全国書店新聞
             

令和6年4月1日号

日書連「春の読者還元祭2024」/4月22日から5月13日まで/総額300万円 図書カードネットギフトが当たる/店頭、外商先での販促に活用を

 日書連は、「春の読者還元祭2024」を4月22日(月)から5月13日(月)の期間、全国の書店で実施する。今回も店頭での購入客ならびに外商先に配布できる販促物として「キャンペーンしおり」を用意した。記載のQRコードからキャンペーンサイトにアクセスして応募すると、抽選で1千円、3千円、1万円の図書カードネットギフトが合計1700本(総額300万円)当たる。販売促進の一助として有効に活用していただきたい。
 「春の読者還元祭2024」(主催=日本書店商業組合連合会、後援予定=日本書籍出版協会、日本雑誌協会、日本出版取次協会、読書推進運動協議会、日本図書普及)では、販促物として①「キャンペーンしおり」(1種類、1束500枚)、②「店頭用A3ポスター」(1枚)のセットを1組3630円(税込)で有料頒布する。店頭用ポスターはキャンペーン告知が目的で、QRコードは掲載しない(応募はしおりからのみで、ポスターはなし)。日書連ホームページ(https://www.n-shoten.jp)からデータのダウンロードが可能。
 しおりのデザインには、江戸時代の絵師・土佐光起の作品で、滋賀県にある大本山石山寺が所蔵する「紫式部図」を使用した。
 キャンペーンしおりのセットを購入した書店は、日書連ホームページに特設するキャンペーンページに「特典配布店」として都道府県ごとに店名が掲載される。なお、しおりセットを購入して150件以上の応募者を獲得した書店(日書連傘下組合加盟書店に限る)を対象に、1店につき税込2860円の報奨金を支給する。報奨金額はしおりの購入数に関わらず一律2860円とする。報奨金の支給は、読者が応募時に「キャンペーンを知った書店」として入力した店名を集計して積算する。
 また販促活動の助成として、組合加盟の全書店にしおり20枚を無料進呈、キャンペーン開始までに到着するよう直送する。
 実施書店は、キャンペーン期間中に書籍・雑誌を一定の金額(税込500円を目安とする)購入した来店客ならびに外商得意先にしおりを進呈、キャンペーンサイトに誘導する。しおりに記載されたQRコードをお客様自身がスマートフォンで読み取って応募サイトにアクセス、必要事項を入力して応募する方式となっている。今回から、しおり1枚につき1回の応募のみ有効となる。
 賞品は、図書カードネットギフト1万円が100本、3千円が200本、1千円が1400本。抽選方法は結果がその場でわかる「スピードくじ」を採用。当選者が受け取りに必要な情報を登録し応募すると、入力したメールアドレス宛に日本図書普及から「図書カードネットギフトお受け取りURL」がおよそ2週間程度で届く予定となっている。また、抽選に外れた若干名にもWチャンス賞として図書カードネットギフトを用意する(6月上旬送信予定)。

「ひらいてワクワク めくってドキドキ」/第66回こどもの読書週間

 読書推進運動協議会(読進協、野間省伸会長)は2024・第66回「こどもの読書週間」(主催=読進協、後援=文部科学省、日本新聞協会、NHK、日本民間放送連盟、日本PTA全国協議会、全国市町村教育委員会連合会)を4月23日から5月12日まで、「子ども読書の日」(4月23日)から「こどもの日」(5月5日)をはさんで20日間開催する。
 今年の標語は「ひらいてワクワク めくってドキドキ」。読進協は実施にあたり、公共図書館、全国小・中・高等学校図書館、書店、関係出版社、報道機関などにポスターおよび広報文書を配布してPRするとともに、「こどもの読書週間・2024」の趣旨を示すマークのデータをホームページにアップし、期間中またはその前後を通じて各社が発行する雑誌・新聞・広報紙誌(表紙、背、扉、本文中)、そのほか展示、広告などに使用するよう呼び掛ける。
 また、都道府県の読書推進運動協議会、関係各団体の協力を得て、以下の各種行事の実施を推進する。
 ▽公共図書館、公民館、小・中・高等学校の学校図書館などにおいて「子どもの読書研究会」「子ども読書のつどい」「親と子の読書会」「大人による子どもの本研究会」「子どもの読書相談」「児童図書展示会」「児童文学作家による講演会」「児童図書出版社との懇談会」などの開催。「読書感想文・感想画コンクール」の実施
 ▽都道府県の読書推進運動協議会による都・道・府・県単位の「子ども読書大会」などの開催
 ▽出版社、新聞社、放送局、文化団体などによる被災害地域、児童養護施設、矯正施設などへ向けた「図書・雑誌の寄贈運動」の実施

石川県書店商業組合「能登半島地震被災書店義援金受付」

◇義援金の振込先
  北國銀行 大桑橋支店
  普通預金 0046491
  口座名義 石川県書店商業組合能登半島地震義援金

東京組合/能登半島地震義援金、石川組合に送付へ/本部、支部、個店分合わせて

 東京都書店商業組合(矢幡秀治理事長)は3月5日、東京・千代田区の書店会館で定例理事会を開催した。
 総務・財務委員会は、能登半島地震で個店、支部からの義援金の合計は3月5日現在29万1000円と報告。石川県書店商業組合へは個店分、支部分に本部分を合算して送金するが、本部分の義援金は20万円とすることを承認した。
 また、現在は特別委員会を設けて対応しているYouTube事業ならびにデジタルサイネージ事業について、令和6年度より共同受注・デジタル委員会に移管することを承認した。
 謎解き・デジタルサイネージ特別委員会からは次の報告があった。
 ①「黙示録の四騎士×本屋巡りLINE謎解きゲーム」=第1弾(2023年10月27日~2024年2月12日)には1769人が参加し、うち全ストーリー達成者数は354人、第2弾(同12月1日~翌2月12日)は4267人が参加し、達成者数は267人、第1弾・第2弾コンプリート達成者は169人。
 ②デジタルサイネージ=希望のあった75店にディスプレイを設置。4月以降は協業社であるエイトリンクス(小学館のグループ企業)に運営主体を移して事業を継続する予定。 事業・増売委員会では、神宮館の「ネコ磁石」を組合取扱商品とすることを承認した。条件等は51個販売什器セット付き、委託7掛6ヵ月後清算。
 今後、組合員が取り扱いを選択できる新商材については、委員会と事務局で協議の上、理事会に諮ることなく組合取扱商材とすることを決めた。

都内75店舗にデジタルサイネージ/BOOKS Visionプロジェクト/東京組合「書店の楽しさ発信」

 東京都書店商業組合は2月19日、昨年10月1日から都内75書店で実施している「BOOKS Vision(ブックスビジョン)」プロジェクトについて情報を発信した。
 この取り組みは、デジタルサイネージの活用で書店の新たな魅力を創出することを目的としている。
 近年、電子書籍の台頭や書籍のネット購入増加で、全国の書店数は激減している。出版科学研究所によると、2000年に2万1495店あった書店は、2020年には1万1024店と半数まで落ち込み、東京組合の加盟店舗数も1984年の1426店から2022年1月時点で287店と約80%減少している。
 「BOOKS Vision」プロジェクトは、書店数が減少する中、書店の活性化や売上増大を目指して始動した。書店の店頭や店内にモニターやタブレットを設置、デジタルサイネージを導入し、文庫、コミックス、雑誌など本に関する広告や、本にまつわる雑学、東京組合が薦める本の紹介動画など、オリジナルコンテンツを放映。書店に立ち寄る楽しさや実際に本を手に取るきっかけになることを目指している。
 オリジナルコンテンツには、クイズを取り入れながら本にまつわる雑学を紹介する「教えて本屋さん」や組合員のオススメ本、小説家や歴史上の偉人の本にまつわる名言紹介などがある。この中で銀座堂書店の庭崎雅彦さんは宮本昌孝『剣豪将軍義輝』(徳間書店)を推薦。また、スタンダールの名言「良い本は私の人生におけるイベントである」を紹介している。
 毎週更新される「コミックス新刊情報」「週刊ベストセラー」や毎月更新される「注目の新刊」も放映している。
 東京組合はサイネージ内で放映する広告の募集も随時行なっている。
 同プロジェクト特別委員会・田中久隆委員長(大和書店)は「東京都中小企業団体中央会の支援により、書店にデジタルサイネージを展開し、新刊情報等の様々な情報を提供できる仕組みを用意することができた。今後もお客様に有益な情報を配信することにより雑誌・書籍を購入していただき、書店の収益改善が図られることを期待している」とコメントしている。

子どもの読書活動推進フォーラム/4月23日に開催

 「子どもの読書活動推進フォーラム」(文部科学省、国立青少年教育振興機構主催)が4月23日(火)午後1時、東京・渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで開催される。
 「子ども読書の日」(4月23日)を記念し、国民の間に広く子供の読書活動について関心と理解を深めるとともに、子供が読書活動を行う意欲を高めることが目的。
 当日は、文部科学大臣表彰の代表者授与(優秀実践校、園、図書館、団体・個人)の式典、作家・喜多川泰氏の特別講演「読書のススメ」、文科相表彰の代表団体・個人による事例発表と対談、表彰式が行われる。
 フォーラムの様子はYouTubeでライブ配信するほか、開催後のアーカイブ配信も予定。
 参加申込は、①スマートフォン(https://forms.office.com/r/7wNOLrtbqe)、②パソコン=国立青少年教育振興機構ホームページ内の申込ページ(https://www.niye.go.jp/info/yukutoshi.html)から。入場無料。定員600名。申込締切は4月21日。

日書連のうごき

 2月6日 子どもの読書推進会議に春井副会長が出席。NHK出版企画説明会に矢幡会長が出席。
 2月7日 公取委訪問に矢幡会長、髙島理事が出席。出版再販研究委員会に矢幡会長、藤原、柴﨑、安永、平井格副会長、小野理事が出席。
 2月9日 学校図書館整備推進会議幹事会に事務局が出席。
 2月15日 政策委員会に矢幡会長、藤原、柴﨑、春井、安永(Web)、深田、平井各副会長、髙島、森松(Web)両理事、小泉、渡部、葛西各監事が出席。定例理事会(Web)。
 2月20日 読書推進運動協議会理事会に矢幡会長が出席。
 2月22日 芥川賞・直木賞贈呈式に事務局が出席。
 2月27日 全国書店再生支援財団理事会に平井副会長、髙島理事が出席。
 2月28日 雑誌コード管理委員会に柴﨑副会長が出席。
 2月29日 公取委による出版再販ヒアリングに平井副会長が出席。図書コード管理委員会に藤原副会長(Web)が出席。定期会計監査。

連載「春夏秋冬 本屋です」~国が本格的支援へ~/東 正治(大阪・東文堂書店 代表取締役)

 ホンマか!!
 新聞第1面の見出しに「書店支援へ大臣直属PT」の太ゴチが踊っている(読売新聞大阪版3月5日付)。 かねてJPICと日書連が書店議連に働きかけてきた活動が実りつつあるようです。
 経産省コンテンツ産業課に事務局を置き、かねて書店現場から要望が出ているキャッシュレス決済の問題をも含めた部局横断の体制とのこと。
 全国で減少する街の書店を支援するのが目的で、今後読書イベントやカフェ、ギャラリーなど、個性ある取り組みを後押しする方策を検討。そして書店の経営者と意見交換を行い、書店の利用客が増えた事例などを全国の書店に紹介しながら新たな支援を検討していくとの事です。
 今のところ「売れる本屋のコツ」教えますといったところです。
 ただ、街に本当に必要な書店とは必ずしも売れる本だけを並べている「売れる本屋」ではありません。色々な分野の本を手に取る事が出来、お客様に幅広い知識の伝達ができる、利益率優先とは程遠いちょっと散歩がてら寄れるような「街の本屋」だと思います。
 今流行りのネット書店や電子書籍のように本や雑誌を直接手に取って購入出来ないという事は、文化の基盤でもある本や活字に触れ合う機会が少なくなり新しい魅力的な発想も生まれないという事に繋がります。
 大臣はフランスで導入されている本の無料配送を禁止する「反アマゾン法」などの取り組みを「研究する価値はある」と仰ってくれているので、今後の「書店振興プロジェクトチーム」に期待します。

書店振興で齋藤経産相/人の視野広げる点でネットより優位/反アマゾン法など「研究の価値ある」

 齋藤経済産業相は3月12日の閣議後会見で、フランスで導入されたインターネット書店の送料無料サービスを禁止する「反アマゾン法」や、韓国で図書館が書籍を購入する際は地域書店を優先する取り組みなど、海外の事例について「もちろん研究する価値はある」として、「フランスや韓国で書店がなくなることは文化の危機という強い認識を持って取り組んでいることは、我々に今足りない部分と感じている」と述べた。
 経産省は3月5日、「書店振興プロジェクトチーム(PT)」を設置した。部局横断型の組織で書店支援の施策を進める。まず現場の書店から実態や課題を直接聞くことから始め、近く書店経営者を招いて車座対話の開催を予定している。
 齋藤経産相は「書店はあらゆるジャンルの本を見ることができる一覧性があり、様々な本との出会いがある。人の視野を広げるという点ではネットに比べて強みがある」と指摘。「ネットは便利さの点では優位性があるが、いろいろなものが一気に目に入ってくるという一覧性では書店のほうがはるかに優位性がある」と評価した。
 また、「ネットと書店と図書館の3つが共存することが望ましい文化空間」との認識を示し、「その中で書店だけがどんどんなくなっていくことに強い危機感を有している」と述べた。今回のPTでは書店の位置づけそのものについての意義や重要性にも光を当てていきたいとした。

10年間で書店764社消える/東京商工リサーチが調査

 東京商工リサーチは3月10日、「『書店』10年間で764社が倒産や廃業で消えた」と題する調査レポートを発表した。
 書店の倒産(負債1000万円以上)は、2014年から23年の10年間で140社に及び、ピークの16年は25社発生した。16年は太洋社が破産を申請し、連鎖する形で18社の書店が倒産や廃業に追い込まれた。
 その後、書店の倒産は一進一退が続き、コロナ禍では資金繰り支援や巣ごもり需要などを背景に倒産は減少に転じた。21年、22年の倒産は各5社だったが、支援縮小や特需が一巡した23年は一気に13社と2・6倍に急増した。
 休廃業・解散については、太洋社が破産した16年は63社(前年比28・5%増)と急増。その後も18年は78社、19年は77社と高水準が続いた。コロナ禍では倒産と同様に休廃業・解散も減少したが、60社前後で高止まりしている。
 倒産と休廃業・解散の合計は、ピークの19年に101社に達した。コロナ禍では減少したが、23年は67社に微増した。過去10年間で764社が市場から退出している。
 一方、書店の新設法人は、13年が81社。13年の倒産と休廃業・解散の合計は75社で、書店は6社の純増だった。しかし、新設数の減少から14年は8社の純減に転じ、19年は56社に純減が拡大した。コロナ禍の22年も21社の純減で、14年から8年連続で純減が続く。
 東京商工リサーチは「電子書籍が浸透し、書店の存在が揺らいでいる。書店の復活には『待ちの営業』から客足を向かせる創意工夫への転換と同時に、国や出版社の継続的な支援が必要」としている。

本屋大賞「書店員のモチベーション爆発」/浜本実行委員会理事長が講演/出版白門会

 出版界で働く中央大学卒業生で組織する出版白門会は1月26日、東京・千代田区の出版クラブビルで、「本の雑誌」編集発行人でNPO法人本屋大賞実行委員会理事長の浜本茂氏(中大法学部84年卒)を招き、新春講演会「本屋大賞と本の雑誌」を開催した。講演会終了後、懇親会も催した。当日は卒業生や現役学生ら約40名が出席した。
 浜本氏は「本の雑誌」の歴史などを語った後、「本屋大賞」について創設の経緯と20回の歴史、賞の持つ意義を説明した。
 本屋大賞の正式名称は「全国書店員が選んだいちばん!売りたい本 本屋大賞」といい、2004年に始まり、昨年20回目を迎えた。作家が選考委員を務める既存の文学賞に対して、本屋大賞は新刊書店員が投票で受賞作品を決定する。「出版界の売上が落ちていく中、書店にお客さんが来るきっかけになるような文学賞を書店員自らの手で作ろう」と創設された。当時『白い犬とワルツを』や『世界の中心で、愛をさけぶ』が書店員の書いたPOPをきっかけにベストセラーとなり、書店員の販売力が改めて評価されたことも後押しした。
 「本屋大賞は出版界を盛り上げるためのお祭り」と位置づけ、①普段本を読まない人たちが書店に足を運ぶきっかけになる②書店員が誰でも参加できる③人気作品ばかり選ばれないように投票は1次、2次の2回行って大賞を決定する――の3つの柱を決めた。
 大きな課題だった投票システムも当時普及し始めたインターネットを使えば少人数で簡単に、投票から集計までできることが分かった。第1回の1次投票に投票した書店員は191人。「望外な人数の書店員が投票してくれた。本屋大賞はインターネットがなければできなかった」と語る。
 第1回受賞作の小川洋子著『博士が愛した数式』はベストセラーとなった。翌年以降の受賞作もヒットが続き、本屋大賞は「店頭が盛り上がる賞」として存在感を高めていった。第3回でリリー・フランキー著『東京タワー』が受賞した時、「本屋大賞は埋もれた作品が受賞するのではないのか」と批判するメディアもあったが、「受賞前に100万部を超える本でも、それを3倍、4倍にしたいという書店員の思いのほうが価値がある」と述べた。
 発表会で書店員や受賞作家の顔を見るといつも感動するという。「候補10作品を読んで、自分たちが選んだ受賞作を売ってやるという書店員のモチベーションが、発表会当日に爆発する。出版界も捨てたものではない、まだまだ先のある業界だと思う」と話した。

訃報

 佐藤 光弘(さとう・みつひろ=名古屋市中川区・光書店代表取締役、元日書連理事、元愛知県書店商業組合理事長) 3月20日に死去した。72歳。通夜は22日、告別式は23日、名古屋市中川区の平安会館高畑斎場で執り行った。喪主は妻の宏子さん。
 2011年(平成23年)から15年まで日書連理事、愛知県書店商業組合理事長を務めた。日書連では広報委員会、取引改善委員会に所属し、出版界発展に尽力した。

日販調査店頭売上/2月期は前年比0・3%増/うるう年の影響で書籍、雑誌ともに前年超え

 日本出版販売調べの2月期店頭売上は前年比0・3%増だった。ジャンル別では、雑誌は同2・7%増、書籍は同4・1%増、コミックは同9・2%減、開発品は同変わらず。今年はうるう年のため、当年は2月1日~29日、前年は2月1日~28日で比較している。
 雑誌は、ムックの「ハイキュー!!magazine2024FEBRUARY」(集英社)などが牽引し、3ヵ月連続の前年超えとなった。書籍は、『大ピンチずかん2』(小学館)や『変な家2~11の間取り図~』(飛鳥新社)などが好調で、うるう日を抜いた同期間比較でも前年を上回った。開発品は、「シャークアタック&Co」などが売上を牽引し、3ヵ月連続の前年超えとなった。

家の光協会 第78回「全国農村読書調査」/総合読書率 4ポイント減の57%/雑誌読書率 過去最低に

 家の光協会はこのほど、第78回「全国農村読書調査」の結果をまとめた報告書『2023農村と読書』を発表した。全国60地点の農林業地域に住む16歳~79歳の男女2000人を対象に、昨年8月1日~9月4日に実施。有効回収数は761票、回収率は38・1%だった。月刊誌、週刊誌、書籍のいずれかを読んでいる割合を示す総合読書率は、前年比4ポイント減の57%になった。雑誌読書率、書籍読書率いずれも減少し、雑誌読書率は過去最低を記録した。
 総合読書率は、性別では男性が51%(前年比6ポイント減)、女性が61%(同4ポイント減)。女性が36年連続で男性を上回った。
 年齢別では、40代が最も高く68%、以下、70代が59%、10代が57%、30代が55%、60代が54%、20代が53%、50代が最も低く52%だった。前年と比べると20代で16ポイント、10代で13ポイント減少し、40代で5ポイント増加している。
 職業別では、主婦が最も高く62%、以下、学生が61%、無職が59%、給料生活が57%、農業が55%、自営業が52%。前年と比べると農業で8ポイント、学生で6ポイント減少している。
 月刊誌か週刊誌を読んでいる割合を示す雑誌読書率は、同2ポイント減の42%となった。過去最高の1989年(84%)からは42ポイント低下し、2018年、2019年の44%を下回り、過去最低となった。
 性別では男性が39%(前年同率)、女性が44%(同3ポイント減)となり、総合読書率と同じく女性が36年連続で男性を上回った。
 年齢別では70代が最も高く50%、以下、40代が48%、60代が43%、50代が34%、20代が33%、30代が32%、10代が最も低く17%だった。前年と比べると50代で14ポイント減少し、70代で6ポイント増加している。
 職業別では主婦と無職が最も高く47%、以下、農業が45%、自営業が41%、給料生活が40%、学生が最も低く19%だった。前年と比べると自営業で12ポイント減少し、主婦で6ポイント増加している。
 月刊誌読書率は同2ポイント減の33%となった。性別では男性が29%(同2ポイント減)、女性が36%(同2ポイント減)と、女性が男性を7ポイント上回った。年齢別では40代が最も高く40%、10代が最も低く9%。職業別では主婦が最も高く38%、学生が最も低く6%だった。前年と比べると年齢別では50代で8ポイント、60代で5ポイント減少している。職業別では自営業が16ポイント減少し、主婦が6ポイント増加している。
 毎月読む人の割合は14%、毎月ではないがときどき読む人は19%だった。同じ月刊誌を毎号読んでいる定期購読率は前年同率の13%だった。
 週刊誌の読書率は前年同率の21%となった。性別では男性が22%(同2ポイント増)、女性が21%(同1ポイント減)。年齢別では70代が最も高く32%、30代が最も低く9%。職業別では無職が最も高く31%、学生が最も低く16%。前年と比べると年齢別では50代で7ポイント、30代で6ポイント減少し、職業別では自営業で10ポイント減少している。
 毎週読む人の割合は同2ポイント減の2%、毎週ではないがときどき読む人は同2ポイント増の19%。同じ週刊誌を毎号読んでいる定期読書率は2%(同1ポイント減)だった。
 調査までの半年間に書籍を読んだ人の割合を示す書籍読書率は34%で、同5ポイント減となった。2019年31%、2020年36%、2021年37%、2022年39%と3年連続で増加していたが、今回は4年ぶりに減少となった。
 性別では男性が27%(同9ポイント減)、女性が39%(同2ポイント減)。年齢別では前年に続いて10代が57%と最も高く、以下、40代が51%、30代が44%、20代が36%、50代が33%、60代が28%で、70代が最も低く24%だった。前年と比べると20代が19ポイント、10代が10ポイント減少し、40代が9ポイント増加している。
 職業別では前年に続いて学生が最も高く58%、以下、給料生活が39%、主婦が34%、自営業と無職が26%の順で、農業が23%と最も低かった。前年と比べると自営業が10ポイント減少している。
 この半年間に書籍を読まなかった人も含めた全員の、過去1ヵ月の平均読書冊数は、前年と同じく1・4冊だった。性別では男性が1・0冊、女性が1・8冊だった。年齢別では10代が最も多く4・2冊、最も少ないのは60代の0・6冊だった。職業別では学生が最も多く3・4冊、以下、給料生活が1・8冊、無職が1・6冊、主婦が1・1冊、自営業が0・7冊の順となり、農業が0・3冊と最も少なかった。
 この半年間に書籍を読んだ人の過去1ヵ月の平均読書冊数は、「0冊」が21%、「1~4冊」が圧倒的に高く55%、「5~9冊」が8%、「10~14冊」が4%、「15冊以上」が8%となった。
 過去1ヵ月に書籍を読んだ人の平均読書冊数は、同0・7冊増の5・6冊だった。性別では男性が4・5冊、女性が6・1冊。年齢別では40代が最も多く10・9冊、以下、10代が9・3冊、50代が6・2冊、30代が4・6冊、20代が3・8冊、70代が3・5冊の順で、60代が3・0冊と最も少なかった。職業別で最も多いのは学生の7・9冊、最も少ないのは農業の1・9冊だった。
 読んでいる月刊誌(毎号読む+ときどき読む)は、1位は「家の光」(家の光協会)、2位は「現代農業」(農山漁村文化協会)、3位は「オレンジページ」(オレンジページ)、4位は「ハルメク」(ハルメク)、5位は「NHKきょうの料理」(NHK出版)と「天然生活」(扶桑社)が同率。毎号読んでいる月刊誌の1位も例年通り「家の光」。ときどき読んでいる月刊誌の1位は「オレンジページ」だった。
 読んでいる週刊誌(毎号読む+ときどき読む)は、1位は「週刊文春」(文藝春秋)、2位は「女性セブン」(小学館)、3位は「週刊少年ジャンプ」(集英社)、4位は「女性自身」(光文社)、5位は「週刊新潮」(新潮社)だった。毎号読んでいる週刊誌の1位は昨年と同様「週刊少年ジャンプ」。ときどき読んでいる週刊誌の1位は「週刊文春」だった。
 調査時点までの半年間に読まれた書籍の1位は尾田栄一郎『ONE PIECE』(集英社)と芥見茶々『呪術廻戦』(集英社)が同率、3位は吾峠呼世晴『鬼滅の刃』(集英社)、4位は凪良ゆう『流浪の月』(東京創元社)、5位は浅田次郎『流人道中記』(中央公論新社)。今回も1位から3位まで漫画が占めた。
 月刊誌の購入先または借覧先と入手法は、月刊誌が1位「書店」52%、2位「スーパー・コンビニ」22%、3位「予約購読」17%。週刊誌は1位「スーパー・コンビニ」47%、2位「書店」39%、3位「美容院・食堂・病院」35%。書籍は1位「書店」74%(前年73%)、2位「図書館・公民館」33%(同22%)、3位「インターネット」30%(同26%)となった。
 本を読まない人も含めた全員の1ヵ月の平均支出額は同67円増の949円となった。ただし「本を買わなかった」が55%(同2ポイント増)を占めているため、本を買う人の1ヵ月の平均支出額は同265円増の2392円だった。
 好きな作家・著者の1位は15年連続で東野圭吾。2位は湊かなえ、3位は宮部みゆき。
 1日平均のマス・メディアとの接触時間は、読書時間は本を読まない人も含めた全員で17分(前年同率)、読んだ人で37分(同1分増)となった。全員の数字で、新聞は16分(同1分減)、テレビは140分(同3分減)、ラジオは43分(同3分増)、インターネットは49分(同11分減)。
 インターネット接続機器(パソコン、携帯電話、電子書籍端末など)の利用率は79%(同3ポイント増)。電子書籍・電子雑誌の読書率(よく読んでいる+ときどき読んでいる)は33%(同1ポイント増)。

福島県教委「読書に関する調査」/本を1冊も読まない不読率/小学生は微増、中高生は減少

 福島県教育委員会は3月19日、県内の公立小・中学校と県立高校を対象とした令和5年度「読書に関する調査」の結果を公表した。
 1ヵ月の平均読書冊数は、小学生が11・7冊(前年度12・2冊)、中学生が2・8冊(同3・0冊)、高校生が1・5冊(同1・5冊)。小・中学生は減少し、高校生は横ばいだった。小1の16・5冊が最高で、そこから小・中・高と学年が上がるにしたがって読書量が減少している。
 小学生では「8冊以上」と回答した児童が50・5%(同52・0%)と半数を超えている。中学生では「1冊」~「3冊」の割合が高く、65・4%を占めている。高校生では「0冊」が42・7%(同43・9%)と最も高い。
 「0冊」と回答した児童生徒は、小学生が1・7%(同1・6%)、中学生が13・0%(同14・1%)、高校生が42・7%(同43・9%)。前年度の調査と比較すると、小学生は0・1ポイント微増、中学生は1・1ポイント減少、高校生は1・2ポイント減少している。
 「0冊」と回答した児童生徒の学年別の割合は、小1が0・5%(同0・3%)と最も低く、高2が44・2%(同45・9%)と最も高い。学年が上がるにつれて「0冊」の割合が高くなる傾向は例年と同様。中学生と高校生は、どの学年も「0冊」の割合が昨年度に比べて低くなっているの対し、小学生は過半数の学年が高くなっている。
 本を読まない理由は、小学生は「テレビ・ゲームなどのほうが楽しい」、中学生は「勉強・塾・宿題などで忙しい」、高校生は「スマートフォン・携帯などのほうが楽しい」がトップだった。
 読書のきっかけは、小学生は「学校の図書館で見つけた」が最も高く62・8%(同62・1%)を占める。中学生は「本屋で見つけた」が38・3%(同42・7%)。高校生も中学生と同様の傾向が見られ、「本屋で見つけた」が最も高く34・5%(同37・6%)となっている。
 本を手に入れた方法は、小学生は「学校の図書館を利用」が72・3%(同71・8%)を占め、続いて「自分で買った」が12・2%(同13・0%)となっている。中学生は「自分で買った」が54・8%(同55・6%)を占め、続いて「学校の図書館を利用」が26・2%(同24・9%)。高校生も中学生と同様、「自分で買った」が60・4%(同61・8%)、「学校の図書館を利用」が22・6%(同22・4%)となっている。小・中学校では「学校の図書館を利用」の割合が年々高くなっている。
 県教委は学年が上がるにつれて読書量が減り、不読者が増加する傾向が続いていることから、発達段階や学習・生活環境の変化に即した具体的な読書指導を展開することで、読書に親しむ児童生徒の育成を図る必要があるとしている。

『本屋のない人生なんて』光文社から発売

 ノンフィクションライターの三宅玲子氏が北海道から九州まで全国の気骨ある書店を訪ね歩いたノンフィクション『本屋のない人生なんて』が3月21日、光文社から発売された。定価2090円(税込)。
 出版不況と言われて久しく、商店街の小さな書店はもはや当たり前の風景ではなくなっている中、それでも新しい「本屋」を開く店主たちがいる。いま、なぜ本屋なのか――本書はその答を探して個性ある書店に取材を重ねて生まれた。
 登場する書店は留萌ブックセンター(北海道)、今野書店(東京)、定有堂書店(鳥取)、ウィー東城店(広島)、ブックスキューブリック(福岡)、本屋Title(東京)、高久書店(静岡)、双子のライオン堂(東京)、汽水空港(鳥取)、MINOU BOOKS(福岡)、橙書店(熊本)の11書店。

日販 新物流拠点の名称/「N-Port新座」に決定/カルチュア・エクスペリエンスの一部機能統合へ

 日本出版販売(日販)は3月22日、グループ全体で取り組む「物流再編プログラム」の第1弾として10月に埼玉県新座市に開設する新拠点の名称を「N-Port新座」(NP新座)に決定した。拠点の開設にあたり、グループの物流拠点最適化を目的に、カルチュア・エクスペリエンス(CX)の一部物流拠点の機能を統合する.
 NP新座は、自動倉庫「ラピュタASRS」を導入し、ロボティクスの活用や新しい倉庫管理システムの導入などで高度化された物流システムの実現を目指す新拠点。分散していたグループの物流拠点や機能の整理・統合による物流拠点最適化を目的に、CXの「厚木サテライト」と「西日本センター」の文具雑貨在庫出荷機能を統合する。これによりグループとしての物流コスト削減を図るとともに、文具・雑貨商品の物流機能を効率化し、取引書店にいっそうのオールインワン物流の価値を提供していく。
 NP新座の所在地は、埼玉県新座市中野1―13―20。延床面積は7670坪。「文具雑貨商品等の保管および仕入・出荷」「出版社からの物流受託業務の拡張」「他社からの物流業務受託」を主要業務とし、10月から順次稼働予定。

神保町にシェア型書店「ほんまる」/今村翔吾氏「出版界復活に一石」

 直木賞作家の今村翔吾氏が3月15日、4月27日に東京・千代田区神田神保町でシェア型書店「ほんまる」をオープンすると発表した。
 シェア型書店は本棚を借りた人(棚主)がおすすめの本、自分で作った本などを販売する貸棚式書店。従来は個人利用が大半だったが、ほんまるでは法人向け契約を用意し、企業も参加できる仕組みになっている。法人契約の場合、行うのは選書だけで、商品の発注・陳列・販売はほんまるが代行する。企業はほんまるの棚を自社の「オリジナル書店」に見立てたブランディングが可能になる。
 国立新美術館のシンボルマークデザインやユニクロのグローバルブランド戦略などを手掛けた佐藤可士和氏がクリエイティブディレクターを務め、ほんまるのロゴデザインや店舗デザイン、今村氏が目指すシェア型書店のクリエイティブを担う。
 You Tubeチャンネル「今村翔吾のまつり旅」で行なった出店記念対談で、今村氏は「棚が主役で、その中の本が主役。この扱い方を間違わなければ、シェア型書店は出版界に大きな復活の一石を投じるものになる」、佐藤氏は「本屋さんを超えた本屋さんになる可能性がある。社会貢献というか、社会の何かいいことに使えたらいい」と語った。
 4月27日の開店日に、東京・千代田区の日販のワークプレイス「オチャノバ」で今村氏と佐藤氏による記念イベントを実施する

本の要約サービス「フライヤー」/大阪・鶴見の正和堂書店とコラボフェア

 本の要約サービス「flier」を運営するフライヤーは、正和堂書店(大阪市鶴見区)と業務提携し、2月21日から「flier」フェアを開始した。大阪府の書店チェーンでは初の開催。
 正和堂書店は1970年創業。現在は創業者の孫の小西康裕さんと弟の悠哉ささんが3代目として経営している。アイスバー、クリームソーダ、ポップコーンなど多彩なデザインのオリジナルブックカバーが話題を呼び、SNSの総フォロワー数が15万人を超えるなど、独自の取り組みが好評を得ている。
 今回のフェアは、flierで要約を公開している書籍の中から「月間ランキング」「話題の本」「第1位の本だけを集めました」の3つのカテゴリーに分けて、30銘柄の書籍を展開している。展開書籍は順次入れ替えながら継続する。
 「ネットとリアルの書店の融合」をテーマに実施している書店との連携企画では、各書籍のPOPに付けたQRコードをスマホで読み取ることで、通常は有料の要約文を、誰でも無料で「立ち読み」することができる。本の大筋を捉えてもらうことで来店客の興味を高め、「いま出会うべき本」を選べる仕組み。
 正和堂書店は「フライヤー棚を導入することでお客様の本選びをお手伝いし、新しい発見を促すきっかけを提供できれば」としている。

売上高1720億円、1.5%増/講談社 第85期決算

 講談社は2月20日、第85期(2022年12月1日~23年11月30日)の決算を発表した。売上高は前年比1・5%増の1720億200万円、税引前当期純利益は同19・3%減の177億2400万円、当期純利益は同23・7%減の114億1900万円だった。
 売上高の内訳は、製品(紙の書籍・雑誌)が同6・9%減の533億9400万円、事業収入が同6・9%増の1071億1400万円、広告収入が同3・5%減の71億3400万円、その他が同12・5%増の15億9800万円、不動産収入が同12・0%減の27億6000万円だった。

小学館「御書印プロジェクト」4周年/参加書店480店に

 小学館と小学館パブリッシング・サービスが事務局を務める「御書印プロジェクト」は3月1日で4周年を迎えた。
 このプロジェクトは、参加書店で御書印帖に書店のオリジナル印を含む3つの印を御書印代300円を払って捺してもらい、訪問した日付と書店員が選んだフレーズ(縁のある本の一節など)を記入してもらう。異なる書店50店の異なる御書印が捺された御書印帖を同プロジェクト事務局に送付すると、記念の「巡了の印」が捺されて返送される。
 2020年に参加書店46店でスタートし、現在は北海道から沖縄、台湾まで480店が参加している。これまでの参加者は2万5000人、押印回数は7万回を超えた。50書店を巡った巡了者は延べ200人を突破し、最多で9回巡了している人もいる。
 書店の枠を超えてお勧め本を紹介する「御書印フェア」は、今年は参加書店142店の推選本を揃えて、3月1日の銀座蔦屋書店(東京)を皮切りに、TSUTAYAデイズタウンつくば(茨城)、ジュンク堂書店大阪本店(大阪)、ブックエースTSUTAYAイオンタウン水戸南店(茨城)、ひらく本屋東文堂書店(岐阜)、紀伊國屋書店京橋店(大阪)などで開催している。

トーハン/新社長に川上浩明副社長/近藤敏貴社長は代表取締役会長に

 トーハンは3月18日開催の定例取締役会で2024年度の役員体制および機構改革・人事異動を決議した。川上浩明副社長が代表取締役社長、近藤敏貴社長が代表取締役会長に就任することを決めた。
 執行役員では、川上副社長執行役員は社長執行役員、大西良文常務執行役員は専務執行役員、金子俊之執行役員は上席執行役員にそれぞれ昇任する。岡村義之総務人事部長は執行役員に新任する。高見真一常務執行役員は3月31日付、豊田広宣専務執行役員は6月27日付で退任する。
 取締役の選任については6月27日開催の定時株主総会で決議する予定。取締役兼務者を含む現任執行役員に対しては期首4月1日付で2024年度の担務を委嘱する。

トーハン/板橋区に夜間無人書店3号店/「メディアライン大山店」営業開始

 トーハンとNebraskaは、Nebraskaが開発した無人営業化ソリューション「MUJIN書店」の実証実験第3号店として、トーハングループのメディアライン大山店(東京・板橋区)をリニューアルし、3月15日より有人・無人ハイブリッド型24時間営業をスタートした。
 両社は「MUJIN書店」の導入店舗拡大し新業態開発で協業し、昨年3月に山下書店世田谷店(同・世田谷区)、同11月にメディアライン曙橋店(同・新宿区)で導入。各店とも24時間営業化で夜間早朝の購買ニーズに応えて売上が増加し、キャッシュレスとセルフレジを組み合わせた無人営業化で店舗収益にも改善効果が確認されている。顕著な万引被害増加はなく、店内での迷惑行為なども発生していない。
 メディアライン大山店は東武東上線の大山駅前に立地し、売場面積35坪。有人営業が、月~土曜日の10時~22時、日・祝の10時~21時。無人営業が、月~土曜日の22時~翌10時、日・祝の21時~翌10時。年中無休。運営はトーハングループのスーパーブックス。
 両社は今後、トーハングループにとどまらず広く一般書店への導入提案を計画している。

小学館漫画賞/『葬送のフリーレン』など4作品受賞/今回から部門は廃止

 第69回小学館漫画賞の贈呈式が3月1日、都内で開催され、受賞者に正賞ブロンズ像と副賞100万円が贈られた。今回の受賞作は、絹田村子『数字であそぼ。』(月刊flowers)、山田鐘人原作・アベツカサ作画『葬送のフリーレン』(週刊少年サンデー)、稲垣理一郎原作・池上遼一作画『トリリオンゲーム』(ビッグコミックスペリオール)、松井優征『逃げ上手の若君』の4作品。昨年まで「児童」「少年」「少女」「一般」の各部門で最も優れた作品を選出していたが、今年から部門を廃止した。
 冒頭あいさつした相賀信宏社長は、同賞の受賞者で『セクシー田中さん』の著者・芦原妃名子さんが1月に急死したことに触れ、「事態を重く受け止めている。再発防止に努める」と述べた。部門を廃止したことについては、「現在の漫画は世代や性別を超えて広く読まれる文化になっている。漫画賞が時代に合わせて変化していくための第一歩」と話した。
 続いて『数字であそぼ。』の作者・絹田氏、『葬送のフリーレン』の作画・アベツカサ氏、『トリリオンゲーム』の原作・稲垣氏と作画・池上氏、『逃げ上手の若君』の作者・松井氏が受賞の喜びを語った。
 アベツカサ氏は「2018年の年末、初めて1話目のネームを読み、とても美しい物語だな、描いてみたいなと思った。しばらくしてフリーレンのキャラクターを描いてみた。その絵を山田先生が気に入ってくださり、作画することになった。このような賞を受賞するとは想像していなかった。多くの読者に支えられて今日を迎えることができた」と謝意を述べた。

連載「生活実用書・注目的新刊」~岩淵悦太郎著・岩淵匡監修『大人の教養と語彙力が身につく 日本語 語源の楽しみ』(だいわ文庫)~/遊友出版・齋藤 一郎

 川島隆太著『本を読むだけで脳は若返る』(PHP新書 900円)は東北大学教授、医学博士が読書の効用を語る。本を読むことで脳全体が活性化し発達するという。 たとえば仙台市の公立小、中学校全体の14年間のデータでは、本好きの子供の学力や認知能力が明らかに高いことが分かっている。タブレットやスマホは、学校、仕事に欠かせないものになっているが、デジタル機器を使っている時には、ボーッとしている状態よりも脳活動は下がっている。学習用アプリでも、学力に悪影響が見られる。
 大人の脳も同じで、スマホで長文を書いても、前頭前野の脳活動は高まらない。スマホで調べるより紙の辞書を使う方が何倍も脳を使うし、覚えるというデータや、アルツハイマー型認知症の患者に、音読をしてもらうと、脳の認知機能が向上するという証明もある。 脱スマホ・タブレットで子供の脳を守れ、AI時代だからこそあえて読書をせよと呼びかける。 金田一春彦著『ホンモノの日本語』(角川ソフィア文庫 680円)はそんな日本語の優れた特徴を他言語と比較する。 PCの音声入力に有利な言語だし、数を表現が便利なことで簡単に九九が覚えられる。日本語の魅力に気づく本である。