全国書店新聞
             

平成17年12月1日号

来年総会までに報告書/経営実態調査、近く配布/日書連

18日開催の日書連11月理事会の主な討議は以下。
〔経営実態調査〕
懸案の書店経営実態調査は「店舗に関する調査」「営業実態」「経営実態」「経営者の意識調査」の4項目に分けてアンケートに回答してもらうことが決まった。今後のスケジュールは11月下旬、調査用紙を全国書店に発送し、12月に回収。来年2月集計、3月分析、4月まとめ、5月の日書連総会までに報告書作成の段取り。
高須委員長は「実態調査は今後の書店経営に役立てる。明日に向かって一歩踏み出すため、ぜひ回答をお願いする」と実態調査への協力を呼びかけた。
〔流通改善〕
無伝返品、機械化など取次の合理化が進む一方で、返品入帳が早くならない問題で、藤原委員長は「数年前、書店実態調査をもとに改善を申し入れた。大阪屋、栗田の返品入帳は早い。蓮田の返品センターは着後2日目で返品データを取次各社に渡しているが、キャッシュフローの関係か計算書には反映されていない。取次個々に申し入れ、話し合いをしていく」と、今後の対応を説明した。
2006年度の土曜休配は6月18日、7月8日と今年も2回に決まったことが報告された。
〔組織強化〕
全国の10月期加入店舗は1店、脱退が17店で合計16店の減。この結果、4月から10月までの増減は227店減、日書連傘下の組合書店数は6811店になったことが鈴木委員長から報告された。
同委員長は「(組合員の減少は)憂慮すべき段階。経済的問題にスポットをあてて取り組んでいく。出版業界の発展を願う立場から一層の団結をお願いしたい」と呼びかけた。
青森組合鶴谷理事長からは「会費分のメリットがないという声に応え、キロ建て13円から19円の幅があった返品運賃を20キロ1個260円に一本化を図った。未加入店には『加入のすすめ』を配り、組織強化に努めている」とする実情が報告された。
〔情報化〕
学校図書館の納入問題で大阪組合から大阪府の実情が報告された。これによると府立高校143校のうち、今年度44校が入札でTRCマークを導入。来年、残りの高校分を入札する。小学校・中学校は電算化の諸についた段階で、大阪組合としてデモ校、パイロット校を通じて日書連マークの導入を働きかけている。
志賀委員長は「学校図書館の納入に対する考え方がようやく書店に浸透してきた。TRCが学校図書館に攻勢をかけており、書店組合も市町村教育委員会に地元からの購入を働きかけてほしい」と述べた。
〔再販研究〕
豊島区・フタバ図書、郡山市・みどり書房が図書の販売に付けているポイントサービスについて、岡嶋委員長は再販研究委員会に問題提起したことを報告した。また、「2月以降、身動きが取れない状況が続いている」として、運動再構築の時期に来ていると問題提起した。

出版小売業公正規約改訂/公取委は3%求める/景品提供のポイントサービス

出版物小売業公正取引協議会は11月18日、書店会館で理事会を開催。景品にかかるトレーディングスタンプの問題で、「1%」の小売公取協案に対し、公取委から「3%」を強く求めてきたことが報告になった。11月理事会では「1%でも組合員の反対が強い」「スタートから3%でという根拠があるのか」「再販崩壊の引き金になりかねない」などの発言が続き、再度、公取委に1%で押す方針を確認した。
小売公取協は10月27日の理事会で「景品類に該当する低率のトレーディングスタンプ」は1%とする規約改訂案をまとめ、11月14日に井門会長、影山専務理事らで公取委を訪問。消費者取引課に改訂案を提出してきた。しかし、同課菅久課長は「低率が1%というのでは改訂案を上に持っていけない」として3%まで認めるよう求め、2時間あまりにわたって「1%」「3%」の話し合いが続いたという。
井門会長、影山専務理事の報告を受けた11月理事会では「大阪では1%にもノーの意見が強い。再販崩壊に向かうアリの一穴になりかねない」「公取委は再販を当面存置と結論しながら、その実態は再販を空洞化させている。消費者が混乱するような施策を取るべきではない」「改訂案が通ると、再販商品を値引きするポイントカードも認められたと誤解されるのではないか」「神奈川組合理事会で、1%案を批判された」「再販と景品はクルマの両輪。公取委に妥協すべきではない」などの強硬な意見が相次いだ。
井門会長は「小売公取協の組織があるから公取委と話し合いも出来る。規約がなければ一般ルールで景品、ポイントは10%まで自由に付けられることになる。とりあえず、もう1回
1%で交渉するが、いずれ妥協点は必要になるのではないか」と、この日の議論をまとめた。
また、影山専務理事は「規約改訂は6月が期限だった。年内に決めて新年度にスタートが至上命題。改訂案がまとまらなければ10%になる」と、今後のタイムスケジュールを説明した。

新年号の原稿募集

本紙では1月1日・11日・21日付け発行の新年号特集として読者の皆さんからの原稿を募集します。テーマは①2007年、私の挑戦、わが店の挑戦、②紹介します我が家のお宝、③私のリラックスタイム、④自由題のいずれか。原稿は800字以内、住所、店名、氏名、年齢をお忘れなく。採用分には薄謝を進呈します。

平成18年理事会日程

委員会理事会
1月新年懇親会27日(金)
2月22日(水)23日(木)
3月休会
4月19日(水)20日(木)
5月24日(木)
定時総会25日(金)
6月21日(水)22日(木)
7月19日(水)20日(木)
8月休会
9月20日(水)21日(木)
10月移動理事会19日(木)
11月21日(火)18日(水)
12月20日(水)21日(木)

第4土曜日キャンペーン、来年も読み聞かせ継続/11月理事会

〔読書推進〕
「第4土曜日は子どもの本の日」キャンペーンは8年かけて全国を一巡した。来年以降も春と秋の年2回に分けて3、4県ずつ展開していく。高須委員長は「キャンペーンでは読み聞かせだけでなく、研修会なども計画していきたい」と意欲を示した。
平成17年度「絵本ワールド」は7月石川、8月奈良、10月岡山、11月兵庫、12月香川、1月山形、福岡、沖縄、栃木、2月長野、3月宮城の12カ所で開催を予定している。
坂田おさむのCD「サアー本屋さんへ行こう!」は有線放送「USEN」の放送基準にパスしたため、今後全国でリクエストが可能。高須委員長は同CDの販売も検討したいと述べた。
〔指導教育〕
青少年不健全図書を未成年が閲覧できないよう神奈川県がシール止めを求めている件で、大橋委員長は①小口2カ所止め、②青色ビニールの指定があり、11月下旬から2カ所止めの雑誌が出回ると説明した。出版社は都道府県により1カ所、2カ所と異なっては対応できないため、統一を望む声がある。
21日には東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市の1都3県4市の行政と出版業界4団体の打ち合わせがさいたま市で開かれ、日書連から大橋委員長が出席する。
理事会の前日、17日には中小企業会計啓発・普及セミナーが書店会館で開かれた(4面参照)。
〔スタートアップ〕
共有書店マスタをベースにした書店データベース(S―DB)の作成について、井門委員長は7県で書店データのクリーニングが終了していることを報告。残る各都道府県も輸送業者に配送先の有無を確認してほしいと要請した。
これに関連して、共有書店マスタユーザー会の会員が222社に増えたため、今年4月にさかのぼって月額会費を1社1万円に改定したことを紹介。「日書連とのタイアップが評価されている」と述べた。
〔取引改善〕
雑誌付録問題、複合商品の取り扱いで12月に雑協と話し合うべく会談を申し入れたことが下向委員長から報告された。また、不公正取引の監視機構を設けることが提案された。
〔消費税〕
消費税率上げについて政治的なスケジュールが議論され始めている。面屋委員長は「出版業界4団体の方針は出版物に軽減税率を求める意向だが、消費者団体の動向も含めて考えていきたい」とする方針を説明した。
〔増売運動〕
今年の読書週間書店くじは前年の437万枚発行から406万枚に31万枚減少したことが報告された。舩坂委員長は12月14日に委員会を開き、書店くじの全面的見直しを図りたいと述べた。
〔福利厚生〕
日書連のオリジナル手帳「ポケッター」2007年版は12万5千部製作して完売になった。交通事故、不慮の災害などを補償する「あんしん財団」は今後、同財団が書店を訪問して加入促進をかけていく。
〔新年懇親会実行〕
平成18年出版販売新年懇親会は1月27日に箱根・湯本富士屋ホテルで開催する。会費は3万円。翌28日は小田原湯本カントリーでゴルフコンペを予定。

共済会給付

(17・10・25~17・11・16)▼病気傷害横浜市西区藤棚町1―43第7有隣堂浅海孝殿2口
名古屋市千種区北千種2―4―9文進堂書店河合市郎殿
▼病気傷害・死亡弔慰栃木市倭町6―22紙五商店橋本晃殿
▼死亡弔慰港区虎ノ門1―17―1文誠堂書店才田成利殿4口
板橋区成増2―22―6草間書店草間勇二郎殿
北九州市門司区柳町1―6―1豊文堂書店野口豊殿2口
薩摩川内市平佐町2003―1ブックマート金海堂濱田智美殿3口
▼配偶者死亡(浮田かすみ)北区滝野川6―43―9浮田書店浮田広作殿
▼水害仙台市青葉区中央2―4―6宝文堂鈴木智恵子殿10口11万5千円
中野区松が丘2―34―6吉田書店吉田利夫殿1口18万4千円
大分市中央町1―1―17晃星堂書店後藤武範殿5口12万5千円
岡山市御津金川954中村文亀堂中村博明殿5口21万3千円
▼風害都城市広原町28―7都城金海堂広原店中村亮介殿2口7万9千円
▼同(住居)垂水市本町26幾久書店猪俣勇武殿2口10万円
▼漏水新潟市花園1―1―1文信堂書店パティオ店西村俊男殿1口6万3千円
▼その他被災柴田郡柴田町船岡東2―8―40文星堂平間誠士殿1口1万円
台東区上野4―6―4明正堂上野中通店木村誠一殿5口25万円
中野区若宮3―19―8一貫堂書店矢崎美恵殿1口2万円
姶良郡湧水町木場905西書店西光博殿1口2万円
▼地震柴田郡大河原町字小島2―1金港堂大河原店藤原直殿1口4万8千円

10月期は2.7%増加/実用書、文庫が8%台の伸び/日販調べ

日販経営相談センター調べの10月期書店分類別売上げ調査がまとまった。全体では102・7%と前年の数字をクリア。前年の『ハリー・ポッター』第5巻で
マイナスとなった前月から再びプラスに転じた。
ジャンル別では実用書8・9%増、文庫8・0%増はじめ雑誌、コミック、新書、専門書の6ジャンルがプラス。文庫は『1リットルの涙』(幻冬舎)や細木数子の六星占術シリーズ(ベストセラーズ)が好調で、4カ月連続で前年をクリアした。コミックは3・9%増で10カ月連続の前年クリア。専門書は株関連のビジネス書が売上げに貢献した。
立地別の動向では、商店街のみ2・1%のマイナスとなり、苦戦が続いている。
客単価は平均1121・8円で前年比5・1%増加した。

絵本ワールドの入場者1万人に/兵庫理事会

兵庫県書店商業組合は11月9日、エスカル神戸で11月理事会を開催した。冒頭、三上一充理事長から今期の執行部、委員長体制が発表され、満場一致で承認した。さらに、兵庫県中小企業団体中央会50周年記念大会で兵庫組合が県知事賞
を受賞。8日に表彰式があったことを報告し「受賞は歴代理事長はじめ関係各位のおかげ」と述べた。
委員会報告では、11月5日、6日の両日、絵本ワールドで絵本の展示即売を行ったが、売上げは昨年を下回った。入場者は1万人にのぼったなどが報告され、理事や応援の書店スタッフ30名の協力に感謝が述べられた。
情報化推進委員会からはホームページの積極的利用に向けて、雑誌発売日委員会からは一部週刊誌の早売りについて、共済委員会からは新年度の更新に向けての報告があった。
兵庫組合が実施した「雇用管理に関する実態調査」についてはアンケートの中間報告があった。アンケート回答率は第1回40%、第2回32%だった。(中島良太広報委員)
兵庫組合役員
▽理事長=三上一充(三上尚分堂)▽副理事長=大杉誠三(大杉広文分堂)山根金造(巌松堂書店)森井宏和(森井書房)▽執行理事・事務局長=村田耕平(三宮ブックス)▽専務理事=坂田正美(甲南堂)▽常務理事=山口武司(文進堂書店)春名洋志(大和堂書店)小松恒久(小松書店)▽監事=広瀬正則(神文館)藤田護(いずみ文庫)三間実(高砂書房)

売上は前年比8%増/TS協同組合総会

TS流通協同組合は11月25日午後4時から、書店会館会議室で第6回通常総会を開催した。
同組合の現在の組合員数は157店、取引出版社は総計163社、1年間のTS客注システムの売上は、対前年比8%増の9534万円になった。片岡隆理事長は1年を総括して「特筆すべきは、講談社との取引が開始されたこと。大手総合出版社では集英社が残っているので努力したい。昨年はハリー・ポッターを共同仕入れで販売したが、今年はそれに見合う事業ができなかった。共同仕入れを今後活発化していきたい」と述べた。
議案審議ではこのほか、平成17年度事業計画として、組合員の加入促進、オリジナル商品の開発・販売、東京組合・東京青年部との連携・協力、取引出版社の拡大等に取り組むことを決めた。
来賓の東京組合・小泉忠男指導・調査委員長は「東京組合報にTS流通協同組合の毎月実績を書いている。いつも前年比百何%という数字で、皆さんが頑張っている姿を全組合員に報告できることを誇りに思う。TS事業が今後も順調に進行することを願っている」とあいさつした。

返品運賃削減交渉年内決着めざす/長野理事会

長野県書店商業組合(赤羽好三理事長)は11月12日午前10時半から、松本市内のホテルで理事会を開催した。
理事会では、来年2月25日、26日に長野県民文化会館で開催される「絵本ワールドinながの」を成功に導くため全県挙げて協力していくことを決めた。文化事業面については信濃毎日新聞社が全面的に主導して行い、当日の絵本の展示及び即売会に関しては日販と長野県組合が担うことが既に決定している。
昨年より検討されてきた県下組合員書店の返品運賃については、現行より20~30%くらい割安になるよう運送会社と交渉中であり、年内の決着をめざしている。現在、トナミ運輸、阿南運輸、佐川急便、信州名鉄など数社が見積もりを提出する準備に入っている。なお、これまでついていた保険も当然運送会社持ちとなる方向である。
また、共済会の増口・集金・申込業務等について協力要請があった。宮原副理事長より説明が行われた中で、千円割戻金がカットされた点について、余剰金が数億あるのに問題ではないかという意見が多数出された。本部の決定であり理解を求めたが、今後とも本部に対し以前に戻すよう求めていくことにした。
なお、当日は午後1時より「楽樂ほんやさん」の特別デモ研究会も開催され、県下より15名が参加した。3人の講師の熱心な指導に、参加者は導入を前向きに考えているようであった。
(宮原洋一広報委員)

特賞は65821番/読書週間書店くじ

第32回「読書週間書店くじ」の抽選会が11月18日午後5時から日本出版クラブ会館で開かれ、特賞「オーストリア8日間の旅」をはじめ各賞の当選番号を決定した。
抽選会は岩手組合・赤澤桂一郎理事長の司会で進行。日書連・丸岡義博会長は「今年は文字・活字文化振興法が制定され、読書週間と書店くじがスタートする10月27日が文字・活字文化の日となった。日書連では店で流す音楽CDを作製、これを使って店頭を活性化したいと考えている。書店くじを始め、読書推進運動をこれからも頑張っていく。引き続きご協力をよろしくお願いする」とあいさつ。
増売委員会・舩坂良雄委員長が経過報告を行い、「今回の書店くじはオーストリア旅行を企画した。春の書店くじの旅行は、20回を記念して丸岡会長を団長に今月24日にスペインへ出発する。現地のサン・ジョルディ関係者と交流する予定だ。皆様のご協力をいただき年2回書店くじが実施できることを大変幸せに思う。今後ともご支援を」と述べた。
この後抽選を行い、小峰書店・小峰紀雄社長、筑摩書房・菊池明郎社長、栗田・郷田照雄専務、書協・山下正専務理事、講談社・濱田博信取締役相談役の各氏にボウガンの射手をお願いして4等から順に当選番号を決めた。
懇親会に先立ち、講談社・濱田取締役相談役が祝辞。「書店くじの実施は秋が32回、春が20回とのことで、通算52回も事業を続けていただいていることに感謝する。国際出版連合の大会がバルセロナで開かれた時、カタルーニャでサン・ジョルディの催しを見た。読書運動は地道にやっていくのが大事だと思った。書店くじがますます発展し、1人でも多くの読者が本を買う喜びを味わい、読書推進につながることを願っている」と述べて乾杯の音頭を取った。

来年総会に向け組合改革を策定/北海道組合改革提言委

北海道書店商業組合改革委員会は11月8日午前10時半から道組合事務所で初会合を開いた。
会議は久住邦晴副理事長の司会で進行、委員会の役割について活発な討論が行われた。この中で「政策・イベント企画を作り楽しく魅力ある組合活動にして街の本屋さんの再生につなげたい」「組合の存在価値が弱くなっている。組合活動の再構築が必要」「地域密着型、読者の観点に立った組合運動が大切。組織のあり方も含めて議論して提言し、実行していく必要がある」「組合とは何かという原点に立ち返って、聖域なき改革に取り組まなければならない」「前の活性化委員会は一定の役割は果たしたが、その任に当たった者が委員会を機能させないようにしたところに問題があったのではないか。今回の委員会はその轍を踏まないようにする必要がある」などの意見が出された。
この結果、「夢」「希望」「意欲」の持てる組合を目指す委員会運営をしようということをまとめた。また委員会名称を「北海道組合改革提言委員会」とし、理事会前に毎回会議を開き、来年総会までに「組合改革提言」をすることを決めた。委員長は、互選の結果、荒山敏明氏(なにわ書房)を選出した。
(松山雄洋広報委員)

景品類提供の低率は1%で交渉を/北海道理事会

北海道書店商業組合の11月定例理事会が8日、組合事務所で開催された。
会議の前に「あんしん財団」より保険の説明があり、続いて日書連10月移動理事会、全国広報委員会議、道組合改革委員会の報告が行われた。
出版物公取協の景品規約改訂案については、景品類提供の低率トレーディングスタンプを、書店の現状に鑑み1%にとどめるよう粘り強く交渉することを求める決議をした。
また、広報委員会から提案のあった「全国書店新聞」についてのアンケート結果と紙面刷新提言案が了承された。これに関連して、道組合員から指摘のあった「全国書店新聞」編集責任者の対応について、松山雄洋暫定広報委員会責任者が報告。経過・問題点と、全国広報委員会議でこの問題について発言した内容の説明があり、これを了承した。
道組合改革委員会からは、来年の総会に向けて提言を行うこと、正式名称を北海道組合改革提言委員会として毎月理事会前に会議を行うとの報告がなされ、理事会で了承した。
(中尾邦幸広報委員)

経営力を強化するための会計/増田会計事務所・増田茂行氏が講演

日書連と独立行政法人「中小企業基盤整備機構」は11月17日、書店会館で「中小企業会計啓発・普及セミナー」を開き、日書連理事ら23名が出席した。中小企業会計について意義と導入上の留意点を啓発・普及することにより、中小企業の経営管理基盤の整備促進に資することを目的に実施したもの。講師は中小企業診断士で税理士の増田茂行氏(増田会計事務所)。増田氏は「経営者のための実践講座~経営力を強化するための会計~」をテーマに講演し、「会社法改正を控え、中小企業も決算書に対する意識を変えていかねばならない時期に来ている」と指摘。決算書にまつわる中小企業の悩みを解決する方法などについて説明した。
〔決算書に対する意識改革を〕
来年の会社法改正を控え、中小企業はこれまでの会計、決算書に対する意識を変えていかねばならない時期に来ている。われわれ税理士が決算書をもって中小企業の社長のもとへ説明にうかがうと、開口一番言われるのが「税金はいくら払うの?」で、話はそれで終わってしまうことが多い。日本経済全体がグローバルスタンダード化することで様々な問題が起こっており、そういった意味でも経営者の意識改革は急務である。『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』という本がベストセラーになっていることからもわかるように、一般人の会計に対する意識も徐々に高まりを見せている。中小企業庁も中小企業会計の啓発・普及にかなりの予算を組んでいる。
まず、「中小企業の会計」の意義・必要性について話したい。対外的なことだが、仕入先が皆さんの会社を見るとき「ここの会社はきちんと決算書を作っているか」とか「決算書に対して意識を持っているか」ということを重視している。これからは情報開示の一部として決算書の内容をオープンにしていくことが必要になってくる。
皆さんの会社が今どういう状態にあるかを常に把握していてほしい。人間ドックに行って血の巡りが悪ければ診断書に結果として現れるが、会社もキャッシュフローが悪くなるとその情報は必ず決算書に現れる。そうした状態を早くチェックする経営分析力を磨いてほしい。人間が太ってきたら体重制限をする。会社を長くやっていると売掛金や在庫や遊休資産などの「贅肉」が付いてくるもの。会社側は意外と気が付かないものだが、われわれ税理士が決算書を見れば疑問点をたくさん見つけることができる。ウエストの贅肉や内臓についた脂肪は、外から見てもなかなかわからない。そうした目に見えぬ「贅肉」が決算書を見ると一目でわかる。決算書がわかれば同時に会社の体質も理解することができ、どういう状態になったら危ないかという予防的な判断が迅速にできるようになる。
銀行が融資話を持ちかけてきても、必要がないなら借りてはいけない。金融機関に「ノー」と言うか、それともいいチャンスだからと借りてしっかり管理していくか、それを経営者として判断するためには、常日頃から自社の体質を理解していなければならない。少なくとも半年から1年の金の流れが経営者の頭の中に入っていなければそれを判断することは難しい。
〔貸借対照表に会社の姿勢が〕
貸借対照表は会社の期末における資産、負債、資本などの財政状態を示す決算書である。左側には資産、つまり会社が集めた資金をどのように運用しているかが書いてあり、右側には負債と資本、つまり会社の資金調達の源泉が他人資本か自己資本かということが書いてある。
直近の貸借対照表の資産合計を聞いても答えることができない経営者が非常に多い。資産合計は人間の身体にたとえると体重である。増えても困るし、痩せ過ぎでも困る。会社ごとに「標準体重」というものがある。自社の「標準体重」を知るために細かい数字は必要ないが、直近の資産合計はおおよそこれぐらいという程度のことは理解しておいていただきたい。
自己資本でいくら、他人資本でいくらということについても、おおよその数字をつかんでおくことが大事である。資産がたくさんあっても、そのほとんどが借金では意味がない。一番いいのは資産がたくさんあって、それが自分の金、返さなくていい金であること。つまり自己資本比率が高いことである。
貸借対照表を見ると、その会社がどういう考え方で資金を調達して運用しているかが見えてくる。会社の経営戦略、財務戦略の基本にあるのが貸借対照表である。資産が潤沢にあり、返さなくていいお金=自己資本でまかない、安いコストで資金を調達して、高い利回りで運用する、そしてそれを出来るだけ本業のところでやることが大切だ。
損益計算書は基本的に「収益―費用=利益」の基本算式により利益を求め、経営成績を判断するもの。その中で最も重要なのは「経常利益」。経営分析などで「利益」というときは通常「経常利益」を指す。金融機関との借り入れ交渉の時、金融機関が「ところで御社の前期の利益はいくらでしたか」と聞いてきたとき、さりげなく「それは営業利益ですか、それとも経常利益ですか」と聞き返すと、「この社長は損益計算書のことをよく理解しているから大丈夫」と金融機関側も判断することができる。
〔経営は事業計画書を作って〕
中小企業の経営者は、経営をしていく上で3つの大きな悩みを持っている。①儲かるのだが、いつもお金がない②金融機関の信用が勝ち取れない③得意先、仕入先の信用が勝ち取れない――中小企業の悩みの根は同じところにある。
3つの悩みを解決するには、資産、スタッフ、財産など会社の持つ有形無形の財産を上手に使って売上高を増加させる方法を考えることが大切である。それを判断できる経営指標は「総資本回転率」。会社の総資産を活用してどれだけ効率よく売上高をあげることができたかを見る指標で、回転率が高いほど効率がよく、会社の規模が適正であると判断できる。
また、利益が企業内部に確実に蓄積されるような配当を考える。内部で蓄積されるのは現金預金がよいので売上債権を増加させないようにする。そして、在庫は必要最小限を持つようにする。これは「自己資本比率」によって判断できる。これが高いほど財務基盤が安定している。持っている資産をすべて売却して現金にして借入金を返済してもまだ債務が残ってしまう債務超過の会社とは付き合わないことが望ましい。ところが中小企業には債務超過のケースが多い。税金だけは絶対に払いたくないという決算をしているとついついこういう状態になってしまう。でも、今はもうそういう時代ではない。
計上した売上が確実に利益を生むように、粗利益を考えた販売をし、販売管理費を節約して効果的に経費を使うことも大切だ。判断できる経営指標は「売上高経常利益率」で、利益を稼ぐ力を見る。この指標を高くするためには、付加価値を高めて売上を上げる、薄利多売で回転を良くすることで利益を上げることだが、ベストは両者のバランスをよくして売上と利益の両方を上げることである。
そして、売上を増やし利益につなげることで生み出したお金を上手に使っていく。不要な借入はなるべく早く返済して金利を下げ、残ったお金(フリーキャッシュフロー)は確実に売上に結びつく投資を行なう。判断できる経営指標は「営業キャッシュフロー対有利子負債比率」で、会社の資金繰りがよいかどうか、上手にお金を使えるかがわかる。
みんなが右肩上がりのバブルの頃とは違い、現在は結果オーライでは済まない状況にある。計画と実行のチェックがきちんと出来ていなければ次の年につながっていかない。事業計画は経営の羅針盤として重要。これからは中小企業であっても事業計画書を作り、事業に取り組んでほしい。

桶川SCMセンターの完成を披露/トーハン

出版流通の抜本的改革をめざすトーハン桶川SCMセンターは、今年8月の出版QRセンター一部稼動に続き、書籍返品センターが作業を開始。11月24日に出版社、書店を招いて完成披露式が行われた。
書籍返品センターは書店から返品された商品を高速自動検品・仕分システムで読み取り、迅速に入帳データを確定。書店の返品伝票が不要になり、「起票レス」で書店作業が軽減する。
文庫・新書判専用の検品・仕分機「B型ブックソーター」は1冊0・6秒、1日25万冊を処理。ポケット判からA3判まで対応する「H型ブックソーター」は1日45万冊を処理可能。10月31日から特定エリアを対象に文庫、新書でスタートした。現在は1日10万冊の処理量だが、来年4月にはフル稼働を目指す。
読み取った返品は書店別・銘柄別にデータ化されるとともに、送品・POSデータと合わせて市場在庫を把握し、書店の品揃えや出版社の需要予測、生産計画に生かされる。
今後のスケジュールとして、来年5月にブックライナーの客注専用サービス「本の特急便」、通販サイト「e―hon」を桶川に移転。5月から9月にかけて首都圏10カ所に分散している在庫を集約して業界最大規模80万アイテム、1800万冊の在庫体制とする。全面稼動は19年7月、地方拠点の在庫統合後。
24日の完成披露式でトーハン小林社長は「桶川SCMセンターの目的は返品の無駄をなくし、データを駆使して売り損じを起こさない仕組みを作ること。業界全体の売上げ増大とロス削減を目指す。本日ここに出版流通改革を宣言する」と述べた。
来賓のセブン&アイ・ホールディングス鈴木敏文会長は「商品のライフスタイルが短くなり、今日届かなければ、もういらないと言われる時代。出版界も同じで、SCMセンターが完成したことは大きな意義がある」とあいさつした。

「声」/「店こそ我が書斎」読書・創作に活用/長野県・山根屋書店・沓掛喜久男

山の中の小さな本屋です。本屋に生まれたので本屋になったが、他の職業だったら継がなかった。子どもの頃から本の配達をやった。そして古希を過ぎた今も毎日配達をしている。
本屋も商売のやり方が変わったらしいが、うちは50年この方全く同じだ。コンピューターとは無縁、覚えようとは思わない。いや覚えられない。帳簿、伝票はカーボン紙、全部手書き。電卓ぐらいは使うが、カミさんは算盤も使う。
このご時世、売上げは大分減ったが、食って行けないことはない。取次への支払いも減った分楽になって百%支払いだ。
配達から帰るとカミさんと代わりレジに座る。その頃になると、お客もまばら、「店こそ我が書斎」悦楽の時が始まる。まず読書、文芸3誌、中間小説(近頃そう呼ばなくなった)3誌は大抵目を通す。ベストセラーはあまり読まぬが、漱石、鴎外は今も時折掘り起こす。速読法は知らぬが読みは速い。
続いて創作。うまくはならぬが、俳句歴は30年、古希過ぎて短歌を始め、先日A紙で馬場あき子先生のトップに採ってもらった。その間に現代詩を挟む。民放のコピーコンテストに応募したら金賞だった。店の一角に画架を立て時折塗っていたら県展に入った。応募といえば、この町の町章は俺が作った。本屋だったからこそと言いたかったのだ。
店は書斎。ここは辞書はもちろん、資料に困りはしない。しかも毎日更新される。こんな恵まれた環境が他にあろうか。
しかし、寄る年波は致し方がない。配達を減らし軟着陸をめざしている。先頃、店の外観を直し店名を木彫りにした。近い将来〈書店〉を〈茶論〉と入れ替え、遊び場にするつもりだ。
店こそ我が書斎、落日よ背表紙を飾れ。

「声」/厳しさ増す書店経営、気を引き締める毎日/北海道・高野名書店・高野名正治

私の町は人口4200人の漁村ですが、最近の売上げ不振に、悩みは深刻です。1冊の週刊誌も町内全域へ配達しておりますが、それもぐんと減りました。
一番切実に感じるのは、学校から帰宅時、あれほど賑わった店も入ってくるのは数人で、立ち読みの人さえない閑散とした寂しさを味わっています。
不況、少子化、ケータイなどいろいろな原因があると思いますが、今は教師や親たちがマンガを読んでいる時代、とても子どもに本を読め、活字に親しめと言えないでしょう。
若い親たちは車で大型店や百円ショップへ買い物に出かけます。田舎の店は文房具や小間物も置いておりますが、老人の客ばかり、本はほとんど売れません。
今の日本の政治は大企業本位、弱肉強食。消費税も来年は売上げ年間3千万円以下の私の店もまとめて納入せねばなりません。
特に北海道は灯油が30%高く、除雪費もかかり、赤字経営で毎月ささやかな蓄えから取り崩してやっています。50数年守り続けた店をつぶされてたまるか、1冊でも売りたいと、店頭で気を引き締めている毎日です。

「声」/保護司として瑞寶雙光章を受章/堺市・堀野赤心館・堀野伸之

先日、秋の叙勲の発表がありました。書店関係の友人より、「君の叙勲は業界ではあまり知られていない。全国書店新聞に掲載されていないのではないでしょうか」との指摘がありました。
もっとも、私の受章対象は出版業界ではなく「法務省保護司」としてであります。平成17年4月29日に瑞寶雙光章を受章しました。亡父佐太郎は昭和50年11月8日、教科書供給業務で黄綬褒章を受けています。亡父ともども大阪組合の理事を務めてきましたし、また同じく民生委員、保護司も務めました。親子で業界の仕事の傍ら、60年以上公的仕事を務めてまいりました。

読みきかせらいぶらりい/JPIC読書アドバイザー・佐藤あけみ

◇2歳から/『たっくんごはん』中川ひろたか=文/石倉ヒロユキ=絵/文溪堂1050円/
2005・3
たっくんはなんでも食べる元気な子。今日のメニューはにんじんごはんです。フォーク、スプーン、手、はし、どれを使いますか?もちろんはしを上手に使います。たっくんになったつもりでエプロンの柄やお肉にかけるものを選びましょう。おいしいごはんを食べたら力がわいてきますよ。
◇4歳から/『カラスのはてな?』からさわこういち=作/たにうちつねお=訳/福音館書店1050円/2005・10
ゴミを荒らすカラスはきらわれ者。でも実は隠した食べものの場所は必ず覚えているほど。記憶力抜群の頭のいい鳥なのです。色や素材のちがう紙をはりあわせたコラージュで描かれたカラスは、どこかお茶目で憎めません。カラスの生態の不思議に触れて、新しい発見ができそうです。
◇小学校低学年向き/『イゴールの金のすず』ミレイユ・ダランセ=作/おかだよしえ=絵
評論社1365円/2003・12
クマ使いのおりからイゴールが逃げ出しました。村の人々は、人間を襲うに違いないと銃をもって大さわぎです。ナターシャは、そんなイゴールを助けたくて雪の森へむかいました。後を追うお父さんがほら穴で見つけたのは…心を寄せ合うクマと少女のふれあいが温かくせつない物語です。

ふるさとネットワーク/関東・東京ブロック編

〔茨城〕
日本三大名瀑の1つに数えられる「袋田の滝」は茨城県北「大子町」の代名詞でもあります。高さ120㍍・幅73㍍の大きさを誇り、大岸壁を4段に流れることから別名「四度の滝」とも呼ばれます。その昔、西行法師が「四季に一度ずつ来てみなければ、本当の良さはわからない」と絶賛したことからとも言われています。清冽で雄大な眺望を目にすれば、大自然に抱かれた安らぎと自然が繰り広げるドラマに触れた感動を味わうことでしょう。
春は新緑が芽吹き、夏は陽光を浴びてキラキラとダイナミックに水しぶきが踊り、時に鮮やかな虹を描きます。秋は紅葉が渓谷を飾りただただ息を呑むばかりです。そして冬。凍りついた滝の神秘的な美しさは毎年ニュースでも流れます。渓流を流れるシャーベット状の氷が、あのどじょっこふなっこの「しがこもとけて」の「しが」です。詳しくは大子町ホームページをご覧ください。http://www.town.daigo.ibaraki.jp/
(舘野弘広報委員)
〔栃木〕
すっかり「餃子の街」として有名になった宇都宮市で年に一度のお楽しみ、「宇都宮餃子まつり」が11月5日、6日の両日、宇都宮市各所で開催された。期間中、宇都宮餃子会加盟21店舗が、まちかど広場(宇都宮市中央生涯学習センター南側)、日野町通り、二荒山神社境内の3会場に特設屋台を構えて、1皿100円で特別販売。野菜中心の具で人気の宇都宮餃子を普段の半値以下で食べることができるとあって、どの屋台にも長蛇の列ができた。
5日正午よりメイン会場「まちかど広場」で開かれたオープニングイベントでは、テレビ番組を通じて「宇都宮餃子」を全国に知らしめたタレントの山田邦子さんと、宇都宮の餃子店主の集まりである宇都宮餃子会の発足に尽力した沼尾博行さんを迎え、宇都宮餃子殿堂への任命・表彰式を行った。また、ライヴ演奏や大道芸人のショーなど様々な催しが行なわれた。
〔群馬〕
国定忠治は徳川11代家斉の時、文化7年上野国(群馬県)佐波郡国定村に生まれた。本名は長岡忠次といい、素封家で村でも恵まれていた。17歳の頃から賭博に興味を持ち、22歳の頃、堺町の門二という親分に盃を貰い、縄張りを持つようになった。その後、天保5年、24歳の春、大博徒、島村伊三郎を斬ったことで信州に逃げたが関東一円にその名を轟かせた。しかし追っ手が厳しく上州に逃げ帰り赤城山に立てこもった。天保の飢饉の時、山を下りて自分の財産を売り払い多くの農民を救い仲間の者たちと働いた。
義賊といわれ「赤城の山も今宵限り…」と自ら囚われの身となり処刑されるが、小説、講談、演劇、映画等に数多く登場するのも、ただのヤクザや博徒としてでなく、その任侠が大衆の心を掴んだのではないか。現在でも伊勢崎市国定の菩提寺、養寿寺には立派な長岡忠治の墓があり多くの人が供養に訪れている。賭け事の好きな読者諸氏は一度行って見ては?運がつくかも。(竹内靖博広報委員)
〔埼玉〕
東北の南部せんべい、関西の瓦せんべいと並び、せんべいの一大ブランドとして全国にその名を轟かせている草加せんべい。うるち米を粉にしてから蒸してついた後、丸型にして乾かしてから焼き上げる。醤油が唇と手にくっつく感じ、それにパリッとした歯ごたえが、煎餅を食べているという実感を与えてくれる。素朴な和菓子の代名詞的存在である。
草加市内には煎餅店が60軒以上あり、草加せんべいは市を代表する名産品となっている。草加周辺では昔から煎餅が手軽な携帯食として親しまれていたという。それはこの地が良質な米と水、野田醤油など、煎餅の原料に恵まれていたからである。草加せんべいは船で江戸に運ばれ、江戸っ子好みの菓子として人気を博した。現在、製造工程は機械化されつつあるが、天日干しや手焼きも行なわれており、昔ながらの手作りの味は今も健在だ。
〔千葉〕
11月20日の東京国際女子マラソンでシドニー五輪金メダリスト高橋尚子が2時間24分39秒のタイムで優勝。大会直前に右脚肉離れが明らかになり出場自体危ぶまれる中、見事復活を果たした。アテネ五輪代表選考会を兼ねた2年前のこの大会で2位に終わり五輪代表の座を逃した、高橋選手にとって因縁浅からぬ大会での復活優勝である。
高橋選手は今年6月に「チームQ」を結成して独り立ちしたが、元は小出義雄氏が代表をつとめる「佐倉アスリート倶楽部」に所属していた。同倶楽部が活動拠点とするのは、小出代表の出身地で陸上の練習環境に恵まれた佐倉市。豊田自動織機、アルゼの2企業に所属する選手を抱え、企業間の壁を越えて選手を育成する新しい形の指導体制をとっている。北京五輪で同倶楽部から金メダリストは生まれるか。写真は「小出道場」ホームページ。http://www.koidekantoku.com/
〔神奈川〕
小田原市の名物として温泉、お城と並んで有名なのが、小田原の東の郊外にある曽我梅林です。緩やかな丘陵地帯に3万5千の白梅が植えられ、「曽我物語」の主人公、曽我十郎、五郎兄弟の育った場所として有名です。昔、小田原北条氏が軍用に供するために梅干作りを奨励したのが始まりで、江戸時代には箱根山越えの旅人が弁当の腐敗防止用として、また喉の渇きをいやすための必需品として重用されていました。毎年2月には小田原梅まつりが行なわれ、「やぶさめ」の行事や俳句大会、短歌大会、野だて等、20を越える催事が1ヵ月にわたって行なわれ、一大観光イベントとなっております。少し時期がずれますが、5月28日には曽我兄弟の墓がある城前寺で傘焼き祭りというちょっと変わったお祭りがあります。仇討ちの時、傘に火をつけて明かりにして仇討ちしたという故事にちなんだものです。(平井弘一広報委員)
〔東京〕
東京下町、年の瀬風景と言えば「お酉さま」と「羽子板市」。浅草寺から待乳山聖天、吉原大門跡、一葉記念館を巡って鷲(おおとり)神社へ。11月の酉の日に市が立ち、今年は一の酉が9日、二の酉は21日。三の酉のある年は火事が多いと言われるが、その頃は寒さも一段と増し、火の用心を!と戒める風説。お酉さまの鷲(おおとり)神社境内には、「熊手は掻っ込む」「酉は取込む」と伝えられ、商売繁盛・開運の縁起物のお飾りがついた熊手の屋台が所狭しと並び、買い手が付くと威勢の良い三本締めが境内に響き、その様は来年への願いが込められている。酉年(今年)のお酉さまは12年に一度新調される幟旗にちなんで御守『勝幟守(しょうしまもり)』・勝札(かちふだ)がいただける。
春を待つことのはじめや酉の市其角
そして暮れの浅草寺境内では「羽子板市」。来る年の幸運を願う庶民の心が「役者絵の羽子板」に託されて宵っぴて賑わう。(小泉忠男広報委員)

帝国ホテルで感謝会/創立60周年祝って書店招く/光文社

昭和20年10月に創業した光文社の「創立60周年書店様感謝の会」が11月22日午後6時から日比谷の帝国ホテルで開かれた。
光文社並河良社長はあいさつで「60周年を迎えることができたのはご支援のおかげ。『女性自身』『JJ』『VERY』の女性誌群ははっきりした顔を持ち、カッパブックス、ノベルスはコンスタントにベストセラーを出してきた。来年6月には古典シニアシリーズを創刊し、新雑誌も検討中だ。60周年を迎え光文社インフォメーション・コミュニケーション・サービス(KICS)を発足させる。新しい時代にさらなるパートナーシップを築きたい」と述べた。
このあと、法人売上げ、単店売上げ上位書店を表彰。パートナー・オブ・バリュー賞として有隣堂、アドバンス賞になんばみやた、パートナー・オブ・オナー賞を代表して高知・金高堂吉村社長に表彰状を手渡した。
出席書店を代表して有隣堂・松信社長は「思いがけず素敵な賞をいただいた。私は61歳で光文社とほぼ重なる。少年の頃から『ノンちゃん雲に乗る』『点と線』『頭の体操』と、ほとんど読んでいる。最近でも『さおだけ屋』『下流社会』『野村ノート』とヒットが続くのは愉快。書店にとってありがたいのは売れる本をどしどし作ってもらうこと。光文社百周年に向かって書店も販売に努力する」とお祝いのあいさつを行った。このあと、紀伊国屋書店松原治CEOが乾杯の音頭をとり、同社の60周年を祝った。

三省堂社長に八幡氏

三省堂は11月25日の定時株主総会で五味敏雄代表取締役社長が退任、特別顧問に就任した。新社長には八幡統厚代表取締役専務が昇格した。八幡氏は昭和20年4月生まれの60歳。東京都出身、早稲田大学第1政経学部卒。
新役員◎昇任○新任
代表取締役社長(営業本部長)◎八幡統厚
常務取締役(経理部門担当)佐伯勇
同(宣伝部・経営管理室・労務担当)◎佐久間孝夫
取締役(営業副本部長及び営業本部担当)荒井信之
同(辞書出版部長及び出版局担当)○萩原好夫
同(製作管理部長、総務部長)○大野知一
執行役員(営業部長)
○中川裕二
同(英語教科書編集部長、社会・理科、学参教材編集担当)○田村優光
同(営業部長)○北口克彦
同(国際教科書編集部長)○五十嵐信

受賞

第18回柴田錬三郎賞に橋本治氏『蝶のゆくえ』、第29回すばる文学賞に高橋ちひろ氏『踊るナマズ』、第18回小説すばる新人賞に飛鳥井千砂氏『はるがいったら』、第3回開高健ノンフィクション賞に藤原章生氏『絵はがきにされた少年』が選ばれ、11月17日夕、帝国ホテルで贈賞式が行われた。
集英社山下秀樹社長から各賞が贈られたあと、長部日出雄、川上弘美、北方謙三、田中優子の各氏が選評を述べた。柴田錬三郎賞の橋本氏は「スタートが『桃尻娘』の小説現代新人賞佳作で、小説の賞は初めてなので、とてもうれしい」と受賞を喜んだ。

人事

(◎昇任、○新任)
◇研究社(10月24日)
代表取締役会長
◎荒木邦起
代表取締役社長
◎関戸雅男
常務取締役総務部長
◎西岡俊章
取締役営業部長
○高野正範
取締役小酒井雄介
監査役川辺吉雄
◇東洋経済新報社
(12月21日付)
代表取締役社長高橋宏
常務取締役第1編集局長
大西良雄
同第2編集局長
柴生田晴四
取締役マーケティング局長
小林勉
同広告局長冷泉まさし
同データベース事業室長
田谷和明
同出版局長大貫英範
同総務局長○清野和芳
同情報化本部長
○横澤達雄
監査役○井上ちはる
同加藤丈夫
◇晶文社
代表取締役社長
伊勢起世夫
◇晶文社出版
代表取締役社長中村哲司

ムック『お料理レッスン』/『日本の歴史を見る』全10巻/世界文化社

世界文化社は創立60周年記念企画として、来年3月1日に大型ムック企画『お料理レッスン基本と定番』を、2月中旬に『ビジュアル版日本の歴史を見る』(全10巻)を刊行する。
『お料理レッスン基本と定番』はA4変型判372頁、定価2980円。ハンバーグ、肉じゃが、餃子などの人気メニューを初心者でも簡単に作れるよう茹で、炒め時間などの目安、火加減マークを示してやさしく解説。分量も2人分を基本にしている。料理をしながらキッチンで使えるよう大きな文字、写真を用い、水や粉の飛び散り、汚れから誌面を守るビニール製頁カバーを付けた。予約者全員に「特製まな板シート」をプレゼント。
事前予約20名以上の書店にはスタートダッシュ賞として焼き菓子詰め合わせ。5部以上販売の書店には1部百円の販売促進費。
『ビジュアル版日本の歴史を見る』はB5変型判2百頁、定価各巻2520円(第1回配本特別定価1890円、全巻一時払い特別定価2万1千円)。壇一雄、永井路子、南條範夫など人気作家が描く日本の歴史。写真や図版を多数収録し、ビジュアルに歴史の面白さを伝える。第1回配本『源平争乱と鎌倉武士』。以後、毎月10日配本。
第1回配本のみ報奨金を設定。販売部数10~19部50円、20~49部80円、50~99部150円、百部以上180円。
11月24日に行われた販売会社への説明会で世界文化社大塚専務は「明年2月で60周年、再来年春には『家庭画報』創刊50周年を迎える。来年秋には新雑誌『GRACE』を準備している。60周年企画の2点とも読者に受け入れられる自信の商品」と説明した。

『婦人画報』百周年記念パーティー

明治38年、国木田独歩を編集長に創刊した『婦人画報』の百周年を祝う記念パーティーが11月18日、六本木のグランドハイアット東京で開かれた。
主催者あいさつでアシェット婦人画報社ノルベール・ルレ社長は「『婦人画報』が日本の婦人誌で最も長い歴史を持つことに喜びを持っている。今後も読者に美と魅力、喜びと驚きの再発見を提供していく」と述べた。フランスのアシェット社国際事業部ジャン・ポール・ロシェ最高責任者は「アシェット・グループは39カ国で262誌を発行する世界一の雑誌社で、日本は重要なマーケット」とお祝いの言葉。今田龍子編集長は「新年号は1230冊目。伝統を大事にしながら新しい風を作ってきた。よりよい人生、豊かな暮らしを求める心がある限り『婦人画報』は永遠です」とあいさつした。
駐日フランス大使やデザイナー・森英恵など、各界の著名人が多数訪れ、同誌の百周年を祝った。

本屋のうちそと

主婦の友ブックメイトが来訪してくれるようになった。ブックメイト「実用書の新刊、結構入ってますね」私「ハイ、文芸書が不振の今、店の売上確保には実用書の新刊が命です」ブックメイト「じゃあ当社の新刊、沢山入れましょうね」されど限りある店の棚、主婦の友社の本が増えれば替わりに押し出されてしまう本も出る。FAXだけ送って来る出版社様、御免なさいー。
ビジネス書は今やとにかく株、「ネェそこのお兄さん、オイチョカブなんてやってないで、株よ、株!マドンナ政治家先生もテレビで言ってたじゃない。この先、収入が増える見込みは余りありませんから国民の皆様、投資して下さいッて」憲法改正で勤労の義務と権利のところに投資も追記されるのか。今の政府は「国民の皆さん、正業の生業で盛業してください。そうすればきっといい事が」とは言ってはくれない。サァ誰もが貯金を下ろして投資へ。そのせいか郵貯はこの4月から10月末までの間で8兆1千億円も流失した。昨年度の減少額が6兆6千億円だったから凄い速さである。
今年は夏も秋も暑かった。米国は何度も大型ハリケーンに襲われた。ブッシュ奥様、習字じゃなくて京都議定書にサインすれば済む事なのに。地球温暖化とはいえ又寒い冬が来る。我が店の春は遠いなー、来るのか知らん。「人知れず行人(ゆくひと)あり也氷雨降る」「お客さーん、何ブツブツ言ってんですか、閉店の時間ですけどお勘定を、ビールと焼鳥で…」(海人)