミックス約5%減となり、定期誌の落ち込みが目立つ。
推定発行部数は同9・2%減。内訳は、月刊誌が同8・4%減、週刊誌が同11・4%減と、抑制傾向にある。推定発行金額は同7・9%減で、月刊誌は同7・4%減、週刊誌は10・2%。ここ2年週刊誌の急落が目立っている。
平均価格は同1・5%増の554円で、月刊誌は同1・1%増の627円、週刊誌は同1・1%増の353円と値上がり傾向が続く。金額返品率は同0・5ポイント減の42・0%と、6年ぶりに改善した。内訳は月刊誌が同0・3ポイント減の43・1%、週刊誌が同1・5ポイント減の36・7%で、週刊誌は送品が10%以上減少したことに伴い大きく改善した。
創刊点数は同5点増の41点。推定発行部数は同29・3%増で、分冊百科の部数が大きかった。一方、休刊誌は同15点増の72点で、推定発行部数は同44・5%増。不定期誌の新刊点数は増刊・別冊が1817点で同103点減少。ムックの新刊点数は同277点減の4386点だった。1号を1点とカウントした付録添付数は、同343点減の5889点。
雑誌で売れたのは40代以上の読者向けの企画が中心で、若年読者の獲得は厳しい状況になっている。創刊誌は分冊百科とパズル誌で半数を占め、ファッション誌やライフスタイル誌などの大型創刊企画はなかった。女性誌は10~20代向けが縮小し、付録つきのミドルエイジ向けファッション誌が伸長した。
なお、出版科学研究所は2015年(暦年)から電子出版の市場規模を調査範囲に加え、発表を開始。これによると、16年上半期の電子出版販売金額は847億円で前年同期比28・9%増、金額で同190億円増加した。内訳は、電子コミックが同26・2%増の633億円、電子書籍が同16・2%増の122億円、電子雑誌が同76・9%増の92億円。電子雑誌は「dマガジン」が市場の大部分を占めており、同サービスの売上の伸びが影響し、前年並みの大幅な伸長を示した。
上半期の紙と電子の出版市場を合わせると8548億円、同0・3%減。市場全体における電子出版の占有率は9・9%で同2・2ポイント増加した。

「いざ、読書。」第70回読書週間標語

読書推進運動協議会(野間省伸会長)の主催により文化の日を挟んで10月27日から11月9日まで実施される第70回読書週間の標語が「いざ、読書。」に決まった。野間読書推進賞(第46回)、全国優良読書グループ表彰(第49回)などの行事が行われる。

五十嵐理事長を再選/山形総会

山形県書店商業組合(五十嵐太右衞門理事長)は7月22日午後1時半から山形市の山形県教科書供給所で第29期総会を開き、組合員28名(委任状含む)が出席した。
総会は、五十嵐理事長を議長に議案を審議。第29期事業報告及び日書連報告、第29期収支決算書及び余剰金処分案、第30期事業計画、予算など全ての議案を原案通り承認可決した。また、任期満了に伴う役員改選では、理事7名、監事2名を選出、五十嵐理事長の再選を決定した。
(五十嵐靖彦広報委員)

決算報告書、収支予算案を審議/神奈川理事会

神奈川県書店商業組合(筒井正博理事長)は7月22日、横浜市中区のかながわ労働プラザ会議室で定例理事会を開催した。
日書連報告では、日書連の「全国小売書店経営実態調査報告書」がまとまり、組合内部でデータ利用が可能なこと、今年の大晦日に実施する雑誌特別発売日の商品は、増刊・別冊が主となることなどの報告があった。また、「dマガジン」の配信が、雑誌本誌より早くなる問題について、日書連として是正・改善を求めていくべきであるという意見が出た。
議事では平成27年度の決算報告書が読み上げられ、財産目録・貸借対照表・損益計算書・収支計算書・剰余金処分案を一部修正し、次に平成28年度の収支予算案も一括して承認。これを基に8月の神奈川組合総会に諮ることとした。また、各支部から6店舗の脱会の発表があり承認された。
(山本雅之広報委員)

「PAGEONEの日」事業の経過説明/大阪理事会

大阪府書店商業組合(面屋龍延理事長)は7月9日に大阪市北区の大阪組合会議室で定例理事会を開催した。
庶務報告では事務局から、大阪府政策企画部青少年・地域安全室青少年課長より依頼された「大阪府青少年健全育成優良店表彰」の推薦について説明があり、協議の結果、高槻市の長谷川書店島本店を推薦することを承認した。また「OSAKAPAGEONE」について面屋理事長が経過説明を行い、7月19日に大阪読書推進会として府教育長も出席の上、正式に立ち上げると述べた。
委員会報告では、総務委員会から、理事定数問題は規約改正と関連することから定款委員会と連携して、年内をめどに作業を進めると説明した。読書推進委員会では、6月28日の大阪読書推進会総会の報告や、大阪市版「本の帯創作コンクール」展示会の作業について協力要請があった。
図書館・情報化委員会からは、教育システム社長の長尾幸彦氏を講師に7月1日に開催した、近畿ブロック図書館・情報化委員会の報告が行われた。
(石尾義彦事務局長)

組合取上げ商品の販売要請/図書館テーマに研修会開催/鳥取総会

鳥取県書店商業組合は6月20日午後12時40分より東伯郡の「琴浦町生涯学習センター(まなびタウンとうはく)」で第28回通常総会を開催。議決権保有組合員(支店加盟除く)18名は委任状出席を含め全員出席した。
総会は田江泰彦理事長を議長に議案審議。窪田憲三副理事長より平成27年度事業報告と平成28年度事業計画案、馬野清史理事より収支決算報告、杉嶋運一副理事長より平成28年度予算案の説明があり、全ての議案を原案通り承認可決した。
その中で28年度予算案について、財政事情が年々厳しくなってきていること、事業計画で増売運動委員会より重点目標として前年に引き続き販売要請が出されている「組合取り上げ商品」について、組合員が販売協力することによって組合の収入を確保することを確認した。また委員会組織の構成を再度見直し、より機能するように従来の5委員会から4つの委員会組織に再編成した。
総会終了後、西尾肇氏(鳥取短大非常勤講師、前鳥取市立中央図書館長)を講師に迎え、「図書館は本をどう選んでいるのか」の演題で組合員研修を開催=写真。図書館の選書方法、収集方針と選書基準、図書館と書店が共存するためには等、興味の尽きない話を伺った。
(井澤尚之広報委員)

各県組合が取組みを報告/名古屋市で東海ブロック会

日書連東海ブロックは7月25日、名古屋市中村区の名古屋国際センタービル「東天紅」でブロック会を開催。静岡県より江﨑理事長と古澤前理事長、岐阜県より木野村理事長、山梨県より後藤理事長、愛知県より春井理事長と谷口副理事長の6名が出席した。
ブロック会は、春井理事長のあいさつで始まり、愛知県で開催している「本屋のオヤジのおせっかい中学生はこれを読め!」について説明があった。組合の経費負担軽減のため、ポスターや共通帯をデータ送信による各参加店の自店印刷に切り替えたこと、リストに掲載の本を全部揃えるのではなく店頭在庫本に帯を巻いてコーナーをつくる方法に変えることによって参加店の負担軽減を図ったことなど、フェア参加のハードルを下げた事例を報告した。また、ポスターやリストなどの印刷物はデータ化することにより、他県の書店組合が実施する場合も簡単に変更が可能となり、準備作業の軽減が図れることなども報告された。
この後、読者の高齢化による本離れに歯止めをかけるため「簡易ルーペ」を購読者にプレゼントできないかとの提案があり、費用についてや、出版社に協力依頼ができないかなど活発に意見交換が行われた。
さらに「QRコード」を使った書誌データの構築ができないかとの提案について説明。これには出版社の協力が不可欠ではあるが、コスト面などを勘案すると大きな負担ではないと思われるなど、今後の研究課題であると報告した。
その後、各県での活動報告が行われた。江﨑理事長からは、出版社を招いての説明会を組合主導で取次会の総会開催後に行い、出版社の負担軽減や取次の垣根を超えた書店の参加があったことなどが報告された。また、県を跨ぐことで出版社が参加し易い土壌を作ることや、他県書店との交流が図れるなどのメリットがあることが紹介された。
後藤理事長からは、「やまなし読書活動促進事業」に組合として協力し、県立図書館と書店3ヵ所を回り書籍を購入することによってオリジナル栞がもらえる「スタンプラリー」を実施している事例が紹介された。「やまなし読書活動促進事業」は、図書館と書店の協力事業として、今後、規模の拡大などが期待される。
会議終了後に懇親会が開かれ、厳しい状況は今後も続くが書店としての誇りをもち商売を続けていこうと誓い合い、解散した。
(山梨組合・後藤雅利理事長)

小林常務理事が県功労者表彰を受賞/兵庫組合

兵庫県書店商業組合の小林由美子常務理事(小林書店)がこの度、兵庫県功労者表彰(産業振興功労)を授与された。
兵庫県書店商業組合から2年連続で女性経営者が受賞し、兵庫県の書店振興はもちろんのこと、女性の活躍が評価されている。小林氏は「徹底したお客様目線によるサービス作り」を日々実践し、また出版社・取次などの関係各社とも連携した素晴らしい関係を構築して日々努力している姿が評価された。
同賞受賞の祝賀会が先日尼崎市内で開催され、書店組合のメンバーもこの度の受賞を一緒に喜び、にこやかな祝賀会となった。
(岡田勉)

「北海道ゆかりの本大賞」について協議/北海道理事会

北海道書店商業組合(志賀健一理事長)は7月19日午後1時半から、札幌市中央区の北海道建設会館で定例理事会を開催した。
理事会では、6月に開かれた日書連総会の報告をした後、道組合の活動について審議。9月6日開催の北海道書店大商談会で実施する「北海道ゆかりの本大賞」について、候補基準や大賞決定方法などを協議した。(事務局・髙橋牧子)

訃報

都渡正道氏(久留米市・菊竹金文堂社長、福岡県書店商業組合理事長、日書連理事)8月15日午前1時52分に逝去した。享年69歳。
通夜は16日午後6時から、葬儀告別式は17日午後1時から福岡市中央区のユウベル積善社福岡斎場で営まれた。喪主は妻の良子さん。平成26年12月から日書連理事を務めていた。

移転

◆青森県書店商業組合
事務所を下記の場所に移転した。
〒030―0801青森県青森市新町1―13―4成田本店内
電話=017―723―2431㈹、FAX=017―723―7041

「本のまち八戸」の取組み紹介/八戸市・小林眞市長が講演/東北ブロック大会

7月7日に八戸市で行われた第68回書店東北ブロック大会で、小林眞・八戸市長が「家族で本屋さんへ行こう!」と題して講演した。八戸市は「本のまち八戸」構想を掲げ、市内書店で図書購入に使えるクーポン券を小学生に配布したり、読書推進の拠点施設として「八戸ブックセンター」の開設を進めている。講演内容を抄載する。
まちづくりをやっていく中で、自分なりに考えてきたことを政策として打ち出せないかということで、私自身が本が好きだったので、本をテーマにしたまちづくりの可能性はないかと考えた。そしてまちづくりの政策の1つとして、こういう視点で取り組みたいと示したのが、「本のまち」をめざすということだった。赤ちゃんを対象にした「ブックスタート」、小学生を対象にした「ブッククーポン」の配布、書店との連携による本のセレクトショップ「八戸ブックセンター」の開設という3つの段階でやりたいということを公約に掲げた。
ブックスタート事業は2014年度から始めた。生後90日の股関節脱臼検診のとき、図書館で読み聞かせをしているボランティアの皆さんが検診センターまで出向き、『いないいないばあ』などの絵本を1人10分くらいの時間で読み聞かせをしている。
同じく14年度からマイブック推進事業を始めた。小学生を対象に、市内書店で使用できる「マイブッククーポン」を1人2千円分配布している。学校図書館などで本に触れる機会はあるが、やはり自分の本を持ってもらいたい。自分の経験からしても、小さい頃に持っていた本は意外と覚えていたりする。本を自分のものにするという経験を、小学生の時代にもってもらいたい。経済的な理由で持てない子どももいっぱいいるし、親にも「本なんて」という考えの方もいる。今は早くからケータイだとかゲームだという時代なので、本の価値を早い段階で認識してもらう方法として考えた。実験的なことだったのでどういう反応があるか未知数だったが、「良い」と言っていただく方が圧倒的だ。
幼稚園や保育園の協議会の皆さんから「小学生だけでなく我々の方もやってくれないか」と要望があり、「〝読み聞かせ〟キッズブック事業」を16年度から開始した。満3歳児を対象に、読み聞かせに適した絵本を購入できる「キッズブッククーポン」を1人2千円配布するもので、読み聞かせ用の本をお父さん、お母さんが買えるというようにしている。
八戸ブックセンターは、本に関する新たな公共サービスということで、これまで手に触れる機会の少なかった本に出会える場を創り、市民の豊かな心を育み、本のある暮らしが当たり前となる、文化の薫り高いまちを目指そうというもの。いろいろな経営の問題もあって、書店の皆さんは『こんな本屋さんをやりたい』という思いがあってもなかなかその通りにはできないことがあると思う。それを補完していきたい。その辺を把握しながら、本を買える場をどんな形で作れるのか、試行錯誤の中で1つの提案としてブックセンターを考え出した。
施設のディレクションはブックコーディネーターの内沼晋太郎氏にお願いしている。コンセプトは、本好きな人を増やし、八戸を「本のまち」にするための新しい「本のある暮らしの拠点」と設定した。本を読む人、本を書く人を増やし、本で「まち」を盛り上げるという、3つを基本方針としている。
ブックセンターでは選書が一番問題になると思っている。市内の書店といろいろ話し合いをしながら選んでいきたい。棲み分けをしながら、なかなか書店では置きにくい本を中心に置いていくことを考えている。内沼さん始め専門家に選んでもらい、書店とも話し合って、コミック、雑誌、実用書、ビジネス書は原則として置かない。まずはこういう提案で選書して、進化していければいい。専門家の意見を聞きながら、あるいはお客さんの状況を見ながらいろんな棚にしていければと思っている。
運営体制は、選書は市がある程度主体となってやるが、発注・返品・販売については市内の書店に委託することを考えている。冒険的な要素が非常にあり、あくまでも公共サービスなので、リスクは行政が引き受けるが、委託という形で市内書店と連携してやっていくという仕組みで進めている。

日書連のうごき

7月4日書店大商談会実行委員会に舩坂会長が出席。
7月7日書店東北ブロック大会に舩坂会長が出席。
7月8日JPO運営幹事会に事務局が出席。
7月10日日書連関東ブロック会に舩坂会長が出席。
7月12日学校図書館整備推進会議幹事会に事務局が出席。
7月13日出版倫理協議会に天野理事が出席。公取協会月例懇談会・懇親会に柴﨑副会長が出席。
7月14日子どもの読書推進会議運営委員会に西村副会長が出席。JPO運営委員会に事務局が出席。
7月19日読書推進運動協議会事業委員会に事務局が出席。
7月20日出版クラブ平和堂委員会に事務局が出席。
7月21日図書館サポート部会に高島部会長が出席。
7月25日全国中小小売商団体連絡会に事務局が出席。
7月26日文化産業信用組合理事会に舩坂会長が出席。読書推進運動協議会常務理事会に舩坂会長が出席。
7月28日出版物小売公取協編集委員会に柴﨑、本間副会長、田島理事、元永公取協専務理事が出席。
7月29日出版梓会懇親の集いに事務局が出席。

全件警察に届出は55%/小売業万引被害実態調査/万防機構

全国万引犯罪防止機構(万防機構)は第11回「全国小売業万引被害実態調査」の報告書を発表した。これによると、調査に回答した企業の1社平均の万引被害件数は59件で、万引を発見したら全件警察に通報すると答えた企業は全体の55・3%にのぼることがわかった。
この調査は、万防機構が全国の主要小売業・サービス業における万引被害の現状を把握するために毎年実施しているもので、一昨年度から警視庁・東京万引き防止官民合同会議との合同調査となっている。日本経済新聞社編「日経小売・卸売企業年鑑2006」調査台帳を基本に、随時最新の情報に更新した掲載企業のうち、主として「セルフ販売」を採用する企業を調査対象にした。調査票を郵送配布・郵送回収する形で、今回は1754社を対象に行い、有効回収数は573社(有効回収率33・0%)。回答企業の業態別分布は、企業数の多い順に次の通り。
▽スーパー=161社▽書籍・文具=102社▽楽器・CD・レンタル=73社▽百貨店=49社▽ドラッグストア=34社▽その他専門店=31社▽ホームセンター・カー用品=30社▽婦人服・子供服=21社▽玩具・ホビー用品=12社▽服飾・服飾雑貨=10社▽コンビニ・ミニスーパー=9社▽靴、生鮮=各6社▽時計・めがね=5社▽宝飾品、酒類=各4社▽紳士服、呉服、総合ディスカウント=各3社▽カジュアル衣料、スポーツ用品=各2社▽家電製品、価格均一ショップ(100円ショップ等)、生活協同組合=各1社。
回答企業の展開する店舗数は、「5店舗以下」が244件(42・6%)、「11~30店舗」が95件(16・6%)、「101店舗以上」が65件(11・3%)、「6~10店舗」が63件(11・0%)、「31~50店舗」が44件(7・7%)、「51~100店舗」が42件(7・3%)となっている。
各企業に万引対策を担当している部署を聞いたところ、「店舗」が56・9%で最も多く、「本部」29・5%、「警備部門」5・9%の順となった。
万引犯罪を発見した後の基本的な処理方針について尋ねると、最も多かったのは「全件警察に届出する」で55・3%。「警察に届出するのはケースバイケース」が38・9%、「届出しない」は0・7%だった。
警察に届ける際の判断基準の有無については、「特に判断基準は無い」が65・5%に対し、「判断基準がある」が34・5%。判断基準があると答えた企業に、その内容について尋ねると、「被害額の大きさ」31・2%、「犯行の回数」5・2%、「その他」61・0%となった。
警察の書類作成に要する時間について、昨年比で変化したかを聞くと、「わからない」が43・8%。次いで「警察の対応時間は変わらない」が36・8%となった。「警察の対応時間は短くなった」は11・0%。「長くなった」は1・7%にとどまった。
万引犯罪の防止策では、集団窃盗対策として同業者との情報共有について尋ねると、「考えていない」が最も多く55・1%だったが、「すでに情報の共有をしている」が22・3%、「検討中である」が16・9%で、情報共有に積極姿勢を示す回答が4割近くに上った。また、「すでに情報の共有をしている」と答えた企業に、犯人が映っている画像の共有について聞くと、「画像は共有していない」が60・2%、「画像も共有している」が39・1%という結果になった。
万引犯の捕捉にかかった費用(人件費等)の損害賠償請求について聞くと、「考えていない」74・7%、「検討中である」15・2%、「すでに導入している」4・5%という回答になった。書店・文具の業態に限ると、「考えていない」61・8%に対し、「検討中である」21・6%、「すでに導入している」11・8%となり、検討中もしくは導入済みという回答が、全体の平均より高い結果になっている。
万引窃盗犯の「店内確保」については、「していない」が最も多く61・8%。「すでに実施している」は22・7%、「検討中である」は10・8%だった。書店・文具の業態に限ると、「すでに実施している」がトップで44・1%、「していない」39・2%、「検討中である」13・7%という順になった。
確保した万引犯の件数は、有効回答367社の総件数が2万1465件で、1社平均59件。平均件数の多い業態は、コンビニ・ミニスーパーがトップで260件。以下、ホームセンター・カー用品165件、カジュアル衣料143件、ドラッグストア113件、スーパー94件、総合ディスカウント93件、百貨店62件、生鮮46件、書籍・文具19件という順になっている。
確保した万引犯の男女別内訳は、男性33・8%、女性28・3%、性別不明37・8%。万引被害金額について1年前と比較して傾向を
聞くと、「変わらない」が最も多く26・9%。「大変増えた」(1・6%)、「やや増えた」(10・8%)を合わせた「増加」が12・4%に対し、「大変減った」(4・0%)、「やや減った」(12・9%)を合わせた「減少」は16・9%という結果になった。

「敬老の日読書のすすめ」推薦図書24点

読書推進運動協議会は2016年「敬老の日読書のすすめ」のリーフレットを作成し、全国の公共図書館や書店に配布した。各都道府県の読進協から寄せられた〝敬老の日(高齢者)にすすめる本〟の推薦書目をもとに、読進協事業委員会で選定したもの。推薦図書は以下の24点。
▽『眩(くらら)』朝井まかて、新潮社▽『鯨分限』伊東潤、光文社▽『みつえばあちゃんとボク』岡野雄一、西日本新聞社▽『質問老いることはいやですか?』落合恵子、朝日新聞出版▽『家康、江戸を建てる』門井慶喜、祥伝社▽『孫と私の小さな歴史』佐藤愛子、文藝春秋▽『いのちをむすぶ』佐藤初女、集英社▽『小さなことの積み重ね』高橋幸枝、マガジンハウス▽『老嬢物語』高楼方子、偕成社▽『奔走老人』谷川洋、ポプラ社▽『もう過去はいらない』ダニエル・フリードマン(著)、野口百合子(訳)、東京創元社▽『モーロクのすすめ』坪内稔典、岩波書店▽『老いの可能性』野村克也、海竜社▽『歳をとるのは面白い』「PHP」編集部(編)、PHP研究所▽『戦争といのちと聖路加国際病院ものがたり』日野原重明、小学館▽『一〇〇歳が聞く一〇〇歳の話』日野原重明(聞き手)、篠田桃紅ほか(著)、実業之日本社▽『弘兼憲史流「新老人」のススメ』弘兼憲史、徳間書店▽『世界でもっとも貧しい大統領ホセ・ムヒカの言葉』ホセ・ムヒカ(述)、佐藤美由紀(編)、双葉社▽『日本人のひたむきな生き方』松本創、講談社▽『我が家の内輪話』三浦朱門、曽野綾子、世界文化社▽『老人の極意』村松友?、河出書房新社▽『100歳夫婦力!』本岡典子、中央公論新社▽『老人の壁』養老孟司、南伸坊、毎日新聞出版▽『100歳になっても!これからもっと幸せなひとり暮らし』吉沢久子、KADOKAWA

顕彰者10名決まる/平成28年度出版平和堂

昨年1年間に亡くなった出版人を偲ぶ「第48回出版功労者顕彰会」が10月7日(金)正午から、神奈川県箱根町の出版平和堂で営まれる。新たな顕彰者は次の10氏。
▽出版社=浅井宏祐(文光堂)岡本惠年(増進堂・受験研究社)渡邊睦久(人文書院)白石勝(文藝春秋)乾源哉(講談社)小澤俊昭(CQ出版)神戸祐三(大明堂)太田博(杏林書院)
▽書店=仁木雄作(仁木書店・千葉県)川又銀藏(茨城県教科書販売・茨城県)

全国書店の8割が減収か横ばい/新規参入少なく、廃業増で市場縮小/東京商工リサーチ

東京商工リサーチは7月20日、「全国書店1128社の業績動向」調査の結果を発表した。同社企業データベースから、主業種が「雑誌・書籍小売業」のうち、業績が3期連続で比較可能な1128社を抽出、分析したもの。売上高、利益金は2015年度を最新決算としている。
売上高合計は前期比0・6%減の1兆47億2700万円だった。前々期から前期は同2・2%減。減少幅は縮小したとはいえ減収傾向が続いている。
増収は255社(構成比22・6%)と2割にとどまり、減収は467社(同41・4%)、横ばいは467社(同35・9%)。約8割が減少か横ばいと、売上が伸び悩む構図が続く。利益は、大手書店の店舗撤退損などが膨らみ、2年連続で大幅な減益。2割の企業が赤字だった。人手不足による人件費高騰なども利益の圧迫要因になっている。
売上高トップは紀伊國屋書店の1086億3200万円で、業界で唯一1000億円を上回った。また、売上高ランキング上位10社のうち、上位5社は売上を伸ばし、下位5社は減収と、対照的な結果となった。スケールメリットの追求や集客力、書籍以外への多角化など特色のある企業の伸長が目立った。
売上高別分布をみると、売上高1億円未満が643社(構成比57・0%)で約6割を占めた。次いで1~5億円未満318社(同28・1%)、5~10億円未満63社(同5・5%)、10~50億円未満63社(同5・5%)。売上高5億円未満が961社(同85・1%)と8割を占めた。一方、全国展開する売上高100億円以上の大手は17社(同1・5%)。小・零細店舗が大多数を占める業界構造となっている。
業歴別では、50~100年未満の老舗が504社(構成比44・6%)で最多。次いで10~50年未満468社(同41・4%)、100年以上112社(同9・9%)と1割を占めた。一方、業歴5年未満の企業は2社(同0・1%)に過ぎず、5~10年未満も38社(同3・3%)にとどまった。新規参入が極端に少なく、かつ後継者難から廃業や撤退、倒産が市場縮小をさらに加速させる業界の深刻な側面が浮き彫りとなった。

日経MJ「日本の専門店調査」

日経MJ(7月13日付)は「第44回日本の専門店調査」(2015年度)を発表した。
これによると、比較可能な355社の総売上高は23兆2275億円。消費増税前の駆け込み需要の反動も落ち着き、前回調査より増収となる企業が増え、全体でも4・0%の増収となった。顧客の満足度を高めるために、接客やサービスに力を入れる企業が総売上高伸び率などのランキングで上位を占めた。
23業種のうち増収は20業種。増収率が5%以上だったのはドラッグストア・医薬品、カジュアル衣料、家具など8業種で、前回調査から2業種増えた。減収は3業種にとどまった。総合ディスカウント・ストアなど消費者の低価格志向に支持された業種の検討が目立ったと、同紙は指摘している。
書籍・文具部門を見ると、全体の売上高は11・8%増と前回(1・8%減)を大きく上回った。15年に丸善とジュンク堂が合併したことが押し上げ、丸善ジュンク堂書店は264・4%増の759億700万円となり3位に入った。1位はカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)で19・4%増の2392億3300万円。400㎡以上の大型出店やカフェ併設店の出店が寄与した。2位の紀伊國屋書店も大型店を中心に出店を進め、1・8%増の1086億3100万円となった。
総売上高経常利益率は、1位がCCCで7・8%、2位がヴィレッジヴァンガードコーポレーションで3・9%、3位が精文館書店とフタバ書店でそれぞれ3・6%。
1人当たり総売上高は丸善ジュンク堂書店が5億8842万円、3・3平方㍍当たり直営店売上高は有隣堂が576万円、直営+FC新設店舗数は文教堂が20店で、それぞれトップだった。

『ちょっと今から仕事やめてくる』17年初夏に映画化/KADOKAWA

KADOKAWAがメディアワークス文庫より発行する北川恵海著『ちょっと今から仕事やめてくる』が映画化され、2017年初夏に公開される。
主演は福士蒼汰。工藤阿須加、黒木華、小池栄子、吉田鋼太郎が共演する。監督・脚本は映画「八日目の蝉」で第38回日本アカデミー賞最優秀監督賞、最優秀作品賞を受賞した成島出。
北川氏のデビュー作である本作は、「第21回電撃小説大賞」で「メディアワークス文庫賞」を受賞。ノルマの厳しい仕事で心身ともに衰弱した若者・青山隆が、無意識に線路に飛び込もうとしたところを「ヤマモト」と名乗る男に助けられたことから始まる物語。15年2月の発売以来、「スカッとできて最後は泣ける人生応援ストーリー」として若者だけでなく幅広い世代に読まれ、16年7月現在、累計発行部数50万部を突破するベストセラーになっている。

電子化が書店ルートに影響/雑誌不振を憂慮/出版梓会・今村理事長

出版梓会は7月29日、東京・新宿区の日本出版クラブ会館で「業界・会員社懇親の集い」を開催し、会員社59社102名、書店、取次など来賓36社80名が出席した。
あいさつした今村正樹理事長(偕成社)は、出版科学研究所調べの今年上半期の出版販売額に触れ、「雑誌の大きなマイナスが続いている。電子を入れるとそれほどでもないと報告されているが、裏を返せば従来の取次、書店ルートを侵食しているということ」として、特にdマガジンの書店への影響を指摘。「日本の書店にとって大きな部分を占める雑誌やコミックが電子化されることを真剣に考えねばならない。出版梓会のように雑誌やコミックに縁のない中小出版社は、それによって疲弊していく書店とどうやって仕事を立て直していくかということが、今年の後半に大きな問題になる」と話した。
来賓のトーハン・川上浩明専務は、雑誌の大きな落ち込みは取次と中小書店の経営、輸送会社の配送効率など様々な方面に悪影響を及ぼしているとして、「取次物流は雑誌を中心とした配送体制になっている。雑誌の減少に歯止めをかけることが喫緊の課題」と述べた。また、「五輪憲章で、開催都市は開催までの4年間、文化プログラムを実施するよう決められている。東京五輪でも文化庁が中心となって20万件のイベント、5000万人の動員が計画されている。スポーツの祭典だが、文化の祭典でもある。この機運をプラスにして、日本の出版文化を内外に知らしめる好機にしたい」と意欲を語った。
日本書籍出版協会の相賀昌宏理事長(小学館)は、創元社の『翻訳できない世界のことば』を紹介し、「答は書いていないが、答を見つけたくなるような気持ちにさせる本を作っていくのが大事」と述べ、乾杯した。

生活実用書/注目的新刊

手塚治虫氏が60歳で亡くなったのが1989年。あれから、もう四半世紀余の時間が過ぎたことに驚いてしまう。
手塚治虫著『「日本文化」傑作選』(祥伝社新書476840円)は、久々の手塚治虫氏の新刊である。手塚作品は不思議にいつも新しい。
本書は日本文化、古典芸能、伝承などを通して、人間を描く短編アンソロジーである。
お馴染みの『ブラック・ジャック』は命を生ける、という華道家元の話。『三つ目がとおる』は1200年を遡る石舞台にまつわる綺譚だ。
『おけさのひょう六』は、佐渡の百姓の若者と、猫が化身した、美しいおけさとの悲恋を描く。『つるの泉』は鶴の恩返し、ではない健気な鶴のおつうと若者の結ばれぬ恋である。バカ殿様や、村の権力者に静かに立ち向かう。
『安達ヶ原』は同名の能に題材を取ったというが、スタートは有人ロケットが地球を離れるシーンから始まる。
『四谷快談』と『トキワ荘物語』には、ベレー帽をつけた手塚氏自身が登場する。
近未来の科学から、鎌倉、室町、江戸時代、昭和から、古代まで、舞台は日本史のあらゆる時を駆け巡る全10話。
手塚治虫氏を知らない世代にも勧めたい一冊である。
時代を縦横に走る物語には日本史の正しい知識も必要なのではないか、というので、次は日本史である。
黒田日出男監修『図説日本史通覧』(帝国書院857円)は、360ページ、オールカラーの上に、52ページの資料と日本、世界の地図が付くという、見るからに安価な本である。最後に、○年○組○番と名前を書く欄があるのはご愛敬である。
旧石器時代の道具から、白鴎文化の壁画、仏像の写真、浮世絵、大正・昭和の絵画、彫刻など、カラー写真があふれている。
歴代内閣も1885年の初代、伊藤博文から現安倍内閣まで一望する。ちなみに、就任時年齢も記されていて、一番若くして総理大臣になったのも伊藤博文44歳であった。
おそらく教科書か副読本として作られて、版を重ねているために廉価が可能だったと推察できる。したがって、子供だけに独占させるのは惜しい。歴史はもちろん、ビジネス、雑学、新刊台にも通用する。どこに置いても面白い本だ。
(遊友出版斎藤一郎)

返品作業の一部を出版共同流通に変更/日教販

日教販は8月22日より、学校採用品、副教材関係、巡回見本、課題図書および洋書ほかISBNコードなしの書籍扱い商品の返品に関する業務を、同社戸田センターから出版共同流通新座返品センターに変更した。出版社への返品の出荷も同センターから。文庫、辞典、自習書(教科書ガイド)など一般書籍の返品については、従来通り出版共同流通所沢センターで行っている。
問い合わせは日教販物流管理部物流管理課まで。℡048―441―9315

「ご当地キティと書店祭」を実施/日販

日販はサンリオの人気キャラクター「ハローキティ」とのコラボレーション企画「ご当地キティと書店祭」を8月19日より570書店でスタートした。日販が2012年から継続している書店向け販促企画「祭」の第12弾。
観光地のお土産として人気の「ご当地キティ」をメインに、抽選で2000名にオリジナル図書カードやグッズが当たるスタンプラリーのほか、47都道府県のご当地キティが勢揃いする「ご当地キティ人気投票」を専用サイトで実施する。投票した人の中から抽選で200名に人気1位のご当地キティがデザインされた図書カード1000円分を贈る。投票結果はSNSで拡散し、「祭」の周知を図るとともに、店頭企画への興味を引き出し、来店を促す。また、日販限定の「書店祭」オリジナルハローキティも登場。はっぴ姿のかわいいハローキティで幅広い層にアプローチし、店頭を盛り上げる。

新雑貨パッケージ「hmmm!?」を展開/日販

日販は7月13日より書店向け新雑貨パッケージ「Hmmm!?」(読み方=ん!?)の展開を約750書店で始めた。
書店の雑誌売場で、陳列されている雑誌のジャンルと親和性の高いPB雑貨商品を、専用BOX型什器で展開する新たな取り組み。発注から店頭展開、販売条件までパッケージ化し、書店での新商材導入をサポートする。雑誌売場を訪れた読者に「ん!?」と新鮮な驚きと発見を味わってもらうことが目的。これまでにない切り口で新商材を訴求し、雑誌と合わせた新たな売上創出を図る。
第1弾の展開アイテムは、スマートフォン用セルフィーレンズやウィスキースキットルなど。600円から2000円前後の求めやすい価格帯で、季節ごとに新商品を発売し、継続的な売場展開を目指すという。

トーハン、「シン・ゴジラ」公式記録集を独占販売/MVPブランドで

トーハンは、「ゴジラ」シリーズ最新作『シン・ゴジラ』の7月29日全国公開に伴い、デザイン画や監督インタビューなど幅広いメイキング記録を収録した公式記録集『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』を、トーハン独占販売のMVPブランドとして9月中旬に販売する。本体価格9800円(税抜き)。
『シン・ゴジラ』は12年ぶりのシリーズ最新作で、脚本・総監督をアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の監督としても有名な庵野秀明氏、監督・特技監督を樋口真嗣氏が手掛けた作品で、出演は長谷川博己、竹野内豊、石原さとみの豪華キャスト。公開から8月21までの4週間で動員310万人の大ヒットとなっている。
今回発売の『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』は、映画『シン・ゴジラ』がどのように生まれ制作されたのか、そのすべてが分かる、庵野氏の責任編集によるメイキング記録集。制作のために描かれたデザイン画、イメージボード、資料写真、スタッフインタビューなどをフルカラーで全500ページ以上収録した豪華仕様。別冊付録に描き下ろしポスター2枚、完成台本1冊が付く。庵野氏のロングインタビューも独占掲載し、プロットから準備稿、最終決定稿まで進化する過程が分かる脚本も完全収録。「ゴジラ」ファンだけでなく、映画好きにも楽しめる内容になっている。
展開書店へは、オリジナルポスターの提供で事前に発売を告知し、商品の予約受注のバックアップと売場作りのサポートを行うとしている。

ベースボール・マガジン社70周年企画を実施/トーハン

トーハンは、店頭活性化プロジェクトとして、今年創立70周年を迎えたベースボール・マガジン社とコラボレーションし、店頭フェア、定期購読キャンペーン、プレゼントキャンペーンの3企画を8月22日~10月2日の期間、約700書店で実施している。
店頭フェアでは、ベースボール・マガジン社発行の書籍、雑誌、ムック、プロ野球カード等のコーナーを展開。同社発行商品の購入者にオリジナル特典としてBBMカード特別版「2016セ・パ12球団スタープレイヤーカード」をプレゼントする。雑誌定期購読キャンペーンは、同社発行雑誌17銘柄を対象に実施。1年間の定期購読を申し込んだ読者にクオカード500円分をプレゼントする。プレゼントキャンペーンでは、商品を問わず税込1500円以上の購入者に応募券を配布。応募者から抽選で1000名にオリジナルクオカード1万円分などキャンペーン限定賞品をプレゼントする。
複数の企画を同時実施することで、ベースボール・マガジン社の70周年を大きくアピールするとともに、リオ五輪の余韻覚めやらぬ秋のスポーツシーズンの読者需要を喚起し、書店店頭での楽しさを演出する。

新社長に加藤悟専務/平成27年度は減収増益決算/中央社

中央社は8月19日、東京・板橋区の本社で定時株主総会と取締役会を開き、平成27年度(平成27年6月1日~平成28年5月31日)決算諸案、役員人事案などを承認。加藤悟専務が新社長に昇任した。
平成27年度の売上高は前期比1・6%減の230億199万円となった。内訳は、雑誌が同1・6%減の137億758万円、書籍が同4・7%増の83億4366万円、特品が同36・0%減の9億5074万円。
雑誌部門は、定期雑誌の売上減少をコミックスの売上増でカバーするため、コミックセンターの機能改善、在庫拡充、営業担当者からの売行良好商品の補充提案を積極的に実施したが、コミックスもわずかに前年を超える売上を確保できず、雑誌全体で前年を下回る実績となった。
書籍部門は、文庫・ライトノベルの大型商品の減少傾向によって年度初めは苦戦したが、文学賞作品を中心とした文芸書と書籍扱いコミックスの売行きが全体を牽引し、通期で前年を上回る実績を確保した。
特品部門は、映像化作品等の特装版商品が減少し、大きく売上げを落とした。
返品率は同0・2ポイント減の29・3%と、6期連続で30%を下回った。内訳は、雑誌が同0・5ポイント減の29・2%、書籍が同0・8ポイント減の31・2%、特品が同0・02ポイント減の10・3%と、全ジャンルで改善した。
不動産収入、業務委託収入、その他収入を合計した総売上高は同1・7%減の231億8255万円となった。前期に外部委託した書籍返品業務に伴う業務受託収入は減少したが、本社社屋を有効活用することで不動産収入を増加させることができた。また、取引先の経営効率化支援として開始したLED蛍光管の提案は、法人への導入を開始し、高評価を得ている。
この結果、営業利益は同12・0%減の3億3774万円、経常利益は同17・4%減の1億5313万円、当期純利益は同7・7%増の1億5323万円。減収増益の決算となった。
平成28年度の目標は、売上高が同2・4%増の235億4900万円、返品率が同1・2ポイント減の28・1%、経常利益が同1・5%増の1億5542万円。
役員人事では、加藤悟専務が社長、大谷敏夫常務が専務に昇任した。風間賢一郎社長は相談役に就任した。片山秀樹執行役員は取締役、外山義朗顧問は監査役に新任した。小暮豊博監査役、秋山秀俊顧問は退任した。
[役員体制]
◎昇任、○新任
代表取締役社長総合経営計画本部長兼取引本部長兼戦略物流担当◎加藤悟
専務取締役総合経営計画本部副本部長兼仕入本部長兼渉外担当◎大谷敏夫
取締役相談役社長補佐
○風間賢一郎
取締役経理担当、情報システム担当、取引担当兼取引部長兼株式法務室長
矢下晴樹
同営業本部長兼戦略開発室長山本章雄
同名阪支社長兼関西支店長竹内文利
同総合経営計画本部副本部長兼総務人事担当、物流担当兼総合推進室長
○片山秀樹
監査役○外山義朗
執行役員経理部長
江上浩
同第一営業部長
○竹内純一
同名古屋支店長
足立良二
[機構改革・組織変更]
1、戦略開発室に外販企画戦略課、市場戦略開発課を新設する。
2、第三営業部を廃止し、その機能を第二営業部、戦略開発室に移管する。
3、第二営業部の営業促進課と特販営業課を廃止し、営業一課(特定店・一般店)、営業二課(二次取次・CVS・病院売店)を新設する。
4、第三営業部複合商品開発課の業務は戦略開発室外販企画戦略課へ移管する。
5、取引本部を新設する。
6、取引本部に取引部を置く。

中小書店も取り組める施策を/東京日販会・矢幡会長が求める

東京日販会は7月26日、東京・千代田区の日販本社で第10回総会を開き、会員書店38名(委任状含む)が出席した。
冒頭、あいさつした矢幡秀治会長(真光書店)は「日販の色々な施策や企画を活用していきたい。しかし、大きな書店に有利な施策が多く、なかなか中小書店には届いていない。我々が手を出せるものも考えてもらい、日販と手に手を取って、この不況の中でどうにかして生き残っていきたい」と述べた。
議案審議では事業報告、会計報告、事業計画案、予算案などすべての議案を原案通り可決承認した。また、石井和夫副会長(ブックスケイ・アイ)の閉店による退任に伴い、秋葉良成氏(江戸川書房)が副会長に就任した。
このあと来賓の日販・清地泰宏常務があいさつ。「雑誌の低迷が書店の収益を相当圧迫しているが、売り伸ばしている店もある。定期予約獲得で来店客をリピーター化する取り組みをしている店は、不況の中でもそれほど数字が落ちていない。日販は時限再販の施策などにチャレンジすることで、少しでも書店に利益を取ってもらえるよう頑張る。本と親和性の高い文具、雑貨、カフェなどの商材や業態をもう1つの収益の柱とし、本に新しい付加価値を付け、本の魅力を伝える取り組みを提案していきたい」と話した。
総会終了後、日販重点戦略説明、出版社商品紹介を行い、「日本美術全集(全20巻)」(小学館)、「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社)のバックナンバーの拡販に取り組むことを決めた。出版社からは報奨金が用意された。
引き続き、135万部の大ヒットとなっている『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)の著者の一人、古賀史健氏が記念講演を行った。