全国書店新聞
             

平成20年1月1日号

読者開拓、流通改善が課題/大橋会長新春直言

昨年5月、丸岡会長のあとを受けて第8代日書連会長に就任した大橋信夫会長。平成20年のスタートに当って、就任から半年を経過した手応えと、新年の景気見通し、日書連、出版業界が直面する今年の課題、読書推進運動の重要性などを語ってもらった。(聞き手=田中徹編集長)
――昨年の出版業界の成長は3%前後のマイナスになりそうですね。
大橋業界全体としてマイナスは間違いない。今年もこの傾向は続く。政府が「景気は上向いている」というのは、他業種のことだと思います。出版業界は出版社からヒットが出ない限り、書店がどうにかできるものではない。ただ、それぞれの書店で努力する必要はある。
――複合化の方向に進むということですか。
大橋本屋が本屋でなくなる方向、新しい分野に進出することもあるとは思います。ただ、基本的には蓄積してきた知的文化資産を活用していく方向が正しいのではないでしょうか。
書店はだいたい地の利のいいところに店を持っていました。ところが、駅前がよいと思っていたら、自動車社会になってしまった。バイパスができ、地下道ができて人の流れが変わる。変化に取り残されてしまう場合がある。新幹線ができて、在来線が廃止され、お弁当屋さんがたちいかなくなる。ただ、それはそれぞれが工夫する問題です。
日書連の仕事は何かというと、各県組合の連合会であって、しなければいけないのは、読者の開拓、読書運動ですね。それから取次と流通改善などの話をする。共同行為になってはいけない制約はありますが、やはり苦しいということは言っていかないと、個店対取次ではなかなか話が前へ進まない。
具体的な問題については、全国小売書店経営実態調査を整理して対策を講じつつあり、萬田さん、丸岡さんと、先輩方から引き継いだ宿題です。
――経営実態調査では、もっとマージンを増やしてほしいという声が多く聞かれました。
大橋それを受け実施したのが新販売システムです。第2回目は申し込みが目標部数に到達しなかったので残念ながら中止しました。短い期日の中で到達できなかった。その辺を再検討し3回目を成功させたいと思います。
――スポット的に売り切るか、ロングセラー的な売り方をしていくのか議論がありました。
大橋ベストセラー、ロングセラーは繰り返し発注できるのが前提です。新販売システムは買い切り、高マージンということで、2回とも一発勝負だった。第1回で取上げた『トットちゃん』は、元版はロングセラーになったが、新販売システムは目標を下回った。一方、『だいじょうぶ、だいじょうぶ』は期間後に重版して、かなりの数を売っている。本屋は一発勝負は苦手で、履歴を見ながら、追加、追加でじっくりロングセラーを作っていくということではないでしょうか。
――婦人誌新年号など、あらかじめ何部売ればいくら報奨を出すという仕組みがあります。新販売システムも5部注文すれば何掛け、10部なら何掛けという仕組みが考えられませんか。
大橋売り方、注文の仕方はいろいろあっていいと思う。第2弾は7社から14点が提示されました。逆に書店側からこういうものを出してくれ、こういう企画はないかとオファーしてもいい。過去に売った商品より、新鮮な商品が欲しいという期待がある。実用書、料理書などのジャンルなら新刊でシステムに乗せることが可能だと思います。
――中小書店活性化の課題に、取引改善問題がありますね。
大橋返品入帳改善というテーマがあります。納品はいま月末で締めて請求書が来る。ところが返品は月半ばで締め切られる。取次には月末までの返品入帳をお願いしたい。それが無理なら、納品と返品の締め切り日を揃える方法があるのではないか。
――取次からの感触はいかがですか。
大橋段階的にそうなっていくと思います。現在は、納品が月末までなので、返品も月末まで入れてと言っています。しかし、地域的な問題もある。沖縄は船便利用とか輸送の問題があり、返品を月末までといっても、現実にはなかなか大変だと思います。コンテナヤードに留め置きが3日あるのは常識だということです。取次の返品センターに入ってもトラックから降ろせないとかね。
――返品センターに入った日が入帳日ではなく、実際の入帳には時間がかかるということですね。
大橋返品処理をする取次の物流的な考え方、制約もあろうかと思うのです。すべて月末で勝負するとなると、どんな施設でもパンクする。すべて東京や関東に集めてというのは無理です。各地でカウントするなり、整合性ある取引条件にしていかないといけない。
――九州雑誌センターが福岡にできた時に、鹿児島からの返品入帳はすごく速くなったと聞きました。返品運賃も安くなった。
大橋そういうデポも活用していい。どうしても物流的に1カ所に集めなければならないなら、期日をばらけさせる方法もある。ただそれは取次から言い出す問題です。
大橋それ以外の課題では、とにかく売れる本を欲しい。取次のパターン配本がベターなのか。個別配本という形にもっていけないのか。文庫も新刊部数により書店ランクで配本しています。そういう方法がよいのかどうか、こちらが声を出していかないと、一方的に取次の配本権で、版元も口出しできない。その辺を含めて交渉の対象になってくると思います。
――読書推進の問題はいかがですか。
大橋読書推進はフォローの風が吹いています。活字文化議連という超党派の国会議員の集まりで、文字・活字文化がなくなってしまうと、わが国は大変なことになる。現に、おかしな事件が起こっている。それらが全部、文字・活字文化の衰退が原因ではないにせよ、本を読むことは、実際に経験しなくても、意識の中に残って、それぞれの社会的な行動がとれる側面があります。朝の読書運動、家読、おはなしマラソン、ブックスタートと、運動として盛り上がってきています。
――地元書店が地域の読書推進グループの拠点になれないかと思うのですが。
大橋読書会などの活動は図書館などが中心で、どちらかというと書店以外の場所で展開されています。書店も講演会や催しに地域の読書会を取り込んでいけば、売上げにも貢献する。講演会の場所は近くの施設を借りてもいい。
北海道組合が始めた、本屋の親父のおせっかい“中学生はこれを読め!”などは素晴らしい運動だと思います。北海道から愛知、熊本と拡大しました。そうした各県組合の取組みを紹介し、交流するネットワークの中心が日書連です。
――共済会の残余財産の問題が残っています。
大橋税務署が最初、課税対象ではないという話で、平成18年末で日書連共済会を解散し、給付請求は19年3月いっぱいで確定し、7月末には残余財産を確定して日書連に移動するスケジュールだった。ここで一区切りと思っていたのが、途中から急に課税になり前提が崩れてしまった。
皆さんのお知恵を拝借して一番有効に活用する方法を検討したいと思います。税法上では3年かかろうが5年かかろうがいいが、10年20年というタームではないだろう。法律が変わればまたコロッと変わりますから、法律が変わらないうちに処理したい。
――消費税の見通しは、いかがですか。
大橋消費税と再販制度の見通しは、こちらから動くことではない。ただ消費税は、ぼちぼち税率アップが出ています。しかも10%を超えてという話です。政府税調の検討が進んでいますので、これは時間の問題だと思います。出たときには政治がねじれていようが何だろうが受けて立たなければいけない。その受け皿として新聞業界と文字・活字文化推進機構を立ち上げた。推進機構は消費税率アップならびに再販に関する政治的な動きがあった時に、行動するためにある。もちろん前提としては、読書推進をしっかりやって、消費者、読者の心をつかんでおく。出版業界全体として、追い風に乗った読書運動の取組みが重要です。東北大学の川島先生が「音読にはアルツハイマー病の治療効果がある」と言っています。アルツハイマー病はこれまで進行を食い止めるのが関の山だったが、老人ホームで声を出して本を読ませていたら、車椅子状態の90歳の老人が自宅に帰るところまで改善された。読書はそれほどすばらしい。業界がシュリンクしているのは間違いだと、どんどん打って出ないといけない。追い風に乗って、もっと出版業界のパイを大きくすることを考えるべきではないかと思います。

読みきかせらいぶらりい/JPIC読書アドバイザー・中野裕子

◇2歳から/『おしり』/さとうあきら=写真/さえぐさひろこ=著/アリス館1365円2007・9
「かばのおしりどんでかばーん!」と、楽しい言葉と共に動物達の後姿が並ぶ、写真絵本です。それぞれの写真の視覚的面白さはもちろん、動物達の大らかさ、茶目っ気、家族愛、威厳まで感じられ、顔の表情も見えるような気がします。動物の名前がわからなくても楽しめます。
◇4歳から/『ちいさいちゃん』/ジェシカ・ミザーヴ=作/さくまゆみこ=訳/主婦の友社1365円2007・8
ちいさいちゃんにとって姉のおおきいちゃんは何をしてもかなわない、大きな存在です。ある日おおきいちゃんは、ちいさいちゃんにひどいことをしました。ちいさいちゃんのしかえしは…簡潔な文と色彩豊かな絵によってお話は進み、ちいさいちゃんの心はだんだん解れていきます。
◇小学校低学年向き/『いっちゃん』/二宮由紀子=文/村上康成=絵/解放出版社1680円2007・6
ひとつめこぞうのいっちゃんは、フツーの学校の一員。でも友だちがあまりいません。のっぺらぼうのののちゃんが、だいじな友だちです。ありえないような、ありそうな…ナンセンスワールド。ほんわかとした絵と相俟って、どんな人も共に生きる温かい世界をやさしく提示しています。

11月売上げ5.1%減/コミックの大幅減少受けて/日販調べ

日販経営相談センター調べの11月期分類別売上調査によると、11月の売上平均は対前年同月比94・9%と、前年を5・1ポイント下回った。
売場規模別では全規模で前年割れとなった。なかでも51~100坪(6・2%減)、101~150坪(5・6%減)の下げ幅が大きかった。立地別でも全立地で前年割れとなり、SC内が6・2%減と大きく下げた。
ジャンル別では、その他(0・8%増)、ビジネス書(0・5%増)の2ジャンルのみが前年を上回った。一方、売上構成比の高いコミックが9・8%減と不調で、全体の下げ幅拡大に影響した。昨年メディア化され好調だった『のだめカンタービレ』等に匹敵する大型メディア化商品が今年はなく、大幅な反動安となった。
平均客単価は前年同月比0・2%増の1089・9円。

理事長に井之上氏/鹿児島組合

鹿児島県書店商業組合は12月7日午後4時から鹿児島市のサンロイヤルホテルで第22回定時総会を開催した。任期満了に伴う役員改選で新理事を選び、理事による互選の結果、坂口洋右理事長が退任し、新理事長には専務理事だった井之上博忠氏(霧島市・ブックス大和)が昇格した。井之上氏は昭和16年1月5日生まれ、66歳。
総会には日書連から大川哲夫専務理事も出席。総会終了後、大田区立図書館の業務委託で実績がある太田ブックチェーン湯本光尚氏が公共図書館の指定管理者制度について約1時間、講演を行った。

約定書に規定盛込め/有事対応で取次と意見交換/日書連理事会

日書連は12月20日、書店会館で定例理事会を開催。取引改善問題では、エクスメディアなど出版社の倒産を受けて取次と意見交換が行われ、有事の際のルール作りを求めたことが報告された。
〔取引改善〕
10月31日に倒産したエクスメディアの返品入帳をめぐって、12月19日に行われた取協書籍研究委員会との意見交換会の模様が柴﨑委員長から報告された。会合にはトーハン、大阪屋、日教販、中央社、太洋社の5社が出席。日書連からは返品フリー入帳のはずの商品が、出版社が倒産したために返品できないのはおかしいと書店の考えを伝えたところ、取協としても出版社が有事の際のルール作りについては検討したいという話だった。
面屋副会長はワラジヤが倒産した際の事例をもとに「破産管財人が納得する形で、フリー入帳の商品のルール化が必要」と指摘した。柴﨑委員長は取引契約は出版社―取次、取次―書店であり、出版社の有事を想定していない。書店―取次の約定書に有事の場合の取り決めが必要ではないかとして、取次各社に検討するよう求めたという。
意見交換会に出席した理事からは「出版社が破産して清算が終了した時の情報開示を求めるべきだ」「販売可能な商品もあり、取次が定価交換の方法を取れないか」「今後も意見交換を続けていきたい」などの意見があがった。
〔流通改善〕
来年7月23日に発売される『ハリー・ポッター』最終巻についての委員会の議論を藤原委員長が報告。前回、平成16年9月に発売された第5巻は①買切り、②初回送品数の5%の返品許容、③1冊40円の販売協力金という条件だったが、委員会では「買切りなら返品枠は不要。その代わり正味を下げてほしい」「第5巻が残っている。既刊との定価交換をお願いしたい」などの声が上がった。
東京組合中央支部から提案があった単行本発行1年後に買切り低正味の新装版を発行する件については、今後、東京組合と検討を進めていく。
雑誌発売日の問題では、関西地区でキオスクの早売りがあること、新潟県の発売日繰上げは本部委員会で検討中だとした。
〔再販研究〕
ブックハウス神保町が実施したインターネット・サイトでの出版社在庫僅少本販売について、岡嶋委員長が関係社と行った意見交換を報告した。
これによると、在庫僅少本とは新刊発売後3年程度経過した本で、著者との関係で50部程度残している在庫。一ツ橋グループで約1万点、筑摩書房でも4千点程度あるという。
また、ネット販売のためのシステム開発に5千万円かかり、日書連で業務を受け継ぐなら協力する用意があると提案された。
これに対し理事会では「年間では書籍が12億冊発行され、5億冊の返品が在庫になる。これを値引き販売されては問題だ」「読者からは1年待てば半額になると受け止められている」「在庫僅少本について、きちんとした定義が必要」などの声が上がった。
香川組合からは紀伊國屋書店高松店が丸亀町タウンカード会員に5%引き販売を行っていると報告があり、再販研究委員会に検討を求めることになった。
〔指導教育〕
従来、都道府県ごとに行ってきた青少年有害図書規制を立法化する動きがあり、販売規制の性格が強いと鈴木委員長が問題点を報告。出版倫理協議会で対策を検討していくことにした。日書連の定款変更については、改正案原案を承認した。
〔増売運動〕
来春のサン・ジョルディの日PR企画推進費は、北海道、青森、秋田、山形、千葉、神奈川、新潟、富山、山口、福岡、熊本の11組合に各20万円を支出すると舩坂委員長が報告した。
雑協が創立50周年で作成した雑誌販売のノウハウ集『これで雑誌が売れる』は12月末に各県組合あてに送付するので、売場活性化に役立ててほしいとした。
今秋の読書週間書店くじ参加店から特賞「台湾4日間の旅ペア招待」無料随行書店を招待する件は、抽選の結果、石狩市・リブロエフ、横浜市港北区・小島書店、姫路市・大杉広文堂の3店を決めた。
〔読書推進〕
特定非営利活動法人ブックスタート白井哲事務局長ほか2名が日書連理事会を訪れ、ブックスタート運動の現状を説明した。
同運動は1992年に英国で始められ、日本では2001年、12市町でスタート。ゼロ歳児検診時に絵本、地域の子育て関連施設紹介、お話会の案内を配布。あわせて読み聞かせを体験してもらっている。現在、全国市町村の3分の1にあたる631市町村で展開されており、白井局長は「読書推進にとどまらない大きな広がりを見せている」として、各書店の理解と支援を求めた。
〔消費税〕
面屋委員長は朝日新聞が12月9日朝刊で消費税増税支持を打ち出したことを報告。欧米では出版物の課税に軽減税率を採用していること、わが国の出版4団体も軽減税率を求めていること、非課税・ゼロ税率の違いも研究していく必要があることを強調した。
〔経営健全化〕
各都道府県組合合計の組合員数は11月末現在、前月より23名減、4月1日対比234名の減となった。中山委員長は①日書連を紹介したパンフレットを作成する、②来年から各取次を訪問して組合加入の協力を要請していくと、今後の取組みを述べた。また、各県組合の総会議事録、理事名簿は必ず日書連に送付するよう求めた。
〔環境改善〕
12月20日に出版クラブで会館問題特別委員会が開かれ、新出版会館移転問題が検討されたことを大橋会長が説明した。日書連としては条件が整えば入居する方向で、1年以内に結論を出したいとした。
個人情報保護法への対応をめぐっては、日書連では書店名簿、全国書店新聞発送データを保有していることから、書店名簿の発行も含めて今後の対応を検討することになった。
〔情報化〕
日書連MARCの導入状況は、尼崎市の小・中学校に日書連MARCと情報BOXの導入が決まったこと、大阪では図書館の業務委託が進んでいることが報告になった。
ICタグは21日に大阪で書店部会が開かれ、導入に向けたガイドライン作りが始まることを井門委員長が報告した。
〔共済会〕
日書連共済会の残余財産は12月20日現在、5億3367万円。木野村委員長は契約宿泊施設「豊友倶楽部」に年間34万円、エドモントに年間25万円の年間利用料を払っているが、利用の少ない豊友倶楽部は解約する方向で検討していきたいとした。
〔小売公取協〕
出版物小売業景品規約について、井門小売公取協会長は「現行規約は平成21年5月24日までに見直ししなければならない」として、新年から1年間かけて規約改正の作業に取組む方針を説明した。

新・アジア書店紀行/ノセ事務所代表取締役・能勢仁

〔最終回・アジアの書店から何を学べるか〕
22回にわたる連載にお付き合い下さり有難うございました。特に前回は番外編としてギリシャの書店を紹介しました。これは日書連・書店くじの特賞当選者招待に筆者も参加したものです。日書連大橋会長以下20名の楽しい旅でした。筆者はアテネの書店探訪のために別行動になることが多かった。朝夕の食事や往復の空の旅は皆さんと楽しさを満喫することが出来ました。
さてアジア諸国10カ国を訪問して、各国書店から何が学べたか記してみたい。
〔中国〕
今、世界勢力の中でアジアパワーは相当なものである。中でも中国、韓国の発展、躍進は目覚しいものがある。1、2年おきに北京ブックフェアに参加し、その都度中国の書店(新華書店)を見るが、店舗の大型化、デラックス化が進んでいる。北京、上海、瀋陽等に売場面積1万5千㎡が出来たのは1999年である。この時代までは中国各都市にあった書店は国営新華書店であった。その他辞書・外国書を扱う外文書店(国営)、中国古典籍、古書専門書店の中国書店(国営)の三本柱が確立されていた。しかし市場経済の嵐が吹き荒れ、21世紀以降民営書店が台頭してきた。この民営書店はチェーン化された個人書店であるために中小規模である。しかし独立心、専門化された書店、サービスを心がける書店であるので、地域で必要視されている。地域密着、存在認識という点で学ぶべきことがある。
〔韓国〕
韓国ソウルでは出版団地の第一次が完成した。Bookxen(取次)の新設、出版社、印刷、製本業者の集合が出来た。韓国ではこうした流通革命によって本と読者の出会いが容易になった。一方、韓国のネット流通は急激に読者に浸透し、利用者は増加の一途である。その理由は再販国でありながら、ネットで買った時は割引特典があること、本の引き取り場所が駅やコンビニ等と便利になったからである。日本でもアマゾン、楽天、セブン&Yが書店流通を侵している。取次の開発したネットを利用して、読者対応してゆかなければならない。ただし手数料5%の引き下げを願うものである。
〔シンガポール〕
シンガポールの書店事情は複雑である。それはシンガポールでは地元書店3チェーンと外資系書店3チェーンの対立構図が出来ている。地元書店は大衆書局、タイムズ書店、MPH書店で、いずれも8~20店位のチェーン店を持つ実力派の老舗である。それに対して外資系とはイギリスのW・H・スミス書店、アメリカ資本のボーダーズと紀伊国屋書店である。こうした対立構図で地元書店が頑張っていたが、これに応援軍が加わったことである。それは地元出版社ページワン(デザイン系)が出店したことである。ページワンはすでに香港、台北で実績をあげている総合大型書店である。地元の需要度を勘案しての出店である。シンガポール市民が歓迎しないわけがない。アジア№1を誇る紀伊国屋書店シンガポール店も商品の見直し、リニューアル等で対抗している。書店間競争の国際化を見る思いがした。
〔台湾〕
台湾の変化も激しい。台北、台中、高雄の主要都市は06年暮に新幹線が走り、2時間で行けるようになった。書店事情は地元書店の誠品書店、金石堂書店、新学友書局等チェーン店が頑張っている。中でも台北新義地区に出来た誠品書店は新・アジア№1といっても過言ではない。設備、質、量、情報、人材等の面で傑出している。台中の誠品書店内部のコロセアム風なレイアウトは見事というほかない。両店とも見学に値する店舗である。
〔マレーシア〕
マレーシアの発展ぶりも目覚しい。特にモノレールがクアラルンプール市内を一巡する様になり、地下鉄と共に市民の足になった。そのために商業施設、ショッピングセンターが活発化した。市の中心地ブキッ・ビンタンはさながら渋谷、新宿、銀座を集めた様相である。SC、デパートが10店ほど立ち並び、若い人、年配者、ブランド商品、雑貨等、買い物の選択に不足をきたすことはない。書店業界に関しては民族資本の大衆書局とMPH書店が頑張っている。両店とも多民族国家を意識した商品構成が出来ているので、お店は繁盛している。店舗面積では紀伊国屋書店、ボーダーズに及ばないが、読者の書店利用の点ではひけをとらない。単一民族の日本の良し悪しを感じた訪問であった。
〔タイ〕
タイ・バンコクの交通渋滞は世界有数であった。しかしモノレールが出来たことによって市内を巡るのは楽になった。市内目抜きを走るモノレール沿線の書店の集客が良くなったという。モータリゼーションの進みつつあるタイであるが、駐車場完備、郊外店という考えは今はない。市内繁華街書店が繁盛している。中でもよかったのはアジアブックス(チェーン店)のサービスである。筆者が問い合わせた本はその店になかったが、その場でチェーン店に連絡、何時(その日)までなら届きますよという回答、サービスには頭が下がった。
〔ニュージーランド、オーストラリア〕
ニュージーランド、オーストラリアではイギリス出版文化を感じた。イギリスはコミック排斥?国なので、どの書店に行ってもコミックはなかった(除くシドニー)。両国ともリゾート地としてヨーロッパ、アメリカ人の入国が多い。書店の棚を見ると地元写真集、ガイド、絵葉書が大量陳列されている。中でもニュージーランド№1書店のホイットコール(オークランド)の1階地図、ガイドコーナーは圧巻であった。日本でも観光地書店は大いに見習うべきだと思った。シドニーは紀伊国屋書店、ボーダーズ、オーガス&ロバートソンと地元大手老舗書店のダイモックスの熾烈な激突市場であった。いずれも800坪以上の書店ばかりである。各店とも自店の特色を読者にアピールしているのは素晴らしい。紀伊国屋書店は専門書、デザイン、建築、グラフィックノベルズ(大人向けコミック)、マンガ(子供向け)が目立った。
〔インドネシア〕
イスラム国家のインドネシアは一般書店とイスラム専門店とはっきり分かれていた。
民族意識の強いアジアの書店はそれぞれに自己主張をしていた。各国とも戦後独立した国が多い。しかしどの国でも、書店業の誇りが店内にみなぎっていた。本を読者に渡す職業感の強さを教えてもらったことは筆者にとって最大の福音であった。

読書履歴もとに1万円選書/究極の読者サービス打ち出す/砂川市・いわた書店

北海道のほぼ中央、札幌と旭川の間に位置する砂川市・いわた書店は書籍・雑誌売場40坪、文具売場25坪で家族経営の本屋。北海道の景気はあいかわらず厳しいものがあるが、そろそろ底を打ったのではないかという気配を感じている。本を並べていれば売れた時代は終わったという岩田徹社長(55歳)に、オンリーワンをめざす同店の読者サービスを聞いた。
札幌から函館本線の特急で北へ向かって45分。厳寒の季節には気温が零下20度まで下がる。1年のうち半分はストーブをたく北国の書店。いわた書店が砂川で開業したのは昭和32年冬だった。砂川には岩田社長の母の実家が営む大宮書店があり、同店の支店として紅屋デパートに5坪の支店を出した。父の晟さんは戦争を挟んで美唄の炭鉱で働いていたが、26年に結婚。長男の徹さんが小学校に入った時、子どもの将来を考えた結果、妻の実家の書店で働こうと決意した。
炭鉱も景気が良かったし、砂川は当時4万の人口を抱えていた。雑誌が飛ぶように売れた。雑誌は特運だったから駅留めで、婦人誌、幼年誌の新年号などソリで店まで運んだ。「ひところは自分たち夫婦を入れて16人で働いていた。今は人口も半分。結局、上砂川、歌志内、奈井江と炭鉱が駄目になって、小売も一緒に駄目になった」と、晟さんは往時を振り返る。平成元年に徹さんに社長を譲り、現在は会長。
岩田徹社長は昭和27年生まれ。地元の小学校・中学校を卒業して高校は函館ラサール。親元を離れ、3年間、寮生活を送った。高校卒業後、札幌の文具卸会社に勤め、昭和51年、砂川に戻り家業を継いだ。
いわた書店の年商は9500万円。今年1~11月の累計で前年同月比3・8%増加していることがわかった。平成14年の年商1億円をピークに売上げが下降を続けたが、昨年ようやく底を打ったのではないかと考えている。
過疎の町を先取りしているから、打てる手はいろいろ打ってきたと岩田さんは言う。たとえば、いわた書店は入るとすぐフェア台があり、次に並ぶのは書籍棚。普通の書店は入ってすぐある雑誌棚が店の奥にある。東京・往来堂を見学して、自店でも取り入れ、売場レイアウトを変更した。こうすれば雑誌を買いに来た客も書籍売場を通るので回遊性ができる。
書籍は3尺棚の平台部分に傾斜をつけ、3列面陳できるよう工夫した。藤原正彦の『国家の品格』が売れ出した時は、隣に母・藤原ていのベストセラー『流れる星は生きている』(中公文庫)を積んだところ、年配客が一緒に買っていく。新しい本ばかり追いかけていては、大型チェーン店に負けてしまう。チェーン店と違うテイストを出すには、大きな本屋をただ小さくした品揃えでなく、違う作家と組ませたり、イメージが触発される提案をしていきたい。個性は他店と競合しない。
だから、週2回刊の地元紙「プレス空知」には「町の本屋のちょっと気になる本」を連載し、いわた書店のホームページでも毎日、注目の新刊を紹介するようにしている。
外売の売り掛け口座は2千ある。娘の昌子さんが午前中、市役所と市立病院を回る。配達専門のパートもいる。滝川の新聞販売店ともタイアップしている。新聞店は昼間は手が空いているし、書店は代金回収の手間が省ける。文具を担当する母の恵子さんは、店番をするかたわら「ハリー・ポッター」の予約台帳をもとに片端から電話して、10日間で50部の予約を集めた。
5年前、「本屋の村」のソフト『楽樂ほんやさん』シリーズを入れた。外商管理のほかに単品管理ができるようになった。キーボードを叩けば店内在庫の有無がわかる。本の売れ方がつかめ、出版社の営業マンに販売データを示して補充注文ができる。
「ふるほん文庫やさん」とタイアップして、絶版・品切れ文庫を探すサービスも始めた。バブルの時代にはビデオレンタルを扱ったが、客層が違い、読者は育たないと思ってやめた。
極めつけは「お任せ選書」サービスだろう。忙しくて本屋に行けないあなたの為にお薦めの本を1万円分選んでお届けするというこのサービス、申込みにあたって①最近読んだ本と感想、評価、②仕事内容、③最近気になったニュース、出来事、④よく読む雑誌などのプロファイルを記入してもらい、選書の判断材料にする。最近の読書傾向を見て、挑戦したことのないジャンルからプロの目で本を推薦する。
昨年9月末、フジTVのニュースで「本のコンシェルジュ」としてお任せ選書が紹介されたところ、年齢的には高校生から80代のおばあちゃんまで、遠方では神奈川県や九州からと、合わせて20名近い申し込みがあった。川崎の看護士向けには『朗読者』『モリー先生の日曜日』『逝きし世の面影』等を選んでみた。選書の理由を書いた手紙を添えて本を送った。
「本を並べておけば売れたのはバブルの時代まで。書店はこれまで一人ひとりの客に向かい合ってこなかった。書店もそのぐらい踏み込んだビジネスをやらなければいけないのではないか」と岩田さん。
いわた書店の包装紙には次の言葉が記されている。「本の中になにがある字がある字の中になにがあるか宇宙がある」。岩田さんが目指すのは、ナンバー1より、砂川でオンリー1の書店。

新春読者の投稿/私の好きなお国ことば

〔ぼちぼちでんなあ/大阪市・BOOKS愛らんど・中島俊彦〕
「ぼちぼち」という言葉は、大阪だけで使われているわけではありません。しかし、大阪では一風変わった使われ方をします。
私らの子どもの頃の大阪の商売人は、日々の挨拶代わりに一人が「儲かりまっか」と言えば、問いかけられた人は「まぁ、ぼちぼちでんなぁ」と答えるのが決まりのような使われ方をしていました。
そこそこ売れている店でも、表現をぼやかして「ぼちぼちでんなぁ」と答えます。例えば、「まぁまぁですわ」といったニュアンスでしょうか。ストレートに表現せずに柔らかく表現します。
トントン位だと、「さっぱり、わやですわ(駄目ですわ)」と泣きをいれます。そこにはなんとも言えぬ可笑し味、温かみさえ感じられます。
「ぼちぼち」とは、ボツボツが変化した言葉で「ゆっくり」とかの意味があります。シャカリキに金儲けに走るのではなく、程ほどに儲けて身の丈にあったゆっくりした商売をしていたのではないかと思います。「質素、倹約、正直」をモットーに生きていたのでしょう。
今の世の中は、個人商店が少なくなり、お客さんと対面でやり取りするような風景が余り見られなくなり、このような言葉を聞くことが少なくなったように思います。
物販店だけでなく、飲食店もチェーン店が増え、お客さんとの会話もマニュアル通りの決まりきった文句が口をついて出てくるだけになりがちです。
身の丈に合わない背伸びした商売をすると、拝金主義、利益至上主義となり殺伐とした空気が流れたりします。
拝金主義の行き着くところは、産地偽装とか、賞味期限改竄となるのでしょう。寂しい限りです。何かしら、「ゆとり」を持てない世の中になってきたのかなとも思います。
私は、金儲けが上手ではないことの言い訳にするのではないですが、もう少しゆっくり生かしていただきたいものだと思っています。
〔ぼっけぇきょうてえ/総社市・荒木書店・荒木健策〕
「ぼっけぇきょうてえ」――これは岡山県出身の作家岩井志麻子さんの小説名です。受賞作品でしたので、広く知られたお国言葉の一つだと思います。共通語にすれば、「ものすごくおそろしい」あるいは「とてもこわい」でしょう。しかし、これではその恐怖が言い表せず、きっと読者の方は読み終えて、知らずともこれこそ適語と思っていただけたのではないでしょうか。同じような意味で「でーれーこぉうぇー」というのもありますがそれはそれ。
旅先のおいしいものが、お土産で持ち帰るといまひとつと思われた方いらっしゃいませんか。昨今、関西の吉本興業の東京進出で、また芸人ブームで放送界ではいろいろな言葉がとびかっています。その中で状況にもよりますが、生まれ育った言葉で話されていると心が感じられその人柄・土地柄が出るように思われます。
私どもはいわゆる地方の中小書店です。したがってお客様はお顔馴染みのご高齢の方も多く、お買い物でも世間話から入ることがあり岡山弁のオンパレードです。聞くことに不自由を覚えることはさすがにありませんが、伝える言葉をさがすときがあります。
大型書店が押し寄せる中、人と関われる本屋さんでありたいと思いながらも、標準語を良しとして育ったこの歳の私たちは少し恥ずかしがっているのかも知れません。
幸い、ここ最近といっても10年来になりますが、ラジオ番組がきっかけで岡山弁が盛り上がっております。三丁目の夕日ではありませんが、昔を思い出して、少々勉強せにゃーおえんかな。

新春読者の投稿/新年を迎えて

〔自分以外の人に喜んでもらうこと/東京都・教文館・小橋琢己〕
「仕事というのは自分以外の人に喜んでもらうことかもしれない」――ぴあ株式会社が創業34周年記念日(2006年7月10日)に発行した、矢内廣会長による文庫「7月10日に伝えたいこと」(非売品)の「第三部仕事力・求められる仕事を探りつづけよ」に出てくる一文です。
矢内さんが小学校3年生の時に体験した『甘納豆事件』。駄菓子屋で甘納豆を買うとくじ引きができるので、毎日のように通いつめていたら「そんなに甘納豆が好きなら、つくってあげる」とお母さんが、食べきれないほどの甘納豆をどんぶりいっぱいに作ってくれたそうです。とても一人では食べきれないので、それを大きな袋に分けなおして、自分で作った紙芝居を見せながら、集まってきた子どもたちに甘納豆を景品にした5円のくじ引をしていたら、それがお母さんに発覚、子どもたちの家にお金を返しながら一緒に謝りに廻ったそうです。
「私は、そのときお金が欲しかったのではなく、友人達が紙芝居を見て『面白い!』と喜び、甘納豆をおいしそうに食べている顔が本当にうれしかった」から、とおっしゃっています。
その後、矢内さんはこれを自分の原点として捕らえ、大人になって事業を始めてからも「この事業は人に喜んでもらえることを選んでいるのか。今やろうとしていることは、社会の役に立っていくか」と、常にその原点に立ち返って考えるのだそうです。
ここから学ぶのは①商売は、人とのコミュニケーションのなかで成り立ち、人に喜んでいただくことで自分も喜びを感じる、ということ②自分は「自分に与えられた能力を最大限に生かし社会に仕える」という奉仕の精神。
本屋として「自分以外の人に喜んでもらう」には、何をしたら良いのでしょうか。読者の方々に何をして差し上げるのでしょうか。それが、きちんとできていれば、ネットも大型店も新古書店も値引きもポイントもおそれることはないのだろうと思います。
〔希望のメッセージ/草津市・宇野書店・宇野みどり〕
新年にあたり本紙読者の皆様方が希望を持つことができるメッセージをご紹介します。このメッセージを伝えているのは英国人の画家で国際月刊誌「シェア・インターナショナル」編集長のベンジャミン・クレーム。世界中で30年以上もこのメッセージを伝え、著書も多数あります(シェア・ジャパン出版刊)。概要は以下の通りです。
「『不朽の智恵の教え』によると、この長い歴史の中で、時代ごとに一般の人類よりも遥かに進化された方々が登場し、人類を導いてこられました。これらの方々は智恵の大師方とか覚者方とか呼ばれています。今まで覚者方は高い山脈や砂漠など一般の人類からかけ離れたところに住んでおられ、人類の進化を背後から導いてこられました。しかしもう間もなくそれらの方々の一団がこの世界に戻られるということです。これらの方々は途轍もない智恵とパワーと愛をお持ちの方々であり、全知遍在の意識を持っておられ、必要があればどこにでも、どのような姿にでも瞬時にして現れることが出来、助けの手を差し伸べることが出来る方々であるとも言われています。それではなぜ今までそれらの方々が私たちの前に姿を現し、私たちが抱える様々な問題に対する解決法を指し示すことが出来なかったのでしょうか。最大の理由は、人類がそれらの方々の存在を知らず、求めることが出来なかったことらしいのです。覚者方に人類の進むべき方向を指し示してもらうためには人類からの要求が無ければならないのです」
私たちの未来に希望が持てるメッセージの一つではないかと思います。

わが組合の読書推進

〔県との連携で様々な催し/青森県組合広報委員・黒滝恭一〕
わが組合が取り組んだ読書推進活動は、まず、平成16年の、鈴木健二著『今、読書が日本人を救う』(グラフ社刊)の販売普及運動を挙げなければならない。その後、日書連でも「売らなければならない本」として取上げることとなり、鈴木氏の本書での叫びが全国に波及することとった。
平成17年9月15日、当組合三役と三村伸吾青森県知事との懇談会が知事公室で行われ、その席で鶴谷理事長から三村知事に、知事が読書運動の先頭に立っていただきたい旨の『要請書』が手渡された。
それ以来、青森県書店商業組合は県教育委員会はじめ県機関が行う読書や出版物に関わる行事の共催団体として参画することとなり、毎年数回、作家や絵本作家を呼んで、文化講演会と協賛ブックフェアを開催し、サイン会を行っている。
〔生活に溶け込んだ読書を/山梨県組合理事長・青柳和人〕
現下、物販流通は大きく変化してきています。それはパラダイムを背景にして、大型化と流通経路の短縮になって、小型店の淘汰を現実のものとしています。出版界もそのトレンドから逃れることは出来ず、その変化は大型店への集中流通となり、インターネットの利用によって今までの小売形態を変えてきています。
それに対しての対応は個店では不可能です。組合としても新しいあり方を模索することが求められています。
「朝の読書」「子どもの本の日」などの読書運動のスローガンを掲げていますが、それはそれとして、その先に必要になることは人々の読書を生活に溶け込ませて、「自ら求める」読書のあり方を身につけてもらうことです。子どもが課題図書を1冊読んで満足したり、何冊読んだかを自慢したりする読書の姿勢ではなく、読んだ知識が自分の性質に現れることを目的とした読書推進が必要です。
そのことを各書店が理解して、書店の存在意義を誇りに思えるようにしたいと思います。
〔新春読書感想文コンクール/佐賀県広報委員・近藤甲平〕
佐賀県書店商業組合は読書推進運動として毎年、「佐賀県新春読書感想文コンクール」を後援、課題図書の普及販売に努めてきた。
今年で43回を数えるこの感想文コンクールの主催は佐賀県立図書館、県学校図書館教育研究会など5団体と佐賀新聞社で、後援は県読書推進運動協議会、佐賀県書店商業組合、佐賀県教科書と佐賀の3テレビ局。県の読書運動推進と社会教育の振興に寄与することを目的にしている。
毎年11月から県内の小・中・高校、一般に自由、課題の2対象で感想文の応募を呼びかけ、審査、表彰をしている。書店組合はポスター、申込袋を学校へ配布、課題図書の受注、展示即売を行うことで協力するとともに、入賞者への賞状筒と図書カードを寄贈している。
しかし、課題図書の販売数は年々減少しており、各県組合の読書推進活動の例を参考にするなど、再検討する時期が来ているのかもしれない。
〔わが店の読書推進・母娘で読み聞かせ会/大津市・奎文堂・久保中子〕
平成14年初夏「第四土曜は子どもの本の日」と「お話を絵にするコンクール」のキャンペーン参加をきっかけに当店でも本の読み聞かせ、お話し会を始めました。娘と二人全くの素人ですが、母親として子供達の小さかった頃聞かせたように読みました。
初めの頃は用意した本を読むだけで精一杯でしたし、一人も子供さんが集まらない月もあり、また年配の方を相手に子供の絵本を読むこともありました。
会を重ねるうちに、集まってくれた子供さんの年齢や、男の子向き、女の子向きを考えたり、季節感を取り入れたり、その時々で臨機応変に本を選べるようになりました。
読み聞かせをしていて、本から脱線する事もありますが、子供さんの真剣な眼差しに出会えた時、逆にこちらが子供達に引き込まれそうになります。
直接売り上げに結びつかなくても、一人でも多くの子供達が本を好きになって、読書の楽しさを知ってくれる事を願いお話し会を続けていきたいと思っております。

わが社のイチオシ企画/ポプラ社・ポプラ文庫編集長・矢内裕子

あけましておめでとうございます。昨年はポプラ社創立60周年という節目の年でしたが、あらたな気持ちで迎える今年、一般書文庫「ポプラ文庫」を4月に創刊する運びとなりました。
1999年に『十七歳』を刊行、2000年から一般書編集部がスタートしてから、書店の皆さまに支えられ、『グッドラック』『えんぴつで奥の細道』そして昨年末には五木寛之さんの『人間の関係』と多くの読者を得ることができました。また2006年からはポプラ社小説大賞、文芸PR誌『asta*』も始まり、近年は小説にも意欲的に取り組んできたなか、このたび満を持しての文庫創刊となりました。
ポプラ文庫は20代~30代の女性をメインターゲットとし、文芸中心の文庫としてスタートします。創刊時にはあさのあつこさんの『ガールズ・ブルー』と『ガールズ・ブルーⅡ』(文庫オリジナル)、今春、竹野内豊主演で映画化される翻訳小説『あの空をおぼえてる』、江國香織さんの『夕闇の川のざくろ』、小手鞠るいさんの『空と海のであう場所』、そして直木賞作家・松井今朝子さんの初エッセイ集『今朝子の晩ごはん』を文庫オリジナルで刊行します。
初年度は偶数月の刊行で、二年目からは毎月刊行。創刊以降も、田辺聖子、林真理子、群ようこ、よしもとばなな、内田春菊、西川美和、寺島しのぶ、辛酸なめ子、荒井良二、島田雅彦といった方々が続々と登場予定。文庫化する際、編集にひと手間かけているのもポプラ文庫の特色です。
一冊一冊を大切に作るポプラ文庫に、ご注目いただければ幸いです。

わが社のイチオシ企画/角川書店・書籍販売部文庫グループ長・栗原真史

明けましておめでとうございます。旧年中は格別なるご支援、ご協力をたまわり誠に有難うございました。
平成20年、角川文庫はいよいよ創刊60周年を迎えます。角川グループでは4月からの1年間を創刊60周年記念イヤーといたしまして様々な記念企画を用意しています。
編集面では、月替わりで人気作家が角川文庫の編集長をつとめる「今月の角川文庫編集長」フェアにご注目ください。作家それぞれの独自の視点からお勧めの文庫をセレクションし、読者に新たな角川文庫の魅力をアピールするいままでにないユニークな企画です。また、角川文庫の最大の特長であるメディアミックスでは、文庫と映画が強力なタッグを組んだ「角川文庫創刊60周年記念映画」も準備しております。
さらに、読者層の新たな開拓を目指して角川文庫では幅広い年齢層にアピールするラインナップの強化を図ります。現在の読者の中核である20~30代を中心とした読者に人気の高い作家陣による新刊の集中刊行に加え、中高年の読者には時代小説や知的好奇心に訴える読物などのラインナップを拡充いたします。そして、本格的に読書を始める10代の読者層は「バッテリー」や「DIVE!!」などの人気作品がある角川文庫第2のボリュームゾーンです。ライトノベルやアニメ、コミックスなどとのクロスプロモーションを今まで以上に促進し、次世代の読者を育てたいと考えています。
書店様の増売を応援する企画としては、例年より強化した「創刊60周年GO!GO!キャンペーン」を実施いたします。当キャンペーンでは、書店様の増売や棚補充、仕掛販売などのお取り組みに応じた様々な特典を用意しておりますので、奮ってご参加ください。
角川グループでは、編集、営業だけでなく、過去最大級の宣伝費を投入する宣伝展開や、グループ各社の全面的バックアップなど、総力を挙げて角川文庫60周年に取り組んでまいります。ぜひとも書店店頭でのご展開に一層のご支援を賜りますようお願いいたします。

わが社のイチオシ企画/講談社・販売促進局長・重村博文

新年あけましておめでとうございます。
昨年秋の「マネー大安心」「野菜づくり大図鑑」につきましては、大変なお力添えをたまわりまして、ありがとうございました。おかげさまで好調に推移しています。「野菜」は発売後すぐに重版がかかりました。2点とも引き続きよろしくお願い申し上げます。
さて、今春の企画は次の2点です。「東山魁夷ArtAlbum」(全3巻、各巻税込3150円)と「手づくり木工大図鑑」(全1巻、税込6900円)です。
ここでは「東山魁夷ArtAlbum」についてご案内申し上げます。今年は東山画伯生誕100年にあたり、全国各地で大回顧展が開催される予定です。画伯は戦後の日本画壇を代表する文字通りの国民的画家です。
今企画はその画業の全体像を見渡しつつ、風景画家として日本と北欧、中国を描き切った「ひとすじの道」を「旅」と「癒し」をキーワードに全3巻に編纂しております。構成は
第一巻「美しい日本への旅」
第二巻「森と湖の国への旅」
第三巻「心の風景をめぐる旅」
です。今回、日展出品の全50点はもちろん、三大障壁画、三大シリーズ、人気詩画集などから約350点を収録し、全3巻にコンパクトに収めています。また各巻3150円と手頃な定価設定になっています。3巻とも3月に同時発売予定です。店頭はもちろん外商にも最適の企画といえます。「東山ファン」はもちろん、あらゆる年代の女性、図書館、絵画の好きな方にはおすすめです。ぜひともよろしくお願いします。

わが社のイチオシ企画/小学館・小学館パブリッシング・サービス営業企画部・井上高広

明けましておめでとうございます。
2007年下期の新企画「全集日本の歴史」につきましては大変お世話になっております。おかげさまで第一巻「列島創世記」は最高のスタートを切らせていただきました。改めて御礼申し上げます。1月25日には第二巻「日本の原像」が発売になります。第一巻、第二巻の売行きがこれから1年以上に渡って、最終巻の第十六巻まで売上に影響して参ります。「日本の原像」発売の際には是非「列島創世記」を隣に積んでいただき、再度第一巻のPRをお願いいたします。
さて、2008年の小学館ですが、まずは「小学一年生」です。昨年の4月号は前年を割り、残念ながら5年連続売上アップは果たせませんでした。しかし今年は巻き返しを図ります。付録を一新し(特に4月号付録「ドラえもんどこでもゆびピアノドレミくん」は必見です)、TVコマーシャルも昨年以上に力を入れて参ります。店頭陳列コンクール&増売コンクールへのご参加をお待ちいたしております。
その他にも、ウィークリーブック「新説戦乱の日本史」、雑誌ムック「全国四季花めぐり」「毎日役立つ定番おかず」、書籍では「楽しく遊ぶ学ぶかず・かたちの図鑑」「食材図典Ⅲ地産食材篇」と2月には様々な新企画が目白押しです。
また、この1月には女性の生き方に焦点を当てた「生き方名言新書」を刊行いたします。写真と共に載せられたほんの短いワンフレーズの中にその人の生き方・人生観を感じていただける、そんなシリーズです。期待の新刊が多すぎて絞りきれずに羅列してしまいましたが、今年も小学館の雑誌・書籍をどうぞよろしくお願いいたします。

人事

★マガジンハウス
12月12日開催の定時株主総会及び取締役会で以下の取締役を選任。今期から執行役員制を導入した。◎昇任、○新任。
代表取締役社長
石﨑孟
常務取締役〔編集統括〕
秦義一郎
同〔営業局、大阪支社担当〕◎吉田高
同〔広告局、企画制作局担当〕◎片桐隆雄
取締役〔総務局担当〕
伊東秀雄
同〔経理局担当〕
南昌伸
監査役畑尾和成
執行役員〔広告局長〕
○倉田和夫
同〔第一編集局長・書籍出版局長〕○溝川史朗
同〔第二編集局長〕
○竹内正明
同〔営業局長〕
○久我英二
※最高顧問・木滑良久氏、特別顧問・淀川美代子氏は引き続き同職に就任。
★日経BP社
(1月1日付)
執行役員〔クロスメディア本部長〕渡辺洋之
同〔デジタルコンテンツ局長〕斎野亨
同〔人事・労務担当補佐〕
木瀬裕次
同〔制作・システム担当〕
藤田俊一
同〔広告担当〕鯨岡修
同〔広告営業局長兼事務局長〕権田康浩
同〔販売担当〕佐藤俊直
同〔販売局長〕田村俊和
同〔電子・機械局長兼技術情報グループ開発長(アジアプロジェクト)〕
浅見直樹
同〔コンピュータ・ネットワーク局長〕中島久弥
同〔パソコン局長〕
宮内祥行
同〔ライフスタイル局長〕
加藤栄

わが社のイチオシ企画/双葉社・営業局局次長・戸塚源久

明けましておめでとうございます。旧年中は格別なるご支援を賜り、誠にありがたく厚く御礼申し上げます。
さて、本年は、弊社創立60周年を迎えます。書店様へ一層の貢献が出来ますよう、努力して参ります。昨年は、お蔭様で文庫、コミックスが好調の年となりました。中でも文庫は、雫井脩介著『犯人に告ぐ』が上下巻で100万部を突破。またコミックスは、ケータイ小説から生まれた『恋空』が第3巻までで150万部を超え、現在も引き続き人気を博しております。
本年も文庫、コミックスは一層の伸張を目指します。1月8日搬入で、大好評の書き下ろし時代文庫、佐伯泰英著『居眠り磐音江戸双紙シリーズ』最新刊24巻を刊行いたします。同時に、書き下ろし中編小説を収録したファン待望のガイドブック『「居眠り磐音江戸双紙」読本』も刊行となります。シリーズ650万部を突破し、また昨夏のNHKテレビドラマ化にもよって読者層も広がりを見せており、本年も出版界の話題の中心となることは間違いないと確信いたしております。
コミックスでは、2007年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門において大賞と優秀賞を受賞いたしました。大賞は、郷田マモラ著『モリのアサガオ』全7巻。優秀賞は、武富健治著『鈴木先生』で最新4巻が1月12日に発売となります。また、第11回手塚治虫文化賞短編賞を獲得した森下裕美著『大阪ハムレット』第1、2巻が映画化され、今春公開予定です。是非とも拡販をお願いいたします。
これらの作品が掲載された『マンガアクション』をはじめ、雑誌もまたそれぞれパワーアップを目指します。書籍におきましても、文芸作品の大型企画等を予定いたしております。
創立60周年となります本年も、倍旧のご支援、ご協力を賜りたくよろしくお願い申し上げますとともに、書店様の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。

3.8%減少で売上514億円/栗田出版販売

栗田出版販売は12月25日、板橋区の本社で定時株主総会を開き、第70期(平成18年10月1日~19年9月30日)の決算諸案などを承認した。
第70期売上高は514億円で前期比20億円、3・8%の減少。既存書店の売上げの落ち込みと書店の転廃業が影響した。返品率は雑誌35・4%(0・9ポイント減)、書籍42・5%(0・6ポイント増)、合計38・6%で前期比0・2ポイント改善した。
経費面では人件費、運送費の削減に努めたが、減収による減益を補いきれず、貸倒引当金の積み増しを行った結果、営業利益4億2500万円(1億5千万円減)、経常損失8千万円(2億6千万円減)、当期純損失1億5千万円(3億1千万円減)と、減収減益になった。
中期経営計画の初年度は赤字になったが、郷田社長は「本業の強化を推し進め、取引先書店が元気を出す支援策をさらに一層重ねていく。来年の栗田創業90周年に向けて全社一丸となって努力していく」と、来期の方針を述べた。
期中の新規店は56店、増床11店、合計6699坪。取引中止は72店、4129坪。期末社員数は223名。