全国書店新聞
             

令和6年6月1日号

東京組合総代会 キャッシュレス手数料軽減求める 組合員減少対策で「支部再編を検討」

 東京都書店商業組合は5月20日、東京・千代田区のホテルメトロポリタンエドモントで第48回通常総代会を開き、総代23名(委任状含む)が出席した。矢幡秀治理事長(真光書店)は、書店振興の機運が盛り上がる中、キャッシュレス手数料の軽減、図書館納入問題などの課題解決に意欲を示すとともに、組合員の減少に対応した支部・エリアの組織改革と活性化の必要性を訴えた。
 総代会は山邊真次常任理事(新橋書店)が司会を務め、平井久朗副理事長(ビーブックス)の開会の辞に続き、矢幡理事長があいさつした。
 矢幡理事長は組合の目標は書店存続のための利益確保とし、「粗利益の改善を出版界の中で訴えてきた。そんな中で出版界と違うところから『街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟』(書店議連)や経済産業省の『書店振興プロジェクトチーム』が立ち上がり、書店存続に向けて機運が盛り上がっている。キャッシュレス手数料の軽減や図書館の入札問題などをしっかり訴え、ひとつでも実現させたい」と決意を示した。
 業界の動きでは、出版界が一丸となって読書の秋を盛り上げる「BOOK MEETS NEXT」に触れ、「町の書店を守っていく気持ちでやっているもの。今後も書店に成果が上がる形で続けてほしい」と述べた。
 組合の取り組みでは、東京都中小企業団体中央会の「デジタル技術活用による業界活性化プロジェクト」について「実感を感じていない方もいるかと思う。その点は改善しながら今年もチャレンジするべく準備を進めている」と報告した。
 東京組合の組合員数は今年4月現在で前年より13名減少して251名になったが、組合員の減少について「支部の再編、エリア化が必要。組合員数が200名を超えていないと総代会はできなくなる。厳しい状況だが、組合員数を増やすため、皆が一緒になって組合存続の方策を考えていきたい」と呼びかけた。
 続いて、片岡隆氏(ブックスページワン)を議長に選任して議案審議を行い、全ての議案を原案通り承認可決した。
 事業・増売委員会は、①「読者謝恩図書カード」を出版社など17社の協賛で1万8000枚制作・販売した②NHK出版、河出書房新社、潮出版社などの特別増売企画を実施した――と報告。共同受注委員会は、日本教育公務員共済会東京支部の図書助成事業にかかる納入業務が400校分を終了したと報告。再販・発売日・取引改善委員会は、日本雑誌協会の自主基準「雑誌作成上の留意事項」が改訂されて以降、店頭での陳列に支障を来す付録が増えている件で2月14日に意見交換を行ったことを説明した。謎解き・デジタルサイネージ特別委員会は、①来店促進を目的とした本屋巡り謎解きゲームを組合員書店180店で実施し、6000名超が参加した②組合員書店45店舗にデジタルサイネージを設置し、昨年10月から運用を開始した――と報告した。
 令和6年度事業計画は平井副理事長が説明し、組合の重要な収入源である読者謝恩図書カード事業の継続・拡大、書店と相性の良い商材の提案、支部・エリアの組織改革と活性化の推進、キャッシュレス手数料の負担軽減に向けた研究――などに取り組む方針を決めた。
 議事終了後、支部功労者表彰で八王子支部の三浦実氏(三成堂)を表彰した。
 閉会の辞で、柴﨑繁副理事長(王様書房)は「来年度は東京都や各区に図書カード配布の予算化を求めていきたい」と提案し、総代会を締めくくった。

青森組合総会 成田耕造理事長を再選 「本の日」プレゼントキャンペーン好評

 青森県書店商業組合は5月10日、青森市のアラスカ会館で第37回通常総会を開き、組合員20名(委任状含む)が出席した。
 総会は組合事務局の武田豊文氏(成田本店)の司会で進行し、成田耕造理事長(成田本店)があいさつ。出版物推定販売額は1996年2兆6564億円から2023年1兆612億円に減少。出版社数は約4000社から約3000社、書店は2万6000店から1万店に減少し、取次は栗田、太洋社、鈴木書店が倒産したことなど、書店を取り巻く環境の歴史的変化について話した。
 日書連に関する事業では、春・秋の「読者還元祭」と、「心にのこる子どもの本」新学期・夏休みセールと秋・冬セールを実施。また、読書推進活動補助費を活用して「本の日」プレゼントキャンペーンを実施した。応募用紙1万枚を作成し、ポスターとともに組合員に配布。期間中に700円以上購入したお客様が応募でき、A賞(5名)、B賞(5名)、C賞(10名)及び図書カード(500円×50名)の計70名にプレゼントしたと報告した。
 また、研修会事業として、第1講座で青森図書教育用品・今泉規史社長「デジタルと紙の教科書について」、第2講座で日本出版販売東北支店・渡邊翔太係長「無人店舗について」、第3講座で小野寺税理士事務所・小野寺剛社長「事業承継・遺言の書き方」を実施したと報告した。
 成田理事長を議長に議案審議を行い、令和5年度事業報告、収支決算報告、令和6年度事業計画案、収支予算案などすべての議案を原案通り承認可決した。
 任期満了に伴う役員改選では成田理事長を再選。また、田中麗子副理事長(木村書店)が退任し、後任に金入健雄氏(金入)を選んだ。
 [青森組合役員体制]
       ○印は新任 ▽理事長=成田耕造(成田本店)
 ▽副理事長=本間博(よしのや本間書店)伊藤篤(伊吉書院)○金入健雄(金入)
 ▽専務理事=藤村真(スノヤ書店)
    (伊藤篤広報委員)

大阪組合理事会 読書ノート、117校から4万冊超の応募

 大阪府書店商業組合(深田健治理事長)は5月11日、大阪市北区の組合会議室で定例理事会を開催した。
 読書推進委員会は、読書ノートについて4月30日の締切までに117校から4万4486冊の応募があったと報告した。
 また、「本の帯創作コンクール」について、今秋開催する第20回記念の催しでポプラ社のティラノサウルス着ぐるみと鈴木出版のニャーゴ着ぐるみは了解済、大阪府のモズやんとミャクミャクは依頼中と報告した。
 レディース委員会は、レディースランチの会を8月7日、大阪市北区のフランス料理店「ラ・フェットひらまつ」で開催すると報告した。会費は1人目2000円、2人目4000円。定員40人になり次第締め切る。 (石尾義彦事務局長)

日書連「第36回通常総会」6月20日開催

 日書連は6月20日(木)午後1時、東京・千代田区の書店会館で第36回通常総会を開催し、令和5年度事業報告、財産目録、貸借対照表、損益計算書及び剰余金処分案、令和6年度事業計画案、収支予算案、経費の賦課及び徴収方法、借入金最高限度額案、役員の報酬額案について審議する。
 また、当日は午前10時30分から定例理事会を開催する。

第63回「全出版人大会」 声明採択「本、いまこそ必要」 長寿者22名・永年勤続者333名表彰

 日本出版クラブは5月7日、東京・千代田区のホテルニューオータニで第63回全出版人大会を開き、出版社、取次、書店など関係者約400名が出席。出版界の先人たちの業績を称え、「本は今こそ必要。世の中に必要な情報を広めていく使命を果たしていく」と記した大会声明を採択し、長寿者22名と永年勤続者333名を表彰した。第1部の式典終了後、社会学者の岸政彦・京都大学大学院文学研究科教授が講演した。第2部では懇親パーティを開催した。
 はじめに野間省伸大会会長(講談社)は「本日が出版界のこれからを考える機会となれば幸い」とあいさつした。
 喜入冬子大会委員長(筑摩書房)は、大会声明の起草、大会記念品の風呂敷のデザイン、講演会の講師の選定にあたって基準とした考え方を説明し、大会声明を読み上げた。
 続いて来賓の今枝宗一郎文部科学副大臣、倉田敬子国立国会図書館長が祝辞を述べた。
 その後、長寿者を代表して光村図書出版の吉田直樹社長に堀内丸惠大会副会長(集英社)から寿詞と記念品、永年勤続者を代表して高橋書店の金子文氏に小野寺優大会副会長(河出書房新社)から表彰状と記念品が贈呈された。
 吉田氏は入社から今日までの約50年間を振り返り、「国語の教科書と言っても日本の文化を全部盛り込むわけにはいかない。教科書は窓。何もかもが入ってはいないけれど、ある人との出会いやある言葉との出会いが、その子供の将来につながる小さな窓になるかもしれないという希望を持っている。これは今も後輩たちに伝えており、自分も全うするつもり」と話した。
 金子氏は「手帳・日記は40年使い続けているお客様もいる。お客様にとってたった一冊のかけがえのない人生の物語を記す本。その人生の一端を担っているという責任の重大さを感じている。そんなふうに日々お客様に想いを感じられるのは幸せなこと。書籍出版と日記・手帳出版の両面から出版文化に貢献できれば幸い」と謝辞を述べた。

第63回「全出版人大会」大会声明(全文)

 来年は戦後80年になります。
 戦争中は激しい言論統制が行われ、また物資不足から紙が手に入らず、出版活動はかなり制限されました。田辺聖子さんが戦争中、あまりに読むものがなくて、畳をひっくり返したとき下に敷かれていた古新聞をむさぼり読んだ、というエピソードをどこかで聞いたことがあります。それくらい人は活字に飢えていました。おそらく情報にも飢えていたでしょう。いっぽうで、書きたいことが書けないならと断筆する人もたくさんいました。
 1945年に戦争が終わり、占領期にはGHQの検閲などもありましたが、出版活動は一挙に加速しました。カストリ雑誌から文学全集まで、とにかく、読みたい、書きたい、というエネルギーにあふれていたように思います。もちろん時代の趨勢もあり、そこから一直線に拡大していったわけではありませんが、みなさんも御存知のように、その後、1996年までは、基本的に出版活動は拡大成長していました。
 そして以降、われわれは長く続く出版不況のなかにいます。
 人々が書いたり読んだりしなくなったのか、と言えばそんなことはありません。文字を使った情報交換は、ネットの登場によりむしろ飛躍的に多くなっています。単に、本を読まなくなったのです。
 ではなぜこういう状況になったのか。
 出版は、英語ではpublishと言いますが、これはpublicの動詞形です。つまり、公にする、という意味です。印刷技術が発達する以前、publishは、お披露目する、という意味でつかわれていて、作者が自ら、人々の前で読み上げることを意味していたそうです。(髙宮利行『西洋書物史への旅』岩波新書、2023年)
 出版とは、誰かが書いたものをお披露目する、公にする仕事なのです。
 しかし、今は誰もが自由に発信できる時代であり、そういう意味では誰もがパブリッシャーになれます。そうしてパブリッシュされた情報がネットにあふれている。戦争中とは逆に、人々は情報の海でおぼれそうになっているようにみえます。
 そして、本を開く余裕を失っているのではないでしょうか。
 しかし、だから本はもう必要ない、のではなく、いまこそ必要なのだと考えます。
 われわれが作っている本は、電子書籍も含めて、きちんとその質を担保しています。著者名があり出版社名があり、内容に責任を持っています。そのことの価値は、情報がフェイクだらけになっていく世界にあって、ますます高くなっていくはずです。
 世の中に必要であると思った情報を広めていく、公にしていく、という使命を、われわれはこれからも変わらず果たしていく。その決意を新たにし、大会声明といたします。

日書連のうごき

 4月4日 ジャパンタイムズ取材に矢幡会長が出席。決算監査。
 4月8日 決算監査。
 4月10日 学校図書館整備推進会議総会に事務局が出席。
 4月12日 出版ゾーニング委員会に事務局が出席。
 4月15日 万引防止出版対策本部事務局会議に事務局が出席。
 4月16日 鼎談「図書館の現状と改革の課題」に矢幡会長、春井副会長が出席。
 4月17日 図書コード管理委員会に藤原副会長が出席。経済産業省書店振興PT車座ヒアリングに矢幡会長が出席。
 4月18日 JPO運営委員会に事務局が出席。「街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟」総会に矢幡会長、春井副会長が出席。
 4月23日 九州雑誌センター取締役会(Web)に矢幡会長が出席。読書推進運動協議会常務理事会に矢幡会長が出席。
 4月24日 JPO運営幹事会に事務局が出席。出版倫理協議会に事務局が出席。
 4月25日 雑誌コード管理委員会に事務局が出席。
 4月26日 政策委員会に矢幡会長、藤原、柴﨑、春井(Web)、安永(Web)、深田、平井(Web)各副会長、髙島、森松両理事、小泉、渡部両監事が出席。全国万引犯罪防止機構理事会に矢幡会長。

【連載】「春夏秋冬 本屋です」 宮古島ゴルフ旅行記 東正治(大阪・東文堂書店 代表取締役)

 少し時をさかのぼります。
 4月中旬、2泊3日でゴルフ好きの友人たちと宮古島へ。
 早朝、関空から約2時間半のフライト、10時には宮古空港に到着。レンタカーでドライブ。見渡す限り宮古ブルーのオーシャンビュー。テンションは爆上がり。
 期待してきたゴルフは13番ホール過ぎ、未だ体験したことのない突然の大スコール。たちまち天気は回復するも、全コース水溜まり。ゴルフができる状態ではなく、残念ながら中止です。
 気持ちを切り替え、当初予定になかった観光へ。宮古そばやサーターアンダギー、ガーリックシュリンプなど、お腹を満たしながら宮古島とその周辺の島々を一周した。
 ホテルは少し奮発して昨年6月開業のヒルトン沖縄宮古島リゾート。屋上のルーフトップバーからのサンセットが素晴らしく、リゾート感満載で朝からの疲れも吹っ飛びました。
 2日目、海好きな私はゴルフ組とは別行動でスキューバーダイビングです。魚と戯れ、美しい海を1日堪能しました。
 最終日は再度ゴルフ。気候も景色も最高で、スコアも大満足でした。
 宮古島では、ゴルフや海のレジャー以外にも宮古牛やアグー豚、島野菜など沖縄本島とはまた違った食材が楽しめる料理など、まだまだ見所がたくさんあります。
 ぜひ皆さんも宮古島を訪ねてみてください。

第63回「全出版人大会」長寿者・永年勤続者氏名

[長寿祝賀](22名)
市川良之(同文舘出版 元取締役)
梅津博雄(教育出版 取締役専務執行役員)
岡本厚(岩波書店 前代表取締役社長)
亀井淳(メヂカルフレンド社 代表取締役)
黒柳光雄(日本図書普及 常勤監査役)
勝呂敏彦(東洋経済新報社 元監査役)
鈴木鉄男(メヂカルフレンド社 常務取締役)
関口聰(家の光協会 元専務理事)
高橋明裕(医学書院 元常務取締役)
竹中英俊(東京大学出版会 元常務理事)
田中正美(童心社 相談役)
角田徹(実教出版 元取締役)
阪東宗文(暮しの手帖社 前代表取締役)
東敬彰(芳文社 専務取締役)
平井信(淡交社 取締役相談役)
平野健一(徳間書店 取締役)
深澤博文(実教出版 監査役)
別府章子(偕成社 元取締役編集部長)
前田信二(メイツユニバーサルコンテンツ 取締役)
益井俊樹(文英堂 取締役)
横澤達雄(東洋経済新報社 元取締役)
吉田直樹(光村図書出版 代表取締役社長)
              〈氏名五十音順・敬称略〉

[永年勤続者](333名)
 ▽秋田書店=明治拓生、近藤洋平、北川侑里、近藤節子、吉川大輔、星川裕子▽家の光協会=池松佑一郎▽医学書院=斎藤圭、鈴木威左海、高倉葉子、新佐紘之、髙口慶輔、境田康平、中嘉子、阿部洋平、多淵大樹、小池倫平▽医歯薬出版=小八重龍太郎、千葉育子▽岩波書店=森川裕実、吉川哲士、辻村希望、堀由貴子、瀧澤麗▽オーム社=浜田亮、関口豊希▽偕成社=宮澤香織▽開隆堂出版=阪田幸治、中村麻里、髙橋正和▽学研ホールディングス=芳賀靖彦、滝口勝弘、小林早苗、島田政男▽教育出版=上田朋諒、青野正明▽教科書販売=神永暁樹子、小山真沙子、萩原善信▽共立出版=門間順子▽近代セールス社=中村圭介、鵜原寛、松野亜紀▽金の星社=尾崎俊輔▽金融財政事情研究会=大戸清康、江口珠里亜、齊藤由貴、吉田格、舟山綾▽くもん出版=岩瀬伸隆、佐藤敦▽建帛社=黒田聖一、青柳哲悟、内山歩▽佼成出版社=須田耕平、大木健至、半仁田知晃▽講談社=姜昌秀、山中寧、高島祐一郎、山崎高資、福山将司、安達崇、鈴木直之、高野博臣、伊藤弘、高橋悌、丸山勝也、山田暢洋、山口隆昌、塩見篤史、岡本朋子、川良咲子、二村友親、佐藤辰宣、岩田俊、野呂麻子、青山遊▽三省堂=髙山隆嗣、菅木誠司、益田健太郎、田村聡▽産労総合研究所=三浦貴子▽実教出版=水野靖彦、齋藤彰彦、皆川寛、福本敬、荒井理恵、島野一貴、莊一徳▽主婦と生活社=岩崎理尚、金丸俊樹、足立春奈▽主婦の友社=秋谷和香奈、伊藤賢一、鈴木優美、櫛山珠里▽新興出版社啓林館=片井千尋、多田健司、笹田潤一、濵名徳明▽数研出版=東海林真、藤本清香、鵜飼康美、岩澤誠、山川将平、畑中将伸、水澤由紀子、荒田征弘、竹村恵、吉村智美、大洞萌子▽成美堂出版=石田正次、中村智哉、美馬宏行▽世界文化ホールディングス=星野洋一、塩坂北斗、内田さやか、佐藤千寿香、阿部史明、堀田めぐみ、服部梨絵子、原田敬子▽全国教科書供給協会=後藤幸子▽第一学習社=後燈明あすみ、田端瑛子▽第三文明社=宮原創一▽大修館書店=木村一彦、平井健二、山口隆志▽大日本図書=萩原崇、松田一邦、五十地佳之、野仲真司、柳生大輔▽ダイヤモンド社=村田康明、前田かな、小島健志▽高橋書店=金子文、井田一悦▽淡交社=亀井隆太、太田啓介、伊東美香子▽筑摩書房=田中尚史、松田健、田所健太郎、平井健、尾竹伸▽チャイルド本社=芹沢亮、江坂周子▽中央社=小河原実、中川大輔▽中央本社=横内洋良、小野塚美江、白野雄久▽東京書籍=赤松弘章、冨樫美伸、松田研二、岡田朋子、海老名雪太郎、岡本知之、内海直樹、貞広克顕、堅田丹里、寺山雅崇、厚見恵名、菅井康雄、山岸大輔、梛木里美、大竹裕、木谷寛子、都野道俊、木下健、櫻井智之、村上亮、後藤恵以子、奈須智行、丸島みか、嶋田将人、横井将史、辰口昇、▽東京創元社=佐々木日向子、田中真貴子、楠本泰征、▽東京大学出版会=山田秀樹、平野志保、中上まどか▽東京法令出版=岩崎梢、児玉琢也、中川寛子▽トーハン=池上知宏、内田明、大塚正志、喜田晃規、濱田裕志、加藤幹彌、市来昇、中村大輔、香取諭、沖英治▽同文舘出版=奈良雅代、戸井田歩▽東洋経済新報社=乕尾あい、金子千鶴、茨木裕、松浦大、宮﨑奈津子▽図書文化社=津山智二、伊藤至幸、真弓紘一▽永岡書店=上西孝太郎、佐藤久美、高橋英理子▽南江堂=小髙康之、森翔吾、杉山由希、西村信哉、竹田博安▽日教販=飯崎拓也、前田美貴、毛塚雅宏▽日本加除出版=竹山勝利、加藤敦▽日本実業出版社=川上聡、新納悠子▽日本出版販売=髙木栄一、中川秀行、佐々木孝行、黒澤光輝、高桑博史、竹島秀樹、亀川陽司、今井健、坂口和之、伊藤誠治▽日本書籍出版協会=林真由美▽日本スポーツ企画出版社=広島由寛、久保田市郎、長沼敏行▽日本文教出版=青木英一、石躍修一、乾充、内山雅詞、岡川稔、小澤衛、紙本和久、小林央和、近藤敏、清水康之、住近幸子、田代洋行、玉田崇二、田村秀児、辻本浩之、永井淳、中島幸一、中谷泰季、東道裕、古澤晶子、古田正文、眞島英男、松永厚、山田和代、山根淳、髙松尚徳、石井敬介、窪田仁寿、柴田学、髙田頼孝、千葉祐太▽日本文芸社=田中武▽白水社=大内直美▽ひかりのくに=水田佳央里、山﨑啓生、丹野健司、萩原啓昭、山﨑周子、山下亮太、田中和久、伊藤良樹、塚本将人、西岡哲之、羽田野仁哉▽福音館書店=佐藤亜希、上野祥之、柴田憲志、白水洋介、筒井晶子▽双葉社=片桐彫会、和田梨郁▽文英堂=宮本高志▽文藝春秋=相田安彦、織田甫、髙木知未、豊田健、柳原真史、中川真吾、取屋里花、小松﨑優子、中新井美希▽芳文社=安岡あかね、水元麻里▽ポプラ社=金井弥生、畦﨑大蔵、渡辺翼▽マガジンハウス=中西陽子、榎本健太、利根正彦▽丸善出版=小林謙一、諸田紀子、乙川浩俊▽光村教育図書=天明歩▽光村図書出版=佐藤雄一郎、一由一成、山路隆晴、河本允子、佐々木恭子、野口晴香、山本洋介▽明治図書出版=石井恭平、清水大輔、廣川淳志▽メイツユニバーサルコンテンツ=折居かおる▽メヂカルフレンド社=高橋克郎▽有斐閣=四竈佑介、三宅亜紗美、小泉知雄、棚田直美▽楽天ブックスネットワーク=吉田正隆、中村佳奈、市原亮、吉岡慎二、中山達也
 〈社名五十音順・敬称略〉

第70回江戸川乱歩賞発表 霜月流、日野瑛太郎の2氏が受賞

 日本推理作家協会主催の第70回「江戸川乱歩賞」(後援=講談社、フジテレビジョン/協力=豊島区)が5月10日に発表され、霜月流氏の『遊郭島心中譚』、日野瑛太郎氏の『フェイク・マッスル』の2作品が受賞した。今回の応募作品数は395編。
 霜月氏は東京都出身、学習院大学卒の30歳。『五分で読める驚愕のラストの物語』(集英社)に参加経験がある。日野氏は茨城県出身、東京大学大学院専攻修士課程修了の38歳。同賞の最終候補に選ばれたのは、第67回、第68回、第69回に続いて4回目。
 『遊郭島心中譚』は幕末の日本を舞台に歴史の転換点で二人の女性が時代の流れに抗いつつ事件の真相を探る時代ミステリ、『フェイク・マッスル』は週刊誌の新人記者がボディビル大会に上位入賞した人気アイドルのドーピング疑惑に迫るノンストップミステリと、個性の異なる2作品が選ばれた。
 同日に東京・豊島区のシアターミクサで行われた発表会見で、霜月氏は「うれしい以外の言葉が出てこない」と喜びを表し、「幕末に来航した地理学者が、横浜の沼地の上にあった港崎(みよざき)遊郭を遊郭島と表現した言葉に刺激を受け、そこから話を展開させていった」と創作の様子を語った。また、日野氏は「うれしい以上にほっとしている」と心境を話すとともに、本作については自信がなかったが「これではまずいと1ヵ月で全部書き直した。大変だったがあの時がんばって良かった」と執筆時の苦労を振り返った。
 選考委員の日本推理作家協会・貫井徳郎代表理事は、「『遊郭島心中譚』は幕末を舞台にした本格ミステリ、『フェイク・マッスル』は乱歩賞ではめずらしいユーモアミステリと、対照的でレベルの高い2作品が受賞した」と述べ、70回を飾る良い受賞作が出せたと総評した。

書店組合総会スケジュール

 ◆岐阜県書店商業組合「第41回通常総会」
 6月21日(金)午後1時、岐阜市の岐阜県教販で開催。
 ◆佐賀県書店商業組合「第42回通常総会」
 6月27日(木)午後2時、佐賀市のアバンセで開催。

全国トーハン会代表者総会 「輸送コスト、応分の負担を」近藤社長、出版社に強く求める

 トーハンは4月24日、東京・文京区のホテル椿山荘東京で2024年度全国トーハン会代表者総会を開催し、書店、出版社など270名が出席した。近藤敏貴社長は高騰が続く輸配送コストの問題に言及し、出版流通を維持するためのコストで応分の負担をするよう出版社に強く求めた。
 はじめに全社方針を説明した近藤社長は、中期経営計画「REBORN」最終年度の2023年度業績について、単体売上高は前年比2・9%減の3705億円、単体経常利益は前年と同じ6億円、連結経常利益は同8億2000万円増の11億7000万円と減収増益の見込みと報告。
 「REBORN」の5年間を振り返って、売上高は5年連続で計画を上回り、単体経常利益は物流経費高騰などがあったものの計画より早く黒字化に至ったとした。一方、23年度は取次事業で15億円の赤字となり、不動産事業の18億円でカバーして黒字を確保したと報告し、「取次事業は5年連続の構造的赤字状態にあり、ビジネスのあり方として異常。グループとして取次事業に大きく偏った事業構成はリスクと認識している。もう一つの収益の柱となる新規事業の開発・成長が急務」と述べた。
 そして、5年間を総括して①マーケットイン型出版流通の形を提示②25年ぶりに取次首位を奪還③5年連続で売上を維持しつつ単体・連結ともに利益でも黒字を確保――したことを成果として挙げ、「『REBORN』で積み残した問題、新たに対策を打たなければならないこともあるが、弊社は生まれ変わることができた。この5年間で育まれてきた可能性を次のステージの中計『BEYOND』へつなげる」と語った。
 また、輸配送コストは依然高騰を続けているとして、「1㎏当たりの運賃単価は2011年から現在まで倍近くまで上昇した。出版社に流通コストの応分負担をお願いしており、基準単価は2019年の単価35・33円をもとにしているが、その基準単価を据え置いていること、満額回答をしていない出版社がまだ残っていることが、取次事業の赤字の大きな要因」と指摘した。
 「流通問題は全産業的な問題。2024年問題を見据えて数年前から国や行政も状況の改善に向けて大きく動き始めている。国土交通省は2020年にトラック輸送に関する具体的な運賃金額を明示した標準的な運賃のガイドラインを定め、今年3月にはその基準運賃を8%引き上げた。これは政府全体の方針として、運賃基準を全産業で引き上げるという強い意思表示。実際、弊社が年間約10億円の運賃を支払っている大手運送会社から、国交省が示す標準的な運賃を出版流通に当てはめると現行の倍以上、実額で11億円の運賃値上げになるという話があった。現在それに基づく強烈な運賃値上げ要請を受けている。国交省のガイドラインによれば、直近の出版物運賃単価のさらに倍以上の単価が標準という。このレベルのコスト増を弊社の自助努力のみで吸収することは不可能」と危機感を示し、「出版流通を維持するためのコストは公平性・公正性の観点から、一部の取引関係者のみで負担するべきものではない。弊社としても数十年前に決めた単価での継続利用をこれ以上看過することはできない。出版流通を維持するためのコストは応分の負担を強くお願いする」と要請した。
 公正取引委員会も、サプライチェーン上の諸コストの上昇について、サプライチェーン全体で適切に価格転嫁していくことを促すガイドラインを作成している。「公取委の意向を受けて、取次は荷主として輸送会社からの要請に応える義務がある。一方、我々にとっての荷主は出版社。出版社にも荷主としての義務がある。法律上、出版社は輸送会社にとって準荷主という規定になっている。他産業では値上がりした流通コストを流通・小売が販売価格に転嫁することで賄っているが、再販制度下にある出版業界では価格決定権は出版社にあり、取次も書店もコストを販売価格に転嫁できない。そうである以上、コストの増額分を出版社に求めることは正当な商行為」と語った。
 近藤社長は「出版社が定価を値上げしても、高騰を続ける経費を継続的に賄うためには、現行マージン率の見直しをお願いしなければならない取引先も出てくる。粗利の段階で赤字の取引も依然として存在している。あらゆるものの値段がかつてない勢いで上昇している現状で、サプライチェーン上のコスト負担、収益構造が昔のまま変わっていない、現在の水準に見合っていないことが業界の根本的な問題で、これが出版流通ネットワークの危機的状況を招いている。出版流通を未来につなげる使命を果たすため、引き続き交渉と赤字取引の是正に覚悟を持って取り組む。これまでとはまったく違う次元に入ってしまったことを認識してほしい」と述べた。
 続いて全国トーハン会プレミアムセール2023表彰では、プレミアムセール全国1位の京都トーハン会・村田清代表らが近藤社長から表彰を受けた。
 この後、川上浩明副社長が2024年度全社方針を説明し、中計「BEYOND」の基本方針として「本業改革」「事業領域の拡大」を挙げた。
 本業改革では、出版サプライチェーンの構造改革を成し遂げ、書店減少の波に歯止めをかける「シン・出版流通モデル」の実現を目指すとして、「これまで以上に魅力的なサービス、使いやすく高機能なシステムを提供する。流通システムや物流機能の再構築、店頭活性化の取り組みに加え、コンテンツビジネスの拡大や海外新市場の開拓、書店空間の新たな活用提案など多彩なアプローチで新たな価値を吹き込む」と説明。
 事業領域の拡大については「不動産事業が堅調な成長を続けているが、取次事業は現状維持が可能なレベル。継続的な成長を目指すのが大前提で、本業の取次事業に大きく偏る現在の事業構造を見直し、本業を守るためにこそ別の領域にチャレンジ、柱となる新事業の育成に取り組む」と意欲を示した。

【参加者募集】兵庫組合 榊浩平氏講演会「夢をかなえる脳と心の育て方」

 兵庫県書店商業組合(森忠延理事長)は、中高生向けの読書推進事業「どっぷりつかるなら読書がいいね!」を4月から行っているが、東北大学応用認知神経科学センター助教で『スマホはどこまで脳を壊すか』(朝日新書)の著書がある榊浩平氏によるZoom講演会「夢をかなえる脳と心の育て方~未来のカギはスマホに負けない強い心」を6月9日午後2時(約1時間の予定)に開催する。
 参加費無料。申込は電子メールで(bk320@tea.ocn.ne.jp)。問い合わせは森理事長まで(℡080―4395―6952)。

【連載】「生活実用書 注目的新刊」 『味なニッポン戦後史』(集英社インターナショナル新書) 遊友出版・齋藤一郎

 味覚にも歴史がある。澁川祐子著『味なニッポン戦後史』(集英社インターナショナル新書 880円)は、魚介豚骨系ラーメンを初めて食べた時、昭和生まれにはついていけない味なのかと、思ったことに始まる。
 塩味、甘み、酸味、苦味、辛味に続いて脂肪味と進むが、冒頭はうま味である。うま味は20世紀初頭に池田菊苗博士によって発見され、21世紀になって世界から「UMAMI」として正式に認められた味である。グルタミン酸を中和し塩にすると、強いうま味になる。明治42年商品化されたのが「味の素」だった。簡単においしくなるため、大正時代には原料は蛇というデマにさらされた。
 第7章の脂肪味では体にいい油、悪い油の迷宮が今なお続いているという問題に言及している。 塩崎省吾著『ソース焼
きそばの謎』(ハヤカワ新書 1000円)は、誰もが好きなソース焼きそばのルーツを探る。
 全般には戦後発祥説が主流だが、明治30年代の東京下町の屋台ではお好み焼きが流行していた。ソース焼きそばもその中の一種類としてあった。洋食屋台の真似で、戦前までのウスターソースは醤油を原料としていた。 小麦粉の歴史があり、全国の焼きそばのカラー写真も駆使した現代史。