全国書店新聞
             

平成26年9月1日号

今年上期は5・9%減/過去最大の落込みを記録/出版販売額

出版科学研究所は2014年上半期(1月~6月)の書籍・雑誌分野別動向をまとめた。これによると出版物販売金額は前年同期比5・9%減の8267億円で、上半期の実績として過去最大の落ち込みを記録した。内訳は、書籍が同5・5%減の4094億円、雑誌が同6・2%減の4173億円だった。
書籍の販売金額は4094億円、前年同期比5・5%減で、1998年の同6・0%減に次ぐ過去2番目の落ち込みを示した。書籍は2007年から7年連続マイナスとなっていたものの、下落幅は比較的小さいままだった。しかし13年後半からマイナス基調が強まり、14年4月以降の前年同月比は、4月が7・7%減、5月が6・0%減、6月が10・1%減と急落。4月の消費税増税が影響し、読者の消費マインドが冷え込んだことが最大の要因となっている。
出回り平均価格は近年下落傾向が続いていたが、4月の増税後は廉価な文庫本の売行きまで不調となっているため、前年同期比0・4%(4円)増の1122円と上昇。金額返品率は、同1・1ポイント増の35・6%と、マイナス基調から上昇に転じた。
14年上半期は、100万部寸前となった『長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい』(アスコム)や『人生はニャンとかなる!』(文響社・70万部)など健康・自己啓発書の勢いが相変わらず目立った。文芸書は、昨年は上半期だけでミリオンが2点出るなど大ヒットが続出したが、14年は話題作に乏しく人気作家の本も動きが冴えなかった。児童書では、ディズニー映画「アナと雪の女王」関連書が大ヒット。本屋大賞を受賞した『村上海賊の娘』(新潮社)などメディアで大々的に取り上げられた話題書が売行きを伸ばした。
新刊点数は前年同期比1・7%(635点)増の3万8920点で、このうち取次仕入窓口経由が同1・4%(402点)減の2万7484点、注文扱いが同10・0%(1037点)増の1万1436点で、取次仕入窓口経由は前年に続き減少傾向にある。
雑誌の販売金額は4173億円で前年同期比6・2%減。17年連続のマイナスとなり、減少幅は2011年の6・7%減に次ぐ2番目の落ち込みとなった。内訳は月刊誌が同5・2%減の3319億円、週刊誌が同9・8%減の854億円。月刊誌には好調なコミックスの数字が含まれており、月刊誌の定期誌のみの実績は約10%の大幅減となっている。
好調な雑誌の多くは30代以上向けで、若者向けは児童誌など一部を除いて売行き不振に陥っている。雑誌読者の高齢化が進む一方で若い読者の参入がないため、目立った企画が出ず休刊誌が増加するという構造的な要因に加え、消費税増税が雑誌離れを加速させている。
平均価格は前年同期比1・5%(8円)増の530円。月刊誌が同1・0%(6円)増の606円、週刊誌が同0・6%(2円)増の346円だった。ムック・コミックス・分冊百科を除いた価格は、月刊誌が同2・7%(16円)増の604円、週刊誌は同1・6%(5円)減の325円で、月刊誌は価格上昇が続いている。金額返品率は、同1・9ポイント増の40・6%と40%台に突入した。内訳は、月刊誌が同2・0ポイント増の41・7%、週刊誌が同1・3ポイント増の36・2%。
発行銘柄数は、前年同期比2・0%減の3098点と8年続けて減少。創刊点数は同2点減の47点で、このうち分冊百科とパズル誌を除いた点数は28点だった。推定発行部数は同16・0%増で、3月に大部数の女性誌の創刊が集中した。一方、休刊誌は78点で、前年同期より27点増と大幅に増加した。推定発行部数は同252・9%増。インフォレストの倒産などにより、ギャルファッション誌が軒並み休刊。『MISSplus』『すてきな奥さん』などメジャー雑誌の休刊も相次いだ。
不定期誌の新刊点数は増刊・別冊が2018点で前年同期比294点減少。ムックは同17点増の4661点で、定期雑誌の不振をムックで補う傾向が続いている。1号あたりを1点とカウントした付録添付誌数は、同154点減少して6219点。女性誌では、付録を外す動きもみられた。

中山寿賀雄理事長を再選/加入促進、発売日改善図る/長崎総会

長崎県書店商業組合(中山寿賀雄理事長)は7月30日午前10時半から諫早市「水月楼」で第27期通常総会を開催した。
総会は草野専務理事の進行で始まり、中山理事長はあいさつで6月に開催した日書連総会について報告。「ポケッター」の販売についての説明や、「心にのこる子どもの本」セールの注文をお願いする旨の話があった。
その後、尾崎副理事長を議長に選任して議案審議。1号議案の事業報告が中山理事長から行われ、返品入帳の締めを九州地区でも1週間程度繰り下げを図ることや、九州雑誌センターでムックの取り扱いを拡大することを呼びかけていきたいと説明があった。2号議案の決算報告は草野専務理事が詳細を説明、辻監事より監査の結果適正であった旨の監査報告があり、全員異議なく承認された。
3号議案の事業計画案は中山理事長が説明。未加入書店の加入促進、九州一円の雑誌発売日を2日目地区とするよう要望する案や、長崎県で今年45年ぶりに開催される国体への協賛・支援が盛り込まれた。4号議案の収支予算案は草野専務理事より説明があり、両議案とも異議なく承認。5号議案の役員改選については、理事・監事とも全員留任を承認した。
この後、来賓として長崎県中小企業団体中央会の小川氏があいさつし、県中央会の現状などについて説明があった。懇親会では、テジマ運送のテジマ副社長よりあいさつがあり、無事総会及び懇親会を終了した。
(古瀬寛二広報委員)

読書週間標語/「めくるめぐる本の世界」

読書推進運動協議会(小峰紀雄会長)の主催により文化の日を挟んで10月27日から11月9日まで実施される第68回読書週間の標語が「めくるめぐる本の世界」に決まった。野間読書推進賞、全国優良読書グループ表彰などの行事が行われる。

内閣府が推進する翻訳事業の事務局に/JPIC

出版文化産業振興財団(JPIC)は7月30日に東京・新宿区の日本出版クラブ会館で第104回理事会を開催。新規事業として、内閣府が国際広報活動の一環として進める「日本の魅力の発信に資する書籍の英語翻訳及び出版事業」の事務局を担当すると報告した。
この事業は、海外の有識者・メディア関係者を始めとするさまざまな層に対して、日本の書籍を翻訳して出版し、日本人の美徳や魅力を発信しようというもの。文化だけでなく科学技術・自然科学など幅広い分野の書籍を選定し英訳・発信していくことで、日本への理解の促進を図る。事業はNTTアドが受託し、事務局を同社とJPICが共同で担当する。翻訳書籍は有識者で構成する選定委員会で決定、今後数年間で数十から100タイトル程度を翻訳する。今年度の予算は約8千万円。

稲津議員、長谷川議員を訪問/軽減税率の適用求める/舩坂会長と志賀理事

日書連の舩坂良雄会長と志賀健一理事(北海道)は8月7日、東京・千代田区の衆議院第二議員会館に稲津久衆議院議員(公明党・北海道10区)、参議院議員会館に長谷川岳参議院議員(自由民主党・北海道)を訪ね、出版物への軽減税率適用を要望した。
舩坂会長は「4月の消費税率引き上げ以降、書店業界の売上は落ち込んでおり、さらに増税となったら店を閉めざるを得ないという声も寄せられている。消費税増税は社会保障の財源に充てるということの重要性は理解しているが、文字・活字は食料品と同じように生きていくために必要なものだと考えている」と述べ、軽減税率適用へ協力を要請した。
また志賀理事は、北海道の書店の現状を説明するとともに、ヨーロッパでは多くの国が食品と並んで出版物へ軽減税率を導入しているとして、「食べ物は生きる糧、読書は精神の糧という崇高な考え方がある」と理解を求めた。
これに対し、稲津議員は「書店で本を見て、選んで買うというのは一つの文化だ。書店がなくなれば一層活字離れが進むだろう。本に対する軽減税率の適用は国民の理解を得られると思う。与党協議の中で声を大にして訴え、期待にお応えできるよう最大限の努力をしていきたい」と回答。
長谷川議員は「軽減税率適用の請願書の紹介議員になることに賛同する。私も子育て世代なので、帰宅したら必ず読み聞かせをしている。本を読む習慣を付けるのは非常に大切なこと。日本の教育の根幹だという思いで、しっかり支えていきたい」と語った。

木野村祐助理事長が続投/「岐阜県出身作家フェア」を続投/岐阜総会

岐阜県書店商業組合(木野村祐助理事長)は6月13日、岐阜市の十八楼で第31回総会を開催した。
総会の冒頭で木野村理事長は、「出版業界は相変わらず不況が続き、書店の廃業等が多く会員数が大幅に減少した。しかし、この不況を打破すべく、会員書店は今一層努力してほしい」と激励のあいさつを述べた。
この後、寺田書店の寺田氏を議長に選任して議案審議を行い、すべての議案を原案通り承認可決。役員改選では、木野村理事長より理事長を改選してほしいとの要望があったが、引き続き理事長をお願いすることで承認された。
岐阜県の行事では、直木賞等の文学賞で、岐阜県出身の作家から近年多くの受賞者を輩出していることから、「岐阜県出身作家フェア」を開催。参加書店で販売促進にある程度の成果が得られた。
総会終了後に懇親会が開かれ、新年度の発展を祈念して散会した。
(司馬豪久広報委員)

「敬老の日読書のすすめ」リーフ作成/読進協

読書推進運動協議会は2014年「敬老の日読書のすすめ」のリーフレットを作成し、全国の図書館、書店などに配布した。これは、各県の読進協から寄せられた「敬老の日におすすめする本」の推薦書目をもとに、読進協事業委員会で選定したもの。推薦図書は以下の24点。
▽『村上海賊の娘上・下』和田竜、新潮社▽『恋歌』朝井まかて、講談社▽『政と源』三浦しをん、集英社▽『団塊の秋』堺屋太一、祥伝社▽『鉄童の旅』佐川光晴、実業之日本社▽『悪医』久坂部羊、朝日新聞出版▽『大晩年』永六輔、中央公論新社▽『アンパンマンの遺書』やなせたかし、岩波書店▽『60歳からしておきたいこと』坂東眞理子、世界文化社▽『「年寄り半日仕事」のすすめ』三浦雄一郎・三浦豪太、廣済堂出版▽『加齢なる日々』小川有里、毎日新聞社▽『独居老人スタイル』都築響一、筑摩書房▽『103歳世界最速のおじいちゃんスプリンター』宮﨑秀吉、日本文芸社▽『83歳の女子高生球児』上中別府チエ、主婦の友社▽『87歳。紫竹おばあちゃん幸せの花園』紫竹昭葉、海竜社▽『父の生きる』伊藤比呂美、光文社▽『わたしだって看取れる』徳永進、ベストセラーズ▽『大・大往生』鎌田實、小学館▽『辞書になった男』佐々木健一、文藝春秋▽『曲り角のその先に』村岡花子、河出書房新社▽『メイコの食卓』中村メイコ、KADOKAWA▽『緒方貞子戦争が終わらないこの世界で』小山靖史、NHK出版▽『戦国史を歩んだ道』小和田哲男、ミネルヴァ書房▽『紙の本は、滅びない』福嶋聡、ポプラ社

五十嵐理事長を再選/山形総会

山形県書店商業組合(五十嵐太右衞門理事長)は7月24日午後2時半から山形市の山形県教科書供給所で第27期総会を開き、組合員30名(委任状含む)が出席した。
総会は遠藤澄男副理事長の開会宣言に続き、五十嵐理事長があいさつ。髙橋穣副理事長を議長に選出して議案審議を行い、第27期事業報告、収支決算書、監査報告、第28期事業計画案、予算など全ての議案を原案通り承認可決した。定款変更(役員の定数変更)については、事務局から定款変更案と提案理由の説明が行われ、役員定数を理事は6人以上12人以内、監査は2人とする変更案を承認した。また、任期満了に伴う役員改選では五十嵐理事長の再選を決定した。
(五十嵐靖彦広報委員)

県の読書推進事業を共催/組合員研修の講演会開く/鳥取総会

鳥取県書店商業組合(田江泰彦理事長)は6月19日に倉吉未来中心で第26回通常総会を開催。議決権保有組合員(支店加盟除く)は委任状出席を含め全員出席した。
総会は議長に田江理事長を選任して審議。窪田憲三副理事長が平成25年度事業報告、杉嶋運一副理事長が平成25年度事業計画案、収支決算、26年度予算案等の説明を行い、全ての議案を原案通り承認可決した。
26年度事業計画では、今年初めて行われる「中学生ポップコンテスト本でつなぐわたしたちの未来プロジェクト2014」(鳥取県社会教育課主催)を書店組合が共催し協力していく方針を決議した。また「絵本ワールドinとっとり2014」(12月6日・7日倉吉市で開催予定)、県の公益事業「青少年育成支援事業」については、前年に引き続き組合員が協力し取り組むことを再確認した。
総会終了後、組合員研修として、米子市立図書館統括司書の大野秀氏を招いて「新生米子市立図書館のスタート」の演題で講演会を開催。図書館と書店がパートナーシップを結んで協働できることがたくさんあるということに気づかされる内容だった。
(井澤尚之広報委員)

日書連各事業への協力を要請/島根総会

島根県書店商業組合(今井直樹理事長)は7月24日、松江市の「テクノアークしまね」で通常総会を開催し、組合員26名(委任状含む)が出席した。
総会では平成25年度事業報告、決算報告、平成26年度事業計画並びに予算案を承認可決した。また改めて日書連各事業への協力要請も行われた。
総会終了後、現在実施中の県組合共同販売商品の出版社を招き、説明会を開催。説明会の最後に岩佐由紀夫委員長より決意表明のあいさつがあった。
(福田寛広報委員)

本と遊ぼうこどもワールド/名古屋、大阪、旭川で

日販は8月2日~4日に名古屋と大阪、8月8日~10日に旭川で「本と遊ぼうこどもワールド2014優良児童図書展示会」を開催した。
【名古屋会場】
名古屋市公会堂で開催。名古屋会場は1979年から連続36回目の開催となった。オープニングセレモニーでは日販・安西浩和専務、日本児童図書出版協会を代表して童心社・田中正美社長があいさつ。児童福祉施設への図書贈呈に続き、東海日販会・宮川源世話人代表、田中社長、来場者を代表して園児4名、安西専務によるテープカットで開場した。
今回はサブテーマを「ドキドキ、わくわくをさがしにいこう!」とし、会場中央に大木のモニュメントや観葉植物を設置。会場正面奥に「読み聞かせの森」を設置して冒険の場を演出した。展示会場では「東海道新幹線開業50周年記念」コーナーや自由研究コーナーを設置するなど、児童書の魅力を様々な形で伝えられる会場作りと商品陳列を行った。また、今回も出版社ブースを設置し、各ブースが特色ある商品陳列を展開した。
来場者数は3日間で4403名だった。
【大阪会場】
大阪市の大阪マーチャンダイズ・マートBホールで開催。オープニングセレモニーでは日販・加藤哲朗専務と日本児童図書出版協会を代表して光村教育図書・時枝良次社長があいさつ。続いて児童福祉施設への図書贈呈を行った。
大阪地区で5年連続の開催。読み聞かせ会やお客様参加型の企画が好評で、入場者数は3日間で3719名と賑わった。展示では大阪会場オリジナル企画の「本の帯創作コンクール」コーナー、「アナと雪の女王」コーナーなどが注目を集めた。
このほか、3日間それぞれ先着30名のイベントとして開いた「トリックアートに挑戦!『エイムズの部屋』を作ろう」「バルーンアートを作ろう」は毎回人気で、整理券は完売した。
【旭川会場】
旭川市の道北地域旭川地場産業振興センターで開催した。オープニングセレモニーでは日販・吉川英作専務、日本児童図書出版協会を代表してくもん出版・志村直人社長があいさつ。続いて旭川市へ図書贈呈を行い、旭川市市長が感謝状を渡した。このあと旭川市中央図書館・高橋秀彦館長、旭川冨貴堂・志賀博社長、志村社長、吉川専務の4名によるテープカットで開場した。
会場では、旭川会場独自企画として、「あべ弘士先生」「堀川真先生」「旭川出身作家」「大型絵本」等の各コーナーが設置され、盛況だった。
来場者数は3日間で4100名だった。

「料理レシピ本大賞」/実用書で店頭活性化目指す/9月19日に第1回大賞発表

出版不況を脱却する試みとして、書店と取次の有志が創設した「料理レシピ本大賞inJapan」は、9月19日の第1回大賞発表に向けて準備が進められている。書店発の賞では本屋大賞が年々存在感を高め、大賞に選ばれた作品は毎回ベストセラーになっている。小説が対象の本屋大賞に対して、料理レシピ本大賞がユニークなのは実用書に絞った賞であること。実行委員長の今野英治氏(東京都杉並区・今野書店)は「料理本の指針を作り、増売と店頭活性化につなげたい」と意気込む。(白石隆史)
〔書店、取次の有志が創設/日書連舩坂会長が実行委顧問に〕
料理本の賞として、世界では「料理本のアカデミー賞」と言われるグルマン世界料理本大賞がある。毎年その年に発行された世界中の料理本やワイン本が大賞に輝き、世界の主要市場へ流通する機会を作っている。日本からも受賞作品が出ているが、読者への話題提供には至っていない。
料理レシピ本大賞は、日本では初となる料理本の賞。本屋大賞や芥川賞、直木賞などの受賞作品は読者の注目を集め、ヒット商品として売上を伸ばしている。ただ出版界の賞の選定対象は文芸やエッセイのジャンルに集中している。多くの読者がいて、ベストセラーやロングセラーも多い料理本の賞はなかった。
今年初め、東京で行われた書店、取次、出版社の懇親会の席で「料理本の賞があったらいいね」という話題で盛り上がり、その後、書店、取次の有志41名から成る実行委員会を立ち上げて一気に具体化した。
今野氏は「実用書である料理本は、規模の大小を問わずリアル書店に親和性が高いジャンル。この賞を通じて、書店から読者に料理レシピ本の指針を示し、魅力をアピールする。出版業界全体の売上増と書店店頭活性化の起爆剤にしたい」と話す。
〔実用書のロングセラー作る/料理レシピ本の「指針」に〕
料理レシピ本大賞は料理部門、お菓子部門からそれぞれ大賞1点、準大賞2点を選び、ベスト10までを表彰、30位までを発表する。
出版社88社から219点のエントリーがあった。60社・150点程度を想定していたが、「出版社の関心の高さに驚いた」という。
第1次選考は7月末まで行い、料理部門38点、お菓子部門5点が通過した。①レシピ主体の本か②家庭で再現可能な分かりやすく作りやすい内容か③料理を作ることが楽しくなる、また何度でも作りたくなる内容か④書店店頭で常備すべき内容か⑤日本の食文化の保護・発展に貢献する内容か⑥食育に貢献できる内容か――を一次選考基準に、全国より公募の書店員だけで選考した。
第2次(最終)選考は8月末まで行い、ベスト10を選んだ。選考結果は9月19日、東京・新宿区の日本出版クラブ会館で発表する。
業界には9月1日に情報公開し、19日までに書店が本を仕入れられるようにする。選考委員は書店員に加えて料理書・料理雑誌編集者、取次、飲食店経営者、プロの料理人、また作家の角田光代氏やフードジャーナリストの平松洋子氏など約20名が務めた。また、プロ並みの料理の腕前を持つことで有名な、お笑いコンビ「キャイ~ン」の天野ひろゆき氏がアンバサダーに就任した。第2次選考基準は①美味しく手順等が分かりやすく再現可能なレシピかどうか②購入した読者が共感できる内容か③選考委員として推薦文を書いてもよいと思える内容か――の3点。プロの料理人が選考委員に加わったのは味と再現可能性を専門的な視点から確認するためで、実際に料理を作った上で投票してもらった。
賞の決定後、全国の書店で料理レシピ本フェアなどを開催する。販売には実行委員各書店はもちろん、日書連の協力も得たいという。実行委員会顧問を務める日書連・舩坂良雄会長を通じて各都道府県組合との協力体制を築き、増売に結び付けたい考えだ。また、書店大商談会やBOOKEXPOに料理レシピ本大賞コーナーを設けることも検討しており、出版業界全体の協力を得ながら賞を成功に導きたいとしている。
大賞作品の販売目標は10万部。今野氏は「本屋大賞や直木賞などの文芸賞の販売期間は2ヵ月程度。料理レシピ本大賞は平積みしてお客に薦めれば1年間通して売れる可能性がある。瞬間風速では本屋大賞のほうが凄いが、継続的に売れて最終的に積み上がったとき大きな数字になると思う」と自信を示す。
賞の冠を付けることで、読者の注目を集める。そして増売に結び付け、店頭活性化を図る――それが料理レシピ本大賞の最大の目的だ。今野氏は「来年以降も続けて、実用書ジャンルにおける本屋大賞のような存在にできれば。毎年受賞作が蓄積していくことで、料理本の指針ができる。『何かいい料理本はありませんか』と訊かれたとき『料理レシピ本大賞受賞作』というお墨付きのある本を薦めることができ、読者と信頼関係を築くことに役立つ。可能な書店はエントリー本全点フェアを実施してほしい。また、受賞作は常備してほしい。そうすれば棚が活性化し、売場全体にも波及する。出版社からはエントリーフィーをいただいている。書店だけでなく、出版業界のすべての人たちが喜ぶことができる取り組みを考えていきたい」と意欲を示す。

鹿児島、熊本、宮崎3県トーハン会/合同販売決起集会を開催

南九州地区3県(鹿児島、熊本、宮崎)のトーハン会は合同で販売コンクールを企画し、7月11日に宮崎県都城市のウェルネス交流プラザで販売決起集会を開催。各県トーハン会代表役員、企画取り上げ出版社(河出書房新社、PHP研究所)、トーハン関係者など12名が参加した。
冒頭、開催地の宮崎トーハン会の田中義久会長(都城田中書店)は「3県が力を合わせてプレミアムセールで上位進出を目指して頑張ろう」と力強くあいさつした。
続いて、PHP研究所から『なぜ?に答える科学のお話366』、河出書房新社から『こども生物図鑑』について内容説明があり、各県トーハン会代表役員と販売戦略などで熱い討論が繰り広げられた。
このあと懇親会を行い、参加者間の親睦を深めるとともに、改めてプレミアムセール上位進出を誓い合った。(宮崎容一広報委員)

こどもの本BFが盛況裏に終了/トーハン

トーハンは取引書店と共催で「2014こどもの本ブックフェア」を全国4会場で開催した。今年は7月25日~27日の岡山会場(コンベックス岡山)を皮切りに、7月26日~28日の京都会場(京都市勧業館)、7月30日~8月1日の福岡会場(福岡国際会議場)、8月2日~4日の札幌会場(サッポロテイセンホール)で開催し、合計約1万9700名、約580校を動員した。
開幕セレモニーでは、協賛団体を代表して、日本児童図書出版協会より、岡山会場は国土社・野村賢正社長、京都会場はポプラ社・奥村傳社長、福岡会場はあかね書房・岡本光晴社長、札幌会場は福音館書店・小倉昇社長があいさつした。
各会場では、絵本、読みもの、児童図書や保育・教育書など出版社約320社、2万点、計5万冊をジャンルごとに展示。他に企画コーナーとしてテーマ別に約30ブースを設け、「読み聞かせ」「朝読、うちどく」などの定番や、「びっくり、どっきり!妖怪ランド」「和食日本人の伝統的な食文化」などバラエティに富んだ企画を展開。会場には親子連れや学校図書館関係者が多数来場し、絵本や読みもの、学校図書館用セット・教育書を熱心に選書する姿が目立った。
また、絵本作家の原ゆたか氏、いわいとしお氏、工藤ノリコ氏、イラストレーターの村田桃香氏を招き、各会場で連日多彩なイベントを開催。ポプラ社の協力で行った1冊100㎏の「超大型絵本『おまえうまそうだな』」のお話し会(岡山・福岡)や4会場で行った「お・も・し・ろ理科実験」「妖怪ツアー」も人気だった。

参考図書

◇『書店と読書環境の未来図』(本の学校編、出版メディアパル刊)
1995年から5年間にわたり、鳥取県大山町で開かれた「本の学校大山緑陰シンポジウム」は、2006年からは東京国際ブックフェア会場での「出版産業シンポジウムin東京」に引き継がれている。本書はその「出版産業シンポジウム2013」の全記録と、2014年3月に開催された「本の学校・出版産業シンポジウム2014春」を2014年への提言として収録したもの。A5判、213ページ、定価本体2400円。
第1部は、2014年春のシンポジウム「街の本屋と図書館の連携を考える」の内容を紹介。書店人と図書館人がお互いの本質的な役割を認識した上で、地域社会でいかに豊かな読書環境を構築していくかを、星野渉氏をコーディネーターに、阿刀田高氏、片山善博氏、花井裕一郎氏、宮川大輔氏、高須大輔氏の各パネリストが語る。
第2部は、「店観点で考える本をつたえる仕事のこれから」をテーマとした「出版産業シンポジウム2013」の記録集。特別講演「人と地域から〝求められる書店〟とは?」(パネリスト=成毛眞氏、菊地敬一氏、石田千氏、コーディネーター=永江朗氏)の内容紹介をはじめ、「若手社員が語る〝取次で働く理由〟」「本を通じたコミュニケーションのあり方」「『学術出版』と大学市場はどこへむかうのか」「雑誌の新たな『作り方・売り方』を考える」の4つの分科会報告を掲載。

生活実用書/注目的新刊

不景気な世の中だが、たとえ仕事が思うようにいかなくても、健康に生きてさえいれば、また再び良いことに出会う確率も高まろうというものである。今回は、昭和11年、昭和18年生まれの両医師に学ぶ健康法の極意である。
帯津良一著『「いい人」をやめると病気にならない』(SB新書268730円)は、ちょいワルくらいに生きた方が、むしろ健康的な日々が送れるという、読む人を安心させてくれる知恵がいっぱい。
章立てを見ても、たとえば病気を防ぐにはよく遊びよく笑えとか、健康でいたけりゃ酒も偏食も楽しめ!早死がいやなら、もう遠慮はするな!寿命をのばす「いい加減」習慣、などと続くのである。
一生懸命働いても成果が上がらない現代に、著者が言ういい人は、何の展望もなく仕事をし、ストレスを受け流すのが下手、一方ちょいワル人は仕事とプライベートの切り替えがうまく、ストレスもたまりにくい、と定義づける。
2008年に始まったメタボ検診に関しても、数値は気にするなという。たとえば、コレステロールと血圧の基準値はここ20年で30ポイントも下がっているが、基準を示す明確な説明はないのである。薬でコレステロール値を下げると免疫力も下がり、脳出血は予防できるものの、今度は脳梗塞が発症しやすくなる。
身体だけの養生でなく、心と生命の養生も加えなければ本当の健康ではないと説く、ちょいワル健康習慣の勧め。
松本光正著『高血圧はほっとくのが一番』(講談社+α新書651―1B 840円)も現在の医療における基準値に警鐘を鳴らしている。
著者自身が降圧剤と常識とされた診療に疑問を持ったのが、およそ15年前だった。
契機になったのが「降圧剤を飲んでいる人は飲んでいない人に比べて脳梗塞の発症率が2倍になる」という大櫛陽一氏の研究。調べるにつれ、血圧は上が200を超える極端な場合を除き、何でもないことがわかったのである。
昭和62年に基準値は180~100だったが、現在は50も下げられている。この数字で患者数は20倍になった。高血圧症は製薬会社の利益のための虚構の病と断言する。コレステロールもメタボも大嘘。マイナス思考を防ぐことが正しい健康法なのである。
(遊友出版・斎藤一郎)

「読者の期待に応える品揃えを」/東京日販会総会で矢幡会長

東京日販会は7月22日、東京・千代田区の東京ガーデンパレスで第8回総会を開き、会員書店、出版社、日販関係者合わせて125名が出席した。
冒頭、あいさつした矢幡秀治会長(真光書店)は「店頭は非常に厳しい状況が続いているが、周りでは電子書籍は重い、目がちかちかすると言って紙の本に戻って来る人も大勢いる。こうした読者の期待に応えるためにも店頭の品揃えを充実させたい。日販と出版社は売りたい本、売れる本を積極的に提案してほしい」と述べた。
議案審議では事業報告、会計報告、事業計画案、予算案などすべての議案を原案通り可決承認した。
このあと来賓の日販・竹山隆也取締役があいさつ。
「7月から始まった店頭企画『祭』と、『雑誌愛読月間』を通じた雑誌定期購読者の囲い込みに力を入れている。定期購読者の多い書店は店頭売上が前年より高い。東京日販会の会員書店は駅前の立地が多い。強みを活かした取り組みを行ってほしい」と述べた。
総会終了後、作家の北村薫氏が『八月の六日間』(KADOKAWA)発売記念講演会を担当編集者との対談形式で行い、新刊の創作秘話をはじめ自分にとっての本、紙の本と電子書籍の違いについて語った。