全国書店新聞
             

平成30年1月1日号

利益率改善が最重要課題/“町の本屋”存続へ全力で取り組む/舩坂良雄日書連会長に聞く

いざなぎ景気を超える戦後2番目の好景気に沸いた2017年。一方、書店業界は雑誌、コミックの低迷が続き、ネット書店や定額読み放題サービスの広がりもあって厳しい状況が続く。日書連の今年の課題について、書店収益改善の取り組みを中心に舩坂良雄会長に話を聞いた。(聞き手=本紙編集長・白石隆史)
〔雑誌とコミック、長引く低迷/書店店頭に大きな打撃〕
――会長に就任して3期目を迎えました。書店業界を取り巻く環境はいっそう厳しさを増していますが、考えをお聞かせください。
舩坂書籍、雑誌の売上の減少が止まりません。特に雑誌の売上が伸びず、また同様にコミックのヒット作が少なく、売上の不振は深刻です。全国で書店の閉店と転業が続いています。20年ほど前からコンビニ業界が雑誌を販売するようになり、書店での雑誌の売上が落ち始めました。それでも販売力のある雑誌はありましたが、そのコンビニが今、雑誌売場を縮小させています。現在は定額読み放題サービスが売上減少の要因の1つではないでしょうか。若い人たちのお金と時間がスマホに取られている問題もあります。
読者が本誌よりも付録に魅力を感じていることも問題でしょう。現在は付録を付けて、そのために余計なコストがかかっている。付録を外すと売上が今よりもさらに落ちるのではないかと疑心暗鬼に陥り、外したくても外せない。
出版社の本道は付録ではなく本誌を読者に提供することにあるというのが私の考えです。
――女性誌の付録効果にも一服感が見られ、多くの雑誌で落ち込みが続いています。
舩坂女性誌、特に婦人誌はとても重たいですね。婦人誌は持ち歩いて読むものではなく、家で寛いで読むものです。ところが書店で買って家に持って帰るまで重たくてとても苦労する。主な読者層は40代から60代ですから大変ですよ。
そこを補ってきたのが地元の書店です。重たい本を中高年の方の自宅や商店街に配達してきましたが、今は人手不足などで配達も厳しくなっている。タブレットを導入して定額読み放題サービスで雑誌を読ませる美容院も増えており、配達を頑張っている書店の経営に打撃を与えつつあります。こうした動きが広がることを心配しています。
今こそ紙の雑誌の持つ力とは何か、深く掘り下げて考えなければいけません。雑誌は紙の本で読む必要性があるということを読者に対して打ち出すことができないと、定額読み放題サービスで必要な部分だけ読まれて、店頭での販売はますます落ちてしまいます。
「活字離れ」と言われることには疑問を感じます。毎年、神保町ブックフェスティバルの大変な人出を見ると、目的をもって本を購入しに来てくれる人がまだこんなにたくさんいるんだと感激します。本の持つ力はやはり強いものだと実感します。
〔独自性と付加価値がカギ握る/地域読者に合わせた店作りを〕
――厳しい経営環境の中、生き残るために個々の書店がやるべきことは。
舩坂大手ナショナルチェーンでは、一番いいスペースをあえてカフェや雑貨売場にして、雰囲気作りにつとめています。まずお客様に店に入っていただくためです。そして本や雑誌を手に取って読んでもらい、気に入ってもらえれば買っていただく。みんな生き残りを賭けて創意工夫しているのです。
中小零細書店でも様々な努力が始まっています。雑誌に頼らず、書籍中心の商品構成で独自性を打ち出す。家賃や人件費などのコストを徹底的に抑える。これまでにない個性的な書店が増えています。
出版業界の現状は厳しく、今後良くなると断言することはできません。基本的にどの店も同じ商品を同じ値段で販売しているので、それ以外のことで何か付加価値を付け、読者の望むサービスを提供するしかありません。。
――具体的なアイデアはありますか。
舩坂書店はスペース産業です。大型書店はカフェを併設することもできますが、そこまでスペースがない中小零細書店の場合、本以外の商材を置くことも選択肢の1つでしょう。生き残るためには独自性のある棚作りに思い切って取り組むことも必要です。既存書店から独立して新たに書店を立ち上げた若い経営者を見ると、地域の読者層に合わせ商品構成力は本当に素晴らしい。われわれも学ぶべき点が多々あるのではないでしょうか。
書店主の本に対する知識力も大切です。地域に必ずいる読書家のお客様に「この本がおススメです」と提案できる、地域密着型の書店になるのです。たとえば北海道砂川市のいわた書店は、街の人口は少ないですが、全国から本の注文が殺到しています。「1万円選書」は岩田徹社長の本に対する深い知識があるから出来ることでしょうが、このような形の生き残り策もあるという良い例です。
「何をやっても駄目だ」では、そこでおしまいになります。どうしたら自店にお客様が来てくれるか、当然皆さん考えていらっしゃると思いますが、新しいアイデアをどんどん提案して実行できる書店が生き残っていくのだと思います。
――舩坂会長が自身のお店で工夫していることは。
舩坂私が経営する大盛堂書店は渋谷駅前にあって、少しずつですが外国人観光客の来店者が増えています。忠犬ハチ公の写真とかスクランブル交差点や109のポストカード、ハチ公の足の裏のマークがついた傘をインターネットで見つけて、珍しいといって買っていきます。外国人観光客はインターネットで調べて買い物しますから、そこでどのように取り上げてもらうかが大事です。
よくインターネットに本の売上げを奪われていると言われますが、インターネットに取られたものはインターネットで取り返せばいいのです。インターネットで紹介されたものを店頭に置いて、「これが地域の人気商品です」と発信する。そうした仕掛けを積極的にやる。インターネットを有効活用して、店独自の売れ筋を考える。そしてPOPや陳列でお客様を惹きつけ、うちの店からベストセラーを出していきたい。そうした掘り起こし作業を普段からやるようにと店長にも言っています。
――昨年10月に開かれた全国図書館大会で、文藝春秋の松井清人社長が「図書館での文庫貸し出しをやめてほしい」と要請しました。
舩坂出版社にとって文庫本は収益の大きな柱であり、市場の低迷は出版社、書店、そして作家にとっても深刻な事態になっているということです。利用者が望む本を揃えるのが図書館の使命ということは分かりますが、行き過ぎると出版する側がやっていけなくなります。ベストセラーを何十冊も置く必要はないですし、貸出率を追い求める姿勢には疑問を感じることもあります。
図書館も書店も読者に本を読んでいただきたいという気持ちは同じです。図書館も書店も含めた地域ぐるみでより良い読書環境を作る運動を行っていきたい。図書館のせいで書店で本が売れなくなったとは考えていません。活字文化を一緒に支えるという観点から協力して活動する。それが私の信条です。
一方、出版社が経営を継続し、本を出版できる安定した環境を作らなければならない。そのためには図書館に文庫の貸し出しをやめてもらうことも必要かもしれない。まず考えていただきたいのは、作家が食べていくことができなければ、出版社も書店も、そして図書館も成り立たないということです。
〔経営継続のため粗利益30%は必要/書店収益改善、業界全体の利益に〕
――昨年6月の通常総会で舩坂会長は「粗利益率の拡大に最重要課題として取り組む」という考えを示しました。今後の運動方針をお聞かせください。
舩坂出版業界が右肩上がりの時代は粗利益率が22%、23%でもよかったのです。ところが書籍・雑誌の売上がここまで落ち込むと、それではとてもやっていけません。家賃や人件費などの経費を差し引くと、2、3%利益が出ていればいいほうです。ほとんどの書店は赤字というのが実情ではないでしょうか。
指導教育委員会が実施した「全国小売書店経営実態調査報告書」で、組合活動に望む対応は「書店マージンの拡大」という回答が63・7%でトップでした。「安定経営のために適切な粗利益」の質問に対しては「30%」が最も多かった。
こうした書店の声を受け、日書連は鈴木喜重指導教育委員長が中心となって、昨年11月に書協の相賀昌宏理事長、雑協の鹿谷史明理事長、トーハンの藤井武彦社長、日販の平林彰社長を訪問し、意見交換を行いました。我々は書店の経営環境改善を訴えるとともに、出版業界の課題を解決するため、出版社、取次、書店で構成する実務者会議の設置を提案し、前向きな返事をいただくことができました。
――最も訴えていきたいことは何ですか。
舩坂やはり粗利益率の改善です。本の値段を上げることも検討していただければと思います。出版社、取次はどこも四苦八苦していて、とてもすべての要望に応えることはできないでしょう。でも、書店の減少に歯止めがかからない現状を真剣に考えていただきたい。最盛期1万3千店だった日書連の全国の組合加入書店数は3400店まで減ってしまいました。街の本屋がこれ以上なくなったら、書籍や雑誌はますます売れなくなります。売る場所が減ってしまうのだから当然です。書店経営を改善することが出版業界全体の利益につながるという観点から、是非ご理解ご協力をお願いしたいと思います。
〔万引防止出版対策本部を設立/被害未然に防ぐ取り組み進める〕
――昨年、出版業界の万引防止対策が本格的に動き始め、一般社会からも広く注目を集めました。
舩坂出版業界6団体1企業で構成する「万引防止出版対策本部」を9月に設立しました。1書店による万引防止対策には限界があります。また、市場が右肩下がりの中、薄利の書店経営に与える打撃が非常に大きい。「これ以上書店を減らさない」を共通認識に、日書連を中心に出版業界あげて万引防止対策に取り組むことになりました。画期的な第一歩を踏み出すことができたと言えます。
――どのような活動を行っていくのですか。
舩坂全国万引犯罪防止機構と協力して万引被害の実態調査を行います。また、万引した商品を換金する二次処分市場と目される新古書店やネットオークション運営会社と連携して、被害品の換金阻止を図ります。最近クローズアップされているネットフリマについても、運営会社と不正利用防止に向けた話し合いの場を設けたい。高額本などの書籍にICタグを付けることも検討を進めたい。個々の書店だけの取り組みでは限界がありますから、地域の書店間で連携して対策を進める方法についても検討します。
万引犯を捕まえることが目的ではなく、いかに万引被害を未然に防ぐかに重点を置いています。利益率が低い商売ですから、万引の被害金額を抑えることができれば、それが利益率の向上につながります。
――最後に今年の抱負をお願いします。
舩坂全国の書店が店を閉めないで、経営を続けることができる方策を一生懸命考えたい。書店に利益をもたらす仕組み作りに全力で取り組みます。粗利益率30%以上の獲得を目指して頑張りたい。ご協力をお願いします。
――ありがとうございました。

「春夏秋冬本屋です」/「書店人は健康第一」/滋賀・ますや書店代表取締役社長・岩根秀樹

8年前、国道沿いの店を閉めたのを機にウォーキングを始めた。最初はびわ湖一周ウォーキング大会などで歩いていたが、大勢の中で決まったところを歩くのが性に合わず、ラジオで聞いたのがきっかけに、ひとりで街道歩きに挑戦した。出発地点まで電車や車で行き、1日20~40キロ歩いて戻ってくる。次回はその続きの繰り返しだ。始めたころは地図を見ながらだったが、今ではスマホに記録しておいたルートとGPSを頼りに歩いている。ツイッターで同好の士もできた。フォローしたことから、年に数回いっしょに歩いたりしている。最初は東海道、次に中山道、北陸道、甲州街道、山陽道、山陰道、今ではマイナー
な街道も歩いている。
甲州街道を歩いているとき、バッタリと知己の本屋さんと出会ったこともある。知り合いの書店さんの近くを通るときは寄り道してみるが、歩くのは日曜日が多いので、定休日で閉まっているのがほとんどだ。しかたないので外から眺めるだけにしている。
今年の干支の犬(戌)に関することわざはみなさんご存知の「犬も歩けば棒に当たる」。本来の意味は「でしゃばると思わぬ災難にあうという戒め」ですが、ここはポジティブに、歩いていると思わぬ幸運に巡り合えることもあるかも。
最後になりましたが、本年もよろしくお願いいたします。

突破口開き、次世代へとつなぐ/安永理事長が決意示す/福岡総会

福岡県書店商業組合は11月22日、福岡市中央区のタカクラホテル福岡で第39期通常総会を開催し、組合員145名(委任状含む)が出席した。
総会は加来晋也理事(朝日屋書店)の司会で進行し、森松正一副理事長(森松尚文堂)の開会のことばに続き、安永寛理事長(金修堂書店)があいさつ。「第39期を迎えた。先輩方が延々と続けてきた組合活動。先輩方も苦しい時があっただろうが、我々はもっと苦しい。景気に関係なく本が売れない。どうやって売ったらいいかをみんなで考え、突破口を開き、次の世代へと渡していきたい。本がなくなることはないという強い信念をもって本屋を続けたい。電子書籍があっても自分の手でページをめくる大切さを子供たちや後輩に教えていきたい」と述べた。
続いて森松副理事長を議長に選出して議案審議を行い、第39期事業報告、収支決算報告、監査報告、第40期事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り全会一致で承認可決した。
第40期事業計画について、安永理事長は①福岡県書店商業組合の組織・運営の強化、②再販制度下における書店の役割の明確化、③取引慣行の弊害是正、④ネットワーク化による情報・物流の改善、⑤読書推進と活字文化の振興、⑥万引防止・青少年健全育成の周辺整備――の6項目を柱に事業を行うことを表明した。
総会終了後、出版社11名、取次4名、運輸・報道等7名、組合員21名の総勢43名が参加して懇親会が開催され、交流を深めた。
(加来晋也広報委員)

CCCが主婦の友社を子会社化

カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)グループのカルチュア・エンタテインメント(C・E)は12月15日、大日本印刷(DNP)が保有する主婦の友社の議決権ベースの全株式99・9%を取得し、子会社化したと発表した。
主婦の友社は1916年創業。女性ファッション誌「Ray」「mina」、料理や育児、健康の生活実用書籍などを刊行している。子会社化することで、同社の培ってきた編集力やノウハウ、取引先や読者との信頼関係を活かしながら、CCCグループの各事業や企画力と組み合わせ、新しいライフスタイル提案を行っていく。
C・Eの映像・音楽事業との連携による出版のほか、CCCグループの会員基盤、TSUTAYAや蔦屋書店などの店舗プラットフォーム、Tポイントのデータベースなどを活用するとしている。
CCCは15年に雑誌「美術手帖」をを刊行する美術出版社、17年3月に徳間書店を子会社化している。

「若い人に贈る読書のすすめ」/読進協

読書推進運動協議会はこのほど「2018若い人に贈る読書のすすめ」のリーフレットを作成した。各都道府県の読進協から寄せられた「若い人に是非読んでもらいたい本」の推薦書目をもとに、読進協事業委員会で選定したもの。掲載図書は以下の24点。
▽『かがみの孤城』辻村深月、ポプラ社▽『か「」く「」し「」ご「」と「』住野よる、新潮社▽『星に願いを、そして手を。』青羽悠、集英社▽『ヒーロー家族の肖像』ロート・レープ/新朗恵訳、西村書店▽『走狗』伊東潤、中央公論新社▽『君たちはどう生きるか』吉野源三郎、マガジンハウス▽『バッタを倒しにアフリカへ』前野ウルド浩太郎、光文社▽『危機の現場に立つ』中満泉、講談社▽『キャスターという仕事』国谷裕子、岩波書店▽『これを知らずに働けますか?』竹信三恵子、筑摩書房▽『10年後、君に仕事はあるのか?』藤原和博、ダイヤモンド社▽『まねる力』齋藤孝、朝日新聞出版▽『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』西原理恵子、KADOKAWA▽『僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう』山中伸弥・羽生善治・是枝裕和・山極壽一・永田和宏、文藝春秋▽『「どうせ無理」と思っている君へ』植松努、PHP研究所▽『マルカン大食堂の奇跡』北山公路、双葉社▽『孤独論』田中慎弥、徳間書店▽『知らなかった、ぼくらの戦争』アーサー・ビナード(編著)、小学館▽『僕らが毎日やっている最強の読み方』池上彰・佐藤優、東洋経済新報社▽『人工知能の核心』羽生善治・NHKスペシャル取材班、NHK出版▽『成功する人は偶然を味方にする』ロバート・H・フランク/月沢李歌子(訳)、日本経済新聞出版社▽『宗教ってなんだろう?』島薗進、平凡社▽『イラストで学ぶスタディスキル図鑑』キャロル・ヴォーダマンほか/山崎正浩(訳)、創元社▽『大人のための社会科』井出英策・宇野重規・坂井豊貴・松沢裕作、有斐閣

「書店経営の環境改善」日書連の訴えに出版社、取次から前向きな発言/日書連主催「出版販売年末懇親会」

日書連主催の出版販売年末懇親会が12月13日、東京・千代田区の帝国ホテルで開かれ、書店、出版社、取次など計210名が出席した。席上、日本書籍出版協会(書協)の相賀昌宏理事長(小学館)とトーハンの藤井武彦社長は、日書連の舩坂良雄会長、鈴木喜重指導教育委員長らが11月下旬に書協、雑協、トーハン、日販を訪問して意見交換を行ったことに言及。書店収益改善など日書連の訴えに理解を示し、業界3者で構成する実務者会議での問題解決に対して前向きな考えを語った。
懇親会は本間守世副会長の司会で進行し、はじめに日書連の舩坂会長があいさつ。「暗い話ばかりしても仕方がない。プラス思考でいきたい」として、積極的な仕掛け販売を行う地方の書店の取り組みなどを紹介した。
また、17年9月に設立した「万引防止出版対策本部」について説明し、「書協、雑協、取協などの出版業界団体・企業とともに立ち上げた組織。私が本部長に就いた。これ以上書店を減らさないため、出版業界をあげて万引対策に取り組む」と決意を語った。
12月29日と1月4日を年末年始特別発売日に設定して「本屋さんへ行こう!キャンペーン」を実施する試みについては、「雑協次世代雑誌販売戦略会議の若手の皆さんが店頭を盛り上げようと頑張っている。書店も1冊でも多く本を売るため努力したい」と述べた。
来賓を代表してあいさつした書協の相賀理事長は、日書連との意見交換について「書店経営の環境改善への切実な訴えと、粗利益の拡大、客注品の迅速・確実化、配本の適正化について話を聞いた。出版業界の課題を解決するため、出版社、取次、書店で構成する実務者会議を設置したいとの要請があり、書協の理事会で正式承認した。実務者会議のメンバーは、自分の利益を守るだけではなく、業界全体のことを考えることができる人を選ぶ。最終的には機関決定、会社の決定となるが、自由闊達な議論の場にしたい」と述べた。
日書連の藤原直副会長が提案するICタグ導入については「コンビニや図書館の動きを見ながら、現在の技術とコストについてJPOで調査・研究を行っていきたい」と意欲を示した。
乾杯の音頭をとったトーハンの藤井社長は、出版輸送問題について「17年の年頭に『今年は出版物流再生元年』にすると話したが、18年に持ち越すことになり残念」と述べた。
また、雑誌とコミックの売上低迷がエリア書店の経営基盤を揺るがす事態につながっていることに強い危機感を示し、「全国420エリアが無書店になっており、放っておけない状況。各エリアの点検を行っており、具体的な対策につなげたい」と述べた。
日書連との意見交換については、「粗利益率30%の確保、取次システム利用料の軽減など、広範にわたり話を聞いた。エリア書店の問題は業界全体の大事な問題。トーハン、そして取協として正面から受け止める。実務者会議に参画して問題の解決にあたりたい」と述べた。
最後に「消費税軽減税率、図書館、輸送など様々な問題を18年に持ち越すことになったが、出版4団体が力を合わせて頑張りたい」と語った。

日書連のうごき

11月6日政策委員会に舩坂会長、鈴木、藤原、中山、面屋、柴﨑、西村各副会長が出席。
11月7日BOOKEXPO2017に舩坂会長が出席。野間読書推進賞贈呈式に事務局が出席。
11月10日経済産業省カメラ画像利活用サブワーキンググループに事務局が出席。
11月13日サービス産業の高付加価値化に向けた有識者勉強会に舩坂会長が出席。公取協でアシェット社と意見交換に柴﨑副会長、元永専務理事が出席。全国中小小売商団体連絡会に事務局が出席。出版情報登録センター管理委員会に事務局が出席。雑誌コード管理委員会に柴﨑副会長が出席。
11月15日九州雑誌センター取締役会に舩坂会長が出席。読書週間書店くじ抽選会に舩坂会長、柴﨑、西村両副会長が出席。出版倫理協議会に井上理事が出席。
11月16日中小小売商サミットに舩坂会長、柴﨑副会長が出席。図書コード管理委員会に志賀理事が出席。
11月17日出版再販・流通白書打合会議に事務局が出席。
11月20日書店経営改善で日本雑誌協会・鹿谷理事長訪問に舩坂会長、鈴木、面屋両副会長、井上理事が出席。埼玉県書店組合研修会に事務局が出席。
11月21日山本七平賞贈呈式に事務局が出席。
11月22日文化産業信用組合理事会に舩坂会長が出席。
11月27日雑誌発売日本部委員会に藤原副会長、井上、春井、塩川、長﨑各理事出席。
11月28日出版クラブ理事会に舩坂会長が出席。
11月29日JPIC評議員会・理事会に舩坂会長、藤原、西村両副会長、江﨑理事が出席。日本図書普及役員会に舩坂会長、鈴木、藤原、面屋、西村各副会長が出席。出版物関係輸送懇談会に藤原副会長が出席。
11月30日書店経営改善で日本書籍出版協会・相賀理事長、トーハン・藤井社長、日販・平林社長訪問に舩坂会長、鈴木、面屋両副会長、井上理事が出席。

我が社のイチ押し企画/講談社・販売局局長・佐藤雅伸

新年明けましておめでとうございます。
旧年中は弊社出版物に格別のご高配を賜り、誠にありがとうございました。
さて、2018年も意欲的な企画が多数ございますので紹介させていただきます。
【映像化情報①講談社文庫】
1月に『祈りの幕が下りる時』(東野圭吾)・『悪と仮面のルール』(中村文則)が映画公開、『空飛ぶタイヤ』(池井戸潤)・『旅猫リポート』(有川浩)も本年映画化されます。店頭展開とご拡販をお願いします。
【映像化情報②コミック】
『七つの大罪』『カードキャプターさくらクリアカード編』『バジリスク~桜花忍法帖~』『刻々』のアニメ、また、『海月姫』のドラマが1月からスタートします。春には『ちはやふる‐結び‐』『となりの怪物くん』(実写映画)、『ピアノの森』(アニメ)と話題作の映像化が続きますので、ご期待ください。
【周年企画】
3月にVOCEが20周年、5月にViViが35周年を迎えます。また、『未来の年表人口減少日本でこれから起きること』『知ってはいけない隠された日本支配の構造』等、ベスト&ロングセラーを続々と刊行中の現代新書が、11月に通巻2500巻を迎えます。なお、フェア等については改めてご案内します。
【全集・イベント】
7月に『大江健三郎全小説』(全15巻)の刊行がスタートします。本全集には発表以来一度も書籍化されたことのなかった『政治少年死す』を含む入手困難な小説群を多数収録しています。なお、「直筆サイン色紙」や「直筆原稿のレプリカ」等の全巻予約特典もありますので、読者への事前告知をぜひよろしくお願いします。また、昨年11月にスタートした「MOVE生きものになれる展」は、日本科学未来館で4月8日まで開催されます。
以上、本年もたくさんの話題作をつくって参りますので、皆様のご支援ご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

我が社のイチ押し企画/小学館・小学館PS営業企画部・北尾健

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。本年も宜しくお願い申し上げます。
今年の『小学一年生』は、「好奇心」や「思考力」を高める記事や付録を通して、「自分で考える」力を育むための内容となっています。教科書に載っていないようなさまざまな科学記事や体験記事を通し、「知らなかったことを知る快感」を体験させる学習雑誌として子どもの好奇心を育てます。
メイン付録は、豪華かつ「使える」ものに。楽しいのはもちろん、心と頭を育てる教材として、子どもの知育・教育に熱心な親御さんにも満足いただける内容です。4月号のメイン付録は『ドラえもんが起こしてくれる!まかせてとけい』です。5つのめざまし音声で、楽しく生活習慣を身につけるのに最適なアイテムとなります。また、定期購読特典として『ドラえもんどこでもドア鉛筆削り』をプレゼント。書店様へは「店頭装飾コンクール」「定期購読獲得コンクール」も実施いたします。何卒お取組のほどお願いいたします。
書籍では、昨年11月に3点企画商品が刊行いたしました。1点目は『日本史探偵コナン』が全12巻で11月刊行を開始し、今年3月末に完結いたします。子どもたちに大人気のキャラクター「名探偵コナン」が日本の歴史を舞台に大活躍する歴史まんがシリーズが誕生!(各巻本体980円)
次にキッズペディアシリーズ第6弾として『キッズペディア世界の国ぐに』(本体3900円)が発売となりました。世界197か国の最新情報が写真で紹介!オールビジュアル大百科としておすすめください。
最後に『最新世界大地図』(発刊記念特別定価:本体1万8000円+税)が8年ぶりに改訂となりました。見開きA2大判サイズと、デジタル地形データをもとに作られた詳細で美しい地図です。書店様のご支援を頂き重版することができました。引き続き宜しくお願いいたします。
今年も書店様の利益に貢献できる商品をたくさん出して参りたいと存じます。ご支援賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

我が社のイチ押し企画/学研プラス・辞典編集室室長・芳賀靖彦

平素は格別のご愛顧、ご高配を賜り、厚く御礼を申し上げます。2018年が皆様にとって幸多き一年になりますよう、心より祈念いたします。
さて、2016年から採択されている中学校の教科書では「英語」の語彙数が900語程度から1200語程度へと拡充され、ほとんどの教科書で辞書引き学習のページが設置されました。また、2020年実施の新学習指導要領改訂の移行措置として、新年度からは小学校における「英語」の授業開始が現在の5年生から3年生へ前倒しされ、2020年には5年生から教科へ格上げされます。
学校英語を取り巻く状況が刻々と変化する中、弊社の中学生向け英語辞典の『ジュニア・アンカー』シリーズは、英検に出る単語学習もしやすく、小学校高学年から中学生までのお子さんが、一生役立つ基礎的な英語力をつけるのにピッタリの辞典と大変な好評をいただいております。
学習指導要領では「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能を身につけることが重要とされています。英和辞典はおもに「読む」「聞く」という《受信型》の勉強の際に使用されますが、『ジュニア・アンカー英和』では「表現力UP」「ことばMAP」コーナーを設け、中学生が「話したい」「書きたい」と思うことをまとめて掲載することにより、《発信型》英語にも役立てるよう工夫しています。
また、『ジュニア・アンカー和英』でも、「日本語NAVI」や「IntroductiontoCLIL」といったコーナーを設け、更に一歩進んだ学習に役立つようにしています。
大好評の『ガールズエディション』『ディズニーエディション』を合わせ、計7点で展開してまいります。
『ジュニア・アンカー』シリーズは、おかげさまで中学生向け英語辞典販売実績6年連続№1となりました。これもひとえに書店様のご支援の賜物と、この場をお借りして感謝申し上げます。今後とも『ジュニア・アンカー』シリーズをよろしくお願い申し上げます。

我が社のイチ押し企画/新潮社・出版部・佐藤誠一郎

書名『ペインレス』
著者天童荒太
痛みがあるのは生きている証拠だ、とはよく聞く台詞。だけれど、ペインクリニックを訪れる患者たちは一刻も早く痛みを取り除いてほしいと願っているわけで、それが生きている証拠だから、などと安易に言えば腹を立てるに決まっている。
一方、世の中には痛覚を失って苦しむ人々も多く、彼らに向かって生の証がないと言うとすれば、それは狂気の沙汰だろう。痛覚がないと怪我をしやすいし、病気の自覚が遅れるので、彼らは常に危険に曝されているわけだ。痛みがなかなか扱いづらい素材であることは、少し考えただけでよく分る。
天童荒太さんは、この作品を書くに当って、痛みに関わる医療の現場に足繁く通い、分厚い専門書に片端から目を通した。そうするうちに「痛み」そのもののイメージが、どんどん変質していったという。体の痛みにばかり目がいきがちだが、心の痛みを排除していいのか。痛覚がないという身体症状があるなら、心の痛みのない状態ってどんなだろう、というふうに。そこまで考えて、天童さんはふと気づいたという。現代って、心の痛みが希薄になった時代じゃないのか――。
主人公は麻酔科の女医。彼女の前に、事故で痛覚を失った青年が患者として登場するところから、この小説は大きく動き出す。そして、読者の良心に挑みかかるように、時にはエロスの淵に誘い、時には背徳と無慈悲を爆発させるのだ。ひと頃なら間違いなく発禁モノだろう。その果てに、読者に突き付けられるのは、「人類の進化」という途轍もない発想である。
天童さんは、これによって小説の限界そのものを百キロメートルくらい押し広げたのではないか。それは「進化」というキーワードで人類のDNAを決壊させたからだろう。
この作品がどう読まれるのかを想像すると、何だか怖ろしくなる。

我が社のイチ押し企画/三省堂・販売部販売宣伝課・佐藤洋一

2018年新学期のわが社のイチ押し企画として、『新明解国語辞典第七版特装青版』『三省堂全訳読解古語辞典第五版』の2点をご紹介いたします。
『新明解国語辞典』は、シャープな語釈、実感あふれる用例で抜群の人気を誇る国語辞典として、圧倒的な評価を得てきました。日本で一番売れている小型国語辞典(明解国語辞典刊行から新明解国語辞典第七版までの累計。当社調べ)であり、高校の採用・推薦でも、常に断然トップの座を確保しています(新学期の採用・単独推薦校集計による。当社調べ)。
昨年2月に『新明解国語辞典第七版特装青版』を初回限定で発売したところ、辞書としては異例ですが発売1ヶ月で初回分の出荷が完了しました。とりわけ書店店頭での反響が大きかったにもかかわらず品薄状態が続き、増刷のお問い合わせ・ご要望を数多くいただいておりました。
そのような好評の声にお応えして昨秋増刷が決定し、「新明解国語辞典」の充実のラインナップに新たな定番商品として「特装青版」が加わることになりました。
お世話になった人へのプレゼントに、小学校・中学校などの卒業記念品に、春のご入学・進学祝いに、ぜひ〝青い新明解〟をご用命ください。
次に、『三省堂全訳読解古語辞典第五版』をご紹介します。全国の高等学校からの推薦数№1(当社調べ)と高い評価をいただいている古語辞典の最新改訂版です。
とりわけ、日常学習や入試対応に役立つ情報がひと目でわかるよう様々な工夫をこらしていることが好評を博している理由です。昨秋改訂した第五版では、古典文学と現代社会とのつながりが学べるコラム[現代とのつながり]や、初学者も簡単に辞書が引ける[逆引き活用形索引]を新設し、高校生の古典学習のサポート機能をさらに強化しました。本書にはお求めやすい小型版もございます。
多くのお客様の手にとっていただけますよう、ご支援のほど宜しくお願い申し上げます。

我が社のイチ押し企画/双葉社・営業局次長・奥山秀

明けましておめでとうございます。旧年中は格別なるご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
昨年は何と言っても、4月末に刊行した文庫『君の膵臓をたべたい』(住野よる著)が皆様のご尽力で多くの読者に支持され、お陰様で135万部を突破し、販売会社様やオリコンが発表する2017年の年間ベストセラー文庫部門で第1位を獲得させていただきました。公開された映画の大ヒットの影響も大きく、単行本時より読者層が広がりました。日販WIN+調べによると、年齢別の文庫ランキングで10代から50代半ばまでが『君の膵臓をたべたい』が1位、そして60代からの第1位は、弊社作品の佐伯泰英『空也十番勝負青春篇声なき蝉』。「居眠り磐音江戸双紙シリーズ」の読者を中心に新シリーズを引き続き購読いただき、9月に発売した二番勝負『恨み残さじ』と合わせて早くも100万部を突破いたしました。その他では5月発売から現在も売れ続けている誉田哲也著『ケモノの城』は23万部以上のセールス、映画化された沼田まほかる著『ユリゴコロ』は30万部、秋吉理香子著『暗黒女子』も11万部を大きく超える部数となり、双葉文庫のご拡売にお力添えいただき厚くお礼申し上げます。
コミックスでは、『orange』6巻(高野苺著)は43万部、アニメ映画化された『この世界の片隅に』(こうの史代著)が120万部を超え、TVアニメ化された『小林さんちのメイドラゴン』(クール教信者著)、『つぐもも』(浜田よしかづ著)、『王様ゲーム』シリーズなどで、前年対比で120%近い売り上げとなっております。
本年の双葉社のスタートはやはり佐伯泰英著『空也十番勝負青春篇』シリーズ三番勝負『剣と十字架』です。その後は、弊社作品の映像化が多数控えております。昨年12月から始まって絶賛公開中の『鎌倉ものがたり』(西岸良平著)に続き、2月は『バイバイ、ブラックバード』(双葉文庫・伊坂幸太郎著)が待望の実写ドラマ化、3月は『弟の夫』(アクションコミックス・田亀源五郎著)がNHKで実写ドラマ化、そして今夏には『君の膵臓をたべたい』の劇場版アニメ映画化が決まっております。是非関連商品の売り上げアップ含め、倍旧のご支援お力添えをよろしくお願い致します。

我が社のイチ押し企画/金の星社・編集部・阿部文

「歴史秘話ヒストリア」というテレビ番組があります。NHK総合で8年以上も続いている人気番組です。毎週金曜日の放送で、案内役は井上あさひアナウンサー。それまであまり知られることのなかった歴史の〝秘話〟が紹介され、新しい歴史の姿が次々とひもとかれていきます。
番組では、毎回違うテーマがもうけられ、それぞれ3つのエピソードに分けて構成されていますが、歴史の秘話という新しい視点にくわえ、遺跡などを現地取材したり、歴史的な事件をストーリー仕立てで演出したりして、わかりやすく楽しく歴史の魅力を伝えてくれます。子どもからお年寄りまで、歴女の方々も含めて幅広い層から、この番組は愛されているようです。
小社では、長年続いている番組の内容をもとに、「NHK歴史秘話ヒストリア歴史にかくされた知られざる物語」という書籍シリーズを刊行しています。ご好評をいただき、すでに第3期までの全15巻を出版し、2018年には4期目にあたる全5巻を刊行する予定です。
このシリーズでは、番組の数々の名作から、教科書にも掲載されているような歴史上の人物や事件、歴史的遺産などについて取りあげ、各巻に6回分の放送内容を収録しています。特に4期目にあたる全5巻では、戦国武将、歴史を動かした女性、日本文化、太平洋戦争、日本の世界遺産をテーマにまとめ、歴史上の人物がそのとき何によろこび、何に悩み、何に悲しんだのかといった、心の奥深くまで描きだして紹介しています。歴史ファンばかりか、歴史嫌いの人にも、真に迫る血の通った歴史がきっと感じられることでしょう。
シリーズ名「NHK新歴史秘話ヒストリア歴史にかくされた知られざる物語」各巻タイトル『1乱世を生きた戦国武将』『2歴史を動かした女性』『3かがやく日本文化』『4太平洋戦争の記憶』『5日本がほこる世界遺産』A4変型判、定価各3240円。

組合事業の改革について議論/TS流通協同組合総会

TS流通協同組合(片岡隆理事長)は11月29日に東京・千代田区の書店会館で第18回通常総会を開催し、組合員47名(委任状含む)が出席した。
片岡理事長はあいさつで今期純資産がマイナスに陥ったことを報告。「TSは小さいロットの客注に対応してきたが、集品、納品の物流コストが膨らみ、客注が増えるほど赤字が増えている。今までのやり方は完全に行き詰まっており、思い切った事業の改革をしなければ組合の存続は非常に難しい。解散も視野に入れ、今日皆さんから出た意見を受け止めた上で、理事会で方向を検討したい」と述べた。
総会は、濱野敏明氏(アンビル宮脇書店)、矢幡秀治氏(真光書店)を正副議長に選任して議案審議し、平成28年度事業報告、決算関係書類、平成29年度事業計画、収支予算など全ての議案を原案通り承認した。
質疑では、「書店が出版社と直取引するのは困難だが、TSは出版社との口座を持っているので、書店からの注文を一本化し、TSの条件で決済できれば可能性が広がる。また、注文に対して事務手数料を取る仕組みを考えてはどうか」「組合書店にPOS設置を促進してTSがデータを管理し、POS設置店でのポスター掲示やランキングを使った販促活動等で広告収入を獲得しては」などの意見が出された。

「読書で地域づくり」事業を推進/JPIC

出版文化産業振興財団(JPIC)は11月28日に東京・新宿区の日本出版クラブ会館で評議員会と理事会を開催した。
平成29年度下期に行う事業では、和歌山県有田川町が取り組む「絵本でまちづくり」事業について、人材育成のプログラム作成に協力。来年度以降は事業全般に参画して読書環境整備に協力する予定。また、地域書店、読書アドバイザー等と協力して「読書で地域づくり」事業を推進する。書店人ら有志による読書コミュニティ作りや、SNSを活用した10代のネットワーク化を連携させることで、若い世代に新たな読書体験を提供し、書店店頭活性化につなげることを目指す。
この他、全国万引犯罪防止機構「万引防止出版対策本部」への入会を承認。毎年5月に開催する「上野の森親子フェスタ」の名称を、次回から「上野の森親子ブックフェスタ」に改称することを承認した。
役員の一部交代では、荻野善之理事(主婦の友社)が退任し矢﨑謙三氏(同上)が理事に就任。春井宏之氏(日書連理事)が評議員に就任した。また、松田宏評議員(新潮社)が退任し、次回評議員会で後任を選任する。

冬春の新刊書籍を発表/赤川次郎氏らが自著を紹介/講談社

講談社は11月16日、東京・文京区の本社で「2017年冬~2018年早春新刊・新企画説明会」を開催し、17年11月以降に刊行される書籍を中心に、著者や担当編集者によるプレゼンテーションを行った。今回から2部制になり、第1部と第2部それぞれの後に懇親会を行った。
冒頭、野間省伸社長は「17年は新たな種を撒く年だった」と述べ、「週刊鉄腕アトムを作ろう!」の発売、「自分書店」の開設、神奈川県松田町との提携、「講談社VRラボ」の設立の取り組みを紹介。「創業110周年を迎える19年には、様々な種が育って芽を出して花を開き、今よりも面白くてためになる講談社になっていると思う」とあいさつした。
第1部では、第四事業局アミューズメント編集チームが『東村アキコ完全プロデュース超速!!漫画ポーズ集』(東村アキコ)、同Kiss編集チームが『絶対☆女子』(小島慶子)、第五事業局BOX・X文庫編集チームが『キネマの天使レンズの奥の殺人者』(赤川次郎)、第二事業局生活文化第二チームが『#腹筋女子お腹が割れたら人生変わった!』(山崎麻央)を紹介した。
第2部では、第三事業局デザート編集チームが『となりの怪物くん』(ろびこ)、『3D彼女リアルガール』(那波マオ)の実写映画化、第六事業局MOVE編集チームが17年11月29日~18年4月8日開催の「MOVE生きものになれる展」、第一事業局ブルーバックス編集チームが『サイバー攻撃とは何かハッキングの舞台裏』(中島明日香)、第五事業局講談社文庫出版部が『ハゲタカ2・5ハーディ』(真山仁)、同文芸第一単行本編集チームが『伴走者』(浅生鴨)を紹介した。
このうち、赤川次郎、山﨑麻央、中島明日香、真山仁、浅生鴨の5氏が登壇し、東村アキコ、小島慶子の両氏がビデオ出演した。赤川氏は「サスペンスとして楽しむとともに、映画の製作現場の情熱も感じていただきたい」と語った。

10月期販売額7・9%減/雑誌は2ヵ月連続で2桁の大幅減/出版科研調べ

出版科研調べの10月期の書籍雑誌推定販売金額(本体価格)は前年同月比7・9%減となった。
部門別では、書籍が同5・2%減。雑誌は同10・3%減と2ヵ月続けて2桁マイナスを記録した。内訳は、月刊誌が同12・6%減、週刊誌が同1・3%減。月刊誌の下落が大きいのは、コミックス・ムックを含む不定期誌が前月に続き大幅に落ち込んだため。
書店店頭の売上は、書籍は児童書が『ざんねんないきもの辞典』(高橋書店)の大ヒットで前年同月に比べ約1%増となった。雑誌は、定期誌が約5%減、ムックが約11%減、コミックスが約14%減。17年はコミックスの下落が顕著で、2桁減が常態化している。

人事

★マガジンハウス
12月13日開催の定時株主総会及び取締役会で下記の役員を選任した。○新任。
代表取締役社長
石﨑孟
取締役副社長片桐隆雄
取締役(総務局担当)
南昌伸
同(マーケティング局、経理・製作局担当)
芝山喜久男
同(編集局担当)石渡健文
同(編集局担当)
○鉄尾周一
取締役(非常勤)秦義一郎
監査役畑尾和成
同鈴木昭夫
執行役員〔広告局長、クロスメディア事業局長〕
熊井昌広
同〔営業局長〕○浪花寛通
名誉顧問木滑良久

第6回静岡書店大賞授賞式/小説部門は伊坂幸太郎氏『AX』

静岡県内の書店員と図書館員が、最も読んでもらいたい本を投票で選ぶ「第6回静岡書店大賞」の発表と授賞式が12月5日、静岡市葵区のグランディエールブケトーカイで行われた。
同賞には過去最多の802人が投票。受賞作は、小説部門は伊坂幸太郎氏『AX(アックス)』(KADOKAWA)、児童書新作部門は大賞がふくながじゅんぺい氏『うわのそらいおん』(金の星社)、第2位がいわいとしお氏『そらの100かいだてのいえ』(偕成社)、第3位がヨシタケシンスケ氏『なつみはなんにでもなれる』(PHP研究所)、児童書名作部門はわかやまけん氏『しろくまちゃんのほっとけーき』(こぐま社)、映像化したい文庫部門は小坂流加氏『余命10年』(文芸社)。
当日は昨年と同様に、書店大商談会、書店大賞授賞式、しぞ~か本の日!懇親会の3部構成で開催。書店97店舗140名、出版社122社186名、図書館員17名、取次・報道関係者26名、受賞者関係者7名が参加した。
第1部の大商談会は、静岡県書店商業組合、静岡書店大賞事務局、静岡トーハン会、静岡日版会、東海地区OaK友の会、静岡県中央会の協賛で開催。昨年を上回る出版社が出展し、参加書店は商談・情報交換を活発に行った。第2部の授賞式には、ふくながさんと、刊行直前の今年2月に亡くなった小坂さんの両親、ヨシタケさんが出席した。こぐま社の絵本のキャラクター〝こぐまちゃん〟の着ぐるみも登場し、式に華を添えた。
受賞作、関連本のフェアは県内の参加書店180店、参加図書館約30館で12月6日から展開中。
(佐塚慎己広報委員)

生活実用書・注目的新刊/遊友出版・斎藤一郎

新年の祈願はまず健康からである。
奥村康著『ウソだらけの健康常識』(WAC920円)は順天堂大学医学部名誉教授が解説する、サブタイトルに言う「不良」長寿のすすめ。
免疫の基本のリンパ球にはT細胞、B細胞、NK(ナチュラルキラー)細胞などがあるが、がんやウィルスと最前線で戦っているのがNK細胞。このNK細胞が元気であれば、がん細胞が増殖することはないという。NK細胞は心の影響を大きく受けるため、ネガティブなストレスが大敵である。だから大いに笑うこと、運動はちんたらとやる、などで活性される。
血圧も180以下、コレステロール値も300以下なら放って大丈夫。ちょい太めの人の方が長生きするし、ダイエットも粗食もいけない。煙草と肺がんに因果関係はない。薬を飲むほど危険なので、医者も薬もできるだけやめることを勧める。いい加減でストレスを撃退することが、何よりの健康法なのである。
高沢謙二/玉目弥生著『1日1分!血圧が下がる血管ストレッチ』(青春新書1000円)は、血圧を下げる、例えばふくらはぎほぐしなどの簡単な運動を紹介。野菜をまず食べる、頑張らないウォーキングなど、ここでもいい加減が勧められている。血管年齢チェック表が付く。