全国書店新聞
             

平成25年8月15日号

元気な書店の出現を後押し/鬼怒川で関東ブロック会

日書連関東ブロック会(鈴木喜重会長=千葉県書店商業組合理事長)は、7月14日午後2時から栃木県鬼怒川温泉「松や」でブロック会を開催。関東6県書店組合幹部と日書連の舩坂良雄会長が出席した。
総会は栃木組合亀田理事の司会、北村理事の開会で始まり、冒頭で鈴木会長は「今年は〝さらに元気の良い書店〟が関東ブロックから出るように日書連も全面協力したい」と力強くあいさつ。続いて日書連舩坂会長の熱のこもったあいさつがあり、鈴木会長の司会で議事を行った。
各県組合報告では、厳しさを増す経営の現状と、それに対する有効な対策が不透明であること、先の見えない業界の行く末、図書館問題、返品入帳問題が訴えられた。出された意見は、①図書館問題(図書館は無料の貸本屋ではない)、②返品入帳の短縮は日書連の課題、③取次に対する支払いサイトの延長、等々。
この報告に対し日書連の舩坂会長が「日書連として出来ること出来ないことはあるが、全面的に書店のために協力する」とあいさつして閉会した。
(落合均広報委員)

軽減税率署名運動に協力を

日書連は、消費税増税の際に出版物への軽減税率適用を求める「50万人署名」運動を展開しています。4月初旬に各書店に直送した署名用紙で、運動へのご協力をお願いします。署名は日書連事務局まで、同封の返信用封筒にてご送付ください(切手貼付不要)。第2次締切は9月末日必着です。

書店生き残りへ支援求める/東北ブロック大会で藤原会長

第65回書店東北ブロック大会が7月11日、福島県書店商業組合の設営により東山温泉「御宿東鳳」で開かれ、東北6県の書店や出版社、取次など204名が出席。日書連東北ブロック会の藤原直会長は書店の厳しい状況を報告し、第3期がスタートした書店活性化事業「フューチャー・ブックストア・フォーラム」の活動を紹介。「書店が生き残っていくために皆さんの支援を受けて取り組みたい」と述べた。
会員書店のみが参加して行われた第1部は、福島組合・小林政敏専務理事の司会で進行。あいさつに立った藤原直会長(宮城県書店商業組合理事長)は、「昭和63年に1135店あった東北6県の組合加盟書店が、今年4月現在で3分の1以下の354店まで減少している。売上の減少と書店の疲弊を何とかしなければいけない」と書店の現状に危機感を表明。その中で、書店活性化事業として日本出版インフラセンターと出版文化産業振興財団が進める「フューチャー・ブックストア・フォーラム」の第3期事業が先ごろスタートし、第1回会合に大手出版社・取次のトップが出席したと報告。「オールジャパンで取り組む態勢で、それだけ書店を今後どうするかということに危機感を抱いている証左だ。魅力ある書店作りと、書店での電子書籍販売の2つをテーマに分科会を設けた。私たち書店が生き残っていくために皆さんからご支援を頂戴し取り組んでいきたい」と述べた。また、日本漢字能力検定協会から昨年に続いて震災義援金として2百万円が贈られたことを紹介して、「昨年と合わせ4百万円の浄財をお預かりしている。どのように使うか皆さんの知恵をお聞かせいただきたい」と話した。
続いて、日書連・舩坂良雄会長が日書連の諸活動について詳細に説明。出版物に消費税の軽減税率適用を求める「50万人署名」運動に引き続き協力を求めたほか、書店再生のための実用書増売企画「食と健康」第2弾を、出版社12社の協力を得て8月から実施することを報告。「書店自らが作り上げた企画だ。本を売って実績を作り、組織を使った増売企画に力を入れていく。『東北6県でこういう本を売りたい』という企画があったら喜んで動くので、提案していただきたい」と述べた。
藤原会長を議長に進められた審議では、平成24年度会計報告、一般報告を原案通り承認。次年度大会の当番県を山形県に決定した。
出版社、取次など全員が参加して行われた第2部では、福島組合の西猛理事長が「3・11から2年4ヵ月が経過した。出版業界の皆さんから福島に多大なお見舞いをいただいたことに御礼申し上げる。書店業界が今後よくなる良い知恵が出て、未来に向かって進んでいけるような会になればと思っている」とあいさつ。続いて、NHK制作局ドラマ番組部エグゼクティブ・プロデューサーの内藤愼介氏による記念講演「『八重の桜』が伝えるもの」が行われた。

組合財政難の報告相次ぐ/「20歳の20冊」促進を呼びかけ/北信越ブロック

日書連北信越ブロック会(西村俊男会長=新潟県書店商業組合理事長)は7月7日午後4時半から、石川県七尾市の和倉温泉加賀屋姉妹館「あえの風」でブロック会を開催し、総勢8名が出席した。
開催県の石川組合・森井清城理事長のあいさつの後、西村会長の司会により各県組合報告を行った。
この中では、各県とも組合書店の賦課金額を上げる訳にはいかず財政難であり、事業を行う場合、日書連のサン・ジョルディ企画補助金に頼らざるを得ないというのが共通の悩みだと報告。できれば日書連負担金額の減額をお願いしたいという声が上がった。次に図書館関係の問題が話題に上がり、福井県以外は県立・市立図書館についてはTRCが占めておりメリットがないとの意見や、県立図書館における入札では値引き競争により利益が出ない点が問題であり、出版物に入札はそぐわないことをアピールすべきだという意見が出た。
また、西村会長より、日書連と出版文化産業振興財団が主催する「20歳の20冊」の実施を各県自治体に促進してほしいと要請があった。次年度開催県は福井県に決定し、午後5時40分に閉会。午後7時からの懇親会は大いに盛り上がり、翌日朝食後解散した。
(吉田良一広報委員)

塚越理事長が3期目に/組合活性化へ若返り図る/茨城総会

茨城県書店商業組合は6月22日午前10時から、水戸市茨城県開発公社で第27回通常総会を開催。組合員66名(委任状含む)が出席した。
総会は川又英宏副理事長が開会の辞。塚越賢次理事長があいさつに立ち、出版物へ消費税の軽減税率適用を求める日書連の「50万人署名」運動について協力を要請。また、佐賀県武雄市図書館が指定管理者としてカルチュア・コンビニエンス・クラブに業務委託した件について、近隣書店に大きな影響が出ていること、図書の貸出で付与されるTポイントが全国の同カード加盟店で商品購入に使えることの2点の問題を提起。いくつかの自治体で同様の動きがみられることを指摘して、「情報をいち早くキャッチし、関係機関と納得いくまでの話し合いが必要だ。組合としてもできる限り協力する」と述べた。
来賓の県中央会・会沢正徳総務企画課長が祝辞を述べた後、議長に塚越理事長を選出して議事を進行。平成24年度事業報告、同収支決算書、監査報告、平成25年度事業計画案、同収支予算案等、すべての議案を原案通り承認可決。その後、事務局の松﨑正信氏より理事定数削減について定款一部変更の提案と説明があり、承認を得た。
任期満了に伴う役員改選では、選考委員会が先の定数変更に基づき理事18名、監事2名を選出。理事会を開催し塚越理事長を再選した。3期目となる塚越理事長は、「組合活性化について理事会の承認を得、70歳を超えた理事・相談役の退任にご理解をいただいた。行動力、馬力のある若い人に組合の将来を託したい。厳しい時代だが、新役員でもって組合も一歩一歩前進していくのでご協力をお願いする」と決意表明した。
(高橋雅夫広報委員)
〔茨城県組合役員〕
▽理事長=塚越賢次(大塚屋書店)▽副理事長=川又英宏(茨城県教科書販売)池田和雄(一貫堂書店)田所和雄(忠愛堂田所書店)高木祐治(たかぎ)

新役員お披露目の会に47名が参加/京都組合

京都府書店商業組合は6月21日、京都市の京都平安ホテルで、京都組合の新理事、新監事による「新役員お披露目の会」を開催。出版社、取次など関係者を合わせて47名が参加した。
中村晃造理事長はあいさつで「この業界は今、様々な難題を抱えている。出版物へ軽減税率適用を求めている消費税の増税問題。また、地元書店が携わってきた図書館納入事業も、公共図書館の管理運営業務委託により民間企業が参入し、地元だからと安穏とはできない状況だ。出版社、取次の力を借りながら、京都組合の理事が一丸となって難局を乗り越えていかなければならない」と述べた。
また、来賓を代表して杉田啓三書協京都支部長(ミネルヴァ書房)は、「京都の出版界には400年を超える歴史がある。今こそ京都から全国に元気を発信することで、消費税が増税される不安を蹴散らし、皆で出版のルネサンスを果たしたい」とあいさつした。
中村理事長から、新たに就任した4名を合わせた理事25名を紹介。この後、トーハン・小川慎二郎執行役員近畿支社長の発声で乾杯、春日介三理事(カスガ東林書房)の中締めにより午後8時30分に閉会した。(澤田直哉広報委員)

西村俊男理事長を再選/永年勤続従業員16名を表彰/新潟総会

新潟県書店商業組合は6月17日、新潟駅前のカルチャーセンターで第29回通常総会を開催、組合員51名(委任状含む)が出席した。
柿村徳成副理事長より総会成立が報告された後、西村俊男理事長を議長に議案審議。平成24年度事業・決算報告、平成25年度事業計画・予算案を承認した。
任期満了に伴う役員改選を行い、西村理事長を再選。専務理事として、遠藤壮大氏(小千谷市・遠藤書店)を選出した。
平成25年度事業計画では、①首都圏よりも遅れている週刊誌類の発売日を、首都圏と同じになるよう運動する、②「にいがた文学検定」の実施、などの取組みを承認した。
総会終了後、永年勤続従業員16名を表彰。西村理事長から勤続35年の上野浩さん(上越市・春陽館書店)に賞状と記念品が贈られた。
その後、出版社・トーハン・日販並びに配送業者担当者を交えて、懇親会を行った。(熊田雅明広報委員)

第3期FBF事業スタート/責販制、電子書籍で実験

日本出版インフラセンター(JPO)と出版文化産業振興財団(JPIC)が推進する第3期「フューチャー・ブックストア・フォーラム(FBF)」の第1回会合が7月2日、東京・新宿区の日本出版会館で開催された。
第3期は、第2期に続いて「ネット書店に負けないリアル書店の活性化」を目的に、「魅力的な書店作り環境整備分科会」、「電子書籍販売環境整備分科会」、「情報基盤整備分科会(設置予定)」の各分科会で検討を行う。リアル書店の本来の機能や魅力をアピールするための実証実験を実施する。会長は、引き続きJPICの肥田美代子理事長が務める。
「魅力的な書店作り環境整備分科会」は、責任販売制の本格導入と、再販制の弾力運用による書店の粗利向上の可能性を検証。文庫、児童書等ジャンルを限定した責任販売の店舗と、全てのジャンルを対象とした責任販売の店舗の2つのパターンで実証実験を行う。本の学校・星野渉副理事長がリーダーを務める。
「電子書籍販売環境整備分科会」は、紙も電子も「本のことは本屋で」をコンセプトにビジネスモデルを検討。紙と電子の連携や、リアル書店の優位性を考慮した電子書籍販売モデル、電子書籍販売の共通プラットフォーム化等を検証する。電子書籍販売会社などを含めたコンソーシアムを設立し、首都圏と地方の数店舗で実証実験を行う。JPOの永井祥一専務理事がリーダーを務める。
上記の2つに共通するテーマとして、近刊情報や出荷可否情報、電子書籍化情報などのデータ整備を検証する「情報基盤整備分科会」を設置する予定で、既存の各システムとの連携で情報資産の有効活用を図る「出版情報センター(仮)」の検討を行う。
このほか、図書館入札制度、図書館管理者制度、税制問題をテーマにシンポジウムを開催する。

訂正

8月1日付3面「長野総会」の記事で、理事長が塩川正人氏とあるのは塩川明人氏の誤りでした。訂正します。

読書週間書店くじ実施要綱

▽実施期間平成25年10月27日(日)より11月9日(土)まで。書籍・雑誌500円以上購入の読者に「書店くじ」を進呈
▽発行枚数300万枚。書店には1束(500枚)3571円(税別)で頒布
▽申込方法注文ハガキに必要事項を記入し、束単位で所属都道府県組合宛に申し込む。申し込み締切は8月20日。
▽配布と請求方法くじは取次経由で10月25日前後までに配布。代金は取引取次より請求。
▽当せん発表12月5日(木)。日書連ホームページ並びに書店店頭掲示ポスターで発表
▽賞品総額4290万円、9・7本に1本
特等賞=図書カード5万円30本
1等賞=図書カード1万円600本
2等賞=図書カード又は図書購入時充当1千円900本
3等賞=同5百円9000本
4等賞=図書購入時に充当百円30万本
▽賞品引換え特等賞は当せん券を読者より直接日書連に送付。1、2、3、4等賞は取扱書店で立替え。図書カード不扱い店または品切れの場合は、お買い上げ品代に充当。
▽引換え期間読者は12月5日より平成26年1月10日まで。書店で立替えたくじは平成26年1月31日までに「引換当せん券・清算用紙(発表ポスターと同送)」と一緒に日書連事務局に送付。
▽無料配布店頭活性化の一環で組合加盟店全店に書店くじ50枚、ポスター1枚を無料配布。
▽PR活動「読書週間書店くじ」宣伝用ポスター。全国書店新聞に実施要綱を掲載。日書連ホームページで宣伝。

次代を担う/加藤栄好堂(北海道)加藤宏樹社長

〔新規事業参入で売上補完/仏料理店オープン「道南盛り上げる」〕
函館を中心に道南で書店3店舗を展開する加藤栄好堂。本、文具、キャラクター雑貨、CD・DVDを取り揃えるほか、フィットネスのカーブスを2店舗運営し、7月25日にはフランス料理店「ル・クリマ函館」をオープンした。店舗、飲食、フィットネス、外商の4事業部制で新しい売上の創出を追求する加藤栄好堂代表取締役社長の加藤宏樹氏(41)に多角化戦略と今後の展望を聞いた。(聞き手=本紙・白石隆史)
業は。
加藤 昭和9年です。私で3代目になります。
――書店3店舗の客層を教えてください。
加藤 発祥のななえ店(亀田郡七飯町)は目の前に小学校がある、いわゆる町の本屋さんです。売場面積は50坪で、本30坪、文具20坪です。近所にお住まいの高齢のお客様が多く来店されます。美原店(函館市)は幹線道路から一本中に入った住宅地の入り口にあり、隣はスーパーです。380坪のうち本は220坪、文具は150坪、CD・DVDは10坪です。ファミリー層から若い世代まで万遍なくいらっしゃるのが特徴です。北斗店(北斗市)はロードサイド型で隣にショッピングモールがあります。売場は180坪です。客層は美原店と同じですが、20代から30代のお客様が比較的多いですね。
――店作り、棚作りで心掛けていることはありますか。
加藤 客注の状況を見て、お客様のニーズに合った品揃えをしています。棚は関連した本を探しやすいよう工夫しています。それからお客様からの問い合わせ、要望には出来るだけ応えるよう心がけています。高齢のお客様も多くいらっしゃるので、お探しの本をとことん探してさしあげたり、当たり前のことですけれど、1対1の接客を地道に続けるよう従業員には話しています。
――従業員教育で行っていることは。
加藤 基本的に店長に任せ、現場の自主性を尊重しています。5月から始めたのですが、日報に売場やサービスの改善提案を書いてもらい、私も目を通しています。いい提案に対しては月間MVPとして給料とは別に報奨金を出すことにしました。ただ漫然と日報を書くのではなく、仕事に対するモチベーションを高めてもらうのが目的です。
――業界は10年以上右肩下がりの厳しい状況です。貴社の業績は。
加藤 6年前に大きな競合店が出店したとき売上を落としましたが、それ以降は横ばいです。
――ネット書店への対策をお聞かせください。
加藤 高齢者を中心にネット通販を利用しない層は一定数存在します。そうしたお客様に便利だと思っていただけるサービスや棚作りをし、顧客を囲い込むことです。店舗によっては、高齢者にターゲットを絞った品揃え、サービスに変えていくことも必要でしょう。老人ホームへの本の訪問販売を事業化することも考えています。
――アマゾンや楽天の参入で電子書籍が本格的に動き始めました。電子書籍販売を手掛けるリアル書店も出てきました。書店店頭で電子書籍を販売することについてどう考えますか。
加藤 函館のような地方都市で書店をやっている限りにおいて、現状、電子書籍の影響はそれほど感じません。いい仕組みがあれば乗りたいと思いますが、地方の一企業ですので、自ら投資してまで電子書籍事業に参入しようとは思いません。いま書店に来て本を買ってくださるお客様は、決して電子書籍に流れることのないお客様だと思っています。だから、電子書籍に力を入れるよりは、いま店頭にいらしてくださっているお客様を大切にし、満足していただけるサービスを追求したほうがいいのではないでしょうか。
――文具など雑貨に力を入れていますね。
加藤 美原店で文具・事務用品半額セールを年2回開催しています。好評をいただいており、当日は大変な混雑になります。雑貨ではファンシー文具などの小物を扱っています。本の販売との相乗効果については、あまり意識していませんでした。ただ、最近、文具を取り上げる雑誌やムックが増えてきたので、意識的に品揃えとコーナー作りをするようになりました。
――反応はいかがですか。
加藤上々です。昨年はPLUSの万能はさみがテレビや雑誌から火がついて、たくさん問い合わせをいただいたので、通常のはさみとは別にコーナーを作りました。はさみだけでなく他のアイデア文具も一緒に置いたところ、よく売れました。
――貴社は書店店舗の他にフィットネス、飲食、外商の4事業部制で多角化を進めています。
加藤 いま書店店頭はとても厳しい。これまで本業としてやってきた本と文具を、これからも本業として残していくための多角化です。様々な柱を立てながら会社全体を支えていくことを考えています。
――力を入れている事業は何ですか。
加藤当面、飲食事業に集中的に投資していくつもりです。7月25日、函館市元町にフレンチレストラン「LeclimatHAKODATE」(ル・クリマ函館)をオープンしました。建物は昭和9年に建築された函館元町港ケ丘教会を改装したもので、その名残として屋根の上には十字架が残っています。シェフの関川裕哉は七飯町出身で、道南で唯一ミシュラン1つ星を獲得した「ル・ヴァン」にいました。「ル・クリマ」はフランス語で「風土」を意味します。道南の風土、素材、生産者の素晴らしさ、豊かさをこのレストランを通じて伝えることができればと思い、この店名をつけました。海産物や有機野菜など道南の食材にこだわった料理を提供します。関川とは「食による地域活性化」を目指すことで意気投合しました。企業なので利益を出さなければいけないということを前提に、単店で終わらせず、同じコンセプトの店を増やしていきたいですね。
――フレンチですか。
加藤 フレンチに限定せず広義の西洋料理を考えています。「ル・クリマ函館」はディナー5千円、ランチ2500円の価格帯が中心なので、次はもう少しカジュアルなレストランを2店舗ぐらい出したいと思っています。
――飲食事業の中期的なな業績見通しは。
加藤 当社の今期決算は売上高9億2千万円を見込んでいます。5年後には飲食事業だけで5億円まで持っていきたい。
――書店を新規出店する計画はありますか。
加藤 今は考えていません。函館は完全にオーバーフロア状態です。小さい店を出しても意味がありませんし、投資しても回収は無理と判断しています。他のエリアに出て行く気もありません。今の3店舗をしっかりと守っていくことが最優先です。
――今後の展望をお聞かせください。
加藤 いまチャレンジしている飲食事業を中期計画通り成功させることが第一目標です。まず一号店の「ル・クリマ函館」を軌道に乗せなければ、すべて絵に描いた餅になってしまう。本業である書店店舗の売上は今後も下がっていくという予測の下、本業をカバーするように新規事業が伸び続けるスタイルを作りたいと考えています。
――「書店再生」には何が必要でしょうか。
加藤 本や文具を店舗で販売することは地元のお客様に対するサービスの提供であるというのが私の考えです。飲食事業に関しては、地元のお客様はもちろんですが、観光の視点から外からお客様を呼び込める店を作りたい。道南に来てくださる方を増やすことが、ひいては地域の活性化につながると信じています。地域が活性化すれば来店客が増えて本業である書店も潤う。そんな好循環を生み出すことが、今回飲食事業を始めた動機でもあるのです。外から多くのお客様に来ていただける街にしていかなければ、人口が減少していく中で、街の本屋の売上が伸びることはあり得ません。社業を通じて地域活性化の一翼を担うことも役割と考えています。
――北海道書店商業組合の理事として取り組みたいことはありますか。
加藤 地元の有識者や地元出身の著名人のお薦め本コーナーをやってみたいですね。北海道知事、札幌市長、江別市出身で俳優として活躍している大泉洋さんなどが薦める本を北海道特集企画として組合加入書店で展開すれば、組合加入メリットになりますし、お客様にとっても面白いのではないでしょうか。熊本の長崎書店さんがやられているのを見て、すごくいいなと思ったのです。今は「ル・クリマ函館」が忙しいので、もう少し落ち着いてから提案したいですね。社業、書店組合、商工会議所など様々な活動を通じて地域活性化のお役に立ちたいと考えています。

「朝の読書」で読まれた本/小中高生別のランキング発表

朝の読書推進協議会はこのほど朝の読書実践校の平成24年度人気の本の調査結果をまとめ、小・中・高校の朝の読書で読まれた本のランキングを発表した。
小学生は『かいけつゾロリ』などロングセラーのシリーズものや児童文庫に人気が集まった。中・高校生は有川浩や西尾維新など人気作家の作品や『謎解きはディナーのあとで』など映画・テレビ等でも話題となった作品、ライトノベルの人気作品が上位を占めた。
【小学校】①『かいけつゾロリ』原ゆたか、ポプラ社②『怪談レストラン』松谷みよ子責任編集、童心社③『マジック・ツリーハウス』メアリー・ポープ・オズボーン、メディアファクトリー④『ミッケ!』ジーン・マルゾーロ、小学館⑤『一期一会。』粟生こずえ、学研マーケティング⑥『ルルとララ』あんびるやすこ、岩崎書店⑦『ミルキー杉山のあなたも名探偵』杉山亮、偕成社⑧『黒魔女さんが通る!!』石崎洋司、講談社⑨『へんしんシリーズ』あきやまただし、金の星社⑩『香川元太郎・迷路の絵本』香川元太郎、PHP研究所
【中学校】①『謎解きはディナーのあとで1・2』東川篤哉、小学館②『「ぼくら」シリーズ』宗田理、ポプラ社③『図書館戦争』有川浩、アスキー・メディアワークス発行/KADOKAWA発売④『空想科学読本』柳田理科雄、メディアファクトリー⑤『神様のカルテ1・2』夏川草介、小学館⑥『都会のトム&ソーヤ』はやみねかおる、講談社⑦『王様ゲーム』金沢伸明、双葉社⑧『NO.6』あさのあつこ、講談社⑨『キノの旅theBeautifulWorld』時雨沢恵一、アスキー・メディアワークス発行/KADOKAWA発売⑨『バッテリー』あさのあつこ、角川書店発行/KADOKAWA発売、教育画劇
【高校】①『謎解きはディナーのあとで1・2』東川篤哉、小学館②『神様のカルテ1・2』夏川草介、小学館③『図書館戦争』有川浩、アスキー・メディアワークス発行/KADOKAWA発売④『ビブリア古書堂の事件手帖』三上延、アスキー・メディアワークス発行/KADOKAWA発売⑤『舟を編む』三浦しをん、光文社⑥『王様ゲーム』金沢伸明、双葉社⑦『植物図鑑』有川浩、角川書店発行/KADOKAWA発売⑦『化物語』西尾維新、講談社⑨『心霊探偵八雲』神永学、文芸社⑨『日本人の知らない日本語』蛇蔵&海野凪子、メディアファクトリー⑨『キノの旅theBeautifulWorld』時雨沢恵一、アスキー・メディアワークス発行/KADOKAWA発売

「ポケッター」14年版/申し込みはお早めに!

日書連組織委員会(中山寿賀雄委員長)は年末年始の贈答・販売用に「ポケッター14」、名入れ印刷の代用に便利な「店名刷込シール」を斡旋します。ご活用ください。価格はすべて本体価格。
◇ポケッター14(78×127×3㍉、のし袋付)
①店名なし=百部単位。百部9500円②店名入り=5百部以上、百部単位(印刷場所は後ろ見返し。のし袋への印刷は不可)。5百部以上・百部あたり1万1500円、1千部以上・百部あたり1万700円、3千部以上・百部あたり1万200円
◇店名刷込シール(55×25㍉、5百枚以上・百枚単位)
5百枚以上・百枚あたり1050円、1千枚以上・百枚あたり950円、3千枚以上・百枚あたり600円
※「ポケッター店名入り」「店名刷込シール」の書体は細ゴシックまたは明朝体に限る。
ご注文は所定の申込書に必要事項を記入の上、所属の都道府県組合へ。申込締切は8月25日(厳守)。11月上旬頃に取引取次より配送。

「若い人が希望もてる業界に」/首都圏栗田会総会で奥村会長

首都圏栗田会の第5回総会が7月11日、東京・文京区の椿山荘で開催され、会員書店をはじめ出版社、栗田出版販売の関係者、また栗田と業務提携する大阪屋の南雲隆男社長、大阪屋友の会連合会の田村定良会長、日書連の小泉忠男副会長らが出席した。
冒頭、あいさつした奥村弘志会長(南天堂書房)は「書店業界は厳しいが、ただ厳しいと言っているだけでは良くならない。若い人が夢を失くしているのは我々の責任。希望を与えなければいけない。書店がなくなれば出版社も取次も成り立たない。書店を救えということではないが、出版社は売れる本を出し、取次はそれをうまく配本し、書店が生き残る方法を考えてほしい。当会は書店バックアップシステム、事業、研修の3委員会の活動を通じて1冊でも多く本を売っていきたい」と述べた。
このあと奥村会長を議長に議事を行い、書店バックアップシステム委員会から栗田児童書プロジェクトチームと協力しての児童書売場充実、事業委員会から首都圏栗田会発ベストセラーを目指しての定期的な仕掛け販売、研修委員会から増売による返品減少対策などが報告された。
来賓を代表して祝辞を述べた栗田出版販売の郷田照雄社長は「第1回設立総会の時は107法人だったが今期は89法人で、これは今の業界を現わしている。もっと売っていただく会にするため、当社は様々な提案をしたい」として、児童書プロジェクトチーム「絵本ガールズ」による読み聞かせ、目が不自由な方のための大活字本の店を神保町に開店するための研究について説明した。
このあと絵本を題材とした映画『じんじん』を企画、主演した俳優、大地康雄さんが「〈本〉が深める絆」をテーマに講演。懇親会では奥村会長のあいさつ、郷田社長、光文社の高橋基陽社長の祝辞に続き、日書連の小泉副会長の発声で乾杯した。

女性図書総目録、改題して発行

出版社6社で構成する女性問題図書総目録刊行会は『「くらし・ジェンダー・女性」図書総目録2013年版』を発行した。掲載は81社、約1300点。A5判、読者頒価本体286円。書店で注文可能。
今回から一般読者が手に取りやすいよう美容、インテリア、マネーなど生活全般にわたる「くらし」ジャンルを充実、『女性問題図書総目録』から改題した。専門性の高い女性問題関連書目の掲載は従来通り。同時に分類の見直しを行い、新たに趣味、老い、育児・子育て、ビジネス書、からだ・こころ、環境などの項目を追加した。
なお、一般読者に手に取ってもらうため、7月に開催された東京国際ブックフェアで配布した。

商談会・ブックサミット開催/出版社81社が出展/北海道日販会

北海道日販会は7月9日、札幌市の札幌パークホテルで第34回総会を開催し、会員書店、出版社、日販関係者あわせて246名が出席した。
今回は総会開催前に「商談会・ブックサミット2013」が行われ、出版社81社がブースを出展。参加書店と商談や情報交換を行った。
総会では、冒頭、中尾邦幸会長(マル五中尾書店)があいさつ。「消費税増税、TPP、電気料金の値上げなど、これから厳しい状況が懸念される中で、無事第34回総会を迎えられたことをうれしく思う。どのような状況でも日販会は気持ちが和む、明日につながる会にしていきたい」と述べた。
議案審議では事業報告、会計報告、事業計画案、予算案などすべての議案を原案通り可決承認した。
続いて来賓を代表してあいさつに立った日販の平林彰社長は「関西では書店と全取次が集まって『関西発信のベストセラーを出そう』と動いている。横のつながり、地域のつながりを強め、業界を発展させていこうという取り組みだ。ぜひ北海道日販会も様々な取り組みで成果をあげていただきたい」と述べ、13年度の日販の戦略についてプレゼンテーションを行った。

青少年の意識被害実態報告/全国万引犯罪防止機構通常総会

全国万引犯罪防止機構(河上和雄理事長)は6月24日、東京・千代田区のアルカディア市ヶ谷で平成25年度通常総会を開き、63名(委任状含む)が出席した。
冒頭、河上理事長に代わってあいさつした山村秀彦総務委員長は万引犯罪の現状について「平成23年以降、全国的に認知件数は微減傾向が明確になっている。検挙者の年齢構成を見ると、少年の割合は25・9%に減少している。一方、成人は74・1%となり、万引犯罪は青少年の犯罪から成人の犯罪に変化してきている。特に高齢者の割合は28・9%と年々増加し、割合、実数ともに少年を上回った。10数年前までは高齢者の万引は2~5%だった。高齢者人口の増加を考慮しても憂慮すべき状況」と説明。「今後も会員、関連諸団体の活動、関係官庁の指導、専門家の助言により、万引犯罪撲滅に鋭意努力する」と述べた。
議案審議では平成24年度事業報告、平成25年度事業計画案などすべての議案を原案通り承認した。
役員の異動では、元東京都副知事の竹花豊氏を副理事長、前警視総監の樋口建史氏を顧問に新任した。また、役員の交代で、日書連会長の舩坂良雄氏、日本フランチャイズチェーン協会専務理事の伊藤廣幸氏、日本チェーンドラッグストア協会常任理事の池野隆光氏を理事に選任した。
総会終了後に行われた第2部「報告会」では、「万引に関する全国青少年意識調査に関する分析」と題して桜美林大学教授の坂井昭宏氏、前警視総監の樋口建史氏らがパネルディスカッションした。続いて加藤和裕調査研究委員長(三洋堂書店)が「全国万引被害実態調査」について報告。これによると、620社の集計で541億円の不明ロスが発生し、そのうち37・4%にあたる200億円を万引によるものと推定。全件通報は66・6%と前年の75・0%から減少した。警察の対応時間は「変わらない」が44・3%で、時間短縮は17・3%にとどまった。また、損害賠償請求を実施している企業は10年14社から12年51社、店内捕捉は10年48社から12年65社に増加し、拡大傾向にある。
報告会をまとめて警察庁生活安全局の山下史雄審議官は「官民一体となった取り組みを進める必要がある」と話した。