全国書店新聞
             

平成28年8月1日号

16年上期、紙の出版物は2・7%減/出版科研

出版科学研究所は2016年上半期(1~6月)の出版統計を発表。これによると、紙と電子の出版物の市場規模は前年同期比0・3%減の8548億円となった。
紙の出版物(書籍・雑誌合計)の推定販売金額は同2・7%減の7701億円。内訳は書籍が同1・6%増の4064億円、雑誌が同7・1%減の3637億円だった。

生き残り策、業界全体で検討を/書店東北ブロック大会で藤原会長

第68回書店東北ブロック大会が7月7日、青森県書店商業組合の設営により八戸市の「グランドサンピア八戸」で開かれ、東北6県の書店や出版社、取次など約180名が出席。書店東北ブロック会の藤原直会長は、本を購入してもらうきっかけ作りの重要性を指摘し、「生き残っていくために何ができるか、もう一度業界全体で考える時だ」とあいさつした。
第1部は会員書店のみが参加して開催。あいさつに立った藤原直会長(宮城県書店商業組合理事長)は、近年の消費動向について触れ、「『自分へのご褒美』とか『今日しか買えないから』といった、何か『言い訳』がないと財布のひもが緩まない。翻って、我々の業界に『言い訳』になるものがあるか、そのきっかけになる働きかけができるかは、なかなか難しい」と分析。
そして、主要書店組織のトップが提唱している、年1日限定で全国書店が一斉に自由価格で本を販売する読者謝恩の日について言及し、「きっかけになる1つの手法」との見解を示す一方、「実施にはしがらみがあり、ハードルも高い。ずっと守ってきた再販制度をどう担保できるか、アマゾンなどが値引き攻勢をかけてきたとき対抗できるのかという難しい問題がある」と指摘。「しかし、今何かスタートしなければいけないことは皆さんも感じていると思う。我々が生き残っていくために何ができて何ができないか、あるいは何をしなければいけないのか、もう一度業界全体で考える時が来ている。今日ここに集まった書店、出版社、取次が胸襟を開いてアイデアを出し、話し合う中で1つでもいい形にもっていきたい」と話した。
続いて、日書連・舩坂良雄会長が日書連活動について報告。舩坂会長は、このほど報告書をまとめた「全国小売書店経営実態調査」について、ここ数年の経営状態が悪化したと答えた書店が全体の85・2%に上ったこと、安定した経営のために適切な正味は「30%」と回答した店が49・0%に上ったこと、組合活動に対応を望むことでは、「書店マージンの拡大」が63・7%でトップになったことなどを説明して、「店を経営するためには、今のマージンではとてもやっていけないという声が上がっている。出版社、取次、業界団体と話し合い、結果として書店に何らかのメリットがあるものが出てくればと考えている」と述べた。
議事では、東日本大震災で日本漢字能力検定協会から贈られた義援金を積み立てた特別積立金から、秋田組合の読書環境整備事業に20万円を助成したと説明。秋田組合・加賀谷龍二理事長が、秋田出身の作家や秋田を題材にした子どもの本のブックリスト「秋田を知る本」を助成金で1万枚作成し、小学校・幼稚園・保育園に配布したことなどを報告した。
全員が参加して行った第2部では、八戸市の小林眞市長が「家族で本屋さんへ行こう!」と題し講演した。冒頭で青森組合・成田耕造理事長が「八戸は東日本大震災で被災したが、復興の旗振り役をした小林市長が取った手法が、本の力を使った復興だった。八戸の書店が市長の力でいかに元気を取り戻しているか、また他県でもこういった仕組みができないか、研究の一助になれば幸いだ」と歓迎のあいさつ。終了後、次年度当番県の岩手組合・玉山哲理事長が、大会を来年7月6日につなぎ温泉で開催すると報告した。

雑協「雑誌戦略会議」が取組み説明/東京組合理事と意見交換

東京都書店商業組合(舩坂良雄理事長)は7月5日、東京都千代田区の書店会館で定例理事会を開催した。
組織委員会では、矢幡秀治委員長からエリア活動について、組織担当の田島敏幸副理事長とともに各支部を回り、エリア会についての説明を行っていると報告があった。エリア会については今年度も2回の開催を要請、10月までにエリアの役員会を開き、2回目は各支部員が参加するエリア会を開いてほしいと述べた。
事業・読書推進委員会からは、増売企画として、SBクリエイティブ「沿線格差」、化学同人「DOJIN選書」刊行10周年フェア、飛鳥新社「ひとりじゃなかよ」の説明を行った。
理事会終了後、日本雑誌協会から「次世代雑誌販売戦略会議」の井上直議長(ダイヤモンド社)と高橋憲治事務局長が出席して同会議の取組みについて説明し、意見交換を行った。
同会議は、雑誌活性化に向けた具体策を立案・検証するために立ち上げられたもの。井上議長は、「単号売り伸ばし」「定期購読・店頭取り置き」「雑誌価値発信」の3チームを設置して施策を議論していると説明。「単号売り伸ばし」では、バックナンバーを伸ばす手段として、時限再販の実験を考えていると述べた。
東京組合の理事からは、時限再販の取組みについて「値引の必要はなく、その原資は店頭での宣伝に回すべき」「値引は最後の手段で、お客も安くなるまで待とうとするし、今までの値段を高く感じてしまい、危険だ」との意見が出た。
また、「雑誌を配達する努力に対して報いようという出版社がない」と指摘する意見や、「書店がなぜ施策の話し合いの中に最初から入れないのか」との声も上がった。
このほか高橋事務局長から、今年12月31日を特別発売日にする取組みについて経緯の説明があり、理事からは「大晦日は店じまいが早く、30日にできないか」と要望があった。

読書週間書店くじ実施要綱

▽実施期間平成28年10月27日(木)より11月9日(水)まで。書籍・雑誌500円以上購入の読者に「書店くじ」を進呈
▽発行枚数200万枚。書店には1束(500枚)3571円(税別)で頒布
▽申込方法と申込期限注文ハガキに必要事項を記入し、束単位で所属都道府県組合宛に申し込む。締切は8月20日(厳守)
▽配布と請求方法くじは取引取次経由で10月25日前後までに配布。代金は取引取次より請求
▽当せん発表12月5日。日書連ホームページ並びに書店店頭掲示ポスターで発表
▽賞品総額2860万円
当せん確率は9・6本に1本
1等賞=図書カード1万円400本
2等賞=図書カード
又は図書購入時充当1千円600本
3等賞=同5百円8000本
4等賞=図書購入時に充当百円20万本
▽賞品引換え1、2、3、4等賞は取扱書店で立替え。図書カード不扱い店または品切れの場合は、お買い上げ品代に充当
▽引換え期間読者は12月5日より平成29年1月10日まで。書店で立替えたくじは平成29年1月31日までに「引換当せん券・清算用紙(発表ポスターと同送)」と一緒に日書連事務局に送付
▽PR活動「読書週間書店くじ」宣伝用ポスターは日書連ホームページ(http://www.n-shoten.jp/)よりダウンロード(郵送はしません)。全国書店新聞に実施要綱を掲載。日書連ホームページで宣伝

「絵本・日本プロジェクト」を傘下に/JPIC

出版文化産業振興財団(JPIC)は6月21日に東京都新宿区の日本出版クラブ会館で評議員会を開き、平成27年度事業報告、決算・監査報告を承認したほか、平成28年度事業の経過と今後の計画についての報告等を行った。
平成28年度事業については、第24期JPIC読書アドバイザー養成講座の開講、夏目漱石没後100年記念事業「ゆかいに漱石」講演会の開催、各地の書店大商談会への協力などについて説明があった。また、これまで文字・活字文化推進機構の傘下で活動してきた「絵本・日本プロジェクト」(髙橋小織会長、BOOKS隆文堂)の活動基盤を7月からJPICに移すことを承認した。「絵本・日本プロジェクト」は2010年11月に設立され、絵本専門士資格制度事業や、国立オリンピック記念青少年総合センター「キッズコーナー」の運営サポート、地域書店活性化イベントなどに取り組んでいる。

「ポケッター」17年版、申し込みはお早めに!

日書連組織委員会(中山寿賀雄委員長)は、年末年始の贈答用に「ポケッター17」(78×127×3㍉)、名入れ印刷の代用に便利な「店名刷込シール」(55×25㍉)を斡旋します。どうぞご活用ください。
受注生産となっておりますので、下記の点にご注意ください。
①価格は申込総数により決定しますので、今回のご案内は予定価格です。決定次第、書店新聞等でお知らせします。
②申込締切日以降の申込み及び申込みのキャンセルはできません。
③ポケッター店名入りまたは店名刷込シールの申込みは、必ず印刷原稿を添付してください。
※以下は3万5千~4万2千部製作した場合の本体予定価格です。別途消費税がかかります。
◇ポケッター店名なし(のし袋付)=百部単位。百部1万400円~1万1000円
◇ポケッター店名入り(のし袋付)=5百部以上、百部単位。印刷は後ろ見返し。のし袋への印刷は不可。
5百部以上・百部あたり1万2400円~1万3000円、1千部以上・百部あたり1万1800円~1万2400円、1千5百部以上・百部あたり1万1600円~1万2200円
◇店名刷込シール
5百枚以上・百枚あたり1350円、1千枚以上・百枚あたり1150円、2千枚以上・百枚あたり1050円
※「ポケッター店名入り」「店名刷込シール」の書体は細ゴシック体または明朝体に限ります。
ご注文は所定の申込書に必要事項を記入の上、所属の都道府県組合へ。申込締切8月20日(厳守)。11月上旬頃に取引取次より配送します。

電子出版の書店への影響懸念/岡山組合通常総会で小野理事長

岡山県書店商業組合(小野正道理事長)は6月25日、岡山市の岡山県教科図書販売藤原営業所で第29回通常総会を開催し、組合員47名(委任状含む)が出席した。
開会に先立ちあいさつした小野理事長は、NTTドコモのdマガジンについて言及。岡山県では一般の雑誌より1日早く読めるとして、電子出版が書店に与える影響を考えていく必要があると指摘した。
総会は、事務局の林氏を司会に進行し、議長に小野理事長を選任して審議。平成27年度事業報告ならびに収支決算報告、平成28年度事業計画・予算案など全ての議案が原案通り承認可決された。読書推進運動の報告の中で、都市部と田舎で書店くじの利用状況に違いがあるとの話があり、これからは、この点を踏まえて考えていかなければいけないと説明があった。
今回は特別な講演等は企画しなかったが、トーハン岡山支店の深澤智紀支店長を囲みながらの懇親会で、最近少なくなった、出版社をまじえての交流会をやりたいとの話が出ていた。
(横井憲五広報委員)

238社250ブースが出展/出展社説明会を開催/書店大商談会

第7回「書店大商談会」(主催=「書店大商談会」実行委員会)の出展社説明会が7月14日、東京都新宿区の新宿区立牛込箪笥区民ホールで開催された。
書店大商談会は10月4日(火)午前11時~午後5時半、東京都文京区の東京ドーム「プリズムホール」で開催する。コミックはサロン形式で行い、分科会を10月20日(木)午後1時半~5時、東京都文京区の講談社本館6階講堂で行う。今回の出展社は238社250ブース。来場書店人数1000名、商談成立金額1億円(本体価格)を目標としている。
当日は、来場者が会場奥も含めて全体に分散しやすいように、商談会開始から数時間程度、西入口から会場中央までパーテーションで区切った通路を設置。また、東出口近くに休憩スペースを設ける。
書店への事前周知・集客手段としては、8月上旬から開催直前まで、案内チラシを首都圏書店に限らず広く配布。9月上旬に出展社の情報を掲載したパンフレットを、主に取次各社を通じて書店に配布する。facebookに加えてツイッターでも情報を発信し、イベントやサイン会情報、各出展社の特典情報や取扱商品などの情報を掲載していく。
また、サイン会やイベントなどの販売企画事例、書店の来場・仕入を促進するため購入額の5~10%を還元する「キャッシュバック券(旧お楽しみ券)」について説明した。
説明会の席上、矢幡秀治実行委員長(真光書店)は、「書店にとってこれだけ多くの出版社、第3商材の方と一遍に出会える場はない。来場した書店にとって有益になる特典を考えていただければと思う。小書店にも合った特典を考えていただければありがたい」とあいさつ。
日書連の舩坂良雄会長は「自分の店に合った本を仕入れたいという書店の願いが、第7回を迎えるこの商談会になっている。多くの書店に来ていただけるよう売場の担当者にお声掛けをお願いする」と述べた。

漱石生誕150年の講演会企画/永年勤続従業員14名を表彰/新潟総会

新潟県書店商業組合の第32回通常総会が、6月17日午後4時より新潟カルチャーセンターで開催され、組合員54名(委任状含む)が出席した。
総会では初めに西村俊男理事長があいさつで、『崖っぷち社員たちの逆襲』(WAVE出版)を紹介。「お客様は裏切らない。本屋がお客様の期待を裏切っているだけだ」など、地方書店の再生を描いた同書の内容について話した。
続いて、平成27年度事業報告収支決算、平成28年度事業計画収支予算等の議案が審議され、いずれも可決承認した。
本年の事業計画では、昨年と同様に、にいがた文学検定と「絵本ワールド」を開催。また漱石生誕150年記念の講演会を新潟市で開催することを決定した。また、その他議案として、組合員以外の雑誌発売日違反等に関して、組合員から意見があった。続いて永年勤続従業員表彰が行われ、今年度は14名が表彰された。
総会終了後、市内の割烹で懇親会が行われ、取次、地元出版社、運送会社も参加して、活発に意見が交わされた。
(酒井久和広報委員)

「万引防止サミット」開催へ/万防機構総会

全国万引犯罪防止機構(万防機構)は6月16日、東京都千代田区の主婦会館プラザエフで平成28年度通常総会を開催した。
総会は会員77名(委任状含む)が出席。冒頭であいさつした竹花豊理事長は、平成28年度事業計画について触れ、「『万引防止サミット』を来年3月に開催したい。各都道府県の万引防止協議会に参加いただき、アメリカやその他の外国からも参加を得て、万引防止に関わる多くの方々が気持ちを一つにし、この問題に取り組もうという決意を固める大会にしたい」と述べた。
そのほか新規事業として、盗難情報の共有化に関する2つの部会の発足や、ネットへの盗品流入防止委員会の発足などについて説明した。
議案審議は竹花理事長を議長に選出して行い、平成27年度事業報告及び決算案、平成28年度事業計画案及び予算案など全ての議案を原案通り承認可決した。
総会終了後、第2部は小売の現場での万引実態について、日本チェーンドラッグストア協会防犯・有事委員長・石田岳彦氏、長野県警察本部少年課課長補佐・新井美雪氏、万防機構・普及推進委員長・若松修氏がそれぞれ報告した。

全国小売書店経営実態調査報告書

日書連が6月にまとめた「全国小売書店経営実態調査報告書」によると、85.2%の書店がここ数年の経営状態が「悪くなった」と感じていることが分かった。組合活動に望む対応としては「書店マージンの拡大」「客注品の迅速確実化」「出版物再販制の擁護」の3項目が上位になった。報告書の内容を紹介する。
【第1章書店の現状】
1、立地環境
 商店街49.9%
 住宅地22.0%
 駅ビル 3.9%
 オフィス街3.3%
 郊外10.9%
 SC内7.0%
 無回答3.1%
 商店街が49.9%と半数を占め、住宅地の割合も含めると約7割が商店街と住宅地に集中している。
2、売場面積
 10坪以下19.3%
 11~20坪26.9%
 21~40坪21.9%
 41~100坪17.4%
 101坪~200坪7.5%
 201坪以上4.4%
 無回答2.6%
 回答した書店の売場面積は、「11~20坪」の店舗が26.9%で最も多く、次いで「21~40坪」(21.9%)、「10坪以下」(19.3%)の順になっており、40坪以下の店舗が全体の約7割を占めている。
3、兼業の割合と兼業の種類
 兼業はしていない30.6%
 外商のみ10.0%
 文具43.3%
 AV販売8.1%
 AVレンタル2.2%
 雑貨12.6%
 教材19.9%
 その他(宅配.クリーニング.チケットの取次等)14.9%
 無回答1.9%
 回答した書店のうち、兼業をしていない「専業店」は30.6%である。兼業店における書籍.雑誌以外の取扱商品.サービスは、「文具」が43.3%で最も高く、以下「教材」(19.9%)、「雑貨」(12.6%)、「AV販売」(8.1%)の順である。
4、教科書の取扱
 はい55.7%
 いいえ42.9%
 無回答1.4%
 回答書店で教科書を取り扱っている店舗は55.7%あり、半数以上の割合となった。
5、総売上に占める兼業割合
 10%未満26.5%
 10~20%16.9%
 20~30%12.0%
 30~40%8.8%
 40%以上27.0%
 無回答8.8%
 総売上に占める兼業割合40%以上の兼業依存率が高い店舗は27.0%、逆に依存率10%未満の専業店に近い店舗は26.5%である。
6、営業時間
 10時間以下31.9%
 10~12時間54.0%
 12~14時間9.7%
 14時間以上2.6%
 無回答1.8%
 一日の営業時間が「10~12時間」の店舗が54.0%で最も多く次が「10時間以下」(31.9%)である。
7、定休日
 無休37.7%
 月1回5.9%
 月2~3回6.0%
 週1回35.4%
 不定期11.7%
 無回答3.4%
 定休日のない年中「無休」の店舗が37.7%を占めて最も多く次いで「週1日」が35.4%である。
8、従業員構成(1)(家族従業員の人数)
 0~1人26.8%
 2人25.0%
 3人15.8%
 4人7.5%
 5人以上1.6%
 無回答23.2%
 家族従業員は、「0~1人」(26.8%)が最も多く、次いで「2人」(25.0%)である。0~2人で半数以上の割合を占めている。
8、従業員構成(2)(雇用従業員の人数)
 0~2人30.1%
 3~5人11.7%
 6~7人2.0%
 8~10人1.7%
 11人以上2.4%
 無回答52.1%
 雇用従業員は、「0~2人」(30.1%)が最も多く、次いで「3~5人」(11.7%)である。
8、従業員構成(3)(パート.アルバイトの人数)
 0~2人29.2%
 3~5人14.0%
 6~10人9.6%
 11~50人8.1%
 51人以上1.3%
 無回答37.8%
 パート.アルバイトは、「0~2人」(29.2%)が最も多く、次いで「3~5人」(14.0%)である。
9、POSレジ導入の有無
 はい34.8%
 いいえ62.4%
 無回答2.8%
 POSレジを導入していない書店は62.4%を占め、導入していると回答した書店(34.8%)を大きく上回る。
10、学校図書館、公立図書館への納入の有無
 はい66.9%
 いいえ31.0%
 無回答2.1%
 学校図書館、公立図書館に納入している書店が66.9%を占め納入していない書店が31.0%である。
【第2章経営の実態】
1、書籍と雑誌の売上比率
 書籍8対雑誌2
 9.1%
 書籍7対雑誌3
 7.7%
 書籍6対雑誌4
 10.7%
 書籍5対雑誌5
 11.6%
 書籍4対雑誌6
 15.9%
 書籍3対雑誌7
 18.6%
 書籍2対雑誌8
 21.2%
 無回答5.1%
 「書籍2対雑誌8」の売上比率の店舗が最も多く21.2%、次いで「書籍3対雑誌7」の売上比率が18.6%。雑誌の割合が6割以上を占める店舗は55.7%になる。
2、商品回転率
 2回転未満36.0%
 2~3回転27.2%
 3~4回転12.7%
 4~5回転6.1%
 5回転以上6.6%
 無回答11.4%
 年間商品回転率(年間売上高/在庫高)は、「2回転未満」(36.0%)「2~3回転」(27.2%)「3~4回転」(12.7%)の順となり、4回転未満が75.9%を占める。
3、商品入荷状況(新刊書籍全般)
 希望通り入荷することが多い8.5%
 入荷するが希望数は入らないことが多い33.4%
 ほとんど入らないことが多い53.1%
 無回答5.0%
 新刊書籍全般の入荷状況では、「ほとんど入らないことが多い」とする店舗が53.1%と半数以上に上り、最も多い。次いで「入荷するが希望数は入らないことが多い」(33.4%)となっており、「希望通り入荷することが多い」とする店舗は8.5%である。
3、商品入荷状況(ベストセラー)
 希望通り入荷することが多い7.2%
 入荷するが希望数は入らないことが多い33.9%
 ほとんど入らないことが多い53.6%
 無回答5.3%
 ベストセラーの入荷状況は、全体の53.6%が「ほとんど入らないことが多い」として最も多い。次いで「入荷するが希望数は入らないことが多い」(33.9%)である。
3、商品入荷状況(雑誌)
 希望通り入荷することが多い33.0%
 入荷するが希望数は入らないことが多い47.6%
 ほとんど入らないことが多い14.3%
 無回答5.0%
 雑誌の入荷状況では、「入荷するが希望数は入らないことが多い」という店舗が47.6%を占め、「希望通り入荷することが多い」という店舗は33.0%である。
3、商品入荷状況(補充品)
 注文通り入荷している34.2%
 入荷するが遅い47.5%
 品切れが多い11.4%
 無回答6.9%
 補充品に関しては、全体の半数近くに上る47.5%が「入荷するが遅い」と回答し、「注文通り入荷している」と回答した店舗は34.2%である。
3、商品入荷状況(客注品)
 入荷するが遅い30.8%
 入荷日が不正確23.1%
 取次より宅配が早い10.1%
 注文通り入荷する29.3%
 品切れが多い2.4%
 無回答 4.3%
 客注品の入荷状況は、「入荷するが遅い」が30.8%で最も多く、次いで「注文通り入荷する」29.3%となっており、「入荷日が不正確」と回答した割合は23.1%である。
4、雑誌における定期改正
 正確に速やかに反映される12.7%
 速やかに反映される47.5%
 何回か催促して反映される30.8%
 ほとんど反映されない5.2%
 無回答3.7%
 雑誌の定期改正については、「速やかに反映される」とする店舗が47.5%を占め、次いで「何回か催促して反映される」30.8%である。
5、取次の正味高の仕入利用
 客注で利用55.8%
 ベストセラーで利用14.0%
 利用していない36.0%
 無回答 7.2%
 取次の正味高の仕入を利用をしている割合は、「客注で利用」が55.8%で最も多く、次いで「利用していない」の回答が36.0%である。
6、仲間卸について
 している22.4%
 していない74.5%
 無回答3.1%
 「仲間卸」の活用については、「していない」との回答が74.5%に上り4分の3を占めている。「している」との回答は22.4%である。
7、後継者の有無
 はい40.4%
 いいえ51.5%
 無回答8.1%
 後継者の有無に関しては、「はい」が40.4%で、「いいえ」が51.5%となり、後継者が不在という書店が半数を超える。
【第3章取引の実態】
1、取次会社
 日販35.3%
 トーハン50.4%
 大阪屋8.6%
 栗田5.6%
 日教販8.8%
 中央社3.8%
 太洋社2.8%
 協和1.1%
 教科書供給所(県教販含む)39.4%
 その他10.1%
 無回答1.4%
 回答書店が取引している取次会社は、「トーハン」(50.4%)「教科書供給所(県教販含む)」(39.4%)、「日販」(35.3%)の順となった。
2、取次の決算月における大量送品の有無
 ある29.3%
 ない40.7%
 わからない25.1%
 無回答4.9%
 取次の決算月における大量送品は、「ない」と回答した書店が最も多く40.7%、「ある」と回答した書店は29.3%である。
3、返品入帳操作の有無
 あると思う29.4%
 無いと思う29.9%
 わからない35.5%
 無回答5.2%
 取次における返品入帳操作は、「あると思う」と回答した書店が29.4%、「無いと思う」と回答した書店が29.9%とほぼ同率の回答となった。
4、返品入帳締日変更通知の有無
 来た49.7%
 来ない40.5%
 無回答9.8%
 取次から返品入帳締日の変更通知が、「来た」と回答した書店が約半数の49.7%。「来ない」と回答した書店は約4割の40.5%である。
5、返品入帳締日変更内容について
 理解できた22.6%
 わかりにくい18.7%
 わからない23.0%
 あくまで同日精算を求める17.7%
 無回答18.0%
 返品入帳締日変更の内容については、「わからない」という回答が最も多く23.0%、次いで「理解できた」(22.6%)となっており、「わかりにくい」とする回答が18.7%である。また、「あくまで同日精算を求める」が17.7%となった。
6、返品入帳の改善について
 はい36.3%
 いいえ43.3%
 無回答20.5%
 返品入帳の改善が確認できたかについては、「いいえ」という回答が43.3%となったのに対し、「はい」という回答が36.3%となった。
7、取次からの請求
 100%83.2%
 90%2.7%
 80%3.2%
 その他3.4%
 無回答7.5%
 取次からの請求額支払いに関しては、「100%」と回答した書店が83.2%と8割以上を占めている。
8、歩戻しについて
 はい31.5%
 いいえ54.6%
 無回答13.9%
 歩戻しをもらっているかどうかに関しては、「はい」が31.5%に対し「いいえ」は54.6%で、「いいえ」が「はい」を20ポイント以上上回った。
【第4章経営の現状】
1、経営状態の変化
 良くなった1.5%
 変わらない10.5%
 やや悪くなった17.9%
 悪くなった36.1%
 非常に悪くなった31.2%
 無回答2.8%
 ここ数年間の経営状態はどのように変化しているかについては「悪くなった」36.1%、「非常に悪くなった」31.2%、「やや悪くなった」17.9%と全体の85.2%が悪くなったと感じている。
1、経営状態の変化(悪化の原因)
 客数.客単価の減少67.5%
 競合店の出店17.4%
 ネット書店35.7%
 立地環境の悪化16.8%
 ベストセラー.売れ筋商品の入荷難15.3%
 マージン不足16.3%
 経費の増大10.2%
 雑誌の低迷56.8%
 消費税増税31.6%
 その他5.4%
 無回答1.0%
 経営状態が悪くなったと回答した書店に原因を聞いたところ、「客数.客単価の減少」(67.5%)が最も高く、次いで「雑誌の低迷」(56.8%)、「ネット書店」(35.7%)、「消費税増税」(31.6%)である。
2、書籍の支払サイトについて
 60日24.7%
 90日41.7%
 120日17.4%
 その他1.6%
 無回答14.7%
 書籍の支払サイトは何日くらいが適切と考えるか聞いたところ「90日」という回答が41.7%で最も多く、次いで「60日」(24.7%)である。
3、安定経営のために適切な正味
 25%11.6%
 30%49.0%
 35%27.2%
 その他3.2%
 無回答9.0%
 安定した書店経営のために適切な正味については、「30%」が49.0%で約半数を占め、以下「35%」(27.2%)、「25%」(11.6%)の順となっている。
4、電子書籍販売
 電子書籍ストアとタイアップしている2.6%
 取次の販売システムを利用している14.0%
 販売していない79.0%
 無回答4.4%
 電子書籍の販売の取り組みについては、「販売してない」という回答が突出して高く79.0%に達している。次の「取次の販売システムを利用している」の割合は14.0%である。
5、活用している組合活動
 増売企画19.6%
 広報紙誌.ホームページ14.8%
 書店くじ38.8%
 情報交換.親睦28.2%
 共同購買5.9%
 研修会.講演会14.7%
 官公需などの協同納入8.0%
 組合の互助会10.6%
 読書推進活動11.3%
 日書連MARC10.1%
 その他5.1%
 無回答17.0%
 活用している組合活動を聞いたところ、「書店くじ」が最も高く38.8%。以下「情報交換.親睦」28.2%、「増売企画」19.6%、「広報紙誌.ホームページ」14.8%、「研修会.講演会」14.7%が上位である。
6、組合活動に望む対応
 増売企画の実施7.8%
 書店マージンの拡大63.7%
 客注品の迅速確実化39.4%
 出版物再販制の擁護29.7%
 適正配本26.5%
 支払いサイトの延長21.1%
 雑誌付録問題への対応17.4%
 雑誌発売日の励行7.8%
 雑誌全国同時発売の実現8.0%
 万引き問題への対応13.6%
 読書推進活動の展開10.2%
 情報化の推進6.1%
 書店人.従業員の教育.研修8.4%
 取次システムの無料化28.0%
 その他2.8%
 今後の書店業界の発展を図るために、組合活動にどのような対応を望むか聞いたところ、最も高いのは「書店マージンの拡大」(63.7%)であり、次が「客注品の迅速確実化」(39.4%)である。
7、今後の取り組み
 地域密着化52.2%
 外商強化38.7%
 専門店化9.4%
 複合店化9.4%
 インターネット.ビジネス8.9%
 電子書籍3.9%
 売場拡大1.2%
 リニューアル11.0%
 協業化4.4%
 その他5.9%
 無回答14.2%
 今後自店で取り組みたいことを聞いたところ、「地域密着化」が最も多く52.2%、次いで「外商強化」38.7%で、その他の選択肢を大きく引き離した。
[調査の概要]
日書連会員46都道府県組合に所属する組合員4015名を対象に、2015年7月20日現在で調査。機関紙「全国書店新聞」に調査票を挟み込んで送付、FAXで記入票を返送する方法で実施。回収総数1193票、回収率29.7%。

図書カードNEXTお披露目キャンペーン、8月31日まで

日本図書普及は次世代カード「図書カードNEXT」を知ってもらうための「お披露目キャンペーン」を実施している。A賞=東山魁夷シリーズ(1万円分×2百名)、B賞=ピーターラビットシリーズ(5千円分×3百名)、C賞=富士山シリーズ(1千円分×5百名)、D賞=柴犬図書カードNEXT(5百円分×1千名)が計2千名に当たる。図書カード(図書カードNEXT、磁気式カードどちらでも可)購入者に購入金額に関わらず専用応募ハガキを1枚進呈し、客は切手を貼って郵送で応募する。締切日は8月31日。問合せは日本図書普及・同キャンペーン係まで。℡03―3267―2575

「圧倒的な勝ち組の最強の勉強法」2書籍が好調/ディスカヴァー21

ディスカヴァー・トゥエンティワンは6月30日、東京都千代田区の同社で、『ハーバード×MBA×医師目標を次々に達成する人の最強の勉強法』の著者猪俣武範氏、『圧倒的な勝ち組になる効率のいい考え方と仕事の仕方』の著者天明麻衣子氏によるトークセミナーを開催した。
2月に発売した『ハーバード×MBA×医師目標を次々に達成する人の最強の勉強法』は発売直後から20~30代のビジネスパーソンを中心に売行きを伸ばし、発売から5ヵ月で5万部(4刷)に達した。5月発売の『圧倒的な勝ち組になる効率のいい考え方と仕事の仕方』も発売から2ヵ月で2万部(2刷)と好調に推移している。
トークセミナーでは、医師として勤務しながら、語学力ゼロからハーバード大学に留学し、MBAも取得した猪俣氏と、東大からNHKキャスター、JPモルガン勤務を経て、学力女王アナウンサーとして活躍する天明氏が、戦略的な勉強法で結果を出し、目標を達成するための勉強法について語った。両氏は目標設定、計画を考えて実行することの重要性を強調した。

雑誌「時限再販」キャンペーン/8月から240書店で実施/トーハン

トーハンは8月1日~9月30日の予定で、定価販売期間終了の後、時限再販・部分再販対象商品の値引き販売を書店店頭で可能にした「時限再販キャンペーン」を展開する。
日本雑誌協会ならびに出版社24社の協力のもと、リアル書店の店頭活性化を目的として一定期間キャンペーンを実施するもので、値引き販売による効果測定を行う。
対象誌は月刊誌およびその増刊56誌(延べ87アイテム)で、時限再販・部分再販による値引き販売が可能になるキャンペーン。参加書店には店頭用販促物、店頭オペレーション案内等が提供される。
今回はリアル書店の雑誌増売の可能性を探る実証実験と位置づけており、全国約240書店に限定した取り組みとなる。

5月期販売額4・1%減/書籍は文庫不振で前年割れ/出版科研調べ

出版科学研究所調べの5月期の書籍雑誌推定販売金額(本体価格)は前年同月比4・1%減となった。
書籍は同3・2%減。『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)が4~5月にかけて複数のテレビ番組で紹介されたことで135万部へとさらに伸長。文芸書でも石原慎太郎『天才』(幻冬舎)や宮下奈都『羊と鋼の森』(文藝春秋)、住野よる『君の膵臓をたべたい』(双葉社)などコンスタントに売れている書籍が多く、堅調に推移した。しかし文庫が不振で、書籍全体ではマイナスになった。
雑誌は同4・9%減。内訳は月刊誌が同5・7%減、週刊誌が同1・4%減。週刊誌の小幅減は前月の大幅減の反動。
返品率は、書籍が同変わらずの42・4%、雑誌が同1・7ポイント減の45・5%。雑誌は送品が同8・0%減と大幅に縮小しており、返品率は3ヵ月連続で改善された。特に週刊誌は同4・0ポイント改善された。昨年秋口からの送品抑制の効果が現れた形。
1~5月期の累計推定販売金額は同2・5%減。内訳は、書籍が同2・1%増、雑誌が同7・4%減。書籍の水準は変わらず高いが、前年の夏場は『火花』(文藝春秋)ブームに沸いており、今後のヒットタイトルの有無によって流れが変わる可能性もある。

生活実用書/注目的新刊

三島由紀夫は『大鏡』を読んで語彙力を鍛えたという。作家ならずとも、現代は日常の中で、特にカタカナの新語を覚えなければならないし、適切な表現に苦慮することが多くなってきている。
石黒圭著『語彙力を鍛える量と質を高めるトレーニング』(光文社新書821740円)は、語彙力によって知性を磨く方法を語る。
語彙力とは、語彙の量×語彙の質であるという。量は豊富な語彙知識、質は精度の高い語彙の運用。つまり人間の思考力を規定するのは言語力なので、単に言葉をたくさん知っているだけでもいけないし、どのように理解しているかも同時に必要なのである。
たとえば友人が急死して、いくらぐらい包んだらいいかわからないので、ネット検索をしたとする。葬式・金額と入力すると、葬儀費用まで現れてしまう。適切なキーワードは香典・相場である。
日本語は漢字とカタカナがあるため、本来日本には無かった借用語を語彙に取りこみやすい特徴がある。類語を、和語、漢語、外来語の三通りで表すことができる。昼飯、昼食、ランチがその例。では台所―[]―[]。[]―[]―デリバリーの[]には何が当てはまるだろうか。順に厨房、キッチン、出前、宅配、がその答えである。
言葉の形を変えれば中身まで立派になるという幻想、目を惹く表現を生み出せば偉くなれるという風潮など、現代社会の病と闘うために書いたとあとがきに印されている。
齋藤孝著『語彙力こそが教養である』(角川新書K―56840円)も、語彙力を鍛える一冊。やばい、まじ、などを連発する若者ばかりでなく、大人にも語彙の貧困化が深刻になっているという。
語彙が少ない、教養が乏しいと感じる人は、言葉選びが省エネで、本当の自分よりも低いレベルに見積もられてしまうという大きな代償を払っている。語彙が豊かになれば見える世界が変わるのだ。
第2章は、語彙力アップには名著が近道。以下、テレビやネットでも言葉は磨ける、8つの訓練で使える語彙にする、洗練された言葉づかいを身につける、と続く。
語彙を身につける、つまり教養を身につけるのは果てのない作業。だから楽しいし、世界が広がるのである。
(遊友出版斎藤一郎)

8月から雑誌80誌の時限再販フェア/日販「雑誌夏トクキャンペーン」

日販は、出版社34社ならびに日本雑誌協会の協力のもと、雑誌80誌・延べ136点がお得に買える「雑誌夏トクキャンペーン」を8月1日から9月30日まで実施する。
今期、時限再販による雑誌8誌の値引き販売を全国700書店で実施したところ、該当誌の販売部数が大きく伸びた。これを受け、今回は対象誌を大幅に拡大して、夏の時限再販フェアとして実施する。
キャンペーンでは、全国約350書店で対象誌の値引き販売またはTポイント、HonyaClubポイントの付与を行う。
日販は、キャンペーンに賛同した出版社の支援のもと、パネル、POPなどのオリジナル拡材や販売報奨金またはポイント原資を参加書店に提供する。