全国書店新聞
             

平成16年2月21日号

貸与権管理センターへ委員派遣/貸与禁止期間は3ヵ月/コミック作家の会

21世紀のコミック作家の著作権を考える会は2月9日、東京・九段下のホテルグランドパレスで第3回総会を開催。1月14日に「書籍・雑誌に貸与権を適用すべき」とする文化審議会の答申が出されたことを受けて、著作権改正法案が国会に提出、早ければ来年1月から施行される見込みが高くなったことから、総会では貸与権獲得後のビジネススキームを審議し、貸与権獲得後に貸与許諾料徴収および違法レンタルの摘発を行う「出版物貸与権管理センター」(仮称)への委員派遣などを決めた。総会終了後に記者会見が行われ、さいとう・たかを、藤子不二雄A、弘兼憲史、猪瀬直樹の4理事が出席。審議事項を説明した。
出版物貸与権管理センターへの参加を決めた経緯について、弘兼理事は「貸与権獲得後、貸与許諾料徴収および違法レンタルの摘発を行う機関が必要になる。このため貸与権管理センターの設立が準備されているが、作家の立場を尊重して正しく運用されるよう、当会からさいとう、藤子、弘兼、猪瀬の4理事を同センター運営委員会に派遣することを決めた」と説明した。同センターは当面、設立準備会として出版社主導で運営し、7月に作家が中心メンバーに加わって正式設立を予定している。
また、同センターの活動運営費は許諾料の一部から拠出されることから「同センターは貸与を許諾することを原則とすることになる」として、「自分の作品をレンタルしたくない、しかし違法レンタルの取り締まりだけは任せたいとの依頼には応じられない可能性が高い」と指摘した。
貸与禁止期間は発売後3ヵ月で調整していく。週刊誌連載作品であればコミックスの次巻が出る時期にあたり市場への影響はそれほど大きくなく、またレンタル業者にとっても合意しやすい期間と思われることから、3ヵ月とすることで意見集約したもの。猪瀬理事は「本は初動が勝負。3ヵ月は初動を確保するためのぎりぎりの期間」と述べた。
貸与許諾料金額は、原則的にコミックス本体価格と同額とすることで意見集約。弘兼理事は「安すぎるとの意見もあるが、レンタル業者が合意できる可能性のある最大値」と説明した。初版発行から1、2年経過した既刊本や開店在庫については、レンタル業者との交渉過程で検討する。
記者会見のあと、衆参両院議員や出版関係者などを交えて懇親パーティーを開催。席上、藤子理事は「これまで漫画家としての職業意識が薄く、権利についても無関心だったが、ここ数年いろいろな動きがあり危機感が高まってきた。日本が世界に誇る知的文化財であるコミックが疲弊し、多くの才能が他の分野に流出するとしたら残念。日本のコミックを守るため、貸与権獲得へ皆様の力を貸していただきたい」、弘兼理事は「元気がない製造業に代わり、日本を救うのはコンテンツ産業。韓国では著作者に利益を還元する法整備が行われない状態を放置したことが一因でレンタルブック店が乱立し、書き手が減少、出版界が危機に瀕しているが、これは対岸の火事ではない。コンテンツ産業の核、コミック文化を大切にしてほしい」とあいさつした。

春の書店くじ実施要領

▽実施期間平成16年4月20日(火)より30日(金)まで。書籍・雑誌500円以上購入の読者に「書店くじ」を進呈
▽発行枚数700万枚。書店には1束(500枚)3750円(税込)で頒布
▽申込方法束単位で返信用申込書に必要事項を記入し、所属都道府県組合宛に申し込む。締切は2月20日
▽配布と請求方法くじは取次経由で4月18日前後までに配布。代金は取引取次より請求。
▽当選発表5月23日。日書連ホームページ並びに書店店頭掲示ポスターで発表
▽賞品賞品総額1億110万円、9・7本に1本の当選確率
特賞=図書カード5万円70本
1等賞=図書カード又は全国共通図書券1万円1400本
2等賞=全国共通図書券又は該当する図書千円2100本
3等賞=同5百円2万1000本
4等賞=図書購入時に充当百円70万本
ダブルチャンス賞=全国共通図書券1万円100本
▽賞品引き換え特等賞は当選券を読者より直接日書連まで送付。1、2、3、4等賞は取扱書店で立て替え。図書券不扱い店または図書券が品切れの場合は、お買い上げ品代に充当。ダブルチャンス賞は7月5日(当日消印有効)までに読者が直接日書連にハズレ券10枚を送付
▽引き換え期間読者は5月23日より6月30日(消印有効)まで。書店で立て替えたくじは7月31日までに一括とりまとめて「引換当せん券・清算用紙(発表ポスターと同送)」と一緒に日書連事務局まで送付
▽PR活動「春の書店くじ」宣伝用ポスター1店2枚。全国書店新聞、取次広報誌に記事掲載。日書連ホームページ(http://www.shoten.co.jp)で宣伝

井狩春男の必殺まるす固め

☆このところ気になっているのは、絵本と韓国。絵本を大人も読むようになってきた。沢山の活字を読むのが苦手とするボクなどは、少ない活字と絵(またはイラスト)の組み合わせで、それこそ10分もかからないで読める本にすんなり溶け込めて、温泉につかっているようにゆったりした気分になれる。
そんなものだから、本屋さんの店頭では、絵や写真の多い本を好んで探すことになる。絵のない本は、おかずのないごはんのような気さえするのである。
韓国は、ボクの「この本は100万部売れる!」の韓国版が出たということと、このところ韓国へ行ってきた人の話を聞いたことで俄然興味がわいているのだ。
韓国では都市部にしか本屋さんがなく、軒数も少ないらしい。本を読むのは、もっぱら若い女性(20、30代)で、男は読まない。40代より上の人たちは本を読む習慣がなかったから、引き続き読まない。本は1年で再販がはずれて、あとはいくら割り引いて売ってもいいとか――。これらは聞いた話で、ホントかどうか確認していない。
「人はなぜ、争うのか。人はなぜ、神を信仰するのか。そして、人の生命とは何か」「大義なきイラク戦争、自衛隊派兵の現在に問う」。鷺沢萌のメッセージ絵本『赤い水、黒い水』(作品社)は、英語訳と韓国語訳つきである。英語圏でも韓国でも読めるようになっている。水崎真奈美の絵の金色の線が、なにか神聖な領域をちらちらと見せているかのようで、不思議な世界をかもし出している。
赤い水とは、葡萄酒。名もなき農夫のつくる葡萄酒を飲むのが何よりの楽しみである若き王がいて、その治める国から出る「黒い水」を求めて、違う神を信仰する隣国の軍隊が攻め込んでくる……。イラク本の1冊として売りたい。
もう1冊は韓国で「子どもの目と心を開く美しい絵本」と評を得て、2002年ポリム創作絵本公募展の優秀賞を受賞したキム・トンス作・絵の『かぜひいちゃった日』(岩崎書店)である。日本語の下にハングル表記つき。
オンマ(おかあさん)が新しいダウンをかってくれる。さっそく着て鏡をみると、肩のあたりから1枚羽がとびだしている。羽がどうしてとびだしたのか、考えているうちに眠ってしまう。眼をさますと、沢山の羽のないアヒルが集まっている……。後味がとってもイイ。これは売りたい!

2日間で1万人来場/愛知絵本まつり

「もっと集まれ絵本まつり」が1月24、25日の両日、名古屋市昭和区の名古屋つるまいプラザ(愛知県勤労会館)で開催され、愛知県書店商業組合(高須博久理事長)は「子どもの本マーケット」で児童書の販売を担当した。
愛知組合は即売用に3台、サイン会用に1台、合計4台のレジを用意したが、2日間に1万人が来場、売上げも507万円と多く、終日お客様の対応に追われた。
会場入口ではバルーン・アートの実技講習会や出版社提供の着ぐるみデモンストレーションが行なわれたほか、JPIC読書アドバイザーによる「絵本の読み聞かせ」、書店による「絵本の紹介」などのイベントがあり、絵本の集いにふさわしい空間づくりができた。木村祐一氏、内田麟太郎氏らの作家サイン会も大反響で、組合書店、児童書出版社、日販の担当者の協力が会場を盛り上げた。(榊原壮一広報委員)

日書連マークで研修会開催/埼玉

埼玉県書店商業組合は1月29日(木)午後2時半から浦和ワシントンホテルで、日書連志賀健一情報化推進委員長と長尾幸彦専門委員を講師に「日書連マークと学校図書館の電算化について」の研修会を開催、組合員45名が出席した。
研修会は根岸秀夫教育指導委員長の司会、水野兼太郎副理事長の開会の辞、野澤恒雄理事長の挨拶に続いて、志賀委員長より日書連マークの必要性とTRCマークの利用状況について説明があった。
現在、各県の中央図書館はほぼTRCマークが採用されているが、京都では中央図書館長から「学校図書館電算化にあたり、あえて中央図書館とマークを統一する必要はない」旨の発言があったと紹介された。
続いて、長尾幸彦専門委員から、マークの基礎知識及び学校へのアプローチ、日書連マークを使った司書ツールの活用方法について説明した。組合員からは、学校図書館電算化によるシステム管理と書店の対応について多くの質問があり、充実した研修会となった。
最後に、高野隆専務理事が「研修で学んだことを実行に移すことが大事である」と述べて研修会を終了した。
(長谷川正夫広報委員)

大田区立図書館の運営/大田ブックチェーンが受注

3年計画で民間に図書館業務委託をすすめる大田区で、2年目にあたる今年4月から「多摩川図書館」の図書館業務を大田ブックチェーン(原田秀之輔社長)が受注することになった。
大田ブックチェーンは昭和42年に大田区立図書館納入のため、区内の書店で設立した株式会社で、書店組合にも加入。現在区内16館に図書を納入しているが、最盛期2億8千万円あった資料購入費は緊縮財政のあおりを受け、最近では1億8千万円程度に減少して赤字基調になっていた。
一方、大田区側も民間への業務委託で人件費を削減させ、効率的な運営を図りたいとして、昨年図書館5館の業務委託を競争入札で実施。大田ブックチェーンは昨年こそ落札できなかったものの、今年から業務委託を始める5館のうち1館の入札が決まった。
委託内容は図書貸出しから返却のカウンター業務はもちろん、配架、資料整理、読書相談、児童サービス、開・閉館まで運営全般。営業時間は従来、土・日・祭日は午後5時で閉館していたのが、午後7時まで2時間延長し、利用者にも便利になる。大田ブックチェーンでは図書館業務の経験者である契約社員2名とパート14名でこれを運営していく方針。
多摩川図書館業務委託の内示が出たのを受け、14日に大森で開かれた報告会で、原田社長は「図書館業務委託は未知の分野だが、変化がなければ、進歩もない。業務マニュアル、見積書の作成で連日深夜に及ぶ会議も重ねた。昨年から学校図書館への納入も始め、その延長線上に今回の業務委託。組合ではなく、会社組織で専従者がいること、契約実績があることが決め手になったと思う。今後はさらに委託館数を増やし、黒字体質にしていきたい」と、意欲を語った。

札幌の入札で質問状/北海道組合

札幌市の行なう図書の指名競争入札に不明朗な点があるとして、北海道書店商業組合が札幌市長に回答を求めていた件で、1月末、札幌市管財部長名の回答が道組合に寄せられた。
道組合が不明朗と指摘しているのは、昨年10月に行なわれた高校図書館用図書入札のケース。この入札は図書館流通センターが198万円余で落札したが、①指名入札業者8社のうち5社が辞退している、②登録業者の資格があっても仕入れルートを持たない業者の指名には無理がある、③市税での購入に道外の業者を指名することは問題がないか――という3点。
これに対し、札幌市は「指名業者は年度当初に調査票を送り、返送された調査票の中から1千冊を1カ月で納品可能と回答した業者を選考対象とした。予定価格が300万円未満のため3社以上の指名が必要で、選考委員会で8社を指名した。5社の辞退は各業者の事情によるもの。指名に当たっては地元業者の受注機会確保・拡大に配慮しており、今後も公平・公正な契約事務の執行に務める」などと回答した。
この経過報告を受けた道組合では、引き続き札幌市に地元業者の受注機会確保を求めていく。
(松山雄洋広報委員)

大阪府子ども読書推進会議/教育委員会と協議進める/大阪組合

大阪府書店商業組合(今西英雄理事長)は2月7日、組合会議室で定例理事会を開催した。
まず面屋副理事長より、「大阪府子ども読書推進会」の進捗状況について以下の報告があった。
第1回市教育委員会、第2回府教育委員会、第1回大阪国際児童文学館との話し合いを行った。府教委からは、読書ノートに関してスタンプを押すことの公明性の確保、読んだことをどのように検証するか、新聞に名前を載せたいために不正を働かないか、モデル校・モデル地区を選定して運用面の適・不適を検証する必要がある――との指摘があった。また大阪国際児童文学館からは、感想文を書かされることで読書嫌いになる子がいる、子どもの創作を募る作文コンクール、友達に薦める本の帯コンクール――等の提案があった。これらの指摘、提案をどのように取り入れていくかを今後検討していく。
そのほかの審議・報告事項は次の通り。
〔総務委員会〕
富士原委員長は、総代数改定の原案を提示した。これは組合員減少によって生じた歪みの是正を図るもので、総代1人当たりの組合員数の均等化を狙う。5月総代会までに組合員にその信を問う。
〔出版販売倫理委員会〕
八尾地区で組合書店が警察・地域住民と協議し「子どもを守る」旗を作成、店頭に掲示している。警官の巡回を促し地域の防犯に貢献している。
〔事業委員会〕
「雑誌予約獲得キャンペーン」は各支部の予約数を集計して出版社に申告、サービス品を受け取る手はずを進めている。集計結果は5月総代会で発表して表彰する。
〔出店問題委員会〕
阪急ブックファーストが市営地下鉄淀屋橋駅構内に出店する経緯に不明な点があるので、市会議員を通して市に問い合わせる。
〔学校図書館委員会〕
第3回日書連マーク講習会を開催、17名の参加があった。大手書店が学校図書館IT化のセールスに参入の動きを見せている。
〔IT委員会〕
2月20日のIT戦略講習会は会場に予定していたホテルがPC環境にないため、会場を組合会議室に変更する。
このほか、「全国縦断文化講演会」は6月7日に中之島・中央公会堂で、講師に池澤夏樹氏、光文社の協賛で開催することになった。
(田中順二広報委員)

豊島・練馬支部思い出の記③/元豊島区・大岡書店・大岡辰弥

私は昭和37年に組合の役員に加わったが、それ以来の記録では新年会、忘年会を必ずやっており、春か秋に旅行会もあり、夏も汐干狩りや海水浴企画が実施されていた。毎月の例会は古くは野上書店近くの目白会館、練馬では江古田の浅間神社社務所、中村橋のサンライフ、最近は池袋の産業プラザに定着している。
私は通算10年支部長を務めた。この間、店を空けるわけだから留守番の家内の協力なしでは勤まらなかった。また、豊島・練馬を地域毎に幾つかの班に分け、各班に班長さんをお願いし各お店を掌握していただいた。その班長さんのお陰で運営が可能だったのは申すまでもない。会費など今は振込みになっているが、当時は集金だった。原さん、渋谷さん、赤川さん、平形さんの歴代会計さんのご助力もあった。
青山堂先代の伊藤さんには、店も近く色々相談に乗っていただいた。西武の出店で脇道にそれたが、皆さんは寛容に理解して下さり、理事を辞めた時と店を閉めた時と二度も感謝会をやっていただいた。閉店後も新年会・旅行会にお誘い頂き、若返りを計らせてもらっている。歴代支部長さんそれぞれ思い出がある。大先輩の大曽根さんには常々「団体の世話をするからには長に成らなければ駄目だよ」と言われ、自らも町会連合会長他いくつもやっておられた。私は脇道へそれたが、八田さんは薫陶を受け継ぎ、組合副理事長・相談役・日書連理事として全国に名を馳せた。開店組合加入の調査に伺った時、棚に「ちくま日本文学全集」が並んでいて、「この辺りで店売があるの」と聞いたら、「自家用ですよ」の返事が返って来た。後日、中島さんが退いたあと組合理事に推薦したら引き受けてくれ、爾来二人三脚で伝統を汚すことのないよう支部運営に当った盟友である。思い出は尽きない。
追記
平成15年12月、10日に青山堂、月末に芳林堂が長い歴史を閉じた。青山堂は昭和7年7月、先代の与曽治氏が副業として古書店を開業したが、戦時中強制疎開のため取り壊しにあい、戦後現在地に戻って新刊書店に改めた。昭和51年2代目与嗣男氏が5階建てのビルを建て、売場を150坪に拡げ今に至る、70年の歴史を持つ。一方芳林堂も昭和23年6月6日、今のバス通りの角店に開店、昭和46年10月現在地に地下1階地上7階・総面積450坪のビルを建てた。専門書を中心に各ジャンルの売場を設け、読者のニーズに応えてきた。
私は昭和29年の書店開業以来、青山堂の先代には良き先輩としてご交誼をいただいた。特に組合の支部長時代、何かと相談にのってもらい、岩波の「世界」不買運動の折り、車で組合員の店をくまなく回って周知徹底を図ったり、度々旅行会の世話役をしてもらい支部の融和の手助けをしていただいた。2代目の与嗣男君も組合運動の理解者で平成2年に支部長も務めた。最近体調を崩し健康面が原因でやめられたと聞いた。
芳林堂の社長、斎藤氏とは昭和31年、作家の三島由紀夫氏と兄大岡昇平のサイン会を共同で開催してから懇意となり、新しくビルに移った際は支部長だったので開店披露の司会役を務めさせてもらった。最近採算割れで経営が思わしくないと聞いていたが、よもや閉店とは思いもよらず、これまた55年の歴史を閉じた。時代の趨勢は如何とも防ぎようがなかったと思われる。なお高田馬場店とコミック専門店は存続する由、張り紙に書いてあった。
(終)

セミナー

◇花田紀凱氏講演会
トーハン総研は3月11日午後2時から東京・神楽坂の日本出版クラブ会館でカルチャーフォーラムを開催する。講師は「編集会議」編集長の花田紀凱氏。「週刊文春」「UNO!」「メンズウォーカー」などの編集長を歴任した花田氏から「今こそ編集で勝負」を聞く。受講料1人5千円。申込みはセミナー事務局。電話03―3268―0731。

「ビジュアル三国志」分冊百科の第3段で/世界文化社

世界文化社は2月13日午後4時から九段北の本社に販売会社を集め、2004上半期重点販促企画の説明会を開催した。
説明会開催にあたり同社大塚専務は「週刊分冊百科第3弾として『ビジュアル三国志』、童謡を収めた『ドレミファCDブック』を出す。書籍は特選実用BOOKSを5月から刊行するほか、社名を冠した『世界文化生物大図鑑』の改訂新版を刊行する。充実したラインナップを用意したので、売り伸ばしてほしい。『家庭画報』は5月発売の555号にちなんで、書店向けに大謝恩企画を考えている」とあいさつ。佐藤編集局長、平林販売本部長らが重点企画を説明した。
◇週刊『ビジュアル三国志』(全50巻)
吉川英治原作・石ノ森プロ作画による歴史戦略ロマン。創刊号3月25日発売、以後毎週木曜発売。定価創刊号320円、4月8日発売の2号目から560円。
国民的人気を誇る三国志を著名人インタビュー、グラビア、コミック、歴史読物で楽しむ。創刊号から5号までの購入読者に劉備、孔明等のフィギアを切手880円で全員サービス。販売目標35万部。
◇『ドレミファCDブック』(全3巻)
各巻に日本の童謡12曲と英語の歌1曲、全3巻でCD3枚に39曲を収録。絵本仕立てで楽譜も付き、親子で楽しめる。定価各1260円。3月22日、4月21日、5月21日発売。
◇『特選実用BOOKSシリーズ』
料理、着物、ガーデニングなど生活実用分野を扱う書籍シリーズ。5月の第1回配本は『基本の定番料理』『基本のおいしい和食』『人気のパスタ100』『人気の麺・ごはん料理』の4点。定価1260円。販売促進費は1枚60円。初版発売から3年間有効。
◇改訂新版『世界文化生物大図鑑』(全8巻)
分子生物学の最新情報を凝縮した生物図鑑の決定版。6月上旬、全8巻一挙刊行。A4変型上製ケース入り、定価各巻1万500円。報奨金1部800円。

「声」/感謝の言葉は自然/金沢市・ナカニシ書店・中西均

2月1日付「声」欄で松原市の文潮堂書店さんが「お客さんが『どうもありがとうございました』というのは変ではないか」と書いていることへ一言。
当地、金沢ではものを買ったり、乗り物から降りるとき、「ありがとう」「ありがとうございます」と言われる人はたくさんおりますし、礼儀正しい、心優しい人と思われています。子どもが言えば、家庭のしつけがよいと、親の株まであがります。
ごはんを食べれば、米を作った人、流通させた人、炊いた人、それぞれに感謝して「いただきます」「ごちそうさま」という言葉が出る。それと同じことです。
小生はもちろん、ものを買えば「ありがとう」、食べたり、飲んだりしたら「ごちそうさま」と言って店を出ます。もし、そのような行為が変だと言われれば、心の通わない自販機で買い物をするみたいで、さびしいですね。

「声」/書店の不況は人災/世田谷区・福本書房・福本豊

私は昨年末、35年続けた書店を廃業した。理由は、高齢化による体力の限界である。もし、従前のような売上げであれば、人を雇って営業を継続することも可能だが、売上げが50%近く落ち込んだ現状では到底無理である。
このような惨状を招いた原因はなんだろう。景気変動もさることながら、人為的な「構造不況」である。何年か前、資本力のある百貨店や大型店が小売業の正常な発展を阻害しないよう種々の規制を盛り込んだ大店法が廃止された。
一説には、通産官僚が米国の圧力に屈したとも、逆に利用したともいわれる。いずれにしても与党の自民党を説得して規制の枠を取っ払い、小売業を自由放任にした。そうなれば血に飢えた野獣を野に放ったようなもので、大企業は出店はおろか売場面積、営業時間も勝手気まま。弱肉強食の業界になり、私たちが犠牲にされてしまった。
規制緩和すれば経済が活性化するのは原則論。自動車・造船・電機のように世界市場で活躍するものは、自由主義経済によって競争力をつける必要がある。しかし、市井の書店まで巻き込むことはあるまい。
廃業にあたって多くの得意先から惜しまれた。「残念ですね」「淋しくなりますね」「長い間ご苦労さまでした」。中には花や、高級菓子を持参する顧客も多くいた。「配達する」「お客の相談にのる」「注文をうける」。私たちが汗を流してきたビヘイビアは日本特有の商業文化ではないか。
大店法廃止により被害を被ったのは本屋だけではない。魚屋も八百屋も同じである。そこで、商店街振興組合連合会など多くの関係団体と力を合わせ、小規模店が生き残れる道を真剣に模索すべきだと思うが、いかがであろうか。

本屋のうちそと

12月のこの欄で紹介した「運命共同体的作家」阿部和重のインタビューがNHK・BS2の「週刊ブックレビュー」で放映、ベストセラーコーナーでは彼の故郷の書店として小店の売行き情報が紹介された。
第1位は勿論『シンセミア』。第3位にランクされたのが『市民がつくる総合誌』の第4号である。「これは何ですか?」との問いに、司会者が「市民が1頁2千円を払って原稿を掲載する雑誌だそうです」と紹介した。くわしい仕組みについては、昨年3月のこの欄で紹介したので省略するが、創刊号80頁でスタートした雑誌が、頁を増やしながら号を重ね、間もなく発行する第5号は200頁を越える。それが同じ定価500円で販売可能なのは掲載料があるからだ。
日曜日の朝、全国放送にしてはあまりにローカルな雑誌の情報が電波に乗って駆け巡り、問い合わせと注文に終われ、慌しい1日となった。ほとんどがこの地を故郷に持つ県外者である。
売れない同人誌を出し続けてきた苦肉の策として生まれたこの雑誌の好調は、思わぬ副産物も生み出した。
発足以来20名にも満たなかった文学会が一気に8名の入会者を迎え、にわかに賑わってきたこと。市内の俳句や短歌の結社の発表の場や、イベントの広報などに利用され、周りが活気づいてきたこと等である。さらに近隣の市町村でも、この
「総合誌」をモデルにした雑誌創刊の動きがあり、つい先日その1冊が手元に届いた。
(どんこ水)

『漫画アクション』4月から月2で復刊

双葉社は昨年9月30日より一時休刊していた『漫画アクション』を4月20日発売から第1・第3火曜日発売の月2回刊として復刊する。定価税込み290円。復刊する『漫画アクション』は「疾走するメッセージコミック」を合言葉に、30~40代の男性を元気にする雑誌をめざす。創刊号では北朝鮮拉致問題で家族会原作による『奪還』など大胆なテーマも盛り込んだ。特別付録として「超!レアレア“ルパン3世”DVD」が付く。また、創刊号から12号連続企画として同誌で人気を集めた名作をブック・イン・ブック形式で掲載。第1回は『子連れ狼』『じゃりン子チエ』。