全国書店新聞
             

令和3年7月15日号

矢幡秀治会長を再選/日書連通常総会

〔粗利益拡大へ施策積み重ねる/読者還元祭、本の日中心に読書推進〕
日書連は6月24日、東京・千代田区の書店会館で第33回通常総会を開催した。矢幡秀治会長は、コロナ禍の日書連の活動を振り返り、書店くじに替わる新事業として始めた読者還元祭、組合加盟書店のキャッシュレス決済の導入状況を把握するためのアンケート調査、初めて警察庁の後援を得て作成した書店向け万引防止ポスターについて報告。粗利益拡大による経営環境改善と読書推進運動に引き続き力を入れると新年度の方針を示した。任期満了に伴う役員改選では矢幡会長ら正副会長全員を再選し、矢幡会長体制の2期目がスタートした。
今年も昨年に続き、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から出来るだけ書面議決書で出席するよう要請。本人4名、書面議決書35名、委任状6名の出席で行った。合計出席者は45名で、全会員が出席した。
総会は石井和之事務局長の司会で進行し、はじめに矢幡会長があいさつ。新型コロナウイルスの書店業界への影響について「学校休校を機にした学参・児童書の売上伸長や『鬼滅の刃』の爆発的ヒットで好調だったが、あくまでも一時的な特需。元の売上に戻るか、それ以下になってしまった書店も多い」と指摘し、コロナ禍の日書連活動を「理事会を全国から役員が集まる形で開けず、なかなか思うような活動ができなかった」と振り返った。
こうした厳しい状況のなかで力を入れた取り組みとして、読者還元祭、キャッシュレス決済利用状況アンケート、書店向け万引防止ポスターに言及した。
読者還元祭は、書店くじに替わる新事業として今春実施した。今秋は本の日とコラボして実施を予定している。「読者への周知徹底に努め、店頭の賑わいと売上増加につなげたい」と意気込みを語った。
キャッシュレス決済利用状況アンケートは、昨夏に実施し、12月に報告書をまとめた。「決済手数料の負担が書店経営に重くのしかかっていることが分かった」と報告し、アンケート結果を広く関係各所に伝えていく考えを示した。
書店向け万引防止ポスターは、万引防止出版対策本部と協働して作成した。「日書連として初めて警察庁の後援を受けたもので、万引防止に本格的に取り組んでいる姿勢を示すことができた」と述べ、店内に貼って万引防止に努めてほしいと求めた。
新年度の方針については、粗利益拡大による経営環境改善と読書推進に引き続き力を入れるとした。
粗利益拡大では、日書連が「30%以上の粗利益がなければ書店経営は成り立たない」と訴え続けてきた結果、出版社や取次が30%の施策を打ち出すようになったと成果を強調。東京組合や大阪組合が小学館の協力を得て取り組んでいる週刊誌定期販売協力金事業を紹介し、「様々な施策を一つひとつ積み重ね、着実に粗利益拡大を進める」と今後の方針を語った。
読書推進については、春と秋の読者還元祭、11月1日の本の日などのイベントを通じて、国民に読書について考えてもらう機会を提供し、書店はこうしたイベントで利益を得て、その利益を国民に還元していくと考えを説明した。
議案審議は矢幡会長を議長に進行し、第1号議案の令和2年度事業報告書、第2号議案の令和2年度財産目録、貸借対照表、損益計算書及び剰余金処分案、第3号議案の令和3年度事業計画案、第4号議案の令和3年度収支予算案、第5号議案の経費の賦課及び徴収方法、第6号議案の令和3年度借入金の最高限度額案、第7号議案の令和3年度役員の報酬額案のいずれの議案も、原案通り承認可決した。
第8号議案の任期満了に伴う役員改選は、選考委員による指名推薦を採用。志賀健一理事、平井久朗理事を選考委員に理事候補52名と監事候補2名を選出し、全役員が就任を承諾した。
総会終了後に開いた第1回理事会で、矢幡会長を再選した。副会長も鈴木喜重、藤原直、面屋龍延、柴﨑繁、渡部満、春井宏之、安永寛の7氏を全員再選した。
各委員会からの報告では、政策委員会は万引防止出版対策本部と協働して書店用万引防止ポスターを作成したことを報告した。このポスターは初めて警察庁の後援を取り付けた全国統一ポスター。全組合加盟書店に昨年10月発送した。
また、デジタル教科書の本格導入に向けた議論が進む中、活字文化議員連盟の笠浩史事務局長や丸山洋司文部科学審議官を訪問し、慎重に検討するよう要望したと報告した。
組織委員会からは、今年4月1日現在の組合員数が前年より3・5%減少して2887店になったと報告があった。
指導教育委員会は、昨年は河出書房新社が『緊急提言パンデミック』で書店マージン30%とする書店応援企画を実施するなど、多くの出版社が報奨金などの形で還元する施策を実施したことを挙げ、粗利益拡大の施策を広げるため、出版社や取次との意見交換を継続する方針を示した。
広報委員会からは、全国書店新聞の発行を中心とした活動を行ったこと、昨秋開催を予定していた全国広報委員会議は新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から中止としたことが報告された。
流通改善委員会は、昨年も例年と同様に「雑誌発売日諸問題解決に向けた対応のお願い」と題する要望書を雑誌発売日励行本部委員長に提出したと報告した。
また、日本出版インフラセンター(JPO)の書店向け出版情報ポータルサイト「BooksPRO」について、開始から1年が経って機能も向上し、出版社系受注サイトとの連携も始まったことから、組合加盟書店に積極的に活用するよう促す方針を示した。
取引改善委員会は、北海道書店商業組合からの提案を受けて検討を進めてきた返品現地処理について、トーハンと日販が昨年11月から雑誌返品業務の物流拠点を出版共同流通の蓮田センターに統合し、返品現地処理の実現が見通せなくなったことから、運動方針の見直しも視野に入れているとした。北海道組合からは次の取り組みを表紙返品とする案があがっており、今後検討する。
読書推進委員会は、従来の「書店くじ」を今春から「読者還元祭」に切り替えたと報告。店頭で配布するしおりのQRコードから読者が応募すると、抽選で3000名に図書カードNEXTネットギフト1000円分が当たるもの。申込書店数は前年の「春の書店くじ」を上回り、効果が認められたと強調した。今秋の読者還元祭では「本の日」キャンペーンとのコラボで規模拡大を目指す。
書店再生委員会は、キャッシュレス決済利用状況アンケートの集計結果を報告書にまとめ、出版社、取次、関係団体、関係省庁に送付したと報告。利益率の低い書店でキャッシュレス化の定着を図るためにも、手数料負担の軽減を訴えていくとの方針を示した。

矢幡会長総会あいさつ

昨年は新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた1年だった。書店は休業要請の対象外となり、学校休校を機にした学参・児童書の売上伸長や「鬼滅の刃」の爆発的ヒットで好調だったが、これはあくまでも一時的な特需で、現在は元の売上げに戻った、あるいはそれ以下になってしまった書店も多い。日書連も定例理事会を全国から役員が集まって行う形で開けず、なかなか思うような活動ができなかった。
こうした状況の中、読書推進委員会では、今春から「書店くじ」に替わる新事業として「読者還元祭」を実施した。読者への周知徹底を図り、組合加盟書店の売上増加につなげたい。
書店再生委員会では、組合加盟書店のキャッシュレス決済の導入状況を把握するため、「キャッシュレス決済利用状況アンケート」を昨夏実施し、12月に報告書をまとめた。決済手数料の負担が経営に重くのしかかっているという結果が出た。非常に重要な問題と認識している。アンケート結果を広く関係各所に伝えていきたい。
指導教育委員会では、万引防止出版対策本部と協働して、書店向け万引防止のための統一ポスターを初めて作成した。今回は日書連として初めて警察庁の後援を受け、万引防止に本格的に取り組んでいる姿勢を示すことができた。店内に貼って万引防止に努めていただきたい。
新年度も日書連の重要課題が変わることはなく、引き続き粗利益拡大による経営環境改善を目指す。日書連が「30%以上の粗利益がなければ書店経営は成り立たない」と訴え続けてきた結果、30%という数字は出版社と取次に深く浸透し、粗利30%を目指す施策が次々と打ち出されるようになった。
しかし、数字が先走っている面もあり、新年度は成果を一つひとつ積み上げることに力を入れる。東京組合では小学館の雑誌「週刊ポスト」「女性セブン」の定期販売協力金事業を行っており、大阪組合でも同様の取り組みを始めるところだ。こうしたことを足掛かりにして、一歩一歩、粗利益拡大を進めていきたい。
読書推進にはますます力を入れていく。たとえば、読書推進活動補助費の各都道府県組合への支給は引き続き行う。また、読者還元祭や本の日など様々なイベントを通じて、国民の皆さんに読書について考えていただく機会を提供する。書店はこうしたイベントで利益を得て、その利益を読者に還元していく――これが読書推進の理想形だ。
出版物輸送の危機については、取次と出版社が解決に向けて努力しているところだが、その話し合いの場に書店も加えていただきたい。そうしなければ書店の見えないところでコスト面の負担が生じるのではないかと懸念している。
日本雑誌協会が改訂した「雑誌作成上の留意事項」で「付録のかさ高の合計は3㎝以内とする」という規定が撤廃された。我々の知らないところでこうしたことが決められ、不安を感じている。雑誌付録は書店経営において重要な問題。もし大きな付録の付いた雑誌が届くなど問題が起きた場合は、声をあげていかなければいけない。
日書連所属の組合加盟書店数は、4月1日時点で前年から106店減の2887店と減少に歯止めがかからず、非常に厳しい状況だ。組織強化に引き続き取り組むとともに、いずれは組織のあり方の見直しも必要になると考えている。年6回の定例理事会の回数を増やすことは難しいが、各委員長と話し合い、もっと活動を活発にしていく方法を検討する。
新型コロナウイルスの感染者が増え、東京五輪を控える中、接客業に従事する我々は不安を抱えているが、出版業界の諸問題に対して積極的に発言し行動していきたい。

新理事長に深田健治氏/面屋龍延理事長は8期16年で退任/大阪組合

大阪府書店商業組合は5月29日開催の令和2年度通常総会で、理事長を選出する総会終了後の第1回理事会を延期していたが、6月26日に開いた理事会で新理事長に深田健治氏(守口市・ブックスふかだ)を選出した。面屋龍延理事長(大阪市北区・清風堂書店)は8期16年で退任した。
理事全員を被選挙人とする出席理事による投票を行うにあたり、面屋理事長から「家庭の事情で理事長職を続けることができない」と発言があり、選挙の結果、深田氏が新理事長に選ばれた。深田氏は「まさかの展開にとまどいもあるが、指名された限りは組合員の皆さんの役に立つよう頑張る」と抱負を語り、理事長就任を受諾した。
副理事長、常務理事、専務理事、委員長の役員人事は7月10日開催の理事会で決める。
深田氏は1956年2月13日生まれの65歳。78年同志社大学経済学部卒業後、きもののやまと入社。87年ブックスふかだ入社。大阪組合では2001年理事、07年常務理事、11年副理事長。日書連では13年から2期4年、顧問および「ためほんくん」部会長を務めた。(石尾義彦事務局長)

矢幡秀治会長ら正副会長を再選/出版物小売業公正取引協議会臨時総会

出版物小売業公正取引協議会は6月24日、東京・千代田区の書店会館で臨時総会を開催し、任期満了に伴う役員改選で理事50名と監事2名を選出した。臨時総会終了後に初理事会を開き、矢幡秀治会長ら正副会長全員を再選した。
[役員体制]
▽会長=矢幡秀治(東京)
▽副会長=鈴木喜重(千葉)藤原直(宮城)柴﨑繁(東京)
▽理事=志賀健一(北海道)成田耕造(青森)加賀谷龍二(秋田)玉山哲(岩手)五十嵐太右衛門(山形)鈴木雅文(福島)池田和雄(茨城)竹内靖博(群馬)奈良俊一(埼玉)松信裕(神奈川)渡部満(東京)平井久朗(東京)大塚茂(山梨)吉見光太郎(静岡)春井宏之(愛知)木野村匡(岐阜)別所信啓(三重)西村行人(新潟)丸田茂(富山)宮本秀夫(石川)柳澤輝久(長野)安部悟(福井)吉田徳一郎(滋賀)面屋龍延(大阪)戸和繁晴(大阪)犬石吉洋(京都)林田芳幸(奈良)大谷秀生(和歌山)森忠延(兵庫)古泉淳夫(鳥取)今井直樹(島根)小野正道(岡山)森朗(広島)宮脇範次(香川)平野惣吉(徳島)光永和史(愛媛)五藤栄一郎(高知)安永寛(福岡)森松正一(福岡)堤洋(佐賀)中山寿賀雄(長崎)長﨑晴作(熊本)二階堂衞司(大分)田中隆次(宮崎)楠田哲久(鹿児島)小橋川篤夫(沖縄)
▽監事=小泉忠男(東京)井之上健浩(東京)

「第53回出版功労者顕彰会」顕彰者/萬田貴久氏、奥村弘志氏を推薦/日書連6月理事会

日書連は6月24日、東京・千代田区の書店会館で定例理事会を開催した。
出版業界の発展に貢献した物故者をたたえる出版平和堂「第53回出版功労者顕彰会」の顕彰候補者として、萬田貴久元会長、奥村弘志元副会長を推薦することを承認した。
第21回「家の光読書エッセイ」(家の光協会主催)、「逢えない誰かに贈る絵本2021~2022」(絵本・日本プロジェクト主催)の日書連後援名義使用を承認した。
読書推進委員会は、「秋の読者還元祭2021」を「本の日」図書カードプレゼントキャンペーンとコラボで実施することを説明し、実施要項案を示した。
組織委員会は、5月期の各都道府県組合の加入・脱退状況について、加入なし・脱退7店で7店純減になったと報告した。

マスク着用でも犯行把握/顔認証カメラの検知能力向上で/全国万引犯罪防止機構総会

全国万引犯罪防止機構(万防機構)は6月15日、東京・千代田区の主婦会館で2021年度通常総会を開き、会員90名(リモート、委任状含む)が出席。渋谷の3書店間で運用する、顔認証機能を活用した情報共有システム「渋谷書店万引対策共同プロジェクト」(渋谷プロジェクト)について、コロナ禍のマスク着用状態でも、顔認証カメラの検知能力向上で犯行を把握できるようになったことが報告された。
冒頭、あいさつした竹花豊理事長は、設立から17年となる同機構の活動を振り返り、「万引問題を総括的に扱う唯一の団体として、様々な取り組みを進め、多くの実績を残してきたにもかかわらず、万引はなお深刻な問題として存在し続けている。万引防止の全体から見れば私たちの努力は大海の一滴だが、何か光が見えないかと諦めずに活動してきた。その光が見えてきたところ」と現在の立ち位置を説明した。
万引対策の具体的事例として渋谷プロジェクトを挙げ、「個人情報そのものである顔認証機能を利用して情報交換する仕組み。誰もができないと思っていたが、実施から2年になる。一定の成果を収め、懸念されたトラブルもなく、今後の大きな拡大が見込めるプロジェクトになってきた」と評価。あわせて、渋谷プロジェクトの数ヵ月後に始まった中部地区の緊急通報システムを紹介した。
インターネットオークションやフリマアプリなどを利用した盗品の新しい処分先に対しては、「高額図書の万引を新たに作り出したという側面にも着目しながら、こうした市場を作った事業者と一緒に、犯罪者にとって自由な処分市場にしないための取り組みが進んでいる」と述べた。
損害を未然に防ぐことで被害を最小限に抑える手法ロス・プリベンション(LP)への取り組みの理由については、「小売事業の経営者が自店の万引被害をオープンにし、万引防止に取り組むことを躊躇する雰囲気がまだまだ強い。被害者にもかかわらず万引被害に後ろめたさを感じている経営者に対して万引防止を呼び掛けても、なかなか一緒にやってくれない状況が長く続いてきた中で、ロス・プリベンションをやろうと言えばついて来てくれる」と説明した。LP教育制度作成委員会では『ロス対策テキスト2021』を作成し、21年度にスタートする「ロス対策士検定制度」の教材として使用するとしている。
渋谷プロジェクトについて報告した万引防止出版対策本部の阿部信行事務局長は、コロナ禍が同プロジェクトに与えた影響として、マスク着用により顔認証カメラの能力が減じられたことを指摘。しかし、21年4月の顔認証カメラのバージョンアップとともに検知能力が格段にアップした結果、再来店での犯行が把握できるようになり、今後の抑止に期待が持てるようになったことから、「万引犯はマスク顔なら顔認証は効かないと見切っていたようだが、しっかり検知される。もうマスク着用で逃げることはできない」と自信を示した。

乱歩賞と豊島区が協力/贈呈式、一般公開へ

江戸川乱歩賞を主催する日本推理作家協会は、乱歩ゆかりの東京・豊島区とパートナーシップを結び、これまで関係者のみで開催していた贈呈式を第67回となる今年度は一般に公開して実施すると、5月18日の記者会見で発表した。
乱歩は1934年に池袋西口の邸宅に移り住み、現在は立教大学に隣接する「旧江戸川乱歩邸(大衆文化研究センター)」となっている場所に、70歳で死去する1965年まで約30年間住み続けた。歴代乱歩賞受賞者は必ずここに受賞報告に訪れる。
こうした乱歩と豊島区の縁をきっかけに、今年度の江戸川乱歩賞贈呈式は、豊島区が「としま文化の日」に制定した11月1日、東京建物BrilliaHall(豊島区立芸術文化劇場)で開催されることになった。作家、出版関係者、報道関係者だけでなく、区民や一般読者が参加できる公開イベントとして行う。キックオフイベントも予定している。豊島区は施設使用で協力するほか、運営費用の一部を負担する。
同協会の京極夏彦代表理事は「乱歩賞を時代に合った形に変えていくべきという議論は以前からあった。もっとエンドユーザーに向けた発信ができなければいけない」と述べた。
池袋で古書店を経営していた高野之夫区長は、「文化都市を目指す豊島区が乱歩賞との縁をもらったことは区民にとっても素晴らしい。できるだけの支援を行う」と意気込みを語った。
続いて第67回江戸川乱歩賞受賞記者会見が行われ、「センパーファイ―常に忠誠を―」の伏尾美紀氏、「老虎残夢」の桃ノ雑派氏がリモートで出席。受賞の喜びを語った。

日書連役員体制

▽会長=矢幡秀治(東京・真光書店)
▽副会長=鈴木喜重(千葉・ときわ書房)藤原直(宮城・金港堂)面屋龍延(大阪・清風堂書店)柴﨑繁(東京・王様書房)渡部満(東京・教文館)春井宏之(愛知・正文館書店)安永寛(福岡・金修堂書店)
▽理事=志賀健一(北海道・丸善ジュンク堂旭川店)成田耕造(青森・成田本店)加賀谷龍二(秋田・加賀谷書店)玉山哲(岩手・東山堂)五十嵐太右衛門(山形・八文字屋)鈴木雅文(福島・昭和堂)池田和雄(茨城・一貫堂書店)竹内靖博(群馬・シロキヤ書店)奈良俊一(埼玉・ならいち)松信裕(神奈川・有隣堂)平井久朗(東京・ビーブックス)大塚茂(山梨・柳正堂書店)吉見光太郎(静岡・吉見書店)木野村匡(岐阜・東文堂本店)別所信啓(三重・別所書店)西村行人(新潟・萬松堂)丸田茂(富山・清明堂書店)宮本秀夫(石川・ブック宮丸)柳澤輝久(長野・西沢書店)安部悟(福井・安部書店)吉田徳一郎(滋賀・ヨシダ書店)戸和繁晴(大阪・トーワブックス)犬石吉洋(京都・犬石書店)林田芳幸(奈良・啓林堂書店)大谷秀生(和歌山・大谷書店)森忠延(兵庫・井戸書店)古泉淳夫(鳥取・鳥取今井書店)今井直樹(島根・今井書店)小野正道(岡山・小野書店)森朗(広島・森書店)宮脇範次(香川・宮脇書店)平野惣吉(徳島・平惣)光永和史(愛媛・松山堂書店)五藤栄一郎(高知・冨士書房)森松正一(森松尚文堂)堤洋(佐賀・ブックスグリーンウッド)中山寿賀雄(長崎・好文堂書店)長﨑晴作(熊本・熊文社)二階堂衞司(大分・二海堂書店)田中隆次(宮崎・田中書店)楠田哲久(鹿児島・楠田書店)小橋川篤夫(沖縄・いしだ文栄堂)髙島瑞雄(会長推薦・高島書房)石井和之(員外・日書連事務局)
▽監事=小泉忠男(東京・小泉書店)葛西文二(員外)
▽相談役=大橋信夫(東京・東京堂書店)舩坂良雄(東京・大盛堂書店)
2021年6月24日

「春夏秋冬本屋です」/「ちいさい本屋の幸せ」/愛媛・文具座やまさき会長・山﨑由紀子

梅雨明けを待つこの季節はシソ仕事に忙しい。赤紫蘇シロップやバジルペースト、山椒の実、ちりめん山椒。NHK出版「きょうの料理」は6月号と12月号が一番売れるのも納得だ。
お節料理も必ず作る私にとって、料理はほとんど趣味。健啖家の私は、食べるのも好きだが作るのも好き。『フェルメールの食卓』『沢村貞子の献立日記』『茨木のり子の献立帖』『向田邦子の暮らしの愉しみ』『池波正太郎の食事録』等々、食に関する本が台所にギッシリ並ぶ。「あの人もこれを食べた」という再現レシピである。
旅行は本に掲載された場所を探して、実際に訪れて食事するのが愉しみ。大好きな映画のパンフレットは必ず購入して、料理レシピがあれば作る。
大食漢の3人の息子たちの旺盛な食欲を満たすための毎日の食事作りは、時間との格闘だった。我が家のエンゲル係数は半端なく高く、外食など以ての外である。
定期購読で来店のお客様が、収穫した野菜や果物を届けてくださる。沢山の旬の食材を頂戴するのは本当に有難い。
例年8月の祭で1日限定カフェを開店する。予約制で定期購読の読者様を最優先。常日頃の感謝と御礼の気持ちを還元する企画である。カフェメニューはシソ仕事を活用した私のオリジナル。ちいさい本屋だからこその繋がりだと思う。

理事長に舩坂良雄日書連前会長/中小書店の経営支援、強力に推進/書店再生財団

全国書店再生支援財団は7月6日、令和3年度の第1回通常理事会を開催し、新年度の事業計画案等を討議した。同財団の理事長には、奥村弘志氏の逝去に伴い日書連前会長の舩坂良雄氏(大盛堂書店)が就任したほか、新たに奥村知佐子氏(南天堂書房)を理事に迎えた。
同財団の新年度事業では、文化通信社が主催する「子どものための100冊キャンペーン」など業界内の読書推進策をサポートするほか、第2弾となる廉価版POSレジの斡旋も継続し、組合加盟非加盟を問わず中小書店経営を支援する施策を強力に推し進めていくことを確認した。
また、JPO出版情報登録センター(JPRO)の書店向け出版情報ポータルサイトであるBooksPROの運営コスト支援を通じて、中小書店の商品確保、販売ロスの低減により返品率の減少にも繋がればと期待している。
一方、SDGsを意識した新しい取り組みとして、児童養護施設等への本の寄贈を始めとする社会貢献にも取り組んでいきたいとして、今後は寄贈先や寄贈の方法を研究していくことを申し合わせた。
同財団の役員構成は次の通り。
▽理事長=舩坂良雄(大盛堂書店)
▽理事=井之上健浩(久美堂)奥村知佐子(南天堂書房)越石功(甲文堂書店)髙島瑞雄(高島書房)田中淳一郎(恭文堂)平井久朗(ビーブックス)
▽監事=湯本光尚(本吉書店)
▽評議員=大垣守弘(大垣書店)髙須博久(豊川堂)玉山哲(東山堂)

書店大商談会とWeb商談会がコラボ/BOOKEXPOは会場開催が決定

「書店大商談会」実行委員会(矢幡秀治委員長)が主催する「書店大商談会」は、10月4日~22日の3週間、出版社有志による「書店向けWeb商談会」(三芳寛要委員長)とコラボレーションして開催される。
昨年に続いて今年も会場でのリアル開催は中止となったが、出版社などのおすすめ商品を掲載したパンフレットを作成し、10月1日に取次より全国書店に配布。このパンフレットをもとにZoomで商談する。パンフレットはモノクロ、A4判、部数は7000部。Web商談会出展社のおすすめ商品のほか、商談予約のためのQRコード、出版社によるジャンル別の3分間プレゼンやオンラインイベントなどを掲載し、書店員をWeb商談会へと誘導する。
「BOOKEXPO2021」実行委員会(大垣全央委員長)が主催する「BOOKEXPO秋の陣」は9月15日午前11時~午後6時、大阪市北区のグランフロント大阪で開催される。
昨年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、会場に集まっての開催を中止し、パンフレットによる商談会としたが、今年は未曽有の危機を迎えているからこそあえて出版社と書店が顔を合わせることで元気・活力を取り戻そうと考えたという。
開催にあたっては、厚生労働省等の指針および各業界団体の策定するガイドライン等を参考に、スタッフのマスク着用、消毒液の設置、飛沫防止スタンドの設置、会場内の密集回避など、新型コロナウイルスの感染防止対策を徹底して行う。ブース数も150に制限する(前回239社)。
なお、緊急事態宣言等発令時は実行委員会の判断で開催中止する場合がある。

業界の課題解決を話し合う場に/近藤敏貴新理事長が意欲/JPIC

出版文化産業振興財団(JPIC)は6月23日に第77回評議員会を開催し、2020年度事業報告・決算案、21年度事業進捗状況、一部理事の交代など全議案を承認した。
21年度事業進捗状況は、「こどもゆめ基金」の助成額が1676万7千円で内定。また、新型コロナウイルスへの対応として昨年開始したネット利用の読書プログラム「JPICONLINE」は、年度計画100回に対し、4月・5月で15回開催、参加者2918名(1回平均195名)と計画を上回るペースで展開していると報告した。
新事業については、テスト実施する「マンガ感想文コンクール」は、集英社協賛により、小中高各5校程度をモニター校として応募総数1千件を目標に行う。応募対象は、協賛社が作品を指定する「推薦漫画」と、作品を自由に選ぶ「自由漫画」で、小学校低学年・同高学年・中学校・高等学校の4部門でグランプリや特別賞を選定する。22年度以降は、全国展開して応募目標を1万件とし、協力企業の拡充を図るほか、書店店頭フェアとの連動なども視野に入れる。
出版業界の課題解決に取り組む調査研究事業では、4月22日に行われた公明党文部科学部会・産業経済部会合同会議に出版業界4団体と出席し、業界の抱える課題について議員や関係省庁に報告を行った。
一部理事の交代については、肥田美代子理事長が6月末日付で理事を退任、近藤敏貴理事(トーハン)が7月1日付で理事長に就任した。また、森永公紀理事(NHK出版)が6月23日の評議員会で退任し、土井成紀氏(NHK出版)が新たに理事に就いた。
評議員会であいさつした近藤次期理事長は、「JPICは読書推進で大きな功績を挙げてきたが、せっかく出版業界4団体のトップが入っているので、業界の課題について皆さんで『これをやっていこう』と話し合える場を作りたい」と意欲を示した。

教科書デジタル化の潮流危惧/京都総会で犬石理事長「書店組合として関与必要」

京都府書店商業組合は5月29日、京都市中京区の京都府書店会館で第37回通常総会を開き、組合員65名(本人3名、書面62名)が出席した。新型コロナウイルス感染防止の観点から書面議決を活用して少人数で開催した。
総会は川勝こづえ氏(鴻宝堂川勝書店)の司会で進行し、犬石吉洋理事長(犬石書店)があいさつ。新型コロナウイルスの影響について、「この1年、社会の色々な波に翻弄されながらもなんとか今日を迎えられたと多少安堵している。出版業界全体でも、久方ぶりに前年を上回る各種の数字が出て予想外の展開をみせた」と回顧。一方で加速する電子化の流れに危惧を示し、「検定教科書では、指導者用デジタル教科書だけでなく学習者用のものも次第に増え、各種教材もデジタル化が進められている。小中学校では今年度から、また京都府においては来年度からすべての公立高校でタブレットを使用する。これらの流れは、我々書店業界を経由せず最終消費者と出版社が結びつくものだ。無論全てがそうなるわけではないが、いわば国策と言える巨大な潮流になんとか関与できるよう目指す必要がある。日書連を通して積極的に動いていきたい」と述べた。
組合活動については、「京都府、京都市をはじめ各種団体との付き合いを従来以上に深め、地域唯一の書店の組合として存在感を発揮したい。また府下全域や全国各地の各種状況を常に把握し、必要に応じてフィードバックできる態勢で臨みたい」と説明した。
続いて、森武紀明氏(山城書店)を議長に議事を行い、事業報告、決算、事業計画案、収支予算案など第1号議案から第10号議案まで全ての議案を原案通り承認可決した。
第9号議案の役員改選では、理事15名、監事2名を承認。新役員による理事会での新理事長選出まで現任の犬石氏が理事長の職務を執行することとした。
(若林久嗣広報委員)

奈良俊一理事長を再選/コロナ禍による経営環境悪化を憂慮/埼玉総会

埼玉県書店商業組合は5月25日、さいたま市の埼玉書籍で第37回通常総会を開催し、組合員74名(委任状含む)が出席した。新型コロナウイルス感染予防の観点から本人出席は最小限とし、多くの組合員は書面で議決を行使した。
総会は江原宏信事務局長の司会で進行。奈良俊一理事長はあいさつで、「コロナ禍の長期化に伴い、店頭でのレジカウンター対面のシート・アクリル板の設置や空気清浄機の導入等による対策、外商書店では公共機関・金融機関・病院など人の集まる場所を有する相手先での納品が減少しており、書店を取り巻く状況の悪化が経営を圧迫している」と現状を憂慮した。
続いて、水野兼太郎氏(水野書店)を議長に議案審議を行い、令和2年度事業報告・収支決算・令和3年度事業計画・収支予算案を原案通り承認可決した。
任期満了による役員選挙の件では、奈良氏他4名の選考委員を指名し選考委員会を開催。役員の任期は1期2年を2期務める慣習となっており、2期目の今回は理事・監事全員重任との役員案が提出され、満場一致で承認可決した。
なお特別決議として、組合員に好評だった消毒液の再度の配布を決めた。
総会終了後の臨時理事会で奈良俊一理事長(ならいち)を再選、副理事長に三井田誠(三協堂)、福田敬(福田屋)、小野太一郎(時習堂)、小暮進勇(文之堂)の各氏が就任した。
(水野兼太郎広報委員)

大阪読書推進会総会/帯コンなど読書活動の成果報告

大阪読書推進会は6月23日、大阪市北区の朝日新聞大阪本社アサコムホールで総会を開催。大阪出版協会、在阪取次、書店、共催社の朝日新聞大阪本社を合わせ17名が出席した。
総会は、大阪府書店商業組合・深田健治副理事長(ブックスふかだ)が司会を担当。大阪組合副理事長の戸和繁晴大阪読書推進会実行委員長(トーワブックス)が「コロナ禍の終息の兆しが未だ見えず、今年もイレギュラーなことが沢山起こるかと思うが、皆様のご協力をお願いしたい」と開会あいさつを行った。
大阪読書推進会の宮川健郎会長(大阪国際児童文学振興財団理事長=写真)はあいさつで、「一般の本は読む人が買うが、子どもの本は、学校図書館などを含めて大人が買っている。大人は、自分の子ども時代に読んで懐かしく思っている本を次の世代に渡したがる」と指摘し、「『本の帯創作コンクール(帯コン)』は、大人が買った本を子どもが読んで帯を作り、本の購入を薦めるという回り道をする、他に例がないユニークな事業だ。大人が本を薦めることの良さと問題点を感じていて、その過程に子どもが入ってくることが面白い」と話した。
朝日新聞大阪本社の塩谷裕一編集局長補佐は「コロナ禍でイベントをなかなかできない状況にあるが、紙面とデジタルを活用し精一杯やっていきたい」とあいさつ。
大阪出版協会の矢部敬一理事長(創元社社長)は、「改めて子どもの本が見直され、本は『心の糧』であると再認識されている」と現状について話した。
出席者が自己紹介を行った後、事業報告・事業計画・会計報告・収支予算案を審議し承認された。
閉会あいさつを行ったひかりのくにの岡本功社長は、電子化と少子化という2つの流れに懸念を示す一方、「帯コン」「読書ノート」運動や、書店商談会の「BOOKEXPO」、大阪府教育庁の「PAGEONEキャンペーン」など、大阪組合と協力し多彩な読書運動を展開していることを説明。最後に「帯コン」について、「一昨年の表彰式で、私の母校の小学生が生き生きとした顔で賞状を受けている様子に接し、私にもああいう時代があったと思い返した。子どもたちに負けないようにしなければと感じ、非常に若返った気持ちになった」と述べて締めくくった。
(石尾義彦事務局長)

山家望氏の「birth」/太宰治賞

筑摩書房と東京・三鷹市が共催する第37回太宰治賞は、山家望氏の「birth」に決定した。
今回は、応募作品1548篇の中から4篇を最終候補とし、荒川洋治、奥泉光、中島京子、津村記久子各選考委員による選考で受賞作を決定した。贈呈式は関係者のみで行い、記念パーティーは中止となった。

新会長に田島英治氏/若手書店人の参画進める/東京組合青年部総会

東京都書店商業組合青年部は6月11日、東京・千代田区の書店会館で第31回通常総会を開催。新型コロナウイルス感染防止のため理事・監査役のみが出席し、書面議決方式で行った。
総会は、田中久隆会長(大和書店)のあいさつに続き、田中会長を議長に審議を行い、令和2年度活動報告、収支決算、令和3年度活動計画、収支予算の全ての議案を原案通り承認可決した。
新年度は、①書店の存続に向けた意見の発信、②書店案内アプリの開発、③若手人材の参加拡大――の活動方針を決定。NET店頭連動委員会では、読者を書店店頭に誘導するため昨年度からスマートフォン向けに開発を進めている「書店案内アプリ」のリリースを目指す。店頭活性化委員会では、おすすめの文庫を選書し専用帯で店頭展開する「いーほん青年部」を、参加書店を増やしさらに展開していく。書店再生委員会では、書店の利益向上に結び付く施策を他の委員会や東京組合と連携しながら提案する。
任期満了に伴う役員改選では、新会長に田島英治氏(椿書房)を選出した。副会長は、越石功(甲文堂書店)、黒田英揮(黒田書店)両氏の就任が後日に決定した。
あいさつを行った田島新会長は、「理事の半分近くが会長を経験し、東京組合の理事になっている人がほとんど。青年部の在り方を考えていかないといけないし、若い人に入ってもらうことが必要だ。青年部は昨年設立30年を迎えたが、当時はおそらく元気で勢いがあったと思う。30年前の状況にもっていくのは難しいが、若い人たちに入ってもらい、少し違った形の青年部にできればと思う」と語った。

安部悟理事長が再任/子どもの絵本展の実施めざす/福井総会

福井県書店商業組合(安部悟理事長)は5月31日に福井市の八兆屋で令和2年度総会を開催し、組合員27名(委任状含む)が出席した。
総会は京藤敏実副理事長(ひしだい書店)の司会、安部悟理事長(安部書店)の議長で議事を進行、鈴木英雄監事(鈴木万屋書店)が監査報告を行い、事業、決算等の各議案を承認可決。最後に任期満了に伴う役員改選を行い全理事を再任。安部理事長、京藤副理事長、清水祥三副理事長(じっぷじっぷ)の再任を決定した。
安部理事長はあいさつで、「昨年予定していた組合の事業が全て中止となってしまったが、一昨年に福井県児童科学館エンゼルランドふくいで行った絵本展を継続し、子どもたちに楽しんでもらえるような催しを実現したい。昨年のようなコミックの売上を期待しづらいこともあり、今年度の組合費は、それぞれ組合員に補助を出す形で引き下げたい」と抱負を述べた。
(清水祥三広報委員)

書店経営へのコロナの影響懸念/群馬組合通常総会で竹内理事長

群馬県書店商業組合(竹内靖博理事長)は5月25日、高崎市の群馬県教科書販売会議室で第33回通常総会を開催し、組合員28名(書面参加を含む)が出席した。
総会は、昨年に続きコロナ禍のため書面議決による総会とした。竹内理事長を議長に審議し、全議案賛成多数で承認された。竹内理事長は「各書店では新型コロナウイルスの影響で大変厳しい状況になっているとの報告がなされており、早くワクチン接種が進み、以前のような日常が取り戻せたらと心から望んでいる」とした。(鹿沼中広報委員)

ABC雑誌発行社レポート2020年下半期雑誌販売部数

日本ABC協会は2020年下半期(7~12月)雑誌発行社レポートを発表した。今回掲載したのは36社122誌。各雑誌部数の前年同期比の平均(既存誌ベース)は、週刊誌91・43%、月刊誌88・97%、合計89・56%となった。報告誌の状況は、主婦の友社『Ray』、小学館『Domani』、扶桑社『栗原はるみharu_mi』は報告を中止。講談社『げんき』は発行周期を月刊から隔月刊に変更。KADOKAWA『KansaiWalker』は『関西ウォーカー』に、『TokaiWalker』は『東海ウォーカー』にレポート上の表記を変更した。
一般週刊誌のトップは『週刊文春』の26万9894部で前年同期比4・0%減となった。2位の『週刊現代』は同0・6%減の20万781部とほぼ横ばい、3位の『週刊新潮』は同16・6%減の15万6437部、4位の『週刊ポスト』は同15・8%減の15万6114部といずれも大きく部数を落とした。新聞社系では、『週刊朝日』は同13・3%減の5万6248部、『サンデー毎日』は同14・6%減の2万6420部でともに2桁減。
ビジネス・マネー誌は、『週刊ダイヤモンド』が同14・0%減の6万271部、『週刊東洋経済』が同9・4%減の4万5225部、『日経ビジネス』が同7・1%減の15万750部、『プレジデント』が同17・1%減の11万1329部といずれも後退した。
女性週刊誌は、『女性セブン』が同10・1%減の16万8639部、『女性自身』が同14・0%減の15万7635部、『週刊女性』が同3・9%減の8万8409部と落ちこんだ。
女性月刊誌は、女性ヤング誌『non‐no』が同26・7%増の11万2910部と盛り返した。シニア誌の『ハルメク』は同22・4%増の37万2885部で、17年上期から7期連続伸長を記録している。

新社長に土井成紀氏/NHK出版

NHK出版は、6月18日開催の定時株主総会並びに取締役会で下記の役員体制を決定した。土井成紀専務が代表取締役社長に就任、前社長の森永公紀氏は退任した。◎印昇任、○印新任。
代表取締役社長
◎土井成紀
常務取締役〔マーケティング局長〕◎舘谷徹
同〔編集局長〕
◎小林玉樹
取締役〔経営企画室長〕
○藤川英彦
同〔編集局副局長〕
○江藤巌二
取締役(非常勤)
○絹川智紹
同○田波宏視
監査役田中秀直
監査役(非常勤)佐藤孝夫
同○津田康子
上席執行役員◎山本秀人
同◎田中洋
同◎大場胆
執行役員○細田聡一郎
同○船田勢治
同○須田俊明
同○坂口一生
同○安倍美和子
同○水野哲哉
※細田氏は8月1日就任

常務取締役に堀内洋一氏/トーハン21年度役員人事

トーハンは6月29日開催の定時株主総会と取締役会で、下記の役員人事を決定した。◎印昇任、○印新任。
[取締役・監査役体制]
代表取締役社長
近藤敏貴
代表取締役副社長副社長執行役員〔社長補佐、仕入部門管掌、営業本部長兼商品本部長〕川上浩明
取締役副社長副社長執行役員〔総務人事部門・物流部門・渉外管掌〕
田仲幹弘
専務取締役専務執行役員〔営業本部副本部長、西日本支社担当、東海近畿支社長〕豊田広宣
同〔複合事業本部長、海外事業部門担当兼広報担当〕
小野晴輝
同〔経理・取引部門担当兼不動産事業部門担当〕
松本俊之
常務取締役常務執行役員〔情報システム部門担当兼物流部門担当プラットフォーム事業部長〕
高見真一
同〔経営戦略部門担当兼グループ書店事業部門担当兼関係会社担当〕大西良文
同〔営業本部副本部長、市場開発部門担当兼特販首都圏支社担当兼東日本支社担当〕◎堀内洋一
取締役上席執行役員〔CVS部門担当、CVS第一部長〕塚田達夫
同〔複合事業本部副本部長〕渡辺勝也
同〔図書館事業部門担当兼支社総括担当兼仕入プラットフォーム開発担当、営業統括部長〕齊藤貴
同〔特販首都圏支社長兼特販第二部長〕○池邉友彦
取締役(非常勤)
鈴木敏文
社外取締役(非常勤)
赤尾文夫
同○柴野京子
監査役(常勤)本川幸史
同○藤原敏晴
監査役(非常勤)
相賀昌宏
同岩瀬徹
吉田尚郎常勤監査役、藤井武彦顧問は退任。
[執行役員体制]
取締役兼務者を除く
執行役員〔東海近畿支社副支社長兼名古屋支店長〕
金子俊之
同〔情報システム部長〕
青木亮二
同〔商品本部副本部長、書籍部長〕山下康治
同〔取引部長〕小寺勉
同〔グループ書店事業部長〕高田聡
同〔経営戦略部長〕
渡部弘之
同〔総務人事部長〕
○木原篤

機構改革と人事/中央社

中央社は6月28日に7月7日付の機構改革と人事を発表した。
[機構改革]
1.第一営業部の営業二課と営業三課を統合し、営業二課とする。
2.第二営業部の営業一課と営業二課を廃止し、営業課と配本課を新設する。
3.仕入部の雑誌仕入課とコミック仕入課を統合し、雑誌・コミック仕入課とする。
[委嘱]
委嘱第二営業部配本課長兼任
執行役員足立良二

図書カード発行高6年ぶり増加/自治体の学習支援で需要増/日本図書普及

日本図書普及は6月30日開催の定時株主総会に先立ち、6月16日に東京・新宿区の本社で記者会見を行い、第61期(令和2年4月1日~令和3年3月31日)の決算概況を発表した。
令和2年度は、コロナ禍で休校になった学生への支援策として一部自治体が図書カードを配布し、特に大阪府による小中高生への図書カードネットギフト配布は、総額20億円の大口需要となった。こうした巣ごもり需要もあって、図書カードNEXTの発行高は前年比12・8%増の423億5000万円と6年ぶりに前年を上回った。内訳は、「一般カード」が同4・8%増の379億5600万円、「広告(オリジナルカード)」が同229・3%増の43億9300万円。オリジナルカードのうち、図書カードネットギフトは31億4600万円(同2475・8%増)で、大阪府が配布した20億円を除いても大幅な増加となった。回収高は同0・2%減の379億600万円。種類別の内訳は、図書カードNEXTが344億2100万円(占有率90・8%)、磁気の図書カードは31億6600万円(同8・4%)、図書券は3億1900万円(同0・8%)だった。
加盟店は前期末対比118店減の5537店。読取端末機設置店数は同218店減の7755店、設置台数は同191台減の1万1086台。
損益については、発行高の増加に伴う製作・流通コストの増加や、デザインを一新した一般カードの交換費用の計上等で、販売費及び一般管理費は1億円増の23億4000万となり、営業損失も23億2000万と1億円増加した。前期に1億8000万円を計上した有価証券売却益は、当期は6000万円に留まり、受取利息の6000万円減少などもあって経常損失は3億3000万円増加し約9億円に。しかし特別損益で今期より有効期限の設定されたNEXTカードが対象となった未回収収益の計上額が19億5000万円と前期より4億6000万円増加したため、当期純利益は15%増の6億円となった。
記者会見で平井茂社長は令和3年度の活動として、自治体の採用で認知度が向上してきた図書カードネットギフトの販促強化や、ネット書店等でのWeb決算への利用拡大、書店店頭での採用が増えているセルフレジへの図書カード決済対応に取り組むと述べた。
相賀昌宏会長は、昨年60周年を迎えた同社の設立理念について、図書の普及の役割を果たすこと、業界が協力する要となることと説明し、「当社は、書店でのいろいろな活動や出版業界のインフラ整備などへ支援できる。我々の活動について『まだこの点が足りない』ということを遠慮なくご指摘いただきたい」と要望した。
任期満了に伴う役員改選では、峰岸延也氏(講談社)が取締役に、川村興市氏(楽天ブックスネットワーク)が監査役に新任。森武文取締役(講談社)と服部達也監査役(楽天ブックスネットワーク)は退任した。

5月期は前年比7・6%減/「鬼滅」など前年好調の反動で/日販調査店頭売上

日本出版販売調べの5月期店頭売上は前年比7・6%減。前年休業していて当年営業を継続した店舗が売上を伸ばす一方、前年も当年も営業していた店舗は、「鬼滅の刃」(集英社)の大ヒットや巣ごもり需要の拡大で前年が好調だったため、その反動で今年は売上が大きく落ち込み、全体では前年割れとなった。
雑誌は4・7%減。月刊誌は、「Myojo7月号」(集英社)、「Vジャンプ7月号」(集英社)が売上を牽引。週刊誌は、5月17日発売の「週刊現代合併号」(講談社)などが売上を伸ばした。
書籍は2・1%減。文芸書、学参書の2ジャンルで前年を上回った。文芸書は、21年本屋大賞受賞の町田そのこ『52ヘルツのクジラたち』(中央公論新社)や、東野圭吾『白鳥とコウモリ』(幻冬舎)が引き続き好調だった。
コミックは16・7%減。前年に「鬼滅の刃」関連商品が好調だった影響もあり、前年超えの連続記録は19ヵ月でストップした。雑誌扱いコミックは、『薬屋のひとりごと8』(スクウェア・エニックス)、『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~22』(集英社)が売上を伸ばした。