全国書店新聞
             

平成13年5月16日号

万引など6項目も追加

昨年まとまった「書店21世紀ビジョン報告書」をフォローアップする「スタートアップ21特別委員会」の初会合が八日午後二時から書店会館で行われた。
初会合には日書連萬田会長はじめ井門照雄委員長、今西英雄、藤原直、中村宣勝、山口尚之、高須博久、の各委員が出席。
冒頭、萬田会長から「書店21世紀ビジョンで決めた十項目のアクションプランを実現するため、三月理事会で特別委員会を設置し、委員八名を指名した。
アクションプラン達成のための推進委員会として、二十一世紀の書店活性化について議論を重ねてほしい」と発言があり、同委員会の性格、方向づけを明確にした。
井門委員長は、委員会の運営について月1回ないし二カ月に一回のペースで開催していくこと、議論は理事会に反映していくことなどを説明したあと、アクションプラン十項目に対する現状認識について、■地方出版物のデータベース化は沖縄から進めていく、■書協の三週間前出版情報を生かし、予約販売のシステムを考えていきたい、■ブックスタートは読書推進委員会とともにフォローしていく、■書店人専門教育機関は鳥取の本の学校とも連携して、骨格を指導教育委員会に提言する、■努力する書店が報われる責任販売の仕組みを考えていく−−などとする考え方を示した。
フリー討論では「万引きは防止システム導入など業界的な対応を」「書店を通じた雑誌の年間購読割引を研究したい」「書店くじ活性化には、読書推進事業全体から見直す必要がある」などの意見が出され、付録問題、雑誌発売日の全国統一化、書籍データベース整備も含めた六項目を検討課題に加えていく方針を確認した。

書店くじ合同抽選会

特賞「英国八日間の旅」が当たる雑誌五十社共同懸賞と、日書連主催「春の書店くじ」の合同抽選会が、五月八日午後五時から飯田橋のホテルエドモントで開かれ、出版社、取次、書店など業界関係者約百八十名が出席した。
春の書店くじの当選番号は、五月二十三日、朝日、毎日、読売各新聞紙上と日書連ホームページ、店頭ポスターで発表することになっている。
合同抽選会で日書連萬田貴久会長は「東京国際ブックフェアも盛況裡に終了した。
第二回目となった商談会が各ブースで行われ、版元によっては一千万円を越える売上げがあったと聞いている。
合わせて春のくじ、共同懸賞が行われ、共同懸賞には三万二千通の応募があった。
再販問題に一区切りがついた今、新しい読者ニーズの開発に向けて一体となって出版業界の再生に努力していきたい」とあいさつ。
続いて読書推進委員会を担当する鈴木喜重副会長が「春の書店くじ」について、同委員会船坂良雄副委員長が「世界本の日=サン・ジョルディの日」のキャンペーンについて経過報告を行った。
この中で鈴木副会長は、春秋二回行われている書店くじの扱い枚数が長期低落傾向にあることを指摘して「秋の読書週間にも共同懸賞を実施するなど、出版社の協力をお願いする。
書店くじの名称を変えてもいい。
出版業界が力を合わせて読書推進を宣伝していく必要がある」と訴えた。
また、船坂副委員長は今年の共同懸賞は出版社五十三社、百二十九誌で展開したとし、「心に残る一冊の本」の応募はハガキが一万通弱、ホームページ「本屋さんへ行こう」への応募が二万二千通にのぼったと報告。
日本縦断文化講演会を今年も展開中で、地方読者の開拓と読書普及に努めていることを強調した。
このあと、雑誌共同企画から抽選会に入り、雑協浅野純次副理事長(東洋経済新報社)と、キャンペーンのイメージ・キャラクターをつとめた森川美穂さんがA賞、B賞、特賞の順に当選者を選んだ。
春の書店くじは、三修社・前田完治社長、小峰書店・小峰紀雄社長、東京布井出版・上野幹夫社長、栗田出版販売・亀川正猷社長、太洋社・国弘晴睦社長の五名がボウガンで四等から特賞までの当選番号を決めていった。
抽選会のあとの懇親パーティーでは書協渡辺隆男理事長(二玄社)が「おかげで再販が終り、すきっとしている。
これからは皆さんと一緒に本を売ることだけ考えたい。
東京ブックフェアも来年はもっと良くなる。
しっかり売っていこう」と呼びかけ、浜田博信副理事長(講談社)は「出版業界は忘れっぽいが、四月二十三日の世界本の日に山場をつくる考えは変わらない」と述べて、乾杯の音頭をとった。
雑誌共同企画当選者◇特賞(英国8日間の旅ご招待=10名◇A賞(図書カード1万円)=200名◇B賞(同1千円)=500名

研究社出版と研究社販売が営業統合

研究社グループのなかで別会社として運営してきた研究社出版と研究社販売の両社が、事業強化と機能効率化を図るため、六月一日をもって研究社に統合することになった。
研究社出版と研究社販売名義の契約書は研究社がそのまま継承。
また、編集・販売・広告宣伝・流通業務等の窓口(電話番号等)はすべて現状のまま継承し、変更がある場合は個別に連絡する。

雑協新専務理事に勝見氏

雑協は四月十九日開催の定期総会で、乾源哉専務理事の退任に伴い、勝見亮介事務局長が専務理事を兼務するなど、役員人事を決定した。
○印は新任。
▽理事長=角川歴彦(角川書店)▽副理事長=相賀昌宏(小学館)、浅野純次(東洋経済新報社)▽専務理事=○勝見亮助(雑誌協会)▽常務理事=秋田貞美(秋田書店)、木滑良久(マガジンハウス)、小島民雄(集英社)、○佐藤隆信(新潮社)、白石勝(文芸春秋)、鈴木隆(日経BP社)、鈴木勤(世界文化社)、浜田博信(講談社)、増田義和(実業之日本社)、山本進(毎日新聞社出版局)▽理事=安藤龍男(日本放送出版協会)、並河良(光文社)、古岡●(学習研究社)、村松邦彦(主婦之友社)、本吉敏男(アシェット婦人画報社)、矢内廣(ぴあ)▽常務監事=岩佐豊(ダイヤモンド社)、中村守(扶桑社)▽監事=菊地英雄(主婦と生活社)、清水英夫(弁護士)▽顧問=相賀徹夫(小学館)、田中健五(日本図書普及)、石川晴彦(主婦の友社)、○乾源哉(講談社)

参考図書

◇『オンライン書店の可能性を探る』セゾン総合研究所主席研究員・木下修、文化通信社記者・星野渉、リクルートのインターネットサイト「ISIZEBOOK」ウェブマスター・吉田克己の三氏が、オンライン書店が様々な課題を克服して書籍流通の新しいチャンネルとしての地位を築き大きな勢力となるか、既存の書籍流通にどのようなインパクトを与えるか等を検証した共著。
日本エディタースクールが昨年八、九月に開催した講座「PUBLISHINGNOWの経済学−デジタル革命下の出版販売」での三氏の講義、討論の全記録を整理、加筆修正して成ったもの。
日本エディタースクール出版部刊。
A5判、一八〇頁、定価本体千八百円。
◇『東京大学出版会50年の歩み』創立五十周年を記念して刊行したもの。
内容は、創立以前から現在までの歴史を綴った「50年誌」、歴代の会長、理事長、理事などの言葉と文章十八編で構成した「折々の直言」、刊行数や売上高のグラフ、役員変遷表などから成る「資料に見る50年の歩み」、「刊行書目一覧」の四部構成。
B5判、三四一頁、非売品。

菅会長を再選

取協は四月二十六日の通常総会で今年度の役員を以下の通り決定した。
○印は新任。
▽会長=菅徹夫(日販)▽常務理事=金田万寿人(トーハン)、鈴木一郎(大阪屋)、亀川正猷(栗田)、由井京一(中央社)、大藤耕治(日教販)、國弘晴睦(太洋社)、○雨谷正巳(協和)▽理事=小林昇(トーハン)、阿部洋一郎(日販)、茂手木一二三(鉄道弘済会)、○吉見壽文(東邦書籍)▽監事=佐藤千晴(日本雑誌販売)、山本和夫(公認会計士)▽顧問=角屋正隆(トーハン)、遠藤健一(トーハン)、上瀧博正(トーハン)

−無題−

◇読売出版広告賞第五回「読売出版広告賞」(読売新聞社主催)の受賞作品が決まり、小学館『日本国語大辞典(第2版)』が大賞受賞した。
贈賞式は五月二十一日正午より、東京・一ツ橋の如水会館まで行われる。
各受賞作品は以下の通り。
▽大賞=小学館『日本国語大辞典(第2版)』(二〇〇〇年十一月十五日付・朝刊、全15段)▽書籍部門賞=学習研究社『学研M文庫』(二〇〇一年九月五日付・朝刊、全15段)▽雑誌部門賞=ベネッセコーポレーション『たまひよこっこクラブ』(二〇〇一年四月十五日、五月十五日、六月十五日、七月十五日付・すべて朝刊、全5段×4本)▽特別賞=築地書館『炭坑美人』(二〇〇一年三月十一日付・朝刊、3段1/8)

−無題−

◇「飛泉の情景」展講談社野間記念館は「心洗う、清澄なる瀧の美。
『飛泉の情景』展」を六月二日から七月二十二日まで開催。
野間コレクションのなかから飛泉の情景に魅せられた日本画家たちの作品を厳選して展示する。
展示作品は川合玉堂「夏山懸瀑」、荒木十畝「急湍橿鳥」、山田敬中「高士観瀑図」、川北霞峰「瀧」など。
また、期間中「『講談社の絵本』の原画展童謡画集と昔話」を同時展示。
一九三六年に創刊された「講談社絵本シリーズ」から、今回は童謡画集と昔話を紹介する。
展示作品は川上四郎「七ツノ子」、近藤紫雲「牛若丸」、尾竹国観「かちかち山」、井川洗●「猿蟹合戦」、本田庄太郎「孫悟空」など。

−無題−

〓ポイントカードの効果はすごく大きいと導入店から聞いた。
先に導入した店ほど効果が大きいという。
組合加入メリットとしてのカードを早急に検討すべきと思う。
(ぺ)〓十二番目の天使がまたトップに返り咲いた。
もちろん私たち書店の努力の結果でもあるが、テレビや新聞広告などの宣伝効果も大きい要因になっていると思う。
(隆)(1)『ファイナルファンタジーIIドラマティックコンプリートガイド』デジキューブ4‐925075‐99‐3……7冊
”『チーズはどこへ消えた?』扶桑社4‐594‐03019‐X……7冊
(3)『サクラ大戦3〜巴里は燃えているか〜攻略ガイド(上)』ソフトバンクパブリッシング4‐7973‐1584‐9……6冊
”『十二番目の天使』求龍堂4‐7630‐0106‐X……6冊
(5)『グランツーリスモ3』ソフトバンクパブリッシング4‐7973‐1568‐7……5冊
”『ビストロスマップ新世紀こだわりレシピ』扶桑社4‐594‐03087‐4……5冊
”『金持ち父さん貧乏父さん』筑摩書房4‐480‐86330‐3……5冊
”『クラッシュ』幻冬舎4‐344‐00083‐8……5冊
”『JELLYJEWEL』幻冬舎4‐344‐00080‐3……5冊
”『収穫には立ち会えないかもしれないが出来るだけ多くの種を蒔こう』幻冬舎4‐344‐00079‐X……5冊
(11)『ハリー・ポッターと賢者の石』静山社4‐915512‐37‐1……4冊
”『ゼルダの伝説ふしぎの木の実時空の章』小学館4‐09‐102887‐X……4冊
(13)『ピルブック2001』ソシム4‐88337‐122‐0……3冊
”『夢のカケラChemistry完全ドキュメント』ソニー・マガジンズ4‐7897‐1677‐5……3冊
(5月7日〜13日調べ)
(1)『十二番目の天使』求龍堂4‐7630‐0106‐X……23冊
(2)『チーズはどこへ消えた?』扶桑社4‐594‐03019‐X……22冊
(3)『めちゃイケ大百科事典』扶桑社4‐594‐03074‐2……13冊
”『バターはどこへ溶けた?』道出版4‐944154‐35‐6……13冊
(5)『金田一少年の事件簿邪宗館殺人事件』講談社4‐06‐324343‐5……9冊
(6)『なぜか「仕事がうまくいく人」の習慣』PHP研究所4‐569‐61488‐4……8冊
(7)『模倣犯(上)』小学館4‐09‐379264‐X……7冊
(8)『英語は絶対、勉強するな!』4‐7631‐9338‐4……6冊
”『勘ちがいの日本語』PHP研究所4‐569‐61104‐4……6冊
”『みんなの経済学』幻冬舎4‐344‐90003‐0……6冊
(11)『スター・ガール』理論社4‐652‐07197‐3……5冊
”『模倣犯(下)』小学館4‐09‐379265‐8……5冊
”『JELLYJEWEL』幻冬舎4‐344‐00080‐3……5冊
”『大っきいおかず小っちゃいおかず』講談社4‐06‐271516‐3……5冊
”『恋恋蓮歩の演習』講談社4‐06‐182183‐0……5冊
”『とっとこことばあそびとっとこハム太郎おけいこブック(1)』小学館4‐09‐253081‐1……5冊
”『パワプロクンポケット3パーフェクトガイド』新紀元社4‐88317‐866‐8……5冊
(5月6日〜12日調べ)

言論メディアの役割強調

出版業界あげての祭典、全出版人大会が十日午後四時から千代田区のホテルニューオータニで開かれた。
今年は第四十回記念大会として、石原慎太郎東京都知事が記念講演を行い、例年以上の盛り上がりだった。
大会では野間佐和子大会会長が「新しい世紀を迎えたが、景気の低迷が続いている。
ITの進展でメディアは複合化しているが本を読む営みは終わらない。
出版の役割は一層大きく、ブックスタートはじめ、出版界が力を合わせ責任を果たしていこう」と、訴えた。
大会声明は小峰委員長が朗読。
「西暦二〇〇〇年は子ども読書年の取り組みを通して子どもの世紀を拓く試みが進展した」と総括するとともに、「メディア規制の動きが強まっていることを憂慮する。
新世紀に向かって志し高く出版文化を創造したい」と読み上げ、拍手で採択した。
このあと、七十歳を迎えた長寿者三十九名と永年勤続者四百七名を表彰した。

−無題−

大会声明私たちの生きた二十世紀は、科学技術の飛躍的な進歩を取り入れ、文明社会を築いた国や地域と、その恩恵に浴せなかった地域とにわかれた時代でした。
同時に、人間の尊厳と自由、そして民主化を希求し、文化を創造する絶えまない努力の道のりでもありました。
日本の近代の歩みも、平坦なものではありませんでした。
とくに幾たびかの天災や戦争を経験し、その混乱と廃墟から立ち直り、経済大国といわれるまでに成熟した社会を創ってきました。
私たち出版人もまた、文化の向上と社会の進展に寄与すべく、活発に出版活動を積み重ねてきました。
しかし、新世紀を前にして、新たに環境破壊や子どもたちの衝動的な行動やいじめ、学びからの逃避など、様々な心の荒廃が問題となってきました。
そういう中で、西暦二〇〇〇年は、子どもたちにとって希望がめばえた年でした。
「国際子ども図書館」が開館し、衆参両院の「子ども読書年に関する決議」の趣旨に沿い、政治、行政、民間の協力によって、多様な読書推進事業が展開されました。
「読み聞かせ」や「朝の読書」など草の根の読書活動が広がり、「ブックスタート」の運動も始まりました。
「子ども読書年」の取り組みは、読書を通して、子どもたちの言葉と知と想像力を育み、読書環境を創造する運動でした。
このように読書を通して子どもの世紀を拓く試みが進展する傍ら、出版界は、構造的な不況の只中にあります。
多様な電子メディアの急速な進展、デジタル出版物をはじめ紙メディアとしての出版に影響が出ているとともに出版者の権利がおびやかされる心配も強まっております。
また著作物の再販制度は存置されることになりましたが、出版界は今後も読者の利益に資するさらなる努力と工夫を重ねなければなりません。
また、「個人情報保護法案」や「青少年社会環境対策基本法案」、法務省人権審議会の「人権救済制度の在り方に関する中間取りまとめ」など、最近顕著になっているメディア規制の動きに対しても、出版界あげて対処していかなければなりません。
青少年の健全な育成、人権の尊重やプライバシーの保護は責任あるメディアとして十分に配慮すべきことは言うまでもありませんが、憲法に保障された言論表現や出版の自由は、民主主義社会の根幹をなすものであり、一連の公的規制の強化は憂慮すべき問題です。
同時に、私たち出版人は「出版倫理綱領」の理念と精神を生き生きと蘇らせ、出版の自由と責任とは何かを自らに深く問うべきでありましょう。
新世紀のはじまり、第四十会全出版人大会は、はげしく流動し、きびしい経済・社会環境の中で開会されました。
私たちは、先人が積み重ねてきた理想を継承し、新世紀に向かって、志し高く出版文化を創造したいと願うものです。
以上を本大会の声明といたします。
平成13年5月10日第40回全出版人大会

−無題−

碁を教えてくれた人に感謝しなければならない。
人生を倍生きるような喜びがあるからだと、確かどこかで吉行淳之介が書いていた。
囲碁というものはそれほど面白いものなのか感心した記憶がある。
平本弥星著『囲碁の知・入門編』(集英社新書0086H700円)は故事来歴に詳しい囲碁入門書である。
「源氏物語」には碁にふれた一節がいくつかあり、「空蝉」には対局の描写もある。
けち、持、などの碁用語を使いこなしていて、紫式部が碁に詳しかったことがわかる。
中国では楊貴妃も碁を打ったし、紀元前2世紀に女性が碁を打ったことも記録に残っている。
碁盤に白と黒の石。
この方円(碁の別称)の世界は四千年以上も人々を魅了し続けてきた。
「玄玄碁経集」の囲碁十訣には、むさぼり勝とうとしてはならない、小を捨てて大に就けなどという警句が出てくる。
碁は相手を否定するゲームではなく、より良く生きよのうとするゲームなのである。
囲碁入門の第一歩は石の取り方。
縦と横を全部ふさぐとその石を取ることができる。
碁は脳の健康スポーツであると著者は言っている。
日本棋院編『入門編・すぐ打てる囲碁入門』(日本棋院500円)は文字通り、初めて碁をやってみようとする人向きの本。
「この本一冊さえマスターすれば、かならず一局の碁を楽しく打つことができるようになることをお約束します。
」と書かれている。
お約束されるからにはわかりやすいに決まっている。
盤と石、盤面の名称から始まって、ゲームの方法が語られる。
碁では石を置くことを打つという、などと初心者にとって耳慣れない表現のたびに解説がつく。
本書は入門から20級向けとなっている。
ルールを覚えたてが30級。
どうにか打てる頃が20級と説明されているから、この本だけ一応碁を打てるようになる。
とても親切な入門書である。
書店では上級も入門もいっしょくたにして「囲碁」と、ぶっきらぼうに分類しているのが普通だが、初心者向けのさらに小さな分類があったらいいと思うのである。
もっとも、集英社新書だって囲碁のコーナーに置かれるかどうか怪しいくらいだから、それは無理な相談かもしれない。
(遊友出版斎藤一郎)

北から南から

◇東京都書店商業組合第25回通常総会5月22日(火)午後1時半から千代田区九段のホテルグランドパレスで開催。
総会終了後午後4時半から永年勤続従業員、組合功労者の表彰式、午後6時から懇親会。
◇大阪府書店商業組合第19回通常総代会5月22日(火)午後1時半から西区・四つ橋の大阪厚生年金会館で開催。
総会終了後、優良従業員表彰と懇親会。
◇愛知県書店商業組合第18回通常総会5月23日(水)午後2時から千種区池下の愛知厚生年金会館で開く。
午後3時45分から講談社浜田副社長の記念講演会「新しい世紀と出版」。
4時50分から懇親パーティー。
◇埼玉県書店商業組合第17回通常総会5月26日(土)午後2時から北浦和の埼玉書籍会議室で開催する。
終了後、永年勤続従業員表彰式。
◇京都府書店商業組合第17回通常総代会5月28日(月)午後2時から中京区河原町の京都ロイヤルホテルで開催。
総会終了後、永年勤続従業員とお話を絵にするコンクールの表彰式。
午後5時より総代懇親会。
◇福島県書店商業組合第17回通常総会5月29日(火)午後1時半から磐梯熱海温泉「四季彩一力」で開催。
書店永年勤続者表彰式、出版社新企画発表、懇親会も行う。
◇鹿児島県書店商業組合女性部会「あじさいの会」研修会6月12日(火)、霧島ロイヤルホテルで開催。
当日は西鹿児島駅から貸切りバスが出る。
(井之上博忠広報委員)

6月26日の通常総会

長野県書店商業組合(赤羽好三理事長)は、五月六日午前十一時より松本駅前のグリーンホテルで副理事長会を開催、七名が出席して諸問題を議論した。
この席で第十七期の通常総会を六月二十六日午後一時より上諏訪温泉「ホテルぬのはん」で開催することを決めた。
(高嶋雄一広報委員)

−無題−

<小学館支援PC導入京都組合実証実験報告>小学館が支援する中小書店へのパソコン導入実証実験が四月から京都組合でスタートした。
昨年夏、小学館の申し入れに始まり、京都組合が進めてきた受入れ体制、アンケート、説明会、サポーターの組織作りと、百台のパソコンが動き出すまでの準備状況を京都組合パソコン導入推進委員会の辻本和樹氏(向島書店)に報告してもらった。
第一回を今号と次号の二度に分けて掲載する。
最初にこの事業の話を聞いたのは昨年七月下旬でした。
八月九日に日書連会議室で、井門情報化推進委員長、大川事務局長と一緒に小学館大竹取締役、田宮次長から次のような説明を受けました。
「この計画は相賀社長の発案でスタートしました。
少し前に実施された日書連のアンケートの結果、書店業界のパソコン普及率は五〇%にすぎない。
他業種や中小書店の競争相手であるコンビニ等と比べ非常に遅れている。
IT化を進めないと取り残されてしまう。
業界の将来を考え、低価格でハードとソフトを提供し、業界の発展に役立ちたい。
全国展開する前に、京都で実証実験を行いたい」とのことでした。
京都組合片山理事長は常々「今IT化を進めるには書店の意識革命が必要だ」と言われています。
そのきっかけになる事業で、意義は大変大きいと思われました。
京都が選ばれたのは、地理的に都市部と郡部があり、全国のサンプルになることや、組合員間の双方向通信をFAX等を使い活発に行っていたので、素早く連絡をとる事ができるとの理由です。
小学館はこのパソコン支援を、初めてパソコンに触れる方を対象に考えています。
パソコン未使用の書店に廉価で斡旋することで、普及率が九〇%近くまで上がることを期待され、初心者でも使いやすいハード&ソフトが検討されました。
パソコン仕様の概要案も出され、京都組合の意見も聞いてから最終決定をすることになりました。
京都組合では全員三三二店にアンケートを至急実施して、パソコンの普及状況と斡旋時の希望価格の調査をすることになりました。
八月十七日にFAXでアンケート依頼を送信(未設置店一三店には郵送)し、九月二十日頃には二一五店(六五%弱)の回答を得ることができました。
この結果五四%一一六店がパソコンを使用しており(未使用は九九店)、使用目的一位インターネットの利用(七九店)、二位書誌検索(六七店)、三位メール(六三店)でした。
パソコンを使用していない理由では、一位パソコンの知識が乏しい(六五店)、二位効果が期待できない(四一店)などが挙げられていました。
今後のパソコンの活用法についての問いには、書誌情報検索や受発注管理に使用したいという回答が多かったです。
2)十月の理事会で、初めてパソコンを触られる方でも安心して導入できる環境作りの必要がある、その為に各支部にサポーターを数名選定して、初心者からの問合せに応える体制を作ることを決めました。
十一月の理事会で各支部に一、二名のサポーターが決まり(十四支部で二十四名)、「パソコン導入推進委員会」を設置しました。
委員長に片山理事長、委員としてサポーター三名と私の計四名がなり、支部別のサポーター十四名で構成された委員会ができました。
役割としては、導入前の準備(募集方法の検討、優先順位の決定、説明会開催準備等)と導入後の初期トラブルの相談サポートを考えておりました。
十一月二十四日に小学館の大竹取締役と田宮次長が京都に来られ支援内容、パソコンの仕様等について打ち合わせを行いました。
小学館にはパソコンの仕様は書店の店頭に設置することを前提にノートパソコンにしてほしい、初心者向けということで音声入力やタッチパネル方式に出来ないか、書店の負担費用は出来るだけ廉価にと、かなり厚かましいお願いをしておりました。
音声入力やタッチパネルは予算の問題もあり出来ない、機種については検討中とのことでした。
接続業者についても京都府下全域にアクセスポイントのある業者を選んで欲しいと希望しておきました。
一月十二日に日書連の会議室で東芝、住商リース、メトロも出席して最終打ち合わせが行われました。
京都組合は事前に接続料が書店負担になると聞いておりましたので、地元の接続業者(プロバイダー)で安価なところがないか調査しましたが、京都府下の全部をカバーしている業者はOCN(NTT)しかありませんでした。
会議では機種が東芝のノートに決まったこと、設置時説明二時間とハード保守三年間、電話サポートも含まれていること、リース契約(住商リース)で書店はシステム利用料として月額千円を年払いで払うこと、プロバイダー接続料、電話代は書店負担になることが説明されました。
接続業者と書店の回線の確認については、京都組合で手配することになりました。
京都へ帰ってすぐ、NTT西日本京都支社と交渉した結果、回線の確認とTA設置時の設定作業を営業担当者に無料でしていただく但し工事が発生した場合は有料になる、替わりにマイラインの勧誘をするということで話がつきました。
この話を理事会でしたところ、NTTに知り合いがおられる方数名から連絡が入り、調整の結果、実際にNTTの回線工事をしているNTT―MEが同じ条件でもあり、こちらの方が専門家で安心できると言うことになり回線確認とTAの購入(ISDNに変更された方のみ)はNTT−MEに依頼することに、そして接続業者の取扱いは代理店契約をしている東芝がすることになりました。
最初に依頼したNTT西日本には、京都組合がマイラインのNTTの受付をすることで協力しました。
3)説明会は府内を3ヶ所に分けて行うことに決め、二月五日に南部と市内、六日に北部で開催することになりました。
まずサポーターの方だけの説明会を一月二十四日に行いました。
この説明会には小学館、東芝それにNTT−MEも来て頂きました。
募集基準はパソコン未設置店が第一優先ですが、一応S−BOOKネットに加入していても自宅のパソコンで利用していたり、家族のパソコンを使っている方の申し込みは受付けることにしますとの事。
南部には二十二名、市内には約六十五名、府北には八名の参加者がありました。
これ以外にも説明会に参加できないが、資料を送って欲しいという方が十名以上ありました。
書店の関心の高さにあらためて驚きました。
説明会には小学館(趣旨説明とS−BOOKネットの説明)と、東芝(機器と設置、サポートの説明)、メトロ(新バードネットの説明)が同行されました。
各会場は大盛況でしたが、参加者の約六〇%ぐらいがすでにパソコンの経験者でした。
一番心配されていたのは申込数が一〇〇台を超えた場合はどうなるかでした。
これには、一〇一台目の申込があってから検討しますと答えました。
ある年配の方からは「初めてパソコンに触るが、初心者向けの講習をやってもらえるのか?」と質問がありました。
組合は超初心者向けの講習会を考えていると答えました。
舞鶴での説明会でも六十歳ぐらいの参加者が「まったくの初心者だが、今回の事業は本当に初心者向けなのか?」と、おっしゃられました。
それで、初心者向けにいろいろなサポートを予定していることをお話しました。
それでもまだ不安のようで、東芝が機械を設置した後は、どうしたら良いのかと言うのです。
府北にもサポーターはおられますが、そこから質問者の店(丹後にある)までは車でも一時間半はかかる。
その時、隣に座っておられた書店さん(すでにパソコンを使っておられる方)が「私が教えに行ってあげますよ」と、即座に言ってくれました。
後で聞いたところ、両方のお店の距離は車で二、三十分ぐらいだそうです。
少し先を歩いているものが後からくるものを引っ張ってあげるという書店同士の協力関係、共生がここから始まるのだと強く実感し、安堵しました。
266行

「声」

私たち北海道の地元新聞の投書欄に「携帯に使うお金の半分でも本代に」という十九歳の男性の投稿がありました。
本を売る者として、このような若者がいることを大変うれしく読みました。
その反面、首都圏の小中学生の四人に一人が携帯電話を所有し、毎月の電話代が平均三千七百円かかるといいます。
投書の方は、先人たちの知識や考えが詰まった本は私の人生を支え成長へ導いてくれた。
それに比べ携帯は月一万円以上も使っている者もいて電話代を稼ぐためアルバイトをしている。
その目的があまりにも退廃的であるように思われ、利便性は買うが生徒や学生に絶対必要と思わない、と書かれていました。
若者の本離れの原因として携帯電話に小遣いがまわされていることは懸念しておりましたが、改めてこの弊害を痛感します。
大手書店の進出、小子化、年金生活者の預貯金の金利低下で子どもたちへの小遣いをやれない現状もあり、さらに毎日の新聞に見るアメリカや日本の株の低下など、国民の行く先の不安感から財布のひもはますます堅くなって、私たち書店の売上に影響を与えています。
これらの困難のためストレスのかかる毎日ですが、あまりくよくよせず身体を大切にし、店を維持するために齢などに負けず、本を買う人に喜ばれる店として努力したいと思います。

「声」

歌人斎藤茂吉は大正六年十二月、新任地長崎到着後の第一印象を「朝あけて船より鳴れる太笛のこだまはながし並みよろふ山」と詠んでいる。
まだそんな風情を残す長崎街へ写真撮影に友人三人と出かけた。
四月十九日から長崎・出島跡地の港に帆船十隻が入港して「帆船祭」が催されていた。
初めて見る帆船の優美な姿や大きさに驚かされた。
日本を代表する帆船「日本丸」や「海王丸」の白い船体が、春の強い陽光を受け蒼い海の長崎港に舫っている姿は、バックの稲佐山とマッチして絶好の被写体である。
時折どこからか吹いてくるのか海風が春の陽気に汗ばんだ頬を心地よく通りぬけていく。
遠くから見る稲佐山の山肌の木々は新緑で目に眩しい。
異国情緒ただよう長崎の街は、もう初夏の趣さえ感じる。
思わずシャッターを切る回数が忙しくなり四人のカメラマンは汗だくである。
お昼は昼餐と称して名物の中華料理店で本格的な料理に舌鼓を打った。
昼餐の最後の仕上げは長崎名物料理の「チャンポン」と「皿うどん」である。
旨いものは腹に入るところが違うらしく一人で二品ペロリと平らげてしまった。
さすが本場の「チャンポン」「皿うどん」は絶品であった。
食後は腹ごなしにと長崎市街を逍遥して巡った。
日曜とあって多くの観光客で街は賑わっていた。
時折来る長崎の街であるが、他の都市にないエキゾチックな雰囲気を漂わせている所である。

「声」

版元に直接発注した事前予約注文品の取次からの配送が、発売日当日に間に合わなかったことが、立て続けに三回起きた。
まず、女子栄養大学出版部刊『五訂食品成分表』である。
三月六日発売予定のものが届かなかったので版元に電話を入れると、「発売予定が遅れて、取次搬入は三月十二日になります。
書店様にはその二、三日後に着くかと思います」との返事だったのでお客様にはそう説明した。
実際に他店には十四日に届いていた。
しかし、当店には二十四日に到着した。
次に、音楽専科社刊『華月』が、三月二十二日発売予定であったものが、三月二十八日に届いた。
さらに、エンターブレイン刊『藤原カムイ画集』。
三月三十一日発売であるのに四月四日到着であった。
念のため、エンターブレインのホームページを覗くと、ちゃんと三月三十一日発売と明示してあった。
三回とも読者に平身低頭して待ってもらった。
他店店頭に並んでいるものが、事前予約品にもかかわらず何故、発売当日に届かないのか。
取次の予約品の配送チェックはどうなっているのか。
厳しい読者離れの折柄、信用を無くしていく小書店の悲哀を理解してくれているのだろうか。

◇2歳から

あのね、パパは本を読んでいるんだよ。
でも、僕がそおっと隠れると、「いないよ!いないよ!坊やがいない!」と言って、大慌てで僕を探し始めるんだよ。
ほらね!……さあ、楽しい“かくれんぼ”の始まり始まり。
パパ、上手く見つけられるかな?坊やの嬉しそうな顔。

◇4歳から

ぐっすり眠りたい!小さなマーモット(りすの仲間)のアンネ・ソフィーは、寝場所を探しています。
でも、いつも邪魔が…。
友達が秘密の場所を教えてくれた。
でもね…。
思わず吹き出すラスト。
夕焼けを思わせる色を背景に、柔らかい線で描かれた主人公が可愛くて、心が和みます。

◇小学校低学年向き

ハーモニカの得意なレンティル。
町の名士、カーター大佐の歓迎式が、苦虫じいさんの奇襲作戦(どんな作戦かは読んでのお楽しみ!)でピンチに…!その時、レンティルのハーモニカが役に立ち、思いもよらない展開に…!“得意なことを見つけよう”マックロスキーの最初の作品。

「声」

再販問題は三月二十三日の公取委の公表文によって、存続ということで決着した。
これを巡っていろいろなコメントがあった。
その中で特に目を引いたのは、四月九日付文化通信の「再販当面は存続、公取委結論に私はこう思う」の欄に掲載された紀伊國屋書店松原社長の「出版界の衰え感じる」という見解だった。
さすが一方の業界の雄、卓越した見識をお持ちだ。
お読みにならなかった方もおいでになると思われるので、少し長文になるが下記に要約した。
〇当面の存続ということは、ある面では予想どおりの決着といえる。
〇公取委は存置するとしながらも、ポイントカードは認めろ、年間予約者には送料負担せよ、非再販商品をもっと作れとか細かいことをいう。
〇つまり細かいことの積み重ねで、実質的な再販制度の崩壊を狙っている。
もう再販制度は死に体だから、強攻策はとらなかったといえる。
〇一方出版界は、このところ発生する事件に対して、何も対処できないでいる。
問題解決のために行動を起こすべきなのに、そのエネルギーを失っている。
出版界にはいろいろな団体があるが、(そのすべてに)行動力がない。
(だから私は)日本の出版界の衰えを感ずる。
言い換えると事なかれ主義だ。
公取委はこの業界を(この体質を見て)なめきっている。
〇その原因は(私は)サラリーマン社長、アルバイト社員で成り立つ会社・社会になってしまって、やらなくてはならないことを、しないですましてきてしまったところにある。
〇(何もできない、何もしない業界だから我が社は自衛策を取っている)再販がなくなっても紀伊國屋書店は大丈夫である。
自然体で対応できる。
店頭の単品管理ができているし、今何が売れているかを知っている。
今回も部分再販の主婦の友社商品を、オール紀伊國屋書店の販売力四千部を越えて一万部を仕入れ、二十一世紀にちなんで二一%引きで売っている。
好調である。
(注)カッコの中の文は筆者が類推加筆したものである。
出版業界は事なかれ主義で、行動するエネルギーも無いと指摘されたが、反論する言葉もない。
公取委に弾力運用をいわれ、業界側は再販商品にまで拡大解釈をして迎合をしてきたところにある。
毅然とするところが見えない。
まさにアメリカに対する日本の服従外交の如くである。
こうした状況から公取委に、すっかりなめられた業界になってしまった。
この指摘にはなんともコメントできないが、このままの状態が続いていたら紀伊國屋書店にならって、各書店がこの閉塞感から逃れるために、再販なき出版界に対応すべく狂奔することになろう。
私どもは再販制度があることが、日本の活字文化普及の上で必要な制度であると考えるし、読者の精神的利益と経済的利益になると考えている。
従って死に体状態にある再販制度を立ち上がらせ、活力をもって生き返らせる処方箋を下記に列記した。
1、法治国家における法律としての再販制度を崩壊させようと、公取委が再販違反行為をいろいろと押し付けてくるのは行政府としておかしいとして、抗議を申し入れること。
2、出版業界は再販商品と非再販商品の区分を明らかにすること。
販売に当たっては読者に混乱のおきないように留意すること。
再販商品の弾力化などあり得ないこと。
混乱の原因となる、再販商品の期間限定割引販売等は中止すべきであること。
3、ポイントカードは再販問題とされた以上、再販指定権者である出版社は、再販委員会を通して見解を明らかにすること。
4、再販制と委託制は車の両輪としてきたが、委託制が現状では再販制を補完しないばかりか、歪みすら生じている事態の改善に努めること。
5、公取委はその他流通上の歪みをいろいろ指摘してきた。
これに対して出版業界は、その指摘はもっともであるが、それは再販問題ではないとしてきた。
そして再販制存続という結論を得た。
いわば流通改善は積み残された問題といえる。
この問題の解決無しには、今後再販制は読者の支持を得られないだろう。
重ねて言う。
このまま何もしないで済ませれば、再販制は、内部的に崩壊してゆくだろう。
喜んでばかりはいられない危機をはらんでいる。

ABC部数・2000年下半期レポート

日本ABC協会は、二〇〇〇年下半期(七−十二月期)の雑誌発行社レポートを発表した。
これによると、前年同期を一〇〇とした雑誌の販売指数平均は、週刊誌が九四・三三、月刊誌が九七・四一で、合計九六・一八と前年同期を三・八二ポイント下回った。
総合週刊誌では『週刊ポスト』『週刊現代』の一、二位は変わらず。
前期でともに大きく落ち込んだが、今期はそれぞれ一万二千部増、四千部増とわずかながら上向いた。
このほかの総合週刊誌も大きな変動はないものの、多くが横ばいかダウンとなった。
女性誌は『主婦の友』が八万部増の二十八万二千部と大きく部数を伸ばした。
『ESSE』が三万部増、『女性自身』が一万二千部増と盛り返した一方、『週刊女性』は四万八千部減、『女性セブン』は二万一千部減とまちまちの動き。
ファッション誌では『non・no』が十万五千部減で六十万部台に後退。
ストリート系雑誌『Boon』は六千部増の十八万六千部と長期低落に歯止めがかかった形だが、九七年上半期の水準に比べると三分の一の部数となっている。
順調に推移していたパソコン誌は、やや頭打ちの状態。
インターネット活用誌『Yahoo!InternetGuide』は三万一千部減、『日経ネットナビ』は三万三千部減と落ち込みが目立った。
角川書店発行の都市情報誌は、各誌で二期連続の部数減と伸びが一服した。

本屋さんのパソコン活用パート2

IT革命、流行に流されるな!IとTを良く知ろう。
噂言葉とイメージだけの議論やIT活用は決して利益にならない。
自分の頭で良く考えよう。
IはInformationだが、断片的知識やデータの活用目的をはっきりさせ、その目的に即して集め、検査評価分析加工し、実務に活用実験したその結果をデータベースに加え、評価集成し、また他の情報と自店の現状を比較しつつ問題点を発見し、その解決法構築のための情報を収集する、というサイクルに入る事が重要。
この情報リテラシーが無ければ、いくらT(technology)が揃っていて操作できても、それだけでは書店現場の益にはならない。
IT化は知識やデータなどコンテンツのデジタル化を元にしている。
実務ではデジタル化できる情報は一部、多くても半分であり、活用面もあわせて考えると、肝心なところはアナログ(アナロジー;類似)的な思考に寄っている現実も合わせ知った活用を心掛けたい。
「情報」と「職能的情報観」情報はパーソナル性が高い。
Aさんに有益な情報でもBさんには全く無益な場合も多々ある。
すると「本」など本来パーソナル性の高い情報商品なんですね。
「情報」という言葉は1887年フランスのアンフォルマシオン「歩兵陣中要務実地演習軌典」を鴎外によって訳されたのが最初らしい(月尾嘉男+田原総一朗『IT革命のカラクリ』アスキー刊より)。
生死をかけた勝敗を握る戦場や敵兵力の知識やデータを意味したようです。
すなわち活用できてこそ初めてインフォーメーション=行動への案内になるわけで、いくら高性能なパソコンで高度で詳しいデータベースやオンラインで情報収集しても、それはそれで良いことなのだが趣味人の世界であり、書店人という職能の世界ではないでしょう。
情報の使用価値を決めるのは情報受容者、すなわち使うひと個人です。
個人の今の必要性が価値を決めます。
書店人の場合、自店の今の問題解決であり、それゆえ自店の問題が明確に意識され自店や業界の構造を理解しているかという「書店人としての職能レベル」に左右されます。
そのレベルを自覚し拡大させてくれる能力が情報リテラシーです。
書店人の情報リテラシーとは?1、情報活用の目的と達成指標の設定法2、情報(断片的知識やデータ)の収集とデータベース構築法3、メディアや情報の評価検証法4、情報分析と分析ツール(アプリケーションやソフト)の検証5、問題解決システムの仮説構築法とプランニング6、情報発信法とツール(ハードとソフト)の最適検証7、IT・スキル体得法と指導法(パソコンや携帯端末など)

本屋さんのパソコン活用パート2

オフライン活用とは電話回線(ライン)との結合を前提とした使い方以外のパソコン活用全てを云います。
とはいえ活用現場ではオン、オフ両活用を明確に分類すること自体には大きな意味はありません。
分類は自分を知ったり現実を知るための方便にすぎません(分類は思考の有効な手段で「分ける」から「分かる」のですから)。
例えばオフライン活用の例として自店の商品管理をとると、活用に便利ならオンラインでも活用するもので、その核になる考え方やパソコンという道具の使い方は自店独自のものです。
コミックでも文庫でも書誌データがなければ自店で担当者が分かるようには管理できません。
この書誌データを出版社から、また書店グループから通信回線を使って入手すると入力の手間が省け(オンライン活用になる)、その時間を販売データの採取と分析と活用にあてられます(オフライン活用になる)。
整備された販売データや在庫状態や自店の販売戦略などをグループ書店や出版社や取次にレポートし(オンライン活用)商品管理のさらなる整備と活用に使う、というのが現場での活用の考え方でしょうから、オン・オフ両用併用して使うのが現実です。
★パソコンはオフライン活用から始まった書店にパソコンが導入されたのは25年前くらいからでしょうか。
最初は外商ソフトだったと思います(三重県伊賀上野の岡森書店さんが開発)。
次いで市販の経理ソフトを、書店人が個人的に自店の管理に使っていました。
書店が自主的に書店現場の必要に伴って出来るところから始めてたわけです。
取次では請求や配本業務に順次大型コンピュータを導入、書店向けのPOSシステムを委託開発し書店に販売していきます。
また、出版社では在庫管理と在庫情報を出版VANで実施しています。
POS=EDIの先進国であるアメリカやドイツでは出版流通システムの違いもあって(取次は50%以下のシェアーで取次間競争があり、原則買い切り書店マージン40%弱、再販制度の有無、書籍定価は日本の2倍など)書店のPOS端末は無料に近い状態です。
国情の差はともかく、流通システムとしては善くも悪しくも取次の影響力に左右されながら、まずは取次の「配本」に必要な観点からPOS=EDIシステムが立ち上がります。
それに伴って「書店もコンピュータの時代か」という意識も拡がっていきます。
90年に入るとインターネットがマスコミにクローズアップされます。
インターネット書店もオープンします。
古書店はもともと目録による販売をしていましたから目録作成には経験豊富で、冊子からインターネット上のHPに目録情報の伝達手段が変っただけでしたが、新刊書店では書誌目録は出版社や取次の創ったものを利用するだけで自作していませんので、書誌データベースやコードのありようも問題になっています。
同時に書店POSも自店在庫掌握型の商品管理システムが開発普及しつつあり取次・出版社とのEDI連携が成されつつあります。
いわゆる業界SCMでしょうか。
このように書店独自の使い方から始まってオンラインで流通全体にリンクしていく活用法になっています。
★足下を固めてこそパソコンは使える書店現場では様々な業務が在りますがいずれもデータ管理や計算を必要としています。
業務を分類して各々のパソコン活用を想定してみましょう。
1、販売業務。
いわゆるPOSデータからお客の買われ方傾向を探り品揃え(在庫構成)を変えていくという使い方です。
単品管理が原則となり単品特性の共通性からグループ化して期間変動を数値で捉える作業をします。
この販売データとお店の販売戦略とからめて新刊送品を変えたり補充注文したり返品したりすることで、在庫の構成をお客の購買にフィットさせていくわけです。
2、仕入管理。
販売管理に基づきランク変更や定期改正という商品仕入の適正化を図りますが、仕入先の自店協力度にも気を配ります。
勿論仕入金額というデータは経理で流用されます。
3、商品管理。
品揃えの適正を図るのが第一目的ですが、従来書店では返品やロス管理と理解していました。
しかし実務的には、在庫構成は仕入と販売と返品とロスによって代わっていきますから、これらを雑誌や文庫といったジャンル毎に行っています。
ですから商品管理に使うデータ表は、在庫を単品で常に掌握できる形で仕入や販売や返品のデータを組み込んで一覧できれば便利です。
(連載15〜17回で)4、外商管理。
納品書や請求書の作成や売掛管理を意味しますが、個客別購入履歴をベースにしていますから、個客情報データベースとして販売にも活用されます。
パソコンでの管理の場合、売掛管理は自動化して個客情報は担当者が自由に引きだし加工できるようにしておけば有益です。
(11と12回では外商管理と客注管理、13回では教科書・教材、14回では図書館納品を)5、経理業務。
お店の健康診断・体力測定ですから重要です。
申告にも不可欠ですが、中でも人件費の有効活用という面で教育訓練や業務管理の効果測定にも使います。
(20回)6、業務・育成管理。
聞きなれない言葉ですが、業務管理と教育訓練人事管理とは密接に関連していますので、個人の仕事の仕方の記録や適正化情報としても店全体の羅針盤としても使います。
ここには報告・連絡・相談の仕方が前提になります。
(21回で業務管理、22回で教育訓練人事管理を)他にもお店のパソコン管理は考えられますが、最も重要な「個客管理」を18・19回で客注管理を例に創ってみます。
外商での客注や図書館注文、教材の受注も含んだ形で、自店を支持してくださる個人(恋人?)をもっと良く知る方法でもあります。
こうして見ると書店現場のほとんどの業務でパソコンを使えそうです。
単に自動化(販売はPOSレジ、返品と発注はハンディーターミナル、宣伝はインターネット…)とだけ思い込まず、自店の実情に合わせて使える業務から始める事が大切です。
(甲川純一)

聴覚障害者支援に

聴覚障害者のための機器を企画・販売しているワールドパイオニアは、簡易筆談器「かきポンくん」の書店、図書館での販売促進を図っている。
「かきポンくん」は窓口などでのコミュニケーションに困っている聴覚障害者の問題解決に役立つために開発された商品で、付属のマグネットペンをスクリーンに軽くすべらせるだけで書き込むことができるもの。
すでに全日空、帝国ホテル、多摩中央信用金庫、中野区立図書館などが設置している。
同社では「役所や交通機関などのバリアフリーは進んでいるが、書店や図書館の聴覚障害者のための配慮は著しく遅れている。
かきポンくんを導入することで、聴覚障害者が店を利用する機会も増える」としている。
価格は二千七百円(税別)。
問い合わせはワールドパイオニア(03−3229−2282)まで。