全国書店新聞
             

令和3年11月15日号

日書連は10月20日、東京・千代田区の書店会館で定例理事会を開催。

2022年度の理事会日程案を承認し、通常総会、出版販売年末懇親会の開催日を決めた。なお、新型コロナウイルス感染予防の観点から、今回の理事会も実出席とWeb出席、書面議決書を併用するハイブリッド形式で行った。
[政策委員会]
◇2022年理事会日程案を承認した。理事会・委員会は年6回開催。通常総会は22年6月23日、出版販売年末懇親会は22年12月14日に開催する。
◇本の学校主催「本の学校出版シンポジウム2021」(21年11月20日~21日、オンライン開催)の協賛依頼、家の光協会主催「第18回家の光読書ボランティア養成講座」(21年12月2日~12月16日、オンライン開催)「第15回家の光読書ボランティアスキルアップ講座」(21年12月10日~24日、オンライン開催)の後援名義使用申請、文化通信社主催「本屋さんで買おう!プレゼントキャンペーン(仮称)」(21年12月15日~22年2月14日、全国のリアル書店で開催)の後援依頼を、それぞれ承認した。
[今後の理事会開催方法]
今後の定例理事会開催方法について、理事・監事を対象にアンケートを実施した。新型コロナウイルス感染予防の観点から、コロナ禍が発生して以降、定例理事会は実出席とWeb出席、書面議決書を併用して開催してきた。収束時期はいまだ見通せないものの、感染者数は減少傾向にあることから、今後の開催方法を検討する判断材料とするため、このほどアンケートを実施した。
開催方法について聞くと、「現状のまま(実出席+Web出席+書面議決書)」が26名、「通常開催(書店会館などの会場で実出席のみ)」が18名と、実出席に対する慎重姿勢が目立つ。Web開催への対応については、「可能」が25名、「準備中」が8名、「不可能」が10名と、Web対応可能な理事が多数であることが分かった。
「現状のまま」派と「通常開催」派から、次の意見が寄せられた。
▽「現状のまま」
「安心して出席できる環境が整わなければ、全国から集まる必要はない」「各組合がそれぞれWeb会議をしっかりできる環境を整備し、今後はWeb中心に会議を行えるようにすべき」「今後3年間は用心すべき。感染の恐れがなくなってもWeb出席を可能にしてほしい」
▽「通常開催」
「一度実出席で会議を行い、特に地方の意見を聞いたほうがよい」「Web会議は2~3名までなら有効な話し合いができるが、4~5名を超えると会議の意味がなくなる。理事会での採用は難しい」「やはり対面には特別な意味がある。年に一度でも顔合わせできることを期待する」
この結果を踏まえ、12月16日開催の定例理事会は、引き続き実出席とWeb出席、書面議決書のハイブリッド形式とすることを決めた。
[書店再生委員会]
QRコード決済大手「PayPay」は、これまで無料にしてきた中小加盟店向けの決済手数料を、10月1日から有料にした。矢幡会長と渡部満委員長は9月30日、書店会館でPayPayと意見交換を行い、決済手数料有料化の経緯と意図を聞いた。渡部委員長は「利益率の低い書店にとって、手数料有料化は痛手。昨年実施したキャッシュレス決済利用状況アンケートの結果も踏まえ、対応を考えたい」と述べた。
[組織委員会]
全国会員組合の月次組合員数動向は、9月期は加入なし・脱退6店で6店純減となった。
安永寛委員長は「大中小の規模を問わず、すべての書店に通用する組合加入メリットを考えたい」と方針を語った。
[図書館サポート委員会]
「日書連MARC」のベースMARCである楽天ブックスネットワークの「OPL‐MARC」が、来年3月で製作中止となる。髙島瑞雄委員長は「『OPL‐MARC』に代わり、今後は『トーハンMARC』をベースに『日書連MARC』の新バージョンを製作する。引き続き安心して『日書連MARC』を利用してほしい」と述べた。
※図書館問題の重要性を鑑み、今期から図書館サポート部会から図書館サポート委員会に昇格した。
[流通改善委員会]
藤原直委員長は、2022年度「年間発売日カレンダー」について、土曜休配日を5日増やすことで週5日以内稼働が実現し、年間稼働日は254日間になったと報告した(本紙11月1日号2面に関連記事)。
[取引改善委員会]
柴﨑繁委員長は、日販と楽天ブックスネットワークの協業範囲拡大の動きなどを説明し、流通の諸課題について取次各社と話し合いを持ちたい意向を示した。
[読書推進委員会]
春井宏之委員長は、10月27日~11月11日実施の「読書週間×本の日秋の読者還元祭2021」について、「しおりやポスターから多くの人たちが応募するよう、店内外でアピールしてほしい」とキャンペーン成功へ協力を呼びかけた。
[広報委員会]
2021年1月1日号から12月15日号まで24号分の全国書店新聞の紙面を1冊に綴じた「合本」を制作することを承認した。制作部数80部。22年2月下旬刊行予定。日書連役員、各都道府県組合、関係団体等に送付し、保存用資料として役立てる。
全国書店新聞の来年1月~12月のスケジュールは、従来通り毎月2回(1日・15日)刊行し、6月15日号は通常総会議案書特集号とする。
光永和史委員長は「来年は全国広報委員会議の開催年にあたる。新型コロナウイルスの感染状況を見ながら開催の可否と開催方法を検討したい」と述べた。

2022年度日書連理事会日程

▽22年4月=休会▽同5月=委員会25日・理事会26日・出版物小売公取協総会26日▽同6月=委員会22日・理事会23日・通常総会23日▽同7月=休会▽同8月=休会▽同9月=委員会14日・理事会15日▽同10月=委員会19日・理事会20日▽同11月=休会▽同12月=委員会14日・理事会15日・出版販売年末懇親会14日
▽21年1月=休会▽同2月=委員会15日・理事会16日▽同3月=休会

日書連常設委員会委員名簿

(カッコ内は主な担当事項、○印は委員長)
◇組織委員会(加入促進、加入メリットの研究、共同購買事業、福利厚生事業)=○安永寛(福岡)、玉山哲(岩手)、鈴木雅史(福岡)、竹内靖博(群馬)、平井浩(滋賀)、中山寿賀雄(長崎)、小橋川篤夫(沖縄)
◇指導教育委員会(書店人の育成、出版倫理、調査活動、研修会、万引対策)=○鈴木喜重(千葉)、鈴木雅文(福島)、竹内靖博(群馬)、平井久朗(東京)、宮本秀夫(石川)、柳澤輝久(長野)、戸和繁晴(大阪)、森松正一(福岡)、二階堂衞司(大分)、田中隆次(宮崎)、楠田哲久(鹿児島)
◇広報委員会(新聞の発行、資料収集、独自調査、消費税対応)=○光永和史(愛媛)、森朗(広島)、宮脇範次(香川)、森松正一(福岡)、二階堂衞司(大分)
◇流通改善委員会(客注迅速化、雑誌発売日、JPO対応、情報化推進)=○藤原直(宮城)、加賀谷龍二(秋田)、玉山哲(岩手)、五十嵐太右衞門(山形)、青天目敦(茨城)、松信裕(神奈川)、大塚茂(山梨)、西村行人(新潟)、丸田茂(富山)、柳澤輝久(長野)、犬石吉洋(京都)、林田芳幸(奈良)、大谷秀生(和歌山)、古泉淳夫(鳥取)、小野正道(岡山)、森朗(広島)、小橋川篤夫(沖縄)
◇図書館サポート委員会(日書連MARC、図書館対応)=○髙島瑞雄(福島)、志賀健一(北海道)、成田耕造(青森)、平井久朗(東京)、木野村匡(岐阜)、古泉淳夫(鳥取)、平野惣吉(徳島)、五藤栄一郎(高知)、楠田哲久(鹿児島)
◇取引改善委員会(不公正取引問題、送品・返品同日精算、雑誌付録、適正配本、雑誌返品現地処理)=○柴﨑繁(東京)、志賀健一(北海道)、五十嵐太右衞門(山形)、吉見光太郎(静岡)、西村行人(新潟)、安部悟(福井)、戸和繁晴(大阪)、犬石吉洋(京都)、大谷秀生(和歌山)、小野正道(岡山)、堤洋(佐賀)、田中隆次(宮崎)
◇読書推進委員会(絵本ワールド、子どもの読書推進、読者還元祭、児童書増売、「本の日」キャンペーン)=○春井宏之(愛知)、成田耕造(青森)、加賀谷龍二(秋田)、奈良俊一(埼玉)、大塚茂(山梨)、木野村匡(岐阜)、別所信啓(三重)、丸田茂(富山)、安部悟(福井)、林田芳幸(奈良)、森忠延(兵庫)、武田徹(島根)、堤洋(佐賀)、中山寿賀雄(長崎)、長﨑晴作(熊本)
◇書店再生委員会(書店再生研究、再販研究、ポイントカード)=○渡部満(東京)、奈良俊一(埼玉)、松信裕(神奈川)、吉見光太郎(静岡)、宮本秀夫(石川)、平井浩(滋賀)、宮脇範次(香川)

全国教科書供給協会元会長・今泉良郎氏に旭日小綬賞/秋の叙勲

全国教科書供給協会から、秋の叙勲で今泉良郎元会長(青森県弘前市)が旭日小綬章を受章した。
また、小野太一郎(埼玉県深谷市・時習堂書店代表取締役)、土橋信(山梨県西八代郡・晩成堂書店代表者)、大久保博光(愛媛県四国中央市・大久保書店代表取締役社長)の3氏が黄綬褒章を受章した。

コロナ対策支援金2万円支給へ/Zoomで理事会も「対コロナの組織」に改革中/兵庫総会

兵庫県書店商業組合は10月19日、神戸市中央区の神戸市立婦人会館で第33回通常総会を開催し、組合員53名(委任状含む)が出席。役員改選で森忠延理事長(井戸書店)を再選した。また、新型コロナウイルス対策支援金を1店舗2万円支給することを決めた。
昨年同様、新型コロナウイルス感染症対策で総会開催後の懇親会は取り止め、取次と出版社の出席もないため、例年ホテルで開催していたところを婦人会館の一室での開催とした。
総会は中島良太副理事長(三和書房)の司会で進行し、はじめに森理事長があいさつ。森理事長は「今年度もコロナ禍で十分な活動ができなかったが、Zoomを活用して理事会と発売日励行委員会を予定通り開催した。トークセッションや講演会といったイベントもZoomで開催することができた」と振り返り、「コロナ禍でも力が発揮できる体制に徐々に変貌しつつある」と自信を示した。
引き続き山根金造理事(巌松堂書店)を議長に選出して議事を行い、各委員会報告、各支部報告、収支決算報告、監査報告などすべての議案を原案通り承認可決した。また、任期満了に伴う役員改選で森理事長を再選した。
令和3年度事業計画について、森理事長は「昨年度は、全国書店再生支援財団と日書連が全国の組合加盟書店約3000店に新型コロナウイルス対策支援金として1店舗あたり5万円支給した。今年度は、兵庫県書店商業組合から県下の組合加盟書店に1店舗あたり2万円支給したい」と提案し、承認された。
また、総会前日の10月18日に兵庫県では新規感染者数が1桁まで減少したことに触れ、「コロナ禍が収まればイベントを積極的に実施していく」と意気込みを語った。そして、「コロナ禍でデジタルへの移行が加速している状況下、流通が脆弱になっている」と分析し、「兵庫県としてしっかりと対策を考えて行動していく」と述べた。
[兵庫組合役員体制]
▽理事長=森忠延(井戸書店)▽副理事長=中島良太(三和書房)安井唯善(安井書店)▽専務理事=安東興(文学館)
(安東興広報委員

日書連のうごき

10月4日本の日実行委員会に矢幡会長が出席。
10月5日学校図書館図書等の整備・拡充を求める各界連絡会に春井副会長、髙島理事が出席。本の日「ブックカバー大賞」審査会に矢幡会長が出席。
10月6日JPO運営幹事会に事務局が出席。
10月15日全国中小小売商団体連絡会に事務局が出席。定期会計監査。
10月18日出版倫理協議会(Zoom)に渡部副会長が出席。
10月19日読書推進運動協議会常務理事会に矢幡会長が出席。
10月20日政策委員会に矢幡会長、藤原、柴﨑、春井、安永、光永、深田各副
会長、小泉、葛西両監事が出席。10月定例理事会。
10月21日JPO運営委員会(Zoom)に春井副会長が出席。出版物関係輸送懇談会(Zoom)に事務局が出席。
10月26日JPIC副理事長会に矢幡会長が出席。JPRO雑誌詳細情報登録出版社説明会(Zoom)に事務局が出席。

「春夏秋冬本屋です」/「宮沢賢治を巡る」/愛媛・文具座やまさき会長・山﨑由紀子

今年は宮沢賢治生誕125年。東京オリンピック閉会式で賢治が作った「星めぐりの歌」が歌われて、何よりうれしい。
当店創業者の義父は、宮沢賢治を敬愛する読書家で、存命なら今年100歳。義父と後継者の夫が、平成5年と10年に逝去して、残された賢治の本や「雨ニモマケズ」の額、屏風がボロボロ状態だったのを修復した。
本屋になって、賢治を子供たちに紹介したい。本の知の扉を開き、その楽しさを発見してほしかっただろうと推察している。
心象スケッチ『春と修羅』には、私自身も救われた想いがある。
祖父と父が愛した宮沢賢治を息子たちに伝えたいと岩手旅行した。賢治が願う「ほんとうの幸福」。
平成12年5月に花巻空港に着陸する飛行機の窓から、イーハトーブの屋根の文字が見えた。レンタカーで羅須地人協会建物のある花巻農学校へ直行する。「下の畑ニ居リマス賢治」の文字を前にして、やっと来た!と感動。イギリス海岸、風の又三郎公園、宮沢賢治記念館、宮沢賢治童話村。憧れの大沢温泉宿泊。
翌日は高村山荘、高村光太郎記念館へも。花巻駅から盛岡駅に移動して、光原社本店中庭にある「可否館」で、ようやくホッと一息ついた。
宮沢賢治の心と風景を追いかけた旅であった。今、なぜ宮沢賢治なのか、分かってほしい。本屋は次男が継いでいる。

教科書は紙とデジタル併用で/組合運営リモート活用を促進/静岡総会

静岡県書店商業組合は10月25日、静岡市葵区の静岡教科書で第34回通常総会を開催し、組合員81名(委任状含む)が出席した。緊急事態宣言は解除されたが、まだ新型コロナウイルスの影響はあるため、実出席を正副理事長と事務局のみとして、少人数で開催した。
総会は江崎直利副理事長(藤枝江崎書店)の司会で進行し、吉見光太郎理事長(吉見書店)があいさつ。吉見理事長は「コロナ禍で皆様と会えない日々が続いているが、8月に行ったリモートでの理事会は非常に有意義なものだった。直接会えるに越したことはないが、これからもリモートを使用しながら組合を運営していきたい。来年1月の新年総会も中止を決定した。代替としてリモートで組合員が参加できるミーティングを予定し、情報交換の機会を作りたい」と述べ、リモートを活用した組合運営に意欲を示した。
教科書のデジタル化については、小学校からデジタル教科書を使用すると紙の本を読む習慣が失われると危惧し、「デジタルの利点は承知している。紙とデジタルを『0か1か』ではなく併用していくことで、紙の教科書を残していく方向にしていけばよいのではないか」との考えを示した。
また、巣ごもり需要で売上が微増となる一方、キャッシュレス手数料有料化、最低賃金引き上げ物価の上昇などが経営を圧迫していることに触れ、「売上アップと生産性アップで対抗していかなければならない」と強調した。
続いて吉見理事長を議長に議案審議を行い、2021年度事業報告、決算書表、監査報告、2022年度事業計画案などすべての議案を原案通り承認した。
(佐塚慎己広報委員)

藤岡陽子氏『メイド・イン京都』第9回京都本大賞を受賞/京都人の個性深く描く

「第9回京都本大賞」の授賞式が10月28日、京都市中京区の京都書店会館で開かれ、藤岡陽子氏の『メイド・イン京都』(朝日新聞出版)が受賞した。
京都本大賞は、京都の書店・取次・出版社などで構成する同実行委員会の主催、京都府書店商業組合・京都新聞・KBS京都の後援で、過去1年間に刊行された京都を舞台とした小説の中から最も読んでほしい作品を、京都の書店員と一般読者の投票で決定する。689人が投票し、接戦を制して藤岡氏の作品が大賞を受賞した。
今回は初の試みとしてZoomで授賞式の模様をライブ配信し、書店の売場でも視聴できるようにした。ゆくゆくは他府県でも視聴できるようにすることを目指す。
授賞式で洞本昌哉実行委員長(ふたば書房)は、「京都本大賞受賞をきっかけに飛躍する作家が増え、やりがいを感じる」とあいさつ。大賞作品を発表し、表彰状と記念品の盾を贈呈した。
京都生まれの京都育ち、現在も京都在住の藤岡氏は、「今までの作品でも京都を扱ったことはあるが、今回の作品ほど深く描いたことはなかった。色々な方に取材して、京都はしきたりや歴史・文化を尊重し、よそ者の参入を拒みながらも新しいものへの感受性は豊かで、良いものを採り入れ発展させていく強かさを持っていることを改めて実感した。京都を深く書くことは憧れだった。今後も京都が舞台の作品を書きたい」と喜びを語った。
同時開催の「京都ガイド本大賞2021」の授賞式では、大賞に『京都のトリセツ地図で読み解く初耳秘話』(昭文社)、上級者向けの京都を紹介するリピーター賞に川口葉子氏の『京都古民家カフェ日和古都の記憶を旅する43軒』(世界文化社)が輝いた。
大賞を受賞した昭文社の井谷大阪営業所長は「全都道府県のトリセツシリーズの中で京都は非常に難しい案件だった。浅く掘っても深く掘ってもボロが出そうで怖かった。受賞できてうれしい」とあいさつした。
リピーター賞受賞の川口葉子氏は「東京在住だが、京都の古民家カフェが好きで、何度も通って書いた。ガイドブックに収まらない京都の不思議さなどを感じてもらえるとうれしい。ガイド本コーナーだけではなくエッセイなどのコーナーでも展開してもらえるとありがたい」と話した。
閉会あいさつで京都組合の森武紀明副理事長(山城書店)は「京都本大賞も回数を重ね、次回で10回目。長く継続していけるよう努力したい」と締め括った。
なお、新型コロナウイルス感染防止のため、今回も懇親会は開催しなかった。
(服部義彌広報委員)

出版販売業界新年互例会は中止/「帯コン」受賞作品を決定/大阪組合

大阪府書店商業組合は10月9日、大阪市北区の組合会議室で定例理事会を開催し、大阪出版販売業界新年互例会の中止を承認した。新型コロナウイルス感染症の影響で環境が厳しいことから、今年も取り止めることとした。また、深田健治理事長が日書連副会長に就任したことを報告した。主な委員会報告は次の通り。
[読書推進委員会]
2021第17回大阪こども「本の帯創作コンクール」(帯コン)は、第1次審査会を9月21日・22日・24日、最終審査会を10月8日に実施し、大阪府知事賞、朝日新聞社賞、大阪国際児童文学振興財団賞など各受賞作品を決定した。なお、新型コロナウイルスの影響で、今年も会場での表彰式は中止し、「朝日新聞紙上表彰式」で受賞作品を発表する。
[出版販売倫理委員会]
大阪府青少年健全育成優良店の表彰式が11月25日、大阪市中央区のホテルプリムローズ大阪で開かれる。今回は家村英嗣委員長(家村書店)の受賞が決まっている。
[事業・増売委員会]
小学館カレンダーの今年の受注数は2万940枚(昨年2万2280枚)。
(石尾義彦事務局長)

蔵書充実、新聞配備、司書配置を/学校図書館整備・拡充で要望書/文字・活字文化推進機構など議連に

文字・活字文化推進機構と学校図書館整備推進会議は10月5日、東京・千代田区の衆議院第一議員会館で学校図書館図書等の整備・拡充を求める各界連絡会を開催し、出版、図書館、教育関係者ら約100名が参加。「学校図書館蔵書の充実」「学校図書館への新聞配備の拡充」「学校司書配置の促進」「あらゆる子どもが利用できる学校図書館の実現」を求める要望書を活字文化議員連盟と学校図書館議員連盟に提出し、アピール(別掲)を採択した。
冒頭、主催者を代表して文字・活字文化推進機構の山口寿一理事長(読売新聞グループ本社)があいさつ。文科省が実施した令和3年度全国学力・学習状況調査で家庭の蔵書数の実態を初めて調査し、家庭の蔵書数とテストの正答率の関係性を調べると、蔵書数が多いほど正答率が高くなる傾向が見られ、子どもの身近に本のある環境が学力を伸ばすことが分かったと報告。一方で自宅の蔵書数は家庭の経済的事情に左右されることから、「すべての子どもたちに等しく本のある環境を提供するには学校図書館の充実が不可欠」と指摘した。また、新聞をよく読む子どもほどテストの正答率が高くなる傾向があることにも触れた。
この調査結果を踏まえ、「学校図書館の図書・新聞の一層の充実に加え、学校司書の全校配置の実現も要望していく」として、第6次学校図書館図書整備等5か年計画の実現に向け、活字文化議員連盟、学校図書館議員連盟、文科省に理解と支援を求めた。
来賓あいさつで、活字文化議員連盟会長の細田博之元官房長官は「コロナ禍で図書館の利用や書店での図書購入が増えている。好ましい傾向と思う。今年度で17年度からの5か年計画が終了する。我々は学校図書館で子どもたちが本や新聞に親しむことができる環境を守るために、計画の継続と拡充に向けて取り組んでいく」と語った。
学校図書館議員連盟会長の河村建夫元官房長官は「デジタル化の技術はしっかり学んでもらうと同時に、本のページをめくり頭に入れて、時には線を引き、自分の考えをまとめる能力も必要で、それは図書館の役割の一つ。デジタルの良さと文字・活字の良さ、双方の長所を上手に学ばないといけない。活字文化議員連盟と一体となって第6次5か年計画に向けて予算化したい。本・新聞、学校司書の充実が大事。整備を進める」と話した。
学校図書館議員連盟事務局長の笠浩史衆議院議員は当面の活動計画について、①学校図書館図書等の整備・拡充については、図書の新規購入・更新、新聞の複数配備、学校司書の配置促進及び勤務条件の改善に取り組む②紙とデジタルの特性を生かした学校教育の実現については、紙とデジタルのそれぞれの特性を活かした学校教育の実現に努める③学力に影響を与える「家庭の本棚」の普及については、民間諸団体と連携して、「家庭に本棚を」の政策を掲げ、シンポジウムなどを開催し、家庭読書に関する世論の喚起を図る④学校図書館のバリアフリーについては、予算措置を含めて図書資料の充実、対面朗読室の設置、バリアフリー図書紹介コーナーの常設などに取り組む――と説明した。
文科省の報告のあと、各界からの要望を述べるため代表者が登壇した。
文字・活字文化推進機構の阿刀田高会長(作家)は、7年前に山梨県立図書館の館長に就任したことに言及し、「図書館には3つ必要なものがある。3番目は良い施設を作ること、2番目は蔵書・資料を充実させること、そして一番大切なのは『人』で、司書を置き活躍してもらうことで、蔵書も施設も活きてくる。どの学校にも司書が1人いて、生徒と親しんで読書の楽しさを伝えることが大切」と強調し、行政に配慮するよう求めた。
日本新聞協会の丸山昌宏会長(毎日新聞社)は「情報活用能力を高めるためには図書館の役割が重要。色々な種類の新聞を配備してほしい」と訴えた。
学校図書館整備推進会議の竹下晴信議長(日本児童図書出版協会)は「5か年計画、それに基づく地方財政措置は、学校図書館の図書整備や新聞配備、司書の配置に欠くことのできない重要な施策。しかし地方財政措置であるが故に使途を特定しない一般財源だから、市町村で予算化しなければ児童・生徒のもとに届かない。私たちが実際の予算化を求めて、当初全国60か所で行動を起こし、その後は毎年全国の首長、教育長へ予算化の要請とアンケート調査を依頼してきた」と振り返り、「学校教育のデジタル化は図書館を利用した教育をますます必要としている」と訴えた。
最後に阿刀田氏が細田氏、竹下氏が河村氏に要望書を提出。山口理事長がアピールを読み上げ、参加者の拍手で採択した。
【アピール(全文)】
「学校図書館図書整備等5か年計画」は、教育現場における探究学習や全校一斉読書、ビブリオバトル、読み語り活動などの活性化を促し、子どもたちの多面的な活動を支えています。わけても小中学生の不読率の改善は、その象徴的な事例といえましょう。
他方、子どもを取り巻く環境の変化もあって、高校生の不読率は依然として高い傾向にあり、引き続き、読書習慣の形成に向けて取り組まなければなりません。また、主体的で対話的な深い学びによる授業の実践には、最新資料や読み継がれる図書、新聞の充実が欠かせません。
学校図書館は、すべての教育課程の展開に寄与し、子どもの健全な教養を育て、豊かな人格形成に貢献するという責務を担っています。この責務の達成は、教育現場の努力だけでなしうるものではなく、学校図書館や教育機関、民間諸団体その他の幅広い連携した行動が必要です。
国は、2022年度に始まる次期5か年計画において、さらなる図書の充実、新聞の複数配備、学校司書配置を促進されることを強く要望します。私たちは図書の新規購入・更新がはかどるよう、使いやすくて質の高い図書目録を作成し、その普及に努める決意です。

全国258自治体で電子図書館実施/電流協が調査

電子出版制作・流通協議会(電流協)は10月22日、公共図書館で電子図書館(電子書籍貸出サービス)を実施している図書館の資料を10月1日現在の情報に修正・更新し、ホームページ(https://aebs.or.jp/)で公表した。
全国で電子図書館サービスを実施している自治体数は計258自治体で、前回(21年7月)から29自治体増えた。また、電子図書館数は251館で29館増えた。普及率上位の自治体は、①大阪(38・6%)②兵庫(35・7%)③東京、広島(33・3%)⑤大分(31・6%)⑥栃木(30・8%)⑦奈良、山口(30・0%)⑨埼玉(28・1%)⑩茨城(26・7%)の順。関東と関西で高かった。
電流協ホームページでは、都道府県別に電子図書館の名称・URL、採用しているサービス(TRC―DL、OverDriveなど)、開始年月を掲載している。

8割近くの自治体で実施/赤ちゃんへの絵本贈呈事業/ブックスタート

NPOブックスタートは9月24日、「赤ちゃんへの絵本贈呈事業」に関する全国調査2020の結果を発表した。
日本でのブックスタートが開始から20周年を迎えたことを機に、自治体在住の0歳から1歳の子ども全員を対象に絵本を贈呈する事業の実施状況について、全国の自治体(1741市区町村)を対象として今年3月調査を行い、1498市区町村から回答が寄せられた。
調査結果によると、全国の自治体の78・6%(1368市町村)が同事業を行い、人口規模が大きい自治体は未実施率が高くなる傾向が見られた。回答のうち、約5割は図書館・図書室が事業を主管し、8割以上が集団検診等の母子保健事業の機会に実施しており、絵本を仲立ちとして、異なる分野の機関が連携して赤ちゃんの成長や保護者の子育てを応援していることが分かったとしている。

9月期販売額は6・9%減/コミックスの店頭売上はプラスに/出版科研調べ

出版科研調べの9月期の書籍雑誌推定販売金額(本体価格)は前年同月比6・9%減だった。内訳をみると、書籍は同3・8%減、雑誌は同11・1%減でともにマイナス。雑誌の内訳は月刊誌が同12・1%減、週刊誌は同5・6%減。月刊誌は定期誌、ムック、コミックスのいずれも返品増加が要因で2桁の減少となった。週刊誌は総合週刊誌の減少が小さかったことと、大衆週刊誌が堅調だったため、減少幅は小さかった。
返品率は、書籍が同0・1ポイント減の31・6%。5月期から4ヵ月連続で返品増が続いていたが、上昇の動きが落ち着いた。雑誌は同3・7ポイント増の41・2%。内訳は、月刊誌が同4・1ポイント増の40・6%、週刊誌が同1・6ポイント増の44・0%。
書店店頭の売上は、書籍が約6%減。前年は巣ごもり需要が続き、主要ジャンルがおおむね好調だったこともあって今年は全体的に厳しい状況。ビジネス書、文庫本は1割近いマイナスになった。新書は、自民党総裁選のタイミングで高市早苗や河野太郎の著書、新型コロナワクチン関連書等が伸び前年並みとなった。
雑誌の売上は、定期誌が約5%減、ムックが約7%減、コミックスが約3%増。コミックスは『ONEPIECE100』(集英社)や『東京卍リベンジャーズ』(講談社)の新刊24巻と既刊の伸びが非常に大きく、書店店頭でもこれらの大々的なフェア展開が実施されたことで全体を底上げした。

「読書好きの中学生」6割超える/本を読まない生徒は12・8%/岡山県読書調査

岡山県教育委員会が県内で実施した「令和3年度中学生の読書環境に関する実態調査」によると、1ヵ月に1冊も本を読まない中学生の割合(不読率)は12・8%と、1割強の水準。一方、読書を好きと答えた中学生は62・6%と6割を超えることがわかった。
この調査は、2019年に策定された第4次岡山県子ども読書活動推進計画に基づき、中学生の不読率の低減に資する効果的な取組みを推進するために行ったもので、今年4月15日~5月10日に、岡山市を除く県内の公立中学校から18校の1~3年生564人を抽出して実施した。
調査によると、1ヵ月の読書数が0冊の中学生の割合は12・8%(マンガ、新聞、雑誌を除く)だった。読書数で最も多かったのは「1~2冊」で28・0%。以下、「1冊までいかないが読んでいる」22・7%、「5冊以上」18・1%、「3~4冊」15・2%の順となった。また、読書をした中学生のうち、紙媒体を読んでいたのは96・9%。電子書籍を読んだ割合は46・9%だった。
1日当たりの読書時間が15分以上の中学生の割合は、学校の授業がある日が71・2%、土日は51・8%で、授業のある日の方が多くなる。読書をする場所の割合は、「家」が87・6%、「学校の教室」が84・4%と突出しており、その他の場所は15%以下となっている。
中学生が本・絵本を手に入れる方法を聞くと、「本屋やインターネットで買う」58・8%、「学校(学級文庫、図書館、図書室など)で借りる」55・1%、「家にある本を読む」44・7%が上位になった。
読書(マンガ、新聞、雑誌を含む)が「好き」と答えた中学生は62・6%。「どちらかと言えば好き」は25・9%となった。「どちらかと言えば嫌い」は8・5%、「嫌い」は2・8%だった。また、読書が将来の役に立つと思うか聞くと、「そう思う」が53・2%、「どちらかと言えば思う」35・6%で、読書に肯定的な中学生の割合は非常に高かった。
読書のきっかけについて聞くと、読書が「好き」「どちらかと言えば好き」の中学生で最も多かったのは「映画やテレビドラマを見たり、マンガで読んだりして、その原作本やノベライズ本に興味・関心を持った」で63・1%。一方、読書が「どちらかと言えば嫌い」「嫌い」な中学生のきっかけは、「学校で一斉読書の時間があったり、授業の課題で読む必要があった」の71・9%だった。
1ヵ月の読書数が0冊の中学生に読書をしない理由を尋ねると、「他にしたいことがある」と「今、読みたい本・絵本がない」がともに61・5%でトップだった。「他にしたいことがある」と答えた中学生の自由に使える時間の使い方で挙がったのは、「YouTubeなどで動画を見る」が最多で64・4%だった。

「紙の本のみで読書」が半数/20、30代は紙と電子を併用/楽天ブックス読書習慣調査

楽天グループは「読書の秋」に向け、運営するオンライン書店「楽天ブックス」ユーザーを対象に読書習慣に関するアンケートを実施。9月22日に結果を発表した。調査は8月31日にインターネットにより行い、回答数は1万50人。
読書の頻度を聞くと、「毎日」が最も多く23・4%、次いで「週に1~2回」が18・7%、「週に3~4回」が16・1%となり、約6割の人が週に1回以上の頻度で読書をしていることがわかった。
また、読書をするタイミングについては、「休日のゆっくりしているとき」がトップで59・6%、「就寝前の時間帯」40・6%、「仕事や家事、学校の休憩時間などすきま時間」37・0%の順となった。
読書するのは、紙の本か電子書籍か、利用状況を聞いたところ、「紙の本のみ」が53・2%と最も多く、「どちらも利用する」が39・9%と続いた。「電子書籍のみ」は4・4%。
年代別で見ると、20代と30代のユーザーの半数以上が「どちらも利用する」(20代=51・2%、30代56・3%)と回答し、「紙の本のみ」を上回った。40代以上は「紙の本のみ」が「どちらも利用する」を上回り、年代が上がるほどその傾向が強かった。
紙の本を利用している理由を尋ねると、「紙の本での読書になれているから」が最も多く57・1%。次いで「所有感があるから(手元に置いておきたいから)」の49・4%となった。電子書籍の利用理由については、「収納に困らず保管がしやすいから」(58・4%)、「何冊でも持てて、持ち運びに困らないから」(51・6%)の2つが5割を超えた。
紙の本と電子書籍を併用しているユーザーにその理由を聞くと、「読む本のジャンルを紙の本と電子書籍で使い分けているから」が43・1%と最多に。次いで「紙でしか買えない、電子でしか買えない本があるから」33・3%、読むシーンによって使い分けているから」26・4%となった。
よく読むジャンルについて挙げてもらうと、紙の本は1位が「趣味・実用」で71・4%。以下、「小説・エッセイ」66・4%、「漫画」62・6%、「ビジネス書」43・5%の順。電子書籍は1位が「漫画」で77・0%。以下、「趣味・実用」68・1%、「小説・エッセイ」57・1%、「ビジネス書」42・5%の順だった。

自宅時間増え4割が読書時間増/社会人対象の読書実態調査/Job総研

キャリアや就職・転職全般に関する研究や各種調査を行う機関「Job総研」を運営するライボは10月18日、社会人男女を対象に実施した「2021年秋の読書実態調査」の結果を発表した。
この調査では、読書の頻度や時間、よく読むジャンル、コロナ禍で増えた自宅時間と読書の関連などについても調べた。調査は全国の20~69歳の男女451人(1年以内~10年以上勤務している社会人、20人~1000人以上規模の会社に所属)を対象にインターネットで行った。実施期間は今年10月6日~13日。
これによると、80・7%の人が習慣的に読書をしていると回答。年代別でも全世代で7割以上が習慣的に読書をしていると答えたが、「いいえ」と答えた割合は20代が26・6%と最も高くなった。読書に用いるデバイスについては、紙媒体が64・7%でトップ。次いでスマートフォン49・7%、PC/タブレット43・7%の順となった。
読書をする場所について聞いたところ、「自分の部屋」がダントツで72・0%、次いで「リビング/ダイニング」40・0%、「ベッドや布団の中」33・4%と、自宅のくつろげる場所が上位を占めた。自宅以外では「カフェ」が19・9%、「交通機関(電車/バス)」が11・1%で4位と5位につけている。
読書の頻度は「1ヵ月に1冊以上」が最も多く25・1%。次いで「2~3ヵ月に1冊以上」が22・0%、「1週間に1冊以上」が14・6%。また、1回の読書時間については、「30分未満」が40・8%とトップ。次いで「30分~1時間」33・3%、「1時間~2時間」12・0%だった。
コロナ禍前と比較した読書時間の変化を聞くと、44・8%の人が「読書時間に変化はない」と回答した一方、「読書時間が増えた」人は41・2%。「読書時間が減った」人は6・2%と少数だった。自由記述欄には「テレワークが増えてコミュニケーションの取り方が変化したので読書による知識の蓄積は重要」「働き方も価値観も生活習慣もコロナ禍で変化し、読書時間や頻度、または読むジャンルも変化した」などのコメントが寄せられた。
社会人が読書をする目的として最も多かったのが「自身の成長のため」で58・1%。次いで「知識や語彙力向上」47・9%、「読書が好きだから」42・8%となった。よく読むジャンルの1位は「ビジネス・経済」の47・2%。2位が「小説」の37・7%で、以下「自己啓発」31・9%、「趣味・生活関連の実用書」と「語学・資格関連」が31・0%となった。

第20回「このミス」大賞に南原詠氏/宝島社

ミステリー&エンターテインメント作家・作品の発掘・育成を目的に宝島社が主催する第20回「このミステリーがすごい!」大賞の受賞作が10月1日に決定し、南原詠(なんばら・えい)氏『バーチャリティ・フォール』が受賞した。文庫グランプリには鴨崎暖炉(かもさき・だんろ)氏『館と密室』が選ばれた。受賞2作品は22年1月から順次書籍化する予定。
南原氏は80年生まれ、元エンジニアで現在は企業内弁理士として勤務。受賞作品は、映像技術の特許権侵害を警告され、活動停止を迫られた人気VTuberを救おうと活躍する弁理士を描いた企業サスペンス。

本と触れる機会「増えた」人が4割/オーディオブックの利用で/オトバンクがユーザーに調査

日本最大級のオーディオブック配信サービス「audiobook.jp」を運営するオトバンクは、10月27日開始の読書週間に合わせ、ユーザーを対象に実施した「オーディオブックの利用傾向(読書週間特別号)」の調査結果を発表した。
調査の実施期間は今年9月21日~24日で、「audiobook.jp」利用者2216名を対象に、インターネットを利用してアンケートを行った。
まず、耳で聴く読書であるオーディオブックを利用してから、本と触れる機会(本屋に行く・読書時間をつくる等)に変化はあったかを尋ねると、「かなり増えた」が14%、「少し増えた」が28%で、合計42%が「増えた」と回答した。「変わらない」は49%、「少し減った」は6%、「かなり減った」は3%だった。また、オーディオブックを利用後、利用前と比べて1週間あたりの読書時間の平均が約1・7時間から約3時間へと1・7倍増加していることも分かった。
オーディオブックをよく聴くシーンについて聞いたところ、トップ3は「移動中」「家事中」「就寝前」となった。また、他にも運動中や仕事中、入浴中など、生活における「耳のスキマ時間」を活用して「ながら」で楽しんでいる人が多いことが分かった。なお、オーディオブックをよく聴く場所は、「自宅」が40%でトップ。「車」が23%、「屋外」が20%だった。
オーディオブックの利用動機を尋ねると、「教養をつけたい」が最多となった。次いで「仕事のための学習」となっており、耳のスキマ時間を活用して利用できるというメリットを活かし、忙しい中でも学びたいという人が多いことがうかがえる。この他、「読書が好き」「余暇充実のため」「リラックスのため」などいろいろな動機で活用されている。
オーディオブックの利用者に、過去に聴いた作品で最もおすすめしたい作品について聞くと、ビジネス・自己啓発ジャンルでは『嫌われる勇気』(岸見一郎、古賀史健著、ダイヤモンド社)、小説・エッセイジャンルでは『モモ』(ミヒャエル・エンデ著、岩波書店)が1位になった。

八重洲本大賞はNHK出版、筑摩書房/八重洲ブックセンター

八重洲ブックセンターは10月22日、第4回「八重洲本大賞」に、『時間は存在しない』(カルロ・ロヴェッリ著、NHK出版)と、『未来は予測するものではなく創造するものである考える自由を取り戻すための〈SF思考〉』(樋口恭介著、筑摩書房)の2作品を決定したと発表した。
今回のテーマは「~Refining洗練し続ける」。八重洲本大賞社内・社外委員による選考と読者による投票結果をもとに審査を行い、大賞作品を決定した。大賞受賞出版社及び受賞者には、副賞として八重洲ブックセンター本店にて仕掛け販売をする権利が授与される。また、八重洲ブックセンター全店で、10月22日より第4回八重洲本大賞受賞記念フェアを開催している。

『最強脳』11月17日に発売/『スマホ脳』著者の最新刊/新潮社

新潮社は、『最強脳―『スマホ脳』ハンセン先生の特別授業―』(アンデシュ・ハンセン著)を11月17日に発売する。
同書は、日本でも55万部を超えるなど、世界的ベストセラーとなった『スマホ脳』の著者が、『スマホ脳』やその前作『一流の頭脳』の内容を少年少女向けにやさしく述べた「親子で読める脳力強化バイブル」。著者は『スマホ脳』刊行後、子どもを持つ親や教育現場で子どもたちに向き合う教師たちから、「子どもたちはこれからどうしたらよいのだろう」「なにをすればよいのだろう」という相談を何度も受けたとのことで、そうしたリクエストを受け、児童文学者の協力を得ながら同書を書き上げたという。
この本が訴えることはシンプルで、「運動が脳を強くする」ということ。ではなぜ運動をすれば脳を変えることができるのか。副次的な効果として、成績が上がる・集中力が上がる・記憶力が良くなる…といったことが得られるとし、その理由と実践方法をわかりやすく伝える。
『スマホ脳』が大きな反響を得たのは、コロナ禍で自宅時間が増え、スマホやPCなどデジタル機器に接する時間が増えたことで、「スマホは便利だけれど、スマホ漬けになってしまって大丈夫だろうか」という社会的関心が高まっていたことが大きかったと思われる。またデジタル教科書の本格導入が進められる中、この本は『スマホ脳』の内容を特に教育面で「どのように実践すればよいのか」に焦点をあてて書き上げられており、新潮社では「まさにいま手に取っていただきたい1冊」としている。

9月期は前年比4・1%減/書籍は全ジャンルで前年割れ/日販調査店頭売上

日本出版販売調べの9月期店頭売上は前年比4・1%減。雑誌は、分冊百科が好調だった週刊誌が6ヵ月連続で前年を超えるなど好調に推移したが、全体では前年割れが続いている。書籍は、全てのジャンルで前年を下回った。コミックは、人気タイトルの新刊発売などで活況を呈し、前年比プラスとなった。
雑誌は5・5%減。月刊誌は、「会社四季報2021年4集秋号」(東洋経済新報社)と、最終号での重版が決まり話題になった「栗原はるみharu_mi秋号」(扶桑社)などが売上を牽引した。週刊誌は、8月31日創刊「隔週刊アメリカンカーコレクション」や9月14日創刊「隔週刊HELLOKITTYなつかしのアイテムコレクション」(ともにデアゴスティーニ・ジャパン)などが売上を伸ばした。
書籍は6・3%減。緊急事態宣言や荒天の影響が大きく、前年超えとはならなかった。学参書は、『公式TOEIClistening&Reading問題集7』(国際ビジネスコミュニケーション協会)、『ネイティブなら12歳までに覚える80パターンで英語が止まらない!』(高橋書店)などが売上を伸ばした。児童書は、『小学館の図鑑NEO深海生物DVDつき』(小学館)や『ふしぎ駄菓子屋銭天堂16』(偕成社)などが売上を牽引した。新書は、『スマホ脳』(新潮社)、『新型コロナワクチン本当の「真実」』(講談社)などが好調だった。
コミックは2・7%増。雑誌扱いコミックは、『ONEPIECE100』、『怪獣8号4』(ともに集英社)、実写映画が上映中の『東京卍リベンジャーズ』(講談社)の新刊・既刊などが売上を大きく伸ばした。書籍扱いコミックは、『ダンジョン飯11』、『ある日、お姫様になってしまった件について5』(ともにKADOKAWA)などが伸長した。

電撃大賞小説部門、イラスト部門で大賞/KADOKAWA

次代を創造するエンターテイナーの発掘・育成を目的にKADOKAWAが主催する「第28回電撃大賞」の「電撃小説大賞」「電撃イラスト大賞」「電撃コミック大賞」各部門の受賞作品・受賞者が決定した。
応募総数は、電撃小説大賞が4411作品(長編3255作品、短編1156作品)、電撃イラスト大賞が370作品、電撃コミック大賞が139作品の合計4920作品。大賞に選ばれたのは、小説部門の白金透氏『姫騎士様のヒモ』と、イラスト部門のチェリ子氏。コミック部門の大賞は該当作がなかった。このほか、小説部門は金賞2点、メディアワークス文庫賞1点、銀賞2点、選考委員奨励賞3点、イラスト部門は金賞2名、銀賞2名、選考委員奨励賞2名、コミック部門は金賞1点、銀賞2点が受賞した。受賞作品・受賞者については、小説部門は22年2月以降の文庫発売、イラスト部門は文庫のカバーイラストなどでの起用、コミック部門は電撃コミック各誌への掲載などを予定する。

岡山放送アナウンス室に文字・活字文化推進大賞/高橋松之助記念賞

読書推進と文字・活字文化振興に貢献し、業績をあげた学校、地方自治体、団体、個人を顕彰する第14回高橋松之助記念「朝の読書大賞」「文字・活字文化推進大賞」(高橋松之助記念顕彰財団主催)の受賞者が決まり、10月25日に受賞者と財団関係者で贈呈式をオンラインにより開催した。
朝の読書大賞を受賞したのは、中津市立下郷小学校(大分県中津市)、学校法人創価学園関西創価中学校(大阪府交野市)、愛知県立豊田高等学校(愛知県豊田市)。文字・活字文化推進大賞は、岡山放送株式会社アナウンス室(岡山県岡山市)が受賞した。
中津市立下郷小学校は5学級、児童34名の小規模校で、2005年より朝の読書を実施。地域の方だけでなく、司書・先生の協力のもと子どもたち自身が読み聞かせを数多く行っているほか、先生や保護者がお薦め本を紹介する「魔法の読書ノート」の取組み、20年からは「家読」を本格的に開始するなど、学校・地域・家庭が連携して様々な読書活動を行っている点が評価された。
創価学園関西創価中学校は15学級、生徒629名が学び、02年より朝の読書を開始。生徒1人ひとりが読書の喜びを知り、読書習慣が身に付くよう様々な読書推進活動が行われている点が評価された。16年度に始めた「ビブリオバトル」は毎学期一斉に実施し学園の一大イベントとして定着。全教員が授業冒頭にお薦め本を紹介する「Book‐Naviweek」を毎学期に1週間実施する。蔵書10万冊を誇る「万葉図書館」では様々な企画・フェアを行い、生徒が自発的に参加し取り組んでいる。
愛知県立豊田高等学校は24学級、909名が学び、99年より朝の「読書タイム」を実施。学校の指導重点項目の1つに「読書タイムを起点とした言語活動の推進」を掲げており、教職員と生徒が一丸となって読書推進活動を行っている点が評価された。「豊高50冊」として、生徒に読ませたい図書50冊を挙げ、読破者を表彰。読書週間では、「絵本の読み聞かせ講座」「POP作成講座」の実施や各部活の発表など、様々な取組みを行っている。図書委員会の活動が非常に活発に行われ、図書館内の企画展示を月毎に生徒の手で行っているほか、生徒の提案したフェアが豊田市中央図書館で展示されるなど、学外での連携・発展的活動も行っている。
岡山放送アナウンス室は、東日本大震災をきっかけに11年、「本を読むことの楽しさを子どもたちに」をテーマにアナウンサーたちが出張朗読を開始。10年間で放送エリアである岡山県・香川県の全市町村への訪問を達成、21年5月末現在で136回・約2万5000人に朗読を届けている。この取組みは他局でも知られるようになり、他県の系列局による実施や、エリア放送局合同での系列を越えた朗読会が開催されるなど広がりを見せている。読書の素晴らしさを届け、大切な「ことば」を紡いでいく、地域に寄り添った活動を長期にわたり展開している点が高く評価された。

ところざわサクラタウン/来場者が開業1年で百万人突破/KADOKAWA

KADOKAWAと角川文化振興財団は、埼玉県所沢市の「ところざわサクラタウン」「角川武蔵野ミュージアム」の累計来場者数が10月21日に100万人を突破したと発表した。
ところざわサクラタウンは、日本最大級のポップカルチャーの発信拠点としてKADOKAWAが開業した大型文化複合施設。書籍製造・物流工場と新オフィスをはじめ、イベントスペース、ホテル、ショップ、レストランや、角川文化振興財団が運営する角川武蔵野ミュージアムなどで構成する。KADOKAWAと所沢市が共同で進める「COOLJAPANFOREST構想」や、KADOKAWA・埼玉県・所沢市の三者で連携・協力する「埼玉カルチャー観光共和国」の拠点施設にも位置付けられている。
昨年11月6日にグランドオープンし、新型コロナウイルス感染予防対策を最優先に運営していたが、埼玉県内を中心に首都圏から多くの人が訪れ、開業1周年を目前に控えての累計来場者100万人達成となった。

舩坂良雄日書連前会長インタビューを公開/トーハンYouTubeチャンネル「出版区」/三島由紀夫との秘話など披露

トーハンは、本や出版業界の魅力を伝えるために開設したYouTubeチャンネル「出版区‐SHUPPUNK‐」で、日書連前会長で大盛堂書店(東京都渋谷区)社長の舩坂良雄氏へのインタビューを公開している。
10月1日公開の第1回では、舩坂氏自身が語る大盛堂書店の歴史に加え、9月1日に実施された売場変更の様子も紹介している。
10月8日公開の第2回では、舩坂氏が少年時代から親交のあった三島由紀夫との思い出を披露。舩坂氏の目に映った天才作家三島の実像、そして「三島事件」にまつわる思いもよらぬ事実を語る。
10月29日公開の第3回では、2代目社長である父・舩坂弘氏にまつわるエピソードを紹介。第2次世界大戦における激戦の体験を自著で残し、「不死身の分隊長」と呼ばれた弘氏の壮絶な人生を良雄氏が語っている。

児童出協会長に岡本光晴氏(あかね書房)

日本児童図書出版協会(児童出協)は9月に行った役員改選で、岡本光晴氏が会長に就任、以下の役員を決定した。
▽会長=岡本光晴(あかね書房)
▽事務局長=赤石忍
▽事務局次長=阿部伸介(農山漁村文化協会)
〈各委員会委員長〉
▽総務委員会=三井修一(小峰書店)▽書店委員会=笠井信寿(ポプラ社)▽読書推進委員会=山田陽一(岩崎書店)▽展示企画委員会=小川大輔(大日本絵画)▽取次委員会=川渕国明(童心社)▽『こどもの本』編集委員会=坂田俊明(文研出版)▽広報委員会=髙橋晶子(講談社)▽研修委員会=久保田道夫(金の星社)▽図書館委員会=阿部伸介(農山漁村文化協会)
▽会計監査=山浦真一(あすなろ書房)岡本功(ひかりのくに)
▽顧問=竹下晴信(評論社)

「文具女子博」12月16日~19日に開催/日販セグモ

日販セグモは12月16日~19日の4日間、東京・大田区の東京流通センターで、文具の展示・販売イベント「文具女子博2021」を開催する。
今年で5回目となる「文具女子博」のテーマは「Happy文具パレード」。会場では、昨年大好評だった「アクリルキーホルダーコレクション」の第2弾や、毎年大人気の「マスキングテープくじ」をよりパワーアップして実施するなど、楽しめるイベントが盛りだくさんとなっている。
なお、新型コロナウイルス感染予防のため、事前に入場チケットを購入した人のみが入場できる定員入れ替え制を実施する。入場料は税込700円(小学生以下無料)。また、通常の開催よりさらに入場者数を制限し、買い物をゆっくり楽しめる「プレミアムタイム」を、16日と17日の10時から12時半まで実施する。入場料は税込1300円。入場チケットは、ローソンチケットで11月20日13時から一般販売。「プレミアムタイム」の入場チケットは先行受付を開始している。

「本屋続けて良かったなぁ通信」NET21-協業化の現場から

【他店からの刺激で やる気/秀文堂代表取締役・高畑剛】
自分の場合、NET21の初期から参加しています。その当時、須原屋OBから成る「立ち上げメンバー」ではなく、唯一の非須原屋OBでしたが、縁あってお誘いいただき参加させてもらいました。当時から「これからの街の書店は個々では厳しい」「共同仕入れをして商品の確保を」「情報の共有が大事」「全員で役割分担を」「来るもの大歓迎」等々、今と変わらぬ考え方でした。
気が付けば20年余り、自分の書店人生29年の3分の2はNET21に入っており、あまりに当たり前になっていて、「もし加盟していなかったら」と想像すると、恐らく今頃は……。
定例会その他会合で他のお店の状況や代表者の方の話を聞くと刺激を受け、「自分もこうしてはおれない!」と気持ちが昂ぶり、また日々の業務に追われてその気持ちが薄らいだ頃に、再び会合で刺激を受けるということを繰り返しながら、少しずつではありますが前へ、上へと向かって行けたのではないかと思っています。
この先どうなるかはまったく予想のつかない状況ですが、間違いのないことは「NET21に参加して良かった」ということです。

河出文庫ベスト・オブ・ベストフェア/読書家声優・斉藤壮馬氏協力で展開

河出書房新社は秋の恒例「河出文庫ベスト・オブ・ベスト」フェアを10月下旬から全国1400書店で開催している。同フェアは河出文庫の好評売れ筋既刊を取り揃えて紹介するもので、声優の斉藤壮馬氏がフェアに全面協力している。
声優界きっての読書家と知られる斉藤氏が、「斉藤壮馬が朗読したい河出文庫ベスト5」をテーマに5作を選出。該当作の朗読・選定理由の執筆、さらに5作それぞれをイメージした撮り下ろし写真の撮影を行い、選書された5冊についてその写真を使用した特装カバーを作成した。
斉藤氏の協力を仰ぐフェアは2回目で、前回のフェアでは「斉藤壮馬的河出文庫ベスト5」と題して全国約1000書店で開催。選書された5点は2度重版するなど大好評を博した。今回はその反響を受け、レーベル史上最多の全国1400書店での開催となっている。
「斉藤壮馬が朗読したい河出文庫ベスト5」は、北野勇作著『カメリ』、尾崎翠著『第七官界彷徨』、倉橋由美子著『完本水郷譚』、スティーヴン・ミルハウザー著『エドウィン・マルハウス』、鷺沢萠著『少年たちの終わらない夜』の5点。『少年たちの終わらない夜』はフェアを機に異例の復刊となった。
対象書籍を購入するとその作品の朗読が聴け、選書の理由も読むことができる(QRコードを読み込めるデバイスが必要)。また、5冊の特装カバー及びフェア同時展開アイテムに付いているフェア限定帯の応募券を集めると、表紙に使用した写真とは違うカットを用いたポストカードのセットや、朗読音声とフェアのプロモーションビデオを収めたDVDをプレゼントする特典も用意する。

移転

☆NHK出版
入居している「第一共同ビル」の建替えのため、編集局(企画・管理部、音楽出版事業部を除く)を11月8日より、マーケティング局、編集局企画・管理部を11月15日より下記の住所に移転した。電話・FAX番号とも変更なし。
〒150-8081 東京都渋谷区宇田川町7-1″