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令和2年12月15日号
小売8団体が中小企業庁と懇談/日書連、キャッシュレス決済手数料低減など要望/中小小売商サミット

日書連など小売8団体で構成する全国中小小売商団体連絡会(小売連絡会)は11月25日に東京・千代田区の経済産業省本館で第19回全国中小小売商サミットを開き、中小企業庁幹部と懇談。日書連の矢幡秀治会長は書店業界の現状を報告して、キャッシュレス決済手数料の低減化、教科書デジタル化についての慎重な検討、出版物への軽減税率適用の実現を要望した。

小売連絡会は、日書連、全国共同店舗連盟、全国商店街振興組合連合会、全国水産物商業協同組合連合会、全国青果物商業協同組合連合会、日本商店連盟、日本専門店会連盟、日本ボランタリーチェーン協会の8団体で構成。今回のサミットは、新型コロナウイルス感染症の拡大状況を鑑み一部団体代表者はWeb参加する形式で行った。
冒頭であいさつしたサミット実行委員長の全国商店街振興組合連合会・辰野邦次理事長は、日本経済は昨年の消費税率引上げに加え、新型コロナウイルス拡大による消費の大幅な落ち込みで未曽有の難局に直面しているとして、コロナ禍の長期化を視野に入れて、持続化給付金や家賃支援給付金などの各種支援策の継続拡充、官民金融機関による特別融資の継続及び返済期間の延長、支援対象要件の緩和や、GoTo商店街事業の継続拡充など個人消費喚起策を実施するよう要望した。
各団体からの報告で日書連の矢幡会長は、コロナの影響によるテレワークの拡大と巣ごもり需要で売上が伸びた部分もあったが、書店の厳しい経営環境は変わらないと現状を説明して、「黒字の店でも1%程度しか利益の出ない書店にとって、3~5%のキャッシュレス決済手数料は負担が厳しく、キャッシュレス決済を導入しやすい手数料になるよう施策を進めてほしい。教科書デジタル化に向けた本格的な動きが報じられているが、紙媒体の優れた点も評価して慎重な検討をお願いしたい。書籍・雑誌の軽減税率適用は引き続き検討課題となっているが、次回の税率変更時には必ず適用を受けるよう望みたい。読書推進は国民の文化を支える根本であり、経済的な面からもご支援をお願いする」と述べた。
この後、辰野理事長から中小企業庁の奈須野太次長に第19回全国中小小売商サミット宣言(別掲)を手渡した。奈須野次長は「持続化給付金、家賃支援給付金などの施策は、コロナの感染状況を踏まえながら引き続きしっかり実施していきたい。来年度概算要求において『地域の持続的発展のための商業・まちづくり推進事業』を打ち出しており、この予算を活用しながら、新たな生活様式に対応した形で商店街や小売商業が前進していけたらと考えている」と話した。

〈第19回全国中小小売商サミット宣言〉
「全国中小小売商団体連絡会」は、全国各地域において地域住民の生活を支え、また地域コミュニティの一員として、地域社会への貢献や地域経済の発展に資するため活動している8つの中小小売商業者団体で構成する組織である。
現在、中小小売商業者は、昨年10月に実施された消費税率引上げによる消費者の購買意欲の落ち込み、相次ぐ台風等の自然災害の発生に加え、とりわけ今般の新型コロナウイルス感染症による消費の大幅な落ち込み等の影響を受け、過年度において経験のなかった難局に直面している。
このため、政府においては新型コロナウイルス感染症の早期収束に取り組むと共に、永年苦境にある中小小売商業者に対し、短期的・長期的の両面で以下の措置を講ずるよう強く要望する。
1.中小小売商業者への短期的・長期的な事業継続支援と消費喚起策の実施
(1)緊急対策として、新型コロナウイルス感染症
の影響継続を踏まえ、持続化給付金、家賃支援給付金、資金供給支援、雇用調整助成金、国税・地方税等の支援策拡充、手続き簡素化及び対応基準の緩和等、支援体制強化を図ること。
(2)GDPの約6割を占める個人消費を喚起するために、短期的には、消費税の一時凍結または減税の実施、GoTo商店街等のキャンペーン事業の継続的実施・拡充及び最大規模となるプレミアム商品券事業の実施を検討すること。長期的には、盤石な社会保障制度を構築することで、今の暮らしを豊かにするための消費行動に向かうための施策を講ずること。
2.地域住民の生活を支え地域の社会経済に貢献する中小小売商業者への支援
(1)中小小売商業者が行う街の環境・施設整備、にぎわい創出等の活動への支援と、多様性のあるまちづくりによる地域の特色の創出支援を。
(2)新しい生活様式に対応するためのIT化、キャッシュレス化を推進するために、導入から運用までをワンストップで指導する窓口を創設すること。
3.中小小売商業者に対する各種優遇税制の維持について
(1)消費税に関して
①インボイス制度は、中小小売商業者に過度な事務負担、免税事業者の取引からの排除の可能性高いことから、十分な検証を行い、実施の是非は慎重に検討すること。
②小規模・零細事業者の事務負担を軽減するため、簡易課税制度及び事業者免税点制度を維持するとともに、適用事業者の範囲拡大、免税点の引き上げを図ること。
③外税表示を恒久的に選択できる制度にすること。
(2)法人事業税外形標準課税の中小企業への適用
について
外形標準課税を資本金1億円以下の中小企業には適用しないこと。
(3)中小企業関係税制の特例制度の延長等
中小小売商業者に係る法人税の軽減税率の恒久化、適用期限を迎える特例措置等の延長を行うとともに、経営資源集約化を促進する税制を創設すること。
令和2年11月25日
第19回全国中小小売商サミット

大震災出版復興基金の受付を終了いたしました

本紙10月15日号でもご報告しました通り、東日本大震災被災地の読書環境支援を契機として発足した〈大震災〉出版対策本部は、丸10年に当たる2021年3月末を一区切りとして活動を終了することといたしました。
つきましては、支援のための資金として皆様からご寄付を募っておりました大震災出版復興基金も、その受付は2020年11月末をもちまして終了させていただきました。
これ以降のご寄付はご辞退いたしますとともに、長年にわたるご協力に対し改めて感謝申し上げます。
なお、本件につきましてのお問い合わせは日本出版クラブ事務局までお願いいたします。℡03(5577)1771

年末年始の事務局体制

年末年始の特別体制により、日本書店商業組合連合会事務局の業務は、年内は12月25日(金)午後5時をもって終了します。
年明けは1月4日(月)午前9時より通常業務に復します。
日本書店商業組合連合会
事務局

子どもたちの読書の重要性を語る/フォーラム「言葉と心を育てる読書」

子供の読書活動推進事業フォーラム「言葉と心を育てる読書」(国立青少年教育振興機構主催、文字・活字文化推進機構主管)が11月1日、東京・渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターで開かれ、380名が参加。俳優で歌手の上白石萌音さんが「私と読書」をテーマに話した。
特別ゲストとして登壇した上白石さんは、「活字が好き。空き時間があれば本を読んでいる。一生本を読んでいくだろうと思う」というほどの読書家。小説や学術書、好きな作家のエッセーを好んで読む。子供の頃は家に絵本がたくさんあったという。林明子氏の絵本が一番好きで、『こんとあき』(福音館書店)は今でも愛読しているという上白石さん。「絵本は子供が生まれて最初に触れるアート」と重要性を語った。
そして、「声に出して読むことが子供の頃から好きだった。主人公になりきってセリフを言うのが楽しかった。それが今につながっているのかもしれない」と話し、『すきっていわなきゃだめ?』(辻村深月作、今日マチ子絵、瀧井朝世編、岩崎書店)を朗読。
最後に、読書の魅力について「本を読んでいると楽しい。1冊の中で世界が広がる。辛い時や悲しい時に心を救ってくれる。言葉のスペシャリストが書いた単語や言い回しを自分の中に取り入れていくこともできる」と語った。
この後、IPU・環太平洋大学教授でお茶の水女子大学名誉教授の内田伸子氏をコーディネーターにシンポジウム「子供の言葉を育てる」を行い、作家の辻村深月氏、作家で博報堂フェローのひきたよしあき氏、ノンフィクション作家の柳田邦男氏が語り合った。

図書カードNEXTネットギフトが6千名×1千円当たる!/図書券・図書カード60周年記念キャンペーン

日本図書普及は、全国共通図書券が昭和35年11月25日に誕生してから60年を記念して、「図書券・図書カード60周年記念キャンペーン」を実施している。
抽選で6000名に1000円分、総額600万円分の図書カードNEXTネットギフトが当たる。応募期間は2020年12月1日~2021年1月31日まで。応募方法は、ポスターのQRコードを読み取り、同社WEBサイトのキャンペーンページからメールアドレスを入力する。賞品は入力したメールアドレスに2月中旬に送る予定。
同社は、たくさんのお客様に参加してもらえるよう、期間中、ポスターを書店の入口や店内に掲示してほしいと協力を呼びかけている。ポスターを掲示する以外に書店側が行うことはなく、気軽に参加し増売に役立てることができる。

大阪こども「本の帯創作コンクール」受賞作品136点を表彰/今回は朝日新聞で「紙上表彰式」

大阪府書店商業組合、大阪出版協会、大阪取次懇和会などで構成する大阪読書推進会と朝日新聞大阪本社が主催する第16回大阪こども「本の帯創作コンクール」(帯コン)の表彰式と展示会は、新型コロナウイルスの影響で今年は中止されたが、代わりに朝日新聞大阪本社管内(富山以南の北陸、近畿、山口を除く中四国)版の11月10日朝刊で「紙上表彰式」として受賞作品136点を発表した。
「帯コン」は児童書の表紙に巻く「帯」を小学生にデザインしてもらい、子どもたちに読書の喜びや表現の楽しさと大切さを知ってもらおうと2005年にスタートした。
「帯コン」では大阪府と大阪市の学校図書館協議会が選定する課題図書部門と自由図書部門を設けている。課題図書部門の大阪府知事賞、朝日新聞社賞、大阪国際児童文学振興財団賞を受賞した9点の帯は、製品化されて本に巻かれ、大阪府書店商業組合加盟書店の店頭に11月12日から並んでいる。
「紙上表彰式」では、大阪読書推進会の宮川健郎会長のあいさつ、大阪府知事賞(高学年の部、中学年の部、低学年の部、自由図書)と朝日新聞社賞(同)の8名の受賞者インタビューと作品のカラー画像、全入賞者の氏名を掲載した。東京、埼玉、名古屋、鹿児島の各総局長賞については、各都県版に受賞作品と受賞者の記事を掲載した。また、朝日小学生新聞11月14日号に朝日小学生新聞賞受賞者の記事と作品が掲載された。さらに、ベルマーク教育助成財団のベルマーク新聞12月号にベルマーク賞受賞者の記事と作品が掲載される。各受賞者への賞状と副賞は郵送した。
移動展示会は11月26日~21年1月末まで阪急電鉄茨木市駅2階ロサビアで開催予定。春休み期間中に大阪府立中央図書館、夏休み期間中に大阪市立中央図書館でも開催を予定している。
これに先立って11月12日、大阪組合会議室に書店、取次が集まり作品展示パネルを作成した。
(石尾義彦事務局長)

「春夏秋冬本屋です」/「山のけものと共に住む」/静岡・島田書店花みずき店店長・佐塚慎己

先日、石川県のショッピングモールにクマが侵入したというニュースを聞き大変衝撃を受けた。私は若いころ4年ほど石川県に住んでいたことがあり、クマが出た店舗もよく知っている。駅前で周りも田んぼ、けものが出るなんて想像もつかないところだ。
私も今年4回、カモシカに遭遇している。奴らは出会ってもすぐに逃げない、自分たちは天然記念物だから狩られないと思っているのだろう。先週も最寄りの金谷駅で構内にイノシシが迷い込み電車と衝突し、ダイヤが大きく乱れたらしい。
最近、人とけものの距離がどんどん近くなっている気がします。
最近読んだ、静岡新聞社発行の高橋秀樹著『山とけものと猟師の話』にはその事が大変わかりやすく説明されている。
全国的に増え続けるシカやイノシシは山の草木を食べつくし、里で農作物を荒らし、駆除の対象となっている。かつて里山の恵みを享受してきた日本人の暮らしは近代化と共に失われ、里山の荒廃が始まり、今まで人が居るところにどんどんけものが入り込んでいるわけだ。
富士市在住で、自然、アウトドア、田舎暮らしなどをテーマに執筆活動を続ける著者は、県内各地に猟師を訪ね歩き、山とけもの、そして人の暮らしの間に何が起き、どこへ向かうのか。絡み合う複雑な要因を探り、教えてくれた。良書だと思います。

書店向けWeb商談会/商談金額2000万円超/出展社は前回の3倍、参加書店2倍に

有志の出版社24社で構成する書店向けWeb商談会実行委員会はこのほど、10月5日~同16日に開催した「書店向けWeb商談会2020秋」の結果報告書を公表した。2回目となる今回は、業界初の試みとして6月末に開催した「β版」と比べ、出展社は約3倍の149社、参加書店は2倍超の235名。商談金額は2000万円を超えた。
出展社149社の内訳は、出版社140社、玩具メーカー5社、サービスほか4社。参加書店235名は北海道から沖縄まで全国からの参加に加え、紀伊國屋書店クアラルンプール店など海外から参加した書店員もいた。
商談金額は全体で2043万2238円(上代)。出展社と参加者が一対一で行う商談は計779回行われ、商談数の多かった出展社の上位4社は世界文化社(25回)、PHP研究所(23回)、亜紀書房(20回)、ニジノ絵本屋(20回)。一方、商談数が0回の社が16社と出展社の1割以上にのぼった。
開催後、出展社と参加者へアンケートを行い、参加者80名、出展社140社から回答があった。
次回も「参加したい」と回答した書店は81%。「コロナ禍でも商談できる」「遠方でもたくさんの出版社の話が聞ける」「スタッフが参加しやすい」といった満足度の高い意見が多かった。一方、次回の参加は「わからない」が19%。「店舗は年中無休で営業しているため参加のハードルが高い」「事前に時間調整するのが現場感覚では困難」といった意見が前回から引き続き目立った。
出展社で次回も「出展したい」とした社は75%。「コロナ禍で出張に行けていない中、会いたい書店に画面上ではあるが会えた」「はじめましての方、遠方でお会いできない方と顔を合わせてお話ができた」「新しい商談のプラットフォームを得たと思う」と、満足度の高い意見が多数だった。一方で「出展しない」1%、「わからない」24%と答えた社からは「あまり商談数がなかった」「出展社数に対して書店員の参加が少ない」など商談数の少なさに関する意見が挙げられた。

〔「プッシュ型営業」効果大きく/事前店舗調査と丁寧な提案、商談成否に影響〕
三芳寛要実行委員長(パイインターナショナル代表)は「出展社の力だけでなく日書連や取次各社からも書店への声掛けにご協力いただいたおかげで前回の2倍を超える方に参加していただき、一定の成果を収めたととらえている」と総括。しかし、400名が参加するリアルの書店大商談会と比べると「オンラインで参加する書店はまだまだ少数派」として、今後より多くの書店が参加できる環境を整えるために経営者や管理職の理解を得ることが必要との考えを示す。
三芳氏は「オンライン時代に必要な営業ノウハウが見えてきた」という。出展社にヒアリングしたところ、参加書店へ自社との商談予約をメールで促す「プッシュ型営業」を活用した出展社は商談数が多かった。実際、参加した書店からは「BCCで一斉送信されてくるメールは無視したが、事前に店舗のことを調べた上で送られてくるメールには対応した」など肯定的な声が多く聞かれ、参加者一人ひとりへの丁寧な対応が成否を分けた。
また、商談金額が多かった出展社で共通していたのは、商談の際に商品紹介を1点ずつ行うのではなく、複数の商品を組み合わせたフェア用のチラシを画面共有し、たとえばクリスマス向けギフトフェアなど一度の商談でまとまった数量を注文し、店頭の棚をまるごと作り上げられるような提案を行っていた。
分析結果を踏まえ、「今後は規模の拡大よりも出展社、参加者ともに満足度を高めることを目指す」という。次回は21年春に開催を予定している。

渋谷書店万引対策共同プロジェクト/防犯カメラで3書店が万引防止万引の実態、初めて詳細把握/1年間の成果と課題まとめた報告書を公表

渋谷書店万引対策共同プロジェクト事務局は12月1日、同プロジェクト開始後1年間の成果と課題を検証した報告書を公表した。同プロジェクトは東京・渋谷区内の大盛堂書店、啓文堂書店渋谷店、MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店の3書店が、防犯カメラの顔認証システムで集めた個人データを登録して、書店経営を圧迫する万引被害を未然に防ぐため共同利用する取り組み。2019年7月から実施している。報告書では、これまで写真や従業員の記憶頼みだった万引犯の来店証跡と実態を顔認証の技術によって初めて詳細に把握できたことを成果として挙げている。一方、コロナ禍でマスク着用による非検知があったとはいえ万引が巧妙に行われるなど、その確認の困難さから顔認証データの登録件数が予想より少なかったことを課題として挙げた。報告書の全文を掲載する。

〔登録した顔認証データは40名53件〕
1、対象期間
2019年7月30日から2020年7月31日まで。
2、定量面から
1)登録人数及び件数は40名53件。
2)すべて万引行為。
3)53件中51件は単独敢行。内2件は2人組の嫌疑あり。
4)53件中13件は同一人物を登録した当該店、及び当該店以外に再来店。
5)抑止は7件。
6)捕捉は7件。
7)ロスの改善に関しては、ロス率が前年比でほぼ半分となったところ、ロス金額が約6割になったところ、ほぼ前年並みだったところと三者三様に分かれた。
3、定性面から
1)当プロジェクトで実証されたこと
①3書店で万引犯が再来店した事実があることを、顔認証を連携させ、検知、記録をおこない始めて実態の検証ができた。
これまでは、写真であり、従業員の記憶であったが、しっかり技術的に来店証跡と実態がつかめた。
②消費者保護の観点から厳しい登録条件のもと誤認逮捕や誤認対応がなかったこと。都度関係者の教育研修を実施することで関係者の知識や対応の漏れがなかった。
③関係者間での会議を頻繁におこなったことで、細かな課題、問題について解決でき、より慎重に進めたこと。こんな人を登録したいが、プロジェクト事務局にて検討、実施しなかった例もあった。
④意識や運用の組合せで、相乗効果、間接効果が生まれたこと。最新技術も使う人と仕組みが大事で、それらがそろって初めて安全に機能すると確認した。
2)万引被害改善の理由(参加店の声から具体的に)
①渋谷プロジェクトへの参入によりメディアに取り上げられたことで万引犯に敬遠されたのではないか。
②メディアに取り上げられたことにより、スタッフがこれまで以上に万引を警戒するようになり、犯行を未然に防ぐことにもつながった。
③従業員が理解してくれた結果、来店されるお客様には「いらっしゃいませ」とお声掛けすることが徹底され、それとなく目線を送って注意してきた。
④お客様をあまりじろじろ見ると不愉快な印象を与えるので、ちらっと目線を送ることだけでもかなりの抑止力となりえた。
⑤コロナ禍の影響による入店客数の減に伴い、万引犯も少なくなったと思われる。
⑥コロナ禍による客数の減少は、同時に店頭スタッフによる顧客へのケアも頻繁に行えるようになり、万引犯が犯行を思いとどまる要因になったのではないか。
4、1年目における課題
1)マスク着用による非検知が、コロナ禍以降数件あった。
2)コロナ禍があったとはいえ、万引きが巧妙に行われるなど、その確認の困難さから登録件数が予想より少なめであった。
3)登録済みの対象者が来店したことが確認されたのに、被害の防止が図れなかった事案があった。

〔登録数増やし、再来店時の犯行抑制を〕
5、上記を踏まえた2年目の取組み
1)システム面の課題
①マスク着用の対象者の感知能力向上のための認証機能の改善
2)参加店の課題
①ビデオカメラ登録映像のチェック方式の研究によって登録数を増やし、敢行者を対象として再来店時の犯行を抑止する。
②レジ清算済商品を手に持ったままで退店せず店内に残って居るお客様の動向に注視し、誤認を防ぐため一定の方法を構築する等、スタッフ間で購入済の旨を伝達することを徹底する。
③在庫調査の範囲を拡大し、被害の早期発見を期す。
④社員間のコミュニケーションを深め、入店時の接客のレベルアップを図る。
6、総括
1)プロジェクト開始前に、1件だけ1参加店への抗議があったが、それも開示と同時になくなり、以降アクシデント及び一切のトラブルは起きていない。
2)ロス率の評価は1年目では確定できず、2年目以降に評価したい。ただし各店の決算期が異なるため、そこを精査する必要がある。
3)検証委員からの論評は以下の通り。
○件数が減っていること自体は大変望ましい。マスク着用で検知できないのかまで含めての検証が必要。
○取組み自体が周知されたことによってそもそも渋谷に来なくなるということが少しでもあるのであれば、効果はあったということになる。
○全部説明するものは説明し、誤解に基づく批判もなく、正確に説明できているから苦情も来ていない。技術面は様々な課題があるが、こういった形で進めていってほしい。やはりメディアにも多数露出することで正確に説明していくことで適切に進められきた。
○コロナ禍で在宅勤務が増える中、インターネット環境におけるセキュリティーフォール(脆弱性)の指摘も散見される。定期的に脆弱性テストを実施することが重要。暗号化と定期的テストが必須である。
○このプロジェクトを進めていく中で、ただ単に技術を共有すれば解決するというものではなく、それぞれの事業者がそれぞれの工夫でこの技術をどういう風につかえば目的が達成できるのかの前向きな議論がなされている。そのこと自体も成果と言える。
○当該技術を使うにあたり現段階において、注意点や活用法についてプロジェクトとして共通認識ができているというところが大きい。
○自らの取組みについて検証までする活動の内容と質を、当プロジェクトのみでなく、外部に向かって今後しっかりメッセージをしていってほしい。それも合わせ成果と言える。
○防犯カメラは万能薬ではなく、これを導入することによって、これに携わっている人の意識が変わるそのきっかけになっていく意味合いが大きい。その意味でこの1年間の取組みは非常に有益である。今後この1年間の経験を踏まえて改善、法令順守、説明責任等を車の両輪として進めていけば、渋谷プロジェクトに対する理解、そして防犯の効果が更に得られる。
【1年目総括のまとめとして】
各参加店は、今回のプロジェクトに参加したことで、万引きの実態が詳細に把握でき、また、従業員の万引対策の意識向上が見られるなどから、万引対策に手ごたえを感じています。また、心配していた様々な抗議や嫌がらせもほとんどなかったこともあり、より一層、社会一般の理解を得ながら、このプロジェクトに継続して参加し、より多くの成果を得たいと考えています。
当プロジェクトはその意向に沿って、2年目も参画者全員が今後も最大限の努力を惜しまず活動いたします。
そしてこの活動を財政面や技術面で支えてくれている事務局メンバーや、様々なアドバイスをいただいている専門家の皆様に感謝いたします。
当プロジェクトは法的見解や社会受容性を綿密に検討して進めているもので、形式だけを取り入れた同様の取組みが現れることは懸念しますが、ご相談頂ければ知見の提供等のご協力はできると考えております。
各方面におかれましても当プロジェクトの本質的成果や法的スキームを理解し、かつ社会への受容性を十分担保したうえで、万引犯罪抑止の実を上げることを強く期待するものです。
当プロジェクトは今後とも、その成果を広く発信して参ります。
○本件に関するお問い合わせ先
渋谷書店万引対策共同プロジェクト事務局電話:03―5280―6044
メール:info6@manboukikou.jp

『鬼滅の刃』小説版が上位に/「あつ森」攻略本も人気集める/取次大手2社2020年の年間ベストセラー

トーハン、日本出版販売(日販)は12月1日、「2020年年間ベストセラー」を発表した。集計期間は19年11月24日~20年11月23日。総合1位は、トーハンが『TheWORLDSEIKYOワールドセイキョウ2020年春号』(聖教新聞社)、日販が『鬼滅の刃しあわせの花』(集英社)となった。
19年にアニメが放映されてブレイクし、今秋公開の映画も大ヒットして社会的ブームを巻き起こしたコミック『鬼滅の刃』の小説版3冊『鬼滅の刃しあわせの花』『鬼滅の刃片羽の蝶』『鬼滅の刃風の道しるべ』が、日販のランキングで1位・2位・4位、トーハンのランキングで3位を獲得した。原作漫画家の吾峠呼世晴氏が監修し、多数の描き下ろしイラストも収録、原作漫画の本編で語られなかったエピソードが楽しめ、多くのファンの支持を集めた。また、新型コロナウイルスの影響で、家で楽しむ「巣ごもり需要」が高まり、オンラインで友達とつながって楽しめるゲーム「あつまれどうぶつの森」の攻略本が上位にランクインした。

佐々涼子氏『エンド・オブ・ライフ』に/20年ノンフィクション本大賞

ヤフーと本屋大賞実行委員会が主催する「Yahoo!ニュース/本屋大賞2020年ノンフィクション本大賞」がオンラインで発表され、佐々涼子氏『エンド・オブ・ライフ』(集英社インターナショナル)が選ばれた。
同賞は19年7月~20年6月に日本で発行された国内作家によるノンフィクション本が対象。書店員による投票で、ノミネート6作品から大賞を決定した。
受賞作は在宅での終末医療の現場をつづった作品。受賞スピーチで佐々氏は「読者に一番近い書店員の皆様が選んでくれた特別な賞。受賞を誇りに思う」と喜びを語り、「私たちの人生は1回限りだが、ノンフィクションを読めば、そこには先を行く人が私たちの行く手を照らしてくれる。十倍にも百倍にも人生が豊かになる可能性を秘めている。ぜひ書店に足を運び、ノンフィクションの棚を覗いてほしい」と話した。

厚労省・児童福祉文化財/出版物の推薦作品を決定

厚生労働省社会保障審議会は、児童の福祉の向上を図るため、福祉文化分科会を設けて出版物、舞台芸術、映像・メディア等の3分野で「児童福祉文化財」として優れた作品を推薦している。このほど、令和2年度の出版物の推薦作品を下記の通り決定した。
▽『てんじつきさわるえほんさわるめいろ』『同さわるめいろ2』『同さわるめいろ3』小学館/著=村山純子/幼児以上▽『レディオワン』光村図書出版/著=斉藤倫、装画=クリハラタカシ/小学校高学年以上▽『たべもの・食育絵本①野菜の教え春・夏編』『たべもの・食育絵本②野菜の教え秋・冬編』群羊社/編=藤原勝子、監修=渡邉幸雄、イラスト=生田裕人、エダりつこ、林亜紀子、向カテリーナ他/幼児以上▽『カラーモンスターがっこうへいく』永岡書店/作=アナ・レナス、訳=おおともたけし/幼児以上▽『となりのアブダラくん』講談社/作=黒川裕子、絵=宮尾和孝/小学校高学年▽『レッツはおなか』講談社/作=ひこ・田中、絵=ヨシタケシンスケ/小学校低学年▽『とねりこ通り三丁目ねこのこふじさん』アリス館/作=山本和子、絵=石川えりこ/小学校中学年以上▽『地図で見る日本の地震』偕成社/文=山本徹、監修=寒川旭/小学校高学年以上▽『ジュリアンはマーメイド』サウザンブックス社/作=ジェシカ・ラブ、訳=横山和江/小学生以上▽『ありがとう、アーモ!』鈴木出版/文・絵=オーゲ・モーラ、訳=三原泉/幼児、小学校低学年▽『キャラメル色のわたし』鈴木出版/作=シャロン・M・ドレイパー、訳=横山和江/小学校高学年以上▽『ねこと王さま』徳間書店/作・絵=ニック・シャラット、訳=市田泉/小学校中学年

10月期販売額は6・6%増/返品改善で書籍が14・0%増/出版科研調べ

出版科学研究所調べの10月期の書籍雑誌推定販売金額(本体価格)は前年同月比6・6%増となった。
内訳は、書籍が同14・0%増、雑誌が同0・8%減。書籍は出回り金額が同6・0%増と送品ボリュームが多かった一方で返品率が大きく改善したため、大幅に伸長した。前年の10月は台風19号など豪雨被害が相次ぎ、消費税率が10%に引き上げられて店頭販売が冷え込んでいたことも影響した。雑誌の内訳は、月刊誌が同0・5%増、週刊誌が同6・4%減。
書店店頭の売上は、書籍が約6%増と好調を持続。児童書は『劇場版鬼滅の刃無限列車編ノベライズみらい文庫版』(集英社みらい文庫)のヒットで約11%増。ビジネス書は『人は話し方が9割』(すばる舎)など長期間にわたり売れる本が多く、約8%増と6月から5ヵ月連続でプラスになった。
雑誌は、定期誌が約2%減、ムックが約2%増、コミックスが約40%増。10月16日に公開された映画が大ヒットしている『鬼滅の刃』(集英社)全22巻が爆発的に売れ、10月からテレビアニメ放映が始まった『呪術廻戦』(集英社)も全巻重版がかかる好調ぶりで、大幅増となった。

藤原氏、新氏の受賞祝す/河出書房新社・第57回文藝賞贈呈式

河出書房新社が主催する第57回文藝賞は、受賞作は藤原無雨(むう)氏『水と礫』、優秀作は新胡桃(あらた・くるみ)氏『星に帰れよ』に決まり、11月13日に東京・港区の明治記念館で贈呈式が行われた。
受賞者あいさつで藤原氏は、「面白い本は世の中にいくらでもあるにも関わらず、毎年新人が発掘される意義は何か。コロナウイルスの影響でカミュの『ペスト』が売れたのはいいことだがカミュは我々と同じ地面に立っているわけではない。古典は確かに素晴らしいが、何かを取りこぼすのではないか。その何かをすくい上げて表現するのが現代作家の小説だ。取りこぼされたものを見極め、皆様にお見せできるような作家でありたい」と語った。
現在高校2年生の新氏は「どこまでも貪欲で、やるせないのが人間。だからこそ愛おしく、私は愛おしいものを書いていきたい。図々しくしぶとく、泥臭く汚くて、不器用に生きている数々の人間に胸がきゅんとなる。彼らが交差することで生まれる全てに興味がある」と話した。
主催者あいさつで小野寺優社長は、「コロナ禍で、現実から全く違ったところに連れていってくれる文学作品を多くの人が求めた。文学は不要不急どころか、こんな時だからこそなくてはならないものだと改めて教えてくれた」と感慨を語り、昨年文藝賞を受賞した遠野遥氏が芥川賞、宇佐見りん氏が三島賞を受賞したことに言及して「今日デビューする藤原さん、新さんにもこれからさらに面白い作品を見せていただきたいと願っている」と述べた。

日書連のうごき

11月2日全国中小小売商団体連絡会に事務局が出席。
11月4日JPO運営幹事会に事務局が出席。
11月6日野間読書推進賞贈呈式に矢幡会長が出席。
11月11日書店くじ抽せん会に矢幡会長が出席。
11月12日出版労連との意見交換に事務局が出席。JPO運営委員会に事務局が出席。
11月13日九州雑誌センター取締役会に矢幡会長が出席。九州地区ムック返品現地古紙化説明会に矢幡会長が出席。
11月16日全国中小小売商団体連絡会に事務局が出席。
11月18日北海道返品現地処理でトーハン訪問に志賀理事が出席。
11月19日出版流通白書打合会に事務局が出席。出版倫理協議会に渡部副会長が出席。
11月20日秋田書店お別れの会に矢幡会長が出席。新聞之新聞社インタビューに矢幡会長が出席。
11月24日全国書店再生支援財団定例理事会に平井理事が出席。
11月25日中小小売商サミットで中小企業庁との懇談に矢幡会長が出席。
11月27日日本図書普及取締役会に矢幡会長、藤原、春井両副会長が出席。
11月30日全国中小小売商団体連絡会に事務局が出席。

竹下、町田両氏の絵本に講談社絵本賞

講談社が主催する2020年度第51回「講談社絵本賞」は、竹下文子氏=文、町田尚子氏=絵の『なまえのないねこ』(小峰書店)に決定した。

第73回野間文芸賞は小川洋子氏『小箱』/令和2年度「野間賞」

野間文化財団が主催する令和2年度「野間賞」は、以下の通り決定した。
▽第73回野間文芸賞=小川洋子氏『小箱』(朝日新聞出版)▽第42回野間文芸新人賞=李龍徳氏『あなたが私を竹槍で突き殺す前に』(河出書房新社)▽第58回野間児童文芸賞=いとうみく氏『朔と新』(講談社)▽第2回野間出版文化賞=池井戸潤氏、吾峠呼世晴氏、『あつまれどうぶつの森』

ドラえもん50周年イヤーで売上好調/コミックス・関連本1年間で500万部突破

小学館は、連載50周年を記念して発売した『ドラえもん』0巻(2019年11月27日発売)をはじめ、数々の記念出版物の刊行やコミックス・関連書籍の書店フェアを実施してきた結果、19年12月~20年11月の『ドラえもん』のコミックスおよび関連本の発行部数が500万部を突破したことを発表した。
特に目立った数字を残したのは原作漫画のてんとう虫コミックス『ドラえもん』シリーズで、141万部超を記録。ブームの牽引役となった『ドラえもん』0巻は累計63・1万部を突破した。『ドラえもん』全45巻も重版に次ぐ重版が続き、20年3月にはコミックス第1巻が1ヵ月で1・1万部超と、単月実売数としては21世紀最大の売上げを記録した。
現在も50周年イヤーは継続中で、公開中の映画『STANDBYMEドラえもん2』に合わせ、全国書店で『ドラえもん』関連本を買うと、「ちょっとしたシールつきなんてことないティッシュくじびき」に参加できるキャンペーンを実施している。
また、50周年企画として、「映画ドラえもん」シリーズを網羅した『映画ドラえもん超全集』を11月25日に発売したほか、12月1日にはのび太をフィーチャーした豪華付録満載の「てれびくん増刊のび太くん」を発売。21年2月には『ドラえもん』初の本格原画集『THEGENGAARTOFDORAEMON(仮称)』が発売予定となっている。

書店とユーザーのマッチングサービス/リグネ、「ブックカルテ」を開始/書店員が1万円分の本を選書

リグネは12月3日、書店と本を読みたい人をマッチングするサービス「ブックカルテ」をリリースした。
ブックカルテのサイトから、自分が「本を選んでほしい」と思う書店員を選び、その書店員に1万円分の本を選んでもらうサービス。選んでほしい本のリクエストは「カルテ」を記入することで書店に届き、書店から届くリストを承認することで本が発送される。
北海道砂川市のいわた書店(岩田徹社長)が実施する選書サービス「一万円選書」の仕組みを参考に、同書店の許可も得て今回のサービスを始めたという。第1号の参加書店は東京・神保町の絵本・児童書専門店「ブックハウスカフェ」。
問い合わせはリグネ(担当=舩橋利帆子氏)まで。電話:03(3208)3563メール:bookkarte@honcierge.jp

書店市場、4年ぶりに拡大か/「鬼滅の刃」特需が追い風/帝国データバンク調べ

2020年の書店市場は「鬼滅の刃」の販売好調もあり、4年ぶりに市場が拡大する可能性が出てきた。帝国データバンクが11月24日に発表した。
19年まで3年連続で減少し、10年前から7割弱の水準に落ち込んだ書店市場。日本出版販売によれば、20年10月の店頭売上は前年比14・3%増で、6ヵ月連続で前年超えとなったほか、伸び率としては同社が集計を開始した08年以降で最高値となっている。
好調な書籍販売を牽引しているのがコミック。10月は前年比46・8%増と大きく伸び、13ヵ月連続で前年を超えた。今年は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響もあり、自宅で楽しめるエンターテインメントとしてコミックの需要が急増。
特に「鬼滅の刃」は、10月16日に公開された劇場版の効果や特装版の販売による特需のほか、缶バッジなど付録グッズの販売が中小書店でも大幅に伸びたことも追い風となった。最終巻となる23巻が12月4日に発売され、さらなる売上増加が期待されている。
11月時点までの業績推移が今後も進めば、通期予想などを含めた20年の書店市場は、増加幅は僅少ながらも4年ぶりに拡大する可能性が出てきている。
20年10月までに倒産した書店は前年同期を9件下回る10件で推移している。このペースで進めば、書店の倒産は4年ぶりの前年比減少に転じるほか、通年で最も少ない01年(15件)を下回り、過去最小を更新する可能性が高いという
ただ、「鬼滅の刃」級のメガヒットが今後も出るか不透明な中、業界環境は依然厳しいままという現状もある。ヒット作に恵まれない場合、書店市場は30年までに1兆円台を割り込む恐れもあると指摘。人気作の販売動向に左右されない脱「ヒット作頼み」が急務になっていると結んでいる。

10月期は前年比14・3%増/コミック46%増、13ヵ月連続前年超え/日販調査店頭売上

日本出版販売調べの10月期店頭売上は前年比14・3%増。6ヵ月連続での前年超えとなり、2008年の集計開始以来の最高値を記録した。雑誌は同0・5%減、書籍は同7・1%増、コミックは同46・8%増、開発品は同11・9%増。コミックは10月に映画が公開された「鬼滅の刃」関連商品が依然好調で、13ヵ月連続で前年を超えた。
雑誌は、「鬼滅の刃」外伝を掲載した10月17日発売「週刊少年ジャンプ」(集英社)が売上を伸ばした。雑誌全体では前年超えはならなかったが、前月から6・8ポイント改善した。
書籍は、総記、文芸書、実用書、ビジネス書、専門書、学参、児童書の7ジャンルで前年を上回った。文芸書は『半沢直樹アルルカンと道化師』(講談社)、児童書は『劇場版鬼滅の刃無限列車編ノベライズみらい文庫版』(集英社)が好調だった。
コミックでは、雑誌扱いコミックは『鬼滅の刃22』(集英社)が売上げを伸ばした。書籍扱いコミックは『異世界居酒屋「のぶ」11』(KADOKAWA)が売上げを牽引した。

売上高3%減、純利益2倍に/取次事業は赤字小売・不動産事業が増益牽引/日販GHD中間決算

日販グループホールディングス(日販GHD)は11月20日、2020年度中間決算(20年4月1日~同9月30日)を発表した。日販グループ(連結子会社34社)の売上高は前年比3・2%減の2428億6100万円だったが、営業利益と経常利益は30%超の増益、親会社株主に帰属する中間純利益は2倍超の増益で、減収ながらも大幅増益決算となった。取次事業は赤字が続くが、小売事業・不動産事業が堅調でグループ全体の増益を牽引した。
減収の主な要因は、日本出版販売(日販)でコミックスが増収となったが、雑誌、書籍、開発品がいずれも減収となったこと。
しかし、グループ全体で固定費の削減に取り組んだ結果、営業利益は14億100万円(前年比30・7%増)、経常利益は14億8400万円(同33・0%増)、親会社に帰属する中間純利益は1億5300万円(同110・4%増)といずれも増益になった。
取次事業は、売上高2217億1700万円(同3・8%減)、営業損益3100万円の赤字(前年同期は4400万円の黒字)、経常利益7100万円(同64・8%減)。出版共同流通、中三エス・ティの営業利益が取次事業全体の利益を底上げしたものの、日販が1億1200万円の営業赤字、MPDが8200万円の営業減益となった影響が大きく、取次事業全体では営業赤字に転落した。
小売事業は、売上高308億9600万円(同1・6%増)、営業利益2億8100万円(同180・0%増)、経常利益2億8700万円(同189・0%増)。新型コロナウイルスの影響により、緊急事態宣言期間中、大型商業施設・駅前立地店を中心に、リブロプラスなど最大58店舗が閉鎖となる一方で、営業を継続したロードサイド店は増収となった。
不動産事業は、売上高15億7500万円(同18・5%増)、営業利益6億1300万円(同5・2%増)、経常利益5億7200万円(同0・2%増)と増収増益だった。
雑貨事業は増収・経常減益。新型コロナウイルスの影響が重かった海外事業は減収減益、エンタメ事業は減収・経常赤字だった。コンテンツ事業は増収減益、その他の事業は増収・経常減益となった。
日販単体の売上高は1942億5100万円、営業損益は1億1200万円の赤字、経常損益は2000万円の赤字、中間純損益は8400万円の赤字だった。
同社は19年10月1日に持株会社体制へ移行し、日販GHDに商号を変更。従来の日販の事業のうち、子会社管理および不動産管理以外のすべての事業を簡易吸収分割により、新設した子会社である日販に承継した。そのため19年度以前の経営成績はない。
従来の日販から取次事業のみを抽出して参考数値として算出した19年度実績は、売上高が1996億4000万円、営業損益が1億9100万円の赤字、経常損益が9700万円の赤字、中間純損益が1億9300万円の赤字。この参考数値と比較して、今年度は前年比2・7%減収となったものの、利益面ではいずれも赤字幅が縮小した。
商品別の売上高は、コミックス89億9500万円(同29・0%増)の一方、書籍43億2800万円(同4・4%減)、雑誌93億1200万円(同14・9%減)、開発品15億8500万円(同11・4%減)。
返品率は、書籍31・4%(同2・0ポイント減)、雑誌46・8%(同0・6ポイント減)、コミックス21・1%(7・1ポイント減)、開発品36・9%(1・7ポイント減)、合計35・1%(3・1ポイント減)と大幅に改善し、04年以来の低水準となった。

『鬼滅の刃』最終巻求めて長い列/各地で完売続出、街の本屋も存在感

社会現象にもなったマンガ『鬼滅の刃』の最終巻となる第23巻が12月4日、発売された。最終巻は初版部数395万部、累計発行部数は1億2000万部を突破。発売日には多くのファンが書店に駆け付け、各地で長い列ができた。
神奈川県茅ヶ崎市で街の本屋さんとして長年親しまれている長谷川書店では、午前9時半の開店と同時に客が売場に向かい、平積みされた23巻を次々と買っていった。TBSテレビ系列の報道・情報番組「Nスタ」と「新・情報7daysニュースキャスター(Nキャス)」が発売前日と当日に長谷川静子店長らスタッフを取材し、街の書店の奮闘にスポットを当てて舞台裏を紹介。長谷川義剛会長(元神奈川県書店商業組合理事長)は、あまりの凄まじい売れ方から「べらぼうの商品」と表現し、「Nキャス」メインキャスターのビートたけしさんが興味を示す一幕もあった。

単体・連結とも増収増益/郊外書店が好調、返品も改善/トーハン中間決算

トーハンは11月17日、第74期中間決算(2020年4月1日~9月30日)を発表。単体売上高は前年比1・7%増の1811億8400万円、中間純利益は同1464・4%増の9億2100万円で、06年度以来の増収増益となった。
記者会見で小野晴輝専務は「売上高は、コロナ禍で4月に大幅に落ち込んだものの5月以降は巣ごもり需要で主に郊外書店が好調だったことと、未来屋書店と取引を開始したことが寄与した。物流コストの上昇という経費増の要因は継続しているが、返品率の改善が進んだこと、業務改革による管理費圧縮が顕著だったことで、経費全体では予算を下回る数値に収めることができ黒字確保につながった」と総括した。
トーハンの単体売上高1811億8400万円の内訳は、書籍が同1・0%減の730億4700万円、雑誌が同7・5%減の574億9500万円、コミックが同32・5%増の288億3500万円、MM商品が同6・8%増の218億500万円。
売上総利益は同0・5%増の224億4000万円、営業利益は同36・0%増の19億700万円、経常利益は同90・6%増の5億3700万円、中間純利益は同1464・4%増の9億2100万円。
返品率は、前年比4・0ポイント減の38・4%で、40%を切ったのは13年度以来。内訳は、書籍が同2・7ポイント減の40・8%、雑誌が同2・3ポイント減の46・7%、コミックが同8・1ポイント減の21・2%、MM商品が同3・8ポイント減の17・0%。
『鬼滅の刃』が大ヒットしたコミックが店頭売上を牽引。また、コロナ禍で書籍・雑誌とも新刊刊行の抑制状態が続いたことと、店頭在庫管理施策が効果をあげたことで、返品が改善した。販売費は、運賃単価の上昇が継続。管理費は、従業員の自然減による人件費減少、コロナによるイベント・会合の中止や訪店減少で削減された。
連結子会社28社を含む連結決算は、売上高は1942億9500万円、前年比2・4%増。営業利益は同226・2%増の19億9800万円、経常利益は11億4200万円(前年同期は2億7000万円の損失)、親会社株主に帰属する中間純利益は10億1100万円(前年同期は2億500万円の損失)で、単体同様06年度以来の増収増益となった。書店事業は、8法人中7法人が黒字で、コロナの影響で都市部の店舗が苦戦した一方、郊外型店舗の多い法人は堅調と明暗が分かれた。8社合計の売上前年比は9・2%増となった。物流事業は、コロナ禍によりEC物流が増加したブックライナーが収益に寄与し全体では増益となったが、輸送は厳しい経営環境が続いている。

トーハン出版社向け施策説明会/「本業の復活果たす」近藤社長が決意/中期経営計画「REBORN」進捗など報告

トーハンは11月30日、出版社向けのオンライン説明会を開催し、近藤敏貴社長が「中期経営計画『REBORN』進捗」、川上浩明副社長が「本業の復活マーケットイン型出版流通の創出」をテーマに同社の施策を説明した。例年4月に「全国トーハン会代表者総会」で方針説明を行っているが、今年は新型コロナウイルス感染症拡大を受けて中止。代わりに今秋、全国各エリア別にトーハン会代表者会議を開いて書店に経営方針を説明しており、今回出版社を対象に説明を行ったもの。同社が運営するコワーキングスペース「HAKADORU」虎ノ門店(東京・港区)を会場としてZoomでライブ配信し、出版社185社427名が視聴した。
トーハンが推進する中期経営計画「REBORN」は、「本業の復活」「事業領域の拡大」の2つを基本方針とした19年度からの5ヵ年計画。19年度単体決算は計画の想定通りながら、創業以来初の経常赤字、本業である取次事業も約20億円の赤字となった。20年度中間決算は単体・連結とも増収増益で、効率販売が奏功し、返品率は前年比4・0ポイント改善。一方、物流経費の高騰が続き、単価改定で約7億円のコスト増となり、取次事業は赤字が続いている。近藤社長は「この赤字は必ず埋められる。返品率の改善、営業体制の見直し、新事業開発に取り組み、本業を万全の体制で継続させようと全力を尽くしている。本業を必ず復活させる」と決意を表明。また、「中間決算が好調だったのは、コロナ禍の中にありながらも店を営業し続けてくれた書店のおかげだ」と感謝の言葉を述べた。
「本業の復活」の取組みでは、物流コストの上昇が続く輸送危機対策として、出版社に雑誌の超過運賃負担金改定を要請、10月から書籍の物流・運賃協力金の要請を開始した。近藤社長は「ダイヤモンド社、ポプラ社、偕成社など、早々に満額回答をいただいた社もある」と協力に謝意を表した。他社との物流協業については、日本出版販売と雑誌返品処理業務の協業・拠点統合を進めており、中央社とも返品業務に加え10月から一部帳合書店の送品業務の協業を開始した。
また、出版流通の新たな価値を創造するため、読者目線のニーズに対応したマーケットイン型の出版流通の具体化を推進。①JPRO(出版情報登録センター)のデータを活用した「新仕入プラットフォーム構想」、②書店粗利改善を目的とした「グループ書店による共同仕入実験」、③変化する書店店頭への対応力を強化する「営業行動の再デザイン」、④書店の魅力を様々なアプローチで高めていく「本業領域での新規事業開発」――に取り組んでいくとした。
「新仕入プラットフォーム」は、書店店頭での事前予約などのマーケット情報を仕入配本システムに組み込んでいくもので、JPROの書誌情報やTONETSシステムとシームレスに連携し、AI(人工知能)も活用した仕組みを構築。22年度中の稼働を目指す。「グループ書店による共同仕入実験」は、仕入力・販売力を高め書店が主体となってマージンアップ獲得を目指すもので、将来的には取引書店にも拡大していく。川上副社長は「業界3者が密に連携していく必要があり、かなりハードルが高い取り組みだが、避けては通れない道だ」と施策実現に強い意志を示した。
「営業行動の再デザイン」では、ローコストオペレーション実践による運営効率化、店頭大型イベント提案による集客力強化、オンラインとオフラインを合わせたハイブリッド型営業を進める。桶川コールセンターで特販首都圏支社の書店を対象に注文状況の確認について対応を開始、対象エリアを順次拡大している。また、売場作りに役立つ情報やオリジナル拡材等を配信する書店向けツール「365Books」をリリースした。21年度の機構改革では、現在の各支社エリアを再編し、特販を含む4支社体制として新しい営業スタイルを実現させる体制へ変革する。
中期経営計画の第2の柱である「事業領域の拡大」については、不動産事業では、来年に新本社ビルの完成を控え、最大資産である現本社跡地の活用を図る。フィットネスジム事業、コワーキングスペース事業についても中長期視野で育成に取り組む。また新事業の研究開発を進めるため、①映像作品への出資判断を行う「エンタメ・インベストメント・ラボ」、②エンタメ系新規事業の企画立案・事業化を目指す「エンタメ・スタートアップ・ラボ」、③社内ベンチャー制度「BusinessDesignLab」、④新時代の書店像を創造する「ネクスト・リテイルモデル・ラボ」を立ち上げた。

書店員必携の手帳2021年版

■トーハン「書店実務手帳」
トーハンは11月19日、書店での販売・営業に役立つ資料満載の手帳「書店実務手帳」2021年版を発売した。メディアパル発行、150×85㍉、260ページ、頒価税込860円。
売場別年間スケジュールなど業務計画を立てやすい各種スケジュール一覧、各部の名称やコード表などを記した「出版物の基礎知識」、流通経路、出版市場の規模、ジャンル別現況、流通条件など「出版販売の基礎知識」、書店・出版関係各種団体名簿や出版社名簿などを掲載する。
■日本出版販売「書店手帳」
日本出版販売は11月27日、書店で働くスタッフや出版社の営業活動に役立つ出版業界情報を満載した手帳「書店手帳2021年版」を発行した。142×85㍉、256ページ、頒価本体591円+税。
月間カレンダーと週間カレンダーを始め、店頭業務に必要な資料として、売上指数の使い方、書店経営分析比率などの「売場の数字」、Cコード表、書籍36分類コード表など「本の分類」、芥川賞・直木賞受賞者一覧、書籍・雑誌の判型、出版社名簿などを掲載。
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