全国書店新聞
             

令和6年5月1日号

全国の書店組合加盟店舗2536店に/1年間で129店減少 新規加入12店、脱退141店

 4月1日現在で日書連会員の45都道府県書店商業組合に加盟する店舗数は、1年前と比べて129店減(4・8%減)の2536店になったことが組織委員会(安永寛委員長)の調査で分かった。
 この1年間の新規加入は12店、脱退は141店。組合員数が増加した組合はなし。前年と変わらずは秋田、群馬、福井、和歌山、鳥取、徳島、熊本、大分、宮崎、沖縄の10組合。残る35組合は組合員数が減少している。
 新規加入があった組合は福岡(7店)、東京(2店)、兵庫、鳥取、高知(いずれも1店)の5組合。40組合は新規加入がなかった。
 一方、脱退があった組合は36組合。脱退数が多い順に、①福岡(17店)、②東京、大阪(15店)、④宮城(9店)、⑤千葉、静岡(8店)、⑦京都(6店)、⑧長野、広島(5店)、⑩茨城、埼玉、愛知(4店)。
 脱退数から新規加入数を引いた純粋な減少数では、減少数が多い順に①大阪(15店減)、②東京(13店減)、③福岡(10店減)、④宮城(9店減)、⑤千葉、静岡(8店減)、⑦京都(6店減)、⑧長野、広島(5店減)、⑩茨城、埼玉、愛知(4店減)。減少率でマイナス幅の多い順に見ると、①島根(13・0%減)、②千葉(10・3%減)、③広島(9・4%減)、④佐賀(9・1%減)、⑤宮城(9・0%減)、⑥大阪(8・6%減)、⑦長野(8・5%減)、⑧静岡(7・5%減)、⑨奈良(6・5%減)、⑩三重、長崎(6・3%減)。
 組合員数が多い上位10組合は、①東京(251店)、②大阪(160店)、③福岡(158店)、④愛知(123店)、⑤兵庫(115店)、⑥京都(104店)、⑦埼玉(103店)、⑧静岡(98店)、⑨宮城(91店)、⑩北海道(73店)。組合員数が少ない組合は、①高知(16店)、②島根、徳島、佐賀、宮崎(20店)、⑥青森(22店)、⑦山梨(23店)、⑧秋田、鳥取、愛媛(24店)の順。
 全国の書店組合加盟店舗数は1986年の1万2935店をピークに前年割れが続き、今年で37年連続のマイナス。組織規模はピーク時の20%以下に縮小している。

書店組合総会スケジュール

 ◆青森県書店商業組合「第37回通常総会」
 5月10日(金)午後1時、青森市・アラスカ会館で開催。
 ◆東京都書店商業組合「第48回通常総代会」
 5月20日(月)午後2時、千代田区・ホテルメトロポリタンエドモントで開催。
 ◆沖縄県書店商業組合「第36回通常総会」
 5月20日(月)午後2時、那覇市・組合会議室で開催。
 ◆埼玉県書店商業組合「第40回通常総会」
 5月21日(火)午後3時、さいたま市浦和区・埼玉書籍で開催。
 ◆大阪府書店商業組合「令和5年度通常総会」
 5月25日(土)午後3時、大阪市北区・組合会議室で開催。
 ◆福井県書店商業組合「第40回定時総会」
 5月27日(月)午後4時半、あわら市・灰屋で開催。
 ◆京都府書店商業組合「第40回通常総会」
 5月30日(木)午後3時、京都市下京区・サウザンド京都で開催。
 ◆愛知県書店商業組合「第41回通常総会」
 6月5日(水)午後2時半、名古屋市千種区・ホテルルブラ王山で開催。
 ◆愛媛県書店商業組合「第36回定時総会」
 6月7日(金)午後4時半、松山市・ANAクラウンプラザホテル松山で開催。
 ◆茨城県書店商業組合「第37回通常総会」
 6月27日(木)午前10時、水戸市・茨城県教科書販売で開催。

本屋大賞/『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈氏が受賞

 2024年度「全国書店員が選んだいちばん!売りたい本 本屋大賞」の発表会が4月10日に東京・港区の明治記念館で行われ、宮島未奈氏の『成瀬は天下を取りにいく』(新潮社)が大賞に輝いた。
 受賞作は、滋賀県大津市を舞台に主人公の成瀬あかりの活躍を描く連作短編集で、今年1月には続編『成瀬は信じた道をいく』も刊行されている。宮島氏はあいさつの冒頭で「滋賀の皆さん見ていますか。『成瀬』が本屋大賞を取りました」と地元に報告した後、「これから本屋大賞作家という看板を背負っていくと思うと、身が引き締まる思い。コロナ禍に小説家人生がスタートした私にとって、こうして多くの人にお祝いしていただけることは感無量。作品の中で成瀬は『先のことは分からない』というが、私もこんなことになるとは想像していなかった。来年の本屋大賞までの1年間、想像できないことがたくさん起こると思うが、成瀬と一緒ならばきっと大丈夫」と受賞の喜びを述べた。
 会場には昨年の本屋大賞を受賞した凪良ゆう氏も祝福に駆けつけ、「今年は成瀬が天下を取りつつ、書店を一緒に盛り上げてくれると期待している」とエールを送った。
 今回の本屋大賞は、22年12月1日から23年11月30日の間に刊行された日本の小説が対象。1次投票には530書店から736人が参加、1人3作品を選んで投票し、上位10作品をノミネート。2次投票では342書店443人が全作品に感想コメントを書き、ベスト3に順位をつけて投票した。昨年と比べて1次投票者数は59書店121人増と大幅に増加、2次投票者数も9書店21人と増加している。また今回、秋田県から投票があったことで、21回目にして全都道府県からの投票が揃った形となった。 2位以下は次の通り。
 翻訳小説部門は、『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』(ファン・ボルム著、牧野美加訳、集英社)が受賞した。今回、部門創設以来初めて著者が来場し、ファン氏は「私の小説が日本で翻訳出版されるとの知らせを聞いて、日本の読者にどんな風に読んでもらえるのかと気になった。この小説を書いているときに日本の映画からインスピレーションを受けていたこともあっ
 ②『水車小屋のネネ』津村記久子(毎日新聞出版)③『存在のすべてを』塩田武士(朝日新聞出版)④『スピノザの診察室』夏川草介(水鈴社)⑤『レーエンデ国物語』多崎礼(講談社)⑥『黄色い家』川上未映子(中央公論新社)⑦『リカバリー・カバヒコ』青山美智子(光文社)⑧『星を編む』凪良ゆう(講談社)⑨『放課後ミステリクラブ 1金魚の泳ぐプール事件』知念実希人(ライツ社)⑩『君が手にするはずだった黄金について』小川哲(新潮社)

[翻訳小説大賞は『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』]
 翻訳小説部門は、『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』(ファン・ボルム著、牧野美加訳、集英社)が受賞した。今回、部門創設以来初めて著者が来場し、ファン氏は「私の小説が日本で翻訳出版されるとの知らせを聞いて、日本の読者にどんな風に読んでもらえるのかと気になった。この小説を書いているときに日本の映画からインスピレーションを受けていたこともあって、雰囲気に親しみを持ってもらえるのではないかと少し期待もしていた。賞をもらえたということは楽しんで読んでくれた人がいるということなので、とてもうれしい」と受賞の感想を語った。
 また、既刊本の掘り起こしを目的に、22年11月以前に刊行された既刊書籍を対象とした「発掘部門」では『プラスティック』(井上夢人著、講談社文庫)が「超発掘本!」に選ばれた。井上氏は、「この作品は1993年に双葉社の『小説推理』に連載したもので、31年も前の作品が選ばれてびっくりした。小説家は自分の作品が多くの人に長く読まれていくことを希望しているが、なかなかそうはいかない。こういう形で掘り返してもらい、日に当てていただくチャンスを得たことはこの上ない喜びであり、これが作家冥利に尽きる」と思いを述べた。

元公安・勝丸円覚氏の動画公開 著書+おススメ本4点の店頭展開も/東京書店組合「木曜日は本曜日」

 東京都書店商業組合(矢幡秀治理事長)は4月2日、東京・千代田区の書店会館で定例理事会を開催した。
 共同受注・デジタル委員会は、書店へ足を運ぶ習慣作りを目指す「木曜日は本曜日」プロジェクトの新しい動画と配本について報告した。TBS系日曜劇場『VIVANT』で公安に関する部分を監修した、元警視庁公安部外事課でセキュリティコンサルタントの勝丸円覚氏の動画を4月25日に公開する。また、同氏の著書『諜・無法地帯 暗躍するスパイたち』(実業之日本社)と同氏が選んだお薦め本『外事警察秘録』(北村滋著、文藝春秋)、『世界史を変えたスパイたち』(池上彰著、日経BP)、『スパイのためのハンドブック』(ウォルフガング・ロッツ著、早川書房)の計4点を動画公開に合わせて店頭展開する。
 令和6年度の図書館等納入については、東京組合が中央、港、渋谷、台東、品川、目黒、世田谷、中野、杉並、豊島、練馬、板橋、北、荒川、墨田、江東、江戸川、町田の18区・市と契約を締結し、担当する組合員へ納入業務を配分することを承認した。
 総務・財務委員会では、能登半島地震義援金について本部分20万円、支部分42万1千円、個店分10万6千円の総額72万7千円を3月25日に石川県書店商業組合の義援金口座に送金したと報告した。
 また、4月1日現在の組合員数を251店と日書連に報告すること、6月以降の理事会日程を6月4日、7月2日、9月3日、10月2日、11月5日、12月3日とすること、4月23日に那須塩原市図書館みるるで開催される映画「本を贈る」の上映&トークイベントを後援することを承認した。
 事業・増売委員会では、「大人の塗り絵 クーピーBOX」と「やさしい大人の塗り絵 きれいな花編」(河出書房新社)を特別増売商品とすることを承認した。

連載「春夏秋冬 本屋です」~魚の図鑑~/小田原 健吾(愛媛・愛媛県教科図書マスヤ店 部長)

 幼い頃、汽水域の川沿いに住んでおりました。潮が引くと干潟に下り、ゴム草履を泥に埋め込みながらゴカイやエビを捕り、潮が満ちるとそれを餌にボロボロの竹竿で小魚を釣るのが日課のようなものでした。
 魚が釣れると、バケツに入れて持ち帰り、兄の机に立っている魚の図鑑を取り出し、魚の名前を調べます。よく釣れたのが、ボラやチヌやスズキの子供でした。僕が釣る小さな魚でも、母がさっと煮付け、父がそれを肴に、焼酎を湯割りで飲んでおりました。
 そのうち魚に全く興味のない兄が、図鑑を僕にくれました。毎日のように自分の机を荒らす弟が邪魔だったに違いありません。
 僕は小学校に入学したばかりで、新品の机でしたが、本棚にはまだ数冊の教科書しか刺さっておりません。嬉しさのあまり、家族の皆に図鑑を見せびらかしに走り回った挙句、新品の机の本棚に魚の図鑑を立てました。何か急に自分の机が高級になった気がして、机に頬をこすり付けました。机は、ほんのり木の香りがしました。
 毎日毎日その魚の図鑑を眺め、載っている魚の名前を全て覚えました。店の棚に置いてある売り物の図鑑を見るとあの頃を思い出します。
 僕にもとうとう孫が出来ました。娘に「孫が学校に行く頃には図鑑を買ってやろうかね」と言ったところ、娘曰く「図鑑は自分で買うから、机を買って」ということです。

JPO「出版情報登録センター」説明会開催/雑誌仕入・搬入業務の効率化と販売促進/相賀代表理事が活動方針報告

 日本出版インフラセンター(JPO)は3月11日のシステム改修に伴い、3月7日に東京・千代田区の出版クラブビルで出版情報登録センター(JPRO)に追加する新機能などの説明会を開催し、リアルとオンライン合わせて約1000名が参加。雑誌仕入・搬入業務等の効率化と販売促進、ためし読みコンテンツの登録、著作権法改正にも対応したJPRO活用法などを説明した。
 相賀昌宏代表理事(小学館)はJPOの活動方針を報告し、「日本出版業界の情報基盤の開発を活動の目的としている。主な構成員は出版社、取次、書店、図書館だが、必要に応じて様々な領域の方々に参加してもらい、限られた経済的、人的資源の中で新たな事業施策を加えたり、役割を終えたものについては事業を終了している。出版業界全体の発展と読者の満足度を高めることを目指しているが特に各出版社並びに出版業界関係者の自主独立と、それぞれの異なる考え方の存在を大事にすることを活動方針の大前提としている。また、各出版社並びに出版業界関係者に不公平をもたらすことがないように心がけている」と述べた。
 JPROについては、「情報提供が増えるほど利用価値が上がるという存在。さらに情報提供を増やすためにも事業内容、提供してもらった情報の活用事例などを多くの方々に説明し理解してもらい、情報を提供しただけの甲斐があったと実感してもらうことが大事だ。JPROの活動を通じて自らの課題として目指したいことがある。利用者が驚きと発見の喜びを見つけてもらえるような本の情報をできるだけ提供していきたいということと、様々な難問の中に生きる各人が、個人の自立と対話による連携によって、分断と格差を乗り越えられる方向に向かうという思いをつかんでもらえるような本の情報を載せていきたいということだ。これらの課題に取り組み、学びながら世界を変えていくものにしていきたい。JPROは他の団体との連携も積極的に進めてきた。初めは書店、取次、図書館、出版の各関係団体との付き合いが中心だったが、国立国会図書館、日本図書館協会、出版文化産業振興財団、日本点字図書館などの団体との連携も密になりつつある。さらに編集者、著作者、研究者、そして何よりも読者が利用することによって、新たな事業、施策と改善を持続することができる。この現状での情報交換と情報集積はウェブのTTS、音声読み上げ機能対応などアクセシビリティ配慮によるすべての人々への利用展開、書誌データの英文翻訳などによる海外の出版関連団体との情報交換や国際市場への情報展開に少しずつだが対応していくことによって、新たなビジネス展開にも役立つ」と述べ、2024年はこの活動方針に照らし合わせながら事業に取り組んでいくと話した。

小中高生4部門5作品にグランプリ/JPIC「マンガ感想文コンクール」授賞式

 出版文化産業振興財団(JPIC)は3月16日、東京・千代田区の出版クラブホールで「マンガ感想文コンクール」の授賞式を開催した。
 このコンクールはマンガ感想文コンクール実行委員会が共催、コミック出版社の会が協力、コミック出版社12社と日本図書普及が協賛、41都道府県教育委員会など後援。
 今回は全国の小中高校生から1万2022通の応募があり、甲斐雄一郎(文教大)、藤本由香里(明治大)、町田守弘(早大名誉教授)、吉村和真(京都精華大教授)、中野博之(集英社・週刊少年ジャンプ編集長)、荻原綾乃(小学館・ちゃお編集長)による最終審査を経て、「小学校低学年」「同・高学年」「中学校」「高等学校」の4部門で5作品のグランプリと15作品の特別賞を決定した。
 授賞式には全国各地から受賞者が出席し、受賞コメントや最終審査員から講評が披露された。グランプリには3万円、特別賞には1万円のオリジナル図書カードが贈呈され、集英社、小学館のコミック編集部を編集長の案内で見学した。
 受賞作品は特設ホームページで公開している。

『悪逆』の黒川博行氏ら受賞6氏があいさつ/吉川英治賞 贈呈式開催

 吉川英治国民文化振興会が主催する「第58回吉川英治賞」「第9回吉川英治文庫賞」「第45回吉川英治文学新人賞」「第58回吉川英治文化賞」の贈呈式が4月11日、都内で開催され、受賞した6氏が登壇した。
 今回、吉川英治賞は黒川博行『悪逆』(朝日新聞出版)、吉川英治文庫賞は阿部智里『八咫烏』シリーズ(文春文庫)、吉川英治文学新人賞は藤岡陽子『リラの花咲くけものみち』(光文社)、吉川英治文化賞は鳥海修「日本語文化になくてはならない『書体』を作り続ける設計士」、戦場体験放映保存の会「もうすぐ消えてしまう『戦争体験の肉声』を残す」、日本看護協会災害支援ナース「被災地の医療機関や避難所で適切な医療や看護を提供する」が受賞した。
 主催者を代表してあいさつした野間省伸理事長(講談社)は「吉川作品は日本国内だけではなく広く世界でも愛され続けている。文化は一朝一夕に築けるものではない。小説も現代に読まれるだけではなく未来、また国を超えて多くの人に読み継がれることにより文化となり得る。いつまでも変わることなく長きにわたり文化・社会貢献に取り組んできた方々に本賞を贈ることは、当財団の使命と思っている」と話し、賞を贈呈した。
 選考委員の宮部みゆき、辻村深月、平松洋子の3氏が選評を述べたあと、吉川英治賞の黒川氏、文庫賞の阿部氏、新人賞の藤岡氏らが受賞の喜びを語った。

出版科学研究所調べ/2月期販売額は3・5%減/書籍1・1%減、雑誌7・6%減

 出版科学研究所調べの2月期の書籍雑誌推定販売金額(本体価格)は前年同月比3・5%減となった。内訳は書籍が同1・1%減、雑誌が同7・6%減で、雑誌の内訳は月刊誌が同8・0%減、週刊誌が同5・1%減だった。
 返品率は書籍が前年同率の31・0%、雑誌が同1・6ポイント増の42・8%で、雑誌の内訳は月刊誌が同1・6ポイント増の41・5%、週刊誌が同1・1ポイント増の48・4%。書籍、雑誌ともに返品率の足踏み状態が続いている。コミックスの売れ行きが想定以上に芳しくなく、月刊誌は5ヵ月連続の悪化となった。
 書店店頭の売れ行きは、うるう年の影響もあって前年を超えた。書籍が約4%増と絶好調で、うるう日を除いても前年を上回った。文芸は約12%増で5ヵ月連続のプラス。文庫は約3%増、新書は約3%減、ビジネスは約8%増、学参は約5%増、児童は約1%増。
 雑誌は定期誌が約1%減、雑誌扱いコミックスが約15%減、ムックは約11%増。2月16日のアニメ映画公開を受け『ハイキュー!!magazine2024FEBRUARY』『「ハイキュー!!」ジャンプ ゴミ捨て場の決戦』(いずれも集英社ムック)の2誌が牽引した。

兵庫県書店商業組合の読書推進事業「どっぷりつかるなら読書がいいね!」/中高生が推薦図書24冊選ぶ/ネット依存、トラブル対策に一役

 兵庫県書店商業組合は、中高生向けの読書推進事業「どっぷりつかるなら読書がいいね!2024」を4月1日から開始した。
 この事業は、兵庫県県民生活部男女青少年課が中高生のネット依存やトラブルの防止を最重要課題にしていることをきっかけに、2022年からスタート。県下の現役中高生が選んだ推選図書リストの中から、毎月1冊ずつの読書をすすめている。兵庫県と兵庫県教育委員会が後援。
 今年度も中高生に推薦図書の応募を呼びかけたところ、約180の推薦文が届き、合計24冊の推薦図書を選定した。兵庫書店組合は事業内容や推選図書を掲載したポスターを作成し、関係先に送付した。
 2つのオンラインイベントも予定。6月9日、東北大加齢医学研究所の榊浩平助教によるZoom講演会「夢をかなえる脳と心の育て方~未来のカギはスマホに負けない強い心」を開催する。
 また、11月17日、兵庫県在住の作家・河野裕氏の『昨日星を探した言い訳』(角川文庫)を課題図書にして「どっぷりつかってZoom読書会」を開く。読書会には河野氏も参加を予定しており、中高生と著者の出会いの場を作る。
 25年度の推薦図書も募集中。締切は12月31日。
 事業の詳細は兵庫書店組合ホームページ(https://hyogobook2018.jimdofree.com/)で。
 [現役中高生による推選図書]
 ▽『変な家 文庫版』(雨穴、飛鳥新社)▽『VISION 夢を叶える逆算思考』(三苫薫、双葉社)▽『5分後に意外な結末 ベスト・セレクション 金の巻』(桃戸ハル、講談社文庫)▽『奇跡のバックホーム』(横田慎太郎、幻冬舎文庫)▽『神様の絆創膏』(村瀬健、メディアワークス文庫)▽『教室が、ひとりになるまで』(浅倉秋成、角川文庫)▽『月の影 影の海』(小野不由美、新潮文庫)▽『私たちの世代は』(瀬尾まいこ、文藝春秋)▽『世界は「」を秘めている』(櫻いいよ、PHP研究所)▽『親愛なるあなたへ』(カンザキイオリ、河出書房新社)▽『この夏の星を見る』(辻村深月、KADOKAWA)▽『夜明けのすべて』(瀬尾まいこ、文春文庫)▽『余命10年』(小坂流加、文芸社文庫)▽『ワンダー』(R・J・パラシオ、ほるぷ出版)▽『いい人ランキング』(吉野万理子、あすなろ書房)▽『#真相をお話しします』(結城真一郎、もりとおる、新潮社)▽『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(汐見夏衛、スターツ出版文庫)▽『風に恋う』(額賀澪、文春文庫)▽『また、同じ夢を見ていた』(住野よる、双葉文庫)▽『流浪の月』(凪良ゆう、創元文芸文庫)▽『きみの友だち』(重松清、新潮文庫)▽『あめつちのうた』(朝倉宏景、講談社文庫)▽『アルジャーノンに花束を』(ダニエル・キイス、ハヤカワ文庫)▽『少年と犬』(馳星周、文春文庫)
     (森忠延理事長)

有隣堂/店舗販売データの閲覧・分析ツール提供/導入企業100社超える

 有隣堂は4月17日、HIBIY CENTRAL MARKETを除く全41店舗の書籍・雑誌の販売数や在庫数などのデータを閲覧・分析が可能になるツール「Book Store Central-Sales Status(BSC-SS)」の有料提供を開始したと発表した。
 このツールは同社が2022年に開発した店舗運営システム「Book Store Central(BSC)」をベースにしたもの。主に出版社を対象に、有隣堂各店の書籍・雑誌売上数、在庫数などのデータ(Sales Status)をEdgeやChromeなどのブラウザ上で閲覧することができる。
 これにより、有隣堂はBSC-SSの導入企業と協力し、店舗の販売・在庫状況を可視化して精度の高いデータ分析・仮説検証が可能になった。新規事業開始からの導入企業はすでに100社を超えている。
 今後は、書籍・雑誌と並行して、文具・雑貨の販売・在庫データにも対応した運営システムの開発、他書店チェーンでも利用できるプランの提案を検討。「BSC-SSの活用推進を通して顧客目線の商品制作をサポートし、読者のニーズに応える店舗作りの実現を目指していく」としている。

日販調査 店頭売上/3月期は前年比1・3%減/書籍、全ジャンルで前年超えと好調

 日本出版販売(日販)調べの3月期店頭売上は前年比1・3%減だった。ジャンル別では、雑誌は同3・9%減、書籍は同7・2%増、コミックは同11・7%減、開発品は同16・5%減。
 書籍は全ジャンルで前年超えと好調。映画化で話題の「変な家」シリーズ(飛鳥新社)などが売上を牽引した。雑誌は、ムックが4ヵ月連続で前年超えと好調を維持しており、「2024MLB選手名鑑」などが売上を牽引した。一方、コミック、開発品は2桁減と低調だった。

連載「生活実用書・注目的新刊」~『デジタル時代の恐竜学』(集英社インターナショナル新書)~/遊友出版・齋藤一郎

 河部壮一郎著『デジタル時代の恐竜学』(集英社インターナショナル新書 900円)は、福井県で発見されたフクイベナートル・パラドクサスという恐竜から始まる。2007年に見つけられた後、デジタル機器を駆使した復元の結果、新種の恐竜であることが最近になって分かった。鼻先から尻尾までが約2・5メートル、体重25キログラムの小型の恐竜で、1億2000万年前、アジア大陸に生息していた。工業用CTスキャンで分析し三次元CGに起こすなど、根気のいる作業を続けての発見になった。 現在は化石のデータを3Dプリンターで復元して、展示や学習に使うレプリカも製作できる。長崎で出土した1~2メートルに及ぶペンギンモドキ(コペプテリクス・ヘキセリス)、北海道で発見された奇獣、パレオパラドキシアもCTスキャンやコンピュータが使われ、脳や神経まで再現されるようになった。   更科功著『化石に眠るDNA』(中公新書 1000円)は、古代DNAの研究を分かりやすく解説。映画『ジェラシックパーク』では琥珀の中に遺されたDNAから恐竜を蘇らせたが、同様の研究が実際に行われている。ただ細菌や菌類のDNAが入り込むのを見極めるのが難しいという。