全国書店新聞
             

平成26年10月1日号

雑誌買切制度研究小委を新設/報奨金で収益改善目指す/日書連理事会

日書連は9月18日、東京・千代田区の書店会館で定例理事会を開催。2つの小委員会を政策委員会管轄のもと新設することを承認した。雑誌買切制度研究小委員会は藤原直副会長を委員長とし、外商雑誌の買切による報奨金で書店収益の改善を目指す。また、事業研究小委員会は中山寿賀雄副会長を委員長とし、新たな事業収入の研究と具体化を検討する。〔政策委員会〕
政策委員会管轄の「雑誌買切制度研究小委員会」「事業研究小委員会」の2つの小委員会を新設することを舩坂良雄会長が提案し、承認された。
雑誌買切制度研究小委員会は、舩坂会長が日書連通常総会で試案として発表した「書店再生のための提案」を具体化するために設置したもの。外商雑誌の買切による報奨金で書店収益の改善を目指す。外商雑誌に続き店売、書籍も今後検討していく。同小委員会で資料をまとめ、取協、雑協と実現に向けた話し合いを行う。委員長は藤原直副会長が務める。委員は成田耕造(青森)、片岡隆(東京)、光永和史(愛媛)、長谷川澄男(福岡)の各理事が就任した。
事業研究小委員会は、現行の事業収入を基盤固めするとともに、新たな事業収入の研究と具体化を検討するため設置した。委員長は中山寿賀雄副会長が務める。委員は志賀健一(北海道)、山根金造(兵庫)の各理事。あと2名選定し、計5名体制で発足する。
このほか、第100回全国図書館大会(日本図書館協会主催。10月31日~11月1日、明治大学駿河台キャンパスで開催)の後援、第10回出版甲子園(同実行委員会主催。11月30日、国立オリンピック記念青少年総合センターで開催)の後援、取協読書推進事業「読み聞かせ会」(11月29日~15年2月22日の土・日・祝で書店の希望する日に実施)の協賛を、それぞれ承認した。
〔指導教育委員会〕
書店の現在の経営状況を把握するため9年ぶりに実施する「全国小売書店経営実態調査」の準備作業の進捗状況を鈴木喜重委員長が報告。アンケート調査で全国書店新聞に掲載を予定している記入票の体裁等について検討したこと、集計・分析は専門会社に委託することなどを説明。鈴木委員長は「調査結果を要望として出版社や取次に持って行く。書店の窮状を数字で訴えたい」と述べた。
〔書店再生委員会〕
「食と健康」をテーマに出版社12社のイチオシ実用書を増売し、書店の収益改善を図ることを目的に実施している第3回増売企画「食と健康の本『書店金賞』」は、7月18日の受注締切までに410書店441セットの申込があった。
9月初旬、着荷した書店から順次販売を開始。11月16日までに販売したPOSデータをもとに集計し、全国で購入された冊数によって書店金賞を決定。11月21日に発表会を開催する。全国書店新聞には12月1日付に結果を掲載する。金賞発表後に売り伸ばしを図るため、報奨金の対象となるPOSデータの集計は12月31日まで。スリップ送付締切は15年1月15日。なお、日書連ホームページの書店専用ページにダウンロード用のPOPを用意している。
小泉忠男委員長は「発表会には全国紙、地方紙、業界紙など報道関係者を招き、書店金賞の存在を広く周知したい」と述べた。
〔組織委員会〕
各都道府県組合の加入・脱退状況は、7月期が加入2店・脱退17店で前月比15店純減、8月期が加入1店・脱退10店で同9店純減。8月末日現在の日書連傘下組合加入書店数は4130店になったと中山寿賀雄委員長が報告した。
今年から受注生産となった日書連のオリジナル手帳「ポケッター15」は8月20日の締切までに4万8千部の申込があり、別表の通り販売価格が決定した。締切日以降の申込およびキャンセルは出来ない。11月上旬頃に取引取次より配送する。中山委員長は「残部数が出ず、価格も安くなった。問題がなければ来年も受注生産方式で行いたい」と述べた。
〔消費税問題〕
消費税率引き上げの際、出版物に軽減税率を適用するよう求めている請願運動で、舩坂会長は「日書連は一貫して税率5%を主張してきた」と強調した。
今後の陳情計画については、面屋委員長が、谷垣禎一幹事長、二階俊博総務会長、稲田朋美政調会長ら自民党新執行部の議員を各地元の理事長と一緒に訪問する意向を示した。
地方組合の動きでは、京都組合が9月9日、京都府議会に「書籍出版物への消費税軽減税率適用を求める陳情書」を提出した。中村晃造理事(京都)は「新聞業界は新聞社と新聞販売店がまとまって、地方議会に請願を提出し採択してもらう運動を行ってきた。10月以降は署名運動に軸足を移すという。出版業界ももっと一体となった運動を行うべき」と提言した。
また、埼玉組合が今夏、埼玉県新聞販売組合と連名で、書籍・新聞など文字文化への軽減税率適用を目指して県民へのアピールを行ったことを川島孝文理事(埼玉)が報告した(本紙8月15日付1面に関連記事)。
〔広報委員会〕
全国中小企業団体中央会の補助金事業として「日書連書店経営・販売研修会」を10月21日~22日、東京・文京区の東京ガーデンパレスで開催することを面屋龍延委員長が報告した。研修内容は能勢仁氏(ノセ事務所社長)の「書店経営のチェックポイント」、藤曲武美氏(税理士)の「出版物への消費税軽減税率適用と店頭実務について」、細野寛行氏(弘正堂図書販売社長)の「専門取次『神田村』を活用した品揃えの強化」、斎藤一郎氏(遊友出版社長)の「実用書の効果的販売と売れるお店の棚作り」の計4講。本部および各都道府県広報委員らによるディスカッションも行う。参加者は各都道府県組合から30名以上を予定している。
〔流通改善委員会〕
雑誌発売日問題で、日書連の要望として①全国同時発売を目指して発売日格差の解消に努めてほしい。まずは3日目地区(北海道、九州)を2日目地区に繰り上げる努力をしてほしい②沖縄地区の週刊誌航空輸送の早期実現に向けて尽力してほしい③年間購読など、出版社が読者に販売する雑誌の着荷日については、該当地区の発売日に合わせて調整してほしい④読者目線に立って合併号を廃止し、年間を通してレギュラー発売が出来るようなシステムを構築してほしい――など7項目を雑誌発売日励行本部委員会に提出すると藤原直委員長が報告した。
佐賀県武雄市、神奈川県海老名市、宮城県多賀城市と、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が公立図書館の指定管理者となる事例が続いている。さらに、愛知県小牧市が8月26日、新たに建設する図書館の基本設計にあたり、CCCを代表団体とする「CCC・TRC共同事業体」が将来の指定管理者の視点でアドバイスを行う連携民間事業者に決定したと発表した。藤原委員長は「本を納入するのは書店だという最後の一線だけは守っていきたい」として、各都道府県組合に情報提供を呼びかけた。
〔読書推進委員会〕
第19回「春の書店くじ」(平成27年4月20日~同30日)の実施要綱について、西村俊男委員長が①発行枚数を300万枚から200万枚に減らす②賞品のうち特等賞(図書カード5万円×30本)を廃止する③組合加盟店全店への書店くじの無料配布を中止する④宣伝用ポスターの郵送を取り止め、日書連ホームページからファイルをダウンロードしてもらう方式とする――と従来からの変更点を説明した。
独自展開の企画を提出した組合に補助金を支給する「サン・ジョルディの日PR企画推進費」の募集は来年度も引き続き行う。支給総額は300万円。1組合当たりの支給額は20万円を上限とし、提出された企画案を委員会で検討のうえ算出する。エントリーする組合は所定の申込書に企画概要と諸費用概算を記入し、11月28日までにファックスで申し込む。採用された組合には12月下旬に支給金額を通知する。

「経営・販売研修会」10月21日~22日に

日書連広報委員会(面屋龍延委員長)は10月21日、22日の両日、東京・文京区の東京ガーデンパレスで「日書連書店経営・販売研修会」を開催する。全国中小企業団体中央会の補助金事業として実施。能勢仁(ノセ事務所)、藤曲武美(税理士)、細野寛行(弘正堂図書販売)、斎藤一郎(遊友出版)の4氏が講演し、最後に各組合からの出席者による討議を行う。

「各店舗の特徴活かそう」/熊本組合総会で長﨑理事長

熊本県書店商業組合は8月23日、熊本市中央区のANAクラウンプラザホテル熊本ニュースカイで第27回通常総会を開催。組合員44名(委任状含む)が出席した。
総会の冒頭、長﨑晴作理事長は「組合員の店舗数が減少しているが、それぞれの店の特徴を活かしながら頑張ろう」とあいさつ。
続いて長﨑理事長を議長に選任して議案審議を行い、平成25年度事業報告及び収支決算報告、平成26年度事業計画案及び予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
このあと、来賓の熊本県中小企業団体中央会指導部の園田智恵氏があいさつし、アイティ経営研究所代表の中尾克代氏が個人情報保護法について様々な具体例をあげながら説明した。
懇親会ではビンゴゲーム、カラオケなど、和気あいあいの雰囲気の中で交流を深めた。最後に宮﨑容一副理事長の一本締めで総会を終了した。
(宮﨑容一広報委員)

活字文化の重要性訴える/吉田理事長、地域書店の役割指摘/滋賀総会

滋賀県書店商業組合は8月21日、守山市の「RiseVille都賀山」で第31回通常総会を開き、組合員49名(委任状含む)が出席した。
吉田徳一郎理事長(ヨシダ書店)はあいさつの中で、書店には「商売」「社会的な存在」の2つの面があることに言及。「商売」としては、中小企業の割合が高い滋賀県において、地域を支え、守り、作る存在であり、「社会的な存在」としては、文字・活字文化の推進に貢献しているとした。
そして、「この国が発展したのは、文字・活字文化の力によることを再認識し、文字・活字から学ぶことの重要性を広めれば、今まで以上に本は求められるはず」と述べ、国民の知恵と知識向上の重要性を訴えた。
続いて議案審議を行い、すべての議案を原案通り承認可決。事業計画では、中央会の助成を受け、愛知県田原市図書館の視察研修、彦根での絵本作家の講演会・サイン会の開催を通じ、組合と地域図書館の連携を推進することなどを承認した。
総会後の講演会では、ウィー東城店の佐藤友則氏が「町の本屋さんにできること」と題し、カフェ、化粧品、文具との複合化をはじめ、お客様の要望には何でも応え、赤字から脱却した経緯を、スライドを使って説明。「何とでも複合化できる本屋は、今の時代に絶対有利。本屋は生き残る」と断言した。
懇親会は、日販京都支店・田辺茂支店長の祝辞、トーハン・京都支店・山田泰右マネージャーの乾杯で開宴。その中で「第43回京都新聞社〔お話を絵にする〕コンクール」の表彰式が行われ、1位のひらがきエイスクエア店をはじめ上位5店が表彰された。
(細江弘人広報委員)

書店収益改善に取り組む/大分総会

大分県書店商業組合は9月19日、大分図書会議室で第30期通常総会を開催。組合員36名(委任状含む)が出席した。
総会は二階堂衞司副理事長(二海堂書店)の進行により、福田健太郎理事長(福田書店)を議長に選出して議案審議。事業報告、収支決算報告、事業計画案、予算案などすべての議案を原案通り承認した。
事業報告では、①消費税アップが実施されたが、海外では一般的に行われている出版物への軽減税率適用を求める運動を展開している②送品・返品同日精算問題では一定の成果を見ることができた。今後は確実に実施されているか確認していくことが必要③今後の最重要課題は、外商の定期雑誌を買切にして正味を確保しようという提案。地域の書店は苦境に立っているが、地域の販売チャンネルを守るためにも早急な実現を働きかけていきたい――などの説明があった。
あいさつに立った福田理事長は「今年は4月に消費税率が5%から8%に引き上げられたが、来秋10%に再度引き上げが行われる予定であり、書店経営への大きな影響が懸念される。外商商品の定期買切、書店の利益率アップの実現に取り組みたい。12月に大分市ホルトホール大分会場で、小学館の協力を得て、深谷圭介先生の「辞書引き学習親子講習会」を開催する。受講者募集・会場運営堂で組合員の協力をお願いしたい」と述べた。
(金光直明広報委員)

「読書週間」10月27日から/日書連は「書店くじ」実施

恒例の秋の行事「読書週間」(読書推進運動協議会主催)が10月27日から始まる。今回のポスター(写真・上)のイラストは、応募総数649点の中から、ゆえまつこさん(富山県、イラストレーター)の作品が選ばれた。標語は同3009点の中から、井崎真代さん(東京都、日販)と菅谷麻美子さん(千葉県、学校図書館司書)の「めくるめぐる本の世界」が選ばれた。
また、日書連は読書週間に合わせて「読書週間書店くじ」を実施するにあたり、店頭掲示用ポスター(写真・下)を作成した。特等賞として図書カード5万円分が30本当たり、特等賞から4等賞まで賞品総額4290万円、合計31万530本、9・7本に1本が当選する。
※書店くじの申込は8月20日で締め切っています。締切日以降の申込は出来ません。

「九州選書市」が盛況/195書店319人が来場

「九州選書市2014大商談会」(主催=福岡県書店商業組合、共催=佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島各書店商業組合)が9月3日、福岡市の電気ビル共創館みらいホール4階で開催された。
会場は天井も高く高級感あふれる環境で、ゆったりと商談が行われた。福岡県組合の長谷川澄男理事長は「日ごろあまり会えない版元から、自店の売上を伸ばす商品をゆっくりと選んで欲しい」と商談会に対する希望を語った。
出展出版社は昨年を上回る104ブース・104社188人に及んだ。主催側では、1日で回れるブース数としては最適であり、来年もこの数をキープしたいと考えているとのことだった。また当日の参加書店数は195書店・319人となった。
今回の開催で特記されることとして、事前に製作された冊子「九州選書市2014出展出版社紹介」が挙げられる。各版元より寄せられた「書店へのメッセージ」で、各社イチオシ商品のPRや資料が提供され、分かりやすい説明で商談をスムーズに行うための配慮が感じられた。また、書店に各々持ち帰り、後で発注する際の資料としても有効利用できる内容となっていた。最終ページには会場近くの飲食店マップを付け、不慣れな土地での食事の心配を一掃し好評であった。場内で配布されたアンケートでも次回へのさらなる主催側の意気込みが感じられた。(西村勝広報委員)

10月23日に書店大商談会/東京ドーム・プリズムホールで

第5回「書店大商談会」が10月23日に東京・文京区の東京ドーム・プリズムホールで開催されます。出展は、過去最多となる232社・239ブース。66社が初出展となります。一般書、児童書、コミック、ビジネス書、第三商材のコーナーを設置し、商談会限定の企画や特典も満載。今回新設したイベントコーナーでは、サイン会など様々な企画が行われます。皆様ぜひご来場ください。
▽日時平成26年10月23日(木)午前11時~午後6時
▽会場東京ドーム・プリズムホール(JR、都営三田線水道橋駅から徒歩5分)
▽主催「書店大商談会」実行委員会(構成団体=東京トーハン会、東京日販会、大阪屋東日本友の会、首都圏栗田会、首都圏中央会、日教販、太洋会、協和会)
▽後援日本書店商業組合連合会、東京都書店商業組合
▽問い合わせ帳合の取次担当者または「書店大商談会」実行委員会事務局(出版文化産業振興財団=JPIC)まで。℡03―5211―7282FAX03―5211―7285

役員構成等を決定/神奈川理事会

神奈川県書店商業組合(筒井正博理事長)は9月10日、横浜市のかながわ労働プラザ4階第7会議室で定例理事会を開催した。
理事会では報告事項として庶務報告、日書連報告、各種委員会報告などを行った。続いて、総会後の第1回理事会であるため、第1号議案の「役員の構成と理事の役割分担について」、第2号議案の「年間予定表について」を了承した。
第3号議案の「その他」では、現状の書店における問題点と理事会の在り方について話し合いが行われ、「要望書」を作り書店関係者にアピールすることが決まった。事例として①「書店再生についての提案」について、②注文品の即時対応、③責任仕入と販売、④再販制度、⑤消費税、⑥お客様のモラル低下――などの項目が挙げられた。
(水越孝司広報委員)
〈神奈川県組合正副理事長〉○新任
▽理事長=筒井正博(伊勢治書店)
▽副理事長=山本裕一(信濃屋書店)岩下寛治(岩下書店)村上弘一(村上書店)○井上俊夫(井上書房)

軽減税率要請で船橋議員を訪問/舩坂会長、志賀理事

日書連の舩坂良雄会長と志賀健一理事(北海道)は9月9日、東京・千代田区の衆議院第一議員会館に船橋利実衆議院議員(自由民主党・北海道1区)を訪ね、出版物への軽減税率適用を要望した。
舩坂会長は「文字・活字は日本の文化を支えるため必要なもの。全国で署名運動を行って20万近い署名を集め、国会議員の先生方に要請をしている。消費税率10%引き上げの際は、出版物に軽減税率の適用をお願いしたい」と述べて署名を手渡した。
志賀理事は、老舗書店の倒産が相次ぐ北海道の書店の現状を述べるとともに、ヨーロッパでの出版物への軽減税率について説明し、「ヨーロッパ各国では文化を守る手段として、本を非常に高く位置付けている」と導入に理解を求めた。
これに対し、船橋議員は「消費税が10%になった時に軽減税率を導入することは公明党と合意しており、その前提で自民党税調の作業も進めていくと思う。その中で出版物をどういう扱いにするべきなのかということになるだろう。私なりに軽減税率の必要性を考え、紹介議員になるかどうか判断させていただきたい」と述べた。

生活実用書/注目的新刊

疲れた、と感じた時に甘いものを口にしたくなりがちだが、それがさらに疲れを招く原因になっているという。
溝口徹著『「疲れ」がとれないのは糖質が原因だった』(青春新書PL432840円)の冒頭から栄養療法専門医の著者は、甘いものを食べて疲れがとれたように思うのは錯覚にすぎないと説く。たとえば登山時にチョコレートやアメを携帯するのは理にかなっている。それは激しい運動の場合、通常の脂質から供給されるエネルギーでは追
いつかないからである。このようなハードな状況下でのみ有効な糖質を、日常的に頼っていると、糖尿病、鬱病や慢性疲労症候群をはじめ、生活習慣病に繋がってしまう。
糖質の取り過ぎは血糖値の乱れを招き、インスリン、コルチゾール、アドレナリンなどのホルモンを使い、膵臓や副腎を疲労させてしまう。疲れない脳と体をつくるには、「低糖質・高たんぱく」の食事が基本である。
早食いをしない、食物繊維→たんぱく質→糖質の順で食べる、単品食いを避けるなど低糖質食10箇条、食いだめせずこまめに取る、食べないダイエットはNG、肉・魚・卵・大豆製品を毎食取るなどの高たんぱく食を実践するための10箇条も解説される。
また栄養トラブルが引き起こす4つの疲労タイプ①糖質過多②ビタミンB群不足③ビタミンC不足④鉄不足を知るチェックリストもある。
糖質を取らなければ脳も体も動かないというのは、実に大きな誤解なのである。
幕内秀夫著『世にも恐ろしい「糖質制限食ダイエット」』(講談社+α新書134―7B840円)は間違った糖質制限ダイエットブームに警鐘を鳴らしている。
ご飯を抜いて体重が減ったと、電車の中で聞いた会話の主がランドセルを背負った小学生の女の子だったのに著者はびっくりしてしまう。そもそも糖質制限食というのは、糖尿病患者に対する食事療法として考えられたもので、病人食。それが、いつのまにかダイエットに効果的であるにすりかわってしまったことが恐ろしいと著者は言う。偏った食生活を続ければ、体調を崩し、病気になってしまう。問題は糖質より、精製糖質と生成脂質なのである。正しい食事で我が身を守りたい!
(遊友出版・斎藤一郎)

啓発的な万引対策が必要/万引に関する全国青少年意識調査/万防機構

全国万引犯罪防止機構は、第9回「万引に関する全国青少年意識調査」の分析報告書を発表した。この調査は、文部科学省、警察庁の協力のもと、全国の小学・中学・高校生約1万2千人から回答を得たもの。同報告書の内容を紹介する。
この調査は「全国学校総覧2014年版」を台帳として、全国の小学校・中学校・高校の中から各47校、合計141校を無差別に抽出し、各学校の教室単位に調査票を配布して行った。対象者は小学5年生、中学2年生、高校2年生。調査期間は平成25年12月から平成26年2月末まで、総回収数は1万1870票。
万引に対する自分の考えを聞くと、「絶対にやってはいけないこと」と答えた者の割合は、小96・6%、中91・8%、高92・1%だった。「やってはいけないことだが、さほど問題ではない」が小3・2%、中6・7%、高6・3%、「よくあることで、何も問題はない」が小0・1%、中0・3%、高0・3%。
万引をしてはいけない理由としてもっともだと思うものを1つ選択する質問は、「法律を破ってはいけないから」が小中高いずれもトップ。小学生では「保護者が悲しむから」が2番目に多いが、この回答は中高になるにつれて下がる傾向にある。一方、「みんながやると商売が成り立たなくなるから」は学年が上がると高くなり、中学では3番目、高校では2番目に高い回答となっている。
子どもが万引をする理由は何だと思うか、1つ選択する問いでは、小中高で最も多かったのが「その品物が欲しいから」。小中で2番目に多い理由は「やらないと仲間外れにされるから」で、高校では3番目。高校で2番目に多かったのは「どきどきして楽しいから」で、小中では3番目だった。
この1年間で万引に誘われた経験のある生徒は、小2・2%、中2・4%、高1・8%。万引に誘われた時の対処については、小学生は「友達の誘いをはっきり断り、万引は犯罪であると注意する」が7割を超えるが、中学生は約4割、高校生は約3割に留まっており、中高生では、誘いには乗らないが、友達に忠告はしないという傾向が強くなっている。
万引した子どもを捕まえた店は警察に通報すべきだと思うかの質問(中高生のみ)は、「そう思う」が7割強、「そう思わない」は約3割という結果になった。「そう思わない」と答えた者に理由を1つ選択してもらうと、「犯罪者として扱うのは子どもの将来を奪うことになるから」が6割近くに達した。
万引をした子どもやその保護者はどのような償いをすべきかを1つ選択する問い(中高生のみ)で最も多かったのは「買い取るだけでなく、迷惑料を払うべき」(中39・0%、高32・1%)。「買い取ればよい」は中17・3%、高20・5%、「社会貢献活動をするべき」は中17・4%、高16・9%となった。
子どもが万引をしなくなるためのもっとも効果的な対策を1つ選ぶ質問に対しては、小学生は「学校の授業で取り上げる」、中高生は「万引しにくい店づくりをする」が最も多くなった(図)。この質問の選択肢について、「店づくり」「万引商品の確認」を「直接的な予防措置」、「しつけ」「授業で取り上げる」「テレビ番組」を「啓発的な対策」、「取り締まり」「厳罰化」「店が罰金をとる」を「懲罰的な対策」と分類した場合、「啓発的な対策」が小中高を通じて45%前後と最も割合が高く、「懲罰的な対策」、「直接的な予防措置」の順となるという共通の傾向が見られた。個別では、「店づくり」が重要と考える者の割合が高いが、より一般的な傾向を見た場合、店舗側の対応に比べ、教育的な対応に高い効果を期待する者が多いことがうかがわれる。

8月期は5・9%減/ムックが2年5ヵ月ぶり増/日販調べ

日販営業推進室調べの8月期分類別売上調査は、雑誌・書籍・コミック合計で対前年売上増加率が5・9%減(先月4・0%減)となった。
雑誌は5・5%減(同5・1%減)。ムックは8月22日発売の『妖怪ウォッチ2元祖本家オフィシャル攻略ガイド』(小学館)が好調だったことに加え、ブランドムックが売上を牽引し、2012年3月以来2年5ヵ月ぶりにプラスに転じた。
書籍は6・0%減(同7・4%減)。実用書は、テレビ放映等の影響で『死ぬまでに行きたい!世界の絶景日本編』(三才ブックス)が売上を伸ばしたが、前年の売上良好銘柄には届かず、7・0%減とマイナスが続いた。
コミックは6・4%減(同4・6%増)。前年8月に『ONEPIECE71巻』が発売されており、その反動でマイナスとなった。

特別便で日・祝日に書店着/ブックライナー「本の特急便」

トーハンと、客注品取り寄せサービス「本の特急便」を運営する関連会社のブックライナーは、業界初となる「特別便による日曜・祝祭日の書店着サービス」を9月7日到着分より開始した。
「本の特急便」は昨年6月に「出荷正味1%引き下げ」と「翌日店着保証宅配サービス」の2つのリニューアルを実施。取引先書店からの反応は良好で、受注冊数はリニューアル前に比べ約20%増加、宅配サービスの出荷件数も4倍に増加した。
今回「特別便」によってスタートした「日曜・祝祭日の店着サービス」は、利用書店から最も要望の多かったもの。従来、日曜・祝祭日は出版輸送休配日にあたるため、休日前々日の注文については休日明けの商品到着となっていたが、この「特別便」によって休日前々日の注文も確実に休日に店着するようになり、来客店の多い日曜・祝祭日に商品を販売できるようになる。なお、このサービスによって新たな書店負担は発生しない。

芥川賞・直木賞贈呈式/柴崎、黒川両氏があいさつ

第151回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の贈呈式が8月22日、東京・千代田区の帝国ホテルで開かれ、芥川賞の柴崎友香氏(受賞作『春の庭』文學界6月号)、直木賞の黒川博行氏(同『破門』KADOKAWA刊)に記念品と賞金100万円の目録が贈られた。
柴崎氏と黒川氏はともに大阪市大正区の同じ中学校の出身。あいさつで柴崎氏は「海に近い、工場に囲まれた街で30歳まで暮らした。それが私の原風景」と故郷について話し、「離れたからこそ書けることがある。無数の人たちが暮らしてきた痕跡や気配がかすかに残る場所を書いて、その小説で受賞できたことは本当にうれしい。作家の仕事を始めて15年。これからも1作ごとに、出来る限りの力を尽くすことが、自分に出来る唯一のことだと思う」と抱負を語った。
65歳の黒川氏は「年金と直木賞が一緒に来た。こんなにうれしいことはない。65歳を過ぎたら候補になることはないと思っていた。選考委員9人のうち7人が知り合い。こんなすれた候補者はどこにいるだろうか。それにも関わらず賞を与えてもらい、選考委員と読者の方々にお礼を言いたい」と笑いを誘いながら喜びを語った。

下村敦史氏の『闇に香る嘘』/江戸川乱歩賞

日本推理作家協会主催、講談社・フジテレビジョン後援の第60回江戸川乱歩賞の贈呈式が、9月5日に東京・千代田区の帝国ホテルで開催された。
今回受賞したのは、下村敦史氏の『闇に香る嘘』。下村氏は9回連続で乱歩賞に応募し、5度目の最終選考候補となった同作で念願の受賞となった。
贈呈式では、日本推理作家協会の今野敏理事長から下村氏に正賞の江戸川乱歩像と副賞が贈られた後、選考委員の有栖川有栖氏が選評。「サプライズのある結末と、さらにもう一段のトリック、なおかつ小説としてのカタルシスが得られる着地点を用意した、実に周到な作品。読んだ時点で今年を代表するミステリーになると確信した。今までため込んできたアイデアやパワーを放出させて、日本を代表する推理作家になってほしい」と激励した。
下村氏は「応募していたときは、間違って奇跡の1作で受賞してしまったら後々苦労するので、しっかり地力をつけて受賞したいと心がけてきた。選考委員の先生、編集者、読者からの高い評価を目にするにつれ、結局奇跡の1作でデビューしたのではと戦々恐々としている。目の前の1作1作に全力を尽くして書いていきたい」と受賞の喜びを語った。

ノンフィクション賞に清武英利/講談社3賞の贈呈式

平成26年度講談社ノンフィクション賞、講談社エッセイ賞、講談社科学出版賞の贈呈式が9月19日、東京・千代田区の東京會館で行われた。
受賞したのは、第36回講談社ノンフィクション賞に清武英利氏『しんがり山一證券最後の12人』(講談社)、第30回講談社エッセイ賞に末井昭氏『自殺』(朝日出版社)、第30回講談社科学出版賞に大栗博司氏『大栗先生の超弦理論入門九次元世界にあった究極の理論』(講談社)。
贈呈式では、講談社・野間省伸社長があいさつを述べた後、受賞者に賞状と記念品、副賞を手渡した。受賞者あいさつで清武氏は「3年前にドンの非を訴え、職を解任されて執筆の生活に入っている。実はこの賞をいただく前に大きな賞を1回だけ、社長賞を取ったことがあった。その表彰式で渡邉さんに『書き過ぎだ』と叱られたが、その時言われたことは私は逆に名誉だと思っている」、末井氏は「この本を書いたとき、自殺のことをもっと堂々と話してもいいんじゃないか、そのことが防止にもつながるという気持ちがあった。書店回りをして、陰の方にひっそり置かれるのでなく目立つ場所に平積みされているのを見て感激した」、大栗氏は「超弦理論はまだ仮説の段階だが、日本や世界の各地で計画されている素粒子実験や宇宙の研究によって検証が可能になると期待している。超弦理論が自然界の究極の基本法則として確立されたときには、また科学解説書を書きたい」と述べた。

参考図書

◇トーハン『出版販売の基礎知識第18版』
複雑でイメージしにくい出版業界の仕組みや販売までの流れを、図解でわかりやすく解説した書店実務マニュアル。書店スタッフや出版業界の従事者が、基本的知識の習得・確認に活用できる。業界用語集など巻末資料も充実。A5判・2色刷・210ページ、頒価本体1000円(税別)。
注文・問い合わせはトーハン・コンサルティング教育事業部まで。℡03―3267―8686

能勢氏、橋口氏が講演/第35回出版販売実務セミナー/栗田

書店経営研究会(山本高秀会長=栗田出版販売社長)が主催する第35回出版販売実務セミナーが8月22日、東京・文京区の文京シビックセンターで開かれ、童心社編集部副編集長の橋口英二郎、ノセ事務所代表の能勢仁の両氏が講演した。
セミナーは最初に、童心社に入る前、あさのあつこ『バッテリー』(教育画劇)の編集を担当した橋口氏が「編集の立場から見た児童書と書店」をテーマに講演した。
橋口氏は児童書の現状について「世代交代の時期」と指摘。デジタル情報化社会の進展によって子供の読書環境がどう変わるか、親や教育現場がどう考えるか、「注視していかねばならない」とした。また、「定期的に通う書店を持つことで、店頭での陳列の仕方を頭に入れて仕事をするようになった」と経験談を語り、児童書の店頭展開について「児童書を児童書コーナーだけに囲い込まないで、書店店内のあらゆるところにボーダーレスで棚に差し、平積みにする。児童書と一般書を行き来する作家の作品は是非そうしてほしい」と求めた。
続いて、能勢氏が「これからの書店~店頭と経営」と題して講演。書店の4本の柱は①文庫②実用書③児童書④文芸――であるとして、「立地によって強みが違うので、特色をもってほしい。書店の生きる道は、地域社会でニッチャー(特定の領域で独自の地位を築いて成功している企業)になること」と述べた。
続いて、「書店と読者の間にあるミスマッチ」として、読者は著者指向で、著者で本を探すが、書店は出版社指向で、出版社別に本を並べていることを挙げ、「書店は読者の前で出版社指向を出してはならない」と述べた。
雑誌の販売期間については「雑誌には賞味期限がある。20日以上置いてはいけない。面陳列で20日間で売れる数だけ仕入れるようにしたい」と提案した。
児童書については、出版社別に並べず著者別に陳列することや、よく売れる時期の12月と7月~8月に売場を拡大することを提案した。文庫本も著者別に陳列するべきとした。
本の陳列場所については、「営業ではなく編集に訊いたほうがいい」として、「本と読者がばっちり会う場所に並べてほしい」と述べた。売場については、「売れない場所は諦め、平台やイスにし、売場を狭くして見通しをよくする。そうすれば読者が本を探しやすくなる」とした。営業時間は早朝マーケットの有効性に言及した。
また、接客の原則として「後ろから声をかけない」「積極的に声をかけてヘビーリーダーを作る」「よく来店する客にはツケで買ってもらう」ことなどを挙げ、「商人は客に誠を持つべき。そうすれば書店はなくならない」とまとめた。